特開2017-210520(P2017-210520A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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  • 特開2017210520-硬化性組成物 図000033
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2017-210520(P2017-210520A)
(43)【公開日】2017年11月30日
(54)【発明の名称】硬化性組成物
(51)【国際特許分類】
   C08L 83/05 20060101AFI20171102BHJP
   C08L 83/07 20060101ALI20171102BHJP
   C08L 83/12 20060101ALI20171102BHJP
   C09K 3/10 20060101ALI20171102BHJP
【FI】
   C08L83/05
   C08L83/07
   C08L83/12
   C09K3/10 G
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
【全頁数】20
(21)【出願番号】特願2016-103278(P2016-103278)
(22)【出願日】2016年5月24日
(71)【出願人】
【識別番号】000000387
【氏名又は名称】株式会社ADEKA
(74)【代理人】
【識別番号】100096714
【弁理士】
【氏名又は名称】本多 一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100124121
【弁理士】
【氏名又は名称】杉本 由美子
(74)【代理人】
【識別番号】100176566
【弁理士】
【氏名又は名称】渡耒 巧
(74)【代理人】
【識別番号】100180253
【弁理士】
【氏名又は名称】大田黒 隆
(72)【発明者】
【氏名】小田切 慶一
(72)【発明者】
【氏名】斉木 智秋
(72)【発明者】
【氏名】沢本 大介
(72)【発明者】
【氏名】福永 博哉
【テーマコード(参考)】
4H017
4J002
【Fターム(参考)】
4H017AA03
4H017AA24
4H017AA25
4H017AA27
4H017AB15
4H017AC01
4H017AC03
4H017AC10
4H017AC11
4H017AC15
4H017AC16
4H017AC17
4H017AC19
4H017AD06
4H017AE05
4J002CP042
4J002CP04X
4J002CP084
4J002CP141
4J002CP14W
4J002CP183
4J002EX016
4J002FD010
4J002FD040
4J002FD050
4J002FD070
4J002FD080
4J002FD156
4J002GN00
4J002GQ00
4J002GQ01
4J002GQ05
(57)【要約】
【課題】高電圧でも部分放電が起こりにくい、半導体封止用の硬化性組成物を提供する。
【解決手段】(A)成分として1分子中に少なくとも2つのSiH基を有するポリシロキサン化合物と、(B)成分として1分子中に少なくとも2つのビニル基を有するポリシロキサン化合物と、(C)成分としてヒドロシリル化触媒と、(D)成分として下記一般式(1)で表されるポリエーテル変性ポリシロキサン化合物と、を含有し、(D)成分の含量が、(A)成分と前記(B)成分との合計量100質量部に対して、0.001〜0.25質量部である硬化性組成物である。

【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)成分として1分子中に少なくとも2つのSiH基を有するポリシロキサン化合物と、(B)成分として1分子中に少なくとも2つのビニル基を有するポリシロキサン化合物と、(C)成分としてヒドロシリル化触媒と、(D)成分として下記一般式(1)で表されるポリエーテル変性ポリシロキサン化合物と、を含有し、前記(D)成分の含量が、前記(A)成分と前記(B)成分との合計量100質量部に対して、0.001〜0.25質量部であることを特徴とする硬化性組成物。
(式中、R、R、RおよびRは各々独立して炭素原子数1〜4のアルキル基または炭素原子数6〜10のアリール基を表し、RおよびRは各々独立して炭素原子数1〜4のアルキル基を表し、Rは炭素原子数6〜10のアリール基を表し、Xは炭素原子数1〜4のアルキル基、炭素原子数6〜10のアリール基または下記一般式(2)で表される基を表し、Xは下記一般式(2)で表される基を表し、aおよびaはa+aが3〜1000の数となる0〜1000の数を表し、bは0〜1000の数を表す。但し、bが0の数の場合、Xは下記一般式(2)で表される基を表す。)
(式中、Rは炭素原子数1〜4のアルキレン基を表し、Xは水素原子、炭素原子数1〜4のアルキル基またはアセチル基を表し、cは1〜100の数を表し、dは0〜100の数を表す。)
【請求項2】
前記(A)成分が、下記一般式(3)で表されるポリシロキサン化合物である請求項1記載の硬化性組成物。
(式中、R、R10およびR13は各々独立して炭素原子数1〜4のアルキル基または炭素原子数6〜10のアリール基を表し、R11およびR12は各々独立して炭素原子数1〜4のアルキル基を表し、R14は炭素原子数6〜10のアリール基を表し、Xは水素原子または下記一般式(4)で表される基を表し、eおよびeはe+eが5〜5000となる0〜5000の数を表す。)
(式中、R15は炭素原子数1〜4のアルキル基または炭素原子数6〜10のアリール基を表し、fは2〜5の数を表す。)
【請求項3】
前記(B)成分が、下記一般式(5)で表されるポリシロキサン化合物である請求項1または2記載の硬化性組成物。
(式中、R16、R17およびR20は各々独立して炭素原子数1〜4のアルキル基または炭素原子数6〜10のアリール基を表し、R18およびR19は各々独立して炭素原子数1〜4のアルキル基を表し、R21は炭素原子数6〜10のアリール基を表し、Xはビニル基または下記一般式(6)で表される基を表し、gおよびgはg+gが5〜5000となる0〜5000の数を表す。)
(式中、R22は炭素原子数1〜4のアルキル基または炭素原子数6〜10のアリール基を表し、hは2〜5の数を表す。)
【請求項4】
さらに、(E)成分としてフッ素変性シリコーンオイルを含有する請求項1〜3のうちいずれか一項記載の硬化性組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体の封止剤、特に、パワー半導体の封止剤として有用な硬化性組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、パワー半導体の封止剤には、エポキシ樹脂やシリコーン樹脂が使用されている。シリコーン樹脂はエポキシ樹脂よりも高価格であるが、耐熱性、耐候性、電気絶縁性等に優れていることから、より過酷な条件となる場合にはシリコーン樹脂系の封止剤が使用される。パワー半導体の封止剤には、エポキシ変性シリコーン樹脂(例えば、特許文献1,2を参照)や、付加硬化型シリコーン樹脂(例えば、特許文献3〜12を参照)が使用されている。
【0003】
現在、パワー半導体にはシリコン半導体が使用されている。炭化ケイ素(以下、「SiC」とも称する)はシリコンと比較して、バンドギャップが広い(シリコンの約3倍)、絶縁破壊強度が高い(シリコンの約10倍)、高耐熱性等の特性があることから、パワー半導体のシリコンをSiCに置換えることにより、活性層を非常に薄くでき、高耐電圧、低損失で、使用可能温度が高く、大電流の制御が可能になる。そのため、次世代のパワー半導体としてSiC半導体が注目されており、その封止剤として付加硬化型シリコーン樹脂(例えば、特許文献10を参照)が検討されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平5−102344号公報
【特許文献2】特開2015−187209号公報
【特許文献3】特開2005−325174号公報
【特許文献4】特開2005−350494号公報
【特許文献5】特開2006−073950号公報
【特許文献6】特開2008−266483号公報
【特許文献7】特開2008−266484号公報
【特許文献8】特開2009−212342号公報
【特許文献9】特開2011−063688号公報
【特許文献10】WO2012/014560号パンフレット
【特許文献11】特開2014−216558号公報
【特許文献12】特開2014−229817号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
付加硬化型シリコーン樹脂の封止剤は、耐熱性、電気絶縁性、可撓性等に優れているが、印加電圧が高くなると、導体基板と封止剤との間の領域で部分放電が起こる場合があり、SiC半導体を高電圧で使用する上での課題となっていた。
【0006】
そこで本発明の目的は、高電圧下でも部分放電が起こりにくい、半導体封止用の硬化性組成物を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは上記問題について鋭意研究した結果、組成物中に特定のポリエーテル変性シリコーンを配合することにより上記課題が解決できることを見出して、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明の硬化性組成物は、(A)成分として1分子中に少なくとも2つのSiH基を有するポリシロキサン化合物と、(B)成分として1分子中に少なくとも2つのビニル基を有するポリシロキサン化合物と、(C)成分としてヒドロシリル化触媒と、(D)成分として下記一般式(1)で表されるポリエーテル変性ポリシロキサン化合物と、を含有し、前記(D)成分の含量が、前記(A)成分と前記(B)成分との合計量100質量部に対して、0.001〜0.25質量部であることを特徴とするものである。
(式中、R、R、RおよびRは各々独立して炭素原子数1〜4のアルキル基または炭素原子数6〜10のアリール基を表し、RおよびRは各々独立して炭素原子数1〜4のアルキル基を表し、Rは炭素原子数6〜10のアリール基を表し、Xは炭素原子数1〜4のアルキル基、炭素原子数6〜10のアリール基または下記一般式(2)で表される基を表し、Xは下記一般式(2)で表される基を表し、aおよびaはa+aが3〜1000の数となる0〜1000の数を表し、bは0〜1000の数を表す。但し、bが0の数の場合、Xは下記一般式(2)で表される基を表す。)
(式中、Rは炭素原子数1〜4のアルキレン基を表し、Xは水素原子、炭素原子数1〜4のアルキル基またはアセチル基を表し、cは1〜100の数を表し、dは0〜100の数を表す。)
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、高電圧下でも部分放電が起こりにくい、半導体封止用の硬化性組成物を実現することが可能となった。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】部分放電試験方法を示す模式的断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施の形態について、詳細に説明する。
本発明の硬化性組成物は、(A)成分として1分子中に少なくとも2つのSiH基を有するポリシロキサン化合物と、(B)成分として1分子中に少なくとも2つのビニル基を有するポリシロキサン化合物と、(C)成分としてヒドロシリル化触媒と、(D)成分として下記一般式(1)で表されるポリエーテル変性ポリシロキサン化合物と、を含有する。
【0011】
<(A)成分>
本発明に係る(A)成分としての、1分子中に少なくとも2つのSiH基を有するポリシロキサン化合物について説明する。本発明の(A)成分としては、例えば、下記一般式(3)で表されるポリシロキサン化合物、下記一般式(7)で表される直鎖状ポリシロキサン、下記一般式(8)で表される環状ポリシロキサン化合物、下記一般式(8)で表される環状ポリシロキサン化合物を分子中に2つまたは3つのビニル基を有する化合物で連結したプレポリマー化合物等が挙げられる。
【0012】
(式中、R、R10およびR13は各々独立して炭素原子数1〜4のアルキル基または炭素原子数6〜10のアリール基を表し、R11およびR12は各々独立して炭素原子数1〜4のアルキル基を表し、R14は炭素原子数6〜10のアリール基を表し、Xは水素原子または下記一般式(4)で表される基を表し、eおよびeはe+eが5〜5000となる0〜5000の数を表す。)
【0013】
(式中、R15は炭素原子数1〜4のアルキル基または炭素原子数6〜10のアリール基を表し、fは2〜5の数を表す。)
【0014】
(式中、R23、R24、R27およびR29は各々独立して炭素原子数1〜4のアルキル基または炭素原子数6〜10のアリール基を表し、R25およびR26は各々独立して炭素原子数1〜4のアルキル基を表し、R28は炭素原子数6〜10のアリール基を表し、Xは水素原子、炭素原子数1〜4のアルキル基または炭素原子数6〜10のアリール基を表し、iおよびiはi+iが3〜1000の数となる0〜1000の数を表し、jは0〜1000の数を表す。但し、jが0〜1の数の場合、Xは水素原子を表す。)
【0015】
(式中、R30〜R32は各々独立して炭素原子数1〜4のアルキル基または炭素原子数6〜10のアリール基を表し、kは2〜6の数を表し、lはk+lが3〜6の数となる0〜4の数を表す。)
【0016】
一般式(3)において、R、R10およびR13は各々独立して炭素原子数1〜4のアルキル基または炭素原子数6〜10のアリール基を表し、R11およびR12は各々独立して炭素原子数1〜4のアルキル基を表し、R14は炭素原子数6〜10のアリール基を表す。ここで、炭素原子数1〜4のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、sec−ブチル基、イソブチル基、t−ブチル基等が挙げられ、炭素原子数6〜10のアリール基としては、例えば、フェニル基、エチルフェニル基、トリル基、クメニル基、キシリル基、プソイドクメニル基、メシチル基、t−ブチルフェニル基、フェネチル基等が挙げられる。以下において同様である。RおよびR10としては、耐熱性が高く、製造も容易であることから、メチル基、エチル基が好ましく、メチル基がさらに好ましい。R11およびR12としては、耐熱性が高いことから、メチル基、エチル基が好ましく、メチル基がさらに好ましい。R13としては、耐熱性が高いことから、メチル基、エチル基、フェニル基が好ましく、フェニル基がさらに好ましい。R14としては、耐熱性が高いことから、フェニル基が好ましい。
【0017】
一般式(3)において、eおよびeはe+eが5〜5000となる0〜5000の数を表す。e+eの数があまりに小さい場合は十分な可撓性が得られず、またあまりに大きい場合にはハンドリング性が低下することから、e+eは10〜2000が好ましく、15〜1500がさらに好ましく、20〜1000が最も好ましい。また、eに対するeの割合が大きい場合には耐熱性が向上するが、あまりに大きい場合には可撓性が低下することから、e:eは、100:0〜70:30が好ましく、95:5〜80:20がさらに好ましい。Xは水素原子または一般式(4)で表される基を表す。なお、繰り返し単位がeのユニットおよびeのユニットの重合形式は、ブロック状でもよいしランダム状でもよい。
【0018】
一般式(4)において、R15は炭素原子数1〜4のアルキル基または炭素原子数6〜10のアリール基を表す。R15としては、耐熱性が高く、原料の入手が容易であることから、メチル基が好ましい。fは2〜5の数を表し、耐熱性が高く、原料の入手が容易であることから、2〜4が好ましく、3〜4がさらに好ましく、3が最も好ましい。
【0019】
一般式(7)において、R23、R24、R27およびR29は各々独立して炭素原子数1〜4のアルキル基または炭素原子数6〜10のアリール基を表し、R25およびR26は各々独立して炭素原子数1〜4のアルキル基を表す。R23〜R26としては、耐熱性が良好で、可撓性の高い硬化物が得られることから、メチル基、エチル基が好ましく、メチル基がさらに好ましい。R27としては、耐熱性が良好であることから、メチル基、フェニル基が好ましく、可撓性が良好であることからメチル基が更に好ましい。R29としては、耐熱性が良好で、原料の入手も容易であることからメチル基、フェニル基が好ましく、メチル基がさらに好ましい。R28は炭素原子数6〜10のアリール基を表し、耐熱性が良好であることから、フェニル基が好ましい。
【0020】
一般式(7)において、iおよびiはi+iが3〜1000の数となる0〜1000の数を表し、jは0〜1000の数を表す。Xは水素原子、炭素原子数1〜4のアルキル基または炭素原子数6〜10のアリール基を表す。但し、jが0〜1の数の場合、Xは水素原子を表す。iに対するiの割合が大きい場合には耐熱性が向上するが、あまりに大きい場合には可撓性が低下することから、i:iは、100:0〜70:30が好ましく、95:5〜80:20がさらに好ましい。なお、繰り返し単位がiのユニット、iのユニットおよびjのユニットの重合形式は、ブロック状でもよいしランダム状でもよい。
【0021】
一般式(8)において、R30〜R32は各々独立して炭素原子数1〜4のアルキル基または炭素原子数6〜10のアリール基を表す。R30〜R31としては、原料の入手が容易であることから、メチル基が好ましい。R32としては、耐熱性が良好となることから、フェニル基が好ましい。kは2〜6の数を表し、lはk+lが3〜6の数となる0〜4の数を表す。製造が容易であることから、k+lは3〜5が好ましく、3〜4がさらに好ましく、4が最も好ましい。
【0022】
本発明に係る(A)成分が、一般式(8)で表される環状ポリシロキサン化合物である場合には、耐熱性が良好であることから、lは1〜2の数であることが好ましい。一方、本発明に係る(A)成分が、一般式(8)で表される環状ポリシロキサン化合物を分子中に2つまたは3つのビニル基を有する化合物で連結したプレポリマー化合物である場合には、lは0の数であることが好ましい。
【0023】
本発明に係る(A)成分が、一般式(8)で表される環状ポリシロキサン化合物を分子中に2つまたは3つのビニル基を有する化合物で連結したプレポリマー化合物である場合の、分子中に2つまたは3つのビニル基を有する化合物とは、例えば、下記一般式(9)〜(14)で表される化合物が挙げられる。
【0024】
(式中、mは1または2の数を表す。)
【0025】
(式中、nは1または2の数を表す。)
【0026】
(式中、R33は炭素原子数1〜4のアルキル基、グリシジル基またはアリル基を表す。)
【0027】
(式中、R34およびR35は各々独立して炭素原子数1〜4のアルキル基または炭素原子数6〜10のアリール基を表す。)
【0028】
(式中、R36〜R38は各々独立して炭素原子数1〜4のアルキル基または炭素原子数6〜10のアリール基を表し、oおよびoは各々独立して0〜5の数を表し、pは1または2の数を表す。)
【0029】
(式中、R39およびR40は各々独立して炭素原子数1〜4のアルキル基または炭素原子数6〜10のアリール基を表し、qは0〜5の数を表す。)
【0030】
一般式(9)で表される化合物は、1分子中に2つまたは3つのビニル基を有する化合物である。一般式(9)において、mは1または2の数を表す。mが1の数である一般式(9)で表される化合物としては、1,2−ジビニルベンゼン、1,3−ジビニルベンゼン、1,4−ジビニルベンゼンが挙げられる。mが2の数である一般式(9)で表される化合物としては、1,2,4−トリビニルベンゼン、1,3,5−トリビニルベンゼンが挙げられる。
【0031】
一般式(10)で表される化合物は、1分子中に2つまたは3つのビニル基を有する化合物である。一般式(10)において、nは1または2を表す。nが1の数である一般式(10)で表される化合物としては、1,2−ジビニルシクロヘキサン、1,3−ジビニルシクロヘキサン、1,4−ジビニルシクロヘキサンが挙げられる。nが2の数である一般式(10)で表される化合物としては、1,2,4−トリビニルシクロヘキサン、1,3,5−トリビニルシクロヘキサンが挙げられる。
【0032】
一般式(11)で表される化合物は、1分子中に2つまたは3つのビニル基を有する化合物である。一般式(11)において、R33は炭素原子数1〜4のアルキル基、グリシジル基またはアリル基を表す。R33としては、メチル基、エチル基、グリシジル基、アリル基が好ましい。一般式(11)で表される化合物の中で、好ましい化合物としては、1,3−ジアリル−5−メチルイソシアヌレート、1,3−ジアリル−5−エチルイソシアヌレート、1,3−ジアリル−5−グリシジルイソシアヌレート、1,3,5−トリアリルイソシアヌレート等が挙げられる。
【0033】
一般式(12)で表される化合物は、1分子中に2つのビニル基を有する化合物である。一般式(12)において、R34およびR35は各々独立して炭素原子数1〜4のアルキル基または炭素原子数6〜10のアリール基を表す。一般式(12)で表される化合物の中で、好ましい化合物としては、1,2−ビス(ジメチルビニルシリル)ベンゼン、1,3−ビス(ジメチルビニルシリル)ベンゼン、1,4−ビス(ジメチルビニルシリル)ベンゼン、1,2−ビス(ジエチルビニルシリル)ベンゼン、1,3−ビス(ジエチルビニルシリル)ベンゼン、1,4−ビス(ジエチルビニルシリル)ベンゼン等が挙げられ、1,2−ビス(ジメチルビニルシリル)ベンゼン1,4−ビス(ジメチルビニルシリル)ベンゼンが好ましく、1,4−ビス(ジメチルビニルシリル)ベンゼン1,1,3,3−テトラメチルジシロキサンがさらに好ましい。
【0034】
一般式(13)で表される化合物は、1分子中に2つまたは3つのビニル基を有する化合物である。一般式(13)において、R36〜R38は各々独立して炭素原子数1〜4のアルキル基または炭素原子数6〜10のアリール基を表し、oおよびoは各々独立して0〜5の数を表し、pは1または2の数を表す。pが1の数である一般式(13)で表される化合物の中で、好ましい化合物としては、ジメチルジビニルシラン、ジエチルジビニルシラン、ジフェニルジビニルシラン、1,1,3,3−テトラメチル−1,3−ジビニルジシロキサン、1,1,3,3−テトラエチル−1,3−ジビニルジシロキサン、1,1,3,3−テトラフェニル−1,3−ジビニルジシロキサン、1,1,5,5−テトラメチル−3,3−ジフェニル−1,5−ジビニルトリシロキサン、1,1,7,7−テトラメチル−3,3,5,5−テトラフェニル−1,7−ジビニルトリシロキサン等が挙げられ、ジメチルジビニルシラン、ジエチルジビニルシラン、ジフェニルジビニルシランが好ましく、1,1,3,3−テトラメチル−1,3−ジビニルジシロキサンがさらに好ましい。pが2の数である一般式(13)で表される化合物の中で、好ましい化合物としては、メチルトリビニルシラン、エチルトリビニルシラン、フェニルトリビニルシラン、1,1,3,5,5−ペンタメチル−1,3,5−トリビニルトリシロキサン、1,1,5,5−テトラメチル−3−フェニル−1,3,5−トリビニルトリシロキサン、トリス(ジメチルビニルシロキシ)メチルシラン、トリス(ジメチルビニルシロキシ)フェニルシラン等が挙げられる。
【0035】
一般式(14)で表される化合物は、1分子中に2つのビニル基を有する化合物である。一般式(14)において、R39およびR40は各々独立して炭素原子数1〜4のアルキル基または炭素原子数6〜10のアリール基を表し、qは0〜5の数を表す。一般式(14)で表される化合物の中で、好ましい化合物としては、1,1,3,3−テトラメチル−1,3−ジビニルジシロキサン、1,1,3,3,5,5−メキサメチル−1,5−ジビニルトリシロキサン、1,1,5,5−テトラメチル−3,3−ジフェニル−1,5−ジビニルトリシロキサン等が挙げられる。
【0036】
上記一般式(9)〜(14)で表される化合物の中でも、原料の入手の容易さと、反応性から、一般式(9)または一般式(10)で表わされる化合物が好ましい。
【0037】
一般式(8)で表される環状ポリシロキサン化合物を分子中に2つまたは3つのビニル基を有する化合物で連結したプレポリマー化合物の分子量は、耐熱性およびハンドリング性の点から、質量平均分子量で1000〜10万であることが好ましく、3000〜7万であることがさらに好ましく、5000〜5万であることが最も好ましい。なお、本発明において、質量平均分子量とは、テトラヒドロフランを溶媒としてGPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィ;Gel Permeation Chromatography)分析を行った場合のポリスチレン換算の質量平均分子量をいう。また、質量平均分子量は重量平均分子量という場合もある。
【0038】
一般式(8)で表される環状ポリシロキサン化合物は、分子中に2つまたは3つのビニル基を有する化合物と、SiH基とビニル基とをヒドロシリル化反応させることにより連結される。このヒドロシリル化反応は、白金系触媒を用いて行うことが好ましい。白金系触媒としては、例えば、塩化白金酸、塩化白金酸とアルコール、アルデヒド、ケトン等との錯体、白金−オレフィン錯体、白金−カルボニルビニルメチル錯体(Ossko触媒)、白金−ジビニルテトラメチルジシロキサン錯体(KaRstedt触媒)、白金−シクロビニルメチルシロキサン錯体、白金−オクチルアルデヒド錯体、白金−ホスフィン錯体(例えば、Pt[P(C、PtCl[P(C、Pt[P(C]、白金−ホスファイト錯体(例えば、Pt[P(OC)、Pt[P(OC)、ジカルボニルジクロロ白金等が挙げられる。触媒の使用量は反応性の点から、各原料の合計量の5質量%以下が好ましく、0.0001〜1.0質量%がさらに好ましく、0.001〜0.1質量%が最も好ましい。ヒドロシリル化の反応条件は特に限定されず、上記触媒を使用して従来公知の条件で行なえばよいが、反応速度の点から、室温(25℃)〜130℃で行うことが好ましく、反応時にトルエン、ヘキサン、メチルイソブチルケトン、シクロペンタノン、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート等の従来公知の溶媒を使用してもよい。
【0039】
本発明に係る(A)成分としては、耐熱性の高い硬化物が得られることから、一般式(3)で表されるポリシロキサン化合物が好ましい。一般式(3)において、Xが水素原子の場合には硬度の低い硬化物が得られ、一般式(4)で表される基の場合には架橋度が上がり硬度の高い硬化物が得られることから、本発明の硬化性組成物が使用される用途により適宜選択すればよく、Xが水素原子である化合物と、Xが一般式(4)で表される基である化合物とを併用してもよい。
【0040】
<(B)成分>
次に、本発明に係る(B)成分である1分子中に少なくとも2つのビニル基を有するポリシロキサン化合物について説明する。本発明に係る(B)成分としては、例えば、下記一般式(5)で表されるポリシロキサン化合物、下記一般式(15)で表される直鎖状ポリシロキサン、下記一般式(16)で表される環状ポリシロキサン化合物等が挙げられる。
【0041】
(式中、R16、R17およびR20は各々独立して炭素原子数1〜4のアルキル基または炭素原子数6〜10のアリール基を表し、R18およびR19は各々独立して炭素原子数1〜4のアルキル基を表し、R21は炭素原子数6〜10のアリール基を表し、Xはビニル基または下記一般式(6)で表される基を表し、gおよびgはg+gが5〜5000となる0〜5000の数を表す。)
(式中、R22は炭素原子数1〜4のアルキル基または炭素原子数6〜10のアリール基を表し、hは2〜5の数を表す。)
【0042】
(式中、R41、R42、R45およびR47は各々独立して炭素原子数1〜4のアルキル基または炭素原子数6〜10のアリール基を表し、R43およびR44は各々独立して炭素原子数1〜4のアルキル基を表し、R46は炭素原子数6〜10のアリール基を表し、Xは水素原子、炭素原子数1〜4のアルキル基または炭素原子数6〜10のアリール基を表し、rおよびrはr+rが3〜1000の数となる0〜1000の数を表し、sは0〜1000の数を表す。但し、sが0〜1の数の場合、Xはビニル基を表す。)
【0043】
(式中、R48〜R50は各々独立して炭素原子数1〜4のアルキル基または炭素原子数6〜10のアリール基を表し、tは2〜6の数を表し、uはt+uが3〜6の数となる0〜4の数を表す。)
【0044】
一般式(5)において、R16、R17およびR20は各々独立して炭素原子数1〜4のアルキル基または炭素原子数6〜10のアリール基を表す。R18およびR19は各々独立して炭素原子数1〜4のアルキル基を表し、R21は炭素原子数6〜10のアリール基を表す。R16およびR17としては、耐熱性が高く、製造も容易であることから、メチル基、エチル基が好ましく、メチル基がさらに好ましい。R18およびR19としては耐熱性が高いことから、メチル基、エチル基が好ましく、メチル基がさらに好ましい。R20としては、耐熱性が高いことから、メチル基、エチル基、フェニル基が好ましく、フェニル基がさらに好ましい。R21としては耐熱性が高いことから、フェニル基が好ましい。
【0045】
およびgはg+gが5〜5000となる0〜5000の数を表す。g+gの数があまりに小さい場合には十分な可撓性が得られず、またあまりに大きい場合にはハンドリング性が低下することから、g+gは10〜2000が好ましく、15〜1500がさらに好ましく、20〜1000が最も好ましい。また、gに対するgの割合が大きい場合には耐熱性が向上するが、あまりに大きい場合には可撓性が低下することから、g:gは、100:0〜70:30が好ましく、90:10〜75:25がさらに好ましい。Xはビニル基または下記一般式(6)で表される基を表す。なお、繰り返し単位がgのユニットおよびgのユニットの重合形式はブロック状でもよいしランダム状でもよい。
【0046】
一般式(6)において、R22は炭素原子数1〜4のアルキル基または炭素原子数6〜10のアリール基を表す。R22としては、耐熱性が高く、原料の入手が容易であることから、メチル基が好ましい。hは2〜5の数を表し、耐熱性が高く、原料の入手が容易であることから、2〜4が好ましく、3〜4がさらに好ましく、3が最も好ましい。
【0047】
一般式(15)において、R41、R42、R45およびR47は各々独立して炭素原子数1〜4のアルキル基または炭素原子数6〜10のアリール基を表し、R43およびR44は各々独立して炭素原子数1〜4のアルキル基を表す。R41〜R44としては、耐熱性が良好で、可撓性の高い硬化物が得られることから、メチル基、エチル基が好ましく、メチル基がさらに好ましい。R45としては、耐熱性が良好であることからメチル基、フェニル基が好ましく、可撓性が良好であることからメチル基がさらに好ましい。R47としては、耐熱性が良好で、原料の入手も容易であることからメチル基、フェニル基が好ましく、メチル基がさらに好ましい。R46は炭素原子数6〜10のアリール基を表し、耐熱性が良好であることからフェニル基が好ましい。
【0048】
一般式(15)において、rおよびrはr+rが3〜1000の数となる0〜1000の数を表し、sは0〜1000の数を表す。Xは水素原子、炭素原子数1〜4のアルキル基または炭素原子数6〜10のアリール基を表す。但し、sが0〜1の数の場合、Xはビニル基を表す。rに対するrの割合が大きい場合には耐熱性が向上するが、あまりに大きい場合には可撓性が低下することから、r:rは、100:0〜70:30が好ましく、90:10〜75:25がさらに好ましい。なお、繰り返し単位がrのユニット、rのユニットおよびsのユニットの重合形式はブロック状でもよいしランダム状でもよい。
【0049】
一般式(16)において、R48〜R50は各々独立して炭素原子数1〜4のアルキル基または炭素原子数6〜10のアリール基を表す。R48〜R49としては原料の入手が容易であることからメチル基が好ましい。R50としては耐熱性が良好となることからフェニル基が好ましい。tは2〜6の数を表し、uはt+uが3〜6の数となる0〜4の数を表す。製造が容易であることから、t+uは3〜5が好ましく、3〜4がさらに好ましく、4が最も好ましい。
【0050】
本発明に係る(B)成分としては、耐熱性の高い硬化物が得られることから、一般式(5)で表されるポリシロキサン化合物が好ましい。一般式(5)において、Xがビニル基の場合には硬度の低い硬化物が得られ、一般式(6)で表される基の場合には架橋度が上がり硬度の高い硬化物が得られることから、本発明の硬化性組成物が使用される用途により適宜選択すればよく、Xがビニル基である化合物と、Xが一般式(6)で表される基である化合物とを併用してもよい。
【0051】
本発明の硬化性組成物は、SiH基とビニル基とのヒドロシリル化により硬化することから、(B)成分の配合量は、本発明の硬化性組成物中のSiH基とビニル基との反応比に応じて決めればよい。本発明の硬化性組成物では、SiH基に対するビニル基の比はモル比で、0.7〜2が好ましく、0.8〜1.5がさらに好ましく、0.8〜1.3が最も好ましい。
【0052】
<(C)成分>
次に、本発明に係る(C)成分であるヒドロシリル化触媒について説明する。ヒドロシリル化触媒としては、反応性が良好であることから、白金系触媒が好ましい。白金系触媒としては、例えば、塩化白金酸、塩化白金酸とアルコール、アルデヒド、ケトン等との錯体、白金−オレフィン錯体、白金−カルボニルビニルメチル錯体(Ossko触媒)、白金−ジビニルテトラメチルジシロキサン錯体(KaRstedt触媒)、白金−シクロビニルメチルシロキサン錯体、白金−オクチルアルデヒド錯体、白金−ホスフィン錯体(例えば、Pt[P(C、PtCl[P(C、Pt[P(C])、白金−ホスファイト錯体(例えば、Pt[P(OC)、Pt[P(OC)、ジカルボニルジクロロ白金等が挙げられる。触媒の使用量は反応性の点から、各原料の合計量の5質量%以下が好ましく、0.0001〜1.0質量%がさらに好ましく、0.001〜0.1質量%が最も好ましい。ヒドロシリル化の反応条件は特に限定されず、上記触媒を使用して従来公知の条件で行えばよいが、反応速度の点から、室温(25℃)〜130℃で行うことが好ましく、反応時にトルエン、ヘキサン、メチルイソブチルケトン、シクロペンタノン、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート等の従来公知の溶媒を使用してもよい。
【0053】
<(D)成分>
次に(D)成分である前記一般式(1)で表されるポリエーテル変性ポリシロキサン化合物について説明する。一般式(1)において、R、R、RおよびRは各々独立して炭素原子数1〜4のアルキル基または炭素原子数6〜10のアリール基を表し、RおよびRは各々独立して炭素原子数1〜4のアルキル基を表す。R〜Rとしては、耐熱性が良好で、可撓性の高い硬化物が得られることから、メチル基、エチル基が好ましく、メチル基がさらに好ましい。Rとしては、耐熱性が良好であることから、メチル基、フェニル基が好ましく、可撓性が良好であることからメチル基がさらに好ましい。Rとしては、耐熱性が良好で、原料の入手も容易であることからメチル基、フェニル基が好ましく、メチル基がさらに好ましい。Rは炭素原子数6〜10のアリール基を表し、耐熱性が良好であることからフェニル基が好ましい。
【0054】
一般式(1)において、Xは炭素原子数1〜4のアルキル基、炭素原子数6〜10のアリール基または一般式(2)で表される基を表し、Xは一般式(2)で表される基を表す。aおよびaはa+aが3〜1000の数となる0〜1000の数を表し、bは0〜1000の数を表す。但し、bが0の数の場合、Xは一般式(2)で表される基を表す。aに対するaの割合が大きい場合には可撓性が低下することから、a+aは、100:0〜70:30が好ましく、100:0〜80:20がさらに好ましい。なお、繰り返し単位がaのユニット、aのユニットおよびbのユニットの重合形式はブロック状でもよいしランダム状でもよい。
【0055】
一般式(2)において、Rは炭素原子数1〜4のアルキレン基を表す。炭素原子数1〜4のアルキレン基としては、メチレン基、エチレン基、1−メチルエチレン基、2−メチルエチレン基、プロピレン基、ブチレン基等が挙げられる。Rとしては、合成が容易であることからプロピレン基が好ましい。Xは水素原子、炭素原子数1〜4のアルキル基またはアセチル基を表し、耐電圧性が向上することから、水素原子、メチル基、アセチル基が好ましく、水素原子、メチル基がさらに好ましく、メチル基が最も好ましい。cは1〜100の数を表し、dは0〜100の数を表す。耐電圧性が向上することから、c+dは5〜100が好ましく、10〜70がさらに好ましく、15〜50が最も好ましい。また、c:dは100:0〜50:50が好ましく、98:2〜60:40がさらに好ましく、95:5〜70:30が最も好ましい。なお、繰り返し単位がcのユニットおよびdのユニットの重合形式はブロック状でもよいしランダム状でもよい。
【0056】
本発明の硬化性組成物における(D)成分の含量は、(A)成分と(B)成分との合計量100質量部に対して、0.001〜0.25質量部である。(D)成分の含量が0.001質量部よりも少ない場合および0.25質量部よりも多い場合は、部分放電の抑制効果が得られない。(D)成分の含量は、(A)成分と(B)成分との合計量100質量部に対して、0.005〜0.2質量部が好ましく、0.01〜0.15質量部がさらに好ましく、0.02〜0.15質量部が最も好ましい。
【0057】
<(E)成分>
本発明の硬化性組成物は、部分放電の抑制効果が向上することから、さらに、(E)成分としてフッ素変性シリコーンオイルを含有することが好ましい。フッ素変性シリコーンオイルはポリジメチルシロキサンの一部のメチル基がフロロアルキル基で置換された化合物であり、例えば、下記一般式(17)で表される化合物が挙げられる。
【0058】
(式中、xは0〜1000の数を表し、yは1〜1000を表す。)
【0059】
フッ素変性シリコーンオイルの市販品としては、例えば、信越化学工業のFL−100(商品名)、FA−630(商品名)、ワッカー・ケミー社のAF98(商品名)、ダウコーニング社のFS1265(商品名)等が挙げられる。
【0060】
(E)成分の含量があまりに少ない場合には、部分放電の抑制効果が向上せず、またあまりに多い場合には添加量に見合う効果の向上が得られないことから、(E)成分の含量は、(A)成分と(B)成分との合計量100質量部に対して、0.001〜0.1質量部が好ましく、0.01〜0.05質量部が更に好ましく、0.02〜0.04質量部が最も好ましい。
【0061】
本発明の硬化性組成物には、この他、任意成分として無機微粉末、耐候性付与剤を配合してもよい。本発明の硬化性組成物が無機微粉末を含有する場合は、本発明の硬化性組成物の流動性やチクソトロピー性が改良されるとともに、本発明の硬化物の熱伝導性を改良し放熱性を付与することができる。無機微粉末としては、例えば、フュームドシリカ、沈降法シリカ等のシリカ類;石英、マイカ、モンモリロナイト、けい石、珪藻土類、セリサイト、カオリナイト、フリント、長石粉、蛭石、アタパルジャイト、タルク、ミネソタイト、パイロフィライト等の鉱物類;窒化ケイ素、窒化ホウ素、窒化アルミニウム等の金属窒化物;酸化カルシウム、酸化マグネシウム、酸化チタン、酸化アルミニウム、酸化亜鉛、酸化ベリリウム等の金属酸化物;硫酸カルシウム、硫酸バリウム等の金属硫酸塩;炭化ケイ素、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、炭酸亜鉛が挙げられる。無機微粉末は、本発明の各成分との配合性を高めるために、無機微粉末の表面をシランカップリング剤、チタンカップリング剤、アルミニウムカップリング剤等で処理してもよい。中でも、シリカ類はチクソトロピー性の改良効果が高いことから好ましく、シリカ類と熱伝導性が高い無機微粉末、例えば、酸化アルミニウム、窒化ケイ素、窒化ホウ素、炭化ケイ素等と併用することが好ましい。
【0062】
無機微粉末の平均粒径は、配合性の点から、0.05〜500μmが好ましく、0.1〜200μmがさらに好ましく、0.2〜50μmが最も好ましい。また、本発明の硬化性組成物中の含有量は、耐熱性およびハンドリングの点から、(A)成分と(B)成分の合計量100質量部に対して、10〜200質量部が好ましく、20〜100質量部がさらに好ましい。
【0063】
本発明の硬化性組成物が耐候性付与剤を含有する場合の耐候性付与剤としては、光安定剤、紫外線吸収剤、フェノール系酸化防止剤、硫黄系酸化防止剤、リン系酸化防止剤等の周知一般に用いられているものを使用することができる。例えば、光安定剤としてはヒンダードアミン類が挙げられ、紫外線吸収剤としては、2−ヒドロキシベンゾフェノン類、2−(2−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール類、2−(2−ヒドロキシフェニル)−4,6−ジアリール−1,3,5−トリアジン類、ベンゾエート類、シアノアクリレート類が挙げられ、フェノール系酸化防止剤としてはトリエチレングリコール−ビス[3−(3−t−ブチル−5−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、ジブチルヒドロキシトルエン(BHT)、2,6−ジ−t−ブチル−パラクレゾール(DBPC)等が挙げられ、硫黄系酸化防止剤としては、ジアルキルチオジプロピオネート類、β−アルキルメルカプトプロピオン酸エステル類が挙げられ、リン系酸化防止剤としては、有機ホスファイト類が挙げられる。
【0064】
上記耐候性付与剤を使用する場合、その含有量は、耐熱性、電気特性、硬化性、力学特性、保存安定性、ハンドリング性の点から、本発明の硬化性組成物中において0.0001〜50質量%が好ましく、0.001〜10質量%がさらに好ましい。
【0065】
次に、本発明の硬化性組成物を硬化させた硬化物について説明する。当該硬化物は、上記で説明した本発明の硬化性組成物を硬化させたものである。硬化は(A)成分のSiH基と(B)成分のビニル基とが、(C)成分を触媒として反応することにより起こる。硬化させる場合の加熱温度は100〜250℃が好ましく、110〜200℃がさらに好ましく、130〜180℃が最も好ましい。硬化時間は0.1〜10時間が好ましく、0.5〜6時間がより好ましい。
【0066】
本発明の硬化性組成物によれば、可撓性に優れ、高温における電気絶縁性が良好で、高温で使用しても電気絶縁性の低下の少ない硬化物が得られることから、本発明の硬化性組成物は、特に、中〜高容量パワー半導体として用いられる炭化珪素パワー半導体や、これらを組み合わせたモジュールや装置の封止剤として好適に使用できる。このようなパワー半導体装置としては、GTO(Gate Turn Off)サイリスタ、絶縁ゲートバイポーラートランジスタ(IGBT:Insulated Gate Bipolar Transistor)、金属酸化物半導体電界効果トランジスタ(MOSFET:Metal Oxide Semiconductor Field Effect Transistor)、静電誘導トランジスタ(SIT:Static Induction Transistor)、ダイオード、パワートランジスタ、サイリスタ、トライアック等が挙げられる。また、モジュールとしては、汎用インバータモジュール、IPM(Intelligent Power Module)、自動車用インバータモジュール等が挙げられる。
【0067】
本発明の硬化性組成物を封止剤に使用したパワー半導体装置は、鉄道車両、重電プラント、ハイブリッド自動車、電気自動車、ロボット溶接機、エレベーター、エアコン、UPS(無停電電源装置)、汎用インバーター(汎用モーターの制御機)、洗濯機、電子レンジ、電磁調理器、扇風機、冷蔵庫、電気炊飯器、VTR、オーディオ機器等に使用される。
【実施例】
【0068】
以下、実施例により本発明をさらに説明するが、本発明はこれらの実施例によって限定されるものではない。なお、特に限定のない限り、実施例中の「部」や「%」は質量基準によるものである。
【0069】
(A)〜(D)成分として下記の化合物を用い、下記の表1に示す組成にて、実施例1〜10および比較例1〜10の硬化性組成物を調製した。なお、下記の表1中の(A)〜(D)成分の数字は質量部である。
【0070】
(A)成分
化合物A1:
化合物A2:
(B)成分
化合物B1:
(C)成分
C1:白金-ジビニルテトラメチルジシロキサン錯体
(D)成分
D1:
D2:
D3:
(E)成分
フッ素変性シリコーンオイル(信越化学工業製、商品名:FA−630)
【0071】
実施例1〜10および比較例1〜10の硬化性組成物について、下記の方法で、絶縁破壊電圧および部分放電開始電圧を測定した。結果を下記の表1に併せて示す。
【0072】
[絶縁破壊電圧]
縦100mm、横100mmのアルミ板に、膜厚が100μmになるように硬化性組成物を塗布し、100℃で60分加熱して硬化させたものを試験片として用いた。
JIS C2110−1(固体電気絶縁材料−絶縁破壊の強さの試験方法−第1部:商用周波数交流電圧印加による試験)に準拠し、絶縁破壊耐電圧試験機(安田精機製作所製、型式:Nо.175)を用いて、同径電極(直径25mm、高さ25mm、縁端部に半径3mmの丸み)を使用し、試験片の硬化物の面に対して50Hzの正弦波交流電圧を昇圧速度1000V/sで印加し、リーク電流が100mA検出された電圧を絶縁破壊電圧とした。絶縁破壊電圧が高いほど、電気絶縁性が高いことを示す。
【0073】
[部分放電開始電圧]
窒化アルミ製絶縁基板1(縦30mm、横40mm、厚さ0.6mm)の表裏両面に、ボンディングワイヤー3を有する銅製電極2(縦28mm、横38mm、厚さ0.3mm)を、端からの距離が縦横それぞれ1mmとなるように接着させた。これを、図1の概略図に示すように、樹脂製容器4に入れ、硬化性組成物5を注入し、100℃で60分加熱して硬化させたものを、試験片として用いた。銅製電線から、50Hzの正弦波交流電圧を昇圧速度1000V/sで印加し、リーク電流が初めて検出された電圧を部分放電開始電圧とした。部分放電開始電圧が高いほど、部分放電が起こりにくいことを示す。
【0074】
【表1】
【0075】
上記表中の結果から、組成物中に(D)成分を所定量で含有させることにより、部分放電が起こりにくくなり、特に(E)成分を含有すると、さらに部分放電が起こりにくくなることがわかる。これに対し、(D)成分の含量が0.3質量部と多くなると、部分放電は起こりにくいが絶縁破壊電圧が下がってしまい、パワー半導体の封止剤として重要な電気絶縁性が低下してしまうことがわかる。
【符号の説明】
【0076】
1 窒化アルミ製絶縁基板
2 銅製電極
3 ボンディングワイヤー
4 樹脂製容器
5 硬化性組成物
図1