特開2017-211326(P2017-211326A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2017-211326(P2017-211326A)
(43)【公開日】2017年11月30日
(54)【発明の名称】位置検出装置
(51)【国際特許分類】
   G01B 7/00 20060101AFI20171102BHJP
   G01D 5/20 20060101ALI20171102BHJP
【FI】
   G01B7/00 101E
   G01D5/20 110E
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2016-105914(P2016-105914)
(22)【出願日】2016年5月27日
(71)【出願人】
【識別番号】592259510
【氏名又は名称】竹内工業株式會社
(71)【出願人】
【識別番号】000110321
【氏名又は名称】トヨタ車体株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107700
【弁理士】
【氏名又は名称】守田 賢一
(72)【発明者】
【氏名】八木橋 啓
(72)【発明者】
【氏名】及部 圭
(72)【発明者】
【氏名】中川 重保
(72)【発明者】
【氏名】菅 高広
(72)【発明者】
【氏名】今枝 伸良
【テーマコード(参考)】
2F063
2F077
【Fターム(参考)】
2F063AA02
2F063BA30
2F063DA01
2F063DA05
2F063DD02
2F063EA02
2F063GA01
2F077CC02
2F077FF03
2F077FF16
2F077FF39
2F077TT06
2F077TT82
(57)【要約】
【課題】簡易かつ安価な構造で線上の移動位置を確実に検出できる位置検出装置を提供する。
【解決手段】互いに対向し、一方の他方に沿った移動に伴ってその対向間隔が変化するように配設されている送信コイル5および受信コイル3と、送信コイル5側から見たインピーダンスの変化から受信コイル3の移動位置を検出する出力電圧変化検出回路6とを備える。出力電圧変化検出回路6は、送信コイル5側から見たインピーダンスの変化に伴う受信コイル3の起電力の変化から当該受信コイル3の移動位置を検出するように設定されている。
【選択図】 図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
送信コイルもしくは受信コイルの一方のコイルが移動体と一体となり、他方のコイルと互いに対向するように配設され、一方のコイルが他方のコイルに沿った移動に伴ってその対向間隔が変化するように配設されている前記送信コイルおよび受信コイルと、前記送信コイル側から見たインピーダンスの変化から前記送信コイルないし前記受信コイルの移動位置を検出する位置検出手段とを備える位置検出装置。
【請求項2】
前記位置検出手段は、前記送信コイル側から見たインピーダンスの変化に伴う前記受信コイルの起電力の変化から前記送信コイルないし前記受信コイルの移動位置を検出するように設定されている請求項1に記載の位置検出装置。
【請求項3】
前記位置検出手段は、前記送信コイル側から見たインピーダンスの変化に伴う前記送信コイルへの供給電流の変化から前記送信コイルないし前記受信コイルの移動位置を検出するように設定されている請求項1に記載の位置検出装置。
【請求項4】
前記移動体が移動するに従って前記送信コイルと前記受信コイルの対向間隔が直線的に変化するように設定されている請求項1ないし3のいずれかに記載の位置検出装置。
【請求項5】
前記他方のコイルが前記移動体の移動方向に沿って傾斜して配設されている請求項1ないし4のいずれかに記載の位置検出装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は位置検出装置に関し、特に、電磁的に結合する送信コイルと受信コイルを有する位置検出装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には基準具の両端に受信コイルをそれぞれ位置させ、一方、移動体には発信コイルを設けて、上記受信コイルで受信した磁気情報に基づいて各受信コイルから上記発信コイルまでの距離を演算し、得られた各距離情報に基づいて発信コイルのX-Y座標位置を決定し出力する位置検出装置が示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−39562
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、用途によっては移動体の線上の移動位置を検出するだけで良い場合も多く、このような用途に使用できる簡易な位置検出装置が要請されていた。
【0005】
そこで本発明はこのような要請に鑑みたもので、簡易かつ安価な構造で線上の移動位置を確実に検出できる位置検出装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本第1発明では、送信コイル(5)もしくは受信コイル(3)の一方のコイルが移動体(2)と一体となり、他方のコイルと互いに対向するように配設され、一方のコイルが他方のコイルに沿った移動に伴ってその対向間隔が変化するように配設されている前記送信コイル(5)および受信コイル(3)と、前記送信コイル(5)側から見たインピーダンスの変化から前記送信コイル(5)ないし前記受信コイル(3)の移動位置を検出する位置検出手段(6,7)とを備える。
【0007】
本第1発明によれば、送信コイルおよび受信コイルの一方が他方に沿って移動して両コイルの対向間隔が変化すると、これに応じて送信コイル側から見たインピーダンスが変化するから、この変化より送信コイルないし受信コイルの移動位置を知ることができる。
【0008】
本第2発明では、前記位置検出手段(6)は、前記送信コイル(5)側から見たインピーダンスの変化に伴う前記受信コイル(3)の起電力の変化から前記送信コイル(5)ないし前記受信コイル(3)の移動位置を検出するように設定されている。
【0009】
本第3発明では、前記位置検出手段(7)は、前記送信コイル(5)側から見たインピーダンスの変化に伴う前記送信コイル(5)への供給電流の変化から前記送信コイル(5)ないし前記受信コイル(3)の移動位置を検出するように設定されている。
【0010】
本第4発明では、前記移動体(2)が移動するに従って前記送信コイル(5)と前記受信コイル(3)の対向間隔が直線的に変化するように設定されている。
【0011】
本第5発明では、前記他方のコイル(5)が前記移動体(2)の移動方向に沿って傾斜して配設されている。
【0012】
上記カッコ内の符号は、後述する実施形態に記載の具体的手段との対応関係を参考的に示すものである。
【発明の効果】
【0013】
以上のように、本発明の位置検出装置によれば、移動体に送信コイルないし受信コイルを設けておけば、これらコイルの対向間隔の変化に伴う送信コイル側から見たインピーダンスの変化より、簡易かつ安価な構造で移動体の線上の移動位置を確実に検出することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明の第1実施形態における、位置検出装置の概略垂直断面を含むブロック構成図である。
図2】出力電圧変化検出回路のブロック構成図である。
図3】移動体(受信コイル)の移動位置と受信ユニットの電圧信号の関係を示すグラフである。
図4】本発明の第2実施形態における、位置検出装置の概略垂直断面を含むブロック構成図である。
図5】入力電流変化検出回路のブロック構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
なお、以下に説明する実施形態はあくまで一例であり、本発明の要旨を逸脱しない範囲で当業者が行う種々の設計的改良も本発明の範囲に含まれる。
(第1実施形態)
【0016】
図1には本発明の位置検出装置の概略垂直断面図を示す。図1において、平面基盤Bの上方にはこれと平行に左右方向に延びるレール等の案内部材1が配設されており、これに沿って移動可能に設けられた移動体2内に受信コイル3が位置している。受信コイル3のコイル面は案内部材1に沿って平面基盤Bと平行になっており、受信コイル3の大きさは移動体2内に収納できる大きさとなっている。
【0017】
一方、平面基盤B上には上記案内部材1の下方にこれに沿う長手方向へ基台4が設けられており、当該基台4の上面は案内部材1に沿う方向へ傾斜した傾斜面4aとなっている。そして、基台4の傾斜面4a上に、案内部材1に沿って延びる長尺の送信コイル5が配設されている。送信コイル5の長さは移動体2の移動範囲、より正確には受信コイル3の移動範囲に対応したものとなっている。
【0018】
このような構造によって、送信コイル5と、その上方の移動体2内に設けられた受信コイル3は対向して位置させられ、移動体2が案内部材1に沿って移動するに従って送信コイル5と受信コイル3の対向間隔が直線的に変化するようになっている。すなわち、移動体2が図1の左方へ移動すると送信コイル5と受信コイル3の対向間隔は直線的に大きくなり、右方へ移動すると上記対向間隔は直線的に小さくなる。
【0019】
送信コイル5には送信ユニット51が接続されて、交流の励磁信号が送信コイル5に出力される。励磁信号によって励磁された送信コイル5の作る電磁界によって、対向する受信コイル3には起電力が生じる。受信コイル3には受信ユニット31が接続されており、受信ユニット31は受信コイルの起電力に応じた電圧信号を出力する。
【0020】
受信ユニット31には位置検出手段としての出力電圧変化検出回路6が接続されている。出力電圧変化検出回路6の詳細を図2に示し、差分検出増幅回路61、基準電圧発生回路62および電圧/位置演算回路63から構成されている。出力電圧変化検出回路6の差分検出増幅回路61は受信ユニット31の電圧信号31aから、基準電圧発生回路62の出力である基準電圧62aを差し引いてその差分に応じた差分信号61aを電圧/位置演算回路63に出力する。電圧/位置演算回路63では、予め定めた関係で差分信号61aの電圧を移動体2の位置に換算して位置信号63aを出力する。
【0021】
ここで、受信ユニット31の電圧信号31a、つまり差分信号61aの電圧は、送信コイル5と受信コイル3の対向間隔に応じて変化する。すなわち、対向間隔が大きくなると送信コイル5側から見たインピーダンスが大きくなるため受信ユニット31から出力される電圧信号31aは低くなり、反対に対向間隔が小さくなると上記電圧信号31aは高くなる。
【0022】
ここにおいて、前述したように、移動体2が移動すると送信コイル5と受信コイル3の対向間隔は直線的に変化するから、上記電圧信号31a、すなわち差分検出増幅回路61の差分信号61aから移動体2の位置を確実に知ることができる。これを図3に示す。図3中の横軸の距離は図1の案内部材1の図中右端からの距離であり、移動体2が右端から図1の左方へ移動すると、移動位置とこの時の受信ユニット31の電圧信号31aは一対一に対応して指数関数的に変化する。なお、図3中の黒色線はy=5.0573e-0.002049xの指数曲線を示している。このようにして、移動体2の位置が確実に検出される。
【0023】
(第2実施形態)
図4において、送信コイル5と受信コイル3の位置関係は第1実施形態と同一である。第1実施形態と同一のものには同一符号を付して説明を省略する。本実施形態では、位置検出手段としての入力電流変化検出回路7が送信ユニット51に接続されている。入力電流変化検出回路7の詳細を図5に示し、電流/電圧変換回路71、差分検出増幅回路72、基準電圧発生回路73および電圧/位置演算回路74から構成されている。
【0024】
入力電流変化検出回路7の電流/電圧変換回路71は、送信ユニット51へ供給される電流を電圧に変換して電圧信号71aを出力する。差分検出増幅回路72は電流/電圧変換回路71の電圧信号71aから、基準電圧発生回路73の出力である基準電圧73aを差し引いてその差分に応じた差分信号72aを電圧/位置演算回路74に出力する。電圧/位置演算回路74では、予め定めた関係で差分信号72aの電圧を移動体2の位置に換算して位置信号を出力する。
【0025】
ここで、電流/電圧変換回路71の電圧信号71a、つまり差分信号72aの電圧は、送信コイル5と受信コイル3の対向間隔に応じて変化する。すなわち、対向間隔が大きくなると送信コイル5側から見たインピーダンスが大きくなるため送信ユニット51へ供給される電流は小さくなり、上記電圧信号71aは低くなる。反対に対向間隔が小さくなると上記電流は大きくなる。
【0026】
ここにおいて、前述したように、移動体2が移動すると送信コイル5と受信コイル3の対向間隔は直線的に変化するから、上記電圧信号71a、すなわち差分検出増幅回路72の差分信号72aから移動体2の位置を確実に知ることができる。本実施形態では、移動体2側に回路が設けられていないから、移動体2への信号線が不要になる。
【0027】
なお、上記実施形態では送信コイルを案内部材の長手方向へ延びる一体物としたが、複数のコイルを隣接させて構成しても良い。また、案内部材は直線状としたが曲線状であっても良い。さらに上記実施形態における送信コイルと受信コイルを入れ替えても良い。また、送信コイルと受信コイルの対向間隔の変化は必ずしも直線的である必要は無い。
【0028】
本願発明は、車両用シートとそのスライドレールの一方に送信コイルを他方に受信コイルを搭載して、車両用シートのスライド位置を検出する用途に使用できる。
【符号の説明】
【0029】
1…案内部材、2…移動体、3…受信コイル、5…送信コイル、6…出力電圧変化検出回路(移動検出手段)、7…入力電流変化検出回路(移動検出手段)。
図1
図2
図3
図4
図5