【解決手段】ロック機構10は、第1部材50に鉛直面内で揺動可能な状態で支持され、下端にロック片21が突設されている振り子部材20と、前記第1部材の下方に配置され、前記第1部材に対して接近及び離間可能な第2部材60と、前記ロック片の移行路面内の前記第2部材に配備される規制部材30と、前記振り子部材を案内する案内部材40と、を具え、前記規制部材は、下向きに開口部を有するロック溝31と、前記移行路面内における前記開口部の一方の第1開口縁35から斜め上向きに傾斜した第1ガイド面と、前記第1ガイド面の頂部から前記ロック溝の上方を通って斜め下向きに傾斜し前記開口部の他方の第2開口縁36まで延びる第2ガイド面33と、を具える。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記の通り、特許文献1の自動掛脱装置は、部品点数が多く、バネ手段及び押圧弾性体を必須構成とする。また、フック体と操作片の2部品を少なくとも揺動又はスライド可能に装着する必要がある。さらに、押圧弾性体は、その弾性によって押圧子を移動させるように構成しているから、動作抵抗となることがある。
【0005】
本発明の目的は、簡便な機構で動作信頼性の高いロック機構、これを具えた把持機構、並びに、ロック機構のロック及びアンロック方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係るロック機構は、
吊り下げ支持される第1部材と、
前記第1部材に鉛直面内で揺動可能な状態で支持され、下端にロック片が突設されている振り子部材であって、無負荷状態における前記ロック片の位置を中立位置とする、振り子部材と、
前記第1部材の下方に配置され、前記第1部材に対して接近及び離間可能な第2部材と、
前記ロック片の移行路面内の前記第2部材に配備され、前記振り子部材の揺動を規制する規制部材と、
前記規制部材の近傍に配置され、前記振り子部材を案内する案内部材と、
を具え、
前記規制部材は、下向きに開口部を有するロック溝と、前記移行路面内における前記開口部の一方の第1開口縁から斜め上向きに傾斜した第1ガイド面と、前記第1ガイド面の頂部から前記ロック溝の上方を通って斜め下向きに傾斜し前記開口部の他方の第2開口縁まで延びる第2ガイド面と、を具え、
前記開口部は、前記第1開口縁と前記第2開口縁が、前記移行路面内における前記中立位置の鉛直下から同じ方向にずれた位置に形成されており、前記第1ガイド面及び前記第2ガイド面は、前記中立位置の鉛直下を通るように形成され、
前記案内部材は、前記開口部の下方に設けられている。
【0007】
前記第1開口縁は、前記第2開口縁よりも下方位置まで延びた構成とすることができる。
【0008】
前記案内部材は、前記第2開口縁の下方に形成することができる。
【0009】
本発明に係る把持装置は、
上記構成のロック機構を具えた把持装置であって、
基端が第1部材にリンク片を介して接続され、先端に爪の形成された爪リンクであって、前記基端と前記先端との間で前記第2部材に回動可能に支持される爪リンクを具える。
【0010】
本発明に係るロック機構のロック及びアンロック方法は、
上記構成のロック機構のロック及びアンロック方法であって、
前記第1部材が前記第2部材に対して上方に離間した状態から、前記第1部材を前記第2部材に接近させることによって、前記ロック片が、前記第2ガイド面に当接し、前記第2ガイド面に沿って下方に移動し、前記第2ガイド面を越えて前記案内部材に当たり、
前記第1部材を前記第2部材から上方に離間させることによって、前記ロック片が、前記開口部から前記ロック溝に侵入して前記第1部材と前記第2部材がロックされ、
前記第1部材と前記第2部材が前記ロックされた状態から、前記第1部材を前記第2部材に下方に接近させることによって、前記ロック片は前記第1開口縁から前記ロック溝を脱出し、
前記第1部材を前記第2部材から上方に離間させることによって、前記ロック片は、前記第1ガイド面に沿って上方に移動し、前記規制部材から離間して、前記第1部材と前記第2部材がアンロックされる。
【発明の効果】
【0011】
本発明のロック機構によれば、第1部材を第2部材に接近、離間させることで、第1部材と第2部材のロック、アンロックを行なうことができる。本発明のロック機構における可動部品は振り子部材だけであるので、構成の簡略化、部品点数の削減を図ることができる。また、バネや弾性体は必須ではないので、これらが動作抵抗になることもない。
【0012】
加えて、上記のように、第1部材と第2部材の接近、離間によりロック、アンロック状態を実現できるから、これらを動作させるための負荷は不要であり、メンテナンス性を向上できる。
【0013】
上記ロック機構を具えた把持装置は、第1部材と第2部材の接近、離間により爪片の接近、離間させて容器のリム部又はリム部の周縁の胴部を把持、解放することができる。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明に係るロック機構10を把持装置70に適用した一実施形態について、図面を参照しながら説明を行なう。まず、ロック機構10について説明した後、当該ロック機構10を搭載した把持装置70について説明する。
【0016】
図1及び
図2は、本発明の一実施形態に係るロック機構10の説明図である。ロック機構10は、第1部材50と第2部材60を上下方向に接近、離間させるだけで、相対的な位置が固定されるロック状態と、相対的に移動可能なアンロック状態を採ることのできる機構である。なお、以下の説明において、「上下、左右」とは
図1を紙面手前から見たときにおける上下、左右を意味し、また、紙面手前側を「前」、紙面奥側を「後」と称する。
【0017】
第1部材50は、第2部材60の上側に配置され、後述する把持装置70にて説明するようなスライド機構80(
図7、
図8参照)によって上下方向に相対的に接近、離間可能となっている。また、第1部材50と第2部材60はリンク61,64(
図5及び
図8参照)によって連繋されており、その最大離間距離、最大接近距離がリンク61,64によって規定されている。
【0018】
第1部材50は、たとえばホイストを介して吊り下げ支持され、アンロック状態において第1部材50を吊り上げることで、第1部材50は第2部材60に対して上側に離間し、第2部材60をドラム缶90の上面91や床面などに接地した状態で第1部材50を吊り下ろすことで第1部材50は第2部材60に対して接近する。
【0019】
第1部材50と第2部材60のロック、アンロックを行なうロック機構10は、
図1及び
図2に示すように、第1部材50に設けられたロック片21を有する振り子部材20と、第2部材60に設けられた規制部材30及び案内部材40を具える。
【0020】
振り子部材20は、第1部材50から突設された軸22に一端が揺動自在に支持され、他端に軸状のロック片21が突設された細長板状部材とすることができる。ロック片21は、本実施形態では、前方に向けて突出している。
【0021】
振り子部材20は、軸22を中心に揺動自在に支持されているから、無負荷の状態では、自重によって軸22の鉛直下にロック片21が位置した中立位置に復元する。この状態における軸22とロック片21を結ぶ仮想線を「中立線M」(
図1参照)と称する。また、ロック片21が揺動する面であって、次に説明する規制部材30が設けられた面を「移行路面P」(
図2参照)と称する。
【0022】
そして、振り子部材20は、第1部材50と第2部材60の接近、離間に伴って次に説明する規制部材30及び案内部材40にロック片21が当たり、その周縁を倣って移動する。
【0023】
規制部材30及び案内部材40は、第2部材60に装着される。図示の実施形態では、規制部材30及び案内部材40は、第2部材60から上向きに突設された取付板67の後面側に装着している。規制部材30は、ロック片21の移行路面Pに形成されている。また、案内部材40もロック片21の移行路面Pに突出するよう後方に向けて突出している。本実施形態では、
図2に示すように、規制部材30は、取付板67に対してスペーサー68を介して間隔を存した状態で取り付けられており、移行路面Pを移行するロック片21の先端が取付板67に接触しないようにしている。
【0024】
規制部材30は、下向きに開口部34を有するロック溝31と、第1ガイド面32及び第2ガイド面33を有する。第1ガイド面32は、ロック溝31の開口部34の一方の開口縁(「第1開口縁35」と称する)から斜め上向きに延びており、第2ガイド面33は、第1ガイド面32の頂部から、ロック溝31の上方を通って、他方の開口縁(「第2開口縁36」と称する)まで延びている。
【0025】
ロック溝31は、
図1に示すように、開口部34が中立線Mからずれた位置、すなわち、第1開口縁35及び第2開口縁36が、中立線Mに対して同じ方向にずれた位置に開口部34を有する。図示の実施形態では、開口部34は、左側にずれた位置に開口している。なお、第1開口縁35及び第2開口縁36の具体的な位置については後述する。
【0026】
第1ガイド面32は、第1開口縁35から中立線Mを跨いで斜め上向きに延びており、第1部材50を第2部材60に対して離間した状態で、ロック片21が、第1ガイド面32の頂部を越えて揺動可能となるよう形成されている。
【0027】
第2ガイド面33は、上記した第1ガイド面32の頂部から、中立線Mを跨いで斜め下向きに傾斜しており、その下端は第2開口縁36まで延びている。
【0028】
図示の実施形態では、第1ガイド面32と第1開口縁35、第2ガイド面33と第2開口縁36、第1ガイド面32と第2ガイド面33の接続部分は、夫々丸みをもったテーパー形状としている。
【0029】
また、規制部材30のロック溝31の下方には、取付板67から案内部材40が後方に向けて突出している。
【0030】
案内部材40は、ロック溝31の下方であって、第1開口縁35と第2開口縁36の間に形成されている。図示の実施形態では、案内部材40は、丸軸状の部材である。
【0031】
ロック溝31の第1開口縁35及び第2開口縁36と、案内部材40の位置関係を
図1に示す。
【0032】
案内部材40は、その頂点が第1開口縁35と第2開口縁36の間に位置し、第2開口縁36寄りに形成されている。そして、第1開口縁35と案内部材40との間には、斜め方向にロック片21が通過可能な隙間W1が形成されている。また、第2開口縁36と案内部材40との間には、左右方向にロック片21が通過可能な隙間W2が設けられている。さらに、第1開口縁35の下端と案内部材40の上端との間には、第2開口縁36と案内部材40との隙間W2を通ったロック片21が、振り子部材20が復元力によって中立位置となる中立線M側に振り子運動したときに、第1開口縁35側のロック溝31の内面に当接するよう、第1開口縁35の先端と案内部材40の頂部はロック片21が直接通過することのできない間隔W3を有している。間隔W3は、ロック片21の通過を許容しない幅であればよく、第1開口縁35が案内部材40の頂部よりも下方に延びる構成とすることもできる。
【0033】
上記構成のロック機構10について、第1部材50と第2部材60の接近、離間に伴うロック、アンロックの動作説明について、
図3及び
図4を用いて説明する。
【0034】
図3は、アンロック状態からロック状態に至る過程を示す図である。
図3(a)に示すように、第1部材50と第2部材60が最も離間した状態から説明を始める。
図3(a)では、振り子部材20は規制部材30の上方に位置し、ロック片21が中立位置である中立線M上に位置している。この状態から、第1部材50を第2部材60に接近するよう降下させると、
図3(b)に示すように、振り子部材20はロック片21が中立線M上に位置したまま、規制部材30に接近し、規制部材30の第2ガイド面33と当接する。
【0035】
さらに第1部材50を第2部材60に接近させると、振り子部材20は軸22に揺動自在に支持されているから、ロック片21は、
図3(c)に示すように、振り子部材20を左方向に傾けながら、第2ガイド面33に倣って左斜め下に移動する。
図3(c)は、ロック片21が第2ガイド面33の先端までスライド下降した状態を示している。
【0036】
第1部材50がさらに下降すると、ロック片21は第2ガイド面33の先端を越える。そして、振り子部材20は
図3(d)に示すように中立位置に向けて中立線M側に振り戻される。しかしながら、ロック片21の移行経路には、案内部材40が突設されているから、ロック片21は、
図3(d)に示すように案内部材40に当接し、振り子部材20の揺動は阻止される。なお、
図3(d)は、第1部材50が第2部材60に対して最も接近した状態を示している。
【0037】
第1部材50と第2部材60が最も接近した状態(
図3(d))から、第1部材50を吊り上げると、第1部材50の上昇に伴って、振り子部材20も上向きに引っ張られる。これにより、ロック片21も上向きに移動し、
図3(e)に示すように、案内部材40を越えて、第2開口縁36と案内部材40との隙間W2(
図1参照)を通過する。これにより、再度振り子部材20は中立位置に向けて中立線M側に振り戻されるが、第1開口縁35の先端と案内部材40の頂部はロック片21が直接通過することのできない間隔W3(
図1参照)に形成されているから、ロック片21は、ロック溝31の第1開口縁35側の内面に当接し、振り子部材20の揺動は阻止される。
【0038】
そして、この状態から、さらに第1部材50を僅かに上昇させると、
図3(f)に示すように、ロック片21はロック溝31の内面に沿って上昇し、ロック溝31に嵌まる。ロック片21がロック溝31に嵌った状態で、ロック片21は、規制部材30に対してそれ以上、上昇方向に移動することはできないから、第1部材50と第2部材60の相対的な位置が固定されたロック状態となる。この状態で、第1部材50をさらに上昇させると、第1部材50と第2部材60は、ロック片21がロック溝31に嵌った状態であるから、第2部材60は第1部材50と共に上昇する。
【0039】
ロック状態の第1部材50と第2部材60について、ロックを解除し、アンロック状態に至るには、第1部材50と第2部材60を再度接近させればよい。
【0040】
ロック状態からアンロック状態に至る過程は、ロック状態の
図4(a)(
図3(f)と同じ)から、第1部材50を下降させ、まず、第2部材60を接地させる。そして、さらに第1部材50を下降させると、第1部材50は第2部材60に接近する。ロック片21は振り子部材20の復元力によって、
図4(b)に示すように、ロック片21はロック溝31に沿いながら、第1開口縁35側に移動する。
【0041】
そして、第1部材50をさらに下降させると、ロック片21は第1開口縁35と案内部材40の隙間W1(
図1参照)を通り、ロック溝31を脱して第1開口縁35を越える。これにより、
図4(c)に示すように、ロック片21が振り子部材20の復元力によって、中立位置である中立線M上に復帰し、ロック片21が中立位置となる中立線M方向に移動する。
図4(c)は、
図3(d)と同様、第1部材50が第2部材60に対して最も接近した状態である。
【0042】
この状態から、第1部材50を吊り上げると、振り子部材20は、ロック片21が中立位置である中立線M上に位置したまま上昇し、中立線M上にある第1ガイド面32に当接する。その結果、ロック片21は、
図4(d)に示すように、第1ガイド面32に倣って振り子部材20を傾けながら上昇する。
【0043】
続いて、
図4(d)に示すように、ロック片21が第1ガイド面32の頂部まで達すると、ロック片21は第1ガイド面32を越え、振り子部材20の復元力によって、
図4(e)に示すように、ロック片21は中立位置である中立線M上に振り戻される。この状態からさらに第1部材50を上昇させることで、
図4(f)に示すように、第2部材60に対し第1部材50が最も離間したアンロック状態になる。
図4(f)は、
図3(a)と同じ状態である。
【0044】
図3、
図4に示すように、本発明のロック機構10は、第1部材50と第2部材60の接近、離間を繰り返すことで、振り子部材20が揺動し、第1部材50と第2部材60をロック状態(
図3(f))とアンロック状態(
図4(f))に容易に切り替えることができる。振り子部材20は、バネ付勢や外部からの負荷がなくても動作する簡便な構成であるから、メンテナンス性にもすぐれる。
【0045】
上記構成のロック機構10は、ドラム缶90の如き容器の把持装置70に適用することができる。
図5乃至
図8は、把持装置70の一実施形態を示している。本実施形態に係る把持装置70によって把持されるドラム缶90は、
図8に示すようにリム部92が上面91の周縁に突設され、リム部92の直下の胴部93がリム部92よりも凹んだものを例示できる。
【0046】
把持装置70は、第1部材50と第2部材60の接近、離間によって開閉する爪63,63を有しており、爪63,63を閉じることでドラム缶90の胴部93を掴み、爪63,63を開くことでドラム缶90を解放ができる。ロック機構10は、第1部材50と第2部材60が接近し、爪63,63が開いた状態で第1部材50と第2部材60をロック状態で維持する。
【0047】
把持装置70は、
図5等に示すように、たとえばホイストを介して装着される吊り具取付部51を有する第1部材50と、第1部材50の下方に第2部材60を具える。
【0048】
第1部材50と第2部材60は、鉛直方向に接近、離間可能となるようにスライド機構80(
図7、
図8参照)によって連繋されている。そして、これら第1部材50と第2部材60は、後述するロック機構10によって相対的な距離が離れないロック状態と、相対的な距離が可変であるアンロック状態を採るようにしている。
【0049】
第1部材50は、横方向に延びる杆体であって、上部に吊り具取付部51、中央にロック機構10を構成する振り子部材20、スライド機構80が配備されている。
図7及び
図8では、スライド機構80は、下方に延びるスライド軸81である。また、第1部材50の左右には、ドラム缶90を把持する爪リンク64,64が連繋されるリンク片61,61を軸支している。
【0050】
第2部材60も横方向に延びる杆体であって、中央にロック機構10を構成する規制部材30と案内部材40と、スライド機構80が配備されている。図示の実施形態では、スライド機構80は、第1部材50のスライド軸81が嵌まるスライド筒82である。また、第2部材60の左右には、ドラム缶90を把持する爪63,63を具えた爪リンク64,64が軸支されると共に、その下面側に把持装置70をドラム缶90に対して位置決めする位置決め片65,65が形成されている。
【0051】
爪リンク64,64は、先端に爪63,63が形成されたリンク部材である。爪リンクの基端側は、第1部材50に支持されたリンク片61,61に軸支されており、略中央位置が第2部材60の杆体に軸支されている。
【0052】
位置決め片65,65は、ドラム缶90に対して把持装置70を位置決めするためのものであり、ドラム缶90の上面91に嵌まる間隔に設けられている。
【0053】
そして、第1部材50と第2部材60が接近している
図5の状態では、リンク片61,61が爪リンク64,64の基端を内側に引き込むことで、爪63,63が外側に張り出した開き状態となる。この第1部材50と第2部材60との接近状態において、ロック機構10は、
図3(f)、
図4(a)のロック状態にあり、第1部材50と第2部材60は接近状態で維持されている。そして、把持装置70は、以下の要領でドラム缶90を把持することができる。
【0054】
まず、ロック状態にある把持装置70をドラム缶90の上方に移動させ、位置決め片65,65をリム部92の上面91の内側に位置するように下降させる。第2部材60の位置決め片65,65がドラム缶90の上面91に当たると、第2部材60はこれ以上の下降が不能となる。
【0055】
この状態から、第1部材50をさらに下降させると、ロック機構10は
図4(a)から
図4(c)の要領でロック片21がロック溝31から脱し、ロックが解除される。この過程で爪リンク64,64の基端がさらに内側に引っ張られることから、爪63,63は最大の開き状態となる。
【0056】
そして、第1部材50と第2部材60のロックが解除された状態から(
図4(c))、第1部材50を吊り上げると、第1部材50は第2部材60から離間する。第1部材50が第2部材60に対して相対的に離間することで、爪リンク64,64は、第1部材50によってリンク片61,61が引き上げられ、爪リンク64,64は、
図8の矢印方向に回動する。これにより、爪63,63が閉じ方向に移動して、ドラム缶90のリム部92の下方に位置する胴部93に押し当てられる。この状態で把持装置70を上方に引き上げることで、爪63,63は胴部93に押し当てられながら、リム部92に引っ掛かって、ドラム缶90が把持される。この過程で、ロック機構10は、
図4(c)から
図4(f)の状態に至る。
【0057】
この状態で、さらに第1部材50を吊り上げることで、ドラム缶90は浮き上がり、運搬を行なうことができる。
【0058】
把持装置70に把持されたドラム缶90を解放するには、第1部材50を下降させ、吊り下げ状態のドラム缶90を接地させる。第1部材50を第2部材60に接近させることで、リンク片61,61が爪リンク64,64の基端を内側に引っ張るから、爪63,63が外側に離間して、ドラム缶90の把持を解く。このとき、ロック機構10は、
図3(a)から
図3(d)の状態に至る。第1部材50を第2部材60に最も接近するまで下降させることで、爪63,63は最大の開き状態となり、この状態から第1部材50を吊り上げることで、第1部材50は第2部材60に対して僅かに上昇し、
図3(e)に示すようにロック片21がロック溝31に嵌まって、
図5に示すように、第1部材50と第2部材60の相対的な位置が固定される。
【0059】
そして、第1部材50をそのまま上昇させることで、爪63,63が開いたまま、第2部材60は第1部材50と共にドラム缶90から離れる。
【0060】
上記のように、本発明のロック機構10を具えた把持装置70は、ドラム缶90に対して接近、離間させるだけで、ドラム缶90を把持、解放することができ、操作が非常に簡便である。
【0061】
上記説明は、本発明を説明するためのものであって、特許請求の範囲に記載の発明を限定し、或いは範囲を限縮するように解すべきではない。また、本発明の各部構成は、上記実施例に限らず、特許請求の範囲に記載の技術的範囲内で種々の変形が可能であることは勿論である。
【0062】
たとえば、ロック機構10は、
図3及び
図4に示す原理によって、第1部材50と第2部材60のロック、アンロックを行なうことができれば、振り子部材20、ロック片21、規制部材30、案内部材40の形状は上記実施形態に限定されるものではない。
【0063】
また、
図9に示すように、振り子部材20を中立位置に復元する方向に付勢するバネ23等の付勢手段を装着することもできる。
【0064】
図10に示すように、振り子部材20は軸22から下向きに延びる弾性体24とし、その先端にロック片21を装着した構成としても構わない。弾性体24は、板バネやトーションスプリング等を例示できる。これにより、詳細な説明は省略するが、上記実施形態の
図3(a)〜(f)及び
図4(a)〜(f)と対応する
図10(a)〜(f)及び
図11(a)〜(f)に示すように、第1部材50と第2部材60の接近、離間によって、ロック状態、アンロック状態を繰り返す構成を実現できる。
【0065】
さらに、本発明のロック機構10は、上記構成の把持装置70のみに適用されるものではなく、また、把持装置70の構成も上記実施形態に限定されないことは勿論である。たとえば、爪63,63は、左右一対であるが、90度、或いは、120度ずつずれた位置に形成すべく、第1部材50及び第2部材60を三叉又は十文字状に構成することもできる。
【0066】
加えて、本発明のロック機構10は、把持装置70に限らず、第1部材50と第2部材60を相対的に接近、離間させることで、ロック、アンロックを行なう装置や機構に適用することもできる。この種装置として、足踏み式のローリフト台車を例示できる。