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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2017-210980(P2017-210980A)
(43)【公開日】2017年11月30日
(54)【発明の名称】ロータリダンパ
(51)【国際特許分類】
   F16F 9/14 20060101AFI20171102BHJP
   F16F 9/44 20060101ALI20171102BHJP
【FI】
   F16F9/14 A
   F16F9/44
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2016-102690(P2016-102690)
(22)【出願日】2016年5月23日
(71)【出願人】
【識別番号】000103644
【氏名又は名称】オイレス工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100104570
【弁理士】
【氏名又は名称】大関 光弘
(72)【発明者】
【氏名】金子 亮平
【テーマコード(参考)】
3J069
【Fターム(参考)】
3J069AA42
3J069AA44
3J069DD47
3J069EE01
3J069EE36
3J069EE52
(57)【要約】
【課題】制動トルクを簡単に調整可能なロータリダンパを提供する。
【解決手段】ロータリダンパ1は、仕切り部3と、第一、第二調整ネジ8a、8bと、を有する。仕切り部3は、自身で仕切られた円筒室200の領域間を繋ぐ第一、第二流路と、第一流路およびケース2の第一調整ボルト用ネジ孔208aに繋がる第一挿入穴と、第二流路およびケース2の第二調整ボルト用ネジ孔208bに繋がる第二挿入孔と、を有する。第一調整ネジ8aは、第一調整ボルト用ネジ孔208aと螺合して第一挿入孔に挿入され、第一流路への突出長を調整できる。第二調整ネジ8bは、第二調整ボルト用ネジ孔208bと螺合して第二挿入孔に挿入され、第二流路への突出長を調整できる。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
粘性流体の移動を制限することにより、加えられた回転力に対して制動トルクを発生させるロータリダンパであって、
前記粘性流体が充填された円筒室、および前記円筒室の中心線に沿って内周面を径方向内方に向けて設けられ、当該円筒室内を仕切る扇形の仕切り部を有するケースと、
前記円筒室に対して相対的に回転するように当該円筒室に収容され、外周面が前記仕切り部の内周面と近接するロータ本体、および前記円筒室の中心線に沿って前記ロータ本体の外周面から径方向外方に向けて形成され、先端面が前記円筒室の内周面と近接するベーンを有するロータと、
前記円筒室の開口部に取り付けられ、前記ロータを前記粘性流体とともに前記円筒室内に封じ込める蓋と、
前記仕切り部に設けられ、当該仕切り部によって仕切られる前記円筒室内の領域間を連結する第一流路と、
前記第一流路の側壁および前記ケースの外周面を貫く第一挿入穴と、
前記第一挿入穴に挿入され、当該第一挿入穴を塞ぎつつ前記第一流路内への突出長を変更可能な第一調整手段と、を有する
ことを特徴とするロータリダンパ。
【請求項2】
請求項1に記載のロータリダンパであって、
前記ロータが前記円筒室に対して相対的に第一の回転方向へ回転した場合に、前記第一流路を開門し、前記ロータが前記円筒室に対して相対的に前記第一の回転方向の逆回転方向である第二の回転方向へ回転した場合に、前記第一流路を閉門する第一逆止弁をさらに有する
ことを特徴とするロータリダンパ。
【請求項3】
請求項1または2に記載のロータリダンパであって、
前記円筒室の中心線に沿って積み重ねられた少なくとも2つの仕切りブロックを有し、
前記第一流路および前記第一挿入穴は、前記少なくとも2つの仕切りブロックのうち、前記高さ方向に隣り合う2つの仕切りブロック各々の対向面に形成された溝によって構成されている
ことを特徴するロータリダンパ。
【請求項4】
請求項1に記載のロータリダンパであって、
前記仕切り部に設けられ、当該仕切り部によって仕切られる前記円筒室内の領域間を連結する第二流路と、
前記ロータが前記円筒室に対して相対的に前記第一の回転方向へ回転した場合に、前記第二流路を閉門し、前記ロータが前記円筒室に対して相対的に前記第二の回転方向へ回転した場合に、前記第二流路を開門する第二逆止弁と、をさらに有する
ことを特徴とするロータリダンパ。
【請求項5】
請求項4に記載のロータリダンパであって、
前記第二流路の側壁および前記ケースの外周面を貫く第二挿入穴と、
前記第二挿入穴に挿入され、当該第二挿入穴を塞ぎつつ前記第二流路内への突出長を変更可能な第二調整手段と、をさらに有する
ことを特徴とするロータリダンパ。
【請求項6】
請求項5に記載のロータリダンパであって、
前記仕切り部は、
前記円筒室の中心線に沿って積み重ねられた少なくとも3つの仕切りブロックを有し、
前記第一流路および前記第一挿入穴は、前記少なくとも3つの仕切りブロックのうち、前記高さ方向に隣り合う2つの仕切りブロック各々の対向面に形成された溝によって構成されており、
前記第二流路および前記第二挿入穴は、前記少なくとも3つの仕切りブロックのうち、前記高さ方向に隣り合う2つの仕切りブロックであって、少なくとも一方が前記第一流路および前記第一挿入穴を構成する溝が形成された仕切りブロックとは異なる2つの仕切りブロック各々の対向面に形成された溝によって構成されている
ことを特徴とするロータリダンパ。
【請求項7】
請求項5または6に記載のロータリダンパであって、
前記第二調整手段は、
前記第二挿入穴を構成する前記ケースのネジ孔と螺合する調整ネジである
ことを特徴とするロータリダンパ。
【請求項8】
請求項1ないし7のいずれか一項に記載のロータリダンパであって、
前記第一調整手段は、
前記第一挿入穴を構成する前記ケースのネジ孔と螺合する調整ネジである
ことを特徴とするロータリダンパ。
【請求項9】
請求項1ないし8のいずれか一項に記載のロータリダンパであって、
前記ベーンに装着され、前記ベーンの先端面と前記円筒室の内周面との間、前記ベーンの下面と前記円筒室の底部との間、および前記ベーンの上面と前記蓋の下面との間の隙間を塞ぐシール材として機能する摺動部材をさらに有する
ことを特徴とするロータリダンパ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ロータリダンパに関し、特に、制動トルクを調整可能なロータリダンパに関する。
【背景技術】
【0002】
粘性流体の移動を制限することにより、加えられた回転力に対して制動トルクを発生させるロータリダンパが知られている。例えば、特許文献1には、構造が簡単で安価に製造可能なロータリダンパが開示されている。
【0003】
特許文献1に記載のロータリダンパは、円筒室を備えたケースと、円筒室内に回転自在に収容されたロータと、円筒室内に充填された粘性流体と、ケースの開口側端面に取り付けられて円筒室内にロータを粘性流体とともに封じ込める蓋と、を備えている。
【0004】
ロータは、円筒形状のロータ本体と、円筒室の内周面と僅かな隙間を形成するように、ロータ本体の外周面から径方向外方に突出して形成されたベーンと、を有する。ベーンには、ロータの回転方向と垂直な一方の側面(第一の側面と呼ぶ)から他方の側面(第二の側面と呼ぶ)へと繋がる流路が形成されている。また、ベーンの先端面(円筒室の内周面と対向する面)には、円筒室の内周面との僅かな隙間を塞ぐシール材が取り付けられている。このシール材は、ベーンに形成された流路の開閉を行う弾性体の逆止弁を有する。また、円筒室の内周面には、ロータ本体の外周面と僅かな隙間を形成するように、径方向内方に突出した仕切り部が形成されている。
【0005】
以上のような構成において、特許文献1に記載のロータリダンパは、ベーンの第一の側面から第二の側面へ向かう方向(第一の回転方向)に回転させる力がロータに加わると、円筒室内の粘性流体によって逆止弁がベーンの第二の側面に押し付けられて、流路が逆止弁で塞がれる。これにより、粘性流体の移動が、円筒室の仕切り部とロータ本体の外周面との隙間およびケースの閉口側端面(底面)とベーンの下面(ケースの閉口側端面と対向する面)との隙間を介してのみに制限されて、ベーンの第二の側面側の粘性流体に対する圧力が高まり、強い制動トルクが発生する。一方、ベーンの第二の側面から第一の側面へ向かう方向(第二の回転方向)に回転させる力がロータに加わると、ベーンの第一の側面側の粘性流体が、流路に流入して逆止弁を押し上げて流路を開放する。したがって、粘性流体の移動がベーンに形成された流路においても行われるため、ベーンの第一の側面側の粘性流体に対する圧力は高くならず、このため、弱い制動トルクが発生する。
【0006】
さらに、特許文献1に記載のロータリダンパは、第一の回転方向に回転させる力がロータに加わった場合に発生する強い制動トルクを調整するための制動力調整機構を備えている。この制動力調整機構は、ケースの開口側端面と蓋との間に介在するように配置された弾性部材と、弾性部材を介して蓋をケースの開口側端面に取り付けるための複数のボルトと、を備えて構成される。ケースの開口側端面には、複数のネジ穴が形成されており、弾性部材および蓋には、これらのネジ穴に対応する位置に貫通穴が形成されている。複数のボルトは、それぞれ、蓋および弾性部材の貫通穴に挿入され、ケースの開口側端面に形成されたネジ穴と螺合する。そして、複数のボルトの締め具合により、蓋によってケースの円筒室内に押し込まれるロータの押込量が調整される。その結果、ケースの閉口側端面とベーンの下面との隙間が調整され、第一回転方向に回転させる力がロータに加わった場合に発生する強い制動トルクを調整することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開平7−301272号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、特許文献1に記載のロータリダンパの制動力調整機構は、ケースの開口側端面と蓋との間に介在するように配置された弾性部材と、弾性部材を介して蓋をケースの開口側端面に取り付けるための複数のボルトと、を備えているため、ロータを円筒室内に適切に配置するためには、蓋によるロータの押込量が蓋の全面において均一となるように、複数のボルト各々の締め具合を同じにする必要がある。このため、制動トルクの調整作業が煩雑である。
【0009】
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、制動トルクを簡単に調整可能なロータリダンパを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するために、本発明は、仕切り部に、この仕切り部によって仕切られる円筒室内の領域間を連結する流路を形成するとともに、この流路の側壁(内面)とケースの外周面とを貫く挿入穴を形成した。そして、挿入穴に挿入され、この挿入穴を塞ぎつつ流路内への突出長を調整可能な調整手段を設けた。
【0011】
例えば、本発明は、粘性流体の移動を制限することにより、加えられた回転力に対して制動トルクを発生させるロータリダンパであって、
前記粘性流体が充填された円筒室、および前記円筒室の中心線に沿って内周面を径方向内方に向けて設けられ、当該円筒室内を仕切る扇形の仕切り部を有するケースと、
前記円筒室に対して相対的に回転するように当該円筒室に収容され、外周面が前記仕切り部の内周面と近接するロータ本体、および前記円筒室の中心線に沿って前記ロータ本体の外周面から径方向外方に向けて形成され、先端面が前記円筒室の内周面と近接するベーンを有するロータと、
前記円筒室の開口部に取り付けられ、前記ロータを前記粘性流体とともに前記円筒室内に封じ込める蓋と、
前記仕切り部に設けられ、当該仕切り部によって仕切られる前記円筒室内の領域間を連結する第一流路と、
前記第一流路の側壁および前記ケースの外周面を貫く第一挿入穴と、
前記第一挿入穴に挿入され、当該第一挿入穴を塞ぎつつ前記第一流路内への突出長を変更可能な第一調整手段と、を有する。
【発明の効果】
【0012】
本発明では、調整手段の流路内への突出長を変更することにより、流路内を流れる粘性流体の流量を調整して、この流路が形成された仕切り部によって仕切られる円筒室内の領域間における粘性流体の移動を調整することができる。したがって、本発明によれば、制動トルクを簡単に調整することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1図1(A)および図1(B)は、本発明の一実施の形態に係るロータリダンパ1の概略構成を示す外観図および部分断面図である。
図2図2は、本発明の一実施の形態に係るロータリダンパ1の部品展開図である。
図3図3(A)は、ケース2の正面図であり、図3(B)は、図3(A)に示すケース2のA−A断面図であり、図3(C)は、ケース2の背面図である。
図4図4(A)は、仕切り部3の正面図であり、図4(B)は、図4(A)に示す仕切り部3のB−B断面図であり、図4(C)は、仕切り部2の背面図であり、図4(D)は、図4(A)に示す仕切り部3のC−C断面図(仕切りブロック30bの上面図)であり、図4(E)は、図4(A)に示す仕切り部3のD−D断面図(仕切りブロック30aの上面図)である。
図5図5(A)〜図5(C)は、第一逆止弁4a、第二逆止弁4bの正面図、上面図、および下面図である。
図6図6(A)〜図6(C)は、第一調整ボルト8a、第二調整ボルト8bの正面図、上面図、および下面図である。
図7図7(A)および図7(B)は、ロータ5の正面図および側面図であり、図7(C)は、図7(A)に示すロータ5のE−E断面図である。
図8図8(A)〜図8(C)は、蓋7の正面図、側面図、および背面図であり、図8(D)は、図8(A)に示す蓋7のF−F断面図である。
図9図9(A)および図9(B)は、ロータリダンパ1が第一回転方向R1に回転した場合の動作原理を説明するための図である。
図10図10(A)および図10(B)は、ロータリダンパ1が第二回転方向R2に回転した場合の動作原理を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、図面を参照して本発明の一実施の形態を説明する。
【0015】
図1(A)および図1(B)は、本実施の形態に係るロータリダンパ1の概略構成を示す外観図および部分断面図であり、図2は、本実施の形態に係るロータリダンパ1の部品展開図である。
【0016】
図示するように、本実施の形態に係るロータリダンパ1は、ケース2と、一対の仕切り部3と、一対の第一逆止弁4aと、一対の第二逆止弁4bと、ロータ5と、ケース2内に充填されたオイル、シリコン等の粘性流体6と、蓋7と、一対の第一調整ボルト8aと、一対の第二調整ボルト8bと、を備えている。
【0017】
ケース2は、それぞれ第一逆止弁4aおよび第二逆止弁4bが取り付けられた一対の仕切り部3とロータ5とを粘性流体6とともに収容する。
【0018】
図3(A)は、ケース2の正面図であり、図3(B)は、図3(A)に示すケース2のA−A断面図であり、図3(C)は、ケース2の背面図である。
【0019】
図示するように、ケース2内には、一端が開口した円筒室(底付き円筒状の空間)200が形成されており、この円筒室200の内周面203には、仕切り部3毎に一対の位置決め用凸部204が、円筒室200の中心線220に沿って形成されている。各仕切り部3は、自仕切り部3に対応する一対の位置決め用凸部204により位置決めされた状態で、ケース2の円筒室200内に収容される。
【0020】
また、円筒室200には、内周面203および外周面205を貫く一対の第一調整ボルト用ネジ孔208aが、円筒室200内に収容された一対の仕切り部3の後述の第一流路303a(図4参照)と略同じ高さの位置に形成されている。同様に、円筒室200には、内周面203および外周面205を貫く一対の第二調整ボルト用ネジ孔208bが、円筒室200内に収容された一対の仕切り部3の後述の第二流路303b(図4参照)と略同じ高さの位置に形成されている。
【0021】
また、円筒室200の底部201には、ロータ5用の開口部202が形成されている。ロータ5は、後述するロータ本体500の下端部503(図7参照)がこの開口部502に挿入されることにより、ロータ5の回転軸520が円筒室200の中心線220と一致して、ケース2に対して相対的に回転可能となるように、円筒室200内に収容される(図1および図2参照)。円筒室200の内周面203の開口側206には、蓋7の後述する雌ネジ部702(図8参照)と螺合する雌ネジ部207が形成されている。
【0022】
仕切り部3は、外周面300がケース2の円筒室200の内周面203と接触し、内周面301がケース2の円筒室200に収容されたロータ5の後述するロータ本体500の外周面504(図7参照)と近接する扇形の柱状部材である。一対の仕切り部3は、ケース2の円筒室200の中心線220に沿って、この中心線220に対して軸対称となるように、内周面301を円筒室200の径方向内方に向けて配置され、これにより、円筒室200内を2つの領域216a、216b(図9(A)参照)に仕切る。
【0023】
図4(A)は、仕切り部3の正面図であり、図4(B)は、図4(A)に示す仕切り部3のB−B断面図であり、図4(C)は、仕切り部2の背面図であり、図4(D)は、図4(A)に示す仕切り部3のC−C断面図(仕切りブロック30bの上面図)であり、図4(E)は、図4(A)に示す仕切り部3のD−D断面図(仕切りブロック30aの上面図)である。
【0024】
図示するように、仕切り部3は、3つの仕切りブロック30a〜30cがケース2の円筒室200の中心線220に沿って積み重ねられて構成される。仕切り部3の外周面300には、自仕切り部3に対応するケース2の一対の位置決め用凸部204を挿入するための一対の位置決め用凹部302が形成されている。
【0025】
仕切り部3には、円周方向の両端面305、306を貫いて、この仕切り部3によって仕切られたケース2の円筒室200内の領域216a、216b(図9(A)参照)間を連結する第一流路303aおよび第二流路303bが形成されている。第一流路303aの第一回転方向R1(図9参照)の下流側(仕切り部3の端面306側)には、第一逆止弁4aの脱落を防止するためのストッパ307aが形成されている。同様に、第二流路303bの第二回転方向R2(図10参照)の下流側(仕切り部3の端面305側)には、第二逆止弁4bの脱落を防止するためのストッパ307bが形成されている。
【0026】
また、仕切り部3には、ケース2の第一調整ボルト用ネジ孔208aに螺合した第一調整ボルト8aのネジ部80(図2参照)を第一流路303a内に導く第一挿入穴304aが、仕切り部3の外周面300から第一流路303aに向けて形成されている。ここで、第一流路303aを流れる粘性流体6が第一挿入穴304aを通って外部に漏れないようするために、第一調整ボルト8aのネジ部80と第一挿入穴304aとの隙間を塞ぐOリング等のシール材(不図示)を、第一挿入穴304aに装着してもよい。
【0027】
同様に、仕切り部3には、ケース2の第二調整ボルト用ネジ孔208bに螺合した第二調整ボルト8bのネジ部80(図2参照)を第二流路303b内に導く第二挿入穴304bが、仕切り部3の外周面300から第二流路303bに向けて形成されている。ここで、第二流路303bを流れる粘性流体6が第二挿入穴304bを通って外部に漏れないようするために、第二調整ボルト8bのネジ部80と第二挿入穴304bとの隙間を塞ぐOリング等のシール材(不図示)を、第二挿入穴304bに装着してもよい。
【0028】
第一流路303aおよび第一挿入穴304aは、仕切りブロック30bの上面に形成された溝と、仕切りブロック30cの下面に形成された溝とを対向させて、両仕切りブロック30b、30cを積み重ねることにより形成される。同様に、第二流路303bおよび第二挿入穴304bは、仕切りブロック30aの上面に形成された溝と、仕切りブロック30bの下面に形成された溝とを対向させて、両仕切りブロック30a、30bを積み重ねることにより形成される。
【0029】
上記構成の仕切り部3は、例えばつぎのようにして、第一逆止弁4aおよび第二逆止弁4bが取り付けられた状態でケース2の円筒室200内に収容される。まず、仕切りブロック30aの一対の位置決め用凹部302にケース2の一対の位置決め用凸部204を挿入して、仕切りブロック30aをケース2の円筒室200の底面203上に配置する。その後、第二逆止弁4bを、仕切り部3の端面305側に、第二流路303bのストッパ307bに係止させつつ配置する。
【0030】
つぎに、仕切りブロック30bの一対の位置決め用凹部302にケース2の一対の位置決め用凸部204を挿入して、仕切りブロック30bをケース2の円筒室200内に配置された仕切りブロック30c上に配置する。その後、第一逆止弁4aを、仕切り部3の端面306側に、第一流路303aのストッパ307aに係止させつつ配置する。
【0031】
それから、仕切りブロック30cの一対の位置決め用凹部302にケース2の一対の位置決め用凸部204を挿入して、仕切りブロック30cをケース2の円筒室200内に配置された仕切りブロック30b上に配置する。以上のようにして、第一逆止弁4aおよび第二逆止弁4bが取り付けられた仕切り部3を構成する。
【0032】
なお、仕切りブロック30a〜30cおよびケース2の円筒室200の底面203を貫くネジ孔を設け、このネジ孔に連結ボルトを螺合させることにより、仕切りブロック30a〜30cをケース2に固定させてもよい。
【0033】
第一逆止弁4aは、仕切り部3の端面306側において、第一流路303aを開閉する。同様に、第二逆止弁4bは、仕切り部3の端面305側において、第二流路303bを開閉する。
【0034】
図5(A)〜図5(C)は、第一逆止弁4a、第二逆止弁4bの正面図、上面図、および下面図である。
【0035】
図示するように、第一逆止弁4aおよび第二逆止弁4bは、円板状の弁部400と、係止部401と、弁部400および係止部401を連結する円柱状の連結部402と、を有する。
【0036】
第一逆止弁4aの弁部400は、仕切り部3の端面306における第一流路303aの開口(第一流路303aの第一回転方向R1の下流側の開口)の直径D1(図4(D)参照)よりも大きな直径D5を有し、第一逆止弁4aが移動することにより仕切り部3の端面306における第一流路303aの開口を開閉する。同様に、第二逆止弁4bの弁部400は、仕切り部3の端面305における第二流路303bの開口(第二流路303bの第二回転方向R2の下流側の開口)の直径D3(図4(E)参照)よりも大きな直径D5を有し、第二逆止弁4bが移動することにより仕切り部3の端面305における第二流路303bの開口を開閉する。
【0037】
第一逆止弁4aの係止部401は、仕切り部3の端面306における第一流路303aの開口の直径D1より大きく、かつ第一流路303aの直径D2より小さい長さL1と、仕切り部3の端面306における第一流路303aの開口の直径D1より小さい幅Wと、を有する板状部材であり、弁部400が仕切り部3の端面306における第一流路303aの開口を開く方向に移動した場合に、第一流路303aのストッパ307aと係止して、第一逆止弁4aの第一流路303aからの脱落を防止する。同様に、第二逆止弁4bの係止部401は、仕切り部3の端面305における第二流路303bの開口の直径D3より大きく、かつ第二流路303bの直径D4より小さい長さL1と、仕切り部3の端面305における第二流路303bの開口の直径D4より小さい幅Wと、を有する板状部材であり、弁部400が仕切り部3の端面305における第二流路303bの開口を開く方向に移動した場合に、第二流路303bのストッパ307bと係止して、第二逆止弁4bの第二流路303bからの脱落を防止する。
【0038】
第一逆止弁4aの連結部402は、仕切り部3の端面306における第一流路303aの開口の直径D1よりも小さい直径D6を有する円柱状部材である。第一逆止弁4aの連結部402の長さL2は、係止部401が第一流路303aのストッパ307aと係止したときに、弁部400が第一流路303aを開門し、かつ弁部400が第一流路303aを閉門したときに、係止部401が第一流路303aの側壁面に当接することなく、自由に移動できる長さに設定される。同様に、第二逆止弁4bの連結部402は、仕切り部3の端面305における第二流路303bの開口の直径D3よりも小さい直径D6を有する円柱状部材である。第二逆止弁4bの連結部402の長さL2は、係止部401が第二流路303bのストッパ307bと係止したときに、弁部400が第二流路303bを開門し、かつ弁部400が第二流路303bを閉門したときに、係止部401が第二流路303bの側壁面に当接することなく、自由に移動できる長さに設定される。
【0039】
上記構成の第一逆止弁4aは、弁部400が仕切り部3の端面306側の外部に位置し、かつ係止部401が第一流路303aのストッパ307aよりも第一回転方向R1(図9参照)の上流側に位置するようにして、第一流路303aに取り付けられる。同様に、第二逆止弁4bは、弁部400が仕切り部3の端面305側の外部に位置し、かつ係止部401が第二流路303bのストッパ307bよりも第二回転方向R2(図10参照)の上流側に位置するようにして、第二流路303bに取り付けられる。
【0040】
第一調整ボルト8aは、ケース2の第一調整ボルト用ネジ孔208aと螺合して、仕切り部3の第一挿入穴304aに挿入される。同様に、第二調整ボルト8bは、ケース2の第二調整ボルト用ネジ孔208bと螺合して、仕切り部3の第二挿入穴304bに挿入される。
【0041】
図6(A)〜図6(C)は、第一調整ボルト8a、第二調整ボルト8bの正面図、上面図、および下面図である。
【0042】
図示するように、第一調整ボルト8aおよび第一調整ボルト8bは、六角穴付きボルト頭部800と、ネジ部801と、を有する。
【0043】
第一調整ボルト8aのネジ部801は、ケース2の外周面205および内周面203間の厚みT(図2参照)と、第一挿入穴304aの長さL3(図4(D)参照)と、第一流路303aの直径D2(図4(D)参照)との合計より僅かに短い長さL5を有し、ケース2の第一調整ボルト用ネジ孔208aと螺合する。同様に、第二調整ボルト8bのネジ部801は、ケース2の外周面205および内周面203間の厚みTと、第二挿入穴304bの長さL4(図4(E)参照)と、第二流路303aの直径D4(図4(E)参照)との合計より僅かに短い長さL5を有し、ケース2の第二調整ボルト用ネジ孔208bと螺合する。
【0044】
ロータ5は、ケース2の円筒室200に対して相対的に回転可能となるように円筒室200内に収容される。
【0045】
図7(A)および図7(B)は、ロータ5の正面図および側面図であり、図7(C)は、図7(A)に示すロータ5のE−E断面図である。
【0046】
図示するように、ロータ5は、円筒状のロータ本体500と、ロータ500の回転軸520に対して軸対称に形成された一対のベーン(回転翼)501と、を有する。
【0047】
ベーン51は、ロータ5の回転軸520に沿って形成され、ロータ本体500の外周面504から径方向外方へ突出し、先端面505がケース2の円筒室200の内周面203と近接して、円筒室200を仕切る。ベーン501には、ベーン501の先端面505と円筒室200の内周面203との間、ベーン501の下面506と円筒室200の底部201との間、およびベーン501の上面507と蓋7の下面704(図8参照)との間を塞ぐシール材として機能する摺動部材508が必要に応じて装着される(図1図2参照)。摺動部材508の素材には、ポリアミド等の摺動性に優れた樹脂が用いられる。
【0048】
ロータ本体500には、外部からの回転力をロータ5に伝達する六角シャフト(不図示)を挿入するための貫通孔509が、回転軸520を中心にして形成されている。そして、ロータ本体500の上端部502は、蓋7の開口部700(図8参照)に回転可能に挿入され、ロータ本体500の下端部503は、ケース2の円筒室200の底部201に形成された開口部202に回転可能に挿入される(図2参照)。
【0049】
なお、ケース2の円筒室200の開口部202から粘性流体6が外部に漏れないようにするために、Oリング等のシール材(不図示)を、ロータ本体500の下端部503とケース2の円筒室200の開口部202との間に介在させてもよい。
【0050】
蓋7は、それぞれ第一逆止弁4aおよび第二逆止弁4bが取り付けられた一対の仕切り部3と、ロータ5とを、粘性流体6とともにケース2内に封じ込める。
【0051】
図8(A)〜図8(C)は、蓋7の正面図、側面図、および背面図であり、図8(D)は、図8(A)に示す蓋7のF−F断面図である。
【0052】
図示するように、蓋7には、ケース2の円筒室200の底部201に形成された開口部202と対向する位置に、蓋7の上面703および下面704を貫く開口部700が形成されている。この開口部700には、ロータ5のロータ本体500の上端部502が挿入される。また、蓋7の外周面701には、ケース2の円筒室200の内周面203の開口側206に形成された雌ネジ部207と螺合する雄ネジ部702が形成されている。なお、蓋7の開口部700から粘性流体6が外部に漏れないように、Oリング等のシール材(不図示)を、ロータ5のロータ本体500の上端部502と蓋7の開口部700との間に介在させてもよい。同様に、蓋7の雄ネジ部702とケース2の円筒室200の雌ネジ部207との螺合部分から粘性流体6が外部に漏れないように、Oリング等のシール材(不図示)を、蓋7の外周面701とケース2の円筒室200の内周面203との間に介在させてもよい。
【0053】
つぎに、ロータリダンパ1の動作原理を説明する。
【0054】
図9(A)および図9(B)は、ロータリダンパ1が第一回転方向R1に回転した場合の動作原理を説明するための図であり、図10(A)および図10(B)は、ロータリダンパ1が第二回転方向R2に回転した場合の動作原理を説明するための図である。
【0055】
まず、図9(A)および図9(B)に示すように、ケース2に対してロータ5が第一回転方向R1に相対的に回転した場合、ロータ5のベーン501と仕切り部3の第一回転方向R1の上流側に位置する端面305との間の領域217が圧縮される。
【0056】
その結果、図9(A)に示すように、この領域217内の粘性流体6が第一流路303aに流れ込む。この第一流路303a内に流れ込んだ粘性流体6の力により、第一逆止弁4aが第一流路303aを開門する。これにより、領域217から第一流路303a内に流れ込んだ粘性流体6は、ロータ5のベーン501と仕切り部3の第一回転方向R1の下流側に位置する端面306との間の領域218へ排出される。そして、ロータ5に加えられた第一回転方向R1の回転力に対して、第一流路303a内を流れる粘性流体6の流量に基づいた制動トルクを発生させる。このとき、第一調整ボルト8aの第一流路303aへの突出長に応じて、第一流路303aを流れる粘性流体6の流量を規制できるので、第一調整ボルト8aの第一流路303aへの突出長を変更することにより、ロータ5に加えられた第一回転方向R1の回転力に対する制動トルクを調整することができる。具体的には、制動トルクを大きくしたい場合には、第一調整ボルト8aの第一流路303aへの突出長を大きくして、第一流路303aを流れる粘性流体6の流量を小さくし、制動トルクを小さくしたい場合には、第一調整ボルト8aの第一流路303aへの突出長を小さくして、第一流路303aを流れる粘性流体6の流量を大きくする。
【0057】
なお、ケース2に対してロータ5が第一回転方向R1に相対的に回転して、ロータ5のベーン501と仕切り部3の第一回転方向R1の上流側に位置する端面305との間の領域217が圧縮された場合、図9(B)に示すように、この領域217内の粘性流体6の圧力によって、第二逆止弁4bが第二流路303bを閉門するため、第二流路303bを介しての領域217から領域218への粘性流体6の移動は行われない。
【0058】
つぎに、図10(A)および図10(B)に示すように、ケース2に対してロータ5が第一回転方向R1の逆回転方向である第二回転方向R2に相対的に回転した場合、ロータ5のベーン501と仕切り部3の第二回転方向R2の上流側に位置する端面306との間の領域218が圧縮される。
【0059】
その結果、図10(B)に示すように、この領域218内の粘性流体6が第二流路303bに流れ込む。この第二流路303b内に流れ込んだ粘性流体6の力により、第二逆止弁4bが第二流路303bを開門する。これにより、領域218から第二流路303b内に流れ込んだ粘性流体6は、ロータ5のベーン501と仕切り部3の第二回転方向R2の下流側に位置する端面305との間の領域217へ排出される。そして、ロータ5に加えられた第二回転方向R2の回転力に対して、第二流路303b内を流れる粘性流体6の流量に基づいた制動トルクを発生させる。このとき、第二調整ボルト8bの第二流路303bへの突出長に応じて、第二流路303bを流れる粘性流体6の流量を規制できるので、第二調整ボルト8bの第二流路303bへの突出長を変更することにより、ロータ5に加えられた第二回転方向R2の回転力に対する制動トルクを調整することができる。具体的には、制動トルクを大きくしたい場合には、第二調整ボルト8bの第二流路303bへの突出長を大きくして、第二流路303bを流れる粘性流体6の流量を小さくし、制動トルクを小さくしたい場合には、第二調整ボルト8bの第二流路303bへの突出長を小さくして、第二流路303bを流れる粘性流体6の流量を大きくする。
【0060】
なお、ケース2に対してロータ5が第二回転方向R2に相対的に回転して、ロータ5のベーン501と仕切り部3の第一回転方向R2の上流側に位置する端面306との間の領域218が圧縮された場合、図10(A)に示すように、この領域218内の粘性流体6の圧力によって、第一逆止弁4aが第一流路303aを閉門するため、第一流路303aを介しての領域218から領域217への粘性流体6の移動は行われない。
【0061】
以上、本発明の一実施の形態について説明した。
【0062】
本実施の形態では、仕切り部3に、この仕切り部3によって仕切られるケース2の円筒室200内の領域216a、216b間を連結する第一流路303a、第二流路303bを形成するとともに、ケース2の第一調整ボルト用ネジ孔208aと螺合する第一調整ネジ8aを第一流路303a内に導く第一挿入穴304aと、ケース2の第二調整ボルト用ネジ孔208bと螺合する第二調整ネジ8bを第二流路303b内に導く第二挿入穴304bと、を形成している。
【0063】
また、ケース2に対してロータ5が第一回転方向R1に相対的に回転した場合に第一流路303aを開門し、ケース2に対してロータ5が第二回転方向R2に相対的に回転した場合に第一流路303aを閉門する第一逆止弁4aと、ケース2に対してロータ5が第一回転方向R1に相対的に回転した場合に第二流路303bを閉門し、ケース2に対してロータ5が第二回転方向R2に相対的に回転した場合に第二流路303bを開門する第二逆止弁4bと、ケース2の第一調整ボルト用ネジ孔208aと螺合して仕切り部3の第一挿入穴304aに挿入された第一調整ネジ8aと、ケース2の第二調整ボルト用ネジ孔208bと螺合して仕切り部3の第二挿入穴304bに挿入された第二調整ネジ8bと、を設けている。
【0064】
このため、本実施の形態では、第一調整ネジ8aの第一調整ボルト用ネジ孔208aへの螺合量を調節して、第一調整ネジ8aの第一流路303a内への突出長を変更することにより、ケース2に対してロータ5が第一回転方向R1に相対的に回転した場合(このとき、第二流路303bは第二逆止弁4bによって閉門される)における、第一流路303a内を流れる粘性流体6の流量を調整して、仕切り部3によって仕切られるケース2の円筒室200内の領域216a、216b間における粘性流体の移動を調整することができる。したがって、本実施の形態によれば、ロータ5に加えられた第一回転方向R1の回転力に対する制動トルクを調整することができる。
【0065】
同様に、本実施の形態では、第二調整ネジ8bの第二調整ボルト用ネジ孔208bへの螺合量を調節して、第二調整ネジ8bの第二流路303b内への突出長を変更することにより、ケース2に対してロータ5が第二回転方向R2に相対的に回転した場合(このとき、第一流路303aは第一逆止弁4aによって閉門される)における、第二流路303b内を流れる粘性流体6の流量を調整して、仕切り部3によって仕切られるケース2の円筒室200内の領域216a、216b間における粘性流体の移動を調整することができる。したがって、本実施の形態によれば、ロータ5に加えられた第二回転方向R2の回転力に対する制動トルクを調整することができる。
【0066】
また、本実施の形態によれば、第一調整ネジ8aの第一調整ボルト用ネジ孔208aへの螺合量を調節するだけで、ケース2に対してロータ5が第一回転方向R1に相対的に回転した場合における、第一流路303a内を流れる粘性流体6の流量を調整することができるので、簡単な操作により、ロータ5に加えられた第一回転方向R1の回転力に対する制動トルクを調整することができる。
【0067】
同様に、本実施の形態によれば、第二調整ネジ8bの第二調整ボルト用ネジ孔208bへの螺合量を調節するだけで、ケース2に対してロータ5が第二回転方向R2に相対的に回転した場合における、第二流路303b内を流れる粘性流体6の流量を調整することができるので、簡単な操作により、ロータ5に加えられた第二回転方向R2の回転力に対する制動トルクを調整することができる。
【0068】
また、本実施の形態では、3つの仕切りブロック30a〜30cをケース2の円筒室200の中心線220に沿って積み重ねることにより仕切り部3を構成している。そして、仕切りブロック30bの上面に形成された溝と、仕切りブロック30cの下面に形成された溝とを対向させて、両仕切りブロック30b、30cを積み重ねることにより、第一流路303aおよび第一挿入穴304aを形成するとともに、仕切りブロック30aの上面に形成された溝と、仕切りブロック30bの下面に形成された溝とを対向させて、両仕切りブロック30a、30bを積み重ねることにより、第二流路303bおよび第二挿入穴304bを形成している。したがって、本実施の形態によれば、第一流路303aおよび第一挿入穴304aと、第二流路303bおよび第二挿入穴304bとを、仕切り部3に、円筒室200の中心線220に沿って重ねて設けることができるので、仕切り部3の外径を小さくして、ロータリダンパ1の小型化を図ることができる。
【0069】
また、本実施の形態において、ロータ5のベーン501に、ベーン501の先端面505と円筒室200の内周面203との間、ベーン501の下面506と円筒室200の底部201との間、およびベーン501の上面507と蓋7の下面704との間を塞ぐシール材として機能する摺動部材508を装着することにより、これらの隙間を塞ぎつつ摺動性を向上させることができる。このため、ロータ5に加えられた回転力に対して、より高い制動トルクを実現しつつ、外部からの回転力をロータ5に伝達する六角シャフトを滑らかに回転させることができる。
【0070】
なお、本発明は、上記の実施の形態に限定されるものではなく、その要旨の範囲内で数々の変形が可能である。
【0071】
例えば、上記の実施の形態において、第一調整ネジ8aおよび第二調整ネジ8bのいずれか一方を省略してもよい。
【0072】
第一調整ネジ8aを省略する場合、ケース2の第一調整ボルト用ネジ孔208aおよび仕切り部3の第一挿入穴304aは不要である。この場合、ロータ5に加えられた第二回転方向R2の回転力に対して、第二調整ネジ8bにより調整された大きさの制動トルクを発生させ、ロータ5に加えられた第一回転方向R1の回転力に対しては、より小さい制動トルクを発生させるロータリダンパ1を実現することができる。
【0073】
なお、第一調整ボルト用ネジ孔208aおよび第一挿入穴304aを省略する場合、仕切りブロック30bの上面および仕切りブロック30cの下面各々の溝を省略して、両仕切りブロック30b、30cを一体化することもできる。また、仕切り部3をケース2と一体的に形成して、第二流路303bおよび第二挿入穴304bを、仕切り部3の上面に形成してもよい。
【0074】
また、第二調整ネジ8bを省略する場合、ケース2の第二調整ボルト用ネジ孔208bおよび仕切り部3の第二挿入穴304bは不要である。この場合、ロータ5に加えられた第一回転方向R1の回転力に対して、第一調整ネジ8aにより調整された大きさの制動トルクを発生させ、ロータ5に加えられた第二回転方向R2の回転力に対しては、より小さい制動トルクを発生させるロータリダンパ1を実現することができる。
【0075】
なお、第二調整ボルト用ネジ孔208bおよび第二挿入穴304bを省略する場合、仕切りブロック30aの上面および仕切りブロック30bの下面各々の溝を省略して、両仕切りブロック30a、30bを一体化することもできる。また、仕切り部3をケース2と一体的に形成して、第一流路303aおよび第一挿入穴304aを、仕切り部3の上面に形成してもよい。
【0076】
また、本実施の形態において、第一流路303aおよび第二流路303bのいずれか一方を省略してもよい。
【0077】
第一流路303aを省略する場合、ケース2の第一調整ボルト用ネジ孔208a、仕切り部3の第一挿入穴304a、および第一調整ネジ8aも省略する。この場合、ロータ5に加えられた第二回転方向R2の回転力に対して、第二調整ネジ8bにより調整された大きさの制動トルクを発生させ、ロータ5に加えられた第一回転方向R1の回転力に対しては、第二逆止弁4bが第二流路303bを閉門して、より大きな制動トルクを発生させるロータリダンパ1を実現することができる。ここで、第二逆止弁4bをさらに省略することにより、ロータ5に第一回転方向R1および第二回転方向R2のいずれの方向の回転力を加えた場合でも、第二調整ネジ8bにより調整された大きさの制動トルクを発生させるロータリダンパ1を実現することができる。
【0078】
また、第二流路303bを省略する場合、ケース2の第二調整ボルト用ネジ孔208b、仕切り部3の第二挿入穴304b、および第二調整ネジ8bも省略する。この場合、ロータ5に加えられた第一回転方向R1の回転力に対して、第一調整ネジ8aにより調整された大きさの制動トルクを発生させ、ロータ5に加えられた第二回転方向R2の回転力に対しては、第一逆止弁4aが第一流路303aを閉門して、より大きな制動トルクを発生させるロータリダンパ1を実現することができる。ここで、第一逆止弁4aをさらに省略することにより、ロータ5に第一回転方向R1および第二回転方向R2のいずれの方向の回転力を加えた場合でも、第一調整ネジ8aにより調整された大きさの制動トルクを発生させるロータリダンパ1を実現することができる。
【0079】
また、上記の実施の形態では、ケース2の第一調整ボルト用ネジ孔208aに対する第一調整ネジ8aの螺合量を操作することにより、第一流路303aを流れる粘性流体6の流量を調整している。しかし、本発明はこれに限定されない。外部から第一流路303aへの突出長を調整して、第一流路303aを流れる粘性流体6の流量を調整できるものであれば、ネジ以外の調整手段を用いてもよい。同様に、上記の実施の形態では、ケース2の第二調整ボルト用ネジ孔208bに対する第二調整ネジ8bの螺合量を操作することにより、第二流路303bを流れる粘性流体6の流量を調整しているが、本発明はこれに限定されない。外部から第二流路303bへの突出長を調整して、第二流路303bを流れる粘性流体6の流量を調整できるものであれば、ネジ以外の調整手段を用いてもよい。
【0080】
また、上記の実施の形態では、ケース2の円筒室200に一対の仕切り部3を設けるとともに、ロータ5に一対のベーン501を設けた場合を例にとり説明した。しかし、本発明はこれに限定されない。仕切り部3およびベーン501は、互いに同数であれば、1または3以上形成されていてもよい。
【0081】
上記の実施の形態に係るロータリダンパ1は、例えば、自動車、鉄道車両、航空機、船舶等で用いられるリクライニング機能付きの座席シートに広く適用できる。
【符号の説明】
【0082】
1:ロータリダンパ、 2:ケース、 3:仕切り部、 4a:第一逆止弁、 4b:第二逆止弁、 5:ロータ、 6:粘性流体、 7:蓋、 8a:第一調整ネジ、 8b:第二調整ネジ、30a〜30c:仕切りブロック、 200:円筒室、 201:円筒室200の底部、 202:円筒室200の開口部、 203:円筒室の内周面、 204:円筒室200の位置決め用凸部、 205:円筒室の外周面、 206:円筒室200の開口側、 207:円筒室200の雌ネジ部、208a:第一調整ボルト用ネジ孔、 208b:第二調整ボルト用ネジ孔、 220:円筒室200の中心線、 300:仕切り部3の外周面、 301:仕切り部3の内周面、 302:仕切り部3の位置決め用凹部、 303a:第一流路、 303b:第二流路、 304a:第一挿入穴、 304b:第二挿入穴、 305,306:仕切り部3の端面、 307a:第一流路303aのストッパ、 307b:第二流路303bのストッパ、 400:弁部、 401:係止部、 402:連結部、 500:ロータ本体、 501:ベーン、 502:ロータ本体500の上端部、 503:ロータ本体500の下端部、 504:ロータ本体500の外周面、 505:ベーン501の先端面、 506:ベーン501の下面、 507:ベーン501の上面、 508:シール材、 509:ロータ本体500の貫通孔、 520:ロータ5の回転軸、 700:蓋7の開口部、 701:蓋7の外周面、 702:蓋7の雌ネジ部、 703:蓋7の上面、 704:蓋7の下面、 800:六角穴付きボルト頭部と、800:ネジ部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10