(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2017-210849(P2017-210849A)
(43)【公開日】2017年11月30日
(54)【発明の名称】雨水などの貯留浸透施設
(51)【国際特許分類】
E03F 1/00 20060101AFI20171102BHJP
E03B 3/03 20060101ALI20171102BHJP
E03B 3/02 20060101ALI20171102BHJP
E03B 11/14 20060101ALI20171102BHJP
【FI】
E03F1/00 A
E03B3/03 B
E03B3/02 Z
E03B11/14
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
【全頁数】6
(21)【出願番号】特願2016-106739(P2016-106739)
(22)【出願日】2016年5月27日
(71)【出願人】
【識別番号】306024805
【氏名又は名称】株式会社 林物産発明研究所
(72)【発明者】
【氏名】林 慎一郎
(72)【発明者】
【氏名】林 和志郎
(72)【発明者】
【氏名】林 宏三郎
(72)【発明者】
【氏名】林 加奈子
【テーマコード(参考)】
2D063
【Fターム(参考)】
2D063AA09
2D063AA11
(57)【要約】
【課題】本発明は、脚部を有する単位部材を用いた雨水貯留浸透施設の省資源化の提案である。
【解決手段】本発明は、脚部を有する単位部材をその脚部を対向させた状態で組み合わせたユニットを地下に配列することで貯留空間を形成し、当該貯留空間をシートで覆った雨水などの貯留浸透施設において、当該貯留空間はユニットを配置した貯留空間の周壁と、当該周壁内に配列される前記単位部材と同じ外形を有する盤体に挟まれた柱状部からなる柱形成体と、周壁および周壁内を覆う天井板から構成され、柱形成体はユニットの整数倍の高さを有し、柱形成体を周壁と同じ高さとなるまで配設し柱とし、天井部材を周壁と柱、柱間にまたがるように覆って貯留空間とした雨水などの貯留浸透施設である。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
脚部を有する単位部材をその脚部を対向させた状態で組み合わせたユニットを地下に配列することで貯留空間を形成し、当該貯留空間をシートで覆った雨水などの貯留浸透施設において、当該貯留空間はユニットを配置した貯留空間の周壁と、当該周壁内に配列される前記単位部材と同じ外形を有する盤体に挟まれた柱状部からなる柱形成体と、周壁および周壁内を覆う天井板から構成され、柱形成体はユニットの整数倍の高さを有し、柱形成体を周壁と同じ高さとなるまで配設し柱とし、天井部材を周壁と柱、柱間にまたがるように覆って貯留空間とした雨水などの貯留浸透施設。
【請求項2】
脚部を有する単位部材をその脚部を対向させた状態で組み合わせたユニットを地下に配列することで貯留空間を形成し、当該貯留空間をシートで覆った雨水などの貯留浸透施設において、当該貯留空間は主たる単位部材から形成されるユニットを配置した貯留空間の周壁と、当該周壁内に配列される前記単位部材と同じ外形を有する従たる単位部材から形成される従たるユニットで形成される柱と、周壁および周壁内を覆う天井板から構成され、天井部材を周壁と柱、柱と柱間にまたがるように覆って貯留空間とした雨水などの貯留浸透施設。
【請求項3】
請求項1記載の雨水などの貯留浸透施設において、盤体に挟まれた柱状部からなる柱形成体は下方が盤体と固定され上方が遊びのある雨水などの貯留浸透施設。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、雨水などの貯留浸透施設の技術に属する。
【背景技術】
【0002】
雨水等の流出抑制を目的として、プラスチックなどで製造された単位部材を地下に配列充填しその周囲を適宜シートで覆った雨水貯留浸透施設が普及している。この目的のため各種の異なる形状の単位部材が例えば特開平10-252108、特開平11-222886などに提案且つ使用されている。いずれの方法も単位部材を地下に配列し、その周囲を透水性若しくは遮水性のシートで包み、その内部空間に雨水等を貯留する浸透・貯留施設とするものであった。
上記単位部材の配列を工夫することで省資源を図る方法として本発明者らは特開2008-280775、特開2010-048010、特開2010-059729の方法を提案したが別途の省資源を図る方法の提案である。
【0003】
【特許文献1】特開平10-252108
【特許文献2】特開平11-222886
【特許文献3】特開2008-280775
【特許文献4】特開2010-048010
【特許文献5】特開2010-059729
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、脚部を有する単位部材を用いた雨水貯留浸透施設の省資源化の提案である。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本第1の発明は、脚部を有する単位部材をその脚部を対向させた状態で組み合わせたユニットを地下に配列することで貯留空間を形成し、当該貯留空間をシートで覆った雨水などの貯留浸透施設において、当該貯留空間はユニットを配置した貯留空間の周壁と、当該周壁内に配列される前記単位部材と同じ外形を有する盤体に挟まれた柱状部からなる柱形成体と、周壁および周壁内を覆う天井板から構成され、柱形成体はユニットの整数倍の高さを有し、柱形成体を周壁と同じ高さとなるまで配設し柱とし、天井部材を周壁と柱、柱間にまたがるように覆って貯留空間とした雨水などの貯留浸透施設である。
本第2の発明は、脚部を有する単位部材をその脚部を対向させた状態で組み合わせたユニットを地下に配列することで貯留空間を形成し、当該貯留空間をシートで覆った雨水などの貯留浸透施設において、当該貯留空間は主たる単位部材から形成されるユニットを配置した貯留空間の周壁と、当該周壁内に配列される前記単位部材と同じ外形を有する従たる単位部材から形成される従たるユニットで形成される柱と、周壁および周壁内を覆う天井板から構成され、天井部材を周壁と柱、柱と柱間にまたがるように覆って貯留空間とした雨水などの貯留浸透施設である。
本第3の発明は、本第1の発明において盤体に挟まれた柱状部からなる柱形成体は下方が盤体と固定され上方が遊びのある雨水などの貯留浸透施設である。
【発明の効果】
【0006】
本第1の発明は、柱を周壁内に配列する際、柱形成体を周壁と同じ高さとなるまで配設し柱とし、天井部材を周壁と柱、柱間にまたがるように覆って貯留空間とし、ユニットを柱で代替したため貯留空間が広くなり省資源効果が大きい。
本第2の発明は、従たる単位部材として鉛直強度は同程度で水平強度の劣る単位部材を使用することで省資源化と従たる単位部材の使用範囲の拡大を通して有効利用が図れる。
第3の発明は、盤体に挟まれた柱状部からなる柱形成体は下方が盤体と固定され上方が遊びのある雨水などの貯留浸透施設であるため、上方の盤体と柱形成体の接続が容易となる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図2】脚部を有する単位部材とユニット形状を示す概念図である。
【
図6】従たる単位部材とユニット形状を示す概念図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
以下、本発明を図によって、より詳細に説明する。
図1は、本第1の発明の貯留浸透施設を構成する貯留空間の概念図である。
図1aは、平面図であり、
図1bは、断面図である。図で立方体として示している部分はユニットである。
図2はユニットの例を示す。
図2aに示すユニットは平板部と平板部に開口する脚部を有する単位部材をその脚部を対向させるように組み合わせたものである。
図2bに示すユニットは容器の底面に開口し上方に向かう脚部を有する単位部材をその脚部を対向させるように組み合わせたものである。
図3aから
図3eは柱の例を示し、
図3fと
図3gは盤体と柱状部の例を示している。からは柱形成体の例を示している。
図3hは盤体の柱状体挿入部にガイドを設けかつ盤体と柱状部を固定した状態を示している。
図3に示すように柱形成体は前記単位部材の平板部と同じ外形を有する盤体に挟まれた柱状部からなる。柱は、柱形成体をそのまま、あるいは積上げたものである。このとき柱を形成する際、柱形成体とユニットを混ぜて使用してもよい。
【0009】
盤体は、平板部と柱状部を挿入あるいは支えることのできる柱状部支持部からなる。
図3aに示すように柱状部支持部は筒状あるいは
図8dに示すような単位部材の脚部が2重となり柱を挿入あるいは支える筒状の部分があればよい。また
図3dに示すように平板部に開口する4つの脚部を有する単位部材のように、その脚部の外周を利用してを柱状部を支持できるものであってもよい。
【0010】
図3hに示すように柱状部支持部に挿入し易いよう傾斜のあるガイドを設けてもよい。このとき、下方の盤体と柱状部は砂利、モルタルなどで固定し、上方の盤体と柱状部は固定しない方法も採用できる。上方を固定せず遊びを設けておくことで上方の盤体への柱状部の挿入が容易となる。
【0011】
本貯留空間はユニットを上下左右に配列して貯留空間の周壁を形成する。得られた周壁内に柱を等間隔に配置する。図では、柱と周壁までの距離、柱間の距離はユニットの幅に等しく設定されている。この幅は必要に応じてユニットの整数倍の距離とすることができる。
また周壁も必要に応じてユニットの整数倍の厚さとすることができる。また、柱も柱形成体を4個正方形に並べ積上げた太い柱とすることでもよい。ユニットと柱形成体の組み合わせにおいても同様である。
貯留空間は周壁内を天板で覆って完成する。
図1aでは、ユニット幅、柱幅の2倍を有する天板で覆っている。本図に係らず天板の大きさを周壁全体を覆うようにするため隅部、周壁部、周壁ない内部用など複数の大きさを有する天板を使用することでもよい。
【0012】
図4は貯留空間を示す他の実施例である。
本実施例は柱を貯留空間の周壁内に間をおかず配置したものである。
【0013】
柱形成体を構成する柱状部は金属製のパイプ、棒あるいは塩化ビニール管、コンクリートが使用できる。
【0014】
図5は本貯留空間を遮水シート及び保護シートで覆った貯留槽にドロだめ枡、オリフィス枡等の付帯設備を設けた雨水流出抑制施設として利用する例を示している。
図8に本発明の雨水等の貯留浸透施設に使用可能な単位部材の例を示す。単位部材の脚部は円形以外、多角形、梅鉢状など使用可能であり脚部の個数も一つに限定されない。
【0015】
以下第2の発明につき説明する。
図6は従たる単位部材とそれを用いて形成される従たるユニットの概念図である。従たる単位部材は図に示すように、平板部に開口する脚部から形成され、平板部の端部が切り欠かれている。このため単位部材として鉛直方向からの抗力には十分対抗できるが水平方向からかかる抗力に問題がある。
そのため単独に使用すると利用範囲に限界がある。
【0016】
図7は上記利用範囲に問題のある、従たる単位部材からのユニットを上記で説明した主たる単位部材からのユニットで形成された周壁内に配設することでその利用範囲を拡大した貯留空間を示している。主たる単位部材は切り欠きの無い平板部に開口する脚部からなる単位部材である。
図1に示す貯留空間と異なり従たるユニットで形成した柱を隙間無く周壁内に配設している。本貯留空間を雨水などの貯留浸透施設として利用する場合も
図7に示す方法で同じように実施できる。
【0017】
単位部材、柱形成体、天板の材質は従来の単位部材を用いる方法と同様ポリプロピレンなどの射出成形可能なポリオレフィン、ステンレススチールなどの金属製あるいはコンクリート製とすることができる。
【産業上の利用可能性】
【0018】
雨水等の流出抑制施設として利用可能である。
【符号の説明】
【0019】
1 貯留空間
2 単位部材
3 ユニット
4 周壁
5 柱形成体
6 柱
7 天板