特開2017-211888(P2017-211888A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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  • 特開2017211888-画像情報認証システム 図000003
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2017-211888(P2017-211888A)
(43)【公開日】2017年11月30日
(54)【発明の名称】画像情報認証システム
(51)【国際特許分類】
   G08B 25/00 20060101AFI20171102BHJP
   G08B 25/08 20060101ALI20171102BHJP
   G08B 25/04 20060101ALI20171102BHJP
   G06T 1/00 20060101ALI20171102BHJP
【FI】
   G08B25/00 510M
   G08B25/08 A
   G08B25/04 K
   G06T1/00 330B
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
【全頁数】6
(21)【出願番号】特願2016-105712(P2016-105712)
(22)【出願日】2016年5月27日
(71)【出願人】
【識別番号】000148896
【氏名又は名称】三井金属アクト株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100089934
【弁理士】
【氏名又は名称】新関 淳一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100092945
【弁理士】
【氏名又は名称】新関 千秋
(72)【発明者】
【氏名】一瀬 幹雄
【テーマコード(参考)】
5B057
5C087
【Fターム(参考)】
5B057AA16
5B057BA02
5B057CA12
5B057CA16
5B057CB12
5B057CB16
5B057CC01
5B057DA08
5B057DB02
5B057DC32
5C087AA02
5C087AA03
5C087AA09
5C087BB20
5C087BB74
5C087DD03
5C087DD14
5C087EE14
5C087FF01
5C087FF04
5C087GG02
5C087GG20
5C087GG83
(57)【要約】
【課題】車載カメラの画像情報から有益で公共性の高い情報を迅速に抽出して有効活用する。
【解決手段】本画像情報認証システムは、関係者から照合用データを入手登録し、車外状況を車載カメラで撮影し、前記車載カメラから得られた画像情報を認証用データとして生体認証的若しくは文字認証的に前記照合用データと照合し、照合結果を関係者通報する。前記照合結果は保護レベルに応じて、関係者に通報する。生体認証的若しくは文字認証的照合は、保護レベルに応じて継続し記録する。認証用データは記録保存し、新規に照合用データを登録したとき、記録保存済みの前記認証用データと生体認証的若しくは文字認証的に照合する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
照合用データを登録する照合用データ登録手段と;
車外状況を撮影する車載カメラ手段と;
前記車載カメラ手段から得られた画像情報を認証用データとして生体認証的若しくは文字認証的に前記照合用データと照合するデータ比較手段と;
照合結果を通報する通信手段とを備えた画像情報認証システム。
【請求項2】
請求項1において、更に、前記照合結果を通報する際の保護レベルを設定する保護レベル手段を備えた画像情報認証システム。
【請求項3】
請求項2において、更に、前記保護レベルに応じて生体認証的若しくは文字認証的に照合結果を継続的に記録する関連情報記憶手段を備えた画像情報認証システム。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか一項において、更に、前記車載カメラ手段により撮影した画像情報を前記認証用データとして記録保存するデータ記録手段と、新規に照合用データを登録したとき、前記データ記録手段に記録保存済みの前記認証用データと生体認証的若しくは文字認証的に照合する手段とを備えた画像情報認証システム。
【請求項5】
1台若しくは複数の車載カメラA、B、Cと、
生体認証用の照合用データが登録される照合画像記憶部13と、
前記車載カメラA、B、Cからの撮影画像情報を前記照合用データと生体認証的または文字認証的に照合するデータ比較部14と、
前記データ比較部14による比較照合が一致したしたとき、予め登録された関係者に通報する通信装置17とを備えた画像情報認証システム。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれか一項において、前記照合用データは、認知症徘徊者の画像情報とした画像情報認証システム。
【請求項7】
請求項1〜5のいずれか一項において、前記照合用データは、捜査当局から公開された画像情報とした画像情報認証システム。
【請求項8】
請求項1〜5のいずれか一項において、前記照合用データは、幼児・学童の画像情報とした画像情報認証システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像情報認証システムに関するものであり、特に、車載カメラから得られる画像情報を用いた認証システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年の車両には多種多様なカメラが搭載され、その画像情報は自動ブレーキシステムや、自動運転システム等に利用されたり、車両ドアを開ける際にドア周辺に支障となる障害物が存在しないかを検知する安全システムに利用されている(特許文献1)。これらに利用される車載カメラは死角を補うように車両の様々な部位に設置され、その画像情報は主に、運転補助や事故削減を目的としたシステムに利用されている。
車載カメラを車両のキー(リモコンキー・キーレスエントリの発信器)の代用にするシステムも開発されている。特許文献2には、車両に接近する人を車載カメラで撮影し、その画像情報を予め車両に登録された画像情報と生体認証技術により比較照合し、一致したときは当該車両の使用を許可するとの思想を開示している。
また、車載カメラを防犯用や監視用に用いるシステムも提案されている。特許文献3では、ドアミラーに車載カメラを設置し、停車又は駐車等によりドアミラーを格納させると、車載カメラが車内に向き、車内をカメラで監視できるようにする思想が開示されている。また、特許文献4には、自車両のナンバープレートを車載カメラで監視して、自車両のナンバープレートに不正が行われたときは画像(文字)認識技術により検知して外部に通報するシステムについて開示されている。
また、特許文献5には、1つの車載カメラを多目的用途に利用する思想が開示されている。
また、車載カメラは車両の走行状態を記録するドライブレコーダーにも利用されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007−153193号公報
【特許文献2】特開2006−168553号公報
【特許文献3】特開2006−182234号公報
【特許文献4】特開2003−058980号公報
【特許文献5】特開2011−105058号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1〜5の発明では、車載カメラは、運転補助や事故防止、所有者認証用の発信器の代用、自車両の防犯や監視等に利用されているが、その利用は、車両所有者の利便性の範疇に留まっていた。
また、近年搭載率が激増しているドライブレコーダーは、車両事故発生の際に、走行状態の確認に優れた映像再生(画像保存)性能を発揮するが、ドライブレコーダーの車載カメラが日常的に撮影している車外の画像情報の殆どは、利用されることなく、上書き録画等により破棄・消去されている。
しかしながら、利用されることなく破棄・消去される画像情報には、有益で公共性の高い情報、唯一無二の貴重な情報等が含まれていることが当然予想され、画像処理能力の飛躍的な向上、画像解析技術(生体認証技術・文字認識技術)の急激な発展、情報記憶の大容量化、無線データ通信の高速化等により、車載カメラで撮影した画像情報から有益で公共性の高い情報、唯一無二の貴重な情報等を短時間で、好ましくはリアルタイムで抽出して有効活用できるシステム開発が望まれてきた。
【課題を解決するための手段】
【0005】
よって、本発明は、照合用データを登録する照合用データ登録手段と;車外状況を撮影する車載カメラ手段と;前記車載カメラ手段から得られた画像情報を認証用データとして生体認証的若しくは文字認証的に前記照合用データと照合するデータ比較手段と;照合結果を通報する通信手段とを備えた画像情報認証システムの構成としたものである。
【発明の効果】
【0006】
請求項1〜5に係る発明にあっては、車両の車載カメラで撮影された車外の状況から、登録された特定の人物や車両の情報を生体認証又は文字認証技術により入手でき、車載カメラから得られる莫大な情報を有効活用できる。
請求項6〜8に係る発明にあっては、それぞれ関係者から提供される画像情報に基づいて適切かつ切実な照合用データを利用できるので、高い公益性と、広い有効性を得られる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】本発明による画像情報認証システムのブロック回路図。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本発明による画像情報認証システムの実施形態について、図により説明すると、図1は、画像情報認証システムのブロック回路図を示しており、車両に搭載される車載制御部10には、1台若しくは複数の車載カメラA、B、Cからの撮影画像情報が取り込まれるようになっている。
【0009】
車載カメラA、B、Cは車外撮影用のカメラであるが、車両の自動ブレーキシステムや、車両の自動運転システムに使用される車載カメラや、バックモニター用車載カメラや、ドア開閉時の障害物検知用の車載カメラ等のように、別に主たる利用目的を備えたカメラを汎用・兼用利用することが望ましい。これらの車載カメラA、B、Cにより、車外の状況は日常的に撮影され、その画像情報は車載制御部10のデータ記録部11に入力される。
【0010】
データ記録部11の画像情報は、認証情報処理部12により生体認証用データや文字認証用データ(以下、認証用データ)としてデータ解析される。データ解析される画像情報は、車両停止中のものに限らず、走行中に撮影した画像情報もその精細度に応じてデータ解析の対象となり得る。認証用データはデータ記録部11に保存される。一般的に、認証用データは、車載カメラA、B、Cからの元画像情報より相当に容量が小さくなる。
【0011】
前記認証情報処理部12では、認証用データを生成しているが、本願発明は、生体認証技術自体の発明ではなく、生体認証技術を利用した発明に過ぎないため、生体認証技術の種類によっては、生体認証のステップ、つまり、認証方法や作業手順に大きな違いが出るが、認証情報処理部12が行うデータ解析は、一般的には「目」「鼻」「口端」等の特徴点生成等を意味する。
【0012】
車載制御部10の照合画像記憶部13には照合用データが登録される。認証情報処理部12が生成した認証用データは、データ比較部14により照合画像記憶部13に登録された照合用データと比較され、生体認証される。照合用データは予め登録することが望ましいが、後述するように、事後登録も可能である。なお、生体認証技術の種類によっては、車載カメラA、B、Cからの元画像情報と照合用データとを比較するものもある(認証用データ生成の省略)。
【0013】
本願では、照合画像記憶部13に登録する照合用データにどのようなデータを登録するかが大きな特徴となる。例えば、認知症により徘徊の危険がある人物のデータが有力となる。徘徊危険者を対象とした場合、徘徊者の生活圏をよく走行したり、同生活圏に駐車スペースがある車両の照合画像記憶部13に、徘徊者の画像情報を生体認証の照合用データとして登録すれば、当該車両の車載カメラA、B、Cにより認知症による徘徊者を無事保護できる可能性が高くなる。
【0014】
認知症人物の照合用データは、家族からの申し出によりデータ化され照合画像記憶部13に登録されるのが望ましい。通常は、当該人物のデジタル写真データを使用できる。このような照合用データには、その人物の生活情報が紐付けされ、関連情報記憶部15に登録される。生活情報とは、住所、氏名、連絡先、保護レベル等となる。保護レベルとは、生体認証により照合一致者が発見された際の対応内容の設定である。保護レベルが低く設定されたときは、発見場所・発見時間等の情報を関連情報記憶部15に継続的に記録するだけに留め、保護レベルが高く設定されたときは、発見により直ちに緊急連絡等を行う。保護レベルは家族からの連絡(好適には通信端末から操作)により変更可能である。
【0015】
また、上記認知症ケースでは、画像情報認証システムを搭載する車両は、その台数が多くなるほど効果が高くなる。従って、個人データを扱う問題との兼ね合いから、公的機関の車両(警察車両)や、その地域に密着したタクシー車両や、徘徊との関連性において介護施設の車両等に搭載することで大きな公益性が期待できる。
【0016】
照合用データは、記録媒体インターフェース16を介して記憶メディアから直接データを読み込み登録するか、通信装置17を介してデータ通信により登録することが出来る。
【0017】
上記のように、認証情報処理部12が生成した認証用データが、照合画像記憶部13に登録された照合用データと一致した場合(生体認証された場合)には、通信装置17を介して、予め登録された関係者に日時や場所等の情報と共に通報する。関係者情報は関連情報記憶部15に登録される。
【0018】
以上の実施例においては、画像情報認証システムのほぼ全ての機能を車両に搭載させているが、被捜索者の照合用データを記録する照合画像記憶部13は、外部の防犯センターのような部門に設置し、データのクラウド管理を行うことも出来る。また、データ通信の高速化(1Gbps・高速光ケーブル相当)によれば、車載カメラからの画像情報は適宜、通信装置17を介して外部の防犯センターに高精細画質で送信可能であり、送信された画像情報に基づいて、防犯センターにおいて生体認証を行うことも可能である。これらの問題は、画像処理能力等のハードウエア上の問題およびデータ管理のセキュリティ的問題として扱われる事柄である。
【0019】
照合画像記憶部13に登録する照合用データの他例としては、指名手配犯・逃亡犯の照合用データや、盗難車両のナンバープレートの照合用データや、幼児・学童の照合用データ等を例示でき、この場合、関係者とは、家族・保護者等に加えて、捜査当局者も含まれることになる。
【0020】
例えば、地方・過疎地における幼児・学童の位置情報の確認は携帯用GPSに頼ることが多いが、いざ、携帯用GPSが使用不能になった場合には、定点カメラの映像から特定の人物を人海戦術で探すことになり、迅速な対応が難しくなるが、本システムを用いれば、予め照合用データが登録されていれば、常時照合が行われ、継続的に位置情報の確認保存が可能となり、関係者からの要請に応じて即座に的確な情報を提供できる。
【0021】
また、照合用データは事後登録することも可能である。データ記録部11等の記憶容量は飛躍的に増大しており、データ記録部11を車両に設置した場合であっても、相当な長時間の画像記録を保存可能となる。また、データ記録部11を防災センターに配置した場合には、事実上無限に記録できることになる。このため、照合用データを事後登録したときにおいても、事後登録照合用データを、保存された画像情報と生体認証的に高速度で比較照合し、有用な公益性の高い貴重なデータの速やかな入手を期待できる。
【符号の説明】
【0022】
10…車載制御部、11…データ記録部、12…認証情報処理部、13…照合画像記憶部、14…データ比較部、15…関連情報記憶部、16…記録媒体インターフェース、17…通信装置、A、B、C…車載カメラ。
図1