特開2017-210835(P2017-210835A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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  • 特開2017210835-落下防止用足場 図000003
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2017-210835(P2017-210835A)
(43)【公開日】2017年11月30日
(54)【発明の名称】落下防止用足場
(51)【国際特許分類】
   E04G 3/24 20060101AFI20171102BHJP
   E21B 7/20 20060101ALI20171102BHJP
   E02D 13/00 20060101ALI20171102BHJP
   E04G 21/32 20060101ALI20171102BHJP
【FI】
   E04G3/24 302Z
   E21B7/20
   E02D13/00 Z
   E04G21/32 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2016-106024(P2016-106024)
(22)【出願日】2016年5月27日
(71)【出願人】
【識別番号】000004617
【氏名又は名称】日本車輌製造株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100128358
【弁理士】
【氏名又は名称】木戸 良彦
(74)【代理人】
【識別番号】100086210
【弁理士】
【氏名又は名称】木戸 一彦
(72)【発明者】
【氏名】谷田 優也
【テーマコード(参考)】
2D050
2D129
【Fターム(参考)】
2D050EE12
2D129AA00
2D129AB16
2D129BA14
2D129BB03
2D129EB39
(57)【要約】
【課題】上方が開口した開口部への落下を防止できるとともに、輸送や保管も容易に行うことができる落下防止用足場を提供する。
【解決手段】上方が開口した開口部を覆う状態で設置される落下防止用足場11であって、落下防止用足場は、ヒンジ部14によって上面同士を対向させた状態に折り畳み可能に連結された一対の足場半体12,13と、水平方向に展開した状態の一対の足場半体を、展開状態で水平状態を保持して吊り上げるための展開足場吊り上げ部材15と、一対の足場半体を折り畳んだ重合状態の足場半体を、重合状態で水平状態を保持して吊り上げるための重合足場吊り上げ部材16とを備えている。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
上方が開口した開口部を覆う状態で設置される落下防止用足場であって、該落下防止用足場は、ヒンジ部によって上面同士を対向させた状態に折り畳み可能に連結された一対の足場半体と、水平方向に展開した状態の一対の足場半体を、展開状態で水平状態を保持して吊り上げるための展開足場吊り上げ部材と、一対の足場半体を折り畳んだ重合状態の足場半体を、重合状態で水平状態を保持して吊り上げるための重合足場吊り上げ部材とを備えていることを特徴とする落下防止用足場。
【請求項2】
前記開口部は、チュービング装置におけるケーシングチューブ挿通孔の上部開口部であることを特徴とする請求項1記載の落下防止用足場。
【請求項3】
一方の前記足場半体の回動端に、該一方の足場半体を他方の足場半体の上面に向かって回動させるための回動用吊り上げ部材を備えていることを特徴とする請求項1又は2記載の落下防止用足場。
【請求項4】
前記展開足場吊り上げ部材は、前記足場半体の連結側に設けられた収納部に収納された収納位置と、足場半体の上方に突出した吊り上げ位置とに回動可能に形成されていることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項記載の落下防止用足場。
【請求項5】
前記重合足場吊り上げ部材は、重合時に下方に位置する足場半体に設けられた収納部に収納された収納位置と、上方に位置する足場半体に設けられた挿通孔を通して上方に位置する足場半体の上方に突出した吊り上げ位置とに回動可能に形成されていることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項記載の落下防止用足場。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、落下防止用足場に関し、特に、チュービング装置に設けられているケーシングチューブ挿通孔の開口部を覆って作業者などが落下することを防止するための落下防止用足場に関する。
【背景技術】
【0002】
大口径のケーシングチューブ(鋼管杭)を地中に圧入したり、引き抜いたりする作業を行うための手段として、チュービング装置(オールケーシング掘削機)が用いられている。このチュービング装置は、一般に、地上に据え付けられるベースフレームと、該ベースフレームの上方に昇降シリンダを介して昇降可能に設けられたドライブフレームと、該ドライブフレームの上方にチャックシリンダを介して昇降可能に設けられたチャックフレームと、前記ベースフレーム、ドライブフレーム及びチャックフレームの中央部を鉛直方向に貫通するケーシングチューブ挿通孔とを備えている。
【0003】
このようなチュービング装置では、ケーシングの挿入や着脱、コンクリートの注入などの作業をする際の転落事故を防止するため、チュービング装置本体の上面に設けた作業デッキの外縁に沿って手摺を設けたり、ケーシングチューブ挿通孔の周囲に手摺部材をリング状に配置したりすることが行われている(例えば、特許文献1,2参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2001−329775号公報
【特許文献2】特開2015−40434号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、特許文献2に記載されたように、ケーシングチューブ挿通孔の周囲に手摺部材をリング状に配置した場合、通常の作業状態では作業員がケーシングチューブ挿通孔内に落下することを防止できるが、非施工時の待機状態では、ケーシングチューブ挿通孔が上方に開口しているため、工具などの落下を完全に防止することはできなかった。また、適当な大きさの鉄板を蓋材として使用することもできるが、着脱や運搬が面倒であるという問題があった。
【0006】
そこで本発明は、上方が開口した開口部、特に、チュービング装置に設けられるケーシングチューブ挿通孔の開口部を覆って作業員などが落下することを確実に防止でき、輸送や保管も容易に行うことができる落下防止用足場を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため、本発明の落下防止用足場は、上方が開口した開口部を覆う状態で設置される落下防止用足場であって、該落下防止用足場は、ヒンジ部によって上面同士を対向させた状態に折り畳み可能に連結された一対の足場半体と、水平方向に展開した状態の一対の足場半体を、展開状態で水平状態を保持して吊り上げるための展開足場吊り上げ部材と、一対の足場半体を折り畳んだ重合状態の足場半体を、重合状態で水平状態を保持して吊り上げるための重合足場吊り上げ部材とを備えていることを特徴としている。
【0008】
さらに、本発明の落下防止用足場は、前記開口部がチュービング装置におけるケーシングチューブ挿通孔の上部開口部であることを特徴としている。また、本発明の落下防止用足場は、一方の前記足場半体の回動端に、該一方の足場半体を他方の足場半体の上面に向かって回動させるための回動用吊り上げ部材を備えていること、前記展開足場吊り上げ部材が、前記足場半体の連結側に設けられた収納部に収納された収納位置と、足場半体の上方に突出した吊り上げ位置とに回動可能に形成されていること、さらに、前記重合足場吊り上げ部材が、重合時に下方に位置する足場半体に設けられた収納部に収納された収納位置と、上方に位置する足場半体に設けられた挿通孔を通して上方に位置する足場半体の上方に突出した吊り上げ位置とに回動可能に形成されていることを特徴としている。
【発明の効果】
【0009】
本発明の落下防止用足場によれば、一対の足場半体を展開した状態で開口部を覆うことにより、作業者や工具などが開口部内に落下することを防止できる。また、折り畳み可能に形成したことにより、直径の大きな開口部に設置する落下防止用足場を折り畳むことで、容易に輸送したり、保管したりすることができる。さらに、展開足場吊り上げ部材を設けることにより、開口部への着脱を容易に行うことができ、重合足場吊り上げ部材を設けることにより、輸送車の荷台などへの積み降ろしを容易に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の落下防止用足場の一形態例を示す平面図である。
図2】同じく落下防止用足場の断面正面図である。
図3】同じく展開足場吊り上げ部材及び重合足場吊り上げ部材を示す要部の断面側面図である。
図4】本発明の落下防止用足場を、チュービング装置におけるケーシングチューブ挿通孔の上部開口部に設置した状態を示す平面図である。
図5】同じく要部の断面正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
図1乃至図3は、本発明の落下防止用足場の一形態例を示している。本形態例に示す落下防止用足場11は、平面視が半円形状に形成された一対の足場半体12,13を、2箇所のヒンジ部14,14によって折り畳み可能に連結したもので、各足場半体12,13は、半円形状に枠組みしたフレーム12a,13aの上面にエキスパンドメタル12b,13bを接合して形成されている。
【0012】
ヒンジ部14は、半円形の弦部に設けられており、足場半体12,13を水平方向に展開した状態から、足場半体12,13の上面同士を対向させた重合状態になる方向にのみ足場半体12,13を折り畳み可能に連結している。さらに、足場半体12,13の弦部には、水平方向に展開した状態の一対の足場半体12,13を、展開状態のままで水平状態を保持して吊り上げるための長板状の展開足場吊り上げ部材15が2箇所に設けられている。また、一方の足場半体12には、折り畳んだ重合状態の足場半体12,13を、重合状態のままで水平状態を保持して吊り上げるための長板状の重合足場吊り上げ部材16が2箇所に設けられている。
【0013】
展開足場吊り上げ部材15は、一方の足場半体12の連結側である弦部側面に設けられた箱形の展開足場吊り上げ部材収納部17内に設けられている。展開足場吊り上げ部材収納部17は、展開足場吊り上げ部材15の基端15aを回動可能に保持する水平方向の支軸17aと、回動量規制部材17bとを有している。支軸17aに基端15aを保持された展開足場吊り上げ部材15は、支軸17aを中心として水平方向に倒した状態で展開足場吊り上げ部材収納部17内に全体が収納された収納位置となり、展開足場吊り上げ部材15の先端15bを上方に向けて回動させたときに、展開足場吊り上げ部材15の先端15bが展開状態の足場半体12,13の上面より上方に突出する吊り上げ位置となるように形成されている。また、展開足場吊り上げ部材15の先端15bには、シャックル18aを取り付けるための取付孔15cが形成されている。
【0014】
重合足場吊り上げ部材16は、重合時に下方に位置する足場半体12の中央部の2箇所に設けられた箱形の重合足場吊り上げ部材収納部19内に設けられている。重合足場吊り上げ部材収納部19は、重合足場吊り上げ部材16の基端16aを回動可能に保持する水平方向の支軸19aと、回動量規制部材19bとを有している。支軸19aに基端16aを保持された重合足場吊り上げ部材16は、支軸19aを中心として水平方向に倒した状態で重合足場吊り上げ部材収納部19内に全体が収納された収納位置となり、重合足場吊り上げ部材16の先端16bを上方に向けて回動させたときに、重合時に上方に位置する足場半体13に設けられた長方形状の重合足場吊り上げ部材挿通孔20を通して足場半体13より上方に突出する吊り上げ位置となるように形成されている。また、重合足場吊り上げ部材16の先端16bには、シャックル18bを取り付けるための取付孔16cが形成されている。さらに、足場半体12,13を折り畳んだ重合状態で、重合足場吊り上げ部材16を上方に突出させて取付孔16cにシャックル18bを取り付けることにより、このシャックル18bが開き止めとして作用し、重合状態の足場半体12,13を、確実に重合状態に保持することができ、輸送中や保管中に足場半体12,13が不意に開くことを防止できる。
【0015】
また、重合時に上方に位置する一方の足場半体13の回動端には、該足場半体13を重合時に下方に位置する他方の足場半体12の上面に向かって回動させるための回動用吊り上げ部材21が設けられている。この回動用吊り上げ部材21は、足場半体13のフレーム13a及びエキスパンドメタル13bに形成した溝状開口部22内に設けた支軸22aに、基端21aが回動可能に保持されている。回動用吊り上げ部材21の先端21bには、シャックル18cを取り付けるための取付孔21cが形成されている。また、溝状開口部22内には、回動用吊り上げ部材21の回動範囲を規制するための回り止め22bが設けられている。回動用吊り上げ部材21は、足場半体12,13を展開した状態では、水平方向に倒すことによって溝状開口部22内に収納された収納位置となり、足場半体13を回動させて展開状態から重合状態にするとき、あるいは、重合状態から展開状態にするときには、足場半体13から突出した状態で足場半体13の上面側から下面側まで回動可能に形成されている。
【0016】
このように形成した落下防止用足場11は、例えば、図4及び図5に示すように、チュービング装置31に設けられているケーシングチューブ挿通孔32の上部開口部を覆うように設置される。この場合、足場半体12,13を展開した落下防止用足場11の外径は、ケーシングチューブ挿通孔32の内径より大きく形成され、ケーシングチューブ挿通孔32の上部開口部に落下防止用足場11を載置したときに、ケーシングチューブ挿通孔32を落下防止用足場11で完全に覆うことができるように設定している。
【0017】
このようにしてケーシングチューブ挿通孔32の上部開口部を落下防止用足場11で覆うことにより、非作業状態でケーシングチューブ挿通孔32が上方に開口しているときに、上部作業デッキ33で各種作業を行う際に作業員や工具などがケーシングチューブ挿通孔32内に落下することを完全に防止できる。さらに、ケーシングチューブ挿通孔32の上部開口部に対する落下防止用足場11の着脱は、展開足場吊り上げ部材15をシャックル18aを介してクレーンで吊り上げることにより、落下防止用足場11を展開状態を保持したまま行うことができる。
【0018】
また、ケーシングチューブ挿通孔32の内径が、例えば3mの場合、落下防止用足場11の外径が3mを超えるため、そのままでは一般的なトラックで輸送することはできないが、足場半体12,13を折り畳んだ重合状態にすることにより、長さ寸法は3mを超えるものの、幅寸法を2m以下にすることができるので、一般的なトラックで容易に輸送することが可能となる。
【0019】
さらに、重合足場吊り上げ部材16を設けることにより、重合状態の足場半体12,13を水平状態を保ったまま吊り上げることができるので、荷台への積み降ろしを容易かつ安全に行うことができる。加えて、回動用吊り上げ部材21を設けることにより、足場半体12,13の展開や折り畳みを容易に行うことができる。
【0020】
しかも、展開足場吊り上げ部材15、重合足場吊り上げ部材16及び回動用吊り上げ部材21を、使用時以外は、足場半体12,13の厚さ内に収まるようにして収納部などに収納しているので、ケーシングチューブ挿通孔32を覆った状態の落下防止用足場11の上面に突出する部材を極力少なくできるとともに、複数の落下防止用足場11を保管する際の積み重ねも安定して行うことができる。
【0021】
なお、展開状態を保持するための部材や、重合状態を保持する部材を設けることもできる。また、落下防止用足場11を開口部に固定するための位置決め部材や固定部材を設けることもできる。さらに、落下防止用足場は、ケーシングチューブ挿通孔の上部開口部に限らず、各種開口部を覆うために用いることができ、外形も、円形に限らず、角形に形成することもできる。また、エキスパンドメタルに代えて金属製、木製の板を用いることもできる。
【符号の説明】
【0022】
11…落下防止用足場、12,13…足場半体、12a,13a…フレーム、12b,13b…エキスパンドメタル、14…ヒンジ部、15…展開足場吊り上げ部材、15a…基端、15b…先端、15c…取付孔、16…重合足場吊り上げ部材、16a…基端、16b…先端、16c…取付孔、17…展開足場吊り上げ部材収納部、17a…支軸、17b…回動量規制部材、18a,18b,18c…シャックル、19…重合足場吊り上げ部材収納部、19a…支軸、19b…回動量規制部材、20…重合足場吊り上げ部材挿通孔、21…回動用吊り上げ部材、21a…基端、21b…先端、21c…取付孔、22…溝状開口部、22a…支軸、22b…回り止め、31…チュービング装置、32…ケーシングチューブ挿通孔、33…上部作業デッキ
図1
図2
図3
図4
図5