【解決手段】保持テーブル3と加工テーブルとが、テーブル軸方向に接近移動と離間移動とを繰り返し、かつ、テーブル周方向に間欠的に回転させられることで、保持テーブル3が保持する缶Wに対して、加工テーブルに設けられた複数の加工ツールが順次加工を施す缶製造装置1の、缶供給ホイール構造10であって、保持テーブル3の間欠回転に同期して、ホイール軸SA回りに間欠回転するホイール11と、ホイール11の外周面に、缶Wの周壁を保持可能に形成された凹部12と、凹部12に対して、缶Wを缶軸PA回りに回転させる回転手段13と、缶Wの周壁のマークを検出するセンサー14と、センサー14からの検出信号に応じて、回転手段13による缶Wの回転動作を停止させる制御部と、を備える。
互いに対向配置される保持テーブルと加工テーブルとが、テーブル軸方向に接近移動と離間移動とを繰り返し、かつ、前記加工テーブルに対して前記保持テーブルが、テーブル軸回りのテーブル周方向に間欠的に回転させられることで、前記保持テーブルが保持する有底筒状の缶に対して、前記加工テーブルに前記テーブル周方向に沿って設けられた複数の加工ツールにより順次加工を施していく缶製造装置の、前記保持テーブルに缶を供給する缶供給ホイール構造であって、
前記保持テーブルの間欠回転に同期して、前記テーブル軸に平行なホイール軸回りに間欠回転するホイールと、
前記ホイールの外周面に、缶の周壁を保持可能に形成された凹部と、
前記凹部に対して、缶を缶軸回りに回転させる回転手段と、
缶の周壁のマークを検出するセンサーと、
前記センサーからの検出信号に応じて、前記回転手段による缶の回転動作を停止させる制御部と、を備えることを特徴とする缶製造装置の缶供給ホイール構造。
【背景技術】
【0002】
従来、アルミニウム合金材料等からなるボトル缶やエアゾール缶などを製造する缶製造装置として、例えば下記特許文献1に記載されたものが知られている。
缶製造装置は、互いに対向配置される保持テーブルと加工テーブルとを有する。保持テーブルは、一般にターンテーブルやインデックステーブルと呼ばれており、加工テーブルは、一般にダイテーブルと呼ばれる。これらのテーブルは、円板状や円形リング状をなしており、その中心軸(テーブル軸)は水平方向に延び、各テーブルの中心軸同士は互いに同軸に配置されている。
【0003】
保持テーブルには、ワークである有底筒状の缶が、テーブル軸回りのテーブル周方向に沿って複数保持される。具体的に、保持テーブルには、缶を保持可能なチャック(缶保持具)がテーブル周方向に配列して複数設けられており、缶は、その開口端部を加工テーブルへ向けた姿勢でチャックに保持される。
加工テーブルには、缶に対して加工を施す加工ツールが、テーブル周方向に沿って複数配設される。具体的に、加工テーブルには、テーブル軸方向に貫通する取付孔がテーブル周方向に配列して複数形成されており、複数の加工ツールは、缶への加工順にこれらの取付孔に取り付けられて、保持テーブルの缶及びチャックにそれぞれ対向配置される。
【0004】
保持テーブルと加工テーブルとは、缶製造装置の本体フレームに設けられたテーブル駆動部により、テーブル軸方向に互いに接近移動と離間移動とを繰り返し、かつ、テーブル周方向に間欠的に相対回転させられる。具体的には、保持テーブルに対して加工テーブルが、テーブル軸方向に接近移動及び離間移動し、この接近離間の1ストローク(往復動)の間に、加工テーブルに対して保持テーブルが、テーブル周方向に所定量だけ回転移動する。
【0005】
そして、テーブル同士が接近離間する1ストローク毎に、缶に対して加工が施され、次の加工ツールによる加工位置まで缶が移動させられる。
この動作が繰り返されることにより、保持テーブルが保持する缶に対して、加工テーブルに設けられた複数の加工ツールによって順次加工が施されていき、一連の加工が終了した時点で、所期する形状を有する缶(ボトル缶やエアゾール缶等)が製造されるようになっている。
【0006】
また、缶製造装置は、保持テーブルに缶を供給する缶供給ホイール(インフィードホイール)と、保持テーブルから加工後の缶を排出する缶排出ホイール(ディスチャージホイール)と、を備えている。
缶供給ホイール及び缶排出ホイールは、各中心軸(ホイール軸)をテーブル軸と平行に配置して本体フレームに支持されている。缶供給ホイール及び缶排出ホイールの各外周面には、缶の周壁を保持可能な凹部が周方向に互いに間隔をあけて複数形成されている。缶供給ホイール及び缶排出ホイールは、保持テーブルのテーブル軸回りの間欠回転に同期して、かつ、保持テーブルの回転方向とは逆回転となる方向に、各ホイール軸回りに間欠的に回転する。
【0007】
そして、缶供給ホイールが間欠回転し、該缶供給ホイールの凹部に保持された缶が、保持テーブルのチャックに対応する位置(チャックの直上)に配置されたときに、加工テーブルに設けられた押し込み部が、この缶を保持テーブル側へ向けて押し込むとともに、該缶が凹部からチャックへと受け渡され、チャックに保持される。
また、保持テーブルのチャックに保持された缶が、すべての加工を終えて缶排出ホイールの凹部に対応する位置(凹部の直下)に配置されたときに、保持テーブルに設けられたピストン部が、この缶を缶排出ホイール側へ向けて押し出すとともに、該缶がチャックから凹部へと受け渡され、凹部に保持される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、従来の缶製造装置においては、下記の課題を有していた。
缶製造装置により、缶の周壁に例えばエンボス加工、レーザー印刷加工、刻印加工等の加工を施す場合に、缶にあらかじめ印刷された印刷パターンに対して、前記加工を施す部分を位置合わせすることができなかった。つまり、上述のようなエンボス加工、レーザー印刷加工、刻印加工等の加工は、缶の周壁に対して、缶軸回りに部分的に施されるものである(全周に施されるものではない)ため、前記加工を施す部分を、缶の印刷パターン(図柄や文字等)に一致させることができなかった。
【0010】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであって、缶製造装置により、缶の周壁に缶軸回りに部分的に加工を施す場合であっても、缶の印刷パターンに対して、加工を施す部分を位置合わせすることが可能な缶製造装置の缶供給ホイール構造を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の一態様は、互いに対向配置される保持テーブルと加工テーブルとが、テーブル軸方向に接近移動と離間移動とを繰り返し、かつ、前記加工テーブルに対して前記保持テーブルが、テーブル軸回りのテーブル周方向に間欠的に回転させられることで、前記保持テーブルが保持する有底筒状の缶に対して、前記加工テーブルに前記テーブル周方向に沿って設けられた複数の加工ツールにより順次加工を施していく缶製造装置の、前記保持テーブルに缶を供給する缶供給ホイール構造であって、前記保持テーブルの間欠回転に同期して、前記テーブル軸に平行なホイール軸回りに間欠回転するホイールと、前記ホイールの外周面に、缶の周壁を保持可能に形成された凹部と、前記凹部に対して、缶を缶軸回りに回転させる回転手段と、缶の周壁のマークを検出するセンサーと、前記センサーからの検出信号に応じて、前記回転手段による缶の回転動作を停止させる制御部と、を備えることを特徴とする。
【0012】
この缶製造装置では、加工テーブルに対して保持テーブルがテーブル軸回りに間欠回転し、該保持テーブルに同期して、缶供給ホイール構造のホイールがホイール軸回りに間欠的に回転する。そして、例えば、ホイールの凹部に保持された缶が、保持テーブルのチャック(缶保持具)に対応する位置(チャックの直上)に配置されたときに、加工テーブルに設けられた押し込み部が、この缶を保持テーブル側へ向けて押し込むとともに、該缶が凹部からチャックへと受け渡され、チャックに保持される。
【0013】
本発明の缶製造装置の缶供給ホイール構造によれば、ホイールの外周面に形成された凹部に対して、該凹部の缶を缶軸回りに回転させる回転手段が備えられている。また、回転手段により回転させられる缶の周壁のマークを検出するセンサーが設けられており、このセンサーからの検出信号に応じて、回転手段による缶の回転動作を停止させる制御部が備えられている。このような特別な構成を備えたことにより、ホイールの凹部に対して、該凹部が保持する缶の缶軸回りの位置合わせを行うことが可能になる。
【0014】
すなわち、缶の周壁に印刷等により表示されたマークをセンサーが読み取ったときに、凹部に対する缶の回転動作を停止させることで、該凹部に対する缶の印刷パターンの缶軸回りの配置を一定に揃えることができる。
具体的には、例えば、センサーがマークを検出したときに、この検出信号を受けて制御部が、回転手段により引き続き缶を所定角度だけ回転させてから回転動作を停止したり、或いは、検出直後に回転動作を停止したりすることで、凹部に対する缶の缶軸回りの配置を繰り返し同一位置に設定することができる。
そして、このように凹部に対して缶軸回りの位置合わせがなされた缶を、保持テーブルのチャックにそのまま受け渡すことにより、該チャックに対しても缶の缶軸回りの位置合わせ(印刷パターンの位置合わせ)が行われることになる。
【0015】
従って、缶製造装置により、保持テーブルが保持する缶の周壁に対して、加工テーブルの加工ツールによって例えばエンボス加工、レーザー印刷加工、刻印加工等の加工を施す場合に、缶にあらかじめ印刷された印刷パターンに対して、前記加工を施す部分を位置合わせすることができる。つまり、上述のようなエンボス加工、レーザー印刷加工、刻印加工等の加工は、缶の周壁に対して、缶軸回りに部分的に施されるものである(全周に施されるものではない)が、このような部分的な加工であっても、缶に加工を施す部分を、缶の印刷パターン(図柄や文字等)に精度よく一致させることができる。
【0016】
以上より本発明によれば、缶製造装置により、缶の周壁に缶軸回りに部分的に加工を施す場合であっても、缶の印刷パターンに対して、加工を施す部分を位置合わせすることが可能である。
【0017】
また、上記缶製造装置の缶供給ホイール構造において、前記凹部に缶の周壁を吸着させる第1エア吸引手段を備え、前記第1エア吸引手段は、前記凹部に開口する吸引孔と、前記吸引孔に連通するエア吸引源と、を備え、前記凹部が、前記回転手段に対応する位置に配置されたときに、前記吸引孔と前記エア吸引源との連通が遮断されることとしてもよい。
【0018】
また、上記缶製造装置の缶供給ホイール構造において、前記凹部に缶の周壁を吸着させる第1エア吸引手段を備え、前記第1エア吸引手段は、前記凹部に開口する吸引孔と、前記吸引孔に連通するエア吸引源と、を備え、前記凹部が、前記回転手段に対応する位置に配置されたときに、前記吸引孔を通して缶の周壁に作用する前記エア吸引源のエア吸引力が小さくなることとしてもよい。
【0019】
この場合、第1エア吸引手段のエア吸引力により、ホイールの凹部に缶の周壁が吸着され、この缶が回転手段に対応する位置に配置されたときに、吸着が解除され又はエア吸引力が小さくされる。
具体的に、ホイールの凹部において缶は、回転手段に対応する位置以外の部位に配置されたときには、この凹部に確実に吸着されて該凹部に対する回転や脱落が防止されつつ安定的に移送される。また、凹部の缶は、回転手段に対応する位置に配置されたときには、この凹部への吸着が解除されるか、又は吸着状態(吸着力)が弱められて、該凹部に対する摩擦抵抗が小さくなり、回転手段によって安定して回転させられる。
【0020】
このため、回転手段により凹部に対する缶の缶軸回りの位置合わせが精度よく行われる。そして、缶の位置合わせがなされた後には、ホイールの間欠回転にともなって、回転手段に対応する位置以外の部位へ向けて移動しようとする凹部に対して、再び缶が確実に吸着されるとともに、凹部と缶との相対回転が抑制されて、缶を位置合わせした状態(缶の位置決め姿勢)が良好に維持される。
従って、加工ツールにより缶に加工を施す部分と、缶の印刷パターンとを位置合わせできるという上述した作用効果が、より安定的に奏功される。
【0021】
また、上記缶製造装置の缶供給ホイール構造において、前記ホイールの、前記ホイール軸に直交するホイール径方向の外側には、前記凹部との間で缶の周壁を保持するガイド部が設けられることが好ましい。
【0022】
この場合、凹部とガイド部との間で缶の周壁を保持することができるので、上述のように、回転手段に対応する位置に配置された凹部において、缶への吸着が解除されたりエア吸引力が小さくされても、この凹部から缶が大きく離間したり脱落するようなことが防止される。
従って、ホイールの凹部に対して缶を缶軸回りに精度よく位置合わせすることができ、また位置合わせ後の缶を確実に吸着することができて、ホイールによる缶の移送及び保持テーブルへの供給を安定して行うことができる。
【0023】
また、上記缶製造装置の缶供給ホイール構造において、前記回転手段は、前記凹部に保持された缶の底壁に当接する台座と、前記台座に缶の底壁を吸着させる第2エア吸引手段と、前記凹部に対して、前記台座を缶の缶軸回りに回転させるモータと、を備えることが好ましい。
【0024】
この場合、第2エア吸引手段のエア吸引力により、缶の底壁が台座に吸着されるため、モータが、ホイールの凹部に対して台座とともに缶を缶軸回りに安定して回転させることができる。つまり、台座に対して缶の底壁が滑りにくくされているので、モータが台座を回転させる回転量と、該台座に支持される缶の回転量とが精度よく一致させられて、ホイールの凹部に対して、缶を缶軸回りに確実にかつ安定的に位置合わせすることができる。
【0025】
また、上記缶製造装置の缶供給ホイール構造において、前記第2エア吸引手段は、前記台座に開口する吸引孔と、前記吸引孔に連通するエア吸引源と、前記吸引孔と前記エア吸引源との連通を遮断可能な弁と、を備えることが好ましい。
【0026】
この場合、第2エア吸引手段が、台座に開口する吸引孔とエア吸引源との連通を遮断可能な弁(例えば電磁弁など)を備えているので、台座に缶の底壁を吸着させることと、吸着を解除することとの切り替えを迅速に行うことができる。
従って、ホイールの凹部が回転手段に対応する位置に配置されている間(ホイールが間欠回転する回転時間及び停止時間のうち、停止時間内)に、缶を台座に吸着して回転させ、位置合わせ後に缶を台座から解放するまでの動作を、短時間で確実に行うことができる。
【0027】
また、上記缶製造装置の缶供給ホイール構造において、前記制御部は、前記センサーが前記マークを検出したときに、前記回転手段により前記凹部に対して缶を缶軸回りに所定角度だけ回転させた後、回転動作を停止させることが好ましい。
【0028】
この場合、回転手段が凹部に対して缶を缶軸回りに回転させ、センサーが缶の周壁のマークを検出してから、制御部は、回転手段によりこの缶を引き続き缶軸回りに所定角度だけ回転させて、回転動作を停止する。これにより、缶を正確に位置合わせできるとともに、位置合わせ完了までの所要時間を短縮することができる。
【0029】
具体的に、上記構成とは異なり、例えばセンサーがマークを検出した直後に、制御部が回転手段による缶の回転動作を停止させることとした場合、缶の位置合わせの精度を安定して確保するのが難しくなるおそれがある。一方、缶の位置合わせの精度を安定させるため、センサーが缶の周壁のマークを検出した後、制御部が、回転手段によりこの缶を引き続き缶軸回りに1回転させて、該センサーが再びマークを検出したときに(つまりマークを2回検出してから)回転動作を停止するように制御した場合、缶を1回転〜2回転近く回さなければならず、所要時間が嵩んでしまう。
【0030】
そこで、上記缶製造装置の缶供給ホイール構造のように、センサーが缶の周壁のマークを検出した後、制御部が、回転手段によりこの缶を引き続き缶軸回りに所定角度だけ回転させて回転動作を停止することとすれば、缶の位置合わせの精度を安定して確保しつつ、例えば、前記所定角度を5〜10°程度に小さく設定することが可能であることから、概ね缶を1回転させずに位置合わせを完了することができる。
【0031】
従って、ホイールの凹部に対して、缶を缶軸回りに位置合わせするために要する時間を短縮することができ、ホイールが間欠回転する回転時間及び停止時間のうち、停止時間を削減できる。このため、ホイールから保持テーブルに缶を供給するスピードを高めることが可能になり、缶の製造効率の向上に寄与することができる。
【発明の効果】
【0032】
本発明の缶製造装置の缶供給ホイール構造によれば、缶製造装置により、缶の周壁に缶軸回りに部分的に加工を施す場合であっても、缶の印刷パターンに対して、加工を施す部分を位置合わせすることが可能である。
【発明を実施するための形態】
【0034】
以下、本発明の一実施形態に係る缶製造装置1及びその缶供給ホイール構造10について、図面を参照して説明する。
図1及び
図2において、本実施形態の缶製造装置1は、有底筒状の缶Wに対して、ダイ加工及び回転加工を含む種々のボトルネッキング加工を施すことにより所期する形状のボトル缶Bを製造する、いわゆるボトルネッカーである。
【0035】
この缶製造装置1にワークとして供給される缶Wは、前工程においてDI(Drawing&Ironing)加工、印刷及び塗装が施されたDI缶である。DI缶は、アルミニウム合金材料の板材から打ち抜いた円板状のブランクに、カッピング工程(絞り工程)、DI工程(絞りしごき工程)、トリミング工程、印刷工程、塗装工程等を施すことにより、有底筒状に形成されている。
【0036】
図4に示されるように、缶Wは、円筒状をなす缶胴(ウォール)100と、概ね円板状をなす缶底(ボトム)101と、を備えている。
缶胴100の中心軸及び缶底101の中心軸は、互いに同軸に配置されており、本実施形態では、これらの共通軸を缶軸という。缶底101には、缶軸上に位置するとともに、缶軸方向に沿う缶Wの底部から開口端部側へ向けて凹むドーム部102と、該ドーム部102の外周縁部に連なり、缶軸方向に沿う缶Wの開口端部から底部側へ向けて突出するとともに周方向(缶周方向)に沿って延びる環状凸部(リム)103と、が形成されている。
【0037】
特に図示していないが、缶Wの周壁(缶胴100)の外周面には、印刷工程により、印刷パターン(図柄や文字等)及び後述するセンサー14によって検出可能なマークが印刷されている。なお、マークは、印刷によって形成されていることが好ましいが、センサー14により検出可能に缶Wの周壁に表示されていればよく、印刷以外の方法で缶Wの周壁に形成されていてもよい。
図2において、缶製造装置1によって缶Wに加工を施して製造されたボトル缶Bには、後工程において飲料等の内容物が充填され、キャップが螺着される。
【0038】
図1及び
図2に示されるように、缶製造装置1は、互いに対向配置される加工テーブル2と保持テーブル3とを有している。加工テーブル2及び保持テーブル3は、それぞれの中心軸(テーブル軸TA)が水平方向に延びており、これらの中心軸同士は、互いに同軸に配置されている。
【0039】
本実施形態では、テーブル軸TAに沿う方向(テーブル軸TAが延在する方向)をテーブル軸TA方向という。
また、テーブル軸TAに直交する方向をテーブル径方向という。テーブル径方向のうち、テーブル軸TAから離間する方向をテーブル径方向の外側といい、テーブル軸TAに接近する方向をテーブル径方向の内側という。
また、テーブル軸TA回りに周回する方向をテーブル周方向という。テーブル周方向のうち、加工テーブル2に対して保持テーブル3が間欠回転させられる向きを、保持テーブル回転方向R1といい、これとは反対の回転方向を、保持テーブル回転方向R1とは反対側という。
【0040】
なお、保持テーブル回転方向R1は、加工テーブル2において後述する複数の加工ツール6が、缶Wへの加工の順番にテーブル周方向に配列する向きと同一の方向である。このため、保持テーブル回転方向R1は、缶Wへの加工順の下流側(加工順方向)ということができ、保持テーブル回転方向R1とは反対側は、缶Wへの加工順の上流側ということができる。
【0041】
図1及び
図2において、缶製造装置1は、加工テーブル2及び保持テーブル3を支持する本体フレーム4を有している。また、本体フレーム4は、後述する缶供給ホイール構造10及び缶排出ホイール構造40を支持している。本体フレーム4には、テーブル駆動部が設けられており、該テーブル駆動部には、テーブル駆動モータ、連結軸5及びクランク機構等が含まれる。
【0042】
加工テーブル2と保持テーブル3とは、本体フレーム4のテーブル駆動部により、テーブル軸TA方向に互いに接近移動と離間移動とを繰り返し、かつ、テーブル周方向に間欠的に相対回転させられる。具体的には、保持テーブル3に対して加工テーブル2が、テーブル軸TA方向に接近移動及び離間移動し、この接近離間の1ストローク(往復動)の間に、加工テーブル2に対して保持テーブル3が、テーブル周方向のうち保持テーブル回転方向R1に所定量だけ回転移動(間欠回転)する。
【0043】
そして、加工テーブル2と保持テーブル3とが接近離間する1ストローク毎に、保持テーブル3が保持する缶Wに対して、加工テーブル2に設けられた加工ツール6による加工が施され、保持テーブル3は缶Wを次の(別の)加工ツール6による加工位置まで加工順の下流側(保持テーブル回転方向R1)へ向けて移動させる。
この動作が繰り返されることにより、保持テーブル3が保持する缶Wに対して、加工テーブル2に設けられた複数の加工ツール6によって順次加工が施されていき、一連の加工が終了した時点で、所期する形状を有するボトル缶Bが製造されるようになっている。
【0044】
保持テーブル3は、一般にターンテーブルやインデックステーブルと呼ばれるものである。保持テーブル3は、円板状又は円形リング状をなしている。保持テーブル3において加工テーブル2側を向く面の外周部には、テーブル周方向に沿って複数のチャック(缶保持具)7が配列している。これらのチャック7には、それぞれ缶Wが保持され、保持された缶Wの開口端部は、加工テーブル2に向けて開口する。
【0045】
加工テーブル2は、一般にダイテーブルと呼ばれるものである。加工テーブル2は、円板状又は円形リング状をなしている。加工テーブル2には、保持テーブル3が保持する缶Wに対して加工を施す加工ツール6が、テーブル周方向に沿って複数配設される。これらの加工ツール6は、加工テーブル2において保持テーブル3側を向く面の外周部に、テーブル周方向に沿って配列しており、保持テーブル3が保持する複数の缶Wに対してテーブル軸TA方向からそれぞれ対向配置される。また、加工テーブル2の加工ツール6の加工ツール軸(中心軸)と、保持テーブル3において前記加工ツール6に対向する缶Wの缶軸(つまりチャック7の中心軸)とは、互いに同軸に配置される。そして、缶軸と加工ツール軸とが一致した状態で、缶Wに対して加工ツール6による加工が施されるようになっている。
【0046】
特に図示していないが、加工テーブル2には、テーブル軸TA方向に貫通する取付孔がテーブル周方向に配列して複数形成されている。複数の加工ツール6は、缶Wへの加工順にこれらの取付孔に取り付け可能とされている。
取付孔は、加工テーブル2において保持テーブル3側を向く面の外周部に開口し、この外周部において保持テーブル3とは反対側を向く面にまで穿設されている。本実施形態の例では、加工テーブル2に形成された取付孔の数が50である。
【0047】
複数の加工ツール6には、ダイ加工ツールと、回転加工ツールと、が含まれている。本実施形態では、加工テーブル2の複数の取付孔に、複数のダイ加工ツールと、複数の回転加工ツールとが、缶Wへの加工順に着脱可能に配設されている。なお、複数の取付孔のうち、いくつかは加工ツール6が取り付けられない空きスペースとされていてもよい。また、複数の取付孔のうちいくつかには、油付けツールが配設される。
【0048】
ダイ加工ツールは、缶Wに対して缶軸方向(テーブル軸TAに平行な方向)に移動し、缶Wの周壁(缶胴100)を縮径する絞り加工や該周壁を拡径する拡径加工等のダイ加工を施すものである。1つのダイ加工ツールによって、1種類のダイ加工が缶Wに対して施される。
【0049】
回転加工ツールは、缶Wに対して缶軸回りに移動し、この缶軸回りの回転動作により缶Wの周壁(缶胴100)に、トリミング加工、ねじ成形加工、エンボス加工、レーザー印刷加工、刻印加工、カール加工、スロットル(カールかしめ)加工等の回転加工を施すものである。本実施形態においては、回転加工ツールとして、少なくともエンボス加工、レーザー印刷加工、刻印加工のうち1つ以上の加工ツール6が設けられる。1つの回転加工ツールによって、1種類の回転加工が缶Wに対して施される。
【0050】
図2〜
図4において、本実施形態の缶製造装置1は、保持テーブル3に缶Wを供給する缶供給ホイール構造10と、保持テーブル3から加工後の缶W(ボトル缶B)を排出する缶排出ホイール構造40と、を備えている。
【0051】
そして、缶製造装置1の缶供給ホイール構造10は、保持テーブル3の間欠回転に同期して、テーブル軸TAに平行なホイール軸SA回りに間欠回転する缶供給ホイール(ホイール)11と、缶供給ホイール11の外周面に、缶Wの周壁(缶胴100)を保持可能に形成された凹部12と、凹部12に対して、缶Wを缶軸PA回りに回転させる回転手段13と、缶Wの周壁のマークを検出するセンサー14と、センサー14からの検出信号に応じて、回転手段13による缶Wの回転動作を停止させる制御部15と、を備えている。
また、缶供給ホイール構造10は、缶供給ホイール11の凹部12に缶Wを供給するシューター16と、凹部12に缶Wの周壁を吸着させる第1エア吸引手段17と、缶供給ホイール11の、ホイール軸SAに直交するホイール径方向の外側に配設され、凹部12との間で缶Wの周壁を保持するガイド部18と、を備えている。
【0052】
本実施形態では、缶供給ホイール(ホイール)11のホイール軸SAに沿う方向(ホイール軸SAが延在する方向)を、ホイール軸SA方向という。本実施形態において、テーブル軸TAとホイール軸SAとは、互いに平行である。
また、ホイール軸SAに直交する方向をホイール径方向という。ホイール径方向のうち、ホイール軸SAから離間する方向をホイール径方向の外側といい、ホイール軸SAに接近する方向をホイール径方向の内側という。
また、ホイール軸SA回りに周回する方向をホイール周方向という。ホイール周方向のうち、保持テーブル3及び本体フレーム4に対して缶供給ホイール11が間欠回転させられる向きを、ホイール回転方向R2といい、これとは反対の回転方向を、ホイール回転方向R2とは反対側という。
【0053】
また、後述する回転手段13の台座22の中心軸(台座軸)PAに沿う方向(台座軸PAが延在する方向)を、台座軸PA方向という。本実施形態において、台座軸PAとホイール軸SAとは、互いに平行である。
また、台座軸PAに直交する方向を台座径方向という。台座径方向のうち、台座軸PAから離間する方向を台座径方向の外側といい、台座軸PAに接近する方向を台座径方向の内側という。
また、台座軸PA回りに周回する方向を台座周方向という。
【0054】
なお、台座軸PAと、台座22が支持する缶Wの缶軸とは、互いに同軸に配置される(各中心軸が略一致する)。従って本実施形態では、台座22に支持された缶Wの缶軸についても、台座軸PAと同じ符号PAを用いて表すことがある。また、台座22に缶Wが支持されるとき、上記台座径方向は、缶Wの缶軸に直交する缶径方向に相当し、上記台座周方向は、缶軸回りの缶周方向に相当する。
【0055】
缶供給ホイール11は、一般にスターホイールやインフィードホイールと呼ばれるものである。缶供給ホイール11は、円柱状又は円筒状をなしており、その中心軸(ホイール軸SA)をテーブル軸TAと平行に配置して、本体フレーム4に回転可能に支持されている。
【0056】
缶供給ホイール11は、保持テーブル3のテーブル周方向の間欠回転に同期して、かつ、ホイール周方向のうち、保持テーブル回転方向R1とは逆向きとなるホイール回転方向R2に向けて、間欠的に回転する。本実施形態の例では、
図2及び
図3に示される缶製造装置1の正面視において、保持テーブル回転方向R1が反時計回りであり、ホイール回転方向R2が時計回りである。
【0057】
缶供給ホイール11の外周面には、ホイール軸SAに垂直な断面視で凹円弧状をなす凹部12が、ホイール周方向に等間隔をあけて複数形成されている。凹部12は、ホイール軸SA方向に沿って延びており、缶供給ホイール11のホイール軸SA方向を向く両端面にそれぞれ開口している。凹部12の内周面形状は、缶Wの周壁(缶胴100)の外周面形状に対応する凹曲面とされている。
【0058】
第1エア吸引手段17は、凹部12に開口する吸引孔19と、吸引孔19に連通するエア吸引源20と、を備えており、凹部12が、回転手段13に対応する位置に配置されたときに、吸引孔19とエア吸引源20との連通が遮断されるようになっている。
【0059】
図4に示される例では、吸引孔19が、凹部12の最深部に開口しているとともに、ホイール軸SA方向に間隔をあけて複数形成されている。また、これらの吸引孔19が、缶供給ホイール11に隣接して形成されたマニホールド21を通して、真空ポンプ等のエア吸引源20に連通している。
【0060】
そして本実施形態では、
図3に示されるように、凹部12が、缶供給ホイール11のホイール軸SA回りの間欠回転にともなって移動し、ホイール周方向に沿う回転手段13に対応する位置に配置されたときに、マニホールド21と吸引孔19との連通が遮断されるようになっている。
【0061】
具体的に、マニホールド21は、ホイール周方向の回転手段13に対応する位置を除く、ホイール回転方向R2に沿うシューター16に対応する位置から保持テーブル3のチャック7に対応する位置の直前までの間において、吸引孔19とエア吸引源20とを連通するように形成されている。また、吸引孔19は、ホイール周方向の回転手段13に対応する位置においては、大気開放される。
【0062】
なお、特に図示していないが、本実施形態の変形例として、凹部12が、缶供給ホイール11のホイール軸SA回りの間欠回転にともなって移動し、ホイール周方向に沿う回転手段13に対応する位置に配置されたときに、吸引孔19とマニホールド21とが連通する流路の断面積を小さくする等により、吸引孔19を通して缶Wの周壁に作用するエア吸引源20のエア吸引力が小さくなるようにしてもよい。
【0063】
図3において、ガイド部18は、缶供給ホイール11のホイール径方向の外側に配置されているとともに、該缶供給ホイール11の外周面(凹部12)との間に一定の距離をあけて、ホイール周方向に延びて形成されている。具体的に、ガイド部18は、凹部12に保持された缶Wの周壁に摺接可能とされており、つまり凹部12の最深部との間に、缶胴100の外径に概ね相当する一定の距離をあけて、配置されている。
【0064】
ガイド部18は、ホイール周方向に沿う少なくとも回転手段13に対応する位置に設けられている。図示の例では、回転手段13が、缶供給ホイール11の下方(
図3における下側)に位置するように配設されており、これに対応してガイド部18は、少なくとも缶供給ホイール11の下方に位置する部位に配設されている。
具体的に、本実施形態の例では、ガイド部18が、ホイール回転方向R2に沿うシューター16に対応する位置付近から、回転手段13に対応する位置を越えた部位までの間にわたって配設されている。
【0065】
また、
図4に示されるように、ガイド部18は、ホイール軸SA方向に互いに間隔をあけて複数設けられている。本実施形態においては、ガイド部18が、缶Wの周壁のうち少なくとも、缶軸方向に沿う開口端部に近い部位と、底部に近い部位と、にそれぞれ摺接可能に設けられている。
図示の例では、ガイド部18は板状をなしており、その板厚方向がホイール軸SA方向に沿うように配置され、板の端面が缶Wの周壁に対向配置される。或いは、ガイド部18は、ブラシ状に形成されていてもよい。
【0066】
図3及び
図4において、回転手段13は、凹部12に保持された缶Wの底壁(缶底101)に当接する台座22と、台座22に缶Wの底壁を吸着させる第2エア吸引手段23と、凹部12に対して、台座22を缶Wの缶軸回り(台座22の中心軸PA回り)に回転させるモータ24と、を備えている。
また、回転手段13は、台座22に固定される台座プーリ25と、軸受26を介して台座プーリ25を回転自在に支持する支持軸27と、モータ24のモータ軸に固定されたモータプーリ28と、台座プーリ25とモータプーリ28とに巻き掛けられた(巻き回された)環状のベルト29と、を備えている。
【0067】
図4に示されるように、台座22は、ホイール周方向のうち回転手段13に対応する位置に配置された凹部12に対して、ホイール軸SA方向に沿う本体フレーム4側(
図4における右側)に接近して配置されている。台座22の中心軸PAは、回転手段13に対応して配置された凹部12の缶Wの缶軸に略一致する。
【0068】
台座22においてホイール軸SA方向に沿う凹部12側(
図4における左側)を向く面には、缶Wの底壁(缶底101)のうち、環状凸部103が当接させられる。
なお、特に図示していないが、台座22の前記面には、環状凸部103の形状に対応する環状凹溝が形成されていてもよい。この場合、環状凸部103が環状凹溝に嵌合して、台座22に対する缶Wの台座径方向(缶径方向)への相対移動が規制され、また、後述する第2エア吸引手段23による缶底101に対するエア吸引力が安定して高められやすくなる。
【0069】
第2エア吸引手段23は、台座22に開口する吸引孔30と、吸引孔30に連通するエア吸引源31と、吸引孔30とエア吸引源31との連通を遮断可能な弁32と、を備えている。
【0070】
吸引孔30は、台座22において台座軸PA方向に沿う缶供給ホイール11側(
図4における左側)を向く面に開口しているとともに、回転手段13に対応する位置に配置された凹部12の缶Wの底壁(缶底101)のうち、ドーム部102に対向配置される。
図示の例では、台座22において吸引孔30が、台座軸PA上に1つ配置されているとともに、該台座軸PA方向に沿って延びており、台座22を貫通している。また、吸引孔30は、台座22に隣接配置された支持軸27内にも形成されており、該支持軸27を台座軸PA方向に貫通して、配管部材33に連通している。
吸引孔30は、配管部材33及び電磁弁等の弁32を通して、真空ポンプ等のエア吸引源31に連通している。
【0071】
図3及び
図4に示されるように、本実施形態の例では、センサー14がガイド部18に取り付けられている。センサー14(の検出部)は、回転手段13に対応する位置に配置された凹部12の缶Wの周壁(缶胴100)のうち、缶軸PA方向に沿うマークに対応する位置に対向配置されている。
図4に示される例では、センサー14が、缶胴100のうち底部に近い位置に対向配置されている。
【0072】
図4において、制御部15は、少なくともセンサー14、モータ24及び弁32に電気的に接続されている。制御部15は、モータ24を回転させ又は停止させ、弁32を開状態とし又は閉状態とする。
【0073】
具体的に、制御部15は、回転手段13に対応する位置に凹部12が配置されたときに、弁32を開状態とし、弁32、配管部材33及び吸引孔30を通して、エア吸引源31のエア吸引力を該凹部12の缶Wの底壁(缶底101)に作用させて、缶Wを台座22に吸着させる。
また、制御部15は、モータ24を回転させるとともに、モータプーリ28、ベルト29及び台座プーリ25を介して、台座22及び該台座22に吸着した缶Wを台座軸PA(缶軸PA)回りに回転させる。
【0074】
そして、制御部15は、センサー14が缶Wの周壁(缶胴100)のマークを検出したときに、引き続き回転手段13により凹部12に対して缶Wを缶軸PA回りに所定角度だけ回転させた後、回転動作を停止させる。つまり制御部15は、センサー14の検出信号を受けて缶Wを缶軸PA回りに所定角度だけ回転させた後、モータ24の回転を停止させ、台座22に吸着した缶Wの缶軸PA回りの回転を停止させる。
なお、本実施形態の変形例として、制御部15は、センサー14が缶Wの周壁のマークを検出した直後に、モータ24の回転を停止させ、台座22に吸着した缶Wの缶軸PA回りの回転を停止させてもよい。
【0075】
缶Wの回転動作を停止させた後、制御部15は、弁32を閉状態とし、エア吸引源31から缶Wに作用するエア吸引力を遮断して、台座22に吸着していた缶Wを該台座22から解放する。
【0076】
回転手段13に対応して配置された凹部12の缶Wは、缶供給ホイール11がホイール回転方向R2に向けて間欠回転し、回転手段13に対応する位置以外の部位に配置されることにより、該凹部12に再び吸着される。
そして、
図3において、缶供給ホイール11が間欠回転し、該缶供給ホイール11の凹部12に保持された缶Wが、保持テーブル3のチャック7に対応する位置(チャック7の直上、つまりチャック7と同軸上)に配置されたときに、加工テーブル2に設けられた押し込み部(不図示)が、この缶Wを保持テーブル3側へ向けて押し込むとともに、該缶Wが凹部12からチャック7へと受け渡され、チャック7に保持される。
【0077】
図3において、缶製造装置1の缶排出ホイール構造40は、保持テーブル3の間欠回転に同期して、テーブル軸TAに平行なホイール軸DA回りに間欠回転する缶排出ホイール41と、缶排出ホイール41の外周面に、缶Wの周壁(缶胴100)を保持可能に形成された凹部42と、を備えている。
【0078】
缶排出ホイール41は、一般にスターホイールやディスチャージホイールと呼ばれるものである。缶排出ホイール41は、円柱状又は円筒状をなしており、その中心軸(ホイール軸DA)をテーブル軸TAと平行に配置して、本体フレーム4に回転可能に支持されている。
【0079】
缶排出ホイール41は、保持テーブル3のテーブル周方向の間欠回転に同期して、かつ、ホイール軸DA回りのホイール周方向のうち、保持テーブル回転方向R1とは逆向きとなるホイール回転方向R3に向けて、間欠的に回転する。本実施形態の例では、
図2及び
図3に示される缶製造装置1の正面視において、保持テーブル回転方向R1が反時計回りであり、ホイール回転方向R3が時計回りである。
【0080】
そして、
図3において、保持テーブル3のチャック7に保持された缶Wが、すべての加工を終えて缶排出ホイール41の凹部42に対応する位置(凹部42の直下、つまり凹部42と同軸上)に配置されたときに、保持テーブル3に設けられたピストン部(不図示)が、ボトル缶B(缶W)を缶排出ホイール41側へ向けて押し出すとともに、該ボトル缶Bがチャック7から凹部42へと受け渡され、凹部42に保持される。
凹部42に保持されたボトル缶Bは、缶排出ホイール41の間欠回転にともなってホイール軸DA回りに移送されていき、該凹部42から解放された後、缶製造装置1の外部へと移送される。
【0081】
以上説明した本実施形態の缶製造装置1の缶供給ホイール構造10によれば、缶供給ホイール11の外周面に形成された凹部12に対して、該凹部12の缶Wを缶軸PA回りに回転させる回転手段13が備えられている。また、回転手段13により回転させられる缶Wの周壁のマークを検出するセンサー14が設けられており、このセンサー14からの検出信号に応じて、回転手段13による缶Wの回転動作を停止させる制御部15が備えられている。このような特別な構成を備えたことにより、缶供給ホイール11の凹部12に対して、該凹部12が保持する缶Wの缶軸PA回りの位置合わせを行うことが可能になる。
【0082】
すなわち、缶Wの周壁に印刷等により表示されたマークをセンサー14が読み取ったときに、凹部12に対する缶Wの回転動作を停止させることで、該凹部12に対する缶Wの印刷パターンの缶軸PA回りの配置を一定に揃えることができる。
具体的には、本実施形態で説明したように、センサー14がマークを検出したときに、この検出信号を受けて制御部15が、回転手段13により引き続き缶Wを所定角度だけ回転させてから回転動作を停止したり、或いは、本実施形態の変形例として説明したように、センサー14がマークを検出した直後に、制御部15が回転手段13による缶Wの回転動作を停止したりすることで、凹部12に対する缶Wの缶軸PA回りの配置を繰り返し同一位置に設定することができる。
そして、このように凹部12に対して缶軸PA回りの位置合わせがなされた缶Wを、保持テーブル3のチャック7にそのまま受け渡すことにより、該チャック7に対しても缶Wの缶軸PA回りの位置合わせ(印刷パターンの位置合わせ)が行われることになる。
【0083】
従って、缶製造装置1により、保持テーブル3が保持する缶Wの周壁に対して、加工テーブル2の加工ツール6によって例えばエンボス加工、レーザー印刷加工、刻印加工等の加工を施す場合に、缶Wにあらかじめ印刷された印刷パターンに対して、前記加工を施す部分を位置合わせすることができる。つまり、上述のようなエンボス加工、レーザー印刷加工、刻印加工等の加工は、缶Wの周壁に対して、缶軸回りに部分的に施されるものである(全周に施されるものではない)が、このような部分的な加工であっても、缶Wに加工を施す部分を、缶Wの印刷パターン(図柄や文字等)に精度よく一致させることができる。
【0084】
以上より本実施形態によれば、缶製造装置1により、缶Wの周壁に缶軸回りに部分的に加工を施す場合であっても、缶Wの印刷パターンに対して、加工を施す部分を位置合わせすることが可能である。
【0085】
また本実施形態では、缶供給ホイール11の凹部12に缶Wの周壁を吸着させる第1エア吸引手段17が備えられており、凹部12が、回転手段13に対応する位置に配置されたときに、吸引孔19とエア吸引源20との連通が遮断される。或いは、本実施形態の変形例で説明したように、凹部12が、回転手段13に対応する位置に配置されたときに、吸引孔19を通して缶Wの周壁に作用するエア吸引源20のエア吸引力が小さくされる。従って、下記の作用効果を奏する。
【0086】
すなわちこの場合、第1エア吸引手段17のエア吸引力により、缶供給ホイール11の凹部12に缶Wの周壁が吸着され、この缶Wが回転手段13に対応する位置(台座22の直上、つまり台座22と同軸上)に配置されたときに、吸着が解除され又はエア吸引力が小さくされる。
具体的に、缶供給ホイール11の凹部12において缶Wは、回転手段13に対応する位置以外の部位に配置されたときには、この凹部12に確実に吸着されて該凹部12に対する回転や脱落が防止されつつ安定的に移送される。また、凹部12の缶Wは、回転手段13に対応する位置に配置されたときには、この凹部12への吸着が解除されるか、又は吸着状態(吸着力)が弱められて、該凹部12に対する摩擦抵抗が小さくなり、回転手段13によって安定して回転させられる。
【0087】
このため、回転手段13により凹部12に対する缶Wの缶軸PA回りの位置合わせが精度よく行われる。そして、缶Wの位置合わせがなされた後には、缶供給ホイール11の間欠回転にともなって、回転手段13に対応する位置以外の部位へ向けて移動しようとする凹部12に対して、再び缶Wが確実に吸着されるとともに、凹部12と缶Wとの相対回転が抑制されて、缶Wを位置合わせした状態(缶Wの位置決め姿勢)が良好に維持される。
従って、加工ツール6により缶Wに加工を施す部分と、缶Wの印刷パターンとを位置合わせできるという上述した作用効果が、より安定的に奏功される。
【0088】
また本実施形態では、缶供給ホイール11のホイール径方向の外側に、凹部12との間で缶Wの周壁を保持するガイド部18が設けられているので、下記の作用効果を奏する。
すなわちこの場合、凹部12とガイド部18との間で缶Wの周壁を保持することができるので、上述のように、回転手段13に対応する位置に配置された凹部12において、缶Wへの吸着が解除されたりエア吸引力が小さくされても、この凹部12から缶Wが大きく離間したり脱落するようなことが防止される。
従って、缶供給ホイール11の凹部12に対して缶Wを缶軸PA回りに精度よく位置合わせすることができ、また位置合わせ後の缶Wを確実に吸着することができて、缶供給ホイール11による缶Wの移送及び保持テーブル3への供給を安定して行うことができる。
【0089】
また本実施形態では、回転手段13が、台座22と、第2エア吸引手段23と、モータ24と、を備えているので、下記の作用効果を奏する。
すなわちこの場合、第2エア吸引手段23のエア吸引力により、缶Wの底壁が台座22に吸着されるため、モータ24が、缶供給ホイール11の凹部12に対して台座22とともに缶Wを缶軸PA回りに安定して回転させることができる。つまり、台座22に対して缶Wの底壁が滑りにくくされているので、モータ24が台座22を回転させる回転量と、該台座22に支持される缶Wの回転量とが精度よく一致させられて、缶供給ホイール11の凹部12に対して、缶Wを缶軸PA回りに確実にかつ安定的に位置合わせすることができる。
【0090】
また本実施形態では、第2エア吸引手段23が、台座22に開口する吸引孔30とエア吸引源31との連通を遮断可能な弁32を備えているので、台座22に缶Wの底壁を吸着させることと、吸着を解除することとの切り替えを迅速に行うことができる。
従って、缶供給ホイール11の凹部12が回転手段13に対応する位置に配置されている間(缶供給ホイール11が間欠回転する回転時間及び停止時間のうち、停止時間内)に、缶Wを台座22に吸着して回転させ、位置合わせ後に缶Wを台座22から解放するまでの動作を、短時間で確実に行うことができる。
【0091】
また本実施形態では、回転手段13が凹部12に対して缶Wを缶軸PA回りに回転させ、センサー14が缶Wの周壁のマークを検出してから、制御部15は、回転手段13によりこの缶Wを引き続き缶軸PA回りに所定角度だけ回転させて、回転動作を停止する。これにより、缶Wを正確に位置合わせできるとともに、位置合わせ完了までの所要時間を短縮することができる。
【0092】
具体的に、上記構成とは異なり、例えばセンサー14がマークを検出した直後に、制御部15が回転手段13による缶Wの回転動作を停止させることとした場合、缶Wの位置合わせの精度を安定して確保するのが難しくなるおそれがある。一方、缶Wの位置合わせの精度を安定させるため、センサー14が缶Wの周壁のマークを検出した後、制御部15が、回転手段13によりこの缶Wを引き続き缶軸PA回りに1回転させて、該センサー14が再びマークを検出したときに(つまりマークを2回検出してから)回転動作を停止するように制御した場合、缶Wを1回転〜2回転近く回さなければならず、所要時間が嵩んでしまう。
【0093】
そこで、本実施形態の缶製造装置1の缶供給ホイール構造10のように、センサー14が缶Wの周壁のマークを検出した後、制御部15が、回転手段13によりこの缶Wを引き続き缶軸PA回りに所定角度だけ回転させて回転動作を停止することとすれば、缶Wの位置合わせの精度を安定して確保しつつ、例えば、前記所定角度を5〜10°程度に小さく設定することが可能であることから、概ね缶Wを1回転させずに位置合わせを完了することができる。
【0094】
従って、缶供給ホイール11の凹部12に対して、缶Wを缶軸PA回りに位置合わせするために要する時間を短縮することができ、缶供給ホイール11が間欠回転する回転時間及び停止時間のうち、停止時間を削減できる。このため、缶供給ホイール11から保持テーブル3に缶Wを供給するスピードを高めることが可能になり、缶Wの製造効率の向上に寄与することができる。
【0095】
なお、本発明は前述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。
【0096】
例えば、前述の実施形態では、缶供給ホイール11のホイール径方向の外側に、凹部12との間で缶Wの周壁を保持するガイド部18が設けられることとしたが、これに限定されるものではない。
すなわち、凹部12が回転手段13に対応する位置に配置されたときに、エア吸引等により該凹部12によって缶Wの周壁を保持し続けることが可能な構成を採用した場合には、ガイド部18は設けられなくてもよい。ただし、この場合であっても、前述の実施形態のようにガイド部18が設けられていると、凹部12からの缶Wの意図しない離間移動や脱落を確実に防止でき、缶供給ホイール11による缶Wの移送及び保持テーブル3への供給を安定して行えることから、好ましい。
【0097】
また、前述の実施形態では、缶製造装置1として、有底筒状の缶Wに対して各種加工を施すことによりボトル缶Bを製造するボトル缶製造装置を一例に挙げたが、これに限定されるものではない。すなわち、缶製造装置1は、例えば、有底筒状の缶に対して各種加工を施すことによりエアゾール缶を製造するエアゾール缶製造装置であってもよく、或いは、ボトル缶及びエアゾール缶以外の缶を製造する缶製造装置であってもよい。
【0098】
その他、本発明の趣旨から逸脱しない範囲において、前述の実施形態、変形例及びなお書き等で説明した各構成(構成要素)を組み合わせてもよく、また、構成の付加、省略、置換、その他の変更が可能である。また本発明は、前述した実施形態によって限定されることはなく、特許請求の範囲によってのみ限定される。