特開2017-211099(P2017-211099A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2017-211099(P2017-211099A)
(43)【公開日】2017年11月30日
(54)【発明の名称】冷凍装置
(51)【国際特許分類】
   F25B 41/06 20060101AFI20171102BHJP
   F25B 5/02 20060101ALI20171102BHJP
【FI】
   F25B41/06 S
   F25B5/02 520J
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2016-102350(P2016-102350)
(22)【出願日】2016年5月23日
(71)【出願人】
【識別番号】000143949
【氏名又は名称】株式会社鷺宮製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100134832
【弁理士】
【氏名又は名称】瀧野 文雄
(74)【代理人】
【識別番号】100060690
【弁理士】
【氏名又は名称】瀧野 秀雄
(74)【代理人】
【識別番号】100070002
【弁理士】
【氏名又は名称】川崎 隆夫
(74)【代理人】
【識別番号】100165308
【弁理士】
【氏名又は名称】津田 俊明
(74)【代理人】
【識別番号】100110733
【弁理士】
【氏名又は名称】鳥野 正司
(74)【代理人】
【識別番号】100115048
【弁理士】
【氏名又は名称】福田 康弘
(72)【発明者】
【氏名】猪谷 多聞
(72)【発明者】
【氏名】松澤 正治
(57)【要約】
【課題】冷蔵ショーケース等の冷凍装置において、絞り手段3を安価に構成するとともに、蒸発器4に対する駆動の仕方に汎用性を持たせる。
【解決手段】制御手段Bの制御回路5の制御により、駆動素子61,62(SSR等)をオン/オフし、電磁弁31と電磁弁32への通電/非通電を行い、パルス制御する。電磁弁31と電磁弁32とを同期駆動する。電磁弁31と電磁弁32とをタイミング(位相)をずらして同期駆動する。電磁弁31と電磁弁32とを一定の駆動期間毎に交互に駆動する。複数の蒸発器に対して複数の電磁弁を接続し、これらの非同期駆動する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
圧縮機、凝縮器、絞り手段及び蒸発器を備え前記凝縮器からの冷媒を前記絞り手段で減圧して前記蒸発器に送り出すよう構成された冷凍サイクルと、前記絞り手段を駆動制御する制御手段と、を備えた冷凍装置であって、
前記絞り手段は同特性の複数の電磁弁が並列に接続されて構成されており、前記蒸発器は前記複数の電磁弁に対して直接に接続されており、
前記制御手段が、前記複数の電磁弁をパルス制御により駆動することを特徴とする冷凍装置。
【請求項2】
前記制御手段が、前記複数の電磁弁をパルス制御により同期駆動することを特徴とする請求項1に記載の冷凍装置。
【請求項3】
前記制御手段が、前記複数の電磁弁に対して前記パルス制御のタイミングをずらして制御することを特徴とする請求項2に記載の冷凍装置。
【請求項4】
前記制御手段が、前記複数の電磁弁に対して間欠的な一定の駆動期間毎に前記パルス制御するとともに、前記複数の電磁弁毎に前記駆動期間を巡回的に設定していることを特徴とする請求項1に記載の冷凍装置。
【請求項5】
前記蒸発器として、前記複数の電磁弁に対してそれぞれ直接に接続された複数の蒸発器を備えており、
前記制御手段は、前記複数の電磁弁に対して、当該電磁弁に対応する前記蒸発器の特性に応じた周期で前記パルス制御を行うことを特徴とする請求項1に記載の冷凍装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、絞り手段を有する冷凍サイクルを備えた冷蔵ショーケース等の冷凍装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の冷凍装置として、例えば特開2015−218911号公報(特許文献1)及び特開2000−230765号公報(特許文献2)に開示されたものがある。特許文献1及び2のものは、冷蔵ショーケース等の冷凍装置であり、特許文献1のものは蒸発器(41)に対する絞り手段として電動膨張弁(39)を用いている。特許文献2のものは、蒸発器(冷却器16)に対する絞り手段として絞り装置(35)を用いている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2015−218911号公報
【特許文献2】特開2000−230765号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
冷蔵ショーケース等においては、庫内の物品の量や外気温度等に応じて冷凍装置としての冷凍能力を制御する必要がある。特許文献1のものでは、絞り手段が電動膨張弁(39)であり、この電動膨張弁は弁開度を制御するコントロール弁である。したがって、冷凍装置の容量に応じたコントロール弁を用いる必要がある。また、庫内が広い場合には、コントロール弁の制御範囲に限界を生じるおそれも有る。なお、特許文献2における絞り装置(35)の詳細は不明である。したがって、制御形態として汎用性にかけるという点で改良の余地がある。
【0005】
本発明は、絞り手段を有する冷凍サイクルを備えた冷蔵ショーケース等の冷凍装置において、絞り手段を安価に構成するとともに、絞り手段と蒸発器の駆動の仕方に汎用性を持たせることを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1の冷凍装置は、圧縮機、凝縮器、絞り手段及び蒸発器を備え前記凝縮器からの冷媒を前記絞り手段で減圧して前記蒸発器に送り出すよう構成された冷凍サイクルと、前記絞り手段を駆動制御する制御手段と、を備えた冷凍装置であって、前記絞り手段は同特性の複数の電磁弁が並列に接続されて構成されており、前記蒸発器は前記複数の電磁弁に対して直接に接続されており、前記制御手段が、前記複数の電磁弁をパルス制御により駆動することを特徴とする。
【0007】
請求項2の冷凍装置は、請求項1に記載の冷凍装置であって、前記制御手段が、前記複数の電磁弁をパルス制御により同期駆動することを特徴とする。
【0008】
請求項3の冷凍装置は、請求項2に記載の冷凍装置であって、前記制御手段が、前記複数の電磁弁に対して前記パルス制御のタイミングをずらして制御することを特徴とする。
【0009】
請求項4の冷凍装置は、請求項1に記載の冷凍装置であって、前記制御手段が、前記複数の電磁弁に対して間欠的な一定の駆動期間毎に前記パルス制御するとともに、前記複数の電磁弁毎に前記駆動期間を巡回的に設定していることを特徴とする。
【0010】
請求項5の冷凍装置は、請求項1に記載の冷凍装置であって、前記蒸発器として、前記複数の電磁弁に対してそれぞれ直接に接続された複数の蒸発器を備えており、前記制御手段は、前記複数の電磁弁に対して、当該電磁弁に対応する前記蒸発器の特性に応じた周期で前記パルス制御を行うことを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
請求項1の冷凍装置によれば、蒸発器に対する絞り手段が電磁弁で構成されているので安価に構成することができる。また、電磁弁ををパルス制御により駆動するので、駆動の仕方に汎用性を持たせることができる。
【0012】
請求項2の冷凍装置によれば、請求項1の効果に加えて、複数の電磁弁をパルス制御により同期駆動するので、能力の小さな電磁弁で大容量の蒸発器に対応できる。
【0013】
請求項3の冷凍装置によれば、請求項2の効果に加えて、複数の電磁弁に対して前記パルス制御のタイミングをずらして制御するので、冷凍サイクルの配管に掛かる冷媒による衝撃(ウォータハンマ)を軽減することができる。
【0014】
請求項4の冷凍装置によれば、請求項1の効果に加えて、複数の電磁弁に対して間欠的な一定の駆動期間毎にパルス制御するとともに、複数の電磁弁毎に駆動期間を巡回的に設定しているので、電磁弁に遊休期間が設けられるので、電磁弁の耐久性を延ばすことができる。
【0015】
請求項5の冷凍装置によれば、請求項1の効果に加えて、複数の電磁弁に対してそれぞれ直接に接続された複数の蒸発器を備えており、各電磁弁を蒸発器の特性に応じた周期でパルス制御するので、各蒸発器の能力をフルに発揮することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明の第1実施形態の冷凍装置のブロック図である。
図2】第1実施形態の冷凍装置における駆動パルスの第1実施例を示す図である。
図3】第1実施形態の冷凍装置における駆動パルスの第2実施例を示す図である。
図4】第1実施形態の冷凍装置における駆動パルスの第3実施例を示す図である。
図5】本発明の第2実施形態の冷凍装置のブロック図である。
図6】第2実施形態の冷凍装置における駆動パルスの実施例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
次に、本発明の冷凍装置の実施形態を図面を参照して説明する。図1は第1実施形態の冷凍装置のブロック図である。
【0018】
この実施形態の冷凍装置は、冷凍サイクルA1と制御手段Bとを有している。冷凍サイクルA1は、圧縮機1と、凝縮器2と、絞り手段3と、蒸発器4とを有している。絞り手段3は、電磁弁31と電磁弁32とで構成されており、電磁弁31と電磁弁32は同じ特性を有し、互いに並列に接続されている。蒸発器4は、逆止弁a1,a2を介して電磁弁31と電磁弁32とに対して直列に接続されている。
【0019】
圧縮機1で圧縮された冷媒は凝縮器2に供給され、この凝縮器2で冷却された冷媒は絞り手段3に送られる。絞り手段3は電磁弁31または電磁弁32により冷媒を膨張減圧して逆止弁a1,a2を介して蒸発器4に送る。そして、この蒸発器4により図示しない冷凍ケースの庫内が冷却され、冷凍の機能が得られる。蒸発器4で蒸発した冷媒は圧縮機1に循環される。
【0020】
制御手段Bは、コンピュータ等で構成された制御回路5と、電磁弁31を駆動するための駆動素子61と電磁弁32を駆動するための駆動素子62とを備えている。駆動素子61,62は例えばソリッドステートリレー(SSR)等で構成されており、制御回路5の制御により、駆動素子61,62がオン/オフし、電磁弁31と電磁弁32への通電/非通電が行われる。
【0021】
図2は第1実施形態の冷凍装置における駆動パルスの第1実施例を示す図であり、図中の斜線の部分は駆動素子61(または62)がオンとなる状態である。このオンの状態では、電磁弁31(または32)に通電がなされ、この電磁弁31(または32)で膨張された冷媒が蒸発器4に供給される。この第1実施例では、電磁弁31と電磁弁32が一定の周期で同期駆動され、かつ、同じ位相(同位相)でパルス制御される。これにより、冷却装置の能力が大きい場合(大容量の冷却装置の場合)、電磁弁31と電磁弁32との個々の能力が小さくても、高負荷時に、大容量の蒸発器4を駆動することができる。
【0022】
図3は第1実施形態の冷凍装置における駆動パルスの第2実施例を示す図である。この第2実施例では、電磁弁31と電磁弁32が一定の周期で、かつ、位相をずらしてパルス制御される。これにより、第1実施例と同様に、電磁弁31と電磁弁32との個々の能力が小さくても、高負荷時に、大容量の蒸発器4を駆動することができる。さらに、この第2実施例では、駆動のタイミング(位相)をずらすことにより、冷凍サイクルA1の配管に掛かる冷媒による衝撃(ウォータハンマ)を軽減することができる。
【0023】
図4は第1実施形態の冷凍装置における駆動パルスの第3実施例を示す図である。この第3実施例では、電磁弁31と電磁弁32のそれぞれが、間欠的な一定の駆動期間毎にパルス制御している。さらに、電磁弁31の駆動期間と、電磁弁32の駆動期間とを交互に切り換えて駆動するようにしている。すなわち、電磁弁31及び電磁弁32毎に、駆動期間をローテーションさせて巡回的に設定している。これにより、電磁弁31及び電磁弁32毎に、通電されない遊休期間が設けられ、電磁弁31,32の耐久性が延びる。
【0024】
図5は第2実施形態の冷凍装置のブロック図である。この実施形態の冷凍装置は、冷凍サイクルA2と制御手段Bとを有している。冷凍サイクルA2は、第1実施形態と同様に、圧縮機1と、凝縮器2と、絞り手段3とを有している。この第2実施形態では、さらに、蒸発器71と蒸発器72とを有している。絞り手段3は、電磁弁31と電磁弁32とで構成されており、電磁弁31と電磁弁32は同じ特性を有し、互いに並列に接続されている。また、蒸発器71は電磁弁31に直接に接続され、蒸発器72はと電磁弁32に直接に接続されている。すなわち、蒸発器71と蒸発器72は互いに並列に接続されている。さらに、蒸発器71と蒸発器72は逆止弁a1,a2を介して圧縮機1に直列に接続されている。
【0025】
この第2実施形態では、蒸発器71と蒸発器72は種類の異なる蒸発器であり、蒸発器72は蒸発器71より冷凍能力が大きなものである。なお、制御手段Bは、制御の方法以外は第1実施形態と同様であり、制御回路5の制御により、駆動素子61,62がオン/オフし、電磁弁31と電磁弁32への通電/非通電が行われる。
【0026】
図6は第2実施形態の冷凍装置における駆動パルスの実施例を示す図である。この実施例では、制御手段A2は、1パルスのオンとなる時間が蒸発器71に対する期間よりも蒸発器72に対する期間の方が長くなっており、さらに、パルスの周期は、蒸発器71に対する周期よりも蒸発器72に対する周期の方が長くなっている。すなわち、蒸発器71と蒸発器72とを非同期駆動しており、蒸発器71と蒸発器72との、それぞれの特性に応じた周期でパルス制御を行っている。これにより、それぞれの電磁弁31,32が蒸発器71,72に最適となるように、駆動することができる。
【0027】
以上の実施形態では、電磁弁が2つの場合について説明したが、電磁弁は3つ以上(複数)でもよい。また、第2実施形態では、蒸発器が2つの場合について説明したが、種類の異なるものを含めて蒸発器は3つ以上(複数)でもよい。
【0028】
なお、第2実施形態では、電磁弁31と電磁弁32は同じ特性を有している例を示しているが、参考例としてこの第2実施形態において電磁弁31と電磁弁32とが同じ特性でなくてもよい。この場合、電磁弁31と電磁弁32のオン/オフのデューティ比をそれぞれの特性に応じたものにするのが好ましい。また、第2実施形態では、蒸発器71と蒸発器72は種類の異なる蒸発器である場合について説明したが、同種類のものでもよい。
【0029】
以上、本発明の実施の形態について図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成はこれらの実施の形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲の設計の変更等があっても本発明に含まれる。
【符号の説明】
【0030】
A1 冷凍サイクル
B 制御手段
1 圧縮機
2 凝縮器
3 絞り手段
31 電磁弁
32 電磁弁
4 蒸発器
5 制御回路
61 駆動素子
62 駆動素子
A2 冷凍サイクル
71 蒸発器
72 蒸発器
図1
図2
図3
図4
図5
図6