【解決手段】色調整回路が、入力画像データに対して補正を行って出力画像データを生成する補正演算回路と、補正係数を算出する補正係数算出回路とを具備する。補正係数算出回路は、入力画像データに対応する入力対応点と白色点との間の距離である白色距離を算出する白色距離算出回路と、入力対応点とそれに最近接する補色点との間の距離である補色距離を算出する補色距離算出回路と、入力対応点とそれに最近接する原色点の間の距離である原色距離を算出する原色距離算出回路と、白色距離、補色距離及び原色距離に基づいて補正係数を算出する係数算出部とを具備する。係数算出部は、各原色及び各補色の中間階調の色に対応する入力画像データが入力されたときの出力画像データを制御する中間補正パラメータに基づいて補正係数を算出する。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、添付図面を参照しながら本発明の実施形態を説明する。なお、以下において、同一又は類似の構成要素は、同一又は対応する参照符号で参照することがあり、また、複数の同一の構成要素を互いに区別する場合、参照符号に添字を付することがある。
【0016】
図1は、本実施形態において行われる色調整の一例を説明する色度図である。
図1の横軸は、色度座標xに対応しており、縦軸は、色度座標yに対応している。本実施形態の色調整では、色域の調節及び白色点の調節が行われる。
図1において、符号1で示されている三角形は、ある表示装置が本来的に有する色域を示しており、また、符号2は、該表示装置の白色点の色度座標(x,y)を示している。ここでいう表示装置の白色点2の色度座標(x,y)とは、白色点に対応する画像データ(即ち、最高階調の白色に対応する画像データ)が該表示装置に与えられた場合に、該表示装置に表示される色の色度座標(x,y)を意味している。
【0017】
本実施形態の色調整においては、該表示装置への画像の表示において、所望の色域及び白色点の色度座標(例えば、sRGBに定義される色域及び白色点)が実現されるように、色調整のためのデジタル演算が行われる。
図1において、符号3で示されている三角形は、所望の色域を示しており、また、符号4は、所望の白色点の色度座標(x,y)を示している。以下では、このような色調整を行うように構成された色補正回路の実施形態について説明する。
【0018】
図2は、本実施形態における色調整回路10の構成を示すブロック図である。色調整回路10は、概略的には、補正演算回路11と、補正係数算出回路12と、レジスタ回路13とを備えている。
【0019】
補正演算回路11は、入力画像データを受け取ると、該入力画像データに対して色調整のための補正を行って出力画像データを生成する。ここで、入力画像データは、原色Rの階調を示すR階調値Rinと、原色Gの階調を示すG階調値Ginと、原色Bの階調を示すB階調値Binとを含んでおり、出力画像データは、原色Rの階調を示すR階調値Routと、原色Gの階調を示すG階調値Goutと、原色Bの階調を示すB階調値Boutとを含んでいる。なお、以下においては、R階調値、G階調値、B階調値をまとめてRGB階調値と記載することがある。出力画像データのRGB階調値Rout、Gout、Boutは、それぞれ、補正係数算出回路12から受け取った補正係数Q
R、Q
G、Q
Bに応じて入力画像データのRGB階調値Rin、Gin、Binに対してデジタル演算を行うことによって算出される。
【0020】
なお、以下においては、原色R、原色G、原色Bにそれぞれに対応する値を有する一組のデータをまとめて{R,G,B}のように記載することがある。特に、R階調値、G階調値、B階調値をまとめて表記する場合、RGB階調値{R,G,B}のように表記することがある。例えば、入力画像データのR階調値Rin、G階調値Gin、B階調値Binについては、RGB階調値{Rin,Gin,Bin}と表記することがあり、同様に、出力画像データのR階調値Rout、G階調値Gout、B階調値Boutについては、RGB階調値{Rout,Gout,Bout}と表記することがある。また、補正係数Q
R、Q
G、Q
Bは、それぞれ、原色R、原色G、原色Bに対応づけられているので、補正係数{Q
R、Q
G、Q
B}と表記することがある。
【0021】
補正係数算出回路12は、入力画像データのRGB階調値{Rin,Gin,Bin}と、レジスタ回路13に格納されている様々なパラメータとから補正係数{Q
R、Q
G、Q
B}を算出する。補正係数{Q
R、Q
G、Q
B}は、補正演算回路11に供給されて補正演算回路11における色調整のための補正に使用される。補正係数算出回路12の構成及び動作については、後で詳細に説明する。
【0022】
レジスタ回路13は、補正係数{Q
R、Q
G、Q
B}の算出に用いられる様々なパラメータを記憶するレジスタを備えている。本実施形態では、レジスタ回路13は、色定義データレジスタ41と、白補正パラメータレジスタ42と、中間補正パラメータレジスタ43と、トップ補正パラメータレジスタ44とを備えている。
【0023】
色定義データレジスタ41は、入力画像データにおけるR原色点、G原色点、B原色点、C補色点、M補色点、Y補色点を定義する色定義データを保持する。
図3は、色定義データの内容の例を概念的に示す表である。本実施形態では、色定義データは、下記のパラメータを含んでいる:
(1)入力画像データにおけるR原色点のRGB階調値をそれぞれ定義するR原色点定義パラメータFr{Fr
R、Fr
G、Fr
B}
(2)入力画像データにおけるG原色点のRGB階調値をそれぞれ定義するG原色点定義パラメータFg{Fg
R、Fg
G、Fg
B}
(3)入力画像データにおけるB原色点のRGB階調値をそれぞれ定義するB原色点定義パラメータFb{Fb
R、Fb
G、Fb
B}
(4)入力画像データにおけるC補色点のRGB階調値をそれぞれ定義するC補色点定義パラメータFc{Fc
R、Fc
G、Fc
B}
(5)入力画像データにおけるM補色点のRGB階調値をそれぞれ定義するM補色点定義パラメータFm{Fm
R、Fm
G、Fm
B}、及び、
(6)入力画像データにおけるY補色点のRGB階調値をそれぞれ定義するY補色点定義パラメータFy{Fy
R、Fy
G、Fy
B}
【0024】
図3の表の右端の欄には、色定義データの値の具体例が示されている。
図3には、原色R、原色G、原色Bの階調が8ビットの値で指定される例が図示されている。最も典型的には、色定義データにおいて、R原色点のRGB階調値{Fr
R、Fr
G、Fr
B}は、{255,0,0}に指定される。即ち、R原色点は、R階調値が最高階調であり、G階調値、B階調値が最低階調であると定義される。同様に、G原色点のRGB階調値{Fg
R、Fg
G、Fg
B}は、色定義データにおいて{0,255,0}に指定され、B原色点のRGB階調値{Fb
R、Fb
G、Fb
B}は、{0,0,255}に指定される。また、C補色点のRGB階調値{Fc
R、Fc
G、Fc
B}は、色定義データにおいて{0,255,255}に指定され、M補色点のRGB階調値{Fm
R、Fm
G、Fm
B}は、色定義データにおいて{255,0,255}に指定され、Y補色点のRGB階調値{Fy
R、Fy
G、Fy
B}は、色定義データにおいて{255,255,0}に指定される。このような定義は、R原色点、G原色点、B原色点、C補色点、M補色点、Y補色点の定義として最も典型的なものである。
【0025】
白補正パラメータレジスタ42は、白補正パラメータTwを保持する。
図4に図示されているように、本実施形態では、白補正パラメータTwは、白色点に対応する入力画像データ(即ち、R階調値、G階調値、B階調値がいずれも最高階調(例えば、255)である入力画像データ)が補正演算回路11に入力されたときの出力画像データのRGB階調値{Rout,Gout,Bout}を指定するRGB階調値{Tw
R,Tw
G,Tw
B}を含んでいる。後に詳細に説明するように、補正係数{Q
R、Q
G、Q
B}は、白色点に対応する入力画像データが補正演算回路11に入力されたときに、出力画像データのRGB階調値{Rout,Gout,Bout}が、それぞれ、階調値{Tw
R,Tw
G,Tw
B}になるように算出される。
【0026】
中間補正パラメータレジスタ43は、原色R、原色G、原色B、補色C、補色M、補色Yのそれぞれについて、各原色又は各補色の中間階調の色に対応する入力画像データ、より厳密には、各原色点又は各補色点のR階調値、G階調値、B階調値と同一の比率を有しており、各原色点又は各補色点について定義されたR階調値、G階調値、B階調値と最低階調との間の値であるR階調値、G階調値、B階調値を有する入力画像データに応じて算出される出力画像データのRGB階調値{Rout,Gout,Bout}を制御する中間補正パラメータを保持している。なお、「各原色点及び各補色点について定義されたR階調値、G階調値、B階調値と最低階調との間の値」は、定義されたR階調値、G階調値又はB階調値が最低階調と一致する場合、該最低階調と一致するとして理解するものとする。本実施形態では、各原色点及び各補色点は、色定義データレジスタ41に保持される色定義データによって定義されるが、各原色点及び各補色点の定義は、色調整回路10の仕様によって決められてもよく、この場合、各原色点及び各補色点を定義する色定義データを色調整回路10に保持する必要は無い。中間補正パラメータは、中間階調における補正演算回路11の入出力関係を制御するために用いられる。
図5に図示されているように、本実施形態では、中間補正パラメータレジスタ43に保持されている中間補正パラメータは、下記のパラメータを含んでいる:
(1)原色Rの中間階調の色に対応する入力画像データ(即ち、R原色点について定義されたR階調値、G階調値、B階調値と同一の比率を有しており、且つ、該定義された原色点RのR階調値、G階調値、B階調値と最小階調の間の値であるようなR階調値、G階調値、B階調値を有する入力画像データ)に応じて算出される出力画像データのRGB階調値{Rout,Gout,Bout}を制御するR中間色補正パラメータTr{Tr
R,Tr
G,Tr
B}
(2)原色Gの中間階調の色に対応する入力画像データ(即ち、G原色点について定義されたR階調値、G階調値、B階調値と同一の比率を有しており、且つ、該定義された原色点GのR階調値、G階調値、B階調値と最小階調の間の値であるようなR階調値、G階調値、B階調値を有する入力画像データ)に応じて算出される出力画像データのRGB階調値{Rout,Gout,Bout}を制御するG中間色補正パラメータTg{Tg
R,Tg
G,Tg
B}
(3)原色Bの中間階調の色に対応する入力画像データ(即ち、B原色点について定義されたR階調値、G階調値、B階調値と同一の比率を有しており、且つ、該定義された原色点BのR階調値、G階調値、B階調値と最小階調の間の値であるようなR階調値、G階調値、B階調値を有する入力画像データ)に応じて算出される出力画像データのRGB階調値{Rout,Gout,Bout}を制御するB中間色補正パラメータTb{Tb
R,Tb
G,Tb
B}
(4)補色Cの中間階調の色に対応する入力画像データ(即ち、C補色点について定義されたR階調値、G階調値、B階調値と同一の比率を有しており、且つ、該定義されたC補色点のR階調値、G階調値、B階調値と最小階調の間の値であるようなR階調値、G階調値、B階調値を有する入力画像データ)に応じて算出される出力画像データのRGB階調値{Rout,Gout,Bout}を制御するC中間色補正パラメータTc{Tc
R,Tc
G,Tc
B}
(5)補色Mの中間階調の色に対応する入力画像データ(即ち、M補色点について定義されたR階調値、G階調値、B階調値と同一の比率を有しており、且つ、該定義されたM補色点のR階調値、G階調値、B階調値と最小階調の間の値であるようなR階調値、G階調値、B階調値を有する入力画像データ)に応じて算出される出力画像データのRGB階調値{Rout,Gout,Bout}を制御するM中間色補正パラメータTm{Tm
R,Tm
G,Tm
B}
(6)補色Yの中間階調の色に対応する入力画像データ(即ち、Y補色点について定義されたR階調値、G階調値、B階調値と同一の比率を有しており、且つ、該定義されたY補色点のR階調値、G階調値、B階調値と最小階調の間の値であるようなR階調値、G階調値、B階調値を有する入力画像データ)に応じて算出される出力画像データのRGB階調値{Rout,Gout,Bout}を制御するY中間色補正パラメータTy{Ty
R,Ty
G,Ty
B}
【0027】
例えば、R中間色補正パラメータTr{Tr
R,Tr
G,Tr
B}を制御することにより、原色Rの中間階調の色に対応する入力画像データに対応して算出される出力画像データのRGB階調値{Rout,Gout,Bout}を制御することができる。G中間色補正パラメータTg、B中間色補正パラメータTb、C中間色補正パラメータTc、M中間色補正パラメータTm、Y中間色補正パラメータTyについても同様である。
【0028】
トップ補正パラメータレジスタ44は、R原色点、G原色点、B原色点、C補色点、M補色点、Y補色点に対応する入力画像データがそれぞれ補正演算回路11に入力されたときの出力画像データのRGB階調値{Rout,Gout,Bout}を指定するトップ補正パラメータを保持している。ここで、R原色点、G原色点、B原色点、C補色点、M補色点、Y補色点は、色定義データレジスタ41に格納された色定義データによって定義されることに留意されたい(
図3参照)。
図6に図示されているように、本実施形態では、トップ補正パラメータレジスタ44は、下記パラメータを保持している:
(1)R原色点に対応する入力画像データが補正演算回路11に入力されたときの出力画像データのRGB階調値{Rout,Gout,Bout}を指定するR原色点補正パラメータT’r{T’r
R,T’r
G,T’r
B}
(2)G原色点に対応する入力画像データが補正演算回路11に入力されたときの出力画像データのRGB階調値{Rout,Gout,Bout}を指定するG原色点補正パラメータT’g{T’g
R,T’g
G,T’g
B}
(3)B原色点に対応する入力画像データが補正演算回路11に入力されたときの出力画像データのRGB階調値{Rout,Gout,Bout}を指定するB原色点補正パラメータT’b{T’b
R,T’b
G,T’b
B}
(4)C補色点に対応する入力画像データが補正演算回路11に入力されたときの出力画像データのRGB階調値{Rout,Gout,Bout}を指定するC補色点補正パラメータT’c{T’c
R,T’c
G,T’c
B}
(5)M補色点に対応する入力画像データが補正演算回路11に入力されたときの出力画像データのRGB階調値{Rout,Gout,Bout}を指定するM補色点補正パラメータT’m{T’m
R,T’m
G,T’m
B}
(6)Y補色点に対応する入力画像データが補正演算回路11に入力されたときの出力画像データのRGB階調値{Rout,Gout,Bout}を指定するY補色点補正パラメータT’y{T’y
R,T’y
G,T’y
B}
【0029】
ここで、R原色点に対応する入力画像データとは、RGB階調値が、色定義データにおいてR原色点定義パラメータFrとして記述されたRGB階調値{Fr
R、Fr
G、Fr
B}と一致する入力画像データを意味している。例えば、入力画像データに記述されたRGB階調値{Rin,Gin,Bin}が、RGB階調値{Fr
R、Fr
G、Fr
B}と一致する場合、出力画像データのRGB階調値{Rout,Gout,Bout}は、R原色点補正パラメータT’rに指定されたRGB階調値{T’r
R,T’r
G,T’r
B}になる。
【0030】
他の原色、補色についても同様である。G原色点に対応する入力画像データとは、RGB階調値が、色定義データにおいてG原色点定義パラメータFgとして記述されたRGB階調値{Fg
R、Fg
G、Fg
B}と一致する入力画像データを意味しており、B原色点に対応する入力画像データとは、RGB階調値が、色定義データにおいてB原色点定義パラメータFbとして記述されたRGB階調値{Fb
R、Fb
G、Fb
B}と一致する入力画像データを意味している。また、C補色点に対応する入力画像データとは、RGB階調値が、それぞれ、色定義データにおいてC補色点定義パラメータFcとして記述されたRGB階調値{Fc
R、Fc
G、Fc
B}と一致する入力画像データを意味している。同様に、M補色点に対応する入力画像データとは、RGB階調値が、それぞれ、色定義データにおいてM補色点定義パラメータFmとして記述されたRGB階調値{Fm
R、Fm
G、Fm
B}と一致する入力画像データを意味しており、Y補色点に対応する入力画像データとは、RGB階調値が、色定義データにおいてY補色点定義パラメータFyとして記述されたRGB階調値{Fy
R、Fy
G、Fy
B}と一致する入力画像データを意味している。
【0031】
続いて、補正係数算出回路12の構成と動作について詳細に説明する。
図2を再度に参照して、補正係数算出回路12は、最大最小判別回路21、白色距離算出回路22、補色距離算出回路23、原色距離算出回路24、白色補正項計算回路25、補色中間補正項計算回路26、原色中間補正項計算回路27、加算器28、補色トップ補正項計算回路29、原色トップ補正項計算回路30及び加算器31を備えている。
【0032】
最大最小判別回路21は、入力画像データのRGB階調値{Rin,Gin,Bin}のいずれが最大で、いずれが最小であるか判別する処理を行い、RGB階調値{Rin,Gin,Bin}のいずれが最大かを示すデータMax及びいずれが最小かを示すデータMinを生成する。
【0033】
なお、この処理は、色空間において入力画像データに対応する点(以下、「入力対応点」ということがある。)に最近接する原色点(R原色点、G原色点又はB原色点)及び補色点(C補色点、M補色点又はB補色点)を判別する処理と等価であることに留意されたい。
図7は、入力画像データに対応する入力対応点と、R原色点、G原色点、B原色点、C補色点、M補色点及びY補色点の位置関係の例を示している。
図7において、符号“IN”は、入力対応点を表している。例えば、
図7に図示されているように、RGB階調値{Rin,Gin,Bin}のうちRinが最大で、Binが最小である場合、入力画像データに対応する入力対応点に最近接する原色点はR原色点であり、入力対応点に最近接する補色点はY補色点である。以下では、色空間において入力対応点に最近接する原色点を最近接原色点と記載し、色空間において入力対応点に最近接する補色点を最近接補色点ということがある。
【0034】
白色距離算出回路22は、白色距離Hwを算出する。ここで、白色距離Hwとは、色空間において入力画像データに対応する入力対応点と白色点とが離れている程度を示すパラメータである。本実施形態では、白色距離Hwが、下記式(1)に従って算出される:
Hw=RGB
MAX−min(Rin,Gin,Bin) ・・・(1)
ここで、RGB
MAXは、入力画像データの最大階調の値であり、2
n−1(nは、2以上の整数)で表される数である。例えば、入力画像データのRGB階調値{Rin,Gin,Bin}がそれぞれ、8ビットデータで記述される場合、RGB
MAXは“255”である。また、min(x,y,z)は、x、y、zのうちの最小値を示す関数である。
【0035】
補色距離算出回路23は、補色距離Hcmyを算出する。ここで、補色距離Hcmyとは、色空間において入力画像データに対応する入力対応点と上述の最近接補色点とが離れている程度を示すパラメータである。本実施形態では、補色距離Hcmyが、下記式(2a)〜(2e):
【数1】
により定義されるMaxDcmy、MinDcmyから、下記式(3)に従って算出される:
【数2】
ここで、“if Min=Rin”という表記は、入力画像データのRGB階調値{Rin,Gin,Bin}のうちでR階調値Rinが最小である場合を意味している。同様に、“if Min=Gin”という表記は、入力画像データのRGB階調値{Rin,Gin,Bin}のうちでG階調値Ginが最小である場合を意味しており、“if Min=Bin”という表記は、入力画像データのRGB階調値{Rin,Gin,Bin}のうちでB階調値Binが最小である場合を意味している。また、RGB階調値{Fc
R、Fc
G、Fc
B}は、上述の色定義データにおいてC補色点定義パラメータとして記述されたRGB階調値であり、RGB階調値{Fm
R、Fm
G、Fm
B}は、M補色点定義パラメータとして記述された階調値であり、RGB階調値{Fy
R、Fy
G、Fy
B}は、Y補色点定義パラメータとして記述されたRGB階調値である。
【0036】
原色距離算出回路24は、原色距離Hrgbを算出する。ここで、原色距離Hrgbとは、色空間において入力画像データに対応する入力対応点と上述の最近接原色点とが離れている程度を示すパラメータである。本実施形態では、原色距離Hrgbが、下記式(4a)〜(4e):
【数3】
により定義されるMaxDrgb、MinDrgbから、下記式(5)に従って算出される:
【数4】
ここで、“if Max=Rin”という表記は、入力画像データのRGB階調値{Rin,Gin,Bin}のうちでR階調値Rinが最大である場合を意味している。同様に、“if Max=Gin”という表記は、入力画像データのRGB階調値{Rin,Gin,Bin}のうちでG階調値Ginが最大である場合を意味しており、“if Max=Bin”という表記は、入力画像データのRGB階調値{Rin,Gin,Bin}のうちでB階調値Binが最大である場合を意味している。また、RGB階調値{Fr
R、Fr
G、Fr
B}は、上述の色定義データに記述されているR原色点定義パラメータとして記述されたRGB階調値であり、RGB階調値{Fg
R、Fg
G、Fg
B}は、G原色点定義パラメータとして記述されたRGB階調値であり、RGB階調値{Fb
R、Fb
G、Fb
B}は、B原色点定義パラメータとして記述されたRGB階調値である。
【0037】
白色補正項計算回路25、補色中間補正項計算回路26、原色中間補正項計算回路27、加算器28、補色トップ補正項計算回路29、原色トップ補正項計算回路30及び加算器31は、レジスタ回路13に保持されている白補正パラメータTw、中間補正パラメータ、トップ補正パラメータ、及び、白色距離Hw、補色距離Hcmy及び原色距離Hrgbに基づいて補正係数{Q
R,Q
G,Q
B}を算出する係数算出部を構成している。
【0038】
より具体的には、白色補正項計算回路25は、白色補正項{C
Rw,C
Gw,C
Bw}を算出する。ここで、白色補正項{C
Rw,C
Gw,C
Bw}とは、補正演算回路11による補正において使用される補正係数{Q
R,Q
G,Q
B}に含まれる項であり、白補正パラメータレジスタ42に保持されている白補正パラメータTw{Tw
R,Tw
G,Tw
G}と白色距離算出回路22によって算出された白色距離Hwに依存する。本実施形態では、白色補正項{C
Rw,C
Gw,C
Bw}が、下記式(6a)〜(6c)に従って算出される。
【数5】
【0039】
補色中間補正項計算回路26は、補色中間補正項{C
Rcmy,C
Gcmy,C
Bcmy}を算出する。ここで、補色中間補正項{C
Rcmy,C
Gcmy,C
Bcmy}とは、補正演算回路11による補正において使用される補正係数{Q
R,Q
G,Q
B}に含まれる項であり、中間補正パラメータレジスタ43に保持されているC中間色補正パラメータTc、M中間色補正パラメータTm、Y中間色補正パラメータTy及び補色距離算出回路23によって算出された補色距離Hcmyに依存する。本実施形態では、補色中間補正項{C
Rcmy,C
Gcmy,C
Bcmy}が、下記式(7a)〜(7c)に従って算出される。
【数6】
【0040】
原色中間補正項計算回路27は、原色中間補正項{C
Rrgb,C
Grgb,C
Brgb}を算出する。ここで、原色中間補正項{C
Rrgb,C
Grgb,C
Brgb}とは、補正演算回路11による補正において使用される補正係数{Q
R,Q
G,Q
B}に含まれる項であり、中間補正パラメータレジスタ43に保持されているR中間色補正パラメータTr、G中間色補正パラメータTg、B中間色補正パラメータTb及び補色距離算出回路23によって算出された原色距離Hrgbに依存する。本実施形態では、原色中間補正項{C
Rrgb,C
Grgb,C
Brgb}が、下記式(8a)〜(8c)に従って算出される。
【数7】
【0041】
加算器28は、下記式(9a)〜(9c)に従って和{S
R,S
G,S
B}を算出する:
S
R=C
Rw+C
Rcmy+C
Rrgb ・・・(9a)
S
G=C
Gw+C
Gcmy+C
Grgb ・・・(9b)
S
B=C
Bw+C
Bcmy+C
Brgb ・・・(9c)
これらの式から理解されるように、S
Rは、原色Rに対応する白色補正項C
Rw、補色中間補正項C
Rcmy及び原色中間補正項C
Rrgbの和である。同様に、S
Gは、原色Gに対応する白色補正項C
Gw、補色中間補正項C
Gcmy及び原色中間補正項C
Grgbの和であり、S
Bは、原色Bに対応する白色補正項C
Bw、補色中間補正項C
Bcmy及び原色中間補正項C
Brgbの和である。
【0042】
補色トップ補正項計算回路29は、補色トップ補正項{C’
Rcmy,C’
Gcmy,C’
Bcmy}を算出する。ここで、補色トップ補正項{C’
Rcmy,C’
Gcmy,C’
Bcmy}とは、補正演算回路11による補正において使用される補正係数{Q
R,Q
G,Q
B}に含まれる項であり、トップ補正パラメータレジスタ44に保持されているC補色点補正パラメータT’c、M補色点補正パラメータT’m、Y補色点補正パラメータT’y及び補色距離算出回路23によって算出された補色距離Hcmyに依存する。本実施形態では、補色トップ補正項{C’
Rcmy,C’
Gcmy,C’
Bcmy}が、下記式(10a)〜(10c)に従って算出される。
【数8】
【0043】
原色トップ補正項計算回路30は、原色トップ補正項{C’
Rrgb,C’
Grgb,C’
Brgb}を算出する。ここで、原色トップ補正項{C’
Rrgb,C’
Grgb,C’
Brgb}とは、補正演算回路11による補正において使用される補正係数{Q
R,Q
G,Q
B}に含まれる項であり、トップ補正パラメータレジスタ44に保持されているR原色点補正パラメータT’r、G原色点補正パラメータT’g、B原色点補正パラメータT’b及び原色距離算出回路24によって算出された原色距離Hrgbに依存する。本実施形態では、原色トップ補正項{C’
Rrgb,C’
Grgb,C’
Brgb}が、下記式(11a)〜(11c)に従って算出される。
【数9】
【0044】
式(10a)〜(10c)、(11a)〜(11c)において、値S
R/(RGB
MAX+1)、S
G/(RGB
MAX+1)、S
B/(RGB
MAX+1)を減じる減算が行われるが、これは、補色トップ補正項{C’
Rcmy,C’
Gcmy,C’
Bcmy}及び原色トップ補正項{C’
Rrgb,C’
Grgb,C’
Brgb}から、白色点及び中間階調についての補正の影響を部分的にキャンセルするためである。
【0045】
例えば、補色トップ補正項C’
Rcmyを算出する式(10a)において、白色点及び中間階調についての補正の影響を部分的にキャンセルする項は、−Hcmy・S
R/(RGB
MAX+1)である。即ち、式(10a)においては、和S
RのHcmy/(RGB
MAX+1)倍を減じる演算が行われる。一方で、上述されているように、和S
Rは、原色Rに対応する白色補正項C
Rw、補色中間補正項C
Rcmy及び原色中間補正項C
Rrgbの和である。即ち、式(10a)においては、補色トップ補正項C’
Rcmyの算出において、白色補正項C
Rw、補色中間補正項C
Rcmy及び原色中間補正項C
RrgbのHcmy/(RGB
MAX+1)倍が減じられることになる。ここで、補色距離Hcmyの値域は、0〜RGB
MAXであるから、Hcmy・(RGB
MAX+1)は、0以上であり、1より小さい値をとる。以上の議論から、式(10a)が、白色点及び中間階調についての補正の影響を部分的にキャンセルして補色トップ補正項C’
Rcmyを算出するように決められていることは理解されよう。
【0046】
他の補色トップ補正項C’
Gcmy,C’
Bcmyについても同様の議論が成立する。式(10b)、(10c)において、白色点及び中間階調についての補正の影響を部分的にキャンセルする項は、それぞれ、−Hcmy・S
G/(RGB
MAX+1)、−Hcmy・S
B/(RGB
MAX+1)である。式(10b)、(10c)においては、それぞれ、和S
G、S
BのHcmy/(RGB
MAX+1)倍を減じる演算が行われ、これにより、白色点及び中間階調についての補正の影響が部分的にキャンセルされている。
【0047】
更に、原色トップ補正項{C’
Rrgb,C’
Grgb,C’
Brgb}についても同様の議論が成立する。式(11a)〜(11c)において、白色点及び中間階調についての補正の影響を部分的にキャンセルする項は、それぞれ、−Hrgb・S
R/(RGB
MAX+1)、−Hrgb・S
G/(RGB
MAX+1)、−Hrgb・S
B/(RGB
MAX+1)である。式(11a)〜(11c)においては、それぞれ、和S
R、S
G、S
BのHrgb/(RGB
MAX+1)倍を減じる演算が行われ、これにより、白色点及び中間階調についての補正の影響が部分的にキャンセルされている。
【0048】
なお、白色点及び中間階調についての補正の影響を部分的にキャンセルする手法としては他の様々な手法が使用され得る。一般に、補色トップ補正項C’
Rcmy、C’
Gcmy、C’
Bcmyの算出においては、それぞれ、補色距離HcmyとC補色点補正パラメータT’c、M補色点補正パラメータT’m、Y補色点補正パラメータT’yとから算出される値から、和S
R、S
G、S
Bのβ
1倍(0≦β
1<1)を減じる演算が行われてもよい。ここで、β
1は、補色距離Hcmyに依存して定められる値である。上述の実施形態では、β
1が、Hcmy/(RGB
MAX+1)として定められているが、β
1が異なる計算によって算出されてもよい。
【0049】
同様に、原色トップ補正項C’
Rrgb、C’
Grgb、C’
Brgbの算出においては、原色距離HrgbとR原色点補正パラメータT’r、G原色点補正パラメータT’g、B原色点補正パラメータT’bとから算出される値から、和S
R、S
G、S
Bのβ
2倍(0≦β
2<1)を減じる演算が行われてもよい。ここで、β
2は、原色距離Hrgbに依存して定められる値である。上述の実施形態では、β
2が、Hrgb/(RGB
MAX+1)として定められている。ここで、原色距離rgbの値域は、0〜RGB
MAXであるから、Hrgb/(RGB
MAX+1)は、0以上であり、1より小さい値をとることに留意されたい。ただし、β
2は、異なる計算によって算出されてもよい。
【0050】
また、RGB
MAXは、2
n−1(nは、2以上の整数)で表される数であるから、RGB
MAX+1は、2
nで表される数であることにも留意されたい。このような場合、値S
R/(RGB
MAX+1)、S
G/(RGB
MAX+1)、S
B/(RGB
MAX+1)は、和S
R、S
G、S
Bに対して右シフトを行う、又は、ビット切捨てを行うことによって容易に得られる。これは、原色トップ補正項{C’
Rrgb,C’
Grgb,C’
Brgb}の算出のハードウェア資源を低減するために有用である。
【0051】
加算器31は、上述の和{S
R,S
G,S
B}と、補色トップ補正項{C’
Rcmy,C’
Gcmy,C’
Bcmy}と、原色トップ補正項{C’
Rrgb,C’
Grgb,C’
Brgb}とに基づいて、補正係数{Q
R,Q
G,Q
B}を算出する。本実施形態では、補正係数{Q
R,Q
G,Q
B}は、下記式(12a)〜(12c)に従って算出される。
Q
R=S
R+C’
Rcmy+C’
Rrgb ・・・(12a)
Q
G=S
G+C’
Gcmy+C’
Grgb ・・・(12b)
Q
B=S
B+C’
Bcmy+C’
Brgb ・・・(12c)
【0052】
ここで、式(9a)から理解されるように、和S
Rが白色補正項C
Rw、補色中間補正項C
Rcmy及び原色中間補正項C
Rrgbから算出されるから、補正係数Q
Rは、5つの項:白色補正項C
Rw、補色中間補正項C
Rcmy、原色中間補正項C
Rrgb、補色トップ補正項C’
Rcmy、原色トップ補正項C’
Rrgbに基づいて算出されるものであることに留意されたい。同様に、式(9b)から理解されるように、和S
Gが白色補正項C
Gw、補色中間補正項C
Gcmy及び原色中間補正項C
Grgbから算出されるから、補正係数Q
Gは、5つの項:白色補正項C
Gw、補色中間補正項C
Gcmy、原色中間補正項C
Grgb、補色トップ補正項C’
Gcmy、原色トップ補正項C’
Grgbに基づいて算出されるものである。更に、式(9c)から理解されるように、和S
Bが白色補正項C
Bw、補色中間補正項C
Bcmy及び原色中間補正項C
Brgbから算出されるから、補正係数Q
Bは、5つの項:白色補正項C
Bw、補色中間補正項C
Bcmy、原色中間補正項C
Brgb、補色トップ補正項C’
Bcmy、原色トップ補正項C’
Brgbに基づいて算出されるものである。
【0053】
詳細には、式(12a)〜(12c)は、式(9a)〜(9c)に基づき、下記式(13a)〜(13c)に書き直すことができる。
Q
R=C
Rw+C
Rcmy+C
Rrgb+C’
Rcmy+C’
Rrgb
・・・(13a)
Q
G=C
Gw+C
Gcmy+C
Grgb+C’
Gcmy+C’
Grgb
・・・(13b)
Q
B=C
Bw+C
Bcmy+C
Brgb+C’
Bcmy+C’
Brgb
・・・(13c)
式(13a)から理解されるように、本実施形態では、原色Rに対応する補正係数Q
Rは、原色Rに対応する白色補正項C
Rw、補色中間補正項C
Rcmy、原色中間補正項C
Rrgb、補色トップ補正項C’
Rcmy、原色トップ補正項C’
Rrgbの和として算出されることになる。同様に、式(13b)から理解されるように、原色Gに対応する補正係数Q
Gは、原色Gに対応する白色補正項C
Gw、補色中間補正項C
Gcmy、原色中間補正項C
Grgb、補色トップ補正項C’
Gcmy、原色トップ補正項C’
Grgbの和として算出されることになる。また、式(13c)から理解されるように、原色Bに対応する補正係数Q
Bは、原色Bに対応する白色補正項C
Bw、補色中間補正項C
Bcmy、原色中間補正項C
Brgb、補色トップ補正項C’
Bcmy、原色トップ補正項C’
Brgbの和として算出されることになる。
【0054】
加算器31によって算出された補正係数{Q
R,Q
G,Q
B}は、補正演算回路11に供給され、補正演算回路11による補正、即ち、色調整のためのデジタル演算に用いられる。本実施形態では、補正演算回路11は、下記式(14a)〜(14c)に従って入力画像データのRGB階調値{Rin,Gin,Bin}を補正することにより、出力画像データのRGB階調値{Rout,Gout,Bout}を算出する。
Rout=Rin+Q
R/(RGB
MAX+1) ・・・(14a)
Gout=Gin+Q
G/(RGB
MAX+1) ・・・(14b)
Bout=Bin+Q
B/(RGB
MAX+1) ・・・(14c)
【0055】
本実施形態の色調整回路10においては、R原色点、G原色点、B原色点、C補色点、M補色点、Y補色点に対応する入力画像データがそれぞれ補正演算回路11に入力されたときの出力画像データのRGB階調値{Rout,Gout,Bout}を指定するトップ補正パラメータを適切に設定することにより、出力画像データに応じて画像を表示した場合のR原色点、G原色点、B原色点、C補色点、M補色点、Y補色点の色度座標を制御できる。これは、本実施形態の色調整回路10により、色域の調節を実現することができることを意味している。
【0056】
加えて、白色点に対応する入力画像データがそれぞれ補正演算回路11に入力されたときの出力画像データのRGB階調値{Rout,Gout,Bout}を指定する白補正パラメータTwを適切に設定することにより、出力画像データに応じて画像を表示した場合の白色点の色度座標を制御できる。これは、本実施形態の色調整回路10により、白色点の色度座標の調節を実現することができることを意味している。
【0057】
加えて、本実施形態の色調整回路10においては、中間補正パラメータによって中間階調における補正演算回路11の入出力関係を制御することができ、よって、表示装置のγ特性を考慮した色調整を実現することができる。
【0058】
また、式(14a)〜(14c)から理解されるように、本実施形態においては、RGBフォーマットの入力画像データを他の表色系のフォーマットに変換することなくRGBフォーマットの出力画像データを得ていることにも留意されたい。出力画像データのR階調値Routは、入力画像データのR階調値Rinと、原色Rに対応する補正係数Q
Rから算出される。同様に、出力画像データのG階調値Goutは、入力画像データのG階調値Ginと、原色Gに対応する補正係数Q
Gから算出され、出力画像データのB階調値Boutは、入力画像データのB階調値Binと、原色Bに対応する補正係数Q
Bから算出される。このような演算による色調整によれば、マトリックス演算が不要であり、回路規模を低減することができる。
【0059】
図8は、本実施形態の色調整回路10による色調整の一例を示す色度図である。この例では、sRGBに規定されている色域及び白色点を実現するような色域及び白色点の調整が行われる。
図8の例では、白補正パラメータTw、及び、R原色点補正パラメータT’r、G原色点補正パラメータT’g、B原色点補正パラメータT’b、C補色点補正パラメータT’c、M補色点補正パラメータT’m、Y補色点補正パラメータT’yが、下記のように設定されている。
{Tw
R,Tw
G,Tw
B}={243,243,242}
{T’r
R,T’r
G,T’r
B}={255,62,31}
{T’g
R,T’g
G,T’g
B}={116,255,70}
{T’b
R,T’b
G,T’b
B}={0,63,255}
{T’c
R,T’c
G,T’c
B}={109,255,24}
{T’m
R,T’m
G,T’m
B}={255,81,244}
{T’y
R,T’y
G,T’y
B}={255,227,66}
【0060】
なお、白補正パラメータTw、R原色点補正パラメータT’r、G原色点補正パラメータT’g、B原色点補正パラメータT’b、C補色点補正パラメータT’c、M補色点補正パラメータT’m及びY補色点補正パラメータT’yは、sRGBに規定されている白色点、R原色点、G原色点、B原色点の色度座標及び相対輝度、及び、対象の表示装置のXYZ−RGB変換マトリックスから算出可能である。なお、表示装置のXYZ−RGB変換マトリックスは、当該表示装置において白色点、R原色点、G原色点、B原色点の色をそれぞれ表示させたときの輝度Y(刺激値Y)及び色度座標x、yから算出可能である。
【0061】
また、
図8の例では、R中間色補正パラメータTr、G中間色補正パラメータTg、B中間色補正パラメータTb、C中間色補正パラメータTc、M中間色補正パラメータTm、Y中間色補正パラメータTyが、下記のように設定されている。
{Tr
R,Tr
G,Tr
B}={255,−53,−30}
{Tg
R,Tg
G,Tg
B}={−27,255,−34}
{Tb
R,Tb
G,Tb
B}={11,−37,255}
{Tc
R,Tc
G,Tc
B}={92,254,245}
{Tm
R,Tm
G,Tm
B}={239,61,239}
{Ty
R,Ty
G,Ty
B}={255,255,54}
【0062】
図9は、上記の設定により色域及び白色点の調整が行われた場合において、色度図においてB原色点と白色点とを結ぶ線分に沿って色を変化させた場合の輝度の変化を示すグラフである。ここで、
図9の破線は、sRGBに準拠した場合において、色度図においてB原色点と白色点とを結ぶ線分(
図8において破線5によって示されている線分)に沿って色を変化させた場合の輝度の変化を示している。
図9から理解されるように、本実施形態の色域及び白色点の調整によれば、sRGBに準拠した場合に近い輝度の変化を実現できる。これは、本実施形態における色域及び白色点の調整によれば、sRGBに準拠した輝度バランスに近い輝度バランスで、言い換えれば、sRGBに規定されたγ特性に近いγ特性で色域及び白色点の調整を実現できることを意味している。
【0063】
ここで、本実施形態の色調整回路10を構成する各回路では、加算、減算、乗算、データ比較、右シフト(ビット切捨て)のような小さい回路規模で実現できるデジタル演算しか行われないことに留意されたい。本実施形態の色調整回路10は、べき乗の演算を行う回路やLUT(lookup table)のような大きな回路規模を有する回路を排除可能である。これは、本実施形態の色調整回路10が、回路規模を低減しながら、表示装置のγ特性を考慮した色調整を実現できることを意味している。
【0064】
本実施形態の色調整回路10は、回路規模を小さくできるので、回路規模の低減が強く求められる応用に好適である。このような応用の例としては、例えば、表示装置において、表示パネル(例えば、液晶表示パネルやOLED(organic light emitting diode)表示パネル)を駆動する表示ドライバに搭載する色調整回路が挙げられる。携帯端末に搭載される表示装置では、回路規模の低減が強く求められるので、本実施形態の色調整回路10の使用が特に有用である。以下では、本実施形態の色調整回路10を適用した表示装置の構成の一例を説明する。
【0065】
図10は、一実施形態における表示装置50の構成を示すブロック図である。本実施形態では、表示装置50が、液晶表示パネル51と、表示ドライバ52とを備える液晶表示装置として構成されている。なお、以下では、表示装置50が液晶表示装置として構成されている実施形態が述べられるが、本発明は、液晶表示パネル51以外の表示デバイス(例えば、OLED(organic light emitting diode)表示パネル)を備える表示装置にも適用可能であることに留意されたい。
【0066】
液晶表示パネル51は、行列に配置された画素と、ゲート線と、ソース線とを備えている(いずれも図示されていない)。本実施形態では、各画素が、赤を表示するR副画素と緑を表示するG副画素と青を表示するB副画素とを備えている。各副画素(R副画素、G副画素、B副画素)は、対応する一のゲート線及び対応する一のソース線に接続されている。
【0067】
表示ドライバ52は、ホスト53から受け取った画像データに応じて液晶表示パネル1のソース線を駆動する。ここで、表示ドライバ52は、上述の色調整回路10を備えており、表示ドライバ52は、色調整回路10から出力される出力画像データに応じて液晶表示パネル1のソース線を駆動する。
【0068】
図11は、一実施形態における表示ドライバ52の構成を示すブロック図である。本実施形態では、表示ドライバ52が、インターフェース制御回路61と、メモリ62R、62Lと、デジタル演算回路63と、アナログ処理回路64と、不揮発性メモリ(NVM:non-volatile memory)65とを備えている。
【0069】
インターフェース制御回路61は、外部から(例えば、ホストから)送信されるデータを受け取る動作を行う。詳細には、インターフェース制御回路61は、画像データをホスト53から受け取ってメモリ62L、62Rに書き込むと共に、メモリ62L、62Rに保存されている画像データをデジタル演算回路63に転送する。インターフェース制御回路61は、更に、外部から表示ドライバ52の動作を制御する制御パラメータを受け取り、不揮発性メモリ65に書き込む。
【0070】
メモリ62L、62Rは、インターフェース制御回路61から転送される画像データを一時的に保存する。
【0071】
デジタル演算回路63は、インターフェース制御回路61を介してメモリ62L、62Rから転送される画像データに対して所望のデジタル演算を行い、デジタル演算後画像データを生成する。デジタル演算回路63は、上述の色調整回路10を含んでいる。色調整回路10は、メモリ62L、62Rから転送される画像データ、又は、該画像データに対して所望のデジタル演算を行って得られるデータを入力画像データとして用いて上述の色調整のためのデジタル演算を行い、出力画像データを生成する。色調整回路10から出力される出力画像データ、又は、該出力画像データに対して所望のデジタル演算を行って得られるデータがデジタル演算後画像データとしてデジタル演算回路63から出力される。
【0072】
アナログ処理回路64は、デジタル演算回路63から受け取ったデジタル演算後画像データに応じて(即ち、色調整回路10から出力される出力画像データに応じて)液晶表示パネル51のソース線を駆動する駆動部として動作する。より具体的には、アナログ処理回路64は、階調電圧生成回路66と、DAコンバータ(DAC)67と、ソースドライバ回路68とを備えている。
【0073】
階調電圧生成回路66は、表示装置50が有すべきγ特性に合わせた電圧レベルを有する一連の階調電圧を生成し、DAコンバータ67に供給する。階調電圧生成回路66によって生成される階調電圧の電圧レベルを制御することで、表示装置50のγ特性を調節することができる。
【0074】
DAコンバータ67は、液晶表示パネル51のソース線のそれぞれについてデジタル演算後画像データに対応する階調電圧を選択し、選択した階調電圧を出力する。
【0075】
ソースドライバ回路68は、DAコンバータ67から受け取った階調電圧に対応する電圧レベル(最も典型的には、該階調電圧と同一の電圧レベル)をそれぞれ有するアナログソース電圧を液晶表示パネル51のソース線のそれぞれに出力し、これによりソース線を駆動する。
【0076】
不揮発性メモリ65は、表示ドライバ52の動作を制御する様々な制御パラメータを不揮発的に記憶する。本実施形態では、不揮発性メモリ65に記憶される制御パラメータが、色調整回路10のレジスタ回路13に設定すべきパラメータ(即ち、色定義データ、白補正パラメータ、中間補正パラメータ及びトップ補正パラメータ)を含んでいる。表示ドライバ52が液晶表示パネル51に画像を表示する動作を行う場合、レジスタ回路13に設定すべき上述のパラメータが不揮発性メモリ65から読み出されて色調整回路10に供給され、該パラメータに応じたデジタル演算が色調整回路10によって実行される。
【0077】
表示ドライバ52は、不揮発性メモリ65に格納される色定義データ、白補正パラメータ、中間補正パラメータ及びトップ補正パラメータを書き換えることができるように構成されている。例えば、外部から供給された(例えば、ホスト53から供給された)白補正パラメータ、中間補正パラメータ及びトップ補正パラメータが、インターフェース制御回路61を介して不揮発性メモリ65に書き込まれてもよい。このような構成によれば、色調整回路10による色調整を表示ドライバ52の外部から様々に制御することが可能になり、これは、色調整の自由度を向上するために有用である。
【0078】
以上には、本発明の実施形態が具体的に記述されているが、本発明は、上記の実施形態に限定されると解釈してはならない。本発明が様々な変更と共に実施され得ることは、当業者には自明的であろう。