端がフィルタ52の一次側に通じ、他端が船外に通じるように設けられ、フィルタ52の逆洗浄として、フィルタ52の二次側から一次側に向けてバラスト水W11を流通させる排水ラインL32と、排水ラインL32を流通する排水流量を調整する排水流量調整部V33と、フィルタ52の一次側と二次側との差圧を検出する差圧検出部8と、差圧検出部8で検出される検出差圧ΔPが第1基準差圧Pt1を上回る場合に、排水流量を通常流量から第1流量に増加させるように排水流量調整部V33を制御する制御部9と、を備える。
前記制御部は、排水流量を第1流量に増加させた後、検出差圧が第1基準差圧よりも小さい第2基準差圧を下回った場合、排水流量を通常流量に減少させるように前記排水流量調整部を制御する、請求項1に記載のバラスト水処理装置。
前記制御部は、第1時間間隔(1時間〜3時間間隔)で第2時間(30秒〜60秒)、排水流量を第1流量に増加させるように前記排水流量調整部を制御する、請求項1〜3のいずれかに記載のバラスト水処理装置。
【発明を実施するための形態】
【0014】
<第1実施形態>
本発明のバラスト水処理装置の第1実施形態について、図面を参照しながら説明する。
図1は、本発明の第1実施形態のバラスト水処理装置を示すフロー図である。
図1に示すように、バラスト水処理装置1は、バラスト水濾過装置2と、紫外線リアクタ61と、逆洗水供給手段7と、制御部9と、を備える。制御部9は、制御対象の各機器を制御可能に、各機器に信号線(不図示)により接続されている。バラスト水処理装置1には、その外部構成として、バラストタンク62と、清浄水タンク65とが接続されている。
【0015】
バラスト水処理装置1は、バラスト水が流通するラインとして、ラインL1と、ラインL2と、ラインL11と、ラインL12と、ラインL21と、ラインL23と、ラインL24と、ラインL31と、排水ラインとしてのラインL32と、を備える。「ライン」とは、流路、経路、管路等の流体の流通が可能なラインの総称である。
【0016】
バラスト水濾過装置2は、ケーシング51と、フィルタ52と、フィルタ回転手段3と、ノズル部としての吸引ノズル4と、噴射ノズルとしての第1噴射ノズル6と、第2噴射ノズル40と、排水排出手段5と、差圧検出部8と、を備える。
【0017】
ケーシング51は、円筒状であり、その内部にフィルタ52を収納する。フィルタ52は、全体視で円筒状であり、内部に流入した被処理水(バラスト水)W1(主に海水)を濾過してバラスト水(濾過処理水)W2として外部へ流出させる。フィルタ回転手段3は、フィルタ52を、その軸心を中心に回転させる。吸引ノズル4は、フィルタ52の一次側に設けられ、フィルタ52の内周面に向かって開口する。
【0018】
第1噴射ノズル6は、フィルタ52の二次側に設けられ、フィルタ52の外周面に向かって、バラスト水処理運転中に逆洗水(第1逆洗水)を噴射する。第1噴射ノズル6からの第1逆洗水W2の噴射は、ケーシング51及びフィルタ52の内部にバラスト水(W2,W1)が存在する(満たされる)状態で行われる(水中噴射逆洗)。
【0019】
第2噴射ノズル40は、第1噴射ノズル6とは別にフィルタ52の二次側に設けられ、フィルタ52の外周面に向かって逆洗水(第2逆洗水)を噴射する。第2噴射ノズル40からの第2逆洗水W5の噴射は、ケーシング51及びフィルタ52の内部に実質的にバラスト水(W2,W1)が存在しない状態(第2噴射ノズル40からの第2逆洗水W5が(水中ではなく)フィルタ52に直接当たる状態)で行われる(空間洗浄)。
【0020】
排水排出手段5は、吸引ノズル4で吸引されたバラスト水(このバラスト水を「排水W11」ともいう)をケーシング51の内部から外部へ排出する。
差圧検出部8は、フィルタ52の一次側と二次側との差圧を検出する。
制御部9は、差圧検出部8により検出された差圧等に基づいて、逆洗水の噴射の有無、第1噴射ノズル6と第2噴射ノズル40との切り換え、逆洗水の噴射時の噴射圧力等を制御する。
バラスト水濾過装置2の詳細については後述する。
【0021】
紫外線リアクタ61は、バラスト水濾過装置2のフィルタ52により濾過されたバラスト水(濾過処理水)W2に対して紫外線の照射を行う。
バラストタンク62は、紫外線リアクタ61により紫外線の照射が行われたバラスト水(濾過処理水)W2を、貯留処理水W3として貯留する。
また、紫外線リアクタ61は、バラストタンク62に貯留されるバラスト水(貯留処理水)W3を船外へ排出する際に、貯留処理水W3に対して紫外線の照射を行う。
清浄水タンク65は、バラスト水とは別に用意された清浄水W5を貯留する。
【0022】
「バラスト水」については、バラストタンク62に導入(流入)される前又はバラストタンク62から排出(流出)された後に拘わらず、また、フィルタ52に導入(流入)される前又はフィルタ52から排出(流出)された後に拘わらず、更には、紫外線リアクタ61に導入(流入)される前又は紫外線リアクタ61から排出(流出)された後に拘わらず、「バラスト水」と表現する。また、状況に応じて適宜に「バラスト水」について「被処理水」、「濾過処理水」、「貯留処理水」、「排水」等と表現する。また、バラスト水は、海水、淡水、汽水を含む。
【0023】
次に、各ラインについて詳述する。
ラインL1は、一端部からバラスト水W1(主に海水)が導入され、他端部がバラスト水濾過装置2の導入口20に接続される。ラインL1は、バラスト水W1がバラスト水濾過装置2の導入口20に向けて流通するラインである。ラインL1には、ポンプP1、バルブV1がこの順で配置されている。
ラインL2は、一端部がラインL1のポンプP1と導入口20との間に接続され、他端部が外部に開放される。ラインL2には、バルブV2が配置される。ラインL2は、フィルタ52内の水(バラスト水W1)を排出する場合に用いられる。
【0024】
ラインL11は、一端部がバラスト水濾過装置2の流出口26に接続され、他端部がバラストタンク62に接続される。ラインL11は、バラスト水濾過装置2で濾過処理されたバラスト水W2がバラストタンク62に向けて流通するラインである。ラインL11には、バルブV11、紫外線リアクタ61、バルブV12がこの順で配置される。
【0025】
ラインL12は、一端部がラインL11のバルブV11と紫外線リアクタ61との間に接続され、他端部が外部に開放されている。ラインL12は、バラスト水W3を外部に排出するラインである。ラインL12には、バルブV13、ポンプP11がこの順で配置される。
【0026】
ラインL21は、一端部がバラスト水濾過装置2の流出口26とラインL11のバルブV11との間に接続され、他端部が第1噴射ノズル6に接続される。ラインL21には、バルブV21、プレフィルタ31、ポンプP21、バルブV22がこの順で配置される。より詳細には、ラインL21の他端部の側は、複数本に分岐しており、それぞれ第1噴射ノズル6に接続している。そして、ラインL21における分岐している部分に、それぞれバルブV22が配置される。ラインL21には、第1逆洗水W2が第1噴射ノズル6に向けて流通する。
プレフィルタ31は、ラインL21を流通する水(つまり第1逆洗水W2)に対して簡易的な濾過を行う。ポンプP21は、ラインL21を流通する水を加圧する。これにより、ケーシング51及びフィルタ52の内部に高圧の第1逆洗水W2が噴射される。
【0027】
ラインL23は、一端部がラインL21におけるポンプP21とバルブV22との間に接続され、他端部が第2噴射ノズル40に接続される。ラインL23には、第2逆洗水W5が第2噴射ノズル40に向けて流通する。ラインL23には、バルブV23が配置される。
【0028】
ラインL24は、一端部が清浄水タンク65に接続され、他端部がラインL21のプレフィルタ31とポンプP21との間に接続される。ラインL24には、清浄水タンク65に貯留される清浄水W5が、逆洗水として、ラインL21に向けて流通する。
【0029】
ラインL31は、一端部がバラスト水濾過装置2の上部に接続され、他端部が外部に開放されている。ラインL31には、バルブV31が配置される。ラインL31は、バラスト水濾過装置2の内部のエアを外部に放出する。
【0030】
ラインL32は、排水排出手段5の一部を構成し、一端部が後述の排出管29に接続され、他端部が外部(船外)に開放される。ラインL32には、バルブV32、流量計32、バルブV34、バルブV33がこの順で配置される。
【0031】
次に、バラスト水濾過装置2の詳細について説明する。上述のように、バラスト水濾過装置2は、ケーシング51と、フィルタ52と、フィルタ回転手段3と、吸引ノズル4と、第1噴射ノズル6と、第2噴射ノズル40と、排水排出手段5と、差圧検出部8と、を備える。
【0032】
ケーシング51は、上部開口部及び下部開口部を有する円筒状に形成されており、上部開口部が蓋部10で密閉され、下部開口部が底部11で密閉されている。蓋部10には、ラインL31が接続されている。
【0033】
フィルタ52は、上部開口部及び下部開口部を有するケーシング51より小さな円筒状に形成されている。ケーシング51とフィルタ52との間には、処理水流出空間27が形成される。上部開口部は、上閉止部13で密閉されている。下部開口部は、下閉止部14及び後述する下部回転軸部材16により密閉されている。
【0034】
フィルタ回転手段3は、上部回転軸部材15と、下部回転軸部材16と、上部回転軸部材15を回転させるモータ17とで構成されている。上部回転軸部材15は、フィルタ52の上閉止部13におけるフィルタ52の軸心位置に、軸心方向上向きに突出して設けられている。下部回転軸部材16は、フィルタ52の下閉止部14におけるフィルタ52の軸心位置に、軸心方向下向きに突出して設けられている。
【0035】
上部回転軸部材15は、ケーシング51の蓋部10を貫通し且つシーリングされた軸受部材18を介して、蓋部10に回転自在に且つ液密に支持されている。下部回転軸部材16は、ケーシング51の底部11を貫通し且つシーリングされた軸受部材19を介して、底部11に回転自在に且つ液密に支持されている。下部回転軸部材16は、フィルタ52の内部と連通する管状体となっており、ケーシング51の底部11からケーシング51の外部に突出する。下部回転軸部材16には、ケーシング51への導入口20が接続されている。
【0036】
導入口20には、ラインL1が接続されている。ケーシング51の側部には、流出口26が設けられている。流出口26には、ラインL11が接続されている。
ラインL1を流通し且つ導入口20から導入されたバラスト水W1は、下部回転軸部材16を通ってフィルタ52の内部に入る。そのバラスト水W1は、フィルタ52を通過して濾過されて、ケーシング51とフィルタ52との間に形成される処理水流出空間27に入り、流出口26から流出する。
【0037】
排水排出手段5は、集合管28と、排出管29と、バルブV32と、ラインL32と、流量計32と、バルブV34と、バルブV33と、を備える。集合管28は、吸引ノズル4に接続される。集合管28には、吸引ノズル4で吸引された排水W11が集合する。排出管29は、集合管28の下端部に接続され、排水W11を外部へ排出する。バルブV32は、排出管29の下流側の端部に配置される。
【0038】
集合管28は、上端部が閉鎖し、下端部が開口している。集合管28は、フィルタ52の軸心に一致する位置に配置されている。集合管28の上端部は、フィルタ52の上閉止部13の中央に設けられた孔に嵌合して支持されている。集合管28の下端部は、排出管29の上端部(一端部)に接続される。
排出管29は、フィルタ52の下閉止部14の下部回転軸部材16の内部をフィルタ52の回転を妨げないように通り、ケーシング51の導入口20に固定されて支持されている。
【0039】
流量計32は、ラインL32を流通する排水W11の流量を検出する。バルブV34は、例えば、手動の調整弁により構成され、ラインL32を流通する排水W11の最大流量を調整する。バルブV34は、オリフィスにより構成してもよい。
バルブV33は、本実施形態においてはモータバルブから構成され、制御部9の制御によって開度を調整可能になっている。バルブV33は、ラインL32を流通する排水W11の流量(排水流量)を調整する排水流量調整部として機能する。
【0040】
バルブV33の開度は、例えば、差圧検出部8で検出される差圧である検出差圧ΔPに基づいて、フィードバック制御(例えばPID制御)される。このバルブV33の開度により、ブロー率〔排水W11の量/(濾過処理水W2の量+排水W11の量)〕が決定される。
バルブV33は、排水流量調整部として機能することができれば、制限されず、例えば、開状態が2位置の弁(例えば、バラフライ弁)であってもよい。また、2つの弁(弁A、弁B)を並列に配置し、弁Aを開とし、弁Bを閉として、小流量状態を形成し、また、弁A及び弁Bの両方を開として、大流量状態を形成するようにしてもよい。
【0041】
吸引ノズル4は、集合管28に接続され、フィルタ52の内周面に向かって開口する。吸引ノズル4は、フィルタ52の軸方向全域から吸引可能であることが好ましい。尚、吸引ノズル4の構成は特に限定されるものではない。例えば、複数の吸引ノズル4を、フィルタ52の軸方向に直線状に並ぶように配置してもよく、また周方向に角度を変えて配置してもよい。周方向に角度を変えて複数配置される吸引ノズル4は、同じ高さに配置してもよく、或いは高さを変えて配置してもよい。
【0042】
本実施形態においては、複数の吸引ノズル4は、フィルタ52の軸方向(上下方向)に直線状に並ぶように配置され、集合管28と接続している。また、複数の吸引ノズル4は、フィルタ52の軸方向に所定の間隔をあけて配置される。更に、フィルタ52の内周面に対向した位置でフィルタ52に向かって開口している吸引ノズル4の開口部は、フィルタ52の内周面に摺動可能に密着している。
【0043】
上下方向に配置されている複数の吸引ノズル4の間の未吸引部を無くすため、
図1に示すように、複数の吸引ノズル4は、集合管28の左右側に、高さ方向に交互に配置されている。そのため、フィルタ52の1回の回転でフィルタ52の内周面全域からの吸引を行うことができる。尚、複数の吸引ノズル4をフィルタ52の軸方向に高さを変えて配置する他の例として、複数の吸引ノズル4をフィルタ52の軸方向に、吸引ノズル4の間に未吸引部が存在しない間隔で螺旋状に配置してもよい。
【0044】
第1噴射ノズル6は、ケーシング51の側部に設けられており、ケーシング51の内部に向けて開口している。第1噴射ノズル6は、フィルタ52の軸方向全域に第1逆洗水を噴射できることが好ましい。第1噴射ノズル6の構成は特に限定されるものではない。例えば、複数の第1噴射ノズル6を、フィルタ52の軸方向に直線状に並ぶように配置してもよく、また、周方向に角度を変えて配置してもよい。周方向に角度を変えて複数配置される第1噴射ノズル6は、同じ高さに配置してもよく、或いは高さを変えて配置してもよい。
【0045】
逆洗水供給手段7は、バラスト水処理運転中のフィルタ52で濾過処理された濾過処理水W2を加圧して、第1逆洗水W2として第1噴射ノズル6に供給する。また、逆洗水供給手段7は、清浄水タンク65に貯留される清浄水W5を加圧して、第2逆洗水W5として第2噴射ノズル40に供給する。逆洗水供給手段7は、ポンプP21、バルブV21、バルブV22、バルブV23、バルブV24等から構成される。
【0046】
以上の吸引ノズル4、排水排出手段5、第1噴射ノズル6及び逆洗水供給手段7によれば、吸引ノズル4からは、剥離されたフィルタ52の一次側に堆積した異物が吸引され、吸引された異物は集合管28の内部を流通し、排出管29及びラインL32を介して外部へ排出される。また、第1噴射ノズル6は、フィルタ52の外周面(二次側)に逆洗水供給手段7から供給された第1逆洗水W2を噴射して、フィルタ52の一次側に堆積した異物を強力に剥離させる。
吸引ノズル4からの異物の吸引は、吸引ノズル4の内部の圧力が吸引ノズル4の外部(フィルタ52の二次側)の圧力よりも低くなることにより行われる。即ち、排水排出手段5のバルブV32及びバルブV33が開かれるにより、バルブV32の二次側が大気圧に開放され、集合管28の内部の圧力は、フィルタ52の二次側の圧力よりも低くなる。これにより、フィルタ52の二次側にある濾過処理水W2の一部及び第1噴射ノズル6から噴射した第1逆洗水W2は、排水W11となって集合管28の内部を流通し、排出管29及びラインL32を介して外部へ排出される。
【0047】
差圧検出部8は、フィルタ52の一次側と二次側との差圧を検出する。差圧検出部8は、フィルタ52の内部に配置される一次側圧力センサ37と、処理水流出空間27に配置される二次側圧力センサ38と、を備える。差圧検出部8は、一次側圧力センサ37によりフィルタ52の一次側の圧力を検知し、二次側圧力センサ38によりフィルタ52の二次側の圧力を検知して、フィルタ52の一次側と二次側との差圧を検出する。フィルタ52の一次側と二次側との差圧に基づいて、フィルタ52の汚れ具合を判断できる。差圧が大きい場合は、フィルタ52への異物の堆積量が多くなっていることを示し、差圧が小さい場合は、フィルタ52が初期状態に近い状態(異物の堆積量が少ない状態)であることを示している。
【0048】
第2噴射ノズル40は、ケーシング51の側部に設けられており、ケーシング51の内部に向けて開口している。第2噴射ノズル40は、フィルタ52の軸方向全域に第2逆洗水を噴射できることが好ましい。第2噴射ノズル40の構成は特に限定されるものではない。例えば、複数の第2噴射ノズル40を、フィルタ52の軸方向に直線状に並ぶように配置してもよく、また、周方向に角度を変えて配置してもよい。周方向に角度を変えて複数配置される第2噴射ノズル40は、同じ高さに配置してもよく、或いは高さを変えて配置してもよい。
第2噴射ノズル40に供給される第2逆洗水としては、本実施形態においては、清浄水タンク65に貯留される清浄水W5が用いられる。
【0049】
第2噴射ノズル40は、バラスト水処理運転の終了後、ケーシング51の内部の水が排出された状態(フィルタ52の内部に実質的にバラスト水W1が存在しない状態)で、フィルタ52の外周面(二次側)に第2逆洗水W5を噴射して、フィルタ52の内周面(一次側)に堆積した異物を剥離する。即ち、第2噴射ノズル40からは、フィルタ52の内部に実質的にバラスト水W1が存在しない状態で、第2逆洗水W5が、回転しているフィルタ52の外周面に噴射される。
【0050】
制御部9はバラスト水処理装置1の動作を制御する。本実施形態では、バラスト水処理装置1では、(1)被処理水W1の濾過処理、(2)第1噴射ノズル6によるフィルタ52の逆洗処理(水中噴射逆洗)、(3)第2噴射ノズル40によるフィルタ52の逆洗処理(空間洗浄)及び(4)バラストタンク62から外部への貯留処理水W3の排水処理が行われる。
【0051】
ここで、第1実施形態では、制御部9は、「(1)被処理水W1の濾過処理」を行っている状態において、差圧検出部8で検出される差圧に基いて、排水流量調整部(バルブV33)の開度を制御することで、フィルタ52の詰まりを効果的に解消している。以下、(1)〜(4)の各処理につき、具体的に説明する。
【0052】
(1)被処理水W1の濾過処理
被処理水W1濾過処理を行う場合、制御部9は、バルブV1、バルブV11、バルブV12を開き、バルブV2、バルブV13、バルブV21、バルブV31等を閉じる。また、バルブV32を開くと共にバルブV33を所定の開度で開く。この状態で、ポンプP1を駆動させる。これにより、ラインL1の一端部から流入した被処理水W1は、ラインL1を流通する。導入口20から導入された被処理水W1は、フィルタ52で濾過処理され、濾過処理水W2として流出口26から排出される。濾過処理水W2は、ラインL11を流通し、紫外線リアクタ61により紫外線処理され、バラストタンク62に貯留処理水W3として貯留される。また、バルブV33が所定の開度で開かれることにより、吸引ノズル4により吸引が行われる。即ち、フィルタ52の一次側から二次側(処理水流出空間27側)に濾過されたバラスト水W1(濾過処理水W2)の一部は、吸引ノズル4により吸引され、再度、フィルタ52の二次側から一次側に通過する。そして、吸引されたバラスト水W1は、排水W11となって吸引ノズル4及び集合管28の内部を流通し、排出管29及びラインL32を介して外部へ排出される。これにより、フィルタ52が逆洗浄され、フィルタ52の一次側に付着した異物が除去される。
【0053】
第1実施形態では、制御部9は、差圧検出部8で検出される差圧である検出差圧ΔPが第1基準差圧Pt1以下の場合には、バルブV33を、排水W11の流量が通常流量となる開度で開くよう制御する。この場合、例えば、制御部9は、流量計32により検出される排水W11の流量が予め設定された通常流量となるように、バルブV33の開度を制御してもよい。また、制御部9は、フィルタ52の一次側と二次側との差圧と、当該差圧においてバルブV33の開度を変化させた場合に流通する排水W11の流量の変化と、の関係を記憶し、制御部9は、検出差圧ΔPと当該関係とに基いてバルブV32の開度を決定してもよい。
尚、通常流量の値は、目的とするブロー率〔排水W11の量/(濾過処理水W2の量+排水W11の量)〕に応じて適宜設定できる。
【0054】
被処理水W11の濾過を続けていくと、通常流量の排水W11により逆洗浄を行っていても徐々にフィルタ52に詰まりが生じていく。そして、フィルタ52の一次側と二次側との差圧(検出差圧ΔP)が徐々に大きくなっていく。そこで、制御部9は、差圧検出部8で検出される検出差圧ΔPが第1基準差圧Pt1を上回る場合に、排水W11の流量を通常流量から第1流量に増加させるようにバルブV33を制御する。これにより、吸引ノズル4により吸引されるバラスト水W1の量が急激に増加することで、フィルタ52の詰まりが効果的に解消される。ここで、逆洗浄の効果を高める観点から、第1流量は、通常流量に比して十分大きな流量(例えば、通常流量の170%以上)に設定することが好ましい。
【0055】
また、制御部9は、排水W11の流量を第1流量に増加させた後、検出差圧ΔPが第1基準差圧Pt1よりも小さい第2基準差圧Pt2(例えば、第1基準差圧Pt1の5%)を下回った場合、排水W11の流量を通常流量に減少させるようにバルブV33を制御する。これにより、排水W11の流量を増加させた後にフィルタ52の詰まりが解消された場合には、速やかに排水W11の流量を通常流量に戻せるので、逆洗浄に用いる水量の増加を抑制できる。
【0056】
また、制御部9は、予め設定された第1時間間隔(例えば、1時間〜3時間間隔)で予め設定された第2時間(30秒〜60秒)、排水W11の流量を第1流量に増加させるようにバルブV33を制御してもよい。これにより、上述の流量制御とは独立して、定期的に逆洗浄を行うことで、フィルタ52のつまりをより効果的に解消できる。
【0057】
(2)第1噴射ノズル6によるフィルタ52の逆洗処理(水中噴射逆洗)
以上の制御部9の制御により、フィルタ52の詰まりは効果的に解消されるが、被処理水W1の水質等によっては、バルブV33の開度制御のみによっては、フィルタの詰まりを解消できない(検出差圧ΔPの上昇を抑制できない)場合が生じうる。
そこで、制御部9は、検出差圧ΔPが第1基準差圧Pt1よりも大きい第3基準差圧Pt3を上回る場合、第1逆洗水W2を噴射するように第1噴射ノズル6を制御する。この場合、制御部9は、バルブV1、バルブV11、バルブV12、バルブV21、バルブV22、バルブV32及びバルブV33を開き、他のバルブを閉じて、濾過処理水W2の一部が、ラインL21を介して、第1噴射ノズル6に向けて流通する状態とする。そして、ケーシング51及びフィルタ52の内部にバラスト水(W2,W1)が存在した状態で、ポンプP21を稼動させると共に、吸引ノズル4により吸引が行われる。これにより、第1噴射ノズル6からの第1逆洗水W2は、フィルタ52に向けて噴射され、強力な逆洗が行われる。その後、第1逆洗水W2は、排水W11となって、吸引ノズル4及び集合管28の内部を流通し、排出管29及びラインL32を介して外部へ排出される。
【0058】
(3)第2噴射ノズル40によるフィルタ52の逆洗処理(空間洗浄)
被処理水W1の濾過処理終了後、ラインL2のバルブV2及びラインL31のバルブV31を開き、他のバルブを閉じて、フィルタ52内の水を排出する。そして、ケーシング51及びフィルタ52の内部に実質的にバラスト水(W2,W1)が存在しない状態で、バルブV32及びバルブV33を開き、更にバルブV24及びバルブV23を開き、他のバルブを閉じ、ポンプP21を稼動させる。これにより、清浄水タンク65に貯留される清浄水W5は、ラインL24、ラインL21の一部、及びラインL23を流通し、第2逆洗水W5として、第2噴射ノズル40からフィルタ52に向けて噴射され、更に強力な逆洗が行われる。その後、第2逆洗水W5は、ラインL2を介して外部へ排出される。
【0059】
(4)バラストタンク62から外部への貯留処理水W3の排水処理
バルブV12及びバルブV13を開き、他のバルブを閉じる。この状態でラインL12に設けられたポンプP11を稼動させる。これにより、バラストタンク62に貯留される貯留処理水W3は、紫外線リアクタ61により紫外線処理され、ラインL11の一部及びラインL12を介して外部に排出される。
【0060】
次に、本実施形態のバラスト水処理装置1の制御部9による制御の一例につき、
図2を参照しながら説明する。
図2は、第1実施形態のバラスト水処理装置の逆洗浄に係る制御の一例を示すフローチャートである。
【0061】
被処理水W1の濾過処理の開始当初においては、バルブV33の開度は、通常流量の排水W11が流通する通常開度(例えば、開度=50%)に設定されている。この場合、ステップS101において、制御部9は、差圧検出部8により検出されるフィルタ52の一次側と二次側との検出差圧ΔPを取得する。
【0062】
次いで、ステップS102において、制御部9は、ステップS101で取得した検出差圧ΔPが第1基準差圧Pt1を上回るか否かを判定する。制御部9は、検出差圧ΔPが第1基準差圧Pt1を上回らない(以下)(ΔP≦Pt1)と判定した場合には(ステップS102:NO)、ステップS102を繰り返す。これにより、バルブV33の開度は、通常開度(例えば、開度=50%)に維持される。一方、制御部9は、検出差圧ΔPが第1基準差圧Pt1を上回る(ΔP>Pt1)と判定した場合には(ステップS102:YES)、処理をステップS103へ移行させる。
【0063】
ステップS103において、制御部9は、開度を大きくするようにバルブV33を制御する。例えば、バルブV33の開度は、通常開度から第1開度(例えば、開度=100%)へ大きくなる。これにより、バルブV33の下流側の排水W11の流量は、通常流量から第1流量へ大きくなる。
【0064】
バルブV33の開度が大きくされた後、ステップS104において、制御部9は、差圧検出部8により検出されるフィルタ52の一次側と二次側との検出差圧ΔPを取得する。
【0065】
次いで、ステップS105において、制御部9は、ステップS104で取得した検出差圧ΔPが第3基準差圧Pt3を上回るか否かを判定する。制御部9は、検出差圧ΔPが第3基準差圧Pt3を上回る(ΔP>Pt3)と判定した場合には(ステップS105:YES)、処理をステップS106へ移行させる。一方、検出差圧ΔPが第3基準差圧Pt3を上回らない(以下)(ΔP≦Pt3)と判定した場合には(ステップS105:NO)、処理をステップS107へ移行させる。
【0066】
ステップS106において、制御部9は、水中噴射逆洗を実行するように各部を制御する。また、ステップS106の後、制御部9は、処理をステップS108に移行させる。
【0067】
ステップS107(ステップS105:NO)において、制御部9は、ステップS104で取得した検出差圧ΔPが第2基準差圧Pt2を下回るか否かを判定する。制御部9は、検出差圧ΔPが第2基準差圧Pt2を下回らない(ΔP≧Pt2)と判定した場合には(ステップS107:NO)、ステップS107を繰り返す。これにより、バルブV33の開度は、第1開度(例えば、開度=100%)に維持される。一方、検出差圧ΔPが第2基準差圧Pt2を下回る(ΔP<Pt2)と判定した場合には(ステップS107:YES)、処理をステップS108へ移行させる。
【0068】
ステップS108において、制御部9は、開度を戻すようにバルブV33を制御する。例えば、バルブV33の開度は、第1開度から通常開度へ小さくなる。これにより、バルブV33の下流側の排水W11の流量は、第1流量から通常流量へ小さくなる。これにより、バルブV33の開度及び排水W11の流量は、元に戻る。そして、制御部9は、処理を終了させる。
【0069】
第1実施形態のバラスト水処理装置1によれば、例えば、次のような効果を奏する。
第1実施形態のバラスト水処理装置1は、フィルタ52の一次側に設けられ、フィルタ52の逆洗浄を行うためにフィルタ52の二次側から一次側に向けてバラスト水W1を吸引する吸引ノズル4(吸引部)と、吸引ノズル4により吸引されたバラスト水W11が流通する(排水)ラインL32と、(排水)ラインL32を流通するバラスト水W11の流量である排水流量を調整するバルブV33(排水流量調整部)と、フィルタ52の一次側と二次側との差圧を検出する差圧検出部8と、検出差圧ΔPが第1基準差圧Pt1を上回る場合に、排水流量を通常流量から第1流量に増加させるようにバルブV33(排水流量調整部)を制御する制御部9と、を備える。
【0070】
第1実施形態のバラスト水処理装置1によれば、第1流量として通常流量よりも十分大きな流量を設定することで、バラスト水の濾過によりフィルタ52の目詰まりが大きくなった場合に、吸引ノズル4(吸引部)により吸引されるバラスト水の量を急激に増加させられる。よって、排水流量を急激に変化させることでフィルタ52の目詰まりを効果的に解消させられる。
【0071】
また、第1実施形態のバラスト水処理装置1においては、制御部9は、排水流量を第1流量に増加させた後、検出差圧ΔPが第2基準差圧Pt2(<第1基準差圧Pt1)を下回った場合、排水流量を通常流量に減少させるようにバルブV33(排水流量調整部)を制御する。これにより、排水流量を増加させた後にフィルタ52の目詰まりが解消された場合には、速やかに排水流量を通常流量に戻せる。よって、逆洗浄に用いる水量の増加を抑制しつつ、フィルタ52の目詰まりを好適に解消させられる。
【0072】
また、第1実施形態のバラスト水処理装置1は、フィルタ52の一次側にバラスト水W1が存在する状態でフィルタ52の二次側に向かって(第1)逆洗水W2を噴射する(第1)噴射ノズル6を更に備え、制御部9は、検出差圧ΔPが第3基準差圧Pt3(>第1基準差圧Pt1)を上回る場合に、(第1)逆洗水W2を噴射するように(第1)噴射ノズル6を制御する。これにより、排水流量を急激に変化させてもフィルタ52の目詰まりが解消されない場合に、(第1)噴射ノズル6によりフィルタ52の目詰まりを解消させられる。
【0073】
<第2実施形態>
本発明のバラスト水処理装置の第2実施形態について、図面を参照しながら説明する。
図3は、本発明の第2実施形態のバラスト水処理装置を示すフロー図である。第2実施形態では、主に第1実施形態との相違点について説明する。そのため、第1実施形態と同一(又は同等)の構成については、詳細な説明を省略する。また、第2実施形態において特に説明しない点については、第1実施形態の説明が適宜に適用される。
【0074】
第1実施形態のバラスト水処理装置1は、水中噴射逆洗に関する構成(第1噴射ノズル6等)を備えている。一方、第2実施形態のバラスト水処理装置1Aは、第1実施形態のバラスト水処理装置1と比べて、水中噴射逆洗に関する構成(第1噴射ノズル6等)を備えていない。具体的には、第2実施形態のバラスト水処理装置1Aは、第1実施形態のバラスト水処理装置1におけるラインL21、ラインL22及びラインL23、並びにこれらのラインに設けられている機器を備えていない。そして、清浄水タンク65からの清浄水W5が流通するライン24は、直接、第2噴射ノズル40に接続されている。ライン24におけるバルブV24と第2噴射ノズル40との間には、ポンプP21が設けられている。
【0075】
第2実施形態のバラスト水処理装置1Aは、水中噴射逆洗に関する構成を備えていないため、水中噴射逆洗を実行できない。一方、第2実施形態のバラスト水処理装置1Aは、第1実施形態のバラスト水処理装置1と同様に、被処理水W1の濾過処理時における逆洗浄制御に関する構成を備えており、そのため、被処理水W1の濾過処理と共に行う逆洗浄の実行が可能である。また、第2実施形態のバラスト水処理装置1Aは、第1実施形態のバラスト水処理装置1と同様に、空間洗浄に関する構成を備えており、そのため、空間洗浄の実行が可能である。
【0076】
尚、被処理水W1の濾過処理と共に行う逆洗浄には、水中噴射逆洗に比して以下の利点がある。水中噴射逆洗の場合、ラインL21及びラインL22の内部を第1逆洗水W2が流通する間に、フィルタ52を通過した微細な異物が凝集してスラッジ(汚泥等)となり、このスラッジを含む第1逆洗水W2がフィルタ52の外面に噴射される場合がある。このような場合、スラッジがフィルタ52の外面に付着して逆洗性能を低下させるおそれがある。一方、被処理水W1の濾過処理と共に行う逆洗浄では、フィルタ52を通過した第1逆洗水W1は、滞留することなく速やかに再度フィルタ52を二次側から一次側に通過して逆洗を行うため、スラッジの生成による悪影響が生じにくい。
【0077】
第2実施形態のバラスト水処理装置1Aによれば、第1実施形態のバラスト水処理装置1と同様の効果が奏される。第2実施形態のバラスト水処理装置1Aは、第1実施形態のバラスト水処理装置1におけるプレフィルタ31を備えていないため、プレフィルタ31のメンテナンスを行う必要がない。
【0078】
以上、本発明の好ましい実施形態について説明した。しかし、本発明は、上述した実施形態に限定されることなく、種々の形態で実施することができる。
【0079】
前記実施形態においては、被処理水W1の濾過処理における逆洗浄制御において、制御部9は、検出差圧ΔPが第1基準差圧Pt1を上回る場合に、排水W11の流量を通常流量から第1流量に増加させたが、これに限らない。即ち、制御部9は、検出差圧ΔPが第1基準差圧Pt1よりも高く第3基準差圧よりも低い第4基準差圧を上回った場合に、排水W11の流量を第1流量から第2流量に更に増加させてもよい。即ち、排水W11の流量を3段階以上で増加させてもよい。
【0080】
前記実施形態においては、バラストタンク62に貯留されるバラスト水は、フィルタ52による濾過処理及び紫外線リアクタ61による紫外線処理が行われたバラスト水であるが、これに制限されない。バラストタンク62に貯留されるバラスト水は、濾過処理及び/又は紫外線処理が行われていないバラスト水であってもよい。
【0081】
前記実施形態においては、フィルタ52は、内部に流入したバラスト水W1を濾過して外部へ流出させる筒状のフィルタであるが、これに制限されない。フィルタは、外部から流入するバラスト水を濾過して内部から流出させる筒状のフィルタであってもよく、また、筒状ではないフィルタであってもよい。
【0082】
前記実施形態では、吸引ノズル4の内部の圧力を吸引ノズル4の外部(フィルタ52の二次側)の圧力よりも低くすることで、吸引ノズル4からの異物の吸引を行ったが、これに限らない。即ち、排水ラインに吸引ポンプを配置して吸引ノズルからの異物の吸引を行ってもよい。
前記制御部は、排水流量を第1流量に増加させた後、検出差圧が第1基準差圧よりも小さい第2基準差圧を下回った場合、排水流量を通常流量に減少させるように前記排水流量調整部を制御する、請求項1に記載のバラスト水処理装置。
前記制御部は、第1時間間隔(1時間〜3時間間隔)で第2時間(30秒〜60秒)、排水流量を第1流量に増加させるように前記排水流量調整部を制御する、請求項1〜3のいずれかに記載のバラスト水処理装置。
記フィルタの一次側に設けられ、一端が前記フィルタの一次側に通じ、他端が船外に通じるように設けられ、前記フィルタの逆洗浄として、前記フィルタの二次側から一次側に向けてバラスト水を流通させる排水ラインと、前記排水ラインを流通するバラスト水の流量である排水流量を調整する排水流量調整部と、前記フィルタの一次側と二次側との差圧を検出する差圧検出部と、前記差圧検出部で検出される差圧である検出差圧が第1基準差圧を上回る場合に、排水流量を通常流量から第1流量に増加させるように前記排水流量調整部を制御する制御部と、を備える、バラスト水処理装置に関する。