【解決手段】左右の操向レバー51L,51Rの入り操作を各別に検出する左右の操作検出センサ54L,54Rを備え、左の操作検出センサ54Lの検出情報に基づいて左の操向ブレーキ30Lの入り制御を行い、右の操作検出センサ54Rの検出情報に基づいて右の操向ブレーキ30Rの入り制御を行う操向制御手段61を備えている。操向制御手段61は、操向ブレーキ30L,30Rが入り状態に間欠的に複数回なり、入り状態どうしの間で切り状態になるように、間欠入り制御を行い、間欠入り制御の後に、操向ブレーキ30L,30Rが入り状態に連続してなるように、連続入り制御を行う。
前記間欠入り制御は、前記操向ブレーキが、全入り状態の制動力より弱い制動力を前記走行装置に付与する弱入り状態に間欠的に複数回なり、前記弱入り状態どうしの間で、前記走行装置に対する制動力の付与を解除する切り状態になるように、前記操向ブレーキを制御する制御であり、
前記連続入り制御は、前記操向ブレーキが前記全入り状態に連続してなるように、前記操向ブレーキを制御する制御である請求項1に記載の歩行型除雪機。
左の前記操作検出センサ及び右の前記操作検出センサは、前記操向レバーの位置変化に伴って入り状態と切り状態とに切り換わる検出スイッチである請求項1または2に記載の歩行型除雪機。
左の前記操向ブレーキよりも伝動方向上手側に設けられ、左の前記走行装置へ伝動する入り状態と、左の前記走行装置への伝動を絶つ切り状態とに切り換え可能な左の操向クラッチと、
右の前記操向ブレーキよりも伝動方向上手側に設けられ、右の前記走行装置へ伝動する入り状態と、右の前記走行装置への伝動を絶つ切り状態とに切り換え可能な右の操向クラッチと、を備え、
前記操向制御手段は、
左の前記操作検出センサの検出情報を入力すると、左の前記操向クラッチを切り状態に制御しつつ、左の前記操向ブレーキの入り制御を行い、右の前記操作検出センサの検出情報を入力すると、右の前記操向クラッチを切り状態に制御しつつ、右の前記操向ブレーキの入り制御を行う請求項1から4のいずれか一項に記載の歩行型除雪機。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
歩行型除雪機にあっては、走行装置が操向ブレーキによって急激に停止された場合、急旋回が生じやすくなる。また、停止における動慣性や雪に起因するスリップが生じやすくなる。このため、機体向きが意図するものにならないとか、適切な操向操作が行いにくくなることがある。
【0005】
本発明は、操向ブレーキによって機体の操向操作を行なうものでありながら、適切な操向操作を操作簡単にできる歩行型除雪機を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明による歩行型除雪機は、
左右一対の走行装置に各別に制動力を付与する左右一対の操向ブレーキと、
左右一対の前記操向ブレーキを各別に操作する左右一対の操向レバーと、
左右一対の前記操向レバーの入り操作を各別に検出する左右一対の操作検出センサと、
左右一対の前記操作検出センサと、左右一対の前記操向ブレーキとに連係され、左の前記操作検出センサの検出情報に基づいて左の前記操向ブレーキの入り制御を行い、右の前記操作検出センサの検出情報に基づいて右の前記操向ブレーキの入り制御を行う操向制御手段と、を備え、
前記操向制御手段は、
左の前記操向ブレーキの入り制御を行なうとき、及び、右の前記操向ブレーキの入り制御を行うときのそれぞれにおいて、
前記操向ブレーキが入り状態に間欠的に複数回なり、前記入り状態どうしの間で、前記走行装置に対する制動力の付与を解除する切り状態になるように、間欠入り制御を行い、前記間欠入り制御の後に、前記操向ブレーキが入り状態に連続してなるように、連続入り制御を行う。
【0007】
本構成によると、操向レバーの入り操作をすれば、操向制御手段が操作検出センサの検出情報に基づいて操向ブレーキの間欠入り制御、及び間欠入り制御後の連続入り制御を行うので、走行装置の操向ブレーキによる制動が間欠的に複数回行われた後に連続して行われ、走行装置が徐々に停止する。
【0008】
従って、操向レバーを単に入り操作する簡単な操作を行なうだけで、走行装置が徐々に停止して緩やかな旋回を行なうことができる。また、スリップなどが生じにくくなる。このため、機体を意図する方向に操向操作しやすい。
【0009】
本発明をより好適なものにするよう、次の構成を備えた。
前記間欠入り制御は、前記操向ブレーキが、全入り状態の制動力より弱い制動力を前記走行装置に付与する弱入り状態に間欠的に複数回なり、前記弱入り状態どうしの間で、前記走行装置に対する制動力の付与を解除する切り状態になるように、前記操向ブレーキを制御する制御であり、
前記連続入り制御は、前記操向ブレーキが前記全入り状態に連続してなるように、前記操向ブレーキを制御する制御である、という構成を備えた。
【0010】
本構成によれば、操向制御手段の間欠入り制御によって入り状態に制御された操向ブレーキは、全入り状態に制御されたときの制動力よりも弱い制動力を走行装置に付与するので、走行装置をより徐々に停止させ、スリップなどをより発生しにくくできる。
【0011】
本発明をより好適なものにするよう、次の構成を備えた。
左の前記操作検出センサ及び右の前記操作検出センサは、前記操向レバーの位置変化に伴って入り状態と切り状態とに切り換わる検出スイッチである、という構成を備えた。
【0012】
本構成によれば、操向レバーの入り操作を検出するのに、ポテンショメータなどを採用するのに比して検出スイッチによって安価に検出できる。
【0013】
本発明をより好適なものにするよう、次の構成を備えた。
左右一対の前記走行装置は、クローラ式走行装置である、という構成を備えた。
【0014】
本構成によれば、機体をクローラ式走行装置によってよりスリップしにくい状態で停止させることができ、より適切な操向操作を行ないやすい。
【0015】
本発明をより好適なものにするよう、次の構成を備えた。
左の前記操向ブレーキよりも伝動方向上手側に設けられ、左の前記走行装置へ伝動する入り状態と、左の前記走行装置への伝動を絶つ切り状態とに切り換え可能な左の操向クラッチと、
右の前記操向ブレーキよりも伝動方向上手側に設けられ、右の前記走行装置へ伝動する入り状態と、右の前記走行装置への伝動を絶つ切り状態とに切り換え可能な右の操向クラッチと、を備え、
前記操向制御手段は、
左の前記操作検出センサの検出情報を入力すると、左の前記操向クラッチを切り状態に制御しつつ、左の前記操向ブレーキの入り制御を行い、右の前記操作検出センサの検出情報を入力すると、右の前記操向クラッチを切り状態に制御しつつ、右の前記操向ブレーキの入り制御を行う、という構成を備えた。
【0016】
本構成によれば、走行装置への伝動を絶ちつつ走行装置に操向ブレーキを掛けることができるので、より適切な操向操作をできる。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、図面に基づいて、本発明の実施の形態を説明する。
図1は、本発明の実施例に係る歩行型除雪機の全体を示す側面図である。
図2は、本発明の実施例に係る歩行型除雪機の全体を示す平面図である。
図1,2に示す[F]の方向が走行機体の「前側」、[B]の方向が走行機体の後側、[L]の方向が走行機体の「左側」、[R]の方向が走行機体の[右側]と定義する。
【0019】
図1,2に示すように、歩行型除雪機は、機体フレーム1に左右一対のクローラ式走行装置2(以下、走行装置2と略称する。)が装備された走行機体3を備えている。走行機体3は、後部に設けられた左右一対の操縦ハンドル4を備え、走行機体3の後方を歩行しつつ走行機体3の走行及び操向操作を行なうよう歩行型に構成されている。走行機体3の前方に除雪部10が配置されている。除雪部10の後方における走行機体3の上方にエンジン5が配置されている。
【0020】
歩行型除雪機は、走行機体3を走行させることで、除雪部10によって除雪作業を行なえる。すなわち、除雪部10は、オーガハウジング11と、オーガハウジング11の後部に連結されたブロワケース12とを備えている。オーガハウジング11にオーガ13が駆動回転可能に支持されている。ブロワケース12にブロワ14(
図1、
図3参照)が駆動回転可能に内装されている。ブロワケース12からシュータ15が上方向きに突設されている。オーガ13が雪を掻き集め、シュータ15が掻き集められた雪をブロワ14の噴出力によって放出口15aから放出する。
【0021】
左右の走行装置2及び除雪部10は、
図3に示す動力伝達構造に基づいてエンジン5から駆動力が伝達されることで駆動される。
【0022】
すなわち、エンジン5から出力軸5aが前方向きに突設されている。出力軸5aと、走行ミッション6の入力軸6aとに亘って走行クラッチ7が配備されている。本実施例では、走行クラッチ7は、ベルトテンションクラッチによって構成されている。走行クラッチ7としては、ベルトテンションクラッチに限らず、多板式摩擦クラッチなど、型式が各種異なるクラッチを採用してもよい。走行ミッション6の左右の出力軸6L,6Rに左右の走行装置2の駆動輪体2aが相対回転不能に支持されている。走行ミッション6には、静油圧式無段変速部8(以下、HST8と略称する。)が備えられている。HST8は、入力軸6aの駆動力を可変容量形のアキシャルプランジャポンプ(図示せず)とアキシャルプランジャモータ(図示せず)とによって変速し、変速した後の駆動力を左右の出力軸6L,6Rに伝達する。
【0023】
走行クラッチ7を入り状態に切換え操作し、かつHST8を伝動状態に変速操作することで、エンジン5からの駆動力が左右の駆動輪体2aに伝達されて左右の走行装置2が駆動され、走行機体3を走行させることができる。HST8を変速操作することで、左右の走行装置2が前進側と後進側とに切り換えて駆動され、かつ左右の走行装置2の前進駆動速度及び後進駆動速度が無段階に変速され、走行機体3を前進と後進とに切り換えて、かつ前進側及び後進側に無段階に変速して走行させることができる。
【0024】
走行クラッチ7を切り状態に切換え操作するか、あるいはHST8を中立状態に変速操作することで、左右の走行装置2への駆動力の伝達が絶たれ、走行機体3を停止させられる。
【0025】
図3に示すように、エンジン5の出力軸5aと除雪部10の入力軸10aとに亘って作業クラッチ9が装備されている。本実施例では、作業クラッチ9は、ベルトテンションクラッチによって構成されている。作業クラッチ9としては、ベルトテンションクラッチに限らず、多板式摩擦クラッチなど、型式が各種異なるクラッチを採用してもよい。
【0026】
作業クラッチ9を入り状態に切換え操作することで、エンジン5からの駆動力が入力軸10aに伝達され、オーガ13及びブロワ14を駆動できる。作業クラッチ9を切り状態に切換え操作することで、入力軸10aへの駆動力の伝達が絶たれ、オーガ13及びブロワ14を停止できる。
【0027】
図4に示すように、走行ミッション6に左右一対の操向クラッチ20L,20R、及び左右一対の操向ブレーキ30L,30Rが設けられている。左の操向クラッチ20L及び左の操向ブレーキ30Lは、出力ギヤ8aから左の走行装置2への伝動経路に設けられている。左の操向クラッチ20Lは、左の操向ブレーキ30Lよりも伝動方向上手側に設けられている。右の操向クラッチ20R及び右の操向ブレーキ30Rは、出力ギヤ8aから右の走行装置2への伝動経路に設けられている。右の操向クラッチ20Rは、右の操向ブレーキ30Rよりも伝動方向上手側に設けられている。出力ギヤ8aは、左右の出力軸6L,6Rとは相対可能な状態で左右の出力軸6L,6Rに支持されている。出力ギヤ8aは、HST8の出力が伝達されて駆動される。
【0028】
左右の操向クラッチ20L,20Rは、クラッチ輪体21L,21Rを備えている。クラッチ輪体21L,21Rは、出力軸6L,6Rのスプライン部の外周部にスライド可能に、かつ相対回転不能に嵌合されている。クラッチ輪体21L,21Rと出力ギヤ8aとに亘って爪クラッチ機構22L,22Rが設けられている。クラッチ輪体21L,21Rにシフター23L,23Rが係合されている。左右のシフター23L,23Rは、回転支軸24L,24Rを介してミッションケース25(
図5参照)に揺動可能に支持されている。
図5に示すように、ミッションケース25の外部において、左右の回転支軸24L,23Rに操作アーム26L,26Rが相対回転不能に支持されている。
【0029】
操作アーム26L,26Rの揺動操作によってシフター23L,23Rが揺動操作されることで、クラッチ輪体21L,21Rが出力ギヤ8aに寄せ操作されたり、出力ギヤ8aから離し操作されたりする。クラッチ輪体21L,21Rが出力ギヤ8aに寄せ操作されることで、爪クラッチ機構22L,22Rが入り状態に操作される。クラッチ輪体21L,21Rが出力ギヤ8aから離間操作されることで、爪クラッチ機構22L,22Rが切り状態に操作される。
【0030】
左右の操向クラッチ20L,20Rは、爪クラッチ機構22L,22Rが入り状態に操作されることで、入り状態になり、爪クラッチ機構22L,22Rが切り状態に操作されることで、切り状態になる。左右の操向クラッチ20L,20Rは、入り状態に操作されることで、出力ギヤ8aと出力軸6L,6Rとを連動連結して、HST8の出力を駆動輪体2aに伝達する。左右の操向クラッチ20L,20Rは、切り状態に操作されることで、出力ギヤ8aと出力軸6L,6Rとの連動連結を解除して、HST8から走行装置2への動力伝達を絶つ。
【0031】
左右の操向ブレーキ30L,30Rは、
図4に示すように、多板式の摩擦ブレーキ本体31L,31Rを備えている。摩擦ブレーキ本体31L,31Rは、出力軸6L,6Rとミッションケース25とにわたって設けられている。操向クラッチ20L,20Rを切り状態に切換え操作した操作域において、シフター23L,23Rが揺動操作されることで、クラッチ輪体21L,21Rがクラッチ入り付勢バネ27に抗して操向ブレーキ30L,30Rに寄せ操作されたり、操向ブレーキ30L,30Rから離し操作されたりする。
【0032】
左右の操向ブレーキ30L,30Rは、クラッチ輪体21L,21Rが寄せ操作され、摩擦ブレーキ本体31L,31Rがクラッチ輪体21L,21Rの操作部28a,28bによって圧接操作されることで入り状態になり、クラッチ輪体21L,21Rが離し操作され、摩擦ブレーキ本体31L,31Rの操作部28a,28bによる圧接が解除されることで切り状態になる。左右の操向ブレーキ30L,30Rは、入り状態になると、出力軸6L,6Rに摩擦制動力を付与することによって、走行装置2に制動力を付与する。左右の操向ブレーキ30L,30Rは、クラッチ輪体21L,21Rの圧接操作力が強められるほど、走行装置2に付与する制動力を強くする。左右の操向ブレーキ30L,30Rは、切り状態になると、出力軸6L,6Rへの摩擦制動力の付与を解除することによって、走行装置2への制動力の付与を解除する。
【0033】
図4,5に示すように、左右の操作アーム26L,26Rに連係機構40を介して一つのアクチュエータ50が連係されている。左右の操向クラッチ20L,20R及び左右の操向ブレーキ30L,30Rを一つのアクチュエータ50によって操作できる。本実施例では、アクチュエータ50として、電動モータが採用されている。アクチュエータ50としては、電動モータに限らず、シリンダなどの各種の動力源を採用してもよい。以下において、アクチュエータ50を電動モータ50と呼称して説明する。
【0034】
連係機構40は、
図4,5に示すように、シーソ部材41を備えている。シーソ部材41は、支軸42を介してミッションケース25に支持されており、支軸42の軸芯を揺動中心にして揺動操作できる。シーソ部材41の左右端部が左右一対の連動リンク43L,43Rによって左右の操作アーム26L,26Rに連結されている。左右の連動リンク43L,43Rのシーソ部材側の端部44L,44Rは、シーソ部材41の長穴形の連結穴45L,45Rにスライド可能に係入している。
【0035】
シーソ部材41と電動モータ50とは、扇形ギヤ46、小径ギヤ47、大径ギヤ48及びウオームギヤ49を介して連動連結されている。扇形ギヤ46には、連結アーム部46aが備えられている。連結アーム部46aとシーソ部材41とにわたって支軸42及び連結ピン46bが装着されていることで、扇形ギヤ46とシーソ部材41は、相対回転不能に連結している。扇形ギヤ46と小径ギヤ47とは、噛み合っている。小径ギヤ47と大径ギヤ48とは、回転支軸48aを介して連動連結している。大径ギヤ48とウオームギヤ49とは、噛み合っている。ウオームギヤ49は、電動モータ50の出力軸50aに相対回転不能に取り付けられている。
【0036】
電動モータ50が中立状態に操作されていると、シーソ部材41が中立位置[N](
図4参照)にある。この場合、左右の連動リンク43L,43Rの端部44L,44Rが連結穴45L,45Rのアーム側端部に位置し、左右の操作アーム26L,26Rがリターンバネ33によってクラッチ入り位置K(
図5参照)に操作されている。すなわち、左右の操向クラッチ20L,20Rが入り状態になっている。
【0037】
電動モータ50が中立状態から左旋回側に操作されると、シーソ部材41が中立位置[N]から左旋回方向[LS](
図4参照)に揺動操作され、左の連動リンク43Lがシーソ部材41によって引張り操作されて左の操作アーム26Lがクラッチ入り位置Kからブレーキ入り位置に向けて揺動操作され、左の操向クラッチ20Lが切り状態に切り換わる。左の操向クラッチ20Lが切り状態になった後、シーソ部材41が更に左旋回方向[LS]に揺動操作されると、左の操作アーム26Lがブレーキ位置に操作され、左の操向ブレーキ30Lが入り状態になる。シーソ部材41の左旋回方向[LS]への揺動ストロークが大になるほど、左の操向ブレーキ30Lに対するクラッチ輪体21Lの押圧力が強くなり、左の操向ブレーキ30Lのブレーキ力が強くなる。このように、左の操向クラッチ20Lが切り状態になり、かつ左の操向ブレーキ30Lが入り状態になったとき、右の連結穴45Rが右の操作アーム26Rの方へ移動し、右の操作アーム26Rがリターンバネ33によってクラッチ入り位置Kに維持され、右の操向クラッチ20Rが入り状態に維持され、かつ右の操向ブレーキ30Rが切り状態に維持される。
【0038】
電動モータ50が中立状態から右旋回側に操作されると、シーソ部材41が中立位置[N]から右旋回方向[RS](
図4参照)に揺動操作され、右の連動リンク43Rがシーソ部材41によって引張り操作されて右の操作アーム26Rがクラッチ入り位置Kからブレーキ入り位置に向けて揺動操作され、右の操向クラッチ20Rが切り状態に切り換わる。右の操向クラッチ20Rが切り状態になった後、シーソ部材41が更に右旋回方向[RS]に揺動操作されると、右の操作アーム26Rがブレーキ位置に操作され、右の操向ブレーキ30Rが入り状態になる。シーソ部材41の右旋回方向[RS]への揺動ストロークが大になるほど、右の操向ブレーキ30Rに対するクラッチ輪体21Rの押圧力が強くなり、右の操向ブレーキ30Rのブレーキ力が強くなる。このように、右の操向クラッチ20Rが切り状態になり、かつ右の操向ブレーキ30Rが入り状態になったとき、左の連結穴45Lが左の操作アーム26Lの方へ移動し、左の操作アーム26Lがリターンバネ33によってクラッチ入り位置Kに維持され、左の操向クラッチ20Lが入り状態に維持され、かつ左の操向ブレーキ30Lが切り状態に維持される。
【0039】
図1,4に示すように、左右の操縦ハンドル4に左右一対の操向レバー51L,51Rが振り分けて支持されている。左右の操向レバー51L,51Rは、具体的には、
図6に示す支持構造に基づいて操縦ハンドル4の握り部4bの近くに支持されている。すなわち、操縦ハンドル4の握り部4bよりも前側の部分からブラケット52が下向きに突設されている。ブラケット52と、操向レバー51L,51Rの基部に設けられた連結部51aとが支軸53を介して連結されている。操向レバー51L,51Rは、支軸53の軸芯を揺動中心Xとし、握り部4aに近い入り操作位置[A]と、連結部51aの前端部がブラケット52のストッパー部52aに当接した非操作位置[B]とにわたって揺動昇降可能に支持されている。操向レバー51L,51Rは、握り操作することによって入り操作位置[A]に操作でき、握り操作を解除することにより、リターンバネ(図示せず)によって非操作位置[B]に操作される。
【0040】
図4に示すように、左右の操向レバー51L,51Rの基部の近くに操作検出センサ54L,54Rが設けられている。左右の操作検出センサ54L,54Rは、
図6,7に示すように、ブラケット55を介して支持部材56に支持されている。ブラケット55は、支持部材56に連結ボルト57によって連結されている。支持部材56の上部が操縦ハンドル4に連結されている。操作検出センサ54L,54Rは、ブラケット55、支持部材56を介して操縦ハンドル4に固定されている。
【0041】
左の操作検出センサ54Lは、左の操向レバー51Lに設けられたスイッチ操作部材58を検出対象部材として、左の操向レバー51Lが入り操作位置[A]及び非操作位置[B]に操作されたことを検出する。右の操作検出センサ54Rは、右の操向レバー51Rに設けられたスイッチ操作部材58を検出対象部材として、右の操向レバー51Rが入り操作位置[A]及び非操作位置[B]に操作されたことを検出する。
【0042】
具体的には、左右の操作検出センサ54L,54Rは、入り状態と切り状態とに切り換え可能な検出スイッチによって構成されている。左右の操作検出センサ54L,54Rには、左右一対の非接触式の検出部59a,59bが設けられている。
【0043】
左右の操作検出センサ54L,54Rは、検出対象レバーとする操向レバー51L,51Rが非操作位置[B]に位置すると、この操向レバー51L,51Rのスイッチ操作部材58の延出端部58aが左右の検出部59a,59bの間に入り込み、スイッチ操作部材58によって切り状態に切換え操作される。左右の操作検出センサ54L,54Rは、切り状態になることで、操向レバー51L,51Rが非操作位置[B]に操作されたことの検出状態になる。
【0044】
左右の操作検出センサ54L,54Rは、検出対象レバーとする操向レバー51L,51Rが入り操作位置[A]に位置すると、この操向レバー51L,51Rのスイッチ操作部材58の延出端部58aが左右の検出部59a,59bの間から外部に抜け出し、スイッチ操作部材58によって入り状態に切換え操作される。左右の操作検出センサ54L,54Rは、入り状態になることで、操向レバー51L,51Rが入り操作位置[A]に操作されたことの検出状態になる。
【0045】
図4に示すように、左右の操作検出センサ54L,54R及び電動モータ50に制御装置60が連係されている。制御装置60は、マイクロコンピュータを利用して構成され、操向制御手段61を備えている。
【0046】
操向制御手段61は、制御装置60が左右の操作検出センサ54L,54Rに連係されていることによって左右の操作検出センサ54L,54Rに連係され、左右の操作検出センサ54L,54Rから検出情報を入力する。操向制御手段61は、制御装置60が電動モータ50に連係されていることによって、左の操向クラッチ20L及び左の操向ブレーキ30Lの操作部としての左の操作アーム26Lに連係され、かつ右の操向クラッチ20R及び右の操向ブレーキ30Rの操作部としての右の操作アーム26Rに連係され、左の操作検出センサ54Lの検出情報に基づいて左の操向クラッチ20L及び左の操向ブレーキ30Lを制御し、右の操作検出センサ54Rの検出情報に基づいて右の操向クラッチ20R及び右の操向ブレーキ30Rを制御する。
【0047】
左の操作検出センサ54Lの検出情報に基づいて左の操向クラッチ20Lの制御及び左の操向ブレーキ30Lの制御を行なう場合と、右の操作検出センサ54Rの検出情報に基づいて右の操向クラッチ20Rの制御及び右の操向ブレーキ30Rの制御を行なう場合とのそれぞれにおいて、操向制御手段61は、
図8に示す操向制御のフローに基づいて、操向クラッチ20L,20R及び操向ブレーキ30L,30Rを
図9に示す如く制御する。操向制御手段61は、操向クラッチ20L,20R及び操向ブレーキ30L,30Rを制御する際、左の操作アーム26Lに連動連結されたポテンショメータ(図示せず)によって左の操向クラッチ20L及び左の操向ブレーキ30Lの操作状態を検出させると共に検出結果をフィードバックさせつつ、右の操作アーム26Rに連動連結されたポテンショメータ(図示せず)によって右の操向クラッチ20R及び右の操向ブレーキ30Rの操作状態を検出させると共に検出結果をフィードバックさせつつ制御する。
【0048】
操向制御手段61は、操作検出センサ54L,54Rの検出情報を入力し、操作検出センサ54L,54Rが操向レバー51L,51Rの入り操作を検出した状態であるか否かを判断し、操作検出センサ54L,54Rが操向レバー51L,51Rの入り操作を検出した状態でないと判断した場合、シーソ部材41を中立位置[N]に操作させるべく電動モータ50を制御することにより、操向ブレーキ30L,30Rを切り状態に制御し、かつ操向クラッチ20L,20Rを入り状態に制御する。
【0049】
操向制御手段61は、操作検出センサ54L,54Rが操向レバー51L,51Rの入り操作を検出した状態であると判断した場合、シーソ部材41を中立位置[N]から旋回方向[LS]・[RS]に揺動操作させるべく電動モータ50を制御し、操向クラッチ20L,20Rを切り状態に制御する。
【0050】
操向クラッチ20L,20Rが切り状態になると、操向制御手段61は、シーソ部材41をさらに旋回方向[LS]・[RS]に揺動操作させ、操向クラッチ20L,20Rを切り状態に維持する操作域において、操作アーム26L,26Rが弱ブレーキ位置[B1](
図5参照)とブレーキ切り位置[C](
図5参照)との間を往復揺動するようシーソ部材41を往復揺動させるべく電動モータ50を制御し、操向クラッチ20L,20Rを切り状態に制御しつつ、操向ブレーキ30L,30Rが弱入り状態に間欠的になるように、かつ、操向ブレーキ30L,30Rが弱入り状態どうしの間で切り状態になるように、操向ブレーキ30L,30Rの間欠入り制御を行なう。
【0051】
操向ブレーキ30L,30Rを弱入り状態に制御した回数Nが4回に達すると、次に、操向制御手段61は、シーソ部材41をさらに旋回方向[LS]・[RS]に揺動操作させて操作アーム26L,26Rを全ブレーキ位置[B2](
図5参照)に操作させるべく電動モータ50を制御し、操向クラッチ20L,20Rを切り状態に制御しつつ、操向ブレーキ30L,30Rが全入り状態に連続してなるように,操向ブレーキ30L,30Rの連続入り制御を行う。操向制御手段61による操向ブレーキ30L,30Rの連続入り制御は、操作検出センサ54L,54Rが操向レバー51L,51Rの非操作位置[B]への操作を検出した状態になるまで行なう。
【0052】
左右の操向ブレーキ30L,30Rの全入り状態として、摩擦ブレーキ本体31L,31Rが圧接限界まで圧接操作された入り状態を設定してある。左右の操向ブレーキ30L,30Rの弱入り状態として、摩擦ブレーキ本体31L,31Rの圧接操作が圧接限界に至るまでに留められ、全入り状態で現出する制動力よりも弱い制動力を現出する入り状態を設定してある。
【0053】
走行機体3を左向きに操向操作する場合、左の操向レバー51Lを握り操作して入り操作位置[A]に操作すると、この入り操作が左の操作検出センサ54Lによって検出され、左の操作検出センサ54Lの検出情報を基に、操向制御手段61が左の操向クラッチ20Lの切り制御を行うことにより、シーソ部材41が電動モータ50によって中立位置[N]から左旋回方向[LS]に揺動操作され、左の操向クラッチ20Lが切り状態になる。次に、操向制御手段61が左の操向クラッチ20Lの切り制御を行いつつ、左の操向ブレーキ30Lの間欠入り制御を行なうことにより、シーソ部材41が電動モータ50によって往復揺動操作されて、左の操作アーム26Lが弱ブレーキ位置[B1]とブレーキ切り位置[C]との間を往復揺動するように、かつ弱ブレーキ位置[B1]に4回なるように操作され、左の操向クラッチ20Lが切り状態にされつつ、左の操向ブレーキ30Lが弱入り状態に間欠的に4回なり、かつ弱入り状態どうしの間で切り状態になる。操向制御手段61は、左の操向ブレーキ30Lの間欠入り制御を終えると、左の操向クラッチ20Lの切り制御を行いつつ、左の操向ブレーキ30Lの連続入り制御を行なうことにより、シーソ部材41が電動モータ50によってさらに左旋回方向[LS]に揺動操作され、左の操向クラッチ20Lが切り状態にされつつ、左の操向ブレーキ30Lが全入り状態に連続してなる。したがって、左の走行装置2に左の操向ブレーキ30Lによって弱い制動力が間欠的に4回にわたって付与され、次に、左の走行装置2に左の操向ブレーキ30Lによって強い制動力が連続して付与され、左の走行装置2を徐々に停止させて、走行機体3を緩やかに旋回させながら、またスリップしにくくしながら左向きに操向操作できる。
【0054】
走行機体3を右向きに操向操作する場合、右の操向レバー51Rを握り操作して入り操作位置[A]に操作すると、この入り操作が右の操作検出センサ54Rによって検出され、右の操作検出センサ54Rの検出情報を基に、操向制御手段61が右の操向クラッチ20Rの切り制御を行うことにより、シーソ部材41が電動モータ50によって中立位置[N]から右旋回方向[RS]に揺動操作され、右の操向クラッチ20Rが切り状態になる。次に、操向制御手段61が右の操向クラッチ20Rの切り制御を行いつつ、右の操向ブレーキ30Rの間欠入り制御を行なうことにより、シーソ部材41が電動モータ50によって往復揺動操作されて、右の操作アーム26Rが弱ブレーキ位置[B1]とブレーキ切り位置[C]との間を往復揺動するように、かつ弱ブレーキ位置[B1]に4回なるように操作され、右の操向クラッチ20Rが切り状態にされつつ、右の操向ブレーキ30Rが弱入り状態に間欠的に4回なり、かつ弱入り状態どうしの間で切り状態になる。操向制御手段61は、右の操向ブレーキ30Rの間欠入り制御を終えると、右の操向クラッチ20Rの切り制御を行いつつ、右の操向ブレーキ30Rの連続入り制御を行なうことにより、シーソ部材41が電動モータ50によってさらに右旋回方向[RS]に揺動操作され、右の操向クラッチ20Rが切り状態にされつつ、右の操向ブレーキ30Rが全入り状態に連続してなる。したがって、右の走行装置2に右の操向ブレーキ30Rによって弱い制動力が間欠的に4回にわたって付与され、次に、右の走行装置2に右の操向ブレーキ30Rによって強い制動力が連続して付与され、右の走行装置2を徐々に停止させて、走行機体3を緩やかに旋回させながら、またスリップしにくくしながら右向きに操向操作できる。
【0055】
走行機体3を直進向きに操向操作する場合、左右の操向レバー51L,51Rの握り操作を解除すると、左右の操向レバー51L,51Rがリターンバネによって非操作位置[B]に操作されて、この操作が左右の操作検出センサ54L,54Rによって検出される。操向制御手段61が左の操作検出センサ54Lの検出情報を基づいて左の操向ブレーキ30Lの切り制御及び左の操向クラッチ20Lの入り制御を行い、かつ操向制御手段61が右の操作検出センサ54Rの検出情報に基づいて右の操向ブレーキ30Rの切り制御及び右の操向クラッチ20Rの入り制御を行うことにより、シーソ部材41が電動モータ50によって中立位置[N]に操作されて、左右の操向ブレーキ30L,30Rが切り状態になり、かつ左右の操向クラッチ20L,20Rが入り状態になる。したがって、左右の走行装置2が駆動されて、走行機体3を直進向きに操向操作できる。
【0056】
図10に示すように、作業クラッチ9を構成する除雪部側のベルトプーリ65の下部の外周囲にベルト受け66が設けられている。作業クラッチ9の切り状態などにおいて、弛緩したベルト67をベルトプーリ65から外れないようにベルト受け66によって支持することができる。
図11に示すように、走行クラッチ7を構成する走行ミッション側のベルトプーリ68の外周部にベルト受け69が設けられている。走行クラッチ7の切り状態などにおいて、弛緩したベルト70をベルトプーリ68から外れないようにベルト受け69によって支持することができる。
【0057】
図10,11,12,13に示すように、作業クラッチ9のベルト受け66の左端部66a及び走行クラッチ7のベルト受け69の左端部69aは、上下に並ぶ2本の連結ボルト71によって機体フレーム1に連結されている。作業クラッチ9のベルト受け66の右端部66b及び走行クラッチ7のベルト受け69の右端部69bは、1本の連結ボルト71によって機体フレーム1に連結されている。
【0058】
作業クラッチ9のベルト交換などを行なう際、機体フレーム1のボルト孔72を機体前後方向に長い形状に形成してあるので、ベルト受け66をベルトプーリ65と径方向に並ぶ作用位置からボルト孔72に沿わせて機体前方側へスライド移動させることにより、ベルト受け66がベルトプーリ65に対して機体前方側に離れた解除位置に位置し、ベルトプーリ65の外周囲をベルト脱着が可能となるよう開放できる。
【0059】
走行クラッチ7のベルト交換などを行なう際、機体フレーム1のボルト孔73を機体前後方向に長い形状に形成してあることにより、ベルト受け69をベルトプーリ68と径方向に並ぶ作用位置からボルト孔73に沿わせて機体後方側へスライド移動させることにより、ベルト受け69がベルトプーリ68に対して機体後方側に離れた解除位置に位置し、ベルトプーリ68の外周囲をベルト脱着が可能となるよう開放できる。
【0060】
〔別実施形態〕
(1)上記した実施例では、操向ブレーキ30L,30Rの間欠入り制御として、操向ブレーキ30L,30Rを弱入り状態に制御する制御形態のものを採用した例を示したが、操向ブレーキ30L,30Rを全入り状態に制御する制御形態のものを採用してもよい。
【0061】
(2)上記した実施例では、操向ブレーキ30L,30Rの間欠入り制御として、操向ブレーキ30L,30Rを間欠的に入り制御する回数が4回である制御形態のものを採用した例を示したが、入り状態どうしの間隔時間を短くあるいは長く設定し、入り制御の回数を2回、3回あるいは5回など、如何なる回数である制御形態のものを採用してもよい。
【0062】
(3)上記した実施例では、左の操向クラッチ20L、左の操向ブレーキ30L、右の操向クラッチ20R及び右の操向ブレーキ30Rの全てを同一のアクチュエータ50によって切り換え操作するよう構成した例を示したが、左の操向クラッチ20Lと左の操向ブレーキ30Lとを左用の同一のアクチュエータによって切換え操作し、右の操向クラッチ20Rと右の操向ブレーキ30Rとを右用の同一のアクチュエータによって切換え操作するよう構成してもよい。また、左の操向クラッチ20L、左の操向ブレーキ30L、右の操向クラッチ20R及び右の操向ブレーキ20Bの全てを個別の4つのアクチュエータによって切り換え操作するよう構成してもよい。
【0063】
(5)上記した実施例では、操作検出センサ54L,54Rを構成する検出スイッチとして、操向レバー51L,51Rの入り操作の検出状態で入り状態になり、操向レバー51L,51Rの非操作の検出状態で切り状態になる検出スイッチを採用した例を示したが、操向レバー51L,51Rの入り操作の検出状態で切り状態になり、操向レバー51L,51Rの非操作の検出状態で入り状態になる検出スイッチを採用してもよい。
【0064】
(6)上記した実施例では、操作検出センサ54L,54Rとして非接触式の切り換えスイッチを採用した例を示したが、接触式の切り換えスイッチ、あるいはポテンショメータを採用可能である。