特開2017-211861(P2017-211861A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特開2017-211861車両用LANアクチュエータの駆動制御装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2017-211861(P2017-211861A)
(43)【公開日】2017年11月30日
(54)【発明の名称】車両用LANアクチュエータの駆動制御装置
(51)【国際特許分類】
   G06F 13/42 20060101AFI20171102BHJP
   H04L 29/10 20060101ALI20171102BHJP
   G06F 13/38 20060101ALI20171102BHJP
【FI】
   G06F13/42 310
   H04L13/00 309C
   G06F13/38 350
   G06F13/38 330Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】2
【出願形態】OL
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2016-105245(P2016-105245)
(22)【出願日】2016年5月26日
(71)【出願人】
【識別番号】591249884
【氏名又は名称】トネックス株式会社
(72)【発明者】
【氏名】板垣 宏和
【テーマコード(参考)】
5B077
5K034
【Fターム(参考)】
5B077HH01
5B077HH03
5K034AA10
5K034DD01
5K034GG06
5K034HH01
5K034HH02
5K034KK01
5K034MM24
5K034SS00
(57)【要約】
【課題】LIN通信方式にてマイクロコントローラ101とLIN ドライバー102で構成し、送信する際にマイクロコントローラ内部のパラレルポートを有効に活用し、制御ソフトウエアを工夫する事によりシンプルな回路で通信を可能にした。
【解決手段】マイクロコントローラ101がLINトランシーバ102に送信する際、Field内部の各Bit間の時間を規定するソフトウエアタイマーと各Field間の時間を規定するソフトウエアタイマーの2つのソフトウエアタイマーの設定によりLIN送信時のSync Break / Sync Field / ID Field / Data Field / Check Sumまでの全ての送信データはマイクロコントローラICのパラレルポート経由で送信する様にした。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくともマイクロコントローラとLINトランシーバを有する回路にて構成されLIN通信プロトコルによるメッセージフレームの送受信信号を用いて外部のLANアクチュエータとLIN BUS通信を行う車両用LANアクチュエータの駆動制御装置において、マイクロコントローラからトランシーバへの送信にマイクロコントローラのパラレルポートを使用し、LIN BUS制御信号の13Bit長Sync Break信号、8Bit長 Sync Field / ID Field / Data Field / Check Sum信号をマイクロコントローラICの制御ソフトウエアの制御により行う事を特徴とする駆動制御装置。
【請求項2】
少なくともマイクロコントローラとLINトランシーバを有する回路にて構成されLIN通信プロトコルによるメッセージフレームの送受信信号を用いて外部のLANアクチュエータとLIN BUS通信を行う車両用LANアクチュエータの駆動制御装置において、マイクロコントローラからトランシーバへの送信にマイクロコントローラのパラレルポートを使用し、LIN BUS制御信号の13Bit長Sync Break信号、8Bit長 Sync Field / ID Field / Data Field / Check Sum信号をマイクロコントローラICのソフトウエア制御で実施する際、Field内部の各Bit間の時間を規定するソフトウエアタイマーと各Field間の時間を規定するソフトウエアタイマーを持って制御することを特徴とする駆動制御装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、近年車両空調用アクチュエータ駆動システムにて採用が進んでいる車載LAN(Local Area Network)の一つであるLIN(Local Interconnect Network)通信プロトコルによる通信回路に適用し、よりシンプルな回路構造にて、効率的な通信を行う技術である。
【背景技術】
【0002】
LIN通信プロトコルにはSYNC-FIELDがあり、これによりマスターのボーレートがスレーブに送信され、このボーレートでスレーブがデータを受信する方式となっている。この通信処理をより単純な回路構成にて実現したいというニーズがある。

【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2004−139319号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、特許文献1に示す様なマイクロコントローラICとLINドライバーICで構成された通信方式では、マイクロコントローラIC内部のシリアルポート出力端子(UART1)から送信する際にLINのSync Break信号長が13Bit長であるため、非同期シリアルポートで処理が実現出来ない (シリアルポート割り込み処理のみでは制御出来ない) という問題があり、マイクロコントローラICのパラレルポートとシリアルポートを切り替えるSync Break生成回路を設けて制御する等の工夫が必要であった。図3は特許文献1に使用しているLIN通信プロトコルのメッセージフレームの処理を示すタイムチャートであり、Sync Break=13Bit長をパラレルポートP1で処理し、Sync Field / ID Field / Data Field / Check Sum =8Bit長をシリアルポートUART1で処理している。この方式だと駆動制御装置が複雑になり、マイクロコントローラICの実装ソフトウエアも複雑になるという問題があった。
【0005】
そこで本発明はLINのSync Break信号の特長を生かし、車載用LANアクチュエータの駆動制御装置を最小限の回路構成にて実現できる制御方式を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、本発明はLIN通信プロトコルによるメッセージフレームを用いてLANアクチュエータとシリアル通信を行なうLIN駆動制御装置100において、制御装置は少なくともマイクロコントローラIC101とLINトランシーバIC102で構成され、マイクロコントローラIC101はLINトランシーバIC102に送信する第1のパラレルポートを有し、LIN送信制御はマイクロコントローラIC101のRC6のパラレルポート経由で実施し、マイクロコントローラIC101のポート初期設定後、1ビット単位でLIN送信データを送信バッファから取得してRC6にセットし、Sync Break / Sync Field / ID Field / Data Field / Check Sumまでの全ての送信データを区別する事なしに処理する。図2は本発明の特徴を示すLIN通信プロトコルのメッセージフレームの処理を示すタイムチャートである。
【発明の効果】
【0007】
このような制御ソフトウエアにすることにより、車載用LANアクチュエータを制御する駆動制御装置を最小限の回路構成で実現させる事ができる。
具体的には以下3点の利点がある。
(1) マイクロコントローラIC101とトランシーバIC102のみの回路構成で駆動回路が実現できるため、従来方式の駆動制御装置に比較してシンプルな回路構成で装置が構成できる。
(2) LIN信号の送信にパラレルポート制御を採用しているので従来の制御方式の駆動制御装置に比較して、よりシンプルな制御ソフトウエアで装置が構成できる。
(3) マイクロコントローラIC101とトランシーバIC102のみの構成であるため、従来の制御方式の駆動制御装置に比較し、装置の製作、修理、保守が短時間で実施できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明の第1実施形態におけるLIN通信制御システムのブロック図。
図2】本発明の第1実施形態におけるLIN通信プロトコルのメッセージ フレームの処理を示すタイムチャート。
図3】従来技術(特許文献1)で使用しているLIN通信プロトコルのメッセージフレームの処理を示すタイムチャート。
図4】本発明の第1実施形態におけるLIN送信時のフローチャート。
図5】本発明の第1実施形態におけるLIN送信バッファの送信データ。
図6】本発明の第1実施形態におけるLINデータソフトウエアタイマー設定値。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明に係るLIN通信制御装置100の実施形態について、図1に基づいて説明する。本装置はマイクロコントローラIC101、マイクロコントローラIC101 に+5V電源を供給する電圧変換回路106、AC100V電源をDC13Vに変換する電源回路107、LINトランシーバ102、アクチュエータのPBR(位置センサ)の値を表示させるPBR位置表示手段103、START/STOP SW 104、ACT作動位置設定手段105で構成されている。またスレーブ側はLANアクチュエータ200であり、内部にLIN DCモーター制御用IC(通信&モータドライブ)201、DCアクチュエータ202を有している。
【0010】
空調制御用LANアクチュエータ200はPBR(位置検出センサ)を有するアクチュエータでDCモーター202とLINのコントローラ201を内蔵している。空調用LANアクチュエータにはLIN BUS信号の他にDC+13V電源回路の+13V出力とGND端子からモーター駆動用の電源が供給される。
【0011】
マイクロコントローラIC101のパラレルポートRC6はLINトランシーバIC102の入力端子TXDに、マイクロコントローラIC101のパラレル・シリアル兼用ポートRC7はLINトランシーバIC102の出力端子RXDに接続される。
【0012】
LINトランシーバIC102の出力信号はLIN BUSラインを通じてLANアクチュエータ200に内蔵されたコントローラ201のBUSラインに接続される。
【0013】
マイクロコントローラ101からの送信データはマイクロコントローラIC101のパラレルポートRC6経由で送信され、受信データはパラレル・シリアル兼用ポートRC7で受信する。
【0014】
以下マイクロコントローラIC101からLINトランシーバIC102、さらにLANアクチュエータ200の作動に関する一連の制御手順について説明する。
【0015】
最初にLIN通信制御装置100内蔵のSTART/STOP SW104及び作動位置設定手段105からの指示信号がマイクロコントローラIC101に入力され、内蔵のROMにより演算処理され制御信号が生成される。また、通信方式としてはROMに予め書き込まれたプログラムによりポーレートが19200bps、送受信フォーマット長が8ビットとなる様に設定される。
【0016】
マイクロコントローラIC101はメッセージフレームの送信開始前はRC6ポートの出力を停止しており、メッセージフレームの送信開始時に、マイクロコントローラIC101のパラレルポートから図2のタイムチャートに従いSync Break / Sync Field / ID Field / Data Field / Check Sumまでの全ての送信データを送信する。本信号はパラレルポートRC6で処理されるため、データ長13Bit/データ長8Bitに関係なく送信ができる。
【0017】
LINトランシーバIC102は入力端子TXDから上記データを取得し、信号レベル変換を行いLANアクチュエータ内蔵のLIN DCモーター制御用IC201に送信する。
【0018】
LIN DCモーター制御用IC201は制御信号を受信し、その制御信号に従い、モーターの回転方向、指定位置に到達する様にIC内のモータードライバーに制御信号を送出する。
【0019】
上記ドライブ信号によりDCアクチュエータ202内蔵のモーターがCWまたはCCW方向に回転し、その回転力は数段のギヤトレインにより減速され出力段ギヤ伝えられる。出力段ギヤにはPBR(位置センサ)が設けられており、出力段ギヤの回転角度に応じて、出力軸位置信号がLIN DCモーター制御用IC201にフィードバックされる。
【0020】
PBR(位置センサ)値が目標位置に到達するとLIN DC MOTOR制御用IC201はモータードライバー駆動信号を停止し、停止及び停止位置情報をLINトランシーバIC102に戻す。
【0021】
LINトランシーバ102はLIN信号を受信し、レベル変換を行い、出力端子RXDからマイクロコントローラ101のポートRC7へ出力する。
【0022】
マイクロコントローラIC101は上記信号を内蔵ROMにて制御終了を確認し、一連の制御手順が終了し、PBR位置表示手段103に信号を送出し、現在位置を表示する。
【0023】
次にLIN通信制御装置100内蔵のSTART/STOP SW104及び作動位置設定手段105からの指示信号が出るまでは作動に関する制御信号は発信せず、LANアクチュエータの監視信号の送受信を繰り返す。
【0024】
次にフローチャートを用いて信号処理方法を説明する。図4は本発明の第1実施形態におけるLIN送信時のフローチャートである。
【0025】
本実施形態ではマイクロコントローラIC101にPIC16F877Aを使用している。まずステップS101で送信処理が開始される。
【0026】
次にステップS102に移行し、マイクロコントローラ101のポートを初期設定し、RC6ポートをパラレルポートに設定する。
【0027】
次にステップ103に移行し、LIN送信バッファから送信データを取得する。図5はLIN送信バッファSD[ ]の送信データの具体例であり、Sync Break / Sync Field / ID Field / Data Field / Check Sumまでの全ての送信データが取得される。
【0028】
次にステップ104に移行し、取得データをマイクロコントローラIC100のパラレルポートRC6からLINトランシーバIC102に送信する。
【0029】
次にステップ105に移行し、LIN送信データのビット間ソフトウエアタイマーを起動する。図6はLIN送信データ通信速度 19200bit/sec時のLIN送信データの各Bit間のタイマー設定値であり、48μsecに設定される。本規定されたタイマー時間が経過後次ステップ106に移行する。
【0030】
ステップ106においてLIN送信バッファのポインタインクリメントを行う。
【0031】
次にステップ107に移行し、Fieldデータの送信終了確認を行う。もし、Fieldデータの送信が終了していなかったらステップ103に戻り、上記作業を繰り返す。
Field送信データの終了が確認できたら、LIN送信処理が終了となる。
【0032】
次にステップ108に移行し、LIN送信データ各Field間のソフトウエアタイマーを起動する。図6はLIN送信データ通信速度 19200bit/sec時のLIN送信データの各Field間のタイマー設定値であり、92μsecに設定される。本規定されたタイマー時間が経過後次ステップ109に移行する。
【0033】
ステップ109ではLIN送信データの送信終了を確認する。LIN送信データの送信が終了していなかったらステップ103に戻り、上記作業を繰り返す。LIN送信データの送信の終了が確認されたら、LIN送信データの送信終了となり、次ステップに移行する。
【0034】
ステップ110でLIN送信処理が終了する。
【0035】
受信方式に関しては本発明の適用外であり、作動説明は割愛する。
【0036】
以上の説明の様に本発明は従来技術の様にSync Break信号処理用のパラレルポートを追加する回路を付加することなしにマイクロコントローラIC101とトランシーバIC102のみの構成にてLINの送受信を行うことができる。
【0037】
以上本発明の実施態様について説明したが、上述の説明に基づいて当業者にとって種々の代替例、修正又は変形が可能であり、本発明はその趣旨を逸脱しない範囲で前述の種々の
代替例、修正又は変形を包含するものである。また上述したマイクロコントローラとしてPIC16F877Aを使用したがそれに限定するものではない。更に本技術はLANアクチュエータの種類をDCモータータイプに制限するものではなくステッピングモーターを使用したLANアクチュエータにも適用できる。また、本発明の実施例は制御装置となっているが本制御方式を車載のマスターコントローラ制御に使用することも可能である。
【産業上の利用可能性】
【0038】
LIN(Local Interconnect Network)通信プロトコルは車両のボディ系の制御(例えば空調用モーター制御、ワイパー、バックミラー、パワーウィンド等)に普及が見込まれるプロトコルであり、よりシンプルな回路構造で効率的な通信を行う事ができる本制御方式は有効である。
【符号の説明】
【0039】
100 LIN通信制御装置
101 マイクロコントローラIC
102 LINトランシーバIC
103 PBR位置表示手段
104 START/STOP SW
105 作動位置設定手段
106 +13V→+5V変換回路
107 AC100V→DC13V変換回路
108 接続コネクタ
200 LANアクチュエータ
201 LIN DCモーター制御用IC
202 DCアクチュエータ
203 接続コネクタ
図1
図2
図3
図4
図5
図6