特開2017-210054(P2017-210054A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2017-210054(P2017-210054A)
(43)【公開日】2017年11月30日
(54)【発明の名称】回転式ロンググリップ
(51)【国際特許分類】
   B60N 3/02 20060101AFI20171102BHJP
【FI】
   B60N3/02 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2016-103379(P2016-103379)
(22)【出願日】2016年5月24日
(71)【出願人】
【識別番号】308013436
【氏名又は名称】小島プレス工業株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000241500
【氏名又は名称】トヨタ紡織株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】308016242
【氏名又は名称】豊和化成株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100083091
【弁理士】
【氏名又は名称】田渕 経雄
(74)【代理人】
【識別番号】100141416
【弁理士】
【氏名又は名称】田渕 智雄
(72)【発明者】
【氏名】石黒 圭
(72)【発明者】
【氏名】日比野 清栄
(72)【発明者】
【氏名】梶尾 英樹
【テーマコード(参考)】
3B088
【Fターム(参考)】
3B088DA07
3B088DB02
(57)【要約】
【課題】 スプリングとダンパの収納スペースを確保できる回転式ロングリップの提供。
【解決手段】グリップ本体20の両端部に設けられる各々のヒンジ機構30が、スプリング32とダンパ33を備えている。そのため、グリップ本体20の一端部のみにスプリングを設け他端部のみにダンパを設ける場合(従来)に比べて、スプリングトルクを弱くできスプリング32を小型化でき、また、ダンパトルクを弱くできダンパ33を小型化できる。よって、ロンググリップであっても、スプリング32とダンパ33の収納スペースを確保できる。さらに、ダンパ33がスプリング32の巻き部32aの内径側に配置されており、ダンパ33の収納スペース上有利である。
【選択図】 図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
グリップ長手方向に延びるグリップ本体と、
該グリップ本体の長手方向の両端部に各々設けられており、前記グリップ本体を格納位置と該格納位置から車室内に突出する使用位置との間で回動可能に支持するヒンジ機構と、
を有する回転式ロンググリップであって、
各々の前記ヒンジ機構は、車体に固定されるヒンジ部材と、該ヒンジ部材に対して前記グリップ本体を回動付勢するスプリングと、前記ヒンジ部材に対する前記グリップ本体の回動に制動をかけるダンパと、を備えている、回転式ロンググリップ。
【請求項2】
前記スプリングは、巻き部と、前記ヒンジ部材に引っ掛けられる一端部と、前記グリップ本体に引っ掛けられる他端部と、を備えており、
前記ダンパは、前記スプリングの巻き部の内径側に配置されている、請求項1記載の回転式ロンググリップ。
【請求項3】
前記ダンパは、前記ヒンジ部材に対して相対回転不能なダンパインナと該ダンパインナの外径側に位置し該ダンパインナに対して相対回転可能なダンパアウタとを備えるダンパ本体と、該ダンパ本体のダンパアウタに対して相対回転不能であり該ダンパ本体が収容されるダンパケースと、を備えており、
前記ダンパインナは、該ダンパインナに設けられる非円形ボス部を前記ヒンジ部材に設けられる非円形ボス受け部に挿入することで、前記ヒンジ部材に対して相対回転不能とされており、
前記ダンパケースは、前記ダンパアウタの外周部に設けられる突条部を前記ダンパケースに設けられるスリットに挿入することで、前記ダンパアウタに対して相対回転不能とされており、
前記ダンパケースは、非円形ピンを用いることで、前記グリップ本体に対して相対回転不能とされている、請求項1または請求項2記載の回転式ロンググリップ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車室天井等に配置される回転式のロンググリップに関する。
【背景技術】
【0002】
特開2010−195161号公報は、車室天井に配置される回転式のアシストグリップを開示している。上記公報では、図6に示すように、グリップ本体2の一端部にスプリング3が配置され、グリップ本体2の他端部にダンパ4が配置されている。また、ダンパ4は、回動型のダンパであり、ダンパインナ4aと、ダンパインナ4aの外径側に位置し該ダンパインナ4aに対して相対回転可能なダンパアウタ4bと、を備えている。ダンパインナ4aには非円形ボス部4a1が設けられており、ダンパアウタ4bの外周部には突条部4b1が設けられている。
【0003】
しかし、従来の回転式のアシストグリップには、つぎの問題点がある。
グリップ本体2の長さを長く(取付けピッチが200mm以上のロンググリップに)し、車室天井の後端部で車幅方向に延びて配置することにより、アウトドア使用時などでバックドアを開けたときにたくさんの衣装類をかけられるようにしたいというニーズがある。このニーズを満たすために、グリップ本体2の長さを長くすると、グリップ本体2が重量物となる。そのため、グリップ本体2の一端部にスプリング3を配置し他端部にダンパ4を配置する場合、スプリング3とダンパ4のトルクを大きくしなければならず、そのスプリング3やダンパ4を収納するスペースを確保することが困難である。また、スプリング3がグリップ本体2の一端部のみに配置されダンパ4がグリップ本体2の他端部のみに配置されているため、グリップ本体2が傾き、作動し難くなるおそれもある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2010−195161号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、スプリングとダンパの収納スペースを確保できる回転式ロングリップを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成する本発明はつぎの通りである。
(1) グリップ長手方向に延びるグリップ本体と、
該グリップ本体の長手方向の両端部に各々設けられており、前記グリップ本体を格納位置と該格納位置から車室内に突出する使用位置との間で回動可能に支持するヒンジ機構と、
を有する回転式ロンググリップであって、
各々の前記ヒンジ機構は、車体に固定されるヒンジ部材と、該ヒンジ部材に対して前記グリップ本体を回動付勢するスプリングと、前記ヒンジ部材に対する前記グリップ本体の回動に制動をかけるダンパと、を備えている、回転式ロンググリップ。
(2) 前記スプリングは、巻き部と、前記ヒンジ部材に引っ掛けられる一端部と、前記グリップ本体に引っ掛けられる他端部と、を備えており、
前記ダンパは、前記スプリングの巻き部の内径側に配置されている、(1)記載の回転式ロンググリップ。
(3) 前記ダンパは、前記ヒンジ部材に対して相対回転不能なダンパインナと該ダンパインナの外径側に位置し該ダンパインナに対して相対回転可能なダンパアウタとを備えるダンパ本体と、該ダンパ本体のダンパアウタに対して相対回転不能であり該ダンパ本体が収容されるダンパケースと、を備えており、
前記ダンパインナは、該ダンパインナに設けられる非円形ボス部を前記ヒンジ部材に設けられる非円形ボス受け部に挿入することで、前記ヒンジ部材に対して相対回転不能とされており、
前記ダンパケースは、前記ダンパアウタの外周部に設けられる突条部を前記ダンパケースに設けられるスリットに挿入することで、前記ダンパアウタに対して相対回転不能とされており、
前記ダンパケースは、非円形ピンを用いることで、前記グリップ本体に対して相対回転不能とされている、(1)または(2)記載の回転式ロンググリップ。
【発明の効果】
【0007】
上記(1)の回転式ロンググリップによれば、つぎの効果を得ることができる。
グリップ本体の両端部に設けられる各々のヒンジ機構が、スプリングとダンパを備えている。そのため、グリップ本体の一端部のみにスプリングを設け他端部のみにダンパを設ける場合(従来)に比べて、スプリングトルクを弱くできスプリングを小型化でき、また、ダンパトルクを弱くできダンパを小型化できる。よって、ロンググリップであっても、スプリングとダンパの収納スペースを確保できる。
【0008】
上記(2)の回転式ロンググリップによれば、つぎの効果を得ることができる。
ダンパがスプリングの巻き部の内径側に配置されているため、ダンパとスプリングを同一軸線上に並んで配置する場合等に比べて、ダンパの収納スペース上有利である。
【0009】
上記(3)の回転式ロンググリップによれば、つぎの効果を得ることができる。
ダンパがダンパ本体を備えており、ダンパ本体のダンパインナに非円形ボス部が設けられており、ダンパ本体のダンパアウタの外周部に突条部が設けられている。そのため、ダンパ本体に従来のダンパを用いることができ、新たにダンパ本体を設計、製造する場合に比べて、コスト上有利である。
また、ダンパアウタがダンパケースに相対回転不能となるようにしてダンパケースに収容されており、ダンパケースが非円形ピンを用いることでグリップ本体に対して相対回転不能とされているため、ダンパがスプリングの内径側に配置されておりダンパアウタの突条部をグリップ本体に直接係合させることができない場合であっても、ダンパアウタとグリップ本体とを、ダンパケースと非円形ピンを介して係合させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明実施例の回転式ロンググリップの分解斜視図である。
図2】本発明実施例の回転式ロンググリップの部分断面図である。
図3図2のA−A線断面図である。
図4図2のB−B線断面図である。
図5】本発明実施例の回転式ロンググリップにおける、ダンパの斜視図である。
図6】従来のアシストグリップの分解斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下に、本発明実施例の回転式ロンググリップ(以下、単にロンググリップともいう)10を、図面を参照して、説明する。
【0012】
ロンググリップ10は、図1に示すように、グリップ長手方向Lに延びるグリップ本体20と、図3に示すように、グリップ本体20を格納位置20aと格納位置20aから車室内に突出する使用位置20bとの間で回動可能に支持するヒンジ機構30と、を有する回転式ロンググリップである。
【0013】
ロンググリップ10は、図1に示すように、従来の一般的なアシストグリップに比べてグリップ本体20のグリップ長手方向Lの長さが長くなっており、たとえばグリップ本体20の車体への取付けピッチが200mm以上となっている。ロンググリップ10は、たとえば、車室天井Rの後端部で車幅方向に延びて配置されており、アウトドア使用時などで図示略のバックドアを開けたときに比較的多くの衣装類を掛けられるようになっている。ただし、ロンググリップ10の配置位置は、車室天井Rの後端部に限定されるものではなく、車室天井Rの車幅方向端部等であってもよい。
【0014】
グリップ本体20は、図1に示すように、複数の構成部品(図1では2部品)をグリップ長手方向Lに連結することで構成されており、剛性向上のために内部に芯材21が設けられていることが望ましい。グリップ本体20は、図3図4に示すように、格納位置20aにあるとき(図3図4における実線の状態にあるとき)、車室天井Rに設けられる凹部R1内に全体(ほぼ全体を含む)が格納されており車室内に突出しておらず、使用位置20bにあるとき(図3図4における二点鎖線の状態にあるとき)、凹部R1から大部分が出ており車室内に突出している。図1に示すように、グリップ本体20は、グリップ長手方向Lの両端部に、グリップ長手方向Lと異なる方向に延びる取付け部22を備えている。
【0015】
ヒンジ機構30は、グリップ本体20の長手方向Lの両端部に各々設けられている。ヒンジ機構30は、グリップ本体20の両取付け部22に各々設けられている。各ヒンジ機構30は、それぞれ、車体に固定されるヒンジ部材31と、ヒンジ部材31に対してグリップ本体20を回動付勢するスプリング32と、ヒンジ部材31に対するグリップ本体20の回動に制動をかけるダンパ33と、を備える。
【0016】
ヒンジ部材31は、図3に示すように、ボルト31a、ナット31b等を用いて車室天井Rに固定して取付けられる。ヒンジ部材31には、ボルト31aの頭部を隠すキャップ31cが取付けられていることが望ましい。なお、ヒンジ部材31は、ボルト31a、ナット31bの代わりに図示略のクリップ等を用いて車室天井Rに固定して取付けられていてもよい。
【0017】
ヒンジ部材31は、図1に示すように、互いにグリップ長手方向Lに間隔をおいて設けられる一対の足部31d、31dを備えている。ヒンジ部材31は、一対の足部31d、31dにて横断面円形の丸ピン31eを用いてグリップ本体20を回動可能に支持している。
【0018】
スプリング32は、トーションスプリングであり、コイル状の巻き部32aと、巻き部32aの軸方向一端部に接続しておりヒンジ部材31に引っ掛けられる一端部32bと、巻き部32aの軸方向他端部に接続しておりグリップ本体20に引っ掛けられる他端部32cと、を備える。スプリング32は、ヒンジ部材31に対してグリップ本体20を使用位置20bから格納位置20a側に常時回動付勢する。
【0019】
ダンパ33は、回動型のオイルダンパである。図2に示すように、ダンパ33の外径はスプリング32の巻き部32aの内径よりも小径とされており、ダンパ33は、巻き部32aの内径側のスペースに配置されている。ダンパ33は、ダンパ本体34と、ダンパ本体34が収容されるダンパケース37と、を備える。
【0020】
ダンパ本体34は、図5に示すように、ヒンジ部材31に対して相対回転不能なダンパインナ35と、ダンパインナ35の外径側に位置しダンパインナ35に対して相対回転可能なダンパアウタ36と、を備える。ダンパインナ35とダンパアウタ36との間にはオイルが充填されており、ダンパインナ35とダンパアウタ36とが相対的に回動する際にオイルの粘性抵抗により制動力を生じさせるようになっている。
【0021】
ダンパインナ35は、ダンパインナ35に設けられる非円形ボス部35aをヒンジ部材31に設けられる非円形ボス受け部31fに挿入することで、ヒンジ部材31に対して相対回転不能とされている。ダンパアウタ36は、外周部に突条部36aを備えている。ダンパアウタ36は、突条部36aをダンパケース37に設けられるスリット37a(図1参照)に挿入することで、ダンパケース37に対して相対回転不能とされている。
【0022】
ダンパケース37は、図2に示すように、円筒部37bと、円筒部37bの軸方向一側を中心部を除いて塞ぐ底部37cと、を備える。円筒部37bに、スリット37aが形成されている。底部37cの中心部には、たとえば六角形状の非円形孔37dが形成されている。この非円形孔37dと、グリップ本体20に設けられる同形状の非円形孔23とに同形状の非円形ピン38を差し込むことで、ダンパケース37はグリップ本体20に対して相対回転不能とされている。
【0023】
つぎに、本発明実施例の作用、効果を説明する。
グリップ本体20の両端部に設けられる各々のヒンジ機構30,30が、スプリング32とダンパ33を備えている。そのため、グリップ本体20の一端部のみにスプリング32を設け他端部のみにダンパ33を設ける場合(従来)に比べて、スプリングトルクを弱くできスプリングを小型化でき、また、ダンパトルクを弱くできダンパを小型化できる。よって、ロンググリップであっても、スプリング32とダンパ33の収納スペースを確保できる。
【0024】
ダンパ33がスプリング32の巻き部32aの内径側に配置されているため、ダンパ33とスプリングを同一軸線上に並んで(軸方向の異なる位置に)配置する場合等に比べて、ダンパ33の収納スペース上有利である。
【0025】
ダンパ33がダンパ本体34を備えており、ダンパ本体34のダンパインナ35に非円形ボス部35aが設けられており、ダンパ本体34のダンパアウタ36の外周部に突条部36aが設けられている。そのため、ダンパ本体34に従来のダンパを用いることができ、新たにダンパ本体34を設計、製造する場合に比べて、コスト上有利である。
また、ダンパアウタ36がダンパケース37に相対回転不能となるようにしてダンパケース37に収容されており、ダンパケース37が非円形ピン38を用いることでグリップ本体20に対して相対回転不能とされているため、ダンパ33がスプリング32の内径側に配置されておりダンパアウタ36の突条部36aをグリップ本体20に直接係合させることができない場合であっても、ダンパアウタ36とグリップ本体20とを、ダンパケース37と非円形ピン38を介して係合させることができる。
【0026】
ロンググリップ10が回転式ロンググリップであるため、ロンググリップ10が回転不能な固定式である場合と異なり、ロンググリップ10の不使用時にグリップ本体20が車室内に突出した状態となることを抑制でき、車両走行時の後方視界確保を妨げることを抑制できる。
【0027】
グリップ本体20の両端部に設けられる各々のヒンジ機構30,30が、スプリング32とダンパ33を備えている。そのため、グリップ本体20の一端部のみにスプリング32を設け他端部のみにダンパ33を設ける場合(従来)に比べて、スプリングトルクとダンパトルクによりグリップ本体20が傾くことを抑制でき、グリップ本体20を安定して回転させて格納できる。
【符号の説明】
【0028】
10 回転式ロンググリップ
L グリップ長手方向
20 グリップ本体
20a 格納位置
20b 使用位置
21 芯材
22 取付け部
23 非円形孔
30 ヒンジ機構
31 ヒンジ部材
31a ボルト
31b ナット
31c キャップ
31d 足部
31e 丸ピン
31f 非円形ボス受け部
32 スプリング
32a 巻き部
32b 一端部
32c 他端部
33 ダンパ
34 ダンパ本体
35 ダンパインナ
35a 非円形ボス部
36 ダンパアウタ
36a 突条部
37 ダンパケース
37a スリット
37b 円筒部
37c 底部
37d 非円形孔
38 非円形ピン
R 車室天井
R1 凹部
図1
図2
図3
図4
図5
図6