特開2017-212221(P2017-212221A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 三菱自動車工業株式会社の特許一覧
<>
  • 特開2017212221-バッテリーパック 図000003
  • 特開2017212221-バッテリーパック 図000004
  • 特開2017212221-バッテリーパック 図000005
  • 特開2017212221-バッテリーパック 図000006
  • 特開2017212221-バッテリーパック 図000007
  • 特開2017212221-バッテリーパック 図000008
  • 特開2017212221-バッテリーパック 図000009
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2017-212221(P2017-212221A)
(43)【公開日】2017年11月30日
(54)【発明の名称】バッテリーパック
(51)【国際特許分類】
   H01M 10/48 20060101AFI20171102BHJP
   H01M 10/42 20060101ALI20171102BHJP
   H02J 7/00 20060101ALI20171102BHJP
【FI】
   H01M10/48 P
   H01M10/42 P
   H02J7/00 S
   H02J7/00 Y
【審査請求】有
【請求項の数】5
【出願形態】OL
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2017-153071(P2017-153071)
(22)【出願日】2017年8月8日
(62)【分割の表示】特願2013-218193(P2013-218193)の分割
【原出願日】2013年10月21日
(71)【出願人】
【識別番号】000006286
【氏名又は名称】三菱自動車工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100092978
【弁理士】
【氏名又は名称】真田 有
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 亨一
【テーマコード(参考)】
5G503
5H030
【Fターム(参考)】
5G503AA01
5G503BA03
5G503BB01
5G503CA01
5G503CA08
5G503EA08
5G503FA14
5H030AA01
5H030AA06
5H030AS06
5H030AS08
5H030FF22
5H030FF42
5H030FF43
5H030FF44
(57)【要約】
【課題】バッテリーパックに関し、簡素な構成で保守性及び整備性を向上させる。
【解決手段】複数の二次電池1Dをケースの内部に収容するバッテリーパック1において、複数の二次電池1Dの状態を管理するバッテリー管理装置2を設ける。バッテリー管理装置2に接続され、二次電池1Dに関する情報をバッテリー管理装置2に伝達する情報伝達回路7,8,9を設ける。情報伝達回路7,8,9から分岐して形成され、ケースの外表面まで延びた診断回路11,12,13を設ける。情報伝達回路7,8,9として、二次電池1Dの充放電に係る高電圧回路5とバッテリー管理装置2との間に、高電圧回路5からの漏電を検出する漏電検出回路8を設ける。診断回路11,12,13として、漏電検出回路8から分岐形成された第二診断回路12を設ける。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の二次電池をケースの内部に収容するバッテリーパックにおいて、
前記複数の二次電池の状態を管理するバッテリー管理装置と、
前記バッテリー管理装置に接続され、前記二次電池に関する情報を前記バッテリー管理装置に伝達する情報伝達回路と、
前記情報伝達回路から分岐して形成され、前記ケースの外表面まで延びた診断回路と、
前記情報伝達回路として、前記二次電池の充放電に係る高電圧回路と前記バッテリー管理装置との間に設けられ、前記高電圧回路からの漏電を検出する漏電検出回路と、
前記診断回路として、前記漏電検出回路から分岐形成された第二診断回路と、
を備えたことを特徴とする、バッテリーパック。
【請求項2】
前記漏電検出回路が、前記高電圧回路上に介装されるコンタクタよりも前記二次電池側に接続された第一漏電検出回路を有する
ことを特徴とする、請求項1記載のバッテリーパック。
【請求項3】
前記漏電検出回路が、前記高電圧回路上に介装されるコンタクタよりも前記バッテリーパックの外部側に接続された第二漏電検出回路を有する
ことを特徴とする、請求項1又は2記載のバッテリーパック。
【請求項4】
前記二次電池の充放電に係る電流値を検出する電流センサーを備えるとともに、
前記情報伝達回路として、前記電流センサーと前記バッテリー管理装置との間を接続する電流値検出回路を有し、
前記診断回路として、前記電流値検出回路から分岐形成された第三診断回路を有する
ことを特徴とする、請求項1〜3の何れか1項に記載のバッテリーパック。
【請求項5】
個々の前記二次電池の状態を監視するセル監視装置を備えるとともに、
前記情報伝達回路として、前記バッテリー管理装置と前記セル監視装置との間を接続する通信回路を有し、
前記診断回路として、前記通信回路から分岐形成された第一診断回路を有する
ことを特徴とする、請求項1〜4の何れか1項に記載のバッテリーパック。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の二次電池をケースの内部に収容するバッテリーパックに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、電気自動車やハイブリッド自動車で使用される走行用のバッテリーパックの内部には、複数のバッテリーモジュールが搭載されている。バッテリーモジュールとは、複数の電池セル(単電池)を互いに接続してなる組電池である。多数の電池セルをバッテリーモジュール単位で管理することで、バッテリーパック全体の総合的な出力電圧を高めつつ、電池セルの適切な配置密度や放熱性を確保している。
【0003】
各々のバッテリーモジュールには、個々の電池セルの温度や電圧を取得,管理,監視,A/D変換のすべてもしくは一部を制御,処理するための電子制御装置として、セル監視装置(CMU,Cell Monitoring Unit)が設置される。例えば、個々の電池セルの充放電特性に由来する電圧のばらつきは、セル監視装置によってバッテリーモジュール単位で均等化される。
【0004】
一方、上記セル監視装置よりも上位の電子制御装置として、全てのバッテリーモジュールを統括管理するバッテリー管理装置(BMU,Battery Management Unit)が併設される。バッテリー管理装置では、それぞれのセル監視装置で管理される電池セルの情報に基づき、駆動用バッテリー全体の充電状態(SOC,State of charge)や劣化状態(SOH,State of Health)が管理される。このように、各々の電子制御装置での制御内容や機能を分化することで、演算負荷を軽減している。
【0005】
ところで、セル監視装置で取得された情報は、その上位階層に位置するバッテリー管理装置に集約され、車載データ通信網を介して車両側の各種電子制御装置へと伝達される。多くの場合、バッテリー管理装置を通さなければ、セル監視装置で取得された情報を直接的に読み出すことができない。そのため、バッテリー管理装置に故障が発生すると、個々の電池セルの状態を把握することが困難となる。
【0006】
このような課題に対し、バッテリーパック内の電池セルから直接的に情報を取得するためのコネクターを設けることが検討されている。例えば、バッテリーパックの外表面のうち、電池セルの正極端子及び負極端子の直上方となる位置に、プローブが差し込まれる外部接続用のコネクターを予め設けておくことが考えられる。このような工夫により、バッテリー管理装置を通さずに電池セルの情報を取得できるようになる(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2011-169870号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、上記のような従来の手法では、バッテリーパック内に収容される全ての電池セルに対して、外部接続用のコネクターを用意しなければならないため、電池セルの情報を取得するための作業が繁雑となるという課題がある。また、バッテリーパック内の電池セルの総数が多いほど、コネクターの数も増大し、バッテリーパックの構造が複雑化するとともにコスト高を招く。
【0009】
また、従来の手法では、バッテリー管理装置が故障しているのか否かを正しく判断することが難しいという課題がある。例えば、バッテリー管理装置からの信号が何も検出されなければ、そのバッテリー管理装置が故障したものとみなすことができる。一方、バッテリー管理装置から正常でない信号が検出された場合、そのバッテリー管理装置が故障しているのか、それとも下位階層に位置するセル監視装置や電池セルが故障したのかを判別することが困難となる。
【0010】
本件の目的の一つは、上記のような課題に鑑み創案されたものであって、複数の二次電池をケースの内部に収容するバッテリーパックに関し、簡素な構成で保守性及び整備性を向上させることである。なお、この目的に限らず、後述する発明を実施するための形態に示す各構成により導かれる作用効果であって、従来の技術によっては得られない作用効果を奏することも、本件の他の目的として位置づけることができる。
【課題を解決するための手段】
【0011】
(1)開示のバッテリーパックは、複数の二次電池をケースの内部に収容するバッテリーパックにおいて、前記複数の二次電池の状態を管理するバッテリー管理装置と、前記バッテリー管理装置に接続され、前記二次電池に関する情報を前記バッテリー管理装置に伝達する情報伝達回路と、前記情報伝達回路から分岐して形成され、前記ケースの外表面まで延びた診断回路とを備える。また、前記情報伝達回路として、前記二次電池の充放電に係る高電圧回路と前記バッテリー管理装置との間に設けられ、前記高電圧回路からの漏電を検出する漏電検出回路を備える。さらに、前記診断回路として、前記漏電検出回路から分岐形成された第二診断回路を備える。
【0012】
前記バッテリー管理装置(例えば、BMU,Battery Management Unit)は、前記複数の二次電池を統括管理する電子制御装置であり、前記バッテリーパック全体の充電状態(SOC,State of charge)や劣化状態(SOH,State of Health)を管理するものであることが好ましい。
なお、前記バッテリーパックの外表面に端子が設けられたものにあっては、前記診断回路を前記端子に接続してもよい。また、外表面に端子が設けられていないバッテリーパックの場合は、前記診断回路を前記外表面よりも外側に単に延長させればよく、あるいはその先端側に何らかの端子(コネクター)を接続してもよい。
【0013】
なお、前記高電圧回路からの漏電の有無は、前記バッテリーパック内における低電圧回路のグラウンドと前記漏電検出回路との間の漏電抵抗値(又は漏電電流値)を計測することで確認することができる。あるいは、前記バッテリーパックの金属部分と前記漏電検出回路との間の漏電抵抗値(又は漏電電流値)を計測することで確認することができる。
【0014】
(2)前記漏電検出回路が、前記高電圧回路上に介装されるコンタクタよりも前記二次電池側に接続された第一漏電検出回路を有することが好ましい。つまり、前記第一漏電検出回路を、前記コンタクタよりも前記バッテリーパックの内部側に接続してもよい。
【0015】
(3)あるいは、前記漏電検出回路が、前記高電圧回路上に介装されるコンタクタよりも前記バッテリーパックの外部側に接続された第二漏電検出回路を有することが好ましい。つまり、前記第二漏電検出回路を、前記コンタクタよりも前記バッテリーパックの外部側に接続してもよい。
【0016】
(4)前記二次電池の充放電に係る電流値を検出する電流センサーを備えることが好ましい。この場合、前記情報伝達回路として、前記電流センサーと前記バッテリー管理装置との間を接続する電流値検出回路を有し、前記診断回路として、前記電流値検出回路から分岐形成された第三診断回路を有することが好ましい。
【0017】
(5)また、個々の前記二次電池の状態を監視するセル監視装置を備えることが好ましい。この場合、前記情報伝達回路として、前記バッテリー管理装置と前記セル監視装置との間を接続する通信回路を有し、前記診断回路として、前記通信回路から分岐形成された第一診断回路を有することが好ましい。
【0018】
前記セル監視装置(例えば、CMU,Cell Monitoring Unit)は、個々の前記二次電池の状態を管理,監視,A/D変換するものであることが好ましく、前記二次電池又は複数の前記二次電池を互いに接続してなる組電池(電池モジュール)を個別に監視する電子制御装置であることが好ましい。例えば、前記二次電池又は前記組電池の温度や電圧を、前記組電池毎に取得,管理,監視,A/D変換するものであることが好ましい。
【発明の効果】
【0019】
開示のバッテリーパックでは、二次電池の性能に関する情報をバッテリー管理装置に伝達する情報伝達回路から診断回路が分岐形成され、ケース外表面まで延びている。また、情報伝達回路としては、高電圧回路からの漏電を検出する漏電検出回路が設けられ、診断回路としては、漏電検出回路から分岐形成された第二診断回路が設けられる。これにより、バッテリー管理装置に仲介させることなく、診断回路を介して二次電池の情報を読み取ることができる。したがって、バッテリー管理装置の故障時であっても、バッテリーパック内の二次電池の状態を診断することができ、バッテリーパックの保守性,整備性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】一実施形態に係るバッテリーパックの構成を例示する斜視図である。
図2図1のバッテリーパック内の回路構成を例示する電気回路図である。
図3図2中の電源回路を例示する電気回路図である。
図4図2中の通信回路を例示する電気回路図である。
図5図2中の漏電検出回路を例示する電気回路図である。
図6図2中の電流値検出回路を例示する電気回路図である。
図7】変形例に係る回路構成を例示する電気回路図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
図面を参照して、実施形態としての車両用のバッテリーパックについて説明する。なお、以下に示す実施形態はあくまでも例示に過ぎず、以下の実施形態で明示しない種々の変形や技術の適用を排除する意図はない。本実施形態の各構成は、それらの趣旨を逸脱しない範囲で種々変形して実施することができるとともに、必要に応じて取捨選択することができ、あるいは適宜組み合わせることが可能である。
【0022】
[1.バッテリーパック]
バッテリーパック1は、バッテリーカバー1Aとバッテリーケース1Bとを組み合わせてなる箱状の容器(ケース)内に、複数のバッテリーモジュール1Cを収納した車両用の蓄電装置である。図1の斜視図は、バッテリーパック1の蓋部材であるバッテリーカバー1Aが取り外された状態を示す。本実施形態のバッテリーパック1は、車両の走行や車載エンジンの駆動に係る回転電機(電動機,電動発電機等)の電源として車両に搭載される。
【0023】
バッテリーケース1Bの内部は、仕切り板で升目状に区画され、それぞれの区画内にバッテリーモジュール1Cが収納される。また、バッテリーケース1B上には、ケース内の温度や湿度を調節するためのパック空調装置や、バッテリー管理装置2(BMU,Battery Management Unit)が収納される。バッテリー管理装置2は、バッテリーパック1に含まれる全てのバッテリーモジュール1C及びパック空調装置を統括管理する電子制御装置であり、例えば個々のバッテリーモジュール1Cの状態を管理,監視する機能や、制御信号のA/D変換(アナログ/ディジタル変換)機能を有する。
【0024】
バッテリーカバー1A及びバッテリーケース1Bは、例えば強化樹脂や補強用金属プレート等で形成され、任意の締結具を用いて互いに固定される。このとき、バッテリーカバー1Aの下端辺とバッテリーケース1Bの上端辺との間には図示しないシール材が介装され、バッテリーパック1の内部の気密性,水密性が確保される。
【0025】
バッテリーケース1Bの底面及び側面には、バッテリーパック1を車両に取り付けるための複数のバッテリーフレーム1Eが固定される。バッテリーフレーム1Eは、例えば金属製の補強部材を格子状に接合したものであり、バッテリーパック1を車両に取り付けたときに車両前後方向,車幅方向に延在するように設けられる。バッテリーフレーム1Eの両端部は、車両側(例えば、車両のサイドメンバーやクロスメンバー等)に対して任意の締結具を用いて固定される。
【0026】
バッテリーモジュール1Cは、複数のセル1D(単電池)を互いに接続してなる組電池である。これらのセル1Dは、バッテリーモジュール1Cの設計電圧や設計容量等に応じて、直列接続や並列接続を組み合わせて接続される。また、それぞれのバッテリーモジュール1Cの内部には、そのバッテリーモジュール1Cに含まれる個々のセル1Dの温度や電圧を取得,管理するための電子制御装置として、セル監視装置3(CMU,Cell Monitoring Unit)が設けられる。セル監視装置3は、車載ネットワークを介してバッテリー管理装置2と通信可能(制御可能)に設けられる。
【0027】
バッテリーパック1内の電気回路は、低電圧系回路と高電圧系回路とに分類される。低電圧系回路は、電子制御装置やパック空調装置を作動させるための回路であって、例えば最高電圧(標準電圧)が12[V]程度の回路である。一方、高電圧系回路は、車両に搭載される走行用モーターの駆動に使用される回路(すなわち、バッテリーパック1の充放電に係る回路)であって、例えば電圧が200[V]以上の回路である。これらの低電圧系回路及び高電圧系回路は、バッテリーパック1内で電気的に分離されるとともに、それぞれの回路を構成する導線も別設される。
【0028】
バッテリーケース1Bの側面には、低電圧系回路のコネクター18と、高電圧系のコネクター19とが設けられる。低電圧系回路のコネクター18は、例えばバッテリー管理装置2やセル監視装置3の電源線や接地線,通信線を接続するための端子である。一方、高電圧系回路のコネクター19は、例えばバッテリーパック1の充放電に係る電力線を接続するための端子である。
【0029】
これらのコネクター18,19におけるバッテリーパック1の外部側には、上記の接地線,信号線,電力線などに対応する多数のソケット,ピンが設けられる。また、バッテリーパック1の内部側には、これらのコネクター18,19とバッテリー管理装置2,各バッテリーモジュール1C,セル監視装置3,パック空調装置等との間を接続する、図示しないワイヤーハーネスが配設される。
【0030】
以下、バッテリーパック1の外表面にコネクター18,19が固定されているものとして、バッテリーパック1の回路を説明するが、これらのコネクター18,19は、バッテリーパック1の側面に固定されていなくてもよく、バッテリーパック1から独立して別設されていてもよい。例えば、上記のワイヤーハーネスをバッテリーケース1Bの外表面よりも外側まで延長させて、その先端側に何らかの端子(コネクター18,19)を設けてもよい。
【0031】
[2.回路構成]
図2は、バッテリーパック1の内部の回路構成を例示する電気回路図である。ここでは、バッテリーパック1内に収納される複数のバッテリーモジュール1Cのうち、三個のバッテリーモジュール1Cのみを図示する。
【0032】
バッテリー管理装置2とセル監視装置3との間は、車載ネットワーク用の通信回路7で接続される。この通信回路7は、例えば二本の信号線(ツイストペア)の電圧差を符号として、ディジタル信号の送受信を行うCAN(Controller Area Network)通信網である。通信回路7上には、複数のセル監視装置3がバッテリー管理装置2に対して並列に接続され、バス型のネットワークトポロジーを形成している。なお、バッテリー管理装置2は、通信回路7とは別の車載ネットワーク通信回路を介して、車両側の各種電子制御装置〔例えば、EV-ECU(車両統合制御ユニット)やモーターECU等〕と通信可能に接続される。
【0033】
高電圧系のコネクター19に接続される高電圧回路5には、複数のバッテリーモジュール1Cが直列に接続される。以下、高電圧回路5のうち、コネクター19からバッテリーモジュール1Cの負極までの間を接続する回路のことをマイナス側回路5Aとよび、コネクター19からバッテリーモジュール1Cの正極までの間を接続する回路のことをプラス側回路5Bと呼ぶ。
【0034】
マイナス側回路5Aには、ホール型の電流センサー4が介装される。また、電流センサー4とバッテリー管理装置2との間は、電流値検出回路9で接続される。電流センサー4で検出された電流値に関する情報は、電流値検出回路9を介してバッテリー管理装置2に伝達される。また、マイナス側回路5A及びプラス側回路5Bのそれぞれには、高電圧回路5の断接状態を切り換えるコンタクタ6が介装される。コンタクタ6はノーマルオープンタイプのリレー装置であり、車両側からの通電電圧が入力されているときに接続状態となり、通電電圧が入力されていないときに切断状態となる。
【0035】
マイナス側回路5A上におけるコンタクタ6の位置は、図2に示すように、電流センサー4よりもコネクター19に近い位置とされる。また、マイナス側回路5A上におけるコンタクタ6を挟んだ両側には、マイナス側回路5Aから分岐形成された漏電検出回路8が接続される。以下、電流センサー4とコンタクタ6との間から分岐した一方の漏電検出回路8を、第一漏電検出線8Aと呼ぶ。また、コンタクタ6とコネクター19との間から分岐した他方の漏電検出回路8を、第二漏電検出線8Bと呼ぶ。第一漏電検出線8A及び第二漏電検出線8Bは、ともにバッテリー管理装置2に接続される。
【0036】
[2−1.電源回路]
図3は、バッテリー管理装置2及びセル監視装置3の電源回路を例示する電気回路図である。この図中では、コネクター18に設けられる複数のソケットのうち、電源回路に関係するソケット31〜34を示している。
【0037】
第一給電ソケット31は、車両の低圧電源回路(例えば12[V]バッテリーの回路)に接続されて、バッテリー管理装置2及びセル監視装置3の両方に対して電力を供給するソケットである。第一給電ソケット31とバッテリー管理装置2及びセル監視装置3との間は、第一電源線10で接続される。第一電源線10は、その中途でBMU側電源線10AとCMU側電源線10Bとに分岐形成され、バッテリー管理装置2とセル監視装置3との両方に対して動作電流を供給する。
【0038】
グラウンドソケット33は、バッテリー管理装置2の接地ライン2Aに接続されて、グラウンド電位を与えるソケットである。同様に、グラウンドソケット34は、セル監視装置3の接地ライン3Aに接続されて、グラウンド電位を与える。
【0039】
第二給電ソケット32は、セル監視装置3のみを作動させるための動作電流を供給するソケットである。第二給電ソケット32とセル監視装置3との間は、予備電源線15で接続される。予備電源線15は、その中途で第二電源線15Aとリレー駆動線15Bとに分岐形成される。第二電源線15Aは、セル監視装置3の給電ラインに接続される導線であり、セル監視装置3のみに電力を供給する。
【0040】
第二電源線15Aには回りこみ防止用ダイオード20が備えられている。これにより、第二電源線15Aにおける電流の逆流や、第二電源線15A側からリレー駆動線15B側への電流の回り込みが防止される。一方、リレー駆動線15Bは、セル監視装置3の接地ライン3Aに接続される。さらに、リレー駆動線15B及びCMU側電源線10Bのそれぞれには、CMU側電源線10Bの断接状態を切り換えるリレー14が介装される。
【0041】
リレー14は、第二給電ソケット32からの給電がないときにはCMU側電源線10Bを接続し、第二給電ソケット32からの給電時にCMU側電源線10Bを遮断する、ノーマルクローズタイプの遮断装置である。例えば、第二給電ソケット32に外部電源が接続されると、第一給電ソケット31からの電力供給の有無に関わらず、CMU側電源線10Bが遮断される。これにより、バッテリー管理装置2の電力源とセル監視装置3の電力源とが分離されることになり、第二給電ソケット32からの電力によりセル監視装置3の独立起動が可能となる。このとき、第一給電ソケット31からの給電がなければ、バッテリー管理装置2が起動しないため、セル監視装置3のみが単独で起動する。
【0042】
[2−2.通信回路]
図4は、バッテリー管理装置2及びセル監視装置3の通信回路7を例示する電気回路図(ネットワーク図)である。図中のソケット35〜38はそれぞれ、コネクター18に設けられる複数のソケットのうち、バッテリー管理装置2での通信に使用されるものを示している。なお、本実施形態のソケット35,36は、バッテリー管理装置2と車両側の電子制御装置との通信に係る接続ポートであり、バッテリー管理装置2とセル監視装置3との間の通信回路7からは独立して設けられる。
【0043】
通信回路7は、例えば第一通信線7A(CAN_H)及び第二通信線7B(CAN_L)を互いに巻き付けてツイストペアとしたラインバス構造を持つ。このラインバスに接続されるバッテリー管理装置2及び複数のセル監視装置3は、それぞれが第一通信線7Aと第二通信線7Bとの双方に対して接続される。バッテリー管理装置2及び複数のセル監視装置3は、予め設定された優先順位に従って、あるいは任意の順序で互いに通信可能とされる。ラインバスの両端部には終端抵抗7C,7Dが設けられ、回路内での反射電圧が抑制される。なお、図4では、一方の終端抵抗7Cがバッテリー管理装置2に内蔵されたものを例示する。
【0044】
また、この通信回路7では、各セル監視装置3から送信される信号をバッテリーパック1の外部で受信するための第一診断回路11が分岐形成され、バッテリーケース1Bの外表面(バッテリーパック1の外表面)まで延設される。第一診断回路11には、第一通信線7Aから分岐形成された第一予備通信線11Aと、第二通信線7Bから分岐形成された第二予備通信線11Bとが設けられる。図中のソケット38は、第一予備通信線11Aが接続される端子であり、ソケット37は、第二予備通信線11Bが接続される端子である。これらのソケット37,38に外部通信装置を接続することで、バッテリー管理装置2の非作動時であっても、各セル監視装置3から伝達される信号を傍受することが可能となる。
【0045】
[2−3.漏電検出回路]
図5は、バッテリーパック1の漏電検出回路8を例示する電気回路図である。図中のソケット39,40はそれぞれ、コネクター18に設けられる複数のソケットのうち、漏電検出に係るものを示している。前述の通り、第一漏電検出線8Aは、コンタクタ6よりもバッテリーモジュール1C側(内部側)のマイナス側回路5Aから分岐形成される。また、第二漏電検出線8Bは、コンタクタ6よりもコネクター19側(外部側)のマイナス側回路5Aから分岐形成される。第一漏電検出線8A及び第二漏電検出線8Bは、バッテリー管理装置2に接続される。
【0046】
バッテリー管理装置2は、第一漏電検出線8A及び第二漏電検出線8Bのそれぞれについて、バッテリーパック1の低電圧回路におけるグラウンド(例えば、グラウンドソケット33,34等)との間の漏電抵抗値(又は漏電電流値)を計測することによって、漏電の有無を診断する。あるいは、バッテリーパック1の金属部分(例えば、バッテリーフレーム1E)や、車体の金属部分との間の漏電抵抗値(又は漏電電流値)を計測することによって、漏電の有無を診断する。
【0047】
低電圧回路と高電圧回路とが絶縁されている通常の状態では、これらの絶縁抵抗値が非常に大きな値(例えば、数百[kΩ]以上)となる。一方、低電圧回路と高電圧回路との間の絶縁状態が低下すると、絶縁抵抗値が減少する。したがって、絶縁抵抗値が例えば所定値以下であることを以て、漏電している(漏電の可能性がある)と診断することができる。
【0048】
また、この漏電検出回路8では、バッテリーパック1の外部で漏電の有無を確認するための第二診断回路12が分岐形成されバッテリーケース1Bの外表面(バッテリーパック1の外表面)まで延設される。図中のソケット39は、第一漏電検出線8Aから分岐形成された第一予備漏電検出線12Aが接続される端子であり、ソケット40は、第二漏電検出線8Bから分岐形成された第二予備漏電検出線12Bが接続される端子である。これらのソケット39,40とバッテリーパック1の低電圧回路におけるグラウンド(あるいは、バッテリーパック1の金属部分)との間の漏電抵抗値を測定することで、バッテリー管理装置2の非作動時であっても、漏電の有無を診断することが可能となる。
【0049】
なお、第一予備漏電検出線12Aは、コンタクタ6よりも内部側のマイナス側回路5Aから分岐形成されたものであることから、コンタクタ6の断接状態に左右されることなく、漏電状態の診断に使用することができる。一方、第二予備漏電検出線12Bは、コンタクタ6よりも外部側のマイナス側回路5Aから分岐形成されたものであることから、コンタクタ6の接続時(回路閉鎖時)における漏電状態の診断に使用することができる。
【0050】
[2−4.電流値検出回路]
図6は、バッテリーパック1の電流値検出回路9を例示する電気回路図である。図中のソケット41〜44はそれぞれ、コネクター18に設けられる複数のソケットのうち、電流値検出に係るものを示している。電流センサー4とバッテリー管理装置2との間には、センサー電源線9A,接地ライン9B,第一センサー線9C,第二センサー線9Dが設けられる。
【0051】
センサー電源線9Aは電流センサー4の駆動電圧を与える導線であり、接地ライン9Bはグラウンド電位を与える導線である。また、第一センサー線9C,第二センサー線9Dは、ともに高電圧回路5を流れる電流値に応じた大きさの電圧信号を出力する導線であるが、それぞれが異なるオーダーの電流値範囲に対応するように設計されている。バッテリー管理装置2は、センサー電源線9A及び接地ライン9Bの電圧を基準として、第一センサー線9C,第二センサー線9Dのそれぞれから伝達される電圧信号に基づき、高電圧回路5の電流値を取得する。
【0052】
また、この電流値検出回路9では、電流センサー4で検出された情報をバッテリーパック1の外部で取得するための第三診断回路13が分岐形成されバッテリーケース1Bの外表面(バッテリーパック1の外表面)まで延設される。第三診断回路13には、センサー電源線9Aから分岐形成された予備センサー電源線13A,接地ライン9Bから分岐形成された予備接地ライン13B,第一センサー線9C及び第二センサー線9Dのそれぞれから分岐形成された第一予備センサー線13C及び第二予備センサー線13Dが設けられる。
【0053】
図中のソケット41〜44はそれぞれ、予備センサー電源線13A,予備接地ライン13B,第一予備センサー線13C,第二予備センサー線13Dに接続される端子である。これらのソケット41〜44と外部電子制御装置とを接続することで、バッテリー管理装置2の非作動時や故障時であっても、電流センサー4から伝達される信号を読み取ることが可能となる。
【0054】
[3.作用,効果]
(1)上記のバッテリーパック1には、複数のバッテリーモジュール1C及びセル1Dの状態を管理するバッテリー管理装置2と、これに接続される情報伝達回路(通信回路7,漏電検出回路8,電流値検出回路9など)とが設けられる。また、この情報伝達回路から診断回路(第一診断回路11,第二診断回路12,第三診断回路13など)が分岐形成されて、バッテリーケース1Bの外表面に設けられる低電圧系のコネクター18に接続される。
【0055】
このような回路構成により、情報伝達回路上の情報をバッテリーパック1の外部から診断回路を介して取得することができる。この診断回路は、情報伝達回路から分岐して形成されたものであるため、バッテリー管理装置2の作動状態や故障状態に左右されることなく、正しい情報を取得することができる。つまり、バッテリー管理装置2の非作動時,故障時であっても、バッテリーパック1内のバッテリーモジュール1C及びセル1Dの状態を診断することができ、バッテリーパック1の保守性,整備性を向上させることができる。
【0056】
また、バッテリー管理装置2に伝達される情報をバッテリーパック1の外部で受信できることから、バッテリー管理装置2自体の故障を客観的に診断することが可能となる。これにより、例えばバッテリー管理装置2が故障しているのか、それともセル監視装置3,バッテリーモジュール1C,セル1Dが故障しているのかを判別することが容易となり、バッテリーパック1の保守性,整備性を向上させることができる。
【0057】
(2)上記のバッテリーパック1では、図4に示すように、バッテリー管理装置2とセル監視装置3との間を接続する通信回路7から第一診断回路11が分岐形成される。これにより、電子制御装置間の通信に使用される少数の通信線に対応する通信線を追加するだけで、全てのセル監視装置3から出力される情報を読み取ることができる。
したがって、バッテリーパック1の構造が複雑化することがなく、コストを削減することができる。また、セル監視装置3で管理される全ての情報をバッテリーパック1の外部で受信できることから、個々のセル1Dの温度や電圧を正しく診断することができ、バッテリーパック1の保守性,整備性を向上させることができる。
【0058】
(3)上記のバッテリーパック1では、図3に示すように、セル監視装置3のみに電力を供給する第二電源線15Aが設けられる。また、第一電源線10には、第二電源線15Aからの給電時にCMU側電源線10Bを遮断するリレー14が介装される。このような回路構造により、バッテリー管理装置2の電力源とセル監視装置3の電力源とを分離することができ、セル監視装置3のみをバッテリー管理装置2から独立して起動させることができる。
【0059】
なお、バッテリー管理装置2の電力源とセル監視装置3の電力源とを分離することができない回路構造の場合、故障したバッテリー管理装置2から意味のない情報が出力されたままとなり、セル監視装置3からの情報を取り出すことができないことが考えられる。一方、上記のバッテリーパック1では、バッテリー管理装置2を休止させつつセル監視装置3を起動させることができる。したがって、バッテリー管理装置2による通信回路7への干渉を防止して正しい情報を読み取ることができ、バッテリーパック1の保守性,整備性を向上させることができる。
【0060】
(4)上記のバッテリーパック1には、図5に示すように、漏電検出回路8から分岐形成された第二診断回路12が設けられる。このような回路構成により、バッテリー管理装置2の非作動時であっても、第二診断回路12を介して高電圧系と低電圧系との間の絶縁の度合いを診断することができ、バッテリーパック1の漏電を検出することができる。したがって、バッテリーパック1の保守性,整備性を向上させることができる。
【0061】
(5)特に、上記のバッテリーパック1には、コンタクタ6よりも内部側に位置する第一漏電検出線8Aから分岐形成された第一予備漏電検出線12Aが設けられる。この第一予備漏電検出線12Aを用いて絶縁の度合いを診断することで、バッテリーパック1が車両から取り外された状態(コンタクタ6が切断された状態)であっても、バッテリーパック1の内部漏電の有無を診断することができる。したがって、バッテリーパック1の保守性,整備性を向上させることができる。
【0062】
(6)一方、上記のバッテリーパック1には、コンタクタ6よりも外部側に位置する第二漏電検出線8Bから分岐形成された第二予備漏電検出線12Bも設けられる。この第二予備漏電検出線12Bを用いて絶縁の度合いを診断することで、車両に搭載された状態(実装状態)でのバッテリーパック1の内部漏電を精度よく診断することができる。したがって、バッテリーパック1の保守性,整備性を向上させることができる。
【0063】
(7)上記のバッテリーパック1では、図6に示すように、電流センサー4とバッテリー管理装置2との間の電流値検出回路9から第三診断回路13が分岐形成される。このような回路構成により、バッテリー管理装置2の非作動時であっても、第三診断回路13を介して電流センサー4での検出情報を直接的に取得することができる。したがって、バッテリーパック1の保守性,整備性を向上させることができる。
【0064】
[4.変形例]
上述した実施形態に関わらず、それらの趣旨を逸脱しない範囲で種々変形して実施することができる。本実施形態の各構成は、必要に応じて取捨選択することができ、あるいは適宜組み合わせてもよい。
【0065】
図3に例示した電源回路は、リレー14を用いてバッテリー管理装置2の電力源とセル監視装置3の電力源とを分離しているが、リレー14の代わりにダイオード16を用いてもよい。例えば、図7に示すように、上述の実施形態における第二給電ソケット32とCMU側電源線10Bとの間を予備電源線17で接続する。また、CMU側電源線10B上において、予備電源線17との接続点よりもBMU側電源線10A側の任意の位置に、ダイオード16を介装する。ダイオード16は、第一給電ソケット31側からセル監視装置3側への給電を許容し、逆方向の電流を遮断するように設けられる。
【0066】
このような回路構成によれば、第二給電ソケット32からの給電でバッテリー管理装置2が起動することを防止することができる。したがって、上述の実施形態よりも簡素な回路構成で、セル監視装置3のみの独立起動を実現することができる。
また、上述の実施形態では車両用のバッテリーパック1を例示したが、上記のバッテリーパック1の適用対象は車両(電気自動車やハイブリッド自動車)のみに限定されない。例えば、バッテリー管理装置2を内蔵したバッテリーパック1を搭載する電動装置や電動設備,電子機器,コンピュータ等への適用が可能である。
【符号の説明】
【0067】
1 バッテリーパック
1A バッテリーカバー
1B バッテリーケース
1C バッテリーモジュール
1D セル(二次電池)
2 バッテリー管理装置(BMU)
3 セル監視装置(CMU)
4 電流センサー
5 高電圧回路
6 コンタクタ
7 通信回路(情報伝達回路)
8 漏電検出回路(情報伝達回路)
9 電流値検出回路(情報伝達回路)
10 第一電源線
11 第一診断回路(診断回路)
12 第二診断回路(診断回路)
13 第三診断回路(診断回路)
14 リレー(遮断装置)
15 予備電源線
15A 第二電源線
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7