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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2017-210294(P2017-210294A)
(43)【公開日】2017年11月30日
(54)【発明の名称】納豆容器
(51)【国際特許分類】
   B65D 85/50 20060101AFI20171102BHJP
【FI】
   B65D85/50 101
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】書面
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2017-112995(P2017-112995)
(22)【出願日】2017年5月23日
(31)【優先権主張番号】特願2016-114787(P2016-114787)
(32)【優先日】2016年5月23日
(33)【優先権主張国】JP
(71)【出願人】
【識別番号】516170428
【氏名又は名称】村瀬 隆
(72)【発明者】
【氏名】村瀬 隆
【テーマコード(参考)】
3E035
【Fターム(参考)】
3E035AA14
3E035AB06
3E035BA02
3E035BB09
3E035BC02
3E035CA07
(57)【要約】
【課題】 少量の納豆を例えばカラシやだし汁と共に収納して食卓に供する納豆容器において、極めて簡便に開蓋できるように形成した納豆容器を提供する。
【解決手段】 上面が開放され、納豆を収納する容器部1、蓋部2、容器部1と蓋部2とを接続するヒンジ部4から構成され、容器部1および蓋部2は夫々を囲周してフランジ部3a、3bを有し、両フランジ部3a、3bの一端はヒンジ部4を介して接続され、かつ発泡性合成樹脂で一体成型される方形の納豆容器であって、納豆を収納した容器部1と蓋部2とが閉じられた後、ヒンジ部4に対向する両フランジ部3a、3bがスポット熱融着して封緘される納豆容器において、該ヒンジ部4の折り曲げ部分に接して内側に線状の切断子5aを配置し、該切断子5aの両端部は該ヒンジ部4から外方向に延びる納豆容器。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
上面が開放され、納豆を収納する容器部、蓋部、該容器部と該蓋部とを接続するヒンジ部から構成され、該容器部および該蓋部は夫々を囲周してフランジ部を有し、両フランジ部の一端は該ヒンジ部を介して接続され、かつ発泡性合成樹脂で一体成型される方形の納豆容器であって、納豆を収納した該容器部と該蓋部とが閉じられた後、該ヒンジ部に対向する両フランジ部がスポット熱融着して封緘される納豆容器において、該ヒンジ部の折り曲げ部分に接して内側に線状の切断子を配置し、該切断子の両端部は該ヒンジ部から外方向に延びることを特徴とする納豆容器。
【請求項2】
上記切断子は、該切断子の端部を封緘された上記納豆容器に対して水平方向に外側へ引張った際に、上記ヒンジ部を容易に破断できると共に、破断部分が小さな破片を生じることなく破断できる引張強度を有することを特徴とする請求項1に記載の納豆容器。
【請求項3】
上記切断子は、その端部が上記納豆容器の外側に固定されることを特徴とする請求項1または2のいずれかに記載の納豆容器。
【請求項4】
上記切断子は、その端部が上記納豆容器の外側にスポット熱溶着されることを特徴とする請求項1または2のいずれかに記載の納豆容器。
【請求項5】
上記切断子は、環状であることを特徴とする請求項1または2のいずれかに記載の納豆容器。
【請求項6】
上記切断子は、その少なくとも一部分が粘着性物質で被覆され、上記ヒンジ部の折り曲げ部分に接して内側に粘着されることを特徴とする請求項1ないし5のいずれかに記載の納豆容器。
【請求項7】
上記切断子は、その少なくとも一部分がテープ状の粘着性薄片を用いて上記ヒンジ部の折り曲げ部分に接して内側に粘着されることを特徴とする請求項1ないし5のいずれかに記載の納豆容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、少量の納豆を例えばカラシやだし汁と共に収納して食卓に供する納豆容器に関し、より詳しくは使用時に極めて容易に開蓋できるように形成した納豆容器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、工場で蒸煮された大豆の煮豆は、納豆菌とともに納豆容器に詰められ蓋をして一定期間発酵させて納豆に変化させた後、食卓用納豆として市場に提供される。納豆容器に収納された少量の納豆は、付帯されるカラシやだし汁などの調味料と共にかき混ぜて食用される。
【0003】
通常、この種の納豆容器は、発泡スチロールなどの発泡性合成樹脂で一体成型された方形のものであり、納豆を入れる方形の容器部と蓋部とはヒンジ部を介して接続される。より詳しくは、容器部および蓋部は、夫々を囲周するフランジ部を有し、フランジ部の一端でヒンジ部を介して接続され、また容器部と蓋部とは、ヒンジ部に対向する端部で両フランジ部をスポット熱融着して封緘される。
【0004】
また、スポット熱溶着の強度は、使用者が指先を用いて容易に破断できると共に、納豆容器の輸送中にスポット熱溶着部分の破損を回避できる程度の強度が要求される。しかし、使用者がこのような納豆容器から蓋部を切り離して開蓋する際に、容器部や蓋部を破損して内容物がこぼれたり指先が汚れたりする場合が多かった。特に高齢者、幼児、あるいは手に障がいのある者にとっては、納豆容器を破損することなく開蓋することは、困難な操作であった。
【0005】
このような納豆容器を容易に開蓋するために、ヒンジ部に破断し易い切り込みを形成する方法(特許文献1)や、フランジ部に切れ目と切り欠きを形成した納豆容器(特許文献2)が提案されている。
しかし、特許文献1の方法は、ヒンジ部の切り込みを破断する前の作業として、先ずスポット熱溶着部分を破断するという指作業を必要とする。これは、スポット熱溶着されているフランジ部を破損し易く、使用者にとって困難な指作業を必要とするものであった。
さらに、特許文献2の方法は、ヒンジ部の切り込みを破断したり、フランジ部の切れ目を欠くという細かな指作業を、依然として伴うものであった。
【0006】
なお、卵容器の合成樹脂製容器においては、容器部および蓋部の両フランジ部を接着性テープで閉じ、開蓋する際に接着性テープを剥がす方法(特許文献3)、ヒンジ部に破線状の切れ目を形成すると共に、糸状体を設置する方法(実開平6−27660号公報)などが提案されている。
しかし、発泡スチロールなどの発泡性合成樹脂で一体成型される納豆容器は、卵容器の合成樹脂製容器に比べて強度が著しく低い。したがって、これらの開蓋方法を納豆容器に適用した場合には、接着テープを剥がす際にフランジ部を破損したり、またヒンジ部に破断し易い切れ目を設けた場合には、輸送する際などに不用意にヒンジ部を破損するという問題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2002−12283号公報
【特許文献2】実登3106762号公報
【特許文献3】特開平10−316188号公報
【特許文献4】実開平6−27660号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
上記の特許文献1および特許文献2に開示される納豆容器においては、健常者はもとより、特に高齢者、幼児、あるいは手に障がいのある者にとって、納豆容器を容易には開蓋できず、また納豆容器を製造する工程が複雑になるという欠点があった。
特に、高齢者、幼児、あるいは手に障がいのある者においては、封緘された納豆容器のフランジ部の隙間に指先を入れること自体が困難な作業であり、さらにスポット熱融着部分を破断する際にフランジ部を破損し易く、多くの場合補助者が開蓋しなければならないという問題があった。
本発明は、このような従来の問題点を解消するために為されたものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者は、上記の問題点を解決すべく鋭意検討した結果、ヒンジ部の折り曲げ部分に接して内側に線状の切断子を配置することによって、納豆容器の蓋部を極めて容易に切離して開蓋することができ、しかも納豆容器の製造工程を複雑にすることなく、納豆容器を安価に製造することができるようにした。
【0010】
すなわち、本発明の第1の発明は、上面が開放され、納豆を収納する容器部、蓋部、該容器部と該蓋部とを接続するヒンジ部から構成され、該容器部および該蓋部は夫々を囲周してフランジ部を有し、両フランジ部の一端は該ヒンジ部を介して接続され、かつ発泡性合成樹脂で一体成型される方形の納豆容器であって、納豆を収納した該容器部と該蓋部とが閉じられた後、該ヒンジ部に対向する両フランジ部がスポット熱融着して封緘される納豆容器において、該ヒンジ部の折り曲げ部分に接して内側に線状の切断子を配置し、該切断子の両端部は該ヒンジ部から外方向に延びる納豆容器を提供する。
【0011】
また、本発明の第2の発明により、第1の発明における上記切断子は、該切断子の端部を封緘された上記納豆容器に対して水平方向に外側へ引張った際に、上記ヒンジ部を容易に破断できると共に、破断部分が小さな破片を生じることなく破断できる引張強度を有する納豆容器を提供する。
【0012】
また、本発明の第3の発明により、第1および第2の発明における上記切断子は、その端部が上記納豆容器の外側に固定される納豆容器を提供する。
【0013】
また、本発明の第4の発明により、第1および第2の発明における上記切断子は、その端部が上記納豆容器の外側にスポット熱溶着される納豆容器を提供する。
【0014】
また、本発明の第5の発明により、第1および第2の発明における上記切断子は、環状である納豆容器を提供する。
【0015】
また、本発明の第6の発明により、第1ないし第5の発明における上記切断子は、その少なくとも一部分が粘着性物質で被覆され、上記ヒンジ部の折り曲げ部分に接して内側に粘着される納豆容器を提供する。
【0016】
また、本発明の第7の発明により、第1ないし第5の発明における上記切断子は、その少なくとも一部分がテープ状の粘着性薄片を用いて上記ヒンジ部の折り曲げ部分に接して内側に粘着される納豆容器を提供する。
【0017】
なお、本発明について、好ましい態様を次に示す。
第一の好ましい態様は、上面が開放され、納豆を収納する容器部、蓋部、該容器部と該蓋部とを接続するヒンジ部から構成され、該容器部および該蓋部は夫々を囲周してフランジ部を有し、両フランジ部の一端は該ヒンジ部を介して接続され、かつ発泡性合成樹脂で一体成型される方形の納豆容器であって、納豆を収納した該容器部と該蓋部とが閉じられた後、該ヒンジ部に対向する両フランジ部がスポット熱融着して封緘される納豆容器において、少なくとも一部分が粘着性物質で被覆された線状の切断子が該ヒンジ部の折り曲げ部分に接して内側に粘着され、かつ該切断子は、該切断子の端部を封緘された該納豆容器に対して水平方向に外側へ引張った際に該ヒンジ部を容易に破断できると共に、破断部分が小さな破片を生じることなく破断できる引張強度を有し、さらに該切断子の両端部は該ヒンジ部から外方向に延び、その端部は該納豆容器の外側に固定されてなる納豆容器である。
【0018】
第二の好ましい態様は、上面が開放され、納豆を収納する容器部、蓋部、該容器部と該蓋部とを接続するヒンジ部から構成され、該容器部および該蓋部は夫々を囲周してフランジ部を有し、両フランジ部の一端は該ヒンジ部を介して接続され、かつ発泡性合成樹脂で一体成型される方形の納豆容器であって、納豆を収納した該容器部と該蓋部とが閉じられた後、該ヒンジ部に対向する両フランジ部がスポット熱融着して封緘される納豆容器において、線状の切断子の少なくとも一部分がテープ状の粘着性薄片を用いて該ヒンジ部の折り曲げ部分に接して内側に粘着され、かつ該切断子は、該切断子の端部を封緘された該納豆容器に対して水平方向に外側へ引張った際に該ヒンジ部を容易に破断できると共に、破断部分が小さな破片を生じることなく破断できる引張強度を有し、さらに該切断子の両端部は該ヒンジ部から外方向に延び、その端部は該納豆容器の外側に固定されてなる納豆容器である。
【0019】
第三の好ましい態様は、上面が開放され、納豆を収納する容器部、蓋部、該容器部と該蓋部とを接続するヒンジ部から構成され、該容器部および該蓋部は夫々を囲周してフランジ部を有し、両フランジ部の一端は該ヒンジ部を介して接続され、かつ発泡性合成樹脂で一体成型される方形の納豆容器であって、納豆を収納した該容器部と該蓋部とが閉じられた後、該ヒンジ部に対向する両フランジ部がスポット熱融着して封緘される納豆容器において、少なくとも一部分が粘着性物質で被覆された環状の切断子が該ヒンジ部の折り曲げ部分に接して内側に粘着され、かつ該切断子は、該ヒンジ部から外方向に伸びる円弧部分を封緘された該納豆容器に対して水平方向に外側へ引張った際に該ヒンジ部を容易に破断できると共に、破断部分が小さな破片を生じることなく破断できる引張強度を有し、さらに該納豆容器の外側に伸びる該切断子の円弧部分は、該納豆容器の外側に固定されてなる納豆容器である。
【0020】
第四の好ましい態様は、上面が開放され、納豆を収納する容器部、蓋部、該容器部と該蓋部とを接続するヒンジ部から構成され、該容器部および該蓋部は夫々を囲周してフランジ部を有し、両フランジ部の一端は該ヒンジ部を介して接続され、かつ発泡性合成樹脂で一体成型される方形の納豆容器であって、納豆を収納した該容器部と該蓋部とが閉じられた後、該ヒンジ部に対向する両フランジ部がスポット熱融着して封緘される納豆容器において、環状の切断子の少なくとも一部分がテープ状の粘着性薄片を用いて該ヒンジ部の折り曲げ部分に接して内側に粘着され、かつ該切断子は、該ヒンジ部から外方向に伸びる円弧部分を封緘された該納豆容器に対して水平方向に外側へ引張った際に該ヒンジ部を容易に破断できると共に、破断部分が小さな破片を生じることなく破断できる引張強度を有し、さらに該納豆容器の外側に伸びる該切断子の円弧部分は、該納豆容器の外側に固定されてなる納豆容器である。
【発明の効果】
【0021】
本発明の納豆容器は、ヒンジ部の折り曲げ部分に接して内側に線状の切断子を配置したことによって、使用者は、該納豆容器を開蓋する際に破損して内容物がこぼれたり指先が汚れたりすることなく、極めて容易に開蓋できるという効果がある。
特に、高齢者、幼児、あるいは手に障がいのある者においては、多くの場合補助者が開蓋しなければならないという問題を回避できる。また、線状の切断子に替えて環状の切断子を用いる場合には、使用者は、該納豆容器の外側に伸びる環状の切断子の円弧部分に、指を掛けて引くという簡単な操作で、より容易に開蓋できるというさらなる利点がある。
【0022】
さらに、線状の切断子は、複雑な構成を必要とすることなく、また納豆容器に特殊な工程を必要とすることなく配置できることから、納豆容器は、従来と殆ど同等の製造方法で極めて容易に製造できるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】 本発明の納豆容器について、線状の切断子を配置した一実施形態の斜視図であって、蓋部を閉じた状態を示す。
図2図1の納豆容器において、納豆容器をS−S線で切断したときのヒンジ部のみの断面図である。線状の切断子がヒンジ部の折り曲げ部分に接して内側に配置された状態を示す。
図3図1の納豆容器において、線状の切断子を配置した一実施形態の斜視図であって、蓋部を開いた状態を示す。
図4図1の納豆容器において、線状の切断子の一端を納豆容器にスポット熱溶着して配置した一実施形態の斜視図であって、蓋部を閉じた状態を示す。
図5図1の納豆容器において、線状の切断子に替えて環状の切断子を配置した一実施形態の斜視図であって、蓋部を閉じた状態を示す。
図6図5の納豆容器において、少なくとも一部分に粘着性物質を被覆した環状の切断子をヒンジ部の折り曲げ部分に接して内側に粘着させた一実施形態の斜視図であって、蓋部を開いた状態を示す。
図7図5の納豆容器において、環状の切断子の少なくとも一部分を、テープ状の粘着性薄片を用いてヒンジ部の折り曲げ部分に接して内側に粘着させた一実施形態の斜視図であって、蓋部を開いた状態を示す。
図8図1の納豆容器において、線状の切断子によってヒンジ部を破断した後の蓋部の状態を示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下に、本発明を、図面を用いて説明する。
図1において、納豆容器Aは、少量の納豆を収納すると共に、必要に応じてカラシやだし汁などの調味料を収納できる方形の形状のものであり、納豆容器Aの輸送時に破損または開蓋して内容物が流出することがなく、かつ不純物が外部から混入しないものである。容器部1は、その開放部分に沿ってフランジ部3aを有し、また蓋部2は、閉じられた際に容器部1のフランジ部3aに合わさるようにフランジ部3bを有する。容器部1のフランジ部3aと蓋部2のフランジ部3bの一辺は、ヒンジ部4を介して接続される。線状の切断子5aは、ヒンジ部4の折り曲げ部分に接した状態で、容器部1のフランジ部3aと蓋部2のフランジ部3bとの間に挟み込まれるように配置され、閉じられた容器部1と蓋部2を切り離して開蓋する際に用いられる。ヒンジ部4に対向する位置にある容器部1と蓋部2の両フランジ部3a、3bは、7a、7b、7cでスポット熱溶着されて封緘される。
図2は、図1の納豆容器AをS−S線で切断したときのヒンジ部4のみの断面図である。線状の切断子5aがヒンジ部4の折り曲げ部分に接して内側に配置された状態を示す。ヒンジ部4は、折り曲げ部分に、二か所の肉薄部10を設けた構造のものである。このような構造のものであることから、接続された容器部1および蓋部2を閉じる際に、ヒンジ部4は容易に折り曲げられることができ、しかもヒンジ部4は切断子5aにより容易に破断されることができる。
図3は、容器部1を蓋部2で閉じる前の状態であって、線状の切断子5aをヒンジ部4の折り曲げ部分に接して内側に配置した状態を示す。
【0025】
これらの容器部1、蓋部2、およびヒンジ部4は、使用目的に応じて種々の形状のものを採用することができ、通常、発泡スチロールなどの発泡性合成樹脂から一体成型される。ヒンジ部4の構造は、図2のものに限定されるものでなく、容器部1と蓋部2が、ヒンジ部4で容易に折り曲げられて閉蓋されることができ、しかもヒンジ部4を容易に破断できる構造のものであればよい。例えば、ヒンジ部4は、接続された容器部1と蓋部2とが容易に閉じられるように、フランジ部3a、3bより単に薄肉にしたものであってもよい。また切断子5aを用いてヒンジ部4をより容易に破断できるように、ヒンジ部4に、破断し易いミシン目状の切れ込みを設けてもよい。
【0026】
線状の切断子5aは、その両端が納豆容器Aから外方向に伸びて納豆容器Aに固定される。図1の納豆容器Aにおいては、切断子5aの両端は、小さな粘着紙6aで貼りつけて固定される。また図1に示されるように、その一端は、指で摘まんでヒンジ部4を破断する際に、指が滑らないように結び止めされてもよい。しかし、納豆容器Aが開蓋された後に、切断子5aが誤って内容物に混入しないように、また誤って口中に入ることがないように、その一端は該納豆容器Aに十分な強度で固定され、使用後の該納豆容器Aと共に確実に廃棄されることが好ましい。
【0027】
さらに、図1の線状の切断子5aがスポット熱溶着可能な合成樹脂製である場合には、図4に示すように、その一端は、フランジ部3bにスポット熱溶着することができる。スポット熱溶着することにより、切断子5aは、開蓋された後においても納豆容器Aに確実に固定される。しかも、納豆容器Aを製造する際に、スポット熱溶着という簡単な工程で端部を固定することができると共に、粘着紙で貼りつける工程が不要となる。この場合、切断子5aは、直接にスポット熱溶着できる素材である必要はなく、スポット熱溶着可能な素材を併用することにより、スポット熱溶着して固定することもできる。
【0028】
線状の切断子5aに替えて、環状の切断子5bを用いてもよい。この場合、環状の切断子5bの一部分は、該ヒンジ部4の折り曲げ部分に接して内側に挟み込まれ、ヒンジ部4から外方向に伸びる円弧部分は、納豆容器Aに固定される(図5)。環状の切断子5bを用いた場合には、指が掛かり易いことから、ヒンジ部4をより容易に破断することができる。また、環状の切断子5bがスポット熱溶着可能な場合には、その一部分をスポット熱溶着して固定することもできる。
【0029】
また、線状の切断子5a、環状の切断子5bのいずれを用いる場合も、切断子は、ヒンジ部4の折り曲げ部分に接するように内側に配置されることが肝要である。折り曲げ部分に接しない場合には、使用時にヒンジ部4を容易に破断することが困難な場合がある。
【0030】
線状の切断子5aを、ヒンジ部4の折り曲げ部分に接するように内側に確実に保持するために、線状の切断子5aは、その少なくとも一部分が粘着性物質で被覆され、上記納豆容器Aのヒンジ部4の折り曲げ部分に沿って内側に粘着されることができる。さらに、線状の切断子5aは、その少なくとも一部分が、テープ状の粘着性薄片を用いて上記納豆容器Aのヒンジ部4の折り曲げ部分に沿って内側に粘着されることができる。
【0031】
環状の切断子5bについても、同様にして、環状の切断子5bをヒンジ部4の折り曲げ部分に接するように内側に確実に保持することができる。
図6に、少なくとも一部分に粘着性物質を被覆した環状の切断子5bをヒンジ部4の折り曲げ部分に接して内側に粘着させた状態を示す。環状の切断子5bは主要部分のみを示す。
図7に、環状の切断子5bの少なくとも一部分を、テープ状の粘着性薄片9を用いてヒンジ部4の折り曲げ部分に接して内側に粘着させた状態を示す。図6と同様に、環状の切断子5bは主要部分のみを示す。
【0032】
線状の切断子5aを、ヒンジ部4の折り曲げ部分に接して内側に粘着することにより、線状の切断子5aは、ヒンジ部4の折り曲げ部分に沿って内側に確実に保持されることから、本発明の線状の切断子5aは、納豆容器Aを製造する際にヒンジ部4に容易に配置され、しかもヒンジ部4を破断する際に好都合に配置される。
【0033】
粘着性物質、および粘着性薄片の粘着力はいずれも、線状の切断子5aをヒンジ部4の折り曲げ部分に沿って内側に粘着して固定でき、かつヒンジ部4を破断する際に、線状の切断子5aが折り曲げ部分から容易に剥離可能なものであればよく、さらに粘着性薄片の粘着力は、ヒンジ部4を破断した後に、ヒンジ部4に粘着して残存する粘着性薄片がヒンジ部4から容易に剥離できる程度のものでよい。
【0034】
線状の切断子5aは、納豆容器Aを開蓋する際に、発泡スチロール製などのヒンジ部4を容易に破断できる強度を有すると共に、破断部分が小さな破片を生じて内容物に混入しないものであればよく、特段の材質、形状を必要としない。例えば、切断子5aは、適切な引張強度を有する植物繊維糸、合成樹脂糸、金属糸などを用いることができる。また、切断子5aは、糸状のものに限ることなく、ヒンジ部4を破断できるものであれば細長い扁平な形状のものでもよい。しかし、切断子5aは、使用後に、納豆容器Aと共に廃棄処理できる植物系または合成樹脂系のものであることが好ましい。併せて、切断子5aは、ヒンジ部4を破断する際に、指先を切傷しない素材、形態であることが肝要である。上記の各点から、適切な切断子5aとしては、例えば木綿糸、絹糸などの植物繊維糸、およびポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレンなどの合成樹脂糸、これらの撚糸、またはこれらの細い扁平形状のものが挙げられる。
なお、環状の切断子5bとしても、同様の材質、形状のものが選定できる。輪ゴムでも引張って伸びが大きすぎなければ採用できる。
【0035】
本発明の納豆容器Aを開蓋する際には、納豆容器Aの外側に固定された線状の切断子5aの端部を指先で摘まんで剥がし、ヒンジ部4に対して斜め方向にヒンジ部4を切断するように引くことによって、ヒンジ部4は容易に破断される。線状の切断子5aがスポット熱溶着可能な合成樹脂製である場合も、同様にして、ヒンジ部4は容易に破断される。
環状の切断子5bが用いられる場合には、納豆容器Aの外側にある円弧部分に指を掛けて、納豆容器Aに対して水平方向に外側へ引くことによって、ヒンジ部4は容易に破断される。
【0036】
次いで、蓋部2のヒンジ部4を、容器部1の上方向にさらに押し開く(図8)。これにより、ヒンジ部4に対向するフランジ部3a、3bに位置するスポット熱融着部7a、7b、7cが容易に破断される。すなわち、本発明の納豆容器Aは、極めて容易に開蓋される。
【0037】
本発明の納豆容器Aは、発泡性合成樹脂を一体成型して製造する工程aと、上記切断子5aの少なくとも一部分に粘着性物質を被覆する工程bと、粘着性物質を被覆した切断子5aをヒンジ部4の折り曲げ部分に接して内側に粘着させる工程cとを含むようにして、容易に製造することができる。また、本発明の納豆容器Aは、発泡性合成樹脂を一体成型して製造する工程aと、テープ状の粘着性薄片9を用いて、切断子5aの少なくとも一部分をヒンジ部4の折り曲げ部分に接して内側に粘着させる工程dとを含むようにして、容易に製造することもできる。
【0038】
なお、本発明の納豆容器Aを上記の方法により製造した後、少量の納豆、付帯されるカラシやだし汁などの調味料を収納すれば、食卓用納豆として市場に提供できるが、食卓用納豆を製造する工程に、上記の工程bおよび工程c、または工程dを組み込んでもよい。
【実施例】
【0039】
以下、本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明はこれら実施例によってのみ限定されるものではない。
【実施例1】
【0040】
上面が開放され、納豆を収納する容器部、蓋部、該容器部と該蓋部を接続するヒンジ部から構成される方形の納豆容器を、発泡スチレンから一体成型し、線状の切断子を該ヒンジ部の折り曲げ部分に接して内側に配置して本発明の納豆容器を製造した。
【0041】
図1は、納豆容器Aの斜視図であって、納豆容器Aは、容器部1が蓋部2で閉じられた状態を表す。蓋部2は、四周にフランジ部3bを有し、その一辺は、ヒンジ部4を介して容器部1のフランジ部3aに接続される。容器部1と蓋部2は、ヒンジ部4で折り曲げられて、納豆容器Aは閉じられる。また、線状の切断子5aは、#20のボタン用木綿糸であり、ヒンジ部4の折り曲げ部分に接して内側に配置され、その一方の端部は、ヒンジ部4から外方向に伸びて、蓋部2に粘着テープ6aを用いて固定される。また、他方の端部は、蓋部2に粘着テープ6bを用いて固定され、その先端は指で摘まんだ際に滑らないように結び止めされている。さらに、容器部1が蓋部2で封緘される際に、ヒンジ部4に対向する位置にある容器部1と蓋部2の両フランジ部3a、3bは、7a、7b、7cでスポット熱溶着される。
図2は、図1の納豆容器AをS−Sで切断したときのヒンジ部分の断面図であり、線状の切断子5aが、ヒンジ部4の折り曲げ部分に接して内側に配置された状態を示す。図3に、線状の切断子5aをヒンジ部4に配置した状態を示す。線状の切断子5aを配置した後、納豆容器Aは封緘される。
【0042】
実施例1の納豆容器Aを開蓋する場合は、納豆容器Aを片手で持ち、切断子5aを挟み込んだヒンジ部4の端部を上下から指で軽く押さえ、別の手指を用いて納豆容器Aに固定された粘着テープ6bを蓋部2から剥がした後、切断子5aの結び止めされた端部を摘まみ、ヒンジ部4を切断するように引いて、ヒンジ部4を破断する。
【0043】
図8は、納豆容器Aの側面図であり、ヒンジ部4を破断した後、蓋部2のヒンジ部4を矢印方向にさらに持ち上げた状態を表す。持ち上げることにより、ヒンジ部4に対向するフランジ部のスポット熱溶着部7a、7b、7cは、容易に破断される。すなわち、納豆容器Aは容易に開蓋される。
【実施例2】
【0044】
実施例2は、実施例1の納豆容器Aにおいて、合成樹脂製の線状の切断子5cを用いたものである。切断子5cの一端を、フランジ部3bの端部表面7dにスポット熱溶着して固定したものである。図3に斜視図を示す。切断子5cは納豆容器Aに熱融着して固定されることから、使用後に納豆容器Aと共に確実に廃棄される。
【0045】
実施例2の納豆容器Aは、実施例1と同様にして開蓋することができる。納豆容器Aを片手で持ち、切断子5cがスポット熱溶着されたヒンジ部4の一端を上下から指で軽く押さえ、別の手指を用いて、納豆容器Aに固定された粘着テープ6dを蓋部2から剥がし、ヒンジ部4を切断するように引いて、ヒンジ部4を破断する。破断した後、図8に示すように、蓋部3のヒンジ部4を矢印方向にさらに持ち上げることにより、ヒンジ部4に対向するフランジ部のスポット熱溶着部7a、7b、7cは、容易に破断される。すなわち、納豆容器Aは容易に開蓋される。
【実施例3】
【0046】
実施例3は、実施例1の納豆容器Aにおいて、線状の切断子5aに替えて環状の切断子5bを配置したものである。図5に斜視図を示す。環状の切断子5bは、タコ糸5号の両端を結糸したものである。環状の切断子5bの主要部分は、実施例1と同様に、容器部1と蓋部2とを接続するヒンジ部4の折り曲げ部分に接して内側に配置される。他の部分は、ヒンジ部4から外方向に伸びて円弧をなし、蓋部2に粘着テープ6cで固定される。
【0047】
実施例3の納豆容器Aを開蓋する場合は、納豆容器Aを片手で持ち、切断子5bを挟み込んだヒンジ部4の一端を上下から指で軽く押さえ、別の手指を用いて、納豆容器Aに固定された粘着テープ6cを蓋部2から剥がし、ヒンジ部4から外方向に延びる切断子5bの円弧部分に指を掛け、ヒンジ部4を切断するように引いて、ヒンジ部4を破断する。破断した後、図8に示すように、蓋部3のヒンジ部4を矢印方向にさらに持ち上げることにより、ヒンジ部4に対向するフランジ部のスポット熱溶着部7a、7b、7cは、容易に破断される。すなわち、納豆容器Aは容易に開蓋される。
【実施例4】
【0048】
実施例4は、実施例1の納豆容器Aにおいて、線状の切断子5aに替えて環状の切断子5bを配置したものであり、しかも環状の切断子5bの少なくとも一部分が粘着性物質で被覆され、上記納豆容器Aのヒンジ部4の折り曲げ部分に接して内側に粘着されたものである。図6に斜視図を示す。図6には、環状の切断子5bの一部分が示される。粘着性物質は、切断子5bおよびヒンジ部4のいずれにも粘着性があるものを使用する。
【0049】
実施例4の納豆容器Aは、実施例3と同様にして開蓋することができる。納豆容器Aを片手で持ち、切断子5bを挟み込んだヒンジ部4の一端を上下から指で軽く押さえ、別の手指を用いて、納豆容器Aに固定された粘着テープ6cを蓋部2から剥がし、ヒンジ部4から外方向に延びる切断子5bの円弧部分に指を掛け、ヒンジ部4を切断するように引いて、ヒンジ部4を破断する。破断した後、図8に示すように、蓋部3のヒンジ部4を矢印方向にさらに持ち上げることにより、ヒンジ部4に対向するフランジ部のスポット熱溶着部7a、7b、7cは、容易に破断される。すなわち、納豆容器Aは容易に開蓋される。
【実施例5】
【0050】
実施例5は、実施例1の納豆容器Aにおいて、線状の切断子5aに替えて環状の切断子5bを配置したものであり、しかも環状の切断子5bの少なくとも一部分を、テープ状の粘着性薄片9を用いてヒンジ部4の折り曲げ部分に接して内側に粘着されたものである。図7に斜視図を示す。図7には、実施例4におけると同様に、環状の切断子5bの一部分が示される。テープ状の粘着性薄片9は、切断子5bおよびヒンジ部4のいずれにも粘着性があるものを使用する。
【0051】
実施例5の納豆容器Aは、実施例3と同様にして開蓋することができる。納豆容器Aを片手で持ち、切断子5bを挟み込んだヒンジ部4の一端を上下から指で軽く押さえ、別の手指を用いて、納豆容器Aに固定された粘着テープ6cを蓋部2から剥がし、ヒンジ部4から外方向に延びる切断子5bの円弧部分に指を掛け、ヒンジ部4を切断するように引いて、ヒンジ部4を破断する。破断した後、図8に示すように、蓋部3のヒンジ部4を矢印方向にさらに持ち上げることにより、ヒンジ部4に対向するフランジ部のスポット熱溶着部7a、7b、7cは、容易に破断される。すなわち、納豆容器Aは容易に開蓋される。
【産業上の利用可能性】
【0052】
本発明は、少量の納豆を例えばカラシやだし汁と共に収納して食卓に供する納豆容器として有用である。極めて容易に開蓋できることから、健常者はもとより、高齢者、幼児、あるいは手に障がいのある者などが取り扱いやすい納豆容器として有効に利用できる。しかも、納豆容器の製造工程を複雑にすることなく、安価に製造できる。
【符号の説明】
【0053】
A 納豆容器
1 容器部
2 蓋部
3a、3b フランジ部
4 ヒンジ部
5a、5c 線状の切断子
5b 環状の切断子
6a、6b、6c、6d 粘着テープ
7a、7b、7c、7d スポット熱溶着部
8 粘着性物質を被覆した部分
9 テープ状の粘着性薄片
10 肉薄部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8