特開2017-211140(P2017-211140A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特開2017-211140ガスエンジンコージェネレーションシステム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2017-211140(P2017-211140A)
(43)【公開日】2017年11月30日
(54)【発明の名称】ガスエンジンコージェネレーションシステム
(51)【国際特許分類】
   F22B 1/18 20060101AFI20171102BHJP
   F02G 5/04 20060101ALI20171102BHJP
   F02C 6/18 20060101ALI20171102BHJP
   F01N 5/02 20060101ALI20171102BHJP
   F22D 5/00 20060101ALI20171102BHJP
【FI】
   F22B1/18 R
   F02G5/04 H
   F02C6/18 A
   F01N5/02 A
   F22D5/00 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2016-104343(P2016-104343)
(22)【出願日】2016年5月25日
(71)【出願人】
【識別番号】000175272
【氏名又は名称】三浦工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100126000
【弁理士】
【氏名又は名称】岩池 満
(74)【代理人】
【識別番号】100145713
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 竜太
(72)【発明者】
【氏名】宮崎 遼太
(72)【発明者】
【氏名】林 伸彦
(57)【要約】
【課題】エコノマイザ263内の水が沸騰し低水位となるような場合であっても、排ガスボイラ2の缶体21への給水遅れを解消させるガスエンジンコージェネレーションシステム1を提供すること。
【解決手段】水位検出部25により検出される検出水位と、予め設定された目標水位設定値と、に基づいて、排ガスボイラ2への給水を制御する給水制御部52と、排ガスボイラ入口開閉部31の閉状態が予め設定された第1時間継続することを判定する閉状態継続判定部54と、閉状態継続判定部54により、排ガスボイラ入口開閉部31の閉状態が第1時間継続したことを判定した後に、排ガスボイラ入口開閉部31が開状態となった場合に、目標水位設定値を、予め設定された目標水位設定値よりも高い値に設定する水位仮設定部55と、を備える、ガスエンジンコージェネレーションシステム1。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガスエンジンから排出される排ガスを流す排ガス通路と、
前記排ガス通路に配置される熱交換室と、
前記熱交換室の内部における上流側に配置され、給水ラインから供給された供給水をボイラ水として内部に貯留し、排ガスの熱を回収して蒸気を発生させる排ガスボイラと、
前記排ガスボイラに貯留されるボイラ水の水位を検出する水位検出部と、
前記熱交換室の内部における下流側に配置されると共に前記給水ラインに接続され、前記給水ラインを流通する給水を前記排ガスにより予熱するエコノマイザと、
前記熱交換室の入口に配置され、該熱交換室の入口を開閉する排ガスボイラ入口開閉部と、
前記熱交換室をバイパスさせて排ガスを前記熱交換室よりも下流側へ流すバイパス路と、
前記バイパス路に配置され、該バイパス路を開閉するバイパス開閉部と、
制御部と、
を備え
前記制御部は、
前記水位検出部により検出される検出水位と、予め設定された目標水位設定値と、に基づいて、前記排ガスボイラへの給水を制御する給水制御部と、
前記排ガスボイラ入口開閉部の閉状態が予め設定された第1時間継続することを判定する閉状態継続判定部と、
前記閉状態継続判定部により前記排ガスボイラ入口開閉部の閉状態が前記第1時間継続したことを判定された場合に、又は前記閉状態継続判定部により前記排ガスボイラ入口開閉部の閉状態が前記第1時間継続したことを判定され、前記排ガスボイラ入口開閉部が開状態となった場合に、前記目標水位設定値を予め設定された目標水位設定値よりも高い値に設定する水位仮設定部と、
を備える、ガスエンジンコージェネレーションシステム。
【請求項2】
ガスエンジンから排出される排ガスを流す排ガス通路と、
前記排ガス通路に配置される熱交換室と、
前記熱交換室の内部における上流側に配置され、給水ラインから供給された供給水をボイラ水として内部に貯留し、排ガスの熱を回収して蒸気を発生させる排ガスボイラと、
前記排ガスボイラに貯留されるボイラ水の水位を検出する水位検出部と、
前記熱交換室の内部における下流側に配置されると共に前記給水ラインに接続され、前記給水ラインを流通する給水を前記排ガスにより予熱するエコノマイザと、
前記熱交換室の入口に配置され、該熱交換室の入口を開閉する排ガスボイラ入口開閉部と、
前記熱交換室をバイパスさせて排ガスを前記熱交換室よりも下流側へ流すバイパス路と、
前記バイパス路に配置され、該バイパス路を開閉するバイパス開閉部と、
制御部と、
を備え
前記制御部は、
前記水位検出部により検出される検出水位と、予め設定された目標水位設定値と、に基づいて、前記排ガスボイラへの給水を制御する給水制御部と、
ガスエンジン運転開始信号を検出する運転開始信号検出部と、
前記運転開始信号検出部により、前記ガスエンジン運転開始信号を検出した後に、又は前記運転開始信号検出部により、前記ガスエンジン運転開始信号を検出し、前記排ガスボイラ入口開閉部が開状態となった場合に、前記目標水位設定値を予め設定された目標水位設定値よりも高い値に設定する水位仮設定部と、
を備える、ガスエンジンコージェネレーションシステム。
【請求項3】
前記水位仮設定部は、前記目標水位設定値を、予め設定された目標水位設定値よりも高い値に設定してから、予め設定された第2時間を経過した場合、前記目標水位設定値を、予め設定された目標水位設定値に戻す、請求項1又は請求項2に記載のガスエンジンコージェネレーションシステム。
【請求項4】
前記排ガスボイラ入口開閉部と前記バイパス開閉部とは、一体で構成された開閉部であって、前記熱交換室と前記バイパス路との分岐部に配置される、請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載のガスエンジンコージェネレーションシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ガスタービンエンジンやディーゼルエンジン等から排出される高熱の排ガスを利用して蒸気を生成するガスエンジンコージェネレーションシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
ガスタービンエンジンやディーゼルエンジン等(以下「排ガス発生源」ともいう)から排出される高熱の排ガスを利用して蒸気を生成する排ガスボイラがある。この種の排ガスボイラとしては、多数の水管から構成する缶体を備え、缶体への給水をエコノマイザで予熱するものが知られている(特許文献1参照)。
具体的には、排ガス発生源から発生する排ガスは、排ガス導入路を介して導入され、排ガス通路の上流側で缶体の水管内の水を加熱することで蒸気を発生させ、排ガス通路の下流側でエコノマイザを介して缶体への給水を予熱させ、排ガス導出路を介して排出される。
他方、排ガス導入路と排ガス導出路とは排ガスバイパス路で接続され、排ガス通路の入り口にダンパが設けられ、排ガスを排ガスボイラを介して排出するか、排ガスバイパス路を介して排出するかを択一的に切り換えるか、又は両者の分配割合を調整可能とされる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010−266074号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このような排ガスボイラは、排ガスボイラの入口側にのみダンパを設け、エコノマイザの出口側にはダンパを設けないことが多い。このため、ボイラ運転停止中に、排ガスバイパス路に排ガスをバイパスする場合であっても、エコノマイザ出口側にダンパがないので、ボイラ運転停止中に排ガスが排ガスバイパス路の出口側を経由してエコノマイザに逆流することがある。そうすると、排ガス通路の下流側でエコノマイザを介して缶体への給水が予熱される現象が発生する。このような排ガスの逆流が続くと、エコノマイザ内の水が沸騰蒸発し、エコノマイザ内の水位が低下する。
ボイラ運転停止中に排ガスが逆流し、エコノマイザ内の水が沸騰し、その結果エコノマイザ内の水位が低下した状態で排ガスボイラの運転を開始した場合、エコノマイザが満水になるまで排ガスボイラへの給水が遅れ、例えば水管過熱などのボイラトラブルを引き起こすことにもなる。
【0005】
このため、エコノマイザの出口側にもダンパを設けることで、このような逆流を防止することができるが、ダンパは高価なため、現実的解決策ではない。
【0006】
本発明は、上述したように、排ガスボイラの入口側にのみダンパを設けた排ガスボイラにおいて、ボイラ運転停止中に、排ガスバイパス路に排ガスをバイパスする場合に、排ガスがエコノマイザに逆流することにより、エコノマイザ内の水が沸騰し低水位となっているような場合であっても、排ガスボイラ側にダンパを切り換えて排ガスボイラの運転を開始したときに、排ガスボイラへの給水遅れを解消させることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、ガスエンジンから排出される排ガスを流す排ガス通路と、前記排ガス通路に配置される熱交換室と、前記熱交換室の内部における上流側に配置され、給水ラインから供給された供給水をボイラ水として内部に貯留し、排ガスの熱を回収して蒸気を発生させる排ガスボイラと、前記排ガスボイラに貯留されるボイラ水の水位を検出する水位検出部と、前記熱交換室の内部における下流側に配置されると共に前記給水ラインに接続され、前記給水ラインを流通する給水を前記排ガスにより予熱するエコノマイザと、前記熱交換室の入口に配置され、該熱交換室の入口を開閉する排ガスボイラ入口開閉部と、前記熱交換室をバイパスさせて排ガスを前記熱交換室よりも下流側へ流すバイパス路と、前記バイパス路に配置され、該バイパス路を開閉するバイパス開閉部と、制御部と、を備え、前記制御部は、前記水位検出部により検出される検出水位と、予め設定された目標水位設定値と、に基づいて、前記排ガスボイラへの給水を制御する給水制御部と、前記排ガスボイラ入口開閉部の閉状態が予め設定された第1時間継続することを判定する閉状態継続判定部と、前記閉状態継続判定部により前記排ガスボイラ入口開閉部の閉状態が前記第1時間継続したことを判定された場合に、又は前記閉状態継続判定部により前記排ガスボイラ入口開閉部の閉状態が前記第1時間継続したことを判定され、前記排ガスボイラ入口開閉部が開状態となった場合に、前記目標水位設定値を、予め設定された目標水位設定値よりも高い値に設定する水位仮設定部と、を備える、ガスエンジンコージェネレーションシステムに関する。
【0008】
本発明は、ガスエンジンから排出される排ガスを流す排ガス通路と、前記排ガス通路に配置される熱交換室と、前記熱交換室の内部における上流側に配置され、給水ラインから供給された供給水をボイラ水として内部に貯留し、排ガスの熱を回収して蒸気を発生させる排ガスボイラと、前記排ガスボイラに貯留されるボイラ水の水位を検出する水位検出部と、前記熱交換室の内部における下流側に配置されると共に前記給水ラインに接続され、前記給水ラインを流通する給水を前記排ガスにより予熱するエコノマイザと、前記熱交換室の入口に配置され、該熱交換室の入口を開閉する排ガスボイラ入口開閉部と、前記熱交換室をバイパスさせて排ガスを前記熱交換室よりも下流側へ流すバイパス路と、前記バイパス路に配置され、該バイパス路を開閉するバイパス開閉部と、制御部と、を備え、前記制御部は、前記水位検出部により検出される検出水位と、予め設定された目標水位設定値と、に基づいて、前記排ガスボイラへの給水を制御する給水制御部と、ガスエンジン運転開始信号を検出する運転開始信号検出部と、前記運転開始信号検出部により、前記ガスエンジン運転開始信号を検出した後に、又は前記運転開始信号検出部により、前記ガスエンジン運転開始信号を検出し、前記排ガスボイラ入口開閉部が開状態となった場合に、前記目標水位設定値を、予め設定された目標水位設定値よりも高い値に設定する水位仮設定部と、を備える、ガスエンジンコージェネレーションシステムに関する。
【0009】
また、前記水位仮設定部は、前記目標水位設定値を、予め設定された目標水位設定値よりも高い値に設定してから、予め設定された第2時間を経過した場合、前記目標水位設定値を、予め設定された目標水位設定値に戻すことが望ましい。
【0010】
また、前記排ガスボイラ入口開閉部と前記バイパス開閉部とは一体で構成された開閉部であって、前記熱交換室と前記バイパス路との分岐部に配置されるようにしてもよい。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、前述したように、排ガスボイラの入口側にのみダンパを設けた排ガスボイラにおいて、ボイラ運転停止中に、排ガスバイパス路に排ガスをバイパスする場合に、排ガスがエコノマイザに逆流したことにより、エコノマイザ内の水が沸騰し低水位となっているような場合であっても、バイパス側にダンパを切り換えて排ガスボイラの運転を開始したときに、排ガスボイラへの給水遅れを解消させることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明のガスエンジンコージェネレーションシステムの一実施例を示す概略図である。
図2】本実施形態に係るガスエンジンコージェネレーションシステムの動作を示すフローチャートである。
図3】本実施形態に係るガスエンジンコージェネレーションシステムにおける制御部の構成を示す機能ブロック図である。
図4】本実施形態に係るガスエンジンコージェネレーションシステムの動作の一例を示すフローチャートである。
図5】本実施形態に係るガスエンジンコージェネレーションシステムの動作の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して詳細に説明する。
【0014】
[第1実施形態]
図1は、本発明のガスエンジンコージェネレーションシステム1の一実施例を示す概略図である。
【0015】
本実施例のガスエンジンコージェネレーションシステム1は、ガスタービンエンジンやディーゼルエンジン等の排ガス発生源(図示せず)から排出される排ガスの排熱を用いて蒸気を生成する排ガスボイラ2と、排ガス通路3と、バイパス路4と、制御部5と、記憶部6と、を備える。
【0016】
排ガスボイラ2は、缶体21と、気水分離器22と、蒸気ライン23と、蒸気ヘッダ24と、水位検出部25と、給水ライン26と、排水ライン27と、を備える。
【0017】
缶体21は、例えば多管式の貫流ボイラとされる。具体的には、缶体21は、上部管寄せ212と下部管寄せ213との間を多数の水管211で接続して構成される。上部管寄せ212と下部管寄せ213とは、上下に離隔して平行に配置され、内部は中空に形成されている。一方、各水管211は垂直に配置され、上端部が上部管寄せ212に接続され、下端部が下部管寄せ213に接続される。
缶体21に供給された水は、水管211において排ガスにより加熱され蒸気を生成させる。
【0018】
気水分離器22は、缶体21において生成された蒸気を、上部管寄せ212を介して導入させる。気水分離器22を介して分離された水分は分離水戻し管(図示せず)を介して下部管寄せ213に戻される。気水分離器22を介して乾き度が向上された蒸気は蒸気ライン23へ導出される。蒸気ライン23は、蒸気ヘッダ24に接続されており、蒸気ライン23へ導出された蒸気は、蒸気ヘッダ24を介して蒸気使用設備(図示せず)へ供給可能とされる。
【0019】
水位検出部25は、缶体21に設けられ、缶体21内(水管211内)の水位を検出する。水位検出部25は、制御部5と電気的に接続されている。水位検出部25により検出された缶体21内の水の水位(「検出水位」という)は、制御部5に検出信号として出力される。
【0020】
給水ライン26は、下部管寄せ213に接続され、缶体21へ水を供給する。給水ライン26には、給水ポンプ261と、給水制御弁262と、エコノマイザ263とが、配置される。
【0021】
給水ポンプ261は、インバータ(図示せず)を備え、インバータの出力する駆動周波数を指定することで入力された駆動周波数に応じた回転速度で駆動することができる。
給水制御弁262は、開閉自在であり、給水源から缶体21への水の供給を制御することができる。給水制御弁262は、弁開度を調節可能な比例制御弁としてもよい。
給水ポンプ261及び給水制御弁262は制御部5と電気的に接続され、制御部5から出力される制御信号に基づいて制御される。
【0022】
エコノマイザ263は、給水ライン26における排ガスボイラ2よりも上流側に設置され、排ガスの予熱により缶体21に供給される給水を予熱する。
【0023】
排水ライン27は、下部管寄せ213に接続される。排水ライン27には、排水制御弁271が配置される。
排水制御弁271は、缶体21内からの水の排水量を調節する。排水制御弁271は、弁開度を調節可能な比例制御弁としてもよい。排水制御弁271は制御部5と電気的に接続され、制御部5から出力される制御信号に基づいて制御される。
【0024】
排ガス通路3の上流側端部には、排ガス入口3Aが形成され、排ガス発生源(図示せず)から排出される排ガスが導入される。排ガス通路3の下流側端部には、排ガス出口3Bが形成され、排ガス入口3Aから導入された排ガスが排出されるように構成される。
【0025】
排ガス通路3における排ガス入口3Aと排ガス出口3Bとの間には、熱交換室32が配置される。そして、この熱交換室32の入口に排ガスボイラ入口開閉部31が設けられ、熱交換室32内の上流側に缶体21が設けられ、熱交換室32内の下流側にエコノマイザ263が設けられる。
【0026】
排ガスボイラ入口開閉部31は、開閉されることで、排ガスを熱交換室32に導入するか否かを調整可能とする。排ガスボイラ入口開閉部31は、制御部5と電気的に接続され、制御部5から出力される制御信号に基づいて制御される。
【0027】
排ガスボイラ入口開閉部31が開放されることで、排ガスは、熱交換室32内の上流側で缶体21の水管211内の水を加熱することで蒸気を発生させ、熱交換室32内の下流側でエコノマイザ263を介して缶体21への給水を予熱させた後、排ガス出口3Bから排出される。
【0028】
バイパス路4は、排ガスを、熱交換室32をバイパスさせて、排ガス出口3B(熱交換室32の下流側の外)へ流す。バイパス路4の入口側には、バイパス開閉部41が設けられる。
【0029】
バイパス開閉部41は、開閉されることで、排ガスをバイパスに導入するか否かを調整可能とする。バイパス開閉部41は、制御部5と電気的に接続され、制御部5から出力される制御信号に基づいて制御される。
【0030】
排ガスボイラ入口開閉部31及びバイパス開閉部41を設けることで、排ガスを熱交換室32を介して、排ガスボイラ2及びエコノマイザ263を通過させた後に排出させるか、又はバイパス路4を介して排出させるかを択一的に切り換えるか、又は両者の分配割合を調整可能とされる。
具体的には、例えば、排ガスボイラ入口開閉部31及びバイパス開閉部41にダンパを適用した場合、ダンパを駆動させるモータ又はエアシリンダを制御して、ダンパの回転停止位置を調整することで、分配割合を調整可能とするように構成してもよい。また、排ガス通路3又はバイパス路4のいずれかを択一的に開き、残りを閉じるように制御してもよい。
【0031】
次に制御部5の構成について説明する前に、本実施形態において、排ガスをバイパス路4を介して排ガス出口3Bから排出させる場合に、排ガスの逆流によりエコノマイザが加熱されるケースについて説明する。
【0032】
前述したように、蒸気使用設備に蒸気を供給しない場合、排ガスボイラ入口開閉部31を閉鎖し、バイパス開閉部41を開放させ、排ガスをバイパス路4を介して排ガス出口3Bから排出させることで、水管211内の水を加熱しないようにして蒸気生成を停止(すなわち、排ガスボイラを運転停止)させることができる。
しかしながらエコノマイザ出口側に排ガス通路を閉じる機構がない場合、排気ガスの一部が、排ガス出口3Bから熱交換室32の出口側を経由して熱交換室32内の下流側に逆流することが避けられない。このため、排気ガスの逆流が続くと、エコノマイザ263内の水が、逆流した排ガスにより沸騰蒸発させられることになる。
【0033】
エコノマイザ263内の水が逆流した排ガスにより沸騰蒸発させられるケースとして、ガスエンジンが起動されてからガスエンジン運転信号が出力されるまでの間(以下、「ケース1」という)、又は排ガスボイラ入口開閉部31の閉状態(バイパス開閉部41の開状態)が予め設定された第1時間継続する間(以下、「ケース2」という)の2つのケースが挙げられる。
【0034】
[ケース1:ガスエンジン起動後からガスエンジン運転信号が出力されるまで]
排ガスボイラ2が起動されてから、蒸気を生成するまでの処理の流れについて、図2を参照して説明する。図2は、排ガスボイラ2が起動されてから、蒸気を生成するまでの処理の流れを示すフローチャートである。
【0035】
ステップST11において、例えば、運転開始ボタンがオンされることにより、排ガスボイラ2の運転開始指示がなされる。
【0036】
ステップST12において、排ガスボイラ入口開閉部31を閉鎖、バイパス開閉部41を開放させる。
【0037】
ステップST13において、缶体21に給水する。
【0038】
ステップST14において、缶体21内の水位が所定の水位に達したか否かを検出する。所定の水位に達した場合(Yesの場合)、ステップST15に移る。所定の水位に達していない場合(Noの場合)、ステップST13に戻る。
【0039】
ステップST15において、排ガスボイラ2は、発電システム(ガスエンジン側)に向けてボイラ起動準備完了信号を出力する。
【0040】
ステップST21において、発電システム(ガスエンジン側)は、ボイラ起動準備完了信号を受信することで、ガスエンジンを起動して、燃料ガスを燃焼させることで発電する。
【0041】
ステップST16において、排ガスをバイパス路4を介して排ガス出口3Bから排出させる。
【0042】
ステップST22において、発電システム(ガスエンジン側)は、排ガスから熱を回収することが可能な状態か否かを判定する。排ガスから熱を回収することが可能な状態である場合(Yesの場合)ステップST23に移る。排ガスから熱を回収することが可能な状態でない場合(Noの場合)ステップST22に戻る。
【0043】
ステップST23において、発電システム(ガスエンジン側)は、排ガスボイラ2に向けてガスエンジン運転信号を出力する。
【0044】
ステップST17において、排ガスボイラ2は、バイパス開閉部41を閉鎖、排ガスボイラ入口開閉部31を開放させることで、蒸気生成を開始する。
【0045】
このように、ガスエンジンコージェネレーションシステム1において、ガスエンジンは起動されると燃料ガスを燃焼させるが、ガスエンジンが起動されてから所定時間経過後に排ガスから熱を回収させることを許可するガスエンジン運転信号が出力される。
このため、ガスエンジンが起動されてからガスエンジン運転信号が出力されるまでの間、排ガスボイラ2においては排ガスボイラ入口開閉部31を閉鎖し、バイパス開閉部41を開放させることで、排ガスをバイパス路4を介して排ガス出口3Bから排出させている(ステップST16)。
この間に、排気ガスの一部が、排ガス出口3Bから熱交換室32の出口側を経由して熱交換室32内の下流側に逆流することで、エコノマイザ263内の水を沸騰蒸発させる可能性がある。
【0046】
[ケース2:排ガスボイラ入口開閉部31の閉状態が予め設定された第1時間継続する間]
蒸気使用設備に蒸気を供給しない場合、排ガスボイラ2は、排ガスボイラ入口開閉部31を閉鎖し、バイパス開閉部41を開放させ、排ガスをバイパス路4を介して排ガス出口3Bから排出させることで、水管211内の水を加熱しないようにする。それにより、蒸気生成を停止(すなわち、排ガスボイラを運転停止)させることができる。
予め設定された第1時間(例えば10分間)、排気ガスの一部が、排ガス出口3Bから熱交換室32の出口側を経由して熱交換室32内の下流側に逆流することで、エコノマイザ263内の水が沸騰蒸発させられる可能性がある。
【0047】
以上のように、排ガスをバイパス路4を介して排ガス出口3Bから排出させる場合に、エコノマイザ263内の水位が低下する場合がある。このような状態で、排ガスボイラ2の運転を開始した場合、水管211内の水が蒸発させられることで缶体2内の水位が下がり、その時点で給水を行った場合、エコノマイザ263が満水になるまで水管211への給水が遅れ、水管過熱などのボイラトラブルを引き起こす可能性がある。
【0048】
ケース1又はケース2が発生した場合に、強制的にエコノマイザ263内の沸騰した水に相当する給水をすることで缶体21への給水遅れを解消させるために、制御部5は、図3に示すように、開閉切換部51と、給水制御部52と、運転開始信号検出部53と、閉状態継続判定部54と、水位仮設定部55と、を備える。図3は、制御部5の機能的構成を示す機能ブロック図である。
次に、制御部5の備える各部の機能について説明する。
【0049】
開閉切換部51は、例えば、排ガスボイラ2の運転開始指示又は運転停止指示等に応じて、排ガスを熱交換室32を介して、排ガスボイラ2及びエコノマイザ263を通過させた後に排出させるか、又はバイパス路4を介して排出させるかを択一的に切り換えるか、又は両者の分配割合を調整可能に制御する。
具体的には、例えば、排ガスボイラ入口開閉部31及びバイパス開閉部41にダンパを適用した場合、開閉切換部51は、排ガスボイラ入口開閉部31及びバイパス開閉部41に設けられたダンパを駆動させるモータ又はエアシリンダを制御して、ダンパの回転停止位置を調整することで、分配割合を調整可能とするように構成してもよい。
【0050】
給水制御部52は、水位検出部25により検出される検出水位と、予め設定された目標水位設定値(「第1目標水位設定値」という)と、に基づいて、排ガスボイラ2への給水を制御する。
具体的には、給水制御部52は、水位検出部25により検出される検出水位が第1目標水位設定値となるように、給水ポンプ261及び/又は給水制御弁262を制御する。
例えば、給水ポンプ261がインバータを備える場合、給水制御部52は、インバータの出力する駆動周波数を指定することで入力された駆動周波数に応じた回転速度で給水ポンプを駆動するようにしてもよい。
また、給水制御部52は、給水制御弁262を開閉させることで給水制御するようにしてもよい。なお、給水制御弁262が弁開度を調節可能な比例制御弁の場合、給水制御部52は、給水制御弁262の開度を調整することで、開度に応じた流量を給水するようにしてもよい。
【0051】
次に、運転開始信号検出部53について説明する。
前述したように、排ガスボイラ2は、運転開始指示がなされると、給水等の準備を行い、準備が完了すると、発電システム(ガスエンジン側)に対して、ボイラ起動準備完了信号を出力する。その後、発電システム(ガスエンジン側)から、排ガスから熱を回収することが可能な状態であることを示すガスエンジン運転開始信号が出力されるまで、排ガスボイラ2は、ボイラ起動準備状態で待機する。
運転開始信号検出部53は、発電システム(ガスエンジン側)から、排ガスから熱を回収することが可能な状態であることを示すガスエンジン運転開始信号が出力されたことを検出する。それにより、排ガスボイラ2は、排ガスボイラ入口開閉部31を開放させることで、蒸気を生成することができる、
【0052】
閉状態継続判定部54は、排ガスボイラ入口開閉部31の閉状態が予め設定された第1時間(例えば10分)継続したことを判定する。ここで、第1時間として、例えば、排ガスボイラ入口開閉部31を閉鎖し、バイパス開閉部41を開放させてから、排気ガスの一部が、熱交換室32内の下流側に逆流することで、エコノマイザ263内の水が沸騰蒸発してエコノマイザ263内の水位が所定水位以下になる時間を設定することができる。また、エコノマイザ263内の水が沸騰蒸発して空になる時間を設定することができる。
【0053】
水位仮設定部55は、運転開始信号検出部53により、ガスエンジン運転開始信号を検出した後に、目標水位設定値を予め設定された第1目標水位設定値よりも高い値(「第2目標水位設定値」)に仮設定する。
又は水位仮設定部55は、運転開始信号検出部53により、ガスエンジン運転開始信号を検出し、排ガスボイラ入口開閉部31が開状態となった場合に、目標水位設定値を第2目標水位設定値に仮設定するようにしてもよい。
そうすることで、給水制御部52により強制的にエコノマイザ263内の沸騰した水に相当する給水をすることで、排ガスボイラ2への給水遅れを解消させることが可能となる。
水位仮設定部55は、目標水位設定値を、第2目標水位設定値に設定してから、予め設定された第2時間を経過した場合、目標水位設定値を、第1目標水位設定値に戻す。
【0054】
それにより、排ガスボイラ2において、発電システム(ガスエンジン側)がガスエンジンを起動してからガスエンジン運転信号を出力するまでの間、エコノマイザ263内の水が沸騰し低水位となるような場合(ケース1)に、排ガスボイラ2の運転を開始したときに、給水制御部52により直ちに強制的にエコノマイザ263内の沸騰した水に相当する給水をすることで、排ガスボイラ2への給水遅れを解消させることが可能となる。
【0055】
同様に、水位仮設定部55は、閉状態継続判定部54により、排ガスボイラ入口開閉部31の閉状態が第1時間継続した後に、目標水位設定値を、予め設定された目標水位設定値よりも高い値(「第3目標水位設定値」)に仮設定する。
又は、水位仮設定部55は、閉状態継続判定部54により、排ガスボイラ入口開閉部31の閉状態が第1時間継続した後に、排ガスボイラ入口開閉部31が開状態となった場合に、目標水位設定値を、第3目標水位設定値に仮設定するようにしてもよい。
そうすることで、給水制御部52により強制的にエコノマイザ263内の沸騰した水に相当する給水をすることで、排ガスボイラ2への給水遅れを解消させることが可能となる。
水位仮設定部55は、目標水位設定値を、第3目標水位設定値に設定してから、予め設定された第3時間を経過した場合、目標水位設定値を、第1目標水位設定値に戻す。
【0056】
それにより、排ガスボイラ2において、排ガスボイラ入口開閉部31の閉状態が予め設定された第1時間継続することにより、エコノマイザ263内の水が沸騰し低水位となった場合(ケース2)に、排ガスボイラ2の運転を行うとき、給水制御部52により直ちに強制的にエコノマイザ263内の沸騰した水に相当する給水をすることで、排ガスボイラ2への給水遅れを解消させることが可能となる。
【0057】
なお、第2目標水位設定値及び第3目標水位設定値は、同じ値でも異なる値でもよい。同様に、第2時間及び第3時間は、同じ値でも異なる値でもよい。
【0058】
記憶部6には、ガスエンジンコージェネレーションシステム1の運転を実施する制御プログラム、排ガスボイラ入口開閉部31及びバイパス開閉部41の開閉状態、予め設定される目標水位設定値に関する情報(例えば、第1目標水位設定値、第2目標水位設定値、第3目標水位設定値等)、予め設定される時間に関する情報(例えば、第1時間、第2時間、第3時間等)が記憶される。
【0059】
[動作説明]
次に、図4及び図5を参照して、制御部5の処理の流れについて説明する。図4及び図5は、それぞれ、ケース1及びケース2における制御部5の処理の一例を示すフローチャートである。
【0060】
まず、図4を参照して、ケース1における制御部5の処理の流れを説明する。なお、排ガスボイラ2は、運転開始指示に応じて、排ガスボイラ入口開閉部31の閉鎖及びバイパス開閉部41の開放を行い、缶体21内への所定水位の給水を行い、発電システム(ガスエンジン側)に向けてボイラ起動準備完了信号を出力したものとする。
なお、図4では、水位仮設定部55が、運転開始信号検出部53により、ガスエンジン運転開始信号を検出し、排ガスボイラ入口開閉部31が開状態となった場合に、目標水位設定値を第2目標水位設定値に仮設定する場合の処理について説明する。
【0061】
ステップST101において、制御部5(運転開始信号検出部53)は、発電システム(ガスエンジン側)から、ガスエンジン運転開始信号が出力されたか否かを検出する。ガスエンジン運転開始信号を検出した場合(Yesの場合)、ステップST102に移る。ガスエンジン運転開始信号を検出しない場合(Noの場合)、ステップST101に戻る。
【0062】
ステップST102において、制御部5(開閉切換部51)は、バイパス開閉部41の閉鎖及び排ガスボイラ入口開閉部31の開放を行う。
【0063】
ステップST103において、制御部5(水位仮設定部55)は、目標水位設定値を第2目標水位設定値に設定する。
【0064】
ステップST104において、制御部5(水位仮設定部55)は、目標水位設定値を第2目標水位設定値に設定してから、第2時間を経過したか否かを検出する。第2時間を経過した場合(Yesの場合)、ステップST105に移る。第2時間を経過しない場合(Noの場合)、ステップST104に戻る。
【0065】
ステップST105において、制御部5(水位仮設定部55)は、目標水位設定値を第1目標水位設定値に戻す。
なお、ステップST103からステップST105にかけて、給水制御部52は、水位検出部25により検出される検出水位と目標水位設定値とに基づいて、缶体21への給水を制御する。
【0066】
[変形例]
図4において、ステップST102とステップST103の順序を置き換えることで、水位仮設定部55が、運転開始信号検出部53により、ガスエンジン運転開始信号を検出した後に、目標水位設定値を第2目標水位設定値に仮設定する場合の処理が説明できる。
【0067】
次に、図5を参照して、ケース2における制御部5の処理の流れを説明する。図5では、水位仮設定部55が、閉状態継続判定部54により、排ガスボイラ入口開閉部31の閉状態が第1時間継続した後に、排ガスボイラ入口開閉部31が開状態となった場合に、目標水位設定値を、第3目標水位設定値に仮設定する場合の処理について説明する。
【0068】
ステップST111において、排ガスボイラ2は排ガスボイラ入口開閉部31を開放状態、バイパス開閉部41を閉鎖した状態で蒸気を生成する。
【0069】
ステップST112において、排ガスボイラ2の停止指示(待機指示)に応答して、制御部5(開閉切換部51)は、排ガスボイラ入口開閉部31の閉鎖及びバイパス開閉部41の開放を行う。
【0070】
ステップST113において、制御部5(閉状態継続判定部54)は、時間のカウントを開始する。
【0071】
ステップST114において、排ガスボイラ2の運転指示に応答して、制御部5(開閉切換部51)は、排ガスボイラ入口開閉部31の開放及びバイパス開閉部41の閉鎖を行う。
【0072】
ステップST115において、制御部5(閉状態継続判定部54)は、排ガスボイラ入口開閉部31の閉状態の継続時間が第1時間継続したか否かを判定する。排ガスボイラ入口開閉部31の閉状態が第1時間継続したことを判定した場合、ステップST116に移る。排ガスボイラ入口開閉部31の閉状態が第1時間継続していない場合(Noの場合)、ステップST111に移る。
【0073】
ステップST116において、制御部5(水位仮設定部55)は、目標水位設定値を第3目標水位設定値に設定する。
【0074】
ステップST117において、制御部5(水位仮設定部55)は、目標水位設定値を第3目標水位設定値に設定してから、第3時間を経過したか否かを検出する。第3時間を経過した場合(Yesの場合)、ステップST118に移る。第3時間を経過しない場合(Noの場合)、ステップST117に戻る。
【0075】
ステップST118において、制御部5(水位仮設定部55)は、目標水位設定値を第1目標水位設定値に戻し、ステップST111に移る。
なお、ステップST116からステップST118にかけて、給水制御部52は、水位検出部25により検出される検出水位と目標水位設定値とに基づいて、缶体21への給水を制御する。
【0076】
[変形例]
なお、図5において、ステップST114をステップST116とステップST117の間に移すことで、水位仮設定部55が、閉状態継続判定部54により、排ガスボイラ入口開閉部31の閉状態が第1時間継続した後に、目標水位設定値を、第3目標水位設定値に仮設定する場合の処理が説明できる。
【0077】
以上、ケース1とケース2における、制御部5の処理フローの一例を説明したが、制御部5の処理は、このフローチャートに限定されるものではない。
【0078】
[効果説明]
以上のように、本実施形態のガスエンジンコージェネレーションシステム1は、水位検出部25により検出される検出水位と予め設定された目標水位設定値とに基づいて、排ガスボイラ2への給水を制御する給水制御部52と、排ガスボイラ入口開閉部31の閉状態が予め設定された第1時間継続することを判定する閉状態継続判定部54と、閉状態継続判定部54により、排ガスボイラ入口開閉部31の閉状態が第1時間継続したことを判定した後に、排ガスボイラ入口開閉部31が開状態となった場合に、目標水位設定値を、予め設定された目標水位設定値よりも高い値(第2目標水位設定値)に設定する水位仮設定部55と、を備える。
【0079】
これにより、排ガスボイラ2において、排ガスボイラ入口開閉部31の閉状態が予め設定された第1時間継続することにより、エコノマイザ263内の水が沸騰し低水位となるような場合(ケース2)に、排ガスボイラ2を運転を行うとき、給水制御部52により直ちに、強制的にエコノマイザ263内の沸騰した水に相当する給水がなされるため、排ガスボイラ2への給水遅れを解消させることが可能となる。
【0080】
また、本実施形態のガスエンジンコージェネレーションシステム1は、水位検出部25により検出される検出水位と、予め設定された目標水位設定値と、に基づいて、前記排ガスボイラ2への給水を制御する給水制御部52と、ガスエンジン運転開始信号を検出する運転開始信号検出部53と、運転開始信号検出部53により、ガスエンジン運転開始信号を検出した場合に排ガスボイラ入口開閉部31を開状態にすると共に、目標水位設定値を、予め設定された目標水位設定値よりも高い値(第3目標水位設定値)に設定する水位仮設定部55と、を備える。
【0081】
それにより、排ガスボイラ2において、発電システム(ガスエンジン側)がガスエンジンを起動してからガスエンジン運転信号を出力するまでの間、エコノマイザ263内の水が沸騰し低水位となるような場合(ケース1)に、排ガスボイラ2の運転を開始したとき、給水制御部52により直ちに、強制的にエコノマイザ263内の沸騰した水に相当する給水がなされるため、排ガスボイラ2への給水遅れを解消させることが可能となる。
【0082】
また、本実施形態の排ガスボイラ2における、水位仮設定部55は、目標水位設定値を、予め設定された目標水位設定値よりも高い値(第2目標水位設定値又は第3目標水位設定値)に設定してから、予め設定された時間(第2時間又は第3時間)を経過した場合、目標水位設定値を予め設定された目標水位設定値(第1目標水位設定値)に戻す。
【0083】
これにより、給水制御部52により先行してエコノマイザ263内の沸騰した水に相当する給水がなされた後、通常の目標水位に戻すことができる。
【0084】
以上、この発明を実施形態により説明したが、この発明は、その主旨を変更しない範囲
で種々変更実施可能なことは勿論である。
【0085】
[変形例1]
本実施形態においては、熱交換室32の入口側に排ガスボイラ入口開閉部31を設け、バイパス路4の入口側にバイパス開閉部41を設けているが、これに限定されない。例えば、熱交換室32とバイパス路4との分岐部に、排ガスボイラ入口開閉部31とバイパス開閉部41とを一体で構成した開閉部を設けてもよい。例えば、熱交換室32とバイパス路4との分岐部に、排ガスボイラ入口開閉部31とバイパス開閉部41とを一体で構成した開閉部(例えば三方ダンパ等)を設けて、排ガスを排ガスボイラ2を介して排出するか、バイパス路4を介して排出するかを択一的に切り替えるか、又は両者の分配割合を調整可能としてもよい。
【0086】
[変形例2]
本実施形態のケース2において、閉状態継続判定部54は、排ガスボイラ入口開閉部31の閉状態が第1時間継続したことを判定しているが、予め複数の閾値となる時間(例えば第1閾時間値<第2閾時間値<・・・)を設定しておき、各閾値の大きさに対応して、水位仮設定部55により設定される第1番目の目標水位<第2番目の目標水位<・・・を設定してもよい。
そうすることで、エコノマイザ263内の沸騰した水の量に対応する、きめ細かな目標水位を選定することができる。
【符号の説明】
【0087】
1 ガスエンジンコージェネレーションシステム
2 排ガスボイラ
21 缶体
211 水管
212 上部管寄せ
213 下部管寄せ
22 気水分離器
23 蒸気ライン
24 蒸気ヘッダ
25 水位検出部
26 給水ライン
261 給水ポンプ
262 給水制御弁
263 エコノマイザ
27 排水ライン
271 排水制御弁
3 排ガス通路
3A 排ガス入口
3B 排ガス出口
31 排ガスボイラ入口開閉部
32熱交換室
4 バイパス路
41 バイパス開閉部
5 制御部
51 開閉切換部
52 給水制御部
53 運転開始信号検出部
54 閉状態継続判定部
55 水位仮設定部
6 記憶部
図1
図2
図3
図4
図5