【課題】フローティングを可能とするとともに、外部から振動を受けても、端子と相手接続部材との間に相対移動に伴う摩耗を生ずることのない回路基板用コネクタと相手接続部材との接続構造を提供する。
【解決手段】端子10は、固定ハウジング21で保持される固定側被保持部11Bと、可動ハウジングで保持される可動側被保持部12Bと、固定側被保持部11Bと可動側被保持部12Bを連結していて弾性変形可能な弾性部14とを有し、固定ハウジング21側と可動ハウジング26側で互いに協働して、コネクタ嵌合方向での弾性部14の弾性変形範囲について限界を定める規制手段22C,26C,29C,33を形成し、弾性部の弾性変形範囲内での最大弾性変形量におけるばね力が、コネクタ嵌合状態における端子10の接触部11Aと相手接続部材2との間のコネクタ挿抜方向における保持力よりも小さい。
回路基板の実装面上に配される回路基板用電気コネクタと該実装面に対して直角な方向をコネクタ嵌合方向として該回路基板用電気コネクタに嵌合接続される相手接続部材との接続構造であって、
上記回路基板用電気コネクタは、端子が一端側に回路基板へ接続のための接続部と他端側に相手接続部材の接触のための接触部とを有し、該端子を保持するハウジングが上記端子を介した回路基板への取付けのための固定ハウジングと該固定ハウジングに対して可動な可動ハウジングとを有しており、上記相手接続部材が上記可動ハウジングに嵌合される上記接続構造において、
上記端子は、固定ハウジングで保持される固定側被保持部と、可動ハウジングで保持される可動側被保持部と、固定側被保持部と可動側被保持部を連結していて弾性変形可能な弾性部とを有し、
固定ハウジング側と可動ハウジング側で互いに協働して、コネクタ嵌合方向での弾性部の弾性変形範囲について限界を定める規制手段を形成し、
弾性部の弾性変形範囲内での最大弾性変形量におけるばね力が、コネクタ嵌合状態における端子の接触部と相手接続部材との間のコネクタ挿抜方向における保持力よりも小さい、
ことを特徴とする回路基板用電気コネクタと相手接続部材との接続構造。
規制手段は、コネクタ嵌合方向での弾性部の弾性変形範囲について一方の限界を定める第一規制手段と、他方の限界を定める第二規制手段とを有していることとする請求項1に記載の回路基板用電気コネクタと相手接続部材との接続構造。
第一規制手段は、固定ハウジングあるいは該固定ハウジングに取り付けられている第一固定側部材と、可動ハウジングあるいは該可動ハウジングに取り付けられている第一可動側部材とで形成され、コネクタ抜出方向での弾性変形時に、上記固定ハウジングあるいは上記第一固定側部材と可動ハウジングあるいは上記第一可動側部材とが当接することで、コネクタ抜出方向での弾性変形範囲について一方の限界を定めていることとする請求項1に記載の回路基板用電気コネクタと相手接続部材との接続構造。
第二規制手段は、可動ハウジングあるいは該可動ハウジングに取り付けられている第二可動側部材と、固定ハウジング、該固定ハウジングに取り付けられている第二固定側部材あるいは該固定ハウジングが取り付けられている回路基板とで形成され、コネクタ嵌合方向での弾性変形時に、上記可動ハウジングあるいは該第二可動側部材と、上記固定ハウジング、上記第二固定側部材あるいは上記回路基板とが当接することで、コネクタ嵌合方向での弾性変形範囲について他方の限界を定めていることとする請求項1に記載の回路基板用電気コネクタと相手接続部材との接続構造。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、添付図面にもとづき、本発明の実施の形態について説明する。
【0019】
<第一実施形態>
図1は、本発明の第一実施形態におけるプラグ側コネクタ(以下「第一コネクタ」という)とこれに嵌合接続されるレセプタクル側コネクタ(以下「第二コネクタ」という)と、有するコネクタ組立体であり、
図1(A)は嵌合接続前、そして
図1(B)は嵌合接続後の状態をそれぞれ示す外観斜視図である。ここで、プラグ側とは雄型の端子を、レセプタクル側とはこれに嵌合する雌型の端子を有する側を示している。また、
図2は
図1の両コネクタの内部を示すように断面された斜視図であり、
図2(A)は
図1(A)に対応する嵌合接続前、
図2(B)は
図1(B)に対応する嵌合接続後の状態を示している。さらには、
図3は上記プラグ側コネクタたる第一コネクタを単体で示しており、
図3(A)は第一コネクタの一部を断面で示した外観斜視図、(B)は断面斜視図である。そして
図4は上記レセプタクル側コネクタたる第二コネクタを単体で示しており、
図4(A)は外観斜視図、
図4(B)は断面斜視図である。
【0020】
第一コネクタ1は、雄型の第一端子(第一コネクタを構成する端子そしてハウジングには「第一」を付すこととし、第二コネクタ2については「第二」を付すこととする。)10と、該第一端子10を保持する電気絶縁材製の第一ハウジング20と、該第一ハウジング20に保持される取付金具30とを有している。該第一ハウジング20は、回路基板(図示せず)に対し第一端子10を介し取り付けられる固定ハウジング21と該固定ハウジング21に対して可動な可動ハウジング26とを有している。上記第一コネクタ1は、その第一ハウジング20が回路基板に平行な面で長手方向と短手方向に延び略直方体外形をなしていて、該第一ハウジング20の長手方向に二列をなして上記第一端子10が配列されている。二列の第一端子10は、上記長手方向に対して直角な短手方向(コネクタ幅方向)で互いに対称な向きで対向している。
【0021】
固定ハウジング21は、回路基板に対し垂立し長手方向に延びる側壁22と短手方向に延びる端壁23とで周壁24を形成し、該周壁24の内方は上下に貫通していて上方から可動ハウジング26を収める中央空間24Aを形成している。上記側壁22は、長手方向にて端子配列範囲にわたり、外壁面に第一端子10の保持のための突出壁22Aが設けられ、該側壁22の内壁面は内方そして下方に向け開口された固定側凹部22Bが形成されている。該固定側凹部22Bは、後述の第一端子10の弾性部を収める収容空間の一部を形成する。上記突出壁22Aそして固定側凹部22Bについては、後に第一端子10との関連で詳述する。
【0022】
固定ハウジング21の側壁22は、上記突出壁22Aを除き、該側壁22の下面が底壁29の下面よりも上方に位置している。
図1(A)や
図3(A)に見られるように、該側壁22のコネクタ長手方向での両端部(端子配列範囲外に位置する部分)の下面は、規制部22Cをなしている。該規制部22Cは、可動ハウジング26の後述する被規制突部26Cの上方に位置し、該被規制突部26Cと当接することにより可動ハウジング26の上方(コネクタ抜出方向)へ向けた移動ひいては第一端子10の上方への弾性変位を所定範囲内に規制するようになっている。
【0023】
上記固定ハウジング21の端壁23には、取付金具30がその外面位置に設けられている。固定ハウジング21は、該取付金具30に形成された後述の取付片32が半田により回路基板へ強固に固定取付されることにより、既述した第一端子10のみならず該取付金具30を介しても回路基板(図示せず)に対して取り付けられている。
【0024】
可動ハウジング26は、後述するように第一端子10の弾性部14の弾性変形により固定ハウジング21に対して可動となっている。該可動ハウジング26は、
図2にみられるように、上記固定ハウジング21の中央空間24A内に貫入して位置する貫入部26Aと、上記中央空間24Aから上方へ突出して位置する突出部26Bとを有している。該可動ハウジング26は、上記突出部26Bから貫入部26Aに及ぶ範囲に相手接続部材、例えば相手コネクタとしての第二コネクタを受け入れる受入凹部27が上方に開口して形成されている。該受入凹部27内には、可動ハウジング26の底壁29から立ち上がる第一端子10の保持のための中央突壁29Aが設けられている。さらに、可動ハウジング26の貫入部26Aの外面には、上記固定ハウジング21の固定側凹部22Bに対向するように可動側凹部26Dが下方に開口して形成されている。該可動側凹部26Dは上記固定側凹部22Bとともに、後述の第一端子10の上記弾性部を収容する収容空間20Aを形成する。本実施形態では、可動ハウジング26の中央突壁29Aが第一端子10を保持していることとしたが、該中央突壁29Aは必須ではなく、例えば、中央突壁29Aが設けられることなく、第一端子10の後述の可動側柱部11のみが受入凹部27内で起立するようにしてもよい。
【0025】
また、可動ハウジング26は、
図3(A)によく見られるように、コネクタ長手方向での両端部(端子配列範囲外に位置する部分)の下端部からコネクタ幅方向外方へ突出する角柱状の被規制突部26Cを有している(
図1(A)をも参照)。該被規制突部26Cはコネクタ幅方向で固定ハウジング21の側壁22の範囲まで延びており、該被規制突部26Cの先端部が該側壁22の端部の平坦な下面(既述した規制部22C)の下方に位置している。
図1(A)や
図3(B)に見られるように、第一端子10の弾性部14が自由状態にあるとき、被規制突部26Cの平坦な上面は、側壁22の規制部22Cとの間に隙間をもって位置している。そして、上記弾性部14の弾性変形により可動ハウジング26が上方へ移動したとき、該被規制突部26Cが側壁22の規制部22Cに当接することにより、可動ハウジング26の移動ひいては第一端子10の上方への弾性変位が所定範囲内に留められる。換言すると、固定ハウジング21の規制部22Cおよび可動ハウジング26の被規制突部26Cは、互いに当接することで第一端子10の上方への弾性変形範囲について限界を定める第一規制手段を構成している。
【0026】
また、本実施形態では、被規制突部26Cの上面および規制部22Cは、全域が平坦面をなしており、この平坦面同士で当接するが、全域が平坦面であることは必須ではなく、例えば、被規制突部26Cの上面および規制部22Cの一方に突出部分を設けて、該突出部分で他方に当接するようになっていてもよい。
【0027】
また、可動ハウジング26は、
図3(A)によく見られるように、コネクタ長手方向での両端位置での底壁29の下面が、取付金具30の後述する規制片33の直上に位置する被規制部29Cをなしている。第一端子10の弾性部14が自由状態にあるとき、被規制部29Cは規制片33との間に隙間をもって位置している。そして、上記弾性部14の弾性変形により可動ハウジング26が下方へ移動したとき、該被規制突部29Cが規制片33に当接することにより、可動ハウジング26の移動ひいては第一端子10の下方への弾性変位が所定範囲内に留められる。また、
図3(B)に見られるように、可動ハウジング26の底壁29の下面には、コネクタ幅方向中央域で下方へ向けて突出するとともにコネクタ長手方向で端子配列範囲全域にわたって延びる下突部29Dが形成されている。
【0028】
雄端子をなす第一端子10は、
図5に見られるように、金属板の平坦面を維持したまま形状づけられている。この第一端子10は、同一形状の端子がコネクタ幅方向で左右対称となるようにして同方向で対向して対をなして配置されており、コネクタ長手方向で複数対が配列されている。
図5では、複数対の第一端子10のうち、一対のみが第一ハウジング20から抽出された状態で、これらに接続される相手コネクタとしての第二コネクタ2の一対の第二端子40とともに図示されている。対をなして図示されている二つの第一端子10は、左右対称に配置されてはいるものの同一形状であるので、以下、一方の第一端子10(
図5にて右側に位置する第一端子10)について説明する。
【0029】
第一端子10は、コネクタ幅方向で対向する相手方となる第二端子40に近接する位置で垂立し可動ハウジング26により保持される可動側柱部11と、該可動側柱部11に対し上記コネクタ幅方向で、反対側に位置して垂立する固定側柱部12と、固定側柱部12の下端から横方向に延びる接続部13と、可動側柱部11と固定側柱部12の間に位置する弾性部14とを一体に有している。
【0030】
上記可動側柱部11は、その上半部が第二コネクタ2の雌型の第二端子40と接触する接触部11Aをなし、下半部が可動ハウジング26に固定保持される可動側被保持部11Bをなしている。接触部11Aはその先端(上端)が上記第二端子40への嵌入を容易とするように面取りされており、可動側被保持部11Bは可動ハウジング26に係止するためにその側縁に係止突起11B−1が設けられている。
【0031】
上記可動側被保持部11Bは、可動ハウジング26の底壁29に形成された保持溝29Bに下方から圧入されて該保持溝29Bで保持される(
図3(B)参照)。その際、上記係止突起11B−1が該保持溝29Bの対応内面に喰い込み係止が強固になる。
【0032】
上記固定側柱部12は、その下端側の基部12Aよりも上方部分が固定側被保持部12Bとして形成されている。該固定側被保持部12Bには、固定ハウジング21に係止するための係止突起12B−1が設けられている。該固定側被保持部12Bは、固定ハウジング21の側壁22の外壁面で突出した突出壁22Aの厚み内に上下貫通して形成された保持溝22A−1に下方から圧入されて該保持溝22A−1で保持される。その際、上記係止突起12B−1が該保持溝22A−1の対応内面に喰い込み係止が強固になる。
【0033】
上記固定側柱部12の基部12Aの下端からは固定ハウジング21の下面に沿って横方向に延び固定ハウジング21外へ向け突出する接続部13が設けられている。
【0034】
上記第一端子10は、上記可動側被保持部11Bと固定側被保持部12Bとの間に位置する部分に弾性部14を有している。該弾性部14は、左方へは、上記可動側被保持部11Bの下端から横方向に延びる可動側移行部15を経て上記可動側被保持部11Bと連結され、右方へは、上記固定側被保持部12Bの下方の基部12Aから横方向に延びる固定側移行部16を経て上記固定側被保持部12Bに連結されている。
【0035】
上記弾性部14は、上記可動側移行部15と固定側移行部16とから立ち上がり、略M字状をなして屈曲されて一つの連続した帯状部をなしている。略M字状をなす該弾性部14は、可動側被保持部11Bそして固定側被保持部12Bよりも細い幅の帯状をなしており、上部に弯曲形状の二つの屈曲部14A,14Cと下部に弯曲形状の一つの屈曲部14Bを有するとともに、屈曲部14Aと屈曲部14Bを結ぶ内側直状部14Dそして屈曲部14Cと屈曲部14Bを結ぶ内側直状部14E、さらには、上記屈曲部14Aと屈曲部14Cのそれぞれから外側に延びる外側直状部14F,14Gを有し、二つの逆U字状の波形部の間に一つのU字状の波形部を位置させて全体として略M字状をなすように三つの波形部を連続した波形をなしていて弾性変形を可能としている。かくして、三つの波形部のそれぞれは、屈曲部と直状部とを有している。三つの波形部において、各直状部14D,14E,14F,14Gは、屈曲部14Aと14Cあるいは14Bから遠くになるにしたがい波形の開き幅を広くするように傾斜した拡幅部分を形成している。
【0036】
上記三つの波形部のうち、左側に位置する波形部は、外側直状部14Fから下方に延びて上下方向で屈曲部14Bよりも下方位置で下方に向け内側(
図5にて右側)に傾斜する傾斜部14Hを有しており、これに対し、右側に位置する波形部は、上記外側直状部14Gから下方に延びて下方の屈曲部14Bよりも下方位置で下方に向け内側(
図5にて左側)に傾斜する傾斜部14Iを有している。かくして、上記傾斜部14Hと傾斜部14Iとが、下方に向け内側に傾斜することで、上記下方の屈曲部14Bよりも下方の範囲で、互いの間隔を狭めている。
【0037】
弾性部14は、細い幅の帯状で弾性を得るように波形をなしているが、本実施形態では、各直状部14D,14E,14F,14Gの中央部分にかけて屈曲部14A、14Cよりも除々に端子幅(帯幅)が狭くなっていて、また、内側直状部14D,14Eの中央部分にかけて屈曲部14Bよりも除々に端子幅(帯幅)が狭くなっている。また、弾性部14は外側直状部14F,14Gの中央部分にかけて傾斜部14H、14Iよりも除々に端子幅(帯幅)が狭くなっている。なお、該弾性部14は、除々に端子幅(帯幅)が狭くなっていればよく、中央部分の位置は問わない。かくして、上記弾性部14は、屈曲部を支点として弾性撓み変形を生じやすくしている。
【0038】
本実施形態では、既述したように、第一端子10は、金属板の平坦面を維持したまま形状づけられているが、これに代えて、第一端子全体が、例えば、金属板部材を板厚方向に屈曲して形状づけられてもよい。このように第一端子を屈曲して形成した場合、可動側柱部はコネクタ幅方向に交差する板面を有し、該板面に接触部が形成される。このとき、可動ハウジングが本実施形態のように中央突壁を有している場合には、接触部は、可動側柱部の二つの板面のうちコネクタ幅方向で外方に向いた板面に形成され、相手端子としての第二端子と弾性をもって接触する。また、可動ハウジングが中央突壁を有していない場合には、接触部は、可動側柱部の二つの板面のうちいずれかの一方の板面に形成されていてもよく、また、両方の板面に形成されていてもよい。接触部が両方の板面に形成される場合、可動側柱部は該接触部の位置で第二端子の接触部によって弾性をもって挟圧されることとなる。
【0039】
取付金具30は、
図1(A)に見られるように、金属板部材を板厚方向に屈曲して作られており、上記固定ハウジング21の端壁23の外面から没して形成された保持凹部23Aで圧入保持されている。該取付金具30は、端壁23に沿って上下方向に延び保持凹部23A内で保持される被保持部31と、該被保持部31の下端のコネクタ幅方向両端位置でコネクタ長手方向外方へ向けて延びる二つの取付片32と、コネクタ幅方向中央位置で被保持部31の下端からコネクタ長手方向内方へ向けて延びる一つの規制片33とを有している(
図3(A)をも参照)。二つの取付片32は、固定ハウジング21外へ延出しており、半田により回路基板へ強固に固定取付される。規制片33は、
図3(A)によく見られるように、コネクタ長手方向内方へ向けて可動ハウジング26の範囲内に及ぶ位置にまで延びていて、規制片33の先端は可動ハウジング26の被規制部29Cの直下に位置している。後述するように、該規制片33はその先端で被規制部29Cと当接可能となっており、可動ハウジング26の所定量以上の下方への移動を規制するようになっている。換言すると、取付金具30の規制片33および可動ハウジング21の被規制部29Cは、互いに当接することで第一端子10の下方への弾性変形範囲について限界を定める第二規制手段を構成している。なお、上記規制片33は回路基板に半田固定されるようになっていてもよい。
【0040】
また、本実施形態では、被規制部29Cおよび規制片33は、全域が平坦面をなしており、この平坦面同士で当接するが、全域が平坦面であることは必須ではなく、例えば、被規制部29Cの上面および規制片33の一方に突出部分を設けて、該突出部分で他方に当接するようになっていてもよい。
【0041】
本実施形態では、既述したように、第一端子10の上下方向での弾性変形範囲は、上方での限界が第一規制手段(固定ハウジング21の規制部22Cおよび可動ハウジング26の被規制突部26C)によって定められ、下方での限界が第二規制手段(取付金具30の規制片33および可動ハウジング21の被規制部29C)によって定められている。本実施形態では、この弾性変形範囲の上下方向寸法は、該弾性変形範囲内での弾性部14のばね力が、コネクタ嵌合状態における第一端子10の接触部11Aと後述する第二コネクタ2の第二端子40の接触部44Aとの間のコネクタ挿抜方向における摩擦にもとづく保持力よりも小さくなるように設定されている。換言すると、上記弾性変形範囲内では、弾性部14の最大弾性変形量におけるばね力(以下、「最大ばね力」という)が上記保持力よりも小さくなっている。
【0042】
次に、第二コネクタ2は、
図1,2,4に見られるように、雌型の第二端子40と、該第二端子40を保持する電気絶縁材製の第二ハウジング50と、該第二ハウジング50に保持される取付金具60とを有しており、第二ハウジング50が回路基板(図示せず)に対し上記第二端子40を介して取り付けられている。該第二ハウジング50は、第一コネクタ1の第一ハウジング20における長手方向そして短手方向をそれぞれ該第二ハウジング50の長手方向そして短手方向とする略直方体外形をなしていて、該第二ハウジング50の長手方向に二列をなして上記第二端子40が配列されている。二列の第二端子40は、上記長手方向に対して直角な短手方向(コネクタ幅方向)で互いに対向している。なお、
図1及び
図2では、上記第二コネクタ2は第一コネクタ1に対する嵌合方向を向く姿勢で示されているが、第二コネクタ2単体を示す
図4では、上下方向で反転した姿勢で描かれている。
【0043】
第一コネクタ1の相手方たる第二コネクタ2の第二ハウジング50は、回路基板(図示せず)に対して取り付けられる取付ブロック部51と、該取付ブロック部51から第一コネクタ1への嵌合方向に突出する嵌合ブロック部52とを有し、ともに第一コネクタ1の長手方向そして短手方向をそれぞれ同じく長手方向そして短手方向とする略直方体外形をなしている。上記第二ハウジング50は、
図1そして
図2で上方から見て取付ブロック51の中央で、上部側に上部没入部53Aそして下部側に上部没入部53Aよりも幅狭で深い下部没入部53Bが形成されていて、該上部没入部53Aと下部没入部53Bの間の部分に、中央壁部54が形成されており、上記上部没入部53Aと下部没入部53Bの内壁に沿って延び上記中央壁部54を貫通する端子溝55が形成されている。該端子溝55には後に詳述する第二端子40が圧入保持されている。
【0044】
上記取付ブロック部51の長手方向に延びる側壁56の外面(
図4(A)参照)は、該長手方向中央部にて、短手方向に没した凹壁部56Aが形成されていて、ここに後に詳述する第二端子40の接続部42が位置しており、回路基板へのこの接続部42の半田接続そしてその接続確認を容易としている。
【0045】
上記第二ハウジング50の端壁57には、その外面位置にL型の取付金具60が設けられていて、コネクタ長手方向外方へ延出する取付片61にて半田により回路基板に強固に固定取付される。なお、該取付金具60は第二ハウジング50の回路基板への取付けに際し、必須なものではなく、上記第二端子40の回路基板への半田接続による取付強度が十分確保できるときには、該取付金具60は不要である。
【0046】
雌端子をなす第二端子40は、既述の第一端子10と対応してコネクタ嵌合接続前の状態を示す
図5に見られるように、金属帯状部材を板厚方向に屈曲して形状づけられている。この第二端子40は、第一端子10と同様に同一形状の端子がコネクタ幅方向で左右対称となるようにして同方向で対向して対をなして配置されており、コネクタ長手方向で複数対が配列されている。
図5では、複数対の第二端子40のうち、一対のみが第二ハウジング50から抽出された状態で図示されている。対をなして図示されている二つの第二端子40は、左右対称に配置されてはいるものの同一形状であるので、以下、一方の第二端子40(
図5にて右側に位置する第二端子40)について説明する。
【0047】
上記第二端子40は、
図5にて、該第二端子40の中間部の位置で上記第一端子10の板面に対し直角方向な板面をなす平帯状の被保持部41と、該被保持部41よりも上端側で該被保持部41の板面に対して直角に屈曲された接続部42と、上記被保持部41よりも下方での中間位置に断面がU字状をなす中間基部43と、該中間基部43よりもさらに下側で、フィンガ状に延びる一対の接触片44Aから成る接触部44とを有している。
【0048】
上記被保持部41は平帯状をなし両側縁には、第二ハウジング50の端子溝55の対応面に喰い込む係止突起41Aが設けられている。
【0049】
上記被支持部43は、くびれた連結部45を介して上記被保持部41と連結されており、上記被保持部41の板面を下方に延長した板面状の底面部43Aと、該底面部43Aの両側縁から該底面部の板面に対して直角をなす側面部43Bを有し、上記底面部43Aと両側の側面部43BとでU字状をなしている。
【0050】
上記接触部44は、上記中間基部43の両側の側面部43Bの下端からそれぞれ下方へ向けフィンガ状に延びる一対の接触片44Aを対向させることで形成されている。この一対の接触片44Aは下方に向けその間隔を次第に狭めて互いに近接する方向に傾斜し、下端近傍で上記間隔を最小とし、再び下端に向け広がり、この間隔が最小の部分で喉部44A−1を形成している。該喉部44A−1における両接触片44Aの間隔は既述の第一端子10の接触部11Aの板厚よりも小さく、上記喉部44A−1で該接触部11Aを挟圧して弾性接触するようになっている。
【0051】
かかる形状の第二端子40は、
図1そして
図2において第二ハウジング50の端子溝55へ上方から圧入される(第二コネクタ2を
図1,2に対して上下反転して示す
図4にあっては下方から圧入される)。上記端子溝55は、
図2(A)において、上記第二端子40が上方から圧入される関係上、上記中央壁部54には、上記第二端子40の最大外周形、すなわち、断面がU字状をなす中間基部43の外周形状に相当する内周形状の四角筒孔54Aが該中央壁部54を上下に貫通して形成されていて、上記中間基部43の通過を可能としている。一方、四角筒孔54A及び上部没入部53Aの内壁面には、上記断面がU字状の中間基部43が上記中央壁部54の上記四角筒孔54Aを通過した後に、該上部没入部53Aの内壁面に位置する平帯状の被保持部41を収める溝部55Aが該被保持部41の板厚に相当する深さの溝として形成されており、被保持部41の係止突起41Aが該被保持部41の溝部55Aへの圧入の際、この溝部55Aの内面へ喰い込んで、第二ハウジング50により保持され抜けが防止される。また、上記中央壁部54よりも下方(
図4では上方)の下部没入部53Bの内壁面には上記第二端子40を所定位置に圧入組立てされた際に上記中間基部43と接触部44とを収める溝部55Bが形成されている。上記溝部55Bは、上記中間基部43に対しては、該溝部55Bの溝底面が上記中間基部43の底面部43Aと接触しあるいは間隙を形成し、溝側面が側面部43Bに対し間隙を形成しており、また接触部44に対しては、一対の接触片44Aの弾性変形を可能とする空間を形成している。
【0052】
かかる構成の本実施形態の回路基板用電気コネクタの使用要領を、主として
図1、
図2にもとづき以下に説明する。
【0053】
第一コネクタ1と第二コネクタ2は、それぞれ対応する回路基板(
図6,7参照)へ半田接続により取り付けられる。すなわち、第一コネクタ1は、固定ハウジング21に保持されている第一端子10の接続部13と取付金具30とで半田され、第二コネクタ2は第二端子40の接続部42と取付金具60とで半田されることで、それぞれ回路基板P1,P2へ取り付けられる。
図1、
図2では、回路基板は図示が省略されているが、第一コネクタ1はその下面で回路基板P1にそして第二コネクタ2はその上面で回路基板P2に取り付けられている。なお、
図6,7に一点鎖線で示されている回路基板P1,P2は、振動を受けて撓み変形している状態が示されているが、振動を受けていない通常の状態では平坦な板面をもった板状をなしている。
【0054】
先ず、
図1(A)そして
図2(A)に見られるように、上面で回路基板に取り付けられている第二コネクタ2が、その嵌合ブロック部52を下向きとした姿勢で、上記第一コネクタ1の上方位置にもたらされる。しかる後、上記第二コネクタ2はそのままの姿勢で降下され、上記嵌合ブロック部52が第一コネクタ1の可動ハウジング26の受入凹部27へ進入し該可動ハウジング26に嵌合される(
図1(B)、
図2(B)参照)。
【0055】
第二コネクタ2が第一コネクタ1に嵌合されると、第二コネクタ2の第二端子40は対をなすフィンガ状の接触片44Aから成る接触部44が第一コネクタ1の第一端子10の接触部11Aを挟圧して所定の保持力をもって該接触部11Aと弾性接触するようになる。
【0056】
上記第二端子40の接触部44は、対をなす接触片44Aの下端近傍に喉部44A−1を有しているので、この喉部44A−1へ第一端子10の平帯状の接触部11Aが円滑に進入することで、該第一端子10の接触部11Aを弾性力をもって挟圧して該第一端子10との電気的接続がなされる。
【0057】
かくして、第一コネクタ1と第二コネクタ2とは接続され、第一コネクタ1側の回路基板と第二コネクタ2側の回路基板は、第一端子10そして第二端子40を介して導通状態となる。
【0058】
第二端子40の接触部44が第一端子10の接触部11Aを挟圧した状態(以下、「挟圧状態」という)は、コネクタ嵌合過程(途中)の段階から生じており、コネクタ嵌合過程が完了した後においてもその挟圧状態が維持されている。本実施形態では、既述したように、第一端子10の弾性部14の上下方向での弾性変形範囲内において、上記挟圧状態で生じる保持力は上記弾性部14の最大ばね力よりも大きくなっている。したがって、コネクタ嵌合過程にて、第一端子10の可動側柱部11は、該可動側柱部11の接触部11Aが第二端子20の接触部44によって上記保持力をもって挟圧されると、接触部44との接触位置(挟圧位置)を維持しつつ、すなわち接触部11Aと接触部44との摺動を生じさせることなく、第二端子40とともに下方へ移動する。該可動側柱部11の移動は弾性部14の下方への弾性変形により許容される。また、該可動側柱部11を圧入保持している可動ハウジング26も該可動側柱部11とともに下方へ移動する。
【0059】
コネクタ嵌合過程における可動ハウジング26の下方への移動は、該可動ハウジング26の被規制部29Cが取付金具30の規制片33に当接するまで行われる。この時点において、弾性部14の下方への弾性変形量は弾性変形範囲にて最大となっており、該弾性部14はこれ以上下方へ弾性変形することがない。したがって、被規制部29Cと規制片33との当接後、第二コネクタ2が上方からさらに押し込まれると、第一端子10の可動側柱部11ひいては接触部11Aは移動せずに、第二端子40の接触部44のみが下方へ移動することにより、接触部11Aと接触部44とが摺動する。コネクタ嵌合過程は、回路基板P1,P2同士間に所定寸法を確保するために配されたスペーサ(図示せず)に該回路基板P1,P2が当接した時点で完了して、その結果、コネクタ1,2同士がコネクタ嵌合状態となる。このコネクタ嵌合状態では、可動ハウジング26の被規制部29Cと取付金具30の規制片33とが当接した状態そして弾性部14が最大変形量をもって下方へ変形した状態が維持されている。また、可動ハウジング26の被規制突部26Cと固定ハウジング22の規制部との間には上下方向で隙間が形成されている(
図1(B)参照)。また、コネクタ嵌合状態において、第二コネクタ2の嵌合ブロック部52の下端は第一コネクタ1の受入凹部27の底面に当接しておらず、両者間に隙間が形成されている。
【0060】
上記第一コネクタ1の第一端子10の弾性部14は、上下方向のみならず、コネクタ長手方向そしてコネクタ幅方向においても弾性変形可能なので、コネクタ嵌合過程そしてコネクタ嵌合状態において、第二コネクタ2が正規位置あるいは正規姿勢からコネクタ長手方向、コネクタ幅方向そして上下方向で多少ずれていても、上記弾性部14でそのずれを吸収することができる。
【0061】
コネクタ嵌合状態で、コネクタ組立体がコネクタ挿抜方向(上下方向)での振動を受けると、後述するように、第一端子10の弾性部14が上下方向に弾性変形することにより上記振動に追従し、第一端子10の接触部11Aと第二端子40の接触部44とは、ほとんど摺動することなく接触状態を維持する。
【0062】
次に、コネクタ嵌合状態にあるコネクタ組立体が外部から上下方向での振動を受けたときの動作について説明する。コネクタ組立体が上下方向での振動を受けると、第一コネクタ1が実装されている回路基板P1と第二コネクタ2が実装されている回路基板P2の両方の回路基板が互いに近づくように両持ち梁状に撓む動作(以下、必要に応じて「近接動作」という。
図6参照)と、両方の回路基板が互いに離れるように両持ち梁状に撓む動作(以下、必要に応じて「離間動作」。
図7参照)とが繰り返される。このとき、各回路基板P1,P2はそれぞれ或る一定の振幅で撓み変形を繰り返す。なお、振幅は振動の大きさによって異なることもあり、また、瞬間的な振動により撓み変形が生じることもある。
【0063】
後述するように、本実施形態では、コネクタ組立体が振動を受けると、互いに接触した状態にある第一端子10の接触部11Aと第二端子40の接触部44は、1回目の近接動作にて摺動して、接触位置がコネクタ嵌合動作の完了直後(振動を受ける前)における接触位置から若干ずれるが、その後は振動が継続しても接触位置がずれることはない。そこで、以下、1回目の近接動作、1回目の離間動作、2回目の近接動作の順に説明し、2回目の離間動作以降の動作については、1回目の離間動作そして2回目の近接動作と同様であるので説明を省略する。
【0064】
[1回目の近接動作]
まず、振動が開始して、両方の回路基板が互いに近づくように撓んだ場合、すなわち第一コネクタ1が実装された回路基板P1が上方へそして第二コネクタ2が実装された回路基板P2が下方へ撓んだ場合について説明する。この場合、
図6(A),(B)に見られるように、第一コネクタ1の固定ハウジング21は回路基板P1とともに上方へ移動し、第二コネクタ2は回路基板P2とともに下方へ移動する。
【0065】
既述したように、第二端子40の接触部44と第一端子10の接触部11Aとの間における保持力は第一端子10の弾性部14のばね力よりも大きいので、第二端子40は、第一端子10の弾性部14の下方への弾性変形を伴って、第一端子10の可動側柱部11との接触位置を維持したまま該可動側柱部11とともに下方へ移動しようとする。しかし、
図6(B)に見られるように、第一コネクタ1の可動ハウジング26の被規制部29Cは取付金具30の規制片33に当接しているので、該可動ハウジング26ひいては可動側柱部11は下方への移動が規制されている。したがって、第一端子10の可動側柱部11は下方へ移動することなく固定ハウジング21とともに上方へ移動し、その一方で、第二端子40は下方へ移動する。その結果、第二端子40の接触部44が第一端子10の接触部11Aに対して摺動し、接触部11Aに対する接触部44の接触位置が振動前と比べて下方へずれる。接触部11A,44同士の摺動は、回路基板同士が最も近づいた時点で完了する。この時点においても、
図6(A)に見られるように、第一端子10の弾性部14が下方へ向けて最大限に弾性変形した状態が維持されているとともに、
図6(B)に見られるように、可動ハウジング21の被規制部29Cが取付金具30の規制片33に当接した状態が維持されている。
【0066】
[1回目の離間動作]
次に、上記1回目の近接動作に続いて両方の回路基板P1,P2が互いに離れるように撓んだ場合、すなわち回路基板P1が下方へそして回路基板P2が上方へ撓んだ場合について説明する。この場合、
図7(A),(B)に見られるように、第一コネクタ1の固定ハウジング21は回路基板P1とともに下方へ移動し、第二コネクタ2は回路基板P2とともに上方へ移動する。
【0067】
第二端子40の接触部44と第一端子10の接触部11Aとの間における保持力は第一端子10の弾性部14のばね力よりも大きいので、第二コネクタ2ひいては第二端子40が上方へ移動すると、
図7(A)に見られるように、第一端子10の弾性部14が上方へ向けて弾性変形することにより、第一端子10の可動側柱部11および可動ハウジング26は、第二端子40の上方への移動に伴って上方へ移動する。可動ハウジング26の被規制突部26Cの上面が固定ハウジング21の規制部22Cに当接する直前まで、第一端子10の接触部11Aと第二端子40の接触部44とが互いに摺動することはなく、1回目の近接動作完了時における接触位置での接触状態が維持される。そして、第一コネクタ1の可動ハウジング26は、
図7(B)に見られるように、該可動ハウジング26の被規制突部26Cの上面が固定ハウジング21の規制部22Cに当接すると、それ以上の上方への移動が規制される。また、第一端子10の弾性部14は上方へ向けて最大限に弾性変形した状態となる。
【0068】
[2回目の近接動作]
さらに、上記1回目の離間動作に続いて両方の回路基板P1,P2が互いに近づくように撓んだときには、第二端子40は、第一端子10の弾性部14の下方への弾性変形を伴って該可動側柱部11とともに下方へ移動する。この結果、弾性部14は、
図7(A)に示される上方へ最大限に弾性変形した状態から、
図6(A)に示される下方へ最大限に弾性変形した状態となる。また、接触部11Aに対する接触部44の接触位置は、1回目の近接動作の完了時点で、すでに振動前よりも下方へずれた状態となっているので、この2回目の近接動作では、接触部11A,44同士が互いに摺動することはなく、接触部11A,44同士の接触位置が維持される。
【0069】
コネクタ組立体が振動を受けている間、2回目の近接動作に続いて、さらに離間動作と近接動作とが繰り返されることとなるが、これらの動作は、既述した1回目の離間動作そして2回目の近接動作と同様であり、もはや接触部11A,44同士が互いに摺動することはなく、振動が終了するまで接触部11A,44同士の接触位置が維持される。このように、本実施形態によれば、振動中にて接触部11A,44同士の接触位置の移動がほとんどないので、接触位置での摩擦に伴う摩耗の発生を最小限に抑制することができる。
【0070】
また、本実施形態では、コネクタ組立体が振動を受けた際、近接動作、離間動作の順で回路基板の撓み変形が繰り返される場合について説明したが、これに代えて、離間動作、近接動作の順で回路基板の撓み変形が繰り返される場合においても同様であり、接触部11A,44同士は、1回目の近接動作で摺動した後、摺動することはなく、互いの接触位置が定位置に維持される。
【0071】
<第二実施形態>
第一実施形態では、第一端子10の弾性部14の弾性変形範囲について下方での限界を
定める第二規制手段は、可動ハウジング26の底壁29のコネクタ長手方向端部の下面に形成された被規制部29Cと、取付金具30の規制片33とによって構成されていたが、第二実施形態は、第二規制手段が、可動ハウジング26の底壁29の下面でコネクタ長手方向全域にわたって延びる被規制部と、回路基板の上面に形成された規制部とで構成されている点で、第一実施形態と構成が異なっている。
【0072】
本実施形態では、第一実施形態との相違点を中心に説明し、第一実施形態と同じ部分については説明を省略する。
図8は、本実施形態における第一コネクタを示す全体斜視図である。この
図8では、第一実施形態の第一コネクタ10の各部と対応する部分には、第一実施形態における符号に「100」を加えた符号を付している。
【0073】
本実施形態における第一コネクタ101は、取付金具130がコネクタ長手方向内方へ延びる規制部を有していない点で第一実施形態の第一コネクタ1と構成が異なっている。具体的には、取付金具130は、被保持部131の下端からコネクタ幅方向全域でコネクタ長手方向外方へ延びる一つの取付片132を有しており、該取付片132にて回路基板に半田固定されるようになっている。また、本実施形態の第一端子110および第一ハウジング120の形状は、第一実施形態の第一端子10および第一ハウジング20の形状と全く同じである。
【0074】
本実施形態では、第一コネクタ101が実装される回路基板(図示せず)の実装面(上面)に規制部が形成されているとともに、可動ハウジング126の底面に被規制部が形成されており、該規制部と被規制部とで第二規制手段が構成されている。具体的には、コネクタ幅方向中央域で可動ハウジング126の底壁の下面から突出してコネクタ長手方向全域にわたって延びる部分(例えば、
図3(B)に示される下突部29Dに対応する部分)が被規制部をなしている。また、回路基板の上面における上記被規制部と対面する領域が規制部をなしており、上記被規制部に当接して可動ハウジング126の下方への所定量以上の移動を規制する。本実施形態では、該被規制部はコネクタ長手方向全域にわたって延びているが、これに代えて、被規制部はコネクタ長手方向での一部の領域に形成されていてもよい。また、本実施形態では、被規制部は可動ハウジング126の底壁の下面から突出して形成されているが、これに代えて、被規制部は上記底壁から突出することなく該底壁の下面(平坦面)で形成されていてもよい。
【0075】
また、第一および第二実施形態では、第一規制手段の規制部そして被規制部をそれぞれ固定ハウジングそして可動ハウジングに形成することとしたが、これに代わる変形例として、固定ハウジングに取り付けられた部材(以下、「第一固定側部材」という)に上記規制部を形成することとしてもよく、また、可動ハウジングに取り付けられた部材(以下、「第一可動側部材」という)に上記被規制部を形成することとしてもよい。第一固定側部材そして第一可動側部材は、例えば、金具等で構成することができる。
【0076】
また、第一および第二実施形態では、第二規制手段の規制部を、固定ハウジングに取り付けられた部材(第二固定側部材)としての取付金具あるいは回路基板に形成することとしたが、これに代わる変形例として、固定ハウジングの一部に上記規制部を形成することとしてもよい。このような変形例では、例えば、可動ハウジングの直下に延びる部分を規制部として固定ハウジングに形成し、被規制部としての可動ハウジングの底面が上記規制部に上方から当接するようにすることができる。また、第一および第二実施形態では、第二規制手段の被規制部を可動ハウジングに形成することとしたが、これに代わる変形例として、可動ハウジングに取り付けられた部材(以下、「第二可動側部材」という)に上記被規制部を形成することとしてもよい。第二可動側部材は、例えば、金具等で構成することができる。
【0077】
第一および第二実施形態では、第一規制手段および第二規制手段が設けられている形態について説明したが、これに代えて、第一規制手段および第二規制手段のいずれか一方のみが設けられることとしてもよい。
【0078】
また、第一および第二実施形態では、第一コネクタおよび第二コネクタがそれぞれ実装される回路基板同士が互いに平行な状態を維持しつつ、コネクタ同士が回路基板に対して直角な方向で嵌合接続される接続形態について説明したが、本発明は、いわゆるライトアングル接続にも適用可能である。このライトアングル接続としては、例えば、回路基板同士が互いに直角な状態でコネクタ同士が嵌合接続される接続形態や、回路基板同士が互いに平行な状態を維持しつつ、コネクタ同士が回路基板に対して平行な方向で嵌合接続される接続形態などが挙げられる。