【解決手段】ドッキング装置は、携帯用情報機器に設けられた係合穴に係合可能な係合レバーと、前記係合レバーが前記係合穴に対して係合されたことを検出する装着センサとを備える。
【発明を実施するための形態】
【0007】
図1は、本開示に係る電子機器システム10の構成図であり、ドッキング装置11と携帯用情報機器12とを分離させた状態での斜視図である。
図2は、
図1に示すドッキング装置11と携帯用情報機器12とを接続した状態での一部断面側面図である。
図3は、
図1に示す携帯用情報機器12の底面16aの構成を模式的に示す底面図である。
【0008】
本開示は、携帯用情報機器12の一例であるノート型PCを冷却装置となるドッキング装置11に接続することで、携帯用情報機器12の冷却機能を補強する電子機器システム10を例示する。ドッキング装置11は、携帯用情報機器12の処理機能、電源機能及び周辺機器やネットワークに対する接続機能を拡張・補強する機能を有するものであってもよい。携帯用情報機器12はノート型PC以外であってもよく、例えばタブレット型PCやスマートフォン等であってもよい。
【0009】
先ず、電子機器システム10の全体的な構成を説明する。
【0010】
図1に示すように、携帯用情報機器12は、本体筐体16に対してディスプレイ筐体18を開閉可能に連結したクラムシェル型構造である。本体筐体16の上面にはキーボード20が設けられている。ディスプレイ筐体18の前面にはディスプレイ22が設けられている。
【0011】
図2及び
図3に示すように、本体筐体16の底面16aには、ドッキング装置11のコネクタ24と電気的に接続されるコネクタ25と、矩形の開口部26と、一対の係合穴31とが設けられている。開口部26は、シャッター部材27によって開閉可能に覆われている。シャッター部材27は、例えば両開き構造となっている。開口部26の内部には、シャッター部材27によって開閉可能に覆われた放熱側ヒートシンク29が配置されている。係合穴31は、ドッキング装置11側から突出する係合レバー30と係合可能である。
【0012】
コネクタ25は、本体筐体16の内部に収容された図示しない基板に接続されている。放熱側ヒートシンク29は、ドッキング装置11側の受熱側ヒートシンク32に当接することで携帯用情報機器12の冷却機能を拡張するものである。放熱側ヒートシンク29と受熱側ヒートシンク32とが当接して熱的に接続されることで、携帯用情報機器12内で発生した熱をドッキング装置11に伝達して外部に放熱することができる。シャッター部材27は、高温になる放熱側ヒートシンク29が携帯用情報機器12の底面16aに常時露出することを防止するものである。
【0013】
図1及び
図2に示すように、ドッキング装置11は、携帯用情報機器12の本体筐体16を載置させた状態で用いられるものである。ドッキング装置11は、合成樹脂材や金属材によって成形した装置筐体33にPC搭載部34及び操作部36を設けて構成されている。
【0014】
PC搭載部34は、携帯用情報機器12を載置することのできる大きさの上面を有した箱体である。PC搭載部34は、載置面34aと、逃げ面34bとを備える。載置面34aは、前側から後側に向かうに従って漸次高さ寸法が大きくなるように傾斜し、携帯用情報機器12の底面16aが着地する面である。逃げ面34bは、載置面34aの後側で一段低く形成されている。逃げ面34bは、携帯用情報機器12の後方下面から図示しないバッテリ等が突出している場合に、該バッテリ等を避けるための低部である。
【0015】
逃げ面34bの後部左右両端には、それぞれ支持部材35L,35Rが設けられている。支持部材35L,35Rは、携帯用情報機器12の底面16aの後端部を上下動可能に支持するクッション部材である。支持部材35L,35Rは、例えばコイルばねである弾性体39によって上昇方向に付勢されている。支持部材35L,35Rは、携帯用情報機器12の重量で押圧されている場合は弾性体39の付勢力に抗して下降し(
図2参照)、携帯用情報機器12の重量が付与されていない場合は上昇している(
図1参照)。
【0016】
操作部36は、PC搭載部34よりも大きな高さ寸法を有した直方体状部分である。操作部36は、PC搭載部34の一側方において後方側となる部位(逃げ面34bの側部)に設けてある。操作部36は、エジェクトボタン37と、図示しないキー挿入孔とを有する。エジェクトボタン37は、ドッキング装置11に接続された携帯用情報機器12を取り外す際に操作する操作ボタンである。キー挿入孔は、図示しないワイヤ式ロックキーを装着するための開口である。ロックキーをキー挿入孔に挿入してロック操作することにより、エジェクトボタン37に対する入力操作が無効となる。これにより、携帯用情報機器12のドッキング装置11からの取り外しが防止され、携帯用情報機器12の盗難防止が図られる。
【0017】
載置面34a上には、コネクタ24と、載置面34aに形成された開口部38を開閉可能に覆うシャッター部材40とが設けられている。開口部38の内部には受熱側ヒートシンク32が配置され、シャッター部材40によって開閉可能に覆われている。
【0018】
コネクタ24は、PC搭載部34の内部に収容された図示しない基板等に接続されており、載置面34a上に突出している。コネクタ24は、ドッキング装置11に設けた各種拡張機能の接続端子を構成し、携帯用情報機器12の底面16aに設けたコネクタ25に接続されるものである。コネクタ24にコネクタ25を接続することにより、ドッキング装置11と携帯用情報機器12が電気的に接続され、ドッキング装置11に設けた各種拡張機能を携帯用情報機器12から使用することが可能となる。
【0019】
コネクタ24の左右側部からは係合レバー30がそれぞれ突出し、その上部が載置面34a上に露出している。各係合レバー30は、レバーばね28によって係合穴31に対する係合方向(後方)に付勢されている。各係合レバー30の前側及び左右側の三方を囲むように平面視コの字状のガイドポスト41が突出形成されている。ガイドポスト41は、ドッキング装置11に携帯用情報機器12が接続される際、係合レバー30と共に携帯用情報機器12側の係合穴31に挿入され、装置筐体33に対して携帯用情報機器12を位置決めする位置決めピンとして機能する。さらに載置面34a上で各ガイドポスト41の側方には、エジェクト部材42がそれぞれ設けられている。エジェクト部材42は、ドッキング装置11から携帯用情報機器12を取り外す際、係合レバー30の係合穴31への係合状態が解除された後に上昇し、携帯用情報機器12の底面16aを押し上げるものである。
【0020】
次に、ドッキング装置11による携帯用情報機器12の冷却構造について具体的に説明する。
【0021】
図4は、ドッキング装置11の内部構造を模式的に示す平面図である。
図5は、ドッキング装置11と携帯用情報機器12とを接続した状態での内部構造を模式的に示す側面図である。
【0022】
図3及び
図5に示すように、携帯用情報機器12は、シャッター部材27で開閉可能に設けられた放熱側ヒートシンク29を底面16aに有する。放熱側ヒートシンク29は、銅やアルミニウム等の熱伝導率の高い金属材料によって形成された矩形板状部材である。放熱側ヒートシンク29は、本体筐体16内に設けられた発熱体43と熱的に接続されている。発熱体43は、例えばCPU(Central Processing Unit)やGPU(Graphics Processing Unit)等の電子部品である。発熱体43で発生した熱は放熱側ヒートシンク29に効率よく伝達される。
【0023】
図1、
図4及び
図5に示すように、ドッキング装置11は、受熱側ヒートシンク32と、ラジエータ44と、循環ポンプ46とを配管47で環状に接続して冷却水を循環させる水冷ユニット48を備える。
【0024】
受熱側ヒートシンク32は、銅やアルミニウム等の熱伝導率の高い金属材料によって形成された矩形板状部材である。受熱側ヒートシンク32は、入口用の配管47と出口用の配管47が接続され、内部の図示しないフィンが配設された冷却水流通空間に冷却水が流通する。この冷却水流通空間は、受熱側ヒートシンク32の上面を形成する薄い蓋体の内側に形成されている。フィンは、その端面が蓋体の内面に当接した状態で冷却水流通空間内に所定間隔を介して複数並列されている。このように、受熱側ヒートシンク32は、冷却水流通空間内のフィンの周囲に冷却水が流通することで、フィンと冷却水との間で熱交換を行う水冷ジャケット構造とされている。
【0025】
水冷ユニット48では、ラジエータ44で送風ファン49による送風も受けて放熱した冷却水が循環ポンプ46を介して受熱側ヒートシンク32に導入される。受熱側ヒートシンク32で放熱側ヒートシンク29側からの熱を回収した冷却水は、再びラジエータ44に導入される。これにより、受熱側ヒートシンク32は高い冷却効率で放熱側ヒートシンク29を冷却することができる。
【0026】
図4及び
図5に示すように、ドッキング装置11は、シャッター駆動機構50と、昇降機構52と、エジェクト機構54と、制御部56とを装置筐体33内に備える。
【0027】
シャッター駆動機構50は、シャッター部材27及びシャッター部材40を開閉駆動する機構部である。シャッター駆動機構50は、図示しない電動モータやこの電動モータによってシャッター部材40やシャッター開閉部材58を動作させるラックギアやリンク部材等を有する。シャッター開閉部材58は、薄板状部材である。シャッター駆動機構50は、制御部56の制御下にシャッター部材40をスライド移動させて開閉する。さらにシャッター駆動機構50は、ドッキング装置11に接続された携帯用情報機器12の底面16aの孔部16bを挿通したシャッター開閉部材58を回転駆動し、シャッター部材27も開閉させる。
【0028】
昇降機構52は、受熱側ヒートシンク32を昇降駆動する機構部である。昇降機構52は、図示しない電動モータやこの電動モータによって受熱側ヒートシンク32を昇降させるガイド部材等を有する。昇降機構52は、制御部56の制御下に受熱側ヒートシンク32を昇降させる。昇降機構52によって昇降する水冷ジャケット構造の受熱側ヒートシンク32とラジエータ44及び循環ポンプ46との間の配管47は柔軟性を持ったホース状部材で構成されている。
【0029】
エジェクト機構54は、ドッキング装置11に接続された携帯用情報機器12を取り外す際に係合レバー30及びエジェクト部材42を駆動する機構部である。
図4に示すように、エジェクト機構54は、電動モータ60と、ラックギア62と、揺動アーム64と、スライド部材66とを有する。
【0030】
電動モータ60は、その出力軸となるウォームギア60aがウォームホイール68を介してラックギア62に連結されている。ラックギア62は、装置筐体33の内面上で前後方向に移動可能に設けられ、ピニオンギアとなるウォームホイール68によって進退駆動される。
【0031】
揺動アーム64は、左右方向に延在する長尺なアーム状部材である。揺動アーム64は、略中央に設けられた揺動軸64aを中心に揺動可能である。揺動アーム64の一端側には、ラックギア62の後端部が押圧可能に設けられている。揺動アーム64は、ラックギア62が後側に移動した場合に
図4中で時計回りに揺動し、ラックギア62が前側に移動した場合に
図4中で反時計回りに揺動する。揺動アーム64の他端側には、スライド部材66が連結されている。
【0032】
スライド部材66は、揺動アーム64が揺動した際にこれに伴って前後方向に移動する。スライド部材66は、係合解除部66aと、押上部66bとを有する。係合解除部66aは、係合レバー30を解除方向に移動させる部分である。押上部66bは、図示しない傾斜面による押圧作用によってエジェクト部材42を押し上げる部分である。スライド部材66は、揺動アーム64が時計回りに揺動した際に前側に移動する。スライド部材66は、前側に移動する際、係合穴31に対して係合状態にある係合レバー30を係合解除部66aによって移動させて係合状態を解除した後、エジェクト部材42を押上部66bによって押し上げる。これにより、携帯用情報機器12の底面16aがエジェクト部材42によって押し上げられ、携帯用情報機器12が載置面34a上でポップアップする。
【0033】
制御部56は、ドッキング装置11の全体的な制御を行うと共に、水冷ユニット48、シャッター駆動機構50、昇降機構52及びエジェクト機構54を駆動制御する。制御部56は、係合レバー30によってオンオフされる装着センサ72及び携帯用情報機器12の底面16aによってオンオフされるオンセンサ73の検出信号を受けて、ドッキング装置11を待機状態から動作状態に切換制御する。本開示において待機状態とは、例えばドッキング装置11に携帯用情報機器12が接続されていない状態で、装着センサ72からの検出信号を受信可能な状態である。この待機状態では、水冷ユニット48、シャッター駆動機構50、昇降機構52及びエジェクト機構54は停止状態にある。つまり、待機状態は、ドッキング装置11が装着センサ72からの検出信号の待受状態であると言うこともできる。本開示において動作状態とは、例えばドッキング装置11に携帯用情報機器12が接続されている状態で、水冷ユニット48による冷却運転が実行されている状態である。シャッター駆動機構50、昇降機構52及びエジェクト機構54の各動作も動作状態時に実行される。つまり、動作状態は、ドッキング装置11の各機構が実際に動作している状態であると言うこともできる。さらに制御部56は、支持部材35L,35Rによってオンオフされる取外しセンサ74の検出信号を受けて、ドッキング装置11を動作状態から待機状態に切換制御する。
【0034】
制御部56は、例えばCPU等の処理装置にプログラムを実行させること、すなわちソフトウェアにより実現してもよいし、IC(Integrated Circuit)等のハードウェアにより実現してもよいし、ソフトウェア及びハードウェアを併用して実現してもよい。
【0035】
図6Aは、係合穴31に係合した状態での係合レバー30及びその周辺部を拡大した斜視図である。
図6Bは、係合穴31に係合レバー30を係合させる動作を示した斜視図である。
【0036】
図6A及び
図6Bに示すように、係合レバー30は、装置筐体33の内面に固定されたスライドベース76上で前後方向に移動可能に設けられている。係合レバー30は、レバー部30aと、ベース部30bと、検出バー30cとを有する。
【0037】
レバー部30aは、係合穴31に係合可能なフック形状である。レバー部30aの頂面30dは、係合穴31の縁部に摺接可能な傾斜形状を有する。ベース部30bは、前後方向に延びた板状部分であり、スライドベース76上で前後方向にスライド可能に支持される。ベース部30bとスライドベース76との間には、例えばコイルばねであるレバーばね28が設けられている。レバーばね28の弾性力により、ベース部30bはスライドベース76に対し、レバー部30aの係合穴31への係合方向(後方)に向かって付勢されている。検出バー30cは、ベース部30bの前後方向略中央から側方に向かって突出した部分である。
【0038】
係合レバー30の近傍には、装着センサ72が設けられている。装着センサ72は、ベース部30bの側方であって検出バー30cの後方となる位置で装置筐体33の内面に固定されている。装着センサ72は、係合レバー30の検出バー30cと当接可能に設けられた検出スイッチ72aを有する。
図6Aに示すように、係合レバー30が係合穴31に対する係合位置にある場合、検出スイッチ72aは検出バー30cによって押圧されてオン信号を発信する。
図6Bに示すように、係合レバー30がレバーばね28の付勢力に抗して係合穴31に対する係合位置から前側に移動した場合、検出スイッチ72aは検出バー30cによる押圧が解除されてオフ信号を発信する。
【0039】
図7Aは、携帯用情報機器12の重量によって支持部材35L(35R)が下降した状態を模式的に示す側面図である。
図7Bは、
図7Aに示す状態から携帯用情報器12を持ち上げたことで支持部材35L(35R)が上昇した状態を模式的に示す側面図である。
【0040】
図7A及び
図7Bに示すように、支持部材35L,35Rは、PC搭載部34の逃げ面34b上に設けられた小型箱状の収容ボックス78の上面開口から突出した状態で上下動可能である。支持部材35L,35Rは、その下縁部外周面から側方に突出したフランジ35aによって収容ボックス78からの抜け止めがなされている。支持部材35L,35Rは、収容ボックス78内に設けられた弾性体39によって上昇方向に付勢されている。支持部材35L,35Rは、携帯用情報機器12の重量が付与されていない状態では、弾性体39の付勢力によって上昇した位置にある(
図7B参照)。
【0041】
収容ボックス78の内部には、上下動する支持部材35L,35Rによってオンオフされる取外しセンサ74が設けられている。本開示の取外しセンサ74は、上下動する支持部材35L,35Rの側面で上下方向に揺動されることでオンオフ信号を発信する首振り式スイッチである。取外しセンサ74は、
図7Aに示すように支持部材35L,35Rが下降位置にある場合にオン信号を発信し、
図7Bに示すように支持部材35L,35Rが上昇位置にある場合にオフ信号を発信する。取外しセンサ74は、例えば支持部材35L,35Rの下面等で押圧される上下式スイッチであってもよい。
【0042】
次に、電子機器システム10の動作について説明する。
【0043】
先ず、ドッキング装置11に携帯用情報機器12が装着されていない状態では、シャッター部材27によって放熱側ヒートシンク29が閉じられ、シャッター部材40によって受熱側ヒートシンク32が閉じられた状態にある。このためユーザが誤って放熱側ヒートシンク29や受熱側ヒートシンク32に接触することがない。この際、ドッキング装置11は待機状態にあり、制御部56は装着センサ72及びオンセンサ73からの検出信号の待受状態にある。
【0044】
次に、待機状態にあるドッキング装置11に携帯用情報機器12を装着する際には、
図5に示すように各係合レバー30を携帯用情報機器12の係合穴31に挿入させつつ、コネクタ24とコネクタ25を接続する。これにより、コネクタ24とコネクタ25が電気的に接続される。係合レバー30が係合穴31に係合することによってドッキング装置11からの携帯用情報機器12の離脱が阻止された状態となる。さらに支持部材35L,35Rが携帯用情報機器12の底面16aで押し下げられて下降位置となり、取外しセンサ74がオン信号を発信した状態となる(
図7A参照)。
【0045】
この装着動作時、係合レバー30は、その頂面30dが係合穴31の縁部に摺接することで、レバーばね28の付勢力に抗して係合穴31に対する係合方向とは反対方向に一旦移動する(
図6B参照)。そして、頂面30dが係合穴31の縁部を乗り越えると、係合レバー30はレバーばね28の付勢力によって係合方向に移動し、係合穴31に係合する(
図6A参照)。従って、装着センサ72は、その検出スイッチ72aが係合レバー30に当接してオン信号を発信した状態から、オフ信号を発信した後、再びオン信号を発信する。なお、オンセンサ73は携帯用情報機器12の底面16aによって押圧されることで下降し、オン信号を発信する。
【0046】
制御部56は、装着センサ72から順に発せられたオフ信号、オン信号の検出信号と、オンセンサ73からのオン信号の検出信号とを受けると、ドッキング装置11を待機状態から動作状態に切り換える。オンセンサ73を省略し、ドッキング装置11を待機状態から動作状態に切り換えるための検出は、装着センサ72のみを用いてもよい。
【0047】
ドッキング装置11が動作状態に切り換えられると、制御部56の制御下に先ずシャッター駆動機構50が動作してシャッター部材27とシャッター部材40が開かれる。次に、昇降機構52が動作し、受熱側ヒートシンク32が上昇して放熱側ヒートシンク29に圧接され、両者が密着する。その後、制御部56は、循環ポンプ46及び送風ファン49を所定の回転数で駆動制御する。これにより携帯用情報機器12の発熱体43で発生した熱は、放熱側ヒートシンク29から受熱側ヒートシンク32を経由し、ラジエータ44から外部に放熱される。
【0048】
次に、携帯用情報機器12をドッキング装置11から取り外す際には、エジェクトボタン37を操作することでドッキング解除操作を行う。このドッキング解除操作は、携帯用情報機器12のキーボード20や図示しないマウス等の入力手段によるソフトウェア上での入力操作によって行われてもよい。
【0049】
ドッキング解除操作が行われると、制御部56は、エジェクト機構54を動作させて係合レバー30を係合穴31から離脱させると共に、エジェクト部材42を押し上げて携帯用情報機器12を載置面34a上でポップアップさせる。これにより、携帯用情報機器12とドッキング装置11との装着状態が解除される。
【0050】
具体的には、制御部56の制御下に電動モータ60が回転駆動される。そうすると、ウォームギア60a及びウォームホイール68を介してラックギア62が後方に向かって移動し、揺動アーム64が
図4中で時計回りに揺動する。これにより、スライド部材66が前進し、係合解除部66aによって係合レバー30の係合穴31に対する係合状態が解除される。続いて、押上部66bによってエジェクト部材42が押し上げられ、携帯用情報機器12が載置面34a上でポップアップし、ドッキング装置11との装着状態が解除される。ドッキング装置11と携帯用情報機器12の装着状態が解除されると、ラックギア62が位置検出センサ86によって検出され、電動モータ60が停止される。電動モータ60の停止後、揺動アーム64はレバーばね28又は揺動アーム64に設けられた図示しないばねの付勢力によってラックギア62を押圧移動させつつ元の位置に戻る。
【0051】
携帯用情報機器12がポップアップされた後は、ユーザが携帯用情報機器12を載置面34a上から持ち上げる。そうすると、支持部材35L,35Rが
図7Bに示すように上昇し、取外しセンサ74がオフ信号を発信する。そこで、制御部56は昇降機構52を動作させ、受熱側ヒートシンク32を下降させて放熱側ヒートシンク29から離脱させる。続いて、制御部56はシャッター駆動機構50を動作させてシャッター部材27とシャッター部材40を閉じる。これにより、ドッキング装置11からの携帯用情報機器12の取り外し動作が完全に完了するため、制御部56はドッキング装置11を再び動作状態から待機状態に切り換える。
【0052】
以上のように、本開示に係るドッキング装置11は、携帯用情報機器12に設けられた係合穴31に係合可能な係合レバー30と、係合レバー30が係合穴31に対して係合されたことを検出する装着センサ72とを備える。このため、係合レバー30が係合穴31に係合され、携帯用情報機器12がドッキング装置11に装着された状態を適切に検出できる。
【0053】
本開示では、装着センサ72による検出信号を受けて、当該ドッキング装置11を待機状態から動作状態に切り換える制御部56とを備える。このように、ドッキング装置11は、係合レバー30が係合穴31に係合されたことを検出する装着センサ72からの検出信号を受けて待機状態から動作状態に切換制御される。従って、係合レバー30が係合穴31に係合され、携帯用情報機器12がドッキング装置11に装着された後に動作状態に切り換わり、シャッター駆動機構50、昇降機構52及び水冷ユニット48等の動作が実行される。このため、係合レバー30が係合穴31に係合されない状態で動作状態に切り換わり、シャッター駆動機構50等の動作に不具合を生じることが防止される。
【0054】
本開示では、制御部56は、係合レバー30が係合穴31に対する係合方向とは反対方向に移動した際に装着センサ72から発信されるオフ信号と、係合レバー30が係合方向に移動した際に装着センサ72から発信されるオン信号とを受信した場合に、待機状態から動作状態に切換制御する。このため、係合レバー30の係合動作と装着センサ72からの検出信号とが相関し、誤検出による動作状態への切り換えが抑制される。
【0055】
本開示では、携帯用情報機器12のコネクタ25を載置面34aのコネクタ24に対して上下方向に接続するドッキング装置11を例示した。しかしながら、コネクタ24,25間の接続方向は水平方向でもよい。コネクタ24,25間を水平方向に接続する構成の場合は、図示しない電動モータやラックギア等を用いてドッキング装置11側のコネクタ25を水平移動させることが考えられる。そこで、このコネクタ25の移動制御を装着センサ72の検出信号を受けて動作状態に切り換えた後に実行するとよい。そうすると、コネクタ24,25間に位置ずれ等を生じることなく、円滑な接続が可能となる。
【0056】
本開示に係るドッキング装置11は、携帯用情報機器12の底面16aが載置される載置面34aと、載置面34aの後側で携帯用情報機器12の底面16aの後端部を上下動可能に支持する支持部材35L,35Rと、支持部材35L,35Rを上昇方向に付勢する弾性体39と、携帯用情報機器12が取り外され、携帯用情報機器12の重量によって下降位置にあった支持部材35L,35Rが携帯用情報機器12の重量から解放されたことで上昇位置に移動したことを検出する取外しセンサ74とを備える。ここで、制御部56は、支持部材35L,35Rが上昇位置に移動したことが取外しセンサ74によって検出された場合に、当該ドッキング装置11を動作状態から待機状態に切り換える。
【0057】
上記したように本開示の携帯用情報機器12はノート型PCであり、
図1及び
図7Aから明らかなように、ディスプレイ筐体18を開いた状態で重心が後寄りとなる。このため、仮に取外しセンサ74を載置面34aの前端側に配置した場合は、エジェクト部材42によって携帯用情報機器12がポップアップした後、携帯用情報機器12がユーザによって持ち上げられる前に取外しセンサ74がオフ信号を発信する誤検出を生じる可能性がある。
【0058】
これに対し、本開示では、携帯用情報機器12の底面16aの後端部を上下動可能に支持する支持部材35L,35Rの上下動位置を検出する取外しセンサ74を動作状態から待機状態への切換制御に用いている。このため、携帯用情報機器12が載置面34a上に載置された状態で、シャッター駆動機構50及び昇降機構52が動作し、この動作に不具合を生じることが防止される。
【0059】
本開示では、2つの支持部材35L,35Rにそれぞれ取外しセンサ74を設けたが、一方の支持部材35L又は支持部材35Rにのみ取外しセンサ74を設けてもよい。
【0060】
なお、本発明は、上記した開示内容に限定されるものではなく、本発明の主旨を逸脱しない範囲で自由に変更できることは勿論である。