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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2017-211355(P2017-211355A)
(43)【公開日】2017年11月30日
(54)【発明の名称】半導体検査用接触子
(51)【国際特許分類】
   G01R 1/073 20060101AFI20171102BHJP
   G01R 1/067 20060101ALI20171102BHJP
   G01R 31/26 20140101ALI20171102BHJP
   H01R 33/76 20060101ALI20171102BHJP
【FI】
   G01R1/073 A
   G01R1/067 C
   G01R31/26 J
   H01R33/76 505B
【審査請求】未請求
【請求項の数】16
【出願形態】書面
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2016-116650(P2016-116650)
(22)【出願日】2016年5月25日
(71)【出願人】
【識別番号】515125861
【氏名又は名称】福田 貴子
(72)【発明者】
【氏名】木本 軍生
【テーマコード(参考)】
2G003
2G011
5E024
【Fターム(参考)】
2G003AB01
2G003AE08
2G003AG03
2G003AG12
2G003AH07
2G011AA04
2G011AA13
2G011AA16
2G011AB01
2G011AB06
2G011AB08
2G011AC14
2G011AC31
2G011AE22
2G011AF07
5E024CA18
5E024CB02
(57)【要約】
【課題】 被検査半導体デバイス電極の多ピン化、狭ピッチ化及び格子状配列化に安価に対応可能な半導体検査用接触子を提供する
【解決手段】 細長体に加工した薄板金属材料から成り、一方において電子回路端子と電気的に接続される下部コンタクト部と、他方において被検査半導体装置のボール電極等と電気的に接触する上部コンタクト部と、該上部コンタクト部と該下部コンタクト部との間に弾性変形部を有する半導体検査用接触子である。この接触子は、前記上部コンタクト部の一方に連続して、第1の該弾性変形部と第1の該下部コンタクト部を含む第1の側板が、該上部コンタクト部と概略90°折り曲げて配置され、該上部コンタクト部の他方に連続して、第2の該弾性変形部と第2の該下部コンタクト部を含む第2の側板が、該上部コンタクト部と概略90°折り曲げて該第1の側板と相対して配置される。
【選択図】図10
【特許請求の範囲】
【請求項1】
細長体に加工した薄板金属材料から成り、一方において電子回路端子と電気的に接続される下部コンタクト部と、他方において被検査半導体装置のボール電極等と電気的に接触する上部コンタクト部と、該上部コンタクト部と該下部コンタクト部との間に弾性変形部を有する接触子であって、
該上部コンタクト部の一方に連続して、第1の該弾性変形部と第1の該下部コンタクト部を含む第1の側板が、該上部コンタクト部と概略90°折り曲げて配置され、
該上部コンタクト部の他方に連続して、第2の該弾性変形部と第2の該下部コンタクト部を含む第2の側板が、該上部コンタクト部と概略90°折り曲げて該第1の側板と相対して配置されたこと
を特徴とする半導体検査用接触子。
【請求項2】
複数の前記接触子における前記上部コンタクト部のXY方向位置が、前記半導体装置のボール電極のXY方向位置と一致すべく配列固定したこと
を特徴とする請求項1記載の半導体検査用接触子。
【請求項3】
少なくとも1列の前記半導体装置のボール電極の配列と同一ピッチで配置した複数の前記接触子の一部または全てが、ポリイミド等の絶縁材料でテープ状に接着固定されたこと
を特徴とする請求項1及び2記載の半導体検査用接触子。
【請求項4】
前記上部コンタクト部における前記ボール電極との接触部において、
前記ボール電極の配列面に概略平行となるべく前記ボール電極の直径より小さい外径を有する円の全部又は一部を構成する切り欠き穴を有すること
を特徴とする請求項1記載の半導体検査用接触子。
【請求項5】
前記上部コンタクト部における前記ボール電極との接触部において、
前記ボール電極の外周に沿って接触可動する接触片を有すること
を特徴とする請求項1記載の半導体検査用接触子。
【請求項6】
前記上部コンタクト部が前記ボール電極と接触を開始したときに、前記弾性変形部の変形によりZ方向のみに移動すること
を特徴とする請求項1記載の半導体検査用接触子。
【請求項7】
前記上部コンタクト部が前記ボール電極と接触を開始したときに、前記接触子の前記切り欠き穴又は前記接触片の先端が前記ボール電極側面に沿って開くこと
を特徴とする請求項4乃至5記載の半導体検査用接触子。
【請求項8】
前記上部コンタクト部が前記ボール電極と接触を開始したときに、前記弾性変形部が前記第1の側板又は前記第2の側板の面方向に沿って変形すること
を特徴とする請求項1記載の半導体検査用接触子。
【請求項9】
前記上部コンタクト部が前記ボール電極と接触を開始したときに、前記弾性変形部が前記第1の側板又は前記第2の側板の面に垂直方向に撓んで変形すること
を特徴とする請求項1記載の半導体検査用接触子。
【請求項10】
前記第1の側板及び前記第2の側板が、前記上部コンタクト部と90°より大きい角度又は小さい角度で設置されたこと
を特徴とする請求項9記載の半導体検査用接触子。
【請求項11】
細長体に加工した薄板金属材料から成りポリイミド等の連続した薄い絶縁膜上に貼り付けられ、一方において電子回路端子と電気的に接続される下部コンタクト部と、他方において被検査半導体装置のボール電極等と電気的に接触する上部コンタクト部と、前記上部コンタクト部と前記下部コンタクト部との間に弾性変形部を有する接触子であって、
前記上部コンタクト部が、前記ボール電極接触開始部を概略中心として設けたスリットにて電気的に分離され、
分離した第1の上部コンタクト部に連続して、第1の前記弾性変形部と第1の前記下部コンタクト部を含む第1の側板が、前記第1の上部コンタクト部と概略90°折り曲げて配置され、
第2の上部コンタクト部に連続して、第2の前記弾性変形部と第2の前記下部コンタクト部を含む第2の側板が、前記第2の上部コンタクト部と概略90°折り曲げて前記第1の側板と相対して配置されたこと
を特徴とする半導体検査用接触子。
【請求項12】
前記第1及び第2の上部コンタクト部近傍に、電気的に独立した1つ又は2つ以上の薄板金属材料を前記絶縁膜上に貼り付けたこと
を特徴とする請求項11記載の半導体検査用接触子。
【請求項13】
請求項11記載の接触子を連続して配列した接触子組立体において、
複数の前記接触子における前記上部コンタクト部のXY方向位置が、前記半導体装置のボール電極のXY方向位置と一致すべく配列固定したこと
を特徴とする半導体検査用接触子。
【請求項14】
前記第1及び第2の上部コンタクト部が前記ボール電極と接触を開始したときに、前記弾性変形部が前記第1の側板又は前記第2の側板の面方向に沿って変形すること
を特徴とする請求項11記載の半導体検査用接触子。
【請求項15】
前記第1の側板及び前記第2の側板が、前記第1及び第2の上部コンタクト部とそれぞれ90°より大きい角度又は小さい角度で設置されたこと
を特徴とする請求項11記載の半導体検査用接触子。
【請求項16】
前記接触子を連続して配列した接触子組立体において、
前記下部コンタクト部と前記電子回路端子とのZ方向接続位置が2つ又は2つ以上存在すること
を特徴とする請求項2及び13記載の半導体検査用接触子。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、BGA(ボール・グリッド・アレイ)と称する端子等を有する半導体及び複合半導体と外部回路と電気的に接続する接触子組立体を有するソケット、又は半導体ウェハ上の電極と外部回路と電気的に接続する接触子組立体を有するプローブカードに関する。更に詳細には、本発明は接触子の成形形状とその配列配置方法に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体デバイスはそれらが搭載される製品の小型化要求により、PCB等の電子回路との半田接続に用いられる電極端子は、従来のリード型から半導体パッケージ裏面に形成されたボール電極が主流である。また昨今では、三次元に実装された複数の半導体チップを1つの基台となるパッケージに実装して1つの半導体装置とするケースが多く、各半導体チップの多機能化と共に1つのパッケージにおけるボール電極が多ピンかつ狭ピッチに配列される傾向にある。
【0003】
これらの半導体デバイスは、パッケージに実装された後に最終検査を実施し出荷判定がなされる。このとき、半導体パッケージ裏面の電極配列と一致させて接触子をハウジングに配列固定したソケットを介し、電気的検査が実施される。このような検査用ソケットとしては、特許文献1又は2に記載されているようなポゴピンと称する小型のバネが内蔵されたピンを、1つ1つハウジングに設置された固定用穴に挿入して組立てる方法が多く用いられている。
【0004】
一方で、微小な抵抗値を高精度に測定するために4端子法(いわゆるケルビン法)が一般的に用いられている。この方法による検査では、特許文献3に開示されているように電極に2つの接触子を同時に接触させ、1つは電流供給用として、他の1つは電圧監視用として使用するものである。
【0005】
しかしながら、特許文献3に示す方法では、球状のボール電極に均等に2つの接触子の先端を接触させるため、先端部を傾斜状等の形状に精密に加工する必要がある。
【0006】
また、特許文献4に開示されているように、一方の接触子を基板のスルーホールの内円周とした例が示されている。
【0007】
しかしながら、特許文献1乃至4の方法によれば、1つのピンの外径の小型化又はスルーホール外径の小型化に限界があり、今後要求される仕様(例えば電極間ピッチが0.3mm以下)に対応できないという問題が生じる。
【0008】
また、ピンを1つ1つハウジングに設置された固定用穴等に挿入して組立てる方法であるため、ソケットの組立コストが上昇するという問題が生じてくる。
【0009】
さらに、半導体パッケージ裏面の電極配列が狭ピッチの格子状配列の場合、PCB等との電子回路との接続部配線が高密度となり、PCBの多層化によるコストアップの問題も生じてくる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】 特開2005−121525号公報
【特許文献2】 特開2009−115463号公報
【特許文献3】 特開2008−096368号公報
【特許文献4】 特開2006−038459号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明は、被検査半導体デバイスにおけるボール電極の多ピン化、小型狭ピッチ化及び格子状配列化に対応し、かつケルビン法による抵抗値測定にも対応可能な半導体検査用ソケット等を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明は、上述した課題に鑑みてなされたもので、
検査用回路端子と接続する下部コンタクト部と、被検査半導体装置のボール電極等と接触するための弾性変形部を含む上部コンタクト部とを一体化した1つの薄板状接触子を、要求されるピン数とピッチに配列させた複数の薄板状接触子を薄膜絶縁シートによりテープ状に作製し、この薄板状接触子を折り曲げ加工して最終形状となす手段を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明の半導体検査用接触子によれば、複数の接触子を絶縁シートによりテープ状に狭ピッチに作製する手段を有し、さらに下部コンタクト部とPCB等の回路端子とのZ方向接続位置を可変可能な手段を有することにより、被検査半導体デバイス電極の多ピン化、狭ピッチ化及び格子状配列化に安価に対応可能な半導体検査用ソケットを実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明の実施形態1の接触子の斜視図である。
図2】本発明の実施形態2の接触子の斜視図である。
図3】本発明の実施形態1の接触子の動作を説明する図である。
図4】本発明の実施形態2の接触子の動作を説明する図である。
図5】本発明の実施形態3の接触子の斜視図である。
図6】本発明の実施形態3の接触子の動作を説明する図である。
図7】本実施の形態1の接触子を折り曲げ加工する前の状態を示す展開図である。
図8】1列のボール電極配列に対応した接触子集合体の構成を示す図である。
図9】1つの半導体装置のボール電極配列に対応した接触子集合体の構成を示す図である。
図10】本発明の実施形態4の接触子の斜視図である。
図11】本発明の実施形態4の接触子の動作を説明する図である。
図12】本発明の実施形態4の接触子の配列状態を示す図である。
図13】本発明の実施形態5の接触子を説明する図である。
図14】本発明の実施形態5の接触子を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
次に、本発明の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。図1は本発明を具体化した実施の形態1の接触子の斜視図である。図1において、101は電子回路と半導体装置の電極を電気的に導通する薄板状構造の接触子で、1は半導体装置の電極と接触する上部コンタクト部、2は電子回路の端子と接触する下部コンタクト部、4は前記上部コンタクト部1と半導体の電極が一定の位置関係の範囲で接触したときに適切な接触力で接触するべく弾性変形する変形部、3は前記下部コンタクト部2及び前記変形部4を含む側板で、前記上部コンタクト部1を挟んで相対する第1の側板31と第2の側板32で構成され、5は半導体装置のボール電極である。
【0016】
また、前記変形部4において、11は前記ボール電極5の直径d1より小さい内径d2を有する丸穴で、前記ボール電極5の配列面(本図のX−Y平面)に平行となるべく配置されている。41は前記丸穴11と前記側板31、32との間に設置したバネであり、図示の例では、安定した変形動作を得るために各側板31、32に2個ずつ設置してある。
【0017】
なおこの明細書において、「X」方向は、例えば図1に示された接触子101を構成する側板31、32の面に沿った方向(図1において斜め右上方向)を表す。「Y」方向は、例えば図1に示された接触子101の側板31、32の面に対して垂直の方向(図1において斜め右下の方向)を表す。「Z」方向(後出)は、上記X方向、Y方向のいずれに対しても直角の、図1に示された接触子101が直立する方向(図1において上下方向)を表す。そして、X,Y,Zの各方向に延びる座標軸を設定することにより、X,Y,Z三次元直交座標系が形成される。図1以外の図においてもX,Y,Zの各方向は上記図1に対応する方向を指す。
【0018】
図2は本発明を具体化した実施の形態2の接触子102の斜視図である。図2において、図1の実施の形態1と異なるのは、主として前記上部コンタクト部1と前記変形部4における形状と動作である。前記変形部4において、12はボール電極5の直径d1より小さい内径d3を有する丸穴で、初期的に前記ボール電極5の配列面(本図のX−Y平面)に平行となるべく配置されている。14は前記丸穴12に設けたスリットで、前記丸穴12がX方向に分離された構造となっている。42は分離された前記丸穴12と前記上部コンタクト部1の前記側板31、32との間に設置したバネである。
【0019】
図3は、本実施の形態1の接触子の動作を説明する図である。接触子101は、ハウジング110に機械的に固定された状態にある。110はソケットのハウジングの一部を示すもので、前記接触子101をXYZ方向に機械的に固定するものである。6は検査信号を発生受信する電子回路であり、前記下部コンタクト部2と電気的に接続されている。
【0020】
図3(a)は、前記変形部4が前記ボール電極5に未だ接触していない状態を示す。図3(b)は、前記変形部4が前記ボール電極5と接触開始後Z方向に所定の量z1だけ押圧した状態を示す。前記丸穴11の直径d2は前記ボール電極5の直径d1より小さいため、前記丸穴11の外周が前記ボール電極5によって押されることにより、全ての前記バネ41が均等に変形し、前記ボール電極5に一定の接触力が負荷され、安定した電気的導通が開始される。検査が終了し、前記ボール電極5が取り除かれると前記バネ41が回復し元の形状に復帰する。
【0021】
前記バネ41は予めシミュレーションにより、前記上部コンタクト部1と前記ボール電極5とのZ方向の所定の変形量z1に対する接触力が最適となるべく、バネの板厚、形状等を決定することができる。なお、本実施例で示したバネ形状は一例であり、本形状に限るものではない。また、前記丸穴11の直径d2を前記ボール電極5の直径d1より適切に小さくすることにより、検査途中で前記ボール電極5が前記丸穴11から外れることを防止することができる。
【0022】
図4は、本実施の形態2の接触子の動作を説明する図である。前記接触子102は、前記ハウジング110に機械的に固定された状態にある。図4(a)は、前記変形部4が前記ボール電極5に未だ接触していない状態を示す。図4(b)は、前記変形部4が前記ボール電極5と接触開始後Z方向に所定の量z2だけ押圧した状態を示す。前記丸穴13の直径d3は前記ボール電極5の直径d1より小さいため、図4(b)に示すごとく、前記丸穴13の左右の外周が前記ボール電極5によって押されることにより前記バネ42が変形し、前記ボール電極5に一定の接触力が負荷され、安定した電気的導通が開始される。
【0023】
このとき、前記丸穴13に設けた前記スリット14により、前記丸穴13がX方向に分離された構造となっているため、前記ボール電極5のZ方向への接触量が進行するに伴い、Z方向の変形に加え、前記ボール電極5の外周に沿ってX方向にも変形が生じてくる。これにより、前記ボール電極5の表面に傷等がつき難くなり、前記半導体装置における前記ボール電極5の設置のバラツキ等を吸収し易くすることが可能となる。検査が終了し、前記ボール電極5が取り除かれると前記バネ42が回復し元の形状に復帰する。
【0024】
図5は本発明を具体化した実施の形態3の接触子103の斜視図である。図5において、43は前記変形部4における弾性変形動作を行うバネであり、前記側板3においてXZ平面に対して若干傾斜して配置してある。
【0025】
図6は、本実施の形態3の接触子の構造の詳細と動作を説明する図である。前記接触子103は、前記ハウジング110に機械的に固定された状態にある。前記バネ43は前記上部コンタクト部1の面に対し、角度θ1及びθ2で設置されている。
【0026】
図6(a)は、前記上部コンタクト部1が前記ボール電極5に未だ接触していない状態を示す。図6(b)は、前記上部コンタクト部1が前記ボール電極5とZ方向に接触を開始してから所定の量z3だけ接触した状態を示す。図6(a)に示すごとく、前記バネ43は前記側板3の上部接続点31u、32uと下部接続点31d、32dにおいて、Y方向に差異があるため、図6(b)に示すように、前記上部コンタクト部1が前記ボール電極5によって押されることにより前記バネ43が座屈変形し、前記ボール電極5に一定の接触力が負荷され、安定した電気的導通が開始される。検査が終了し、前記ボール電極5が取り除かれると前記バネ43が回復し元の形状に復帰する。
【0027】
本例では、角度θ1及びθ2が90°より若干小さく設置した例を示したが、90°より若干大きく設置してもよい。
【0028】
本実施形態1の接触子の例において、被検査半導体の任意の1列のボール電極列に対応させるための接触子集合体を構成する方法を、図7及び図8を用いて説明する。
【0029】
図7は、接触子を折り曲げ加工する前の状態を示す展開図であり、説明の例として実施の形態1の接触子集合体111の展開図111sとして示した。図8は、1列のボール電極配列に対応した接触子集合体の構成を示す図である。これら図7及び図8において、35、36は、ポリイミド等の絶縁材であり、前記接触子集合体111の全ての接触子101sと接着されている。前記接触子集合体111の製造方法としては、例えばベリリウム銅等の電気的導通性及び機械的バネ特性の優れた薄板状(例えば厚さ10〜30μm)の金属材料18の片面の全部又は一部に、予めポリイミド等の絶縁材35、36を接着又は塗布硬化させる。図8におけるX方向ピッチpx1で配列された被検査半導体の任意の1列のボール電極51に対応すべく、前記ボール電極51のピッチpx1と同一ピッチで前記ボール電極51の配列数の展開された前記接触子111sを配置し、それらの外形をレーザ加工又はエッチング加工により一括加工する。同時にポリイミド等の絶縁材を加工し、前記絶縁シート35、36を形成させる。さらに、折り曲げ線部c1及びc2に沿って折り曲げ加工することにより、図8における前記接触子集合体111が形成される。
【0030】
また、図7において、前記接触子101sの外形をレーザ加工又はエッチング加工の際に、隣接する前記接触子101sの一部を図示の如く連結部37、38にて連結させておくことにより、全ての前記接触子101sを前記金属材料18から分離した後も前記接触子101s間のピッチpx1を正確に保持した状態とすることができる。さらに全ての前記接触子1sを前記ハウジング110に固定した後、前記連結部37、38をレーザ等で切断し最終形状とする。
【0031】
図9は、1つの半導体装置のボール電極配列に対応したソケットの構成を示す図である。図9(a)において、52は前記ボール電極5が配列されたボール電極群であり、図示の例では、1つの半導体装置のパッケージ50において、周辺部に8個の前記ボール電極5を2列ずつ配置されたボール電極の例を、ボール電極側より見た図で示す。図9(b)は、前記電極群52に対応した接触子集合体を示す。前記電極群52の各電極列52−1乃至52−8のX方向ピッチに対応する接触子集合体112−1乃至112−8を作製する。このときの各々の接触子の数は、各電極列52−1乃至52−8に設置されたボール電極の数と同一とする。例えば、接触子集合体112−1、112−2、112−7、112−8は、図9(c)に示すような8個全ての接触子を設置し、接触子集合体112−3〜112−6は図9(d)に示すように、中央部4個の接触子を除いた4個の接触子の設置で足りる。さらに、接触子集合体112−1乃至112−8を前記電極群52のY方向ピッチpy1に整列固定させることにより、1つの半導体装置のボール電極配列に対応したソケットが構成される。
【0032】
本例では、X方向及びY方向のボール電極配列ピッチが各々同一ピッチpx1、py1で配列された例で示したが、各々の列において異なるピッチで配列されたボール電極にも同様に作製できるものである。したがって、ボール電極が如何なる配列であっても同一の方法で作製することが可能である。
【0033】
図10は、本発明を具体化した実施の形態4の接触子104の斜視図である。図10において、44は前記変形部4における弾性変形動作を行うバネであり、前記側板3においてXZ平面に対して若干傾斜して配置してある。39は前記上部コンタクト部1及び前記バネ44を含む前記側板3を接着したポリイミド等の絶縁膜である。
【0034】
図11は、本実施の形態4の接触子104の構造の詳細と動作を説明する図である。前記上部コンタクト部1は、X方向に設けたスリット15により、第1の上部コンタクト部1−1と第2の上部コンタクト部1−2に分離されている。前記第1の上部コンタクト部1−1は第1の側板3−1及び第1の下部コンタクト部2−1と連続し、前記第2の上部コンタクト部1−2は第2の側板3−2及び第2の下部コンタクト部2−2と連続しており、各々電気的に独立している。
【0035】
図11により、本実施の形態4の接触子104の動作を説明する。前記接触子104は、前記ハウジング110に機械的に固定された状態にある。図11(a)は、前記上部コンタクト部1が前記ボール電極5に未だ接触していない状態を示す。図11(b)は、前記上部コンタクト部1が前記ボール電極5と接触開始後Z方向に所定の量z4だけ押圧した状態を示す。前記スリット15は、前記ボール電極5の先端接触部を概略中心となるべく設けてあるため、図11(b)に示すごとく、前記スリット15を中心として前記第1の上部コンタクト部1−1と前記第2の上部コンタクト部1−2が前記ボール電極5によって均等に押されることにより、各々の前記バネ44−1、44−2が変形し、前記ボール電極5に一定の接触力が負荷され、安定した電気的導通が開始される。
【0036】
このとき、前記スリット15により、前記第1の上部コンタクト部1−1と前記第2の上部コンタクト部1−2が電気的に分離された構造となっているため、前記下部コンタクト部2−1に回路A(例えば電流供給回路)、前記下部コンタクト部2−2に回路B(例えば電圧監視回路)を接続することによって、例えば4端子法回路の一部を構成することが可能となる。検査が終了し、前記ボール電極5が取り除かれると前記バネ44が回復し元の形状に復帰する。
【0037】
図12は、3つの前記接触子104−1、104−2、104−3が前記絶縁膜39を介して配列固定された状態を示す。図12において、19は2つの前記接触子104の間に設けた補強部であり、例えば前記接触子104と同一の金属材料で作製され、前記接触子104と電気的に分離されている。さらに、前記補強部19の前記上部コンタクト部1の近傍においては、少なくとも前記第1の上部コンタクト部1−1と前記第2の上部コンタクト部1−2のY方向に両者にまたがる範囲で補強部19−1、19−2を構成している。これにより、前記スリット15により構造的に分離された前記上部コンタクト部1における前記ボール電極5との接触時においても、前記接触子104のXY方向の強度を保持することが可能となる。
【0038】
図13は本発明を具体化した実施の形態5の接触子の図である。図13において、113は接触子集合体、21は前記接触子113における各々の接触子113−1乃至113−4の電子回路61の端子と接触する下部コンタクト部であり、前記電子回路61は、配線層61−1乃至61−4で構成されている。各々の前記下部コンタクト21−1乃至21−4におけるZ方向先端位置を、予め各々の前記下部コンタクトが接続する前記配線層に接続可能な位置まで延長した位置に設定してある。これにより、1つの接触子集合体における各々の前記下部コンタクト21−1乃至21−4が異なる電子回路61の層と、第1層である前記配線層61−1上での配線を経由することなく接続することが可能となり、電子回路61の層数を削減することができる。
【0039】
各々の前記下部コンタクト21−1乃至21−4の電子回路61との接続部形状は、図13の如くスルーホールに挿入する方法の他、図14に示すような折り曲げによる形状であってもよい。図14は、接触子集合体114において、Y方向に配列された接触子114−1、114−2の下部コンタクト22及び23の電子回路62との接続方法を示した図である。前記接触子114−1における下部コンタクト22−1及び22−2はそれぞれ、前記電子回路62の層62−3及び62−4の位置まで延長し、先端を折り曲げて半田付け又は機械的接触により、前記電子回路層62−3及び62−4と電気的に接続されている。さらに、前記接触子114−2における下部コンタクト23−1及び23−2はそれぞれ、前記電子回路層62−3及び62−4とは異なる層62−1及び62−2の位置まで延長し、先端を折り曲げて半田付け又は機械的接触により、前記電子回路層62−1及び62−2と電気的に接続されている。
【0040】
本実施の形態5の接触子によれば、各々の接触子は異なる形状であるが、図7で説明したように、一つの前記金属材料18からレーザ加工等により一括して作製するため、各々の形状が異なったものであっても安価に作製することが可能である。なお、本発明の各実施の形態では、半導体検査用ソケットに適用する接触子集合体として説明したが、半導体をウェハ製造時に検査するプローブカードにも適用可能である。
【0041】
以上説明した実施の形態により、本発明の半導体検査用接触子によれば、被検査半導体デバイス電極の多ピン化、狭ピッチ化及び格子状配列化に安価に対応可能な半導体検査用ソケットを提供することが可能となるものである。
【産業上の利用可能性】
【0042】
BGA(ボール・グリッド・アレイ)と称する端子等を有する半導体及び複合半導体と外部回路と電気的に接続する接触子組立体を有するソケット又はプローブカードに利用可能である。
【符号の説明】
【0043】
101、102、103、104 接触子
1 上部コンタクト部
2、21、22、23 下部コンタクト部
3、31、32 側板
35、36 絶縁体
37、38 連結部
39 絶縁膜
4 弾性変形部
41、42、43、44 バネ
5、51、52 ボール電極
50 半導体パッケージ
6、61、62 電子回路
11、12、13 丸穴
14、15 スリット
18 金属材料
19 補強部
110 ハウジング
111、112、113 接触子集合体
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14