特開2017-210947(P2017-210947A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2017-210947(P2017-210947A)
(43)【公開日】2017年11月30日
(54)【発明の名称】作業機
(51)【国際特許分類】
   F01N 3/18 20060101AFI20171102BHJP
   F01N 3/08 20060101ALI20171102BHJP
   F02B 77/08 20060101ALI20171102BHJP
   B01D 53/94 20060101ALI20171102BHJP
【FI】
   F01N3/18 C
   F01N3/08 G
   F01N3/08 Z
   F02B77/08 K
   B01D53/94 222
   B01D53/94 400
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2016-106395(P2016-106395)
(22)【出願日】2016年5月27日
(71)【出願人】
【識別番号】000001052
【氏名又は名称】株式会社クボタ
(74)【代理人】
【識別番号】100061745
【弁理士】
【氏名又は名称】安田 敏雄
(74)【代理人】
【識別番号】100120341
【弁理士】
【氏名又は名称】安田 幹雄
(72)【発明者】
【氏名】三宅 弘志
【テーマコード(参考)】
3G091
4D148
【Fターム(参考)】
3G091AA05
3G091AA17
3G091AA18
3G091AB05
3G091BA05
3G091BA14
3G091BA21
3G091BA31
3G091CA17
3G091DC03
3G091EA14
3G091EA15
3G091EA21
3G091EA30
3G091FA06
3G091FC07
4D148AA06
4D148AB02
4D148AC03
4D148CC61
4D148DA01
4D148DA02
4D148DA03
4D148DA20
(57)【要約】
【課題】排気浄化装置の終了処理中に電源遮断作業を不用意に行ってしまうことを防止することができるようにする。
【解決手段】作業機は、エンジンと、バッテリと、前記エンジンの排気を浄化する浄化処理が可能な排気浄化装置であって、浄化処理後にバッテリの電力によって作動して終了処理を行う駆動部を有する排気浄化装置と、排気浄化装置の駆動部が終了処理を行っていることを報知する報知装置と、を備えている。また、作業機の報知装置は、排気浄化装置の駆動部における終了処理が完了したことを報知する装置であってもよい。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
エンジンと、
バッテリと、
前記エンジンの排気を浄化する浄化処理が可能な排気浄化装置であって、前記浄化処理後に前記バッテリの電力によって作動して終了処理を行う駆動部を有する排気浄化装置と、
前記排気浄化装置の駆動部が前記終了処理を行っていることを報知する報知装置と、
を備えている作業機。
【請求項2】
エンジンと、
バッテリと、
前記エンジンの排気を浄化する浄化処理が可能な排気浄化装置であって、前記浄化処理後に前記バッテリの電力によって作動して終了処理を行う駆動部を有する排気浄化装置と、
前記排気浄化装置の駆動部における前記終了処理が完了したことを報知する報知装置と、
を備えている作業機。
【請求項3】
前記排気浄化装置は、
尿素水を貯留するタンクと、
前記尿素水を通過させる流路と、
前記流路の尿素水を前記エンジンの排気を通過させる排気路に噴射するノズルと、
を有し、
前記駆動部は、前記浄化処理時に前記タンク内の前記尿素水を吐出可能で且つ、前記終了処理時に前記バッテリの電力により作動して前記流路の尿素の吸込みを行うポンプを含み、
前記報知装置は、前記ポンプによる吸込み中は前記終了処理を行っていることを報知する請求項1に記載の作業機。
【請求項4】
前記排気浄化装置は、
尿素水を貯留するタンクと、
前記尿素水を通過させる流路と、
前記流路の尿素水を前記エンジンの排気を通過させる排気路に噴射するノズルと、
を有し、
前記駆動部は、前記浄化処理時に前記タンク内の前記尿素水を吐出可能で且つ、前記終了処理時に前記バッテリの電力により作動して前記流路の尿素水の吸込みを行うポンプを含み、
前記報知装置は、前記ポンプによる前記吸込みを停止した際に前記終了処理が完了したことを報知する請求項2に記載の作業機。
【請求項5】
前記排気浄化装置は、
前記タンク、流路、ポンプのいずれかに接続可能な循環路を有し、
前記駆動部は、前記循環路の中途部に設けられ且つ、前記終了処理時に前記バッテリの電力により開放することで尿素水を前記循環路を通して循環させる作動弁を含み、
前記報知装置は、前記作動弁の開放中は前記終了処理を行っていることを報知する請求項3に記載の作業機。
【請求項6】
前記報知装置は、前記バッテリの近傍に配置されている請求項1〜5のいずれか1項に記載の作業機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、トラクタ等の作業機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、トラクタ等の作業機において、エンジンから排出された排気ガスを浄化する排気浄化装置として、特許文献1に開示された技術が知られている。
特許文献1に開示された排気浄化装置は、排気ガスに含まれるNOを浄化する尿素SCRシステムである。この尿素SCRシステムでは、タンクに貯留した尿素水をポンプで吸い上げ、当該ポンプで吸い上げた尿素水をインジェクタで排気ガスに噴射することによって、NOを無害な物質(HO、N)に変換している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2015−175265号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
さて、作業機にはバッテリが搭載されている。作業機のメンテナンスや修理等を行う際には、バッテリに接続したバッテリコードを外したり、バッテリと機器とを接続するブレーカをOFFするという電源遮断作業を行う。一方、排気浄化装置では、エンジンの駆動を停止後に、配管内に溜まった尿素水を回収するなどの終了処理が必要な場合がある。このように、排気浄化装置で終了処理を行っている際に、電源遮断作業を行った場合、終了処理が途中で停止し、尿素水を適正に回収することができない虞がある。
【0005】
そこで、本発明は上記問題点に鑑み、排気浄化装置の終了処理中に電源遮断作業を不用意に行ってしまうことを防止することができる作業機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この技術的課題を解決するための本発明の技術的手段は、以下に示す点を特徴とする。
本発明の作業機は、エンジンと、バッテリと、前記エンジンの排気を浄化する浄化処理が可能な排気浄化装置であって、前記浄化処理後に前記バッテリの電力によって作動して終了処理を行う駆動部を有する排気浄化装置と、前記排気浄化装置の駆動部が前記終了処理を行っていることを報知する報知装置と、を備えている。
【0007】
また、作業機は、エンジンと、バッテリと、前記エンジンの排気を浄化する浄化処理が可能な排気浄化装置であって、前記浄化処理後に前記バッテリの電力によって作動して終了処理を行う駆動部を有する排気浄化装置と、前記排気浄化装置の駆動部における前記終了処理が完了したことを報知する報知装置と、を備えている。
前記排気浄化装置は、尿素水を貯留するタンクと、前記尿素水を通過させる流路と、前記流路の尿素水を前記エンジンの排気を通過させる排気路に噴射するノズルと、を有し、前記駆動部は、前記浄化処理時に前記タンク内の前記尿素水を吐出可能で且つ、前記終了処理時に前記バッテリの電力により作動して前記流路の尿素の吸込みを行うポンプを含み、前記報知装置は、前記ポンプによる吸込み中は前記終了処理を行っていることを報知する。
【0008】
前記排気浄化装置は、尿素水を貯留するタンクと、前記尿素水を通過させる流路と、前記流路の尿素水を前記エンジンの排気を通過させる排気路に噴射するノズルと、を有し、前記駆動部は、前記浄化処理時に前記タンク内の前記尿素水を吐出可能で且つ、前記終了処理時に前記バッテリの電力により作動して前記流路の尿素水の吸込みを行うポンプを含み、前記報知装置は、前記ポンプによる前記吸込みを停止した際に前記終了処理が完了したことを報知する。
【0009】
前記排気浄化装置は、前記タンク、流路、ポンプのいずれかに接続可能な循環路を有し、前記駆動部は、前記循環路の中途部に設けられ且つ、前記終了処理時に前記バッテリの電力により開放することで尿素水を前記循環路を通して循環させる作動弁を含み、前記報知装置は、前記作動弁の開放中は前記終了処理を行っていることを報知する。
前記報知装置は、前記バッテリの近傍に配置されている。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、排気浄化装置の終了処理中に電源遮断作業を不用意に行ってしまうことを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】排気浄化装置の概略図である。
図2】排気浄化装置の動作のフローチャートである。
図3】排気浄化装置の変形例の概略図である。
図4】作業機の全体図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
図4は、本実施形態における作業機であるトラクタ1の全体図を示している。なお、作業機は、トラクタに限定されず、コンバイン、田植機等の農業機械であっても、建設機械等であってもよい。
まず、トラクタ1の全体構成について説明する。
【0013】
図4に示すように、トラクタ1は、車輪を有する走行車体(走行車両)3と、原動機4と、変速装置5とを備えている。原動機4は、ディーゼルエンジン、ガソリンエンジン、電動機等である。この実施形態では、原動機4は、ディーゼルエンジン(以降、エンジンという)である。
また、走行車体3には運転席6と、運転席6を囲むキャビン7とが設けられている。また、走行車体3の後部には、3点リンク機構等で構成された連結部8が設けられている。連結部8には、作業装置2が着脱可能である。例えば、耕耘装置、施肥装置、薬剤散布装置等の作業装置2を連結部8に連結することによって、走行車体3によって作業装置2を牽引することができる。
【0014】
図1に示すように、トラクタ1は、排気浄化装置10を備えている。排気浄化装置10は、エンジン4から排出された排気ガスを浄化する装置であって、例えば、排気ガスに含まれるNOを浄化する尿素SCR装置(尿素SCRシステム)である。SCRとは、選択的触媒還元(Selective Catalytic Reduction)の略称である。
具体的には、排気浄化装置10は、エンジン4が駆動中又はエンジン4から排気ガスが排出されている場合、排気ガスを浄化する浄化処理を実行可能である。また、排気浄化装置10は、浄化処理後に尿素水を回収する等の終了処理を実行可能である。
【0015】
排気浄化装置10は、SCR触媒11と、タンク12と、駆動部13と、制御装置15とを有している。
SCR触媒11は、排気ガス中のNOを還元する構造体であって、エンジン4の排気を通過させる排気路20に設けられている。SCR触媒11は、排気路20に供給された尿素水と排気ガス中のNOとを反応させて、NOを無害な物質(HO、N)に変換する。タンク12は、尿素水を貯留するタンクである。
【0016】
駆動部13は、電力等によって駆動することでNOを浄化する機器である。駆動部13は、ポンプ13aと、ノズル13bとを含んでいる。ポンプ13aは、電源ラインL1を介してバッテリ16に接続され、当該バッテリ16等から供給される電力によって駆動する電動ポンプである。具体的には、ポンプ13aは、直流又は交流によって駆動するもので、直流の場合は、バッテリ16に接続された電源ラインL1からの電力により駆動し、交流の場合は、ポンプ13aとバッテリ16との間の電源ラインL1に設けられたDC/AC変換器(図示省略)から出力された電力により駆動する。
【0017】
ポンプ13aは、正転又は逆転可能であって、正転時にはタンク12内の尿素水を吸込み部から吸い上げて、当該ポンプ13aとノズル13bとを接続する流路21に尿素水を吐出する。また、ポンプ13aは、逆転時には流路21内の尿素水を吸引して、吸引した尿素水をタンク12に戻す。流路21は、パイプ、ホース等から構成されていて、一端がポンプ13aに接続され、他端がノズル13bに接続されている。
【0018】
ノズル13bは、流路21の尿素水を排気路20に噴射する装置である。例えば、ノズル13bは、ソレノイドを有し、当該ソレノイドが制御装置15から出力された制御信号によって励磁され、ソレノイドの励磁によって噴射部の開口が変化、即ち、排気路20の尿素水の噴射量が変化する。ノズル13bには排出路22の一端が接続されている。排出路22の他端は、タンク12の上部に接続されている。したがって、排気路20に噴射されなかった尿素水は、排出路22を介してタンク12に排出される。
【0019】
制御装置15は、駆動部13(ポンプ13a、ノズル13b)を制御する装置であって、CPU等から構成されている。制御装置15は、電源ラインL1を介してバッテリ16に接続され、当該バッテリ16の電力により作動する。制御装置15は、第1制御部15aと、第2制御部15bとを有している。第1制御部15a及び第2制御部15bは、制御装置15に格納されたプログラム等から構成されている。
【0020】
第1制御部15aは、エンジン4が駆動している場合、駆動部13(ポンプ13a、ノズル13b)に制御信号を出力することで、排気ガスを浄化する制御(浄化制御)を行う。エンジン4の駆動は、当該エンジン4の駆動に関連する複数の走行機器(イグニッションスイッチ、エンジン回転センサ、インジェクタ等)18の信号に基づいて検出することが可能である。走行機器18は制御装置15に接続されている。例えば、イグニッションスイッチがオンである信号、エンジン回転センサで検出されたエンジン回転の信号、インジェクタが作動している信号等が制御装置15に入力された場合は、第1制御部15aは、エンジン4が駆動したと判断し、浄化制御を行う。なお、エンジン4の駆動を判断する方法は、上述した方法に限定されない。
【0021】
また、排気路20にセンサ(ガス検知センサ、ガス流量センサ等)を設ける。このセンサによって、排気路20に排気ガスが流れているか否かを検出する。そして、センサによって排気路20に排気ガスが流れてことを検出した場合に、第1制御部15aは、浄化制御を行っても良い。
浄化制御では、第1制御部15aは、ポンプ13aを正転させる制御信号を当該ポンプ13aに出力する。また、浄化制御では、第1制御部15aは、ノズル13bを開放する制御信号を当該ノズル13bのソレノイドに出力する。したがって、第1制御部15aが浄化制御を実行すれば、タンク12に貯留した尿素水がポンプ13aを介してノズル13bに供給され、当該ノズル13bに供給された尿素水は排気路20に噴射され、噴射された尿素水等によって排気路20の排気ガスを浄化することができる。
【0022】
第2制御部15bは、浄化制御(浄化処理)後に、終了制御(終了処理)を実行する。終了制御(終了処理)とは、駆動部13を駆動することによって、尿素水が通る経路(ノズル13b、流路21)内の尿素水を回収したり、排気浄化装置10等の温度を低下させる制御(処理)である。
第2制御部15bは、例えば、エンジン4が駆動状態から停止状態に移行した場合、排気ガスの流れが停止した場合などに、終了制御を実行する。終了制御では、第2制御部15bは、ポンプ13aを逆転させる制御信号を当該ポンプ13aに出力する。終了制御の完了時間は、制御装置15の記憶部(メモリ)等に予め記憶されており、例えば、数十分に設定されている。第2制御部15bは、終了制御を行っている時間(経過時間)を内部タイマ等によって計測し、内部タイマで計測した経過時間が完了時間に達した場合に、終了制御を終了する、即ち、ポンプ13aへの制御信号の出力を停止する。なお、完了時間は、上述した時間に限定されず、例えば、尿素水を回収する時間に基づいて設定すればよい。
【0023】
したがって、第2制御部15bが終了制御を実行すれば、排出路22内の尿素水はノズル13b及び流路21を介してポンプ13aに戻り、ノズル13b内の尿素水は流路21を介してポンプ13aに戻り、流路21の尿素水は直接、ポンプ13aに戻る。このように、ノズル13b、流路21及び排出路22内の尿素水は、ポンプ13aによって吸引されて、タンク12に戻るため、配管(流路21、ノズル13b、排出路22)内、即ち、尿素水が通る経路に尿素水が残ることを防止することができる。
【0024】
さて、終了制御(終了処理)では、少なくとも制御装置15及びポンプ13aが作動する。
終了処理の実行中において、電源ライン(バッテリコード、ハーネス等)L1の端子がバッテリ16から取り外された場合、終了処理が途中で終了し、尿素水が通る経路(ノズル13b、流路21)に尿素水が残ってしまう虞がある。この実施形態では、以下に示す構成(方向)により、終了処理の実行中に不用意に電源ラインL1がバッテリ16から取り外されることを防止している。
【0025】
制御装置15には、報知装置17が接続されている。報知装置17は、バッテリ16の近傍(例えば、バッテリ16の側方、バッテリ16の上部、バッテリ16の端子付近)に設けられている。或いは、報知装置17は、運転席16の近傍(例えば、運転席16の前に設けたメータパネル等)に設けられている。報知装置17は、スピーカ、LED、液晶パネル等で構成され、排気浄化装置10の駆動部13が終了処理を行っていることを、音声、文字表示、光等により報知する。例えば、第2制御部15bがポンプ13aに制御信号を出力している間(ポンプ13aによる尿素水の吸込み中)は、制御装置15は、終了処理を行っていることを外部に報知する指令(報知指令)を、報知装置17に出力する。報知装置17は、制御装置15からの報知指令に基づき、終了処理を行っている旨、又は、ポンプ13aによる吸込みを行っている旨を報知する。
【0026】
図2は、排気浄化装置の動作のフローチャートの一例である。
図2に示すように、制御装置15は、まず、走行機器の信号に基づいて、エンジン4が駆動したか否かの判定を行う(S1)。エンジン4が駆動した場合(S1、Yes)、第1制御部15aは、排気浄化装置10のポンプ13a及びノズル13bを作動させ、浄化処理を実行する(S2)。制御装置15は、走行機器の信号に基づいて、エンジン4が駆動状態から停止状態に移行した否かの判定を行う(S3)。エンジン4が駆動状態から停止状態に移行していない場合(S3、No)、第1制御部15aは、浄化処理を継続する。一方、エンジン4が駆動状態から停止状態に移行した場合(S3、Yes)、第2制御部15bは、排気浄化装置10のポンプ13aを作動させ、終了処理を実行する(S4)。また、制御装置15は報知装置17に報知指令を出力して、報知装置17は終了処理が行われていることを報知する(S5)。第2制御部15bは、終了処理の経過時間が予め定められた完了時間に達したか否かを判定する(S6)。終了処理の経過時間が完了時間に達していない場合(S6、No)、第2制御部15bは、終了処理及び報知を継続する。終了処理の経過時間が完了時間に達した場合(S6、Yes)、第2制御部15bは、終了処理を停止する(S7)。また、制御装置15は報知装置17への報知指令の出力を停止して、報知装置17は終了処理の報知を停止する(S8)。
【0027】
以上のように、報知装置17は、排気浄化装置10が終了処理を行っていることを外部に報知している。そのため、トラクタ1を運転するオペレータやトラクタ1の修理等を行うサービスマン等は、エンジン4の駆動が停止した状態でも、排気浄化装置10が終了処理のために作動していることを知ることができ、終了処理中に、バッテリコード等をバッテリ16から取り外すことを防止することができる。
【0028】
なお、上述した実施形態では、報知装置17は、駆動部13が終了処理を行っていることを報知しているが、これに代え、駆動部13における終了処理が完了したことを報知してもよい。例えば、第2制御部15bが終了制御において、ポンプ13aへの制御信号の出力を停止した際に、制御装置15は、終了処理が完了(終了)したことを示す報知指令を、報知装置17に出力する。報知装置17は、制御装置15からの報知指令に基づき、ポンプ13aによる吸込みが完了したことを外部に報知する。このような場合は、オペレータやサービスマン等は、エンジン4が駆動状態から停止状態に移行した後、排気浄化装置10における終了処理が完了したタイミングを知ることができる。したがって、オペレータやサービスマン等は、終了処理が完了後に、バッテリコード等をバッテリ16から取り外すことになるため、終了処理中に不用意にバッテリコードをバッテリ16から取り外すことを防止することができる。
【0029】
また、図3は、排気浄化装置10の変形例を示している。排気浄化装置10は、循環路23と、作動弁24と、測定装置25とを有している。図3に示すように、循環路23の一端はタンク12の下部に配置され、循環路23の他端は排出路22に接続されている。
循環路23には、尿素水を循環させるための作動弁24が設けられている。作動弁24は、駆動部13に含まれる構成要素の1つであって、開閉可能な電磁弁で構成されている。作動弁24は、制御装置15から出力された制御信号によって開閉する。つまり、作動弁24は、バッテリ16の電力によって作動する。測定装置25は、尿素水の温度、或いは、排気浄化装置10の周囲の温度を測定する装置である。測定装置25で測定した尿素水の温度、或いは、周囲の温度は、制御装置15に入力される。
【0030】
第1制御部15aは、浄化処理の場合、作動弁24のソレノイドを消磁して当該作動弁24を閉鎖する。また、第1制御部15は、ポンプ13aを正転させると共にノズル13bを開放する。一方、制御装置15の第2制御部15bは、終了処理の場合、作動弁24のソレノイドを励磁して当該作動弁24を開放する。また、第2制御部15bは、作動弁24を開放している状態で、ノズル13bのソレノイドを消磁することで当該ノズル13bを閉鎖しつつ、ポンプ13aを正転させる。したがって、終了処理では、ポンプ13aの吸込み部、流路21、ノズル13b、排出路22及び循環路23にわたって、尿素水を循環させる。これにより、尿素水が通る経路や排気浄化装置10の全体を冷却することができる。
【0031】
また、第2制御部15bは、終了処理において、尿素水を循環させている状況下で、測定装置25で測定した尿素水の温度、或いは、周囲の温度が予め定められた温度以下になった場合、作動弁24を開放した状態で、ポンプ13aを逆転させる。例えば、第2制御部15bは、測定装置25で測定した尿素水の温度が30℃以下になった場合、作動弁24を開放した状態でポンプ13aを逆転させ、尿素水を回収する、即ち、尿素水の温度が30℃以下になった時点で尿素水の循環を停止して、尿素水の回収を行う。なお、尿素水の回収を行う尿素水の温度は、より好ましくは25℃以下である。
【0032】
したがって、上述した変形例では、終了処理において、作動弁24を開放して尿素水を循環させることによって冷却を行うと共に、ポンプ13aを逆転することによって尿素水を回収することができる。
図3に示す変形例の場合も、報知装置17は終了処理を外部に報知する。具体的には、制御装置15は、作動弁24を開放しているとき、及びポンプ13aを逆転させているときに、報知指令を報知装置17に出力する。報知装置17は、制御装置15からの報知指令に基づき、作動弁24を開放して尿素水を循環させていること、或いは、ポンプ13aによる尿素水の吸込みを行っていることを報知する。なお、上述した実施形態と同様に、報知装置17は、終了処理を完了したことを外部に報知してもよい。
【0033】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0034】
1 作業機(トラクタ)
4 原動機(エンジン)
10 排気浄化装置
11 SCR触媒
12 タンク
13 駆動部
13a ポンプ
13b ノズル
15 制御装置
16 バッテリ
17 報知装置
20 排気路
21 流路
22 排出路
23 循環路
24 作動弁
25 測定装置
図1
図2
図3
図4