(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2017-212190(P2017-212190A)
(43)【公開日】2017年11月30日
(54)【発明の名称】回動機構及びその回動機構を備えるアダプタ
(51)【国際特許分類】
H01R 35/00 20060101AFI20171102BHJP
【FI】
H01R35/00 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2016-211461(P2016-211461)
(22)【出願日】2016年10月28日
(31)【優先権主張番号】201610360189.4
(32)【優先日】2016年5月27日
(33)【優先権主張国】CN
(71)【出願人】
【識別番号】510283557
【氏名又は名称】富泰華工業(深▲セン▼)有限公司
(71)【出願人】
【識別番号】500080546
【氏名又は名称】鴻海精密工業股▲ふん▼有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】110002262
【氏名又は名称】TRY国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】田 力維
(72)【発明者】
【氏名】劉 学慶
(72)【発明者】
【氏名】曽 潤孫
(57)【要約】
【課題】本発明は、プラグの角度が調節できる回動機構及びこの回動機構を備えるアダプタを提供することを目的とする。
【解決手段】
本発明に係る回動機構は、回動体と、位置決め部と、を備え、回動体は、位置決め部に対して回動でき、回動体には、突起部が設置されており、位置決め部は、弾性を持つ弧状係合部を含み、弧状係合部には、突起部と噛合する噛合部が設置されており、回動体の突起部は、作用力下で位置決め部の弧状係合部に沿って回動し、且つ弧状係合部を押し付けて変形させ、突起部と、弧状係合部の噛合部とが噛合している際、回動体と、位置決め部とが角度をなして位置決めされる。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
回動体と、位置決め部と、
を備える回動機構であって、
前記回動体は、前記位置決め部に対して回動でき、
前記回動体には、突起部が設置されており、前記位置決め部は、弾性を持つ弧状係合部を含み、前記弧状係合部には、前記突起部と噛合する噛合部が設置されており、前記回動体の前記突起部は、作用力下で前記位置決め部の前記弧状係合部に沿って回動し、且つ前記弧状係合部を押し付けて変形させ、前記突起部と、前記弧状係合部の噛合部とが噛合している際、前記回動体と、前記位置決め部とが角度をなして位置決めされることを特徴とする回動機構。
【請求項2】
前記突起部は、互いに交差している2つの第一傾斜面を含み、前記噛合部は、2つの第二傾斜面を含み、前記突起部が前記噛合部と噛合する際、前記突起部の前記第一傾斜面は、前記噛合部の前記第二傾斜面と接合していることを特徴とする請求項1に記載の回動機構。
【請求項3】
前記回動体は、2つの側壁を有し、各前記側壁には、回動軸がそれぞれ設置されており、前記回動軸は、前記側壁と垂直な方向に沿って延在しており、前記突起部は、前記2つの側壁中の1つの側壁に設置されていることを特徴とする請求項2に記載の回動機構。
【請求項4】
前記位置決め部は、矩形の枠体であり、前記位置決め部には、孔部が設けられており、前記孔部は、2つの壁を含み、前記弧状係合部の両端は、前記孔部の前記2つの壁とそれぞれ連接していることを特徴とする請求項1に記載の回動機構。
【請求項5】
本体と、回動機構と、一組のプラグとを備えるアダプタであって、
前記回動機構は、前記アダプタに取り付けられており、位置決め部は、前記本体に固設されており、回動体は、前記本体に回転可能に連結されており且つ前記位置決め部に対して回動でき、前記プラグは、前記回動体に取り付けられており、
前記回動体には、突起部が設置されており、前記位置決め部は、弾性を持つ弧状係合部を含み、前記弧状係合部には、前記突起部と噛合する噛合部が設置されており、前記回動体の前記突起部は、作用力下で前記位置決め部の前記弧状係合部に沿って回動し、且つ前記弧状係合部を押し付けて変形させ、前記突起部と、前記弧状係合部の噛合部とが噛合している際、前記回動体と、前記位置決め部とが角度をなして位置決めされることを特徴とすることを特徴とするアダプタ。
【請求項6】
前記突起部は、互いに交差している2つの第一傾斜面を含み、前記噛合部は、2つの第二傾斜面を含み、前記突起部が前記噛合部と噛合する際、前記突起部の前記第一傾斜面は、前記噛合部の前記第二傾斜面と接合していることを特徴とする請求項5に記載のアダプタ。
【請求項7】
前記回動体は、2つの側壁を有し、各前記側壁には、回動軸がそれぞれ設置されており、前記回動軸は、前記側壁と垂直な方向に沿って延在しており、前記突起部は、前記2つの側壁の1つに設置されていることを特徴とする請求項5に記載のアダプタ。
【請求項8】
前記本体に凹部が設けられ、前記凹部は、前記回動体を収容することに用いられ、前記凹部は、第一側壁及び第二側壁を含み、前記回動体の前記突起部が設置されていない前記回動軸は、前記凹部の前記第一側壁に回動可能に設置されており、前記回動体の前記突起部が設置されている前記回動軸は、前記凹部の前記第二側壁に回動可能に設置されており且つ前記突起部は、前記第二側壁から伸び出し、前記位置決め部は、前記凹部の前記第二側壁の前記回動体から離れている側に固設されていることを特徴とする請求項7に記載のアダプタ。
【請求項9】
前記回動体は、第三側壁を含み、前記第三側壁は、前記回動体の2つの側壁とそれぞれ連接しており、前記プラグは、折り曲げられる構造の金属プラグであり、前記プラグは、第一端及び第二端を含み、前記プラグの前記第一端は、前記第三側壁から伸び出し、前記プラグの前記第二端は、前記回動体の回動軸を通して前記回動軸から伸び出していることを特徴とする請求項5に記載のアダプタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アダプタに関し、特に回動機構及びその回動機構を備えるアダプタに関する。
【背景技術】
【0002】
市販のアダプタのプラグがアダプタの絶縁カバーから突き出しているため、外部のものと衝突して、破損する恐れがある。従来技術のアダプタのプラグは、絶縁カバーに固定されている。しかし、このようなアダプタのプラグプラグが回転できないので、利用できない場所もある。例えば、傾斜壁の上に設置されているソケットに差し込むことができない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
以上の問題に鑑み、本発明は、プラグの角度が調節できる回動機構及びこの回動機構を備えるアダプタを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0004】
以上の問題を解決するために、本発明に係る回動機構は、回動体と、位置決め部と、を備え、回動体は、位置決め部に対して回動でき、回動体には、突起部が設置されており、突起部は、弾性を持つ弧状係合部を含み、弧状係合部には、突起部と噛合する噛合部が設置されており、回動体の突起部は、作用力下で位置決め部の弧状係合部に沿って回動し、且つ弧状係合部を押し付けて変形させ、突起部と、弧状係合部の噛合部とが噛合している際、回動体と、位置決め部とが角度をなして位置決めされる。
【0005】
以上の問題を解決するために、本発明に係るアダプタは、本体と、回動機構と、一組のプラグとを備え、回動機構は、アダプタに取り付けられており、位置決め部は、本体に固設されており、回動体は、本体に回転可能に連結されており且つ位置決め部に対して回動でき、プラグは、回動体に取り付けられており、回動体には、突起部が設置されており、突起部は、弾性を持つ弧状係合部を含み、弧状係合部には、突起部と噛合する噛合部が設置されており、回動体の突起部は、作用力下で位置決め部の弧状係合部に沿って回動し、且つ弧状係合部を押し付けて変形させ、突起部と、弧状係合部の噛合部とが噛合している際、回動体と、位置決め部とが角度をなして位置決めされる。
【0006】
本発明に係る回動機構は、構造が簡単であり、アダプタを使用しない時、回動体の回動を介してアダプタのプラグをアダプタ本体に収容させることにより、アダプタのプラグがアダプタの絶縁カバーから突き出していないため、外部のものと衝突して、破損する恐れがない。一方、アダプタを使用する時に、回動体を回動してアダプタのプラグに位置決め部に対して特定の角度で固定することにより、ユーザがアダプタを特定な差し込む角度を有するソケットに差し込むことができ、且つ使用が利便である。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】
図1は、本発明の実施形態に係るアダプタの斜視図である。
【
図2】
図2は、
図1に示したアダプタの別の視角から見た斜視図である。
【
図4】
図4は、
図1に示したアダプタの別の視角から見た分解斜視図である。
【
図5】
図5は、
図1に示した回動体が回動過程における1つの状態を示す図である。
【
図6】
図6は、
図1に示した回動体が回動過程におけるもう1つの状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、図面を参照しながら本発明を更に説明する。
【0009】
図1に示すように、アダプタ1は、本体11、回動機構12及び一組のプラグ13を備える。
図2〜
図4を併せて参照すると、回動機構12は、回動体121及び位置決め部122を備える。位置決め部122は、本体11に固定されている。回動体121は、本体11に回動可能に連結されており、且つ位置決め部122に対して回動する。一組のプラグ13は、導体であり、例えば金属から製造されている。一組のプラグ13は、回動体121に取り付けられており、且つ回動体121の回動に連動されて回動する。本体11には、凹部111が設けられている。本実施形態において、凹部111は、本体11の外表面の4つのコーナーのいずれかに設けられている。プラグ13が回動体121の位置決め部122に対して回動する際、一組のプラグ13は、回動体121の回動に従って本体11の凹部111から引き出しまたは凹部111に収容される。
【0010】
図3に示すように、凹部111は、互いに対向する第一側壁1111及び第二側壁1112を含む。第一側壁1111及び第二側壁1112には、それぞれ1つのスルーホール1110が設けられている。本実施形態において、回動体121は、プラスチックなどの絶縁材料により製造された中空のカバーである。回動体121は、互いに平行な2つの側壁1212及び該2つの側壁1212の間に位置しており、且つ該2つの側壁1212の一端とそれぞれ連接している第三側壁1213を有する。各側壁1212には、当該側壁1212と垂直な方向に沿って回動体121の外部に向けて突起している1つの回動軸1214が設置されている。2つの回動軸1214中の1つ回動軸1214には、側壁1212から離れる方向に向けて突起した突起部1211が設置されている。もう一つの回動軸1214には、突起部1211が設置されていない。突起部1211における回動軸1214から離れている端部には、互いに交差している2つの第一傾斜面12111を含む。本実施形態において、突起部1211の2つの第一傾斜面12111は鈍角をなす。回動体121の突起部1211が設置されていない回動軸1214は、第一側壁1111のスルーホール1110を介して凹部111の第一側壁1111に回動可能に設置されている。突起部1211が設置されている回動軸1214は、第二側壁1112のスルーホール1110を介して凹部111の第二側壁1112に回動可能に設置されている。突起部1211は、第二側壁1112のスルーホール1110から伸び出している。
【0011】
本実施形態において、位置決め部122は、本体11の内部の中空体に固設されている。
図4に示すように、位置決め部122は、一組の連接部品1113を介して凹部111の第二側壁1112における回動体121から離れている側に固設されている。具体的には、2つの連接部品1113は、第二側壁1112のスルーホール1110の両側に設置されており、各連接部品1113には、U文字型凹部1114が設けられている。位置決め部122の両端は、2つの連接部品1113の2つのU文字型凹部1114にそれぞれ固設されている。位置決め部122は、矩形の枠体であり、枠体には、弾性である弧状係合部1221と、該弧状係合部1221と連接している孔部1223とが設置されている。弧状係合部1221は、回動体121の突起部1211と当接している。
図3に示すように、具体的に、弧状係合部1221における回動体121と近接している一側には、複数の突起部1211と噛合するための噛合部1222が設置されている。各噛合部1222は、突起部1211の第一傾斜面12111と噛合するための2つの第二傾斜面12221を含む。孔部1223は、2つの壁12231を含み、弧状係合部1221の両端は、孔部1223の2つの壁12231とそれぞれ連接している。
【0012】
回動体121に作用力を施して回動軸1214を回して回動させる際、突起部1211は、弧状係合部1221に接触して押し付けて弧状係合部1221を変形させる。従って、突起部1211が、弧状係合部1221に沿って回動する。突起部1211が、弧状係合部1221の1つの噛合部1222と噛合する際、回動体121及び該回動体121に取り付けられるプラグ13と、位置決め部122とが所定の角度によって位置決めされる。それにより、ユーザがアダプタ1をソケット(図に示せず)に差し込むことが容易となる。本実施形態において、プラグ13と、位置決め部122とがなす角をより安定的に形成するために、プラグ13が位置決め部122と噛合する時、突起部1211の第一傾斜面12111と、噛合部1222の第二傾斜面12221と接触している部分の面積を増大させる。例えば、突起部1211が位置決め部122と噛合する際、突起部1211の第一傾斜面12111に噛合部1222の第二傾斜面12221と接合させて、プラグ13と位置決め部122とがなす角の安定性を向上させる。本実施形態において、位置決め部122は、一体成型される弾性片であり、位置決め部122の弧状係合部1221の弧度は、180度であり、弧状係合部1221の噛合部1222の数量は、3つである。
【0013】
図4を参照すると、本実施形態において、プラグ13は、L文字型の折り曲げられる構造の金属片である。プラグ13は、第一端131及び第二端132を含む。プラグ13の第一端131は、回動体121の第三側壁1213を通過して第三側壁1213から伸び出してソケット(図に示せず)に差し込む。プラグ13の第二端132は、回動体121の回動軸1214を通過して回動軸1214から伸び出してアダプタ1の内部の導電端末(図に示せず)に接続する。
【0014】
図5及び
図6に示すように、本実施形態において、本体11には、開口部112が設けられている。開口部112は、凹部111と連通して凹部111と共同にL文字型を呈す。プラグ13は、アダプタ1の凹部111に収容される時、ユーザが開口部112を通じて作用力を施してプラグ13を回動させる。
【符号の説明】
【0015】
1 アダプタ
11 本体
12 回動機構
13 プラグ
111 凹部
1110 スルーホール
1111 第一側壁
1112 第二側壁
1113 連接部品
1114 U文字型凹部
112 開口部
121回動体
1211 突起部
12111 第一傾斜面
1213 第三側壁
1214 回動軸
122 位置決め部
1221 弧状係合部
1222 噛合部
12221 第二傾斜面
1223 孔部
12231 壁
131 第一端
132 第二端