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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2017-210761(P2017-210761A)
(43)【公開日】2017年11月30日
(54)【発明の名称】敷物および敷物の製造方法
(51)【国際特許分類】
   E04F 15/10 20060101AFI20171102BHJP
   E04F 15/02 20060101ALI20171102BHJP
【FI】
   E04F15/10 103A
   E04F15/02 A
   E04F15/10 104A
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2016-103406(P2016-103406)
(22)【出願日】2016年5月24日
(71)【出願人】
【識別番号】594177151
【氏名又は名称】株式会社大晃
(74)【代理人】
【識別番号】110000796
【氏名又は名称】特許業務法人三枝国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】小▲崎▼ 國人
【テーマコード(参考)】
2E220
【Fターム(参考)】
2E220AA45
2E220AB05
2E220AB07
2E220AC01
2E220AC11
2E220BA03
2E220BC03
2E220BC06
2E220EA04
2E220GB32Y
2E220GB39Y
(57)【要約】
【課題】撤去または取替の際にも設置箇所の床面に糊残りが発生することのない、防滑性を有する敷物およびその製造方法を提供する。
【解決手段】敷物10aは、基層11の敷設箇所に接する側の面に、弾性体の突部12が筋状に固設されている。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基層の敷設箇所に接する側の面に、弾性体の突部が筋状に固設されている敷物。
【請求項2】
前記基層が人工芝である、請求項1に記載の敷物。
【請求項3】
前記基層が、主層と、前記主層の下面に積層された前記弾性体からなる弾性層とを含み、
前記突部が前記弾性層から突出している、請求項1に記載の敷物。
【請求項4】
前記基層が、主層と、前記主層の下面に積層された凹凸層とを含み、
前記凹凸層の下面に形成されている凹凸の表面に、前記突部が固設されている、請求項1に記載の敷物。
【請求項5】
前記主層が人工芝である、請求項3または4に記載の敷物。
【請求項6】
前記凹凸層が、ポリ塩化ビニル(PVC)またはゴムチップで形成されている、請求項4または5に記載の敷物。
【請求項7】
前記突部の横断面の形状が、矩形、台形、半円形および三角形のいずれかである、請求項1から6のいずれかに記載の敷物。
【請求項8】
隣接する前記突部の前記横断面の形状が異なっている、請求項1から7のいずれかに記載の敷物。
【請求項9】
隣接する前記突部の前記横断面の高さまたは幅が異なっている、請求項1から8のいずれかに記載の敷物。
【請求項10】
前記弾性体が、シーリング材またはコーキング材である、請求項1から9のいずれかに記載の敷物。
【請求項11】
端部に切り欠きを有する器具の端部を押し付けながら前記器具または基層をスライドさせることにより、硬化すると弾性体になる滑り止め材を、前記基層の敷設箇所に接する側の面に筋状に塗布して、前記基層の前記敷設箇所に接する側の面に、前記弾性体の突部を筋状に固設するステップを含む、敷物の製造方法。
【請求項12】
前記弾性体の突部を筋状に固設するステップが、
前記滑り止め材を主層の下面に層状に塗布して、前記主層の下面に前記弾性体の弾性層を形成するサブステップと、
前記器具の端部を押し付けながら前記器具または前記主層をスライドさせることにより、前記滑り止め材を前記弾性層の表面に筋状に塗布して、前記弾性層の表面に前記弾性体の前記突部を筋状に固設するサブステップとを含む、請求項11に記載の敷物の製造方法。
【請求項13】
前記弾性体の突部を筋状に固設するステップが、
下面に凹凸が形成されている凹凸層を主層の下面に積層するサブステップと、
前記器具の端部を押し付けながら前記器具または前記主層をスライドさせることにより、前記滑り止め材を前記凹凸の表面に筋状に塗布して、前記凹凸の表面に前記弾性体の前記突部を筋状に固設するサブステップとを含む、請求項11に記載の敷物の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、防滑性を有する敷物およびその製造方法に関し、より詳細には、撤去または取替の際にも設置箇所の床面に糊残りが発生することのない、防滑性を有する敷物およびその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年では、スポーツ施設や遊技スペースに限らず、ビルの屋上や建物間の吹き抜けまたは中庭といった様々な場所に人工芝が敷設されている。このような施設やスペースでは、敷設箇所の地面または床面に人工芝を単に置いただけの、いわゆる置き敷き工法が一般的に採用されている。置き敷き工法によれば、人工芝が傷んだ場合の補修が簡単であるので、補修工期も短く、補修費用も安く済むという利点がある。しかしながら、置き敷き工法には人工芝にずれが生じ易いという問題がある。
【0003】
このようなずれの問題を解消するために、例えばテニスコートやフットサル場等のスポーツ施設では、人工芝を置き敷きした後に人工芝のパイル(芝葉)間に砂を充填し、砂の重みにより人工芝のずれを防止している。しかしながら、屋内のイベント空間や催し物会場といった、パイル間に砂を充填することができない敷設箇所では、上記したずれの問題を解消することができない。このような敷設箇所では、両面粘着テープや接着剤、面ファスナーを用いて、ロール状の人工芝を床面に固定している。
【0004】
敷物を床面に固定する方法には種々の方法がある。例えば下記特許文献1では、水性接着剤、水性粘着剤または両面粘着テープを用いて、タイルカーペットやマット等の敷物を床面に設置固定している。下記特許文献2でも、粘着剤層が設けられたテープまたはシートを用いて、タイルカーペットを床面に固定している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2001−193268号公報
【特許文献2】特開2012−29958号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記したずれの問題を解消するために、両面粘着テープや接着剤を用いて人工芝を床に固定すると、人工芝を撤去または取り替える際に、床面に残存した接着剤や両面粘着テープの粘着成分(糊残りとも呼ぶ)を除去しなければならないという問題がある。面ファスナーを用いる場合でも、面ファスナーのフック側またはループ側の基布を両面粘着テープや接着剤を用いて床に固定する必要があり、イベント終了後には固定した面ファスナーの基布自体を床から撤去しなければならないため、同様の糊残りの問題がある。
【0007】
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであり、その目的は、撤去または取替の際にも設置箇所の床面に糊残りが発生することのない、防滑性を有する敷物およびその製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するための本発明は、以下に示す態様を含む。
(項1)
基層の敷設箇所に接する側の面に、弾性体の突部が筋状に固設されている敷物。
(項2)
前記基層が人工芝である、項1に記載の敷物。
(項3)
前記基層が、主層と、前記主層の下面に積層された前記弾性体からなる弾性層とを含み、
前記突部が前記弾性層から突出している、項1に記載の敷物。
(項4)
前記基層が、主層と、前記主層の下面に積層された凹凸層とを含み、
前記凹凸層の下面に形成されている凹凸の表面に、前記突部が固設されている、項1に記載の敷物。
(項5)
前記主層が人工芝である、項3または4に記載の敷物。
(項6)
前記凹凸層が、ポリ塩化ビニル(PVC)またはゴムチップで形成されている、項4または5に記載の敷物。
(項7)
前記突部の横断面の形状が、矩形、台形、半円形および三角形のいずれかである、項1から6のいずれかに記載の敷物。
(項8)
隣接する前記突部の前記横断面の形状が異なっている、項1から7のいずれかに記載の敷物。
(項9)
隣接する前記突部の前記横断面の高さまたは幅が異なっている、項1から8のいずれかに記載の敷物。
(項10)
前記弾性体が、シーリング材またはコーキング材である、項1から9のいずれかに記載の敷物。
(項11)
端部に切り欠きを有する器具の端部を押し付けながら前記器具または基層をスライドさせることにより、硬化すると弾性体になる滑り止め材を、前記基層の敷設箇所に接する側の面に筋状に塗布して、前記基層の前記敷設箇所に接する側の面に、前記弾性体の突部を筋状に固設するステップを含む、敷物の製造方法。
(項12)
前記弾性体の突部を筋状に固設するステップが、
前記滑り止め材を主層の下面に層状に塗布して、前記主層の下面に前記弾性体の弾性層を形成するサブステップと、
前記器具の端部を押し付けながら前記器具または前記主層をスライドさせることにより、前記滑り止め材を前記弾性層の表面に筋状に塗布して、前記弾性層の表面に前記弾性体の前記突部を筋状に固設するサブステップとを含む、項11に記載の敷物の製造方法。
(項13)
前記弾性体の突部を筋状に固設するステップが、
下面に凹凸が形成されている凹凸層を主層の下面に積層するサブステップと、
前記器具の端部を押し付けながら前記器具または前記主層をスライドさせることにより、前記滑り止め材を前記凹凸の表面に筋状に塗布して、前記凹凸の表面に前記弾性体の前記突部を筋状に固設するサブステップとを含む、項11に記載の敷物の製造方法。
【発明の効果】
【0009】
本発明によると、敷物は、基層の敷設箇所に接する側の面に、弾性体の突部が筋状に固設されており、この弾性体の突部が弾性変形することにより、床面との間のずれが防止される。また、敷物の敷設時に、砂等の充填材や、接着剤または両面粘着テープ等の固定手段を用いることなく置き敷きが可能であるので、撤去または取替の際にも設置箇所の床面に糊残りが発生することや、充填材の砂が床面に残留することがない。
【0010】
また、本発明によると、砂等の充填材を用いることなく人工芝の置き敷きが可能になるので、屋内のイベント空間や催し物会場、体育館といった、パイル間に砂を充填することができない敷設箇所であっても、人工芝のテニスコートやサッカーコート、フットサルコート等を、より手軽に設営することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の第1の実施形態に係る敷物10aの概略斜視図である。
図2】本発明の第1の実施形態に係る敷物10aのA−A′断面図である。
図3】第1の実施形態に係る敷物10aに弾性体の突部12を形成する際の様子の一例を示した模式図である。
図4】本発明の第2の実施形態に係る敷物10bの断面図である。
図5】本発明の第3の実施形態に係る敷物10cの概略斜視図である。
図6】本発明の第3の実施形態に係る敷物10cのB−B′断面図である。
図7】本発明の第4の実施形態に係る敷物10dの断面図である。
図8】本発明の第1の実施形態に係る敷物10aの第1から第3の変形例に係る敷物10a′,10a′′,10a′′′の断面図である。
図9】本発明の第1の実施形態に係る敷物10aの第4の変形例に係る敷物10a′′′′の裏側を模式的に示した平面図である。
図10】第1の実施形態に係る敷物10aに弾性体の突部12を形成する際の様子の別の例を示した模式的な側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施の形態を、添付の図面を参照して詳細に説明する。なお、以下の説明および図面において、同じ符号は同じまたは類似の構成要素を示すこととし、よって、同じまたは類似の構成要素に関する説明を省略する。
【0013】
(第1の実施形態)
図1は、本発明の第1の実施形態に係る敷物10aの概略斜視図であり、図2は、本発明の第1の実施形態に係る敷物10aのA−A′断面図である。なお、敷設箇所に接する側の面(以下、単に裏面とも記載する)の構造を説明するために、図1の斜視図では、敷物10aを裏返して図示している。
【0014】
図1および図2に示すように、第1の実施形態に係る敷物10aは、主層11と、弾性体の突部12とを備える。弾性体の突部12は、固着すると弾性を有する材料を用いて、主層11の裏面に筋状に突出して形成されている。敷物10aは、敷設時には突部12が床面に接するように敷設される。
【0015】
本実施形態では、弾性体の突部12の材料には、硬化すると弾性を有するシリコン系のシーリング材(またはコーキング材)を使用し、主層11には人工芝を使用する。主層11に使用する人工芝は、パイル(芝葉)11aの植設部が植設基層11bの裏側に貫通し、パイル11aの表出部が表側に突出するように植設されている構造を有する。任意の構成として、植設基層11bの裏側に貫通するパイル11aの植設部が、樹脂層(または合成ゴム層)11cにより植設基層11bの裏側から固定されていてもよい。
【0016】
図3は、第1の実施形態に係る敷物10aに弾性体の突部12を形成する際の様子の一例を示した模式図である。
【0017】
まずは、主層11の裏面に、例えば上記したシーリング材gを概ね薄く略一様に塗布する。次に、図3に示すように、端部に切り欠き21を有する器具20(塗布具)の端部を、主層11の表面に押し付けながらスライドさせることにより、主層11の表面に突部12を筋状に形成する。この際、器具20の端部を斜めに主層11に押し付けることで、器具20の端部の主層11表面と当接する部分のシーリング材を主層11の表面から拭い去るように、器具20をスライドさせる。切り欠き21がスライドする部分の主層11の表面には、シーリング材が拭い去られずに筋状に残される。主層11の表面に筋状に残されたシーリング材は、その後固着して弾性体の突部12となる。突部12の横断面は器具20の切り欠き21と同じ形状となり、図示する例では、突部12の横断面の形状は三角形である。
【0018】
このように、第1の実施形態に係る敷物10aでは、主層11の敷設箇所に接する側の面(裏面)に、弾性体の突部12が筋状に形成されている。敷物10aが床面に敷設されている状態では、弾性体の突部12が弾性変形することにより、床面との間のずれが防止される。また、突部12は弾性変形することにより、敷設時にはクッションとしても作用することができる。このような弾性体の突部12は、間隔が空いた島状ではなく連続した筋状に形成されることで、主層11からの剥がれ落ちが防止される。
【0019】
(第2の実施形態)
図4は、本発明の第2の実施形態に係る敷物10bの断面図である。第2の実施形態に係る敷物10bは、弾性層13を備える点で、第1の実施形態に係る敷物10aと異なる。第2の実施形態に係る敷物10bは、主層11と、主層の下面に積層された弾性層13と、弾性体の突部12とを備える。弾性体の突部12は弾性層13の裏面に筋状に突出して形成されている。弾性層13は突部12と同じ材料で形成されている。
【0020】
弾性層13を形成する方法としては、第1の実施形態に係る敷物10aを形成する際と同様に、まず、主層11の裏面に、固着すると弾性を有する材料を、概ね所定の厚さで略一様に塗布する。次に、図3と同様に、端部に切り欠き21を有する器具20の端部を、主層11の表面でスライドさせる。この際、器具20の端部を主層11の表面から所定の間隔を空けて斜めに浮かせることで、器具20の端部の主層11表面と当接する部分のシーリング材を主層11の表面に層状に残すように、器具20をスライドさせる。これにより、主層11の表面にはシーリング材が層状に残され、さらに、切り欠き21がスライドする部分に沿ったそのシーリング材の層の表面には、シーリング材が拭い去られずに筋状に残される。主層11の表面に層状に残されたシーリング材は、その後固着して弾性層13となり、弾性層13の表面に筋状に残されたシーリング材は、その後弾性層13と一体化されて固着して弾性体の突部12となる。突部12の横断面は器具20の切り欠き21と同じ形状となる。
【0021】
このように、第2の実施形態に係る敷物10bでは、弾性層13の敷設箇所に接する側の面(裏面)に、弾性体の突部12が筋状に形成されている。敷物10bが床面に敷設されている状態では、弾性体の突部12が弾性変形することにより、床面との間のずれが防止される。また、突部12は弾性層13と共に弾性変形することにより、敷設時にはクッションとしても作用することができる。このような弾性体の突部12は、弾性層13と一体化されて筋状に形成されることで、主層11からの剥がれ落ちが防止される。また、シーリング材からなる弾性層13が植設基層11bまたは樹脂層11cの裏面に固着して形成されることにより、パイル11aの抜け落ちが防止されて人工芝の耐摩耗性が向上し、使い易く長期間の使用にも耐えられるという経済的な効果も向上する。
【0022】
(第3の実施形態)
図5は、本発明の第3の実施形態に係る敷物10cの概略斜視図であり、図6は、本発明の第3の実施形態に係る敷物10cのB−B′断面図である。なお、敷設箇所に接する側の面(裏面)の構造を説明するために、図5の斜視図では、敷物10cを裏返して図示している。
【0023】
図5および図6に示すように、第3の実施形態に係る敷物10cは、凹凸層14を備える点で、第1の実施形態に係る敷物10aと異なる。第3の実施形態に係る敷物10cは、主層11と、主層の下面に積層された凹凸層14と、弾性体の突部12とを備える。弾性体の突部12は、凹凸層14の裏面の凹部に筋状に突出して形成されている。図6に示すように、突部12の先端が凹凸層14の凸部14aよりも突出しているのが好ましい。
【0024】
本実施形態では、凹凸層14には、ワールド敷物加工株式会社製の、クッション性を有するPVC(ポリ塩化ビニル)シート(品番:PV70)を使用する。主層11に凹凸層14を積層する方法としては、例えば弾性体の突部12を形成する前に、接着剤や両面粘着テープ等の固定手段を用いて、主層11の裏面に積層すればよい。弾性体の突部12を形成する方法は、図3を参照して説明した第1の実施形態に係る方法と同様である。
【0025】
このように、第3の実施形態に係る敷物10cでは、凹凸層14の敷設箇所に接する側の面(裏面)に、弾性体の突部12が筋状に形成されている。敷物10cが床面に敷設されている状態では、凹凸層14の表面に形成されている凸部14aが弾性体の突部12と共に弾性変形することにより、床面との間のずれがより効果的に防止される。凹凸層14はクッション性を有し、突部12は弾性変形することにより、敷設時には凹凸層14と共にクッションとしても作用することができる。このような弾性体の突部12は、間隔が空いた島状ではなく連続した筋状に形成され、かつ凹凸層14の凹部に形成されていることで、凹凸層14からの剥がれ落ちが防止される。
【0026】
(第4の実施形態)
図7は、本発明の第4の実施形態に係る敷物10dの断面図である。第4の実施形態に係る敷物10dは、弾性体の突部12が、凹凸層14の裏面の凸部14aに筋状に突出して形成されている点でのみ、第3の実施形態に係る敷物10cと異なる。
【0027】
第4の実施形態に係る敷物10dでも、凹凸層14の敷設箇所に接する側の面(裏面)に、弾性体の突部12が筋状に形成されている。敷物10dが床面に敷設されている状態では、凹凸層14の表面に形成されている凸部14aが弾性体の突部12と共に弾性変形することにより、床面との間のずれがより効果的に防止される。凹凸層14はクッション性を有し、突部12は弾性変形することにより、敷設時には凹凸層14と共にクッションとしても作用することができる。このような弾性体の突部12は筋状に形成されることで、凹凸層14からの剥がれ落ちが防止される。
【0028】
(付記事項)
以上、本発明を特定の実施の形態によって説明したが、本発明は上記した実施の形態に限定されるものではない。
【0029】
上記第1から第4の実施形態では、主層11に人工芝を用いているが、人工芝に代えてタイルカーペットやマット等の敷物を主層11に用いてもよい。用いる人工芝も、片手で運搬可能な程度の寸法を有する、タイル状のものまたはユニット式のものに限られず、比較的広い面積を有するロール状の人工芝を主層11に用いてもよい。
【0030】
上記第1から第4の実施形態では、弾性体の突部12の材料にはシリコン系のシーリング材を使用しているが、使用するシーリング材はシリコン系に限定されず、硬化すると弾性を有する材料であれば、シリコン系のシーリング材に代えて、変成シリコン系、ポリウレタン系、アクリルウレタン系、およびポリサルファイド系等の種々のシーリング材を使用することができる。また、使用するシーリング材も1成分形に限られず、2成分形であってもよい。なお、本明細書ではシーリング材とコーキング材とは同じ意味で使用している。また、弾性体の突部12の材料は、硬化すると弾性を有する材料であればシーリング材またはコーキング材に限定されず、接着剤であってもよい。このような接着剤の一例としては、例えば変成シリコンエポキシ樹脂系接着剤が挙げられる。
【0031】
上記第1から第4の実施形態では、弾性体の突部12の横断面の形状は三角形であるが、突部12の横断面の形状はこれに限定されない。図8は、本発明の第1の実施形態に係る敷物10aの第1から第3の変形例に係る敷物10a′,10a′′,10a′′′の断面図である。例えば図8(a)の第1の変形例に係る敷物10a′の断面図に示すように、台形や矩形、半円形、およびこれらを適宜組み合わせた種々の形状12aであってもよい。このような横断面の形状に突部12を形成するには、突部12を形成する際に用いる器具20の切り欠き21の形状を、予めこれらの形状に合わせて作製しておけばよい。
【0032】
上記第1から第4の実施形態では、弾性体の突部12の横断面の形状は全て同じ形状であるが、突部12の横断面の形状は全て同じである必要はなく、例えば図8(b)の第2の変形例に係る敷物10a′′の断面図に示すように、隣接する突部12a,12bの横断面の形状を異ならせてもよい。あるいは、例えば図8(c)の第3の変形例に係る敷物10a′′′の断面図に示すように、隣接する突部12b,12b′の横断面の高さおよび/または幅を異ならせてもよい。
【0033】
上記第1から第4の実施形態では、弾性体の突部12は、主層11や弾性層13または凹凸層14の裏面の全面に設けられているが、弾性体の突部12は、これらの層の裏面の全面に設けられる必要はなく、例えば図9に示すように、主層11の裏面の一部に(例えば周縁部の所定の幅の領域に)設けられてもよい。図9は、本発明の第1の実施形態に係る敷物10aの第4の変形例に係る敷物10a′′′′の裏側を模式的に示した平面図である。弾性体の突部12を形成する領域が主層11の裏面を占める割合は、主層11の面積に応じて適宜調整してもよい。また、主層11の裏面の周縁部に弾性体の突部12を設ける場合にも、図9に示すように、筋状の弾性体の突部12の全てを平行に形成する必要はない。
【0034】
上記第1から第4の実施形態では、弾性体の突部12は、端部に切り欠き21を有する器具20の端部を主層11の表面に押し付けながら、器具20をスライドさせることにより、主層11の表面に筋状に形成しているが、例えば図10に示すように、器具20のスライドに代えて、器具20の位置を固定して、回転方向Rに主層11をロール状に巻き取って主層11側をスライドさせることにより、弾性体の突部12を筋状に形成してもよい。主層11としてロール状の人工芝の裏面に弾性体の突部12を形成する場合には、こちらの方法が効率的である。一般的な人工芝を加工生産する際の工程の間に図10に示す工程を追加で行って、必要に応じて植設基層11bまたは樹脂層11cの裏面にシーリング材gを同時に塗布することにより、作業効率を向上させることができる。あるいは、作業効率は低下するが、シーリング材またはコーキング材が封入されているチューブを作業者が手で持ち、チューブの先端から出てくるシーリング材gを主層11の表面に筋状に塗布することにより、弾性体の突部12を形成してもよい。
【0035】
上記第3から第4の実施形態では、凹凸層14にクッション性を有するPVCシートを使用しているが、PVCシートに代えてゴムチップの成型物を凹凸層14に使用してもよい。ゴムチップは、例えば人工芝のパイル間に充填材として散布されているものを使用し、例えばゴムチップをバインダー(接着剤)で所望の厚さで層状に成型するとよい。表面の凹凸は、ゴムチップを層状に平らに形成した後、溝を彫ることで形成してもよく、或いは、バインダーが硬化する前に、表面に凹凸の模様を有する型をゴムチップの層の表面に押し付けて形成してもよい。このようなゴムチップの成型物はクッション性を有している。
【符号の説明】
【0036】
10a,10b,10c,10d 敷物
11 主層(人工芝)
11a パイル
11b 植設基層
11c 樹脂層(合成ゴム層)
12,12a,12b,12b′ 弾性体の突部
13 弾性層
14 凹凸層
14a 凹凸層の凸部
20 端部に切り欠きを有する器具(塗布具)
21 切り欠き
g 硬化前のシーリング材
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10