【解決手段】半導体装置1は、p型の半導体基板3とn型のエピタキシャル層4とを含む。エピタキシャル層4には、n型のドレイン領域10およびn型のソース領域8が形成されている。ドレイン領域10の直下のエピタキシャル層4には、n型のドレインバッファ領域11が形成されている。ドレイン領域10とドレインバッファ領域11との間のエピタキシャル層4には、ドレイン領域10に対向する対向部62と、対向部62からソース領域8に向けて引き出された引き出し部63とを有するn型のウェル領域61が形成されている。ドレイン領域10上には、ドレインメタル31が形成されている。そして、ウェル領域61の引き出し部63は、その周縁が、平面視においてドレインメタル31の周縁よりも外側まで引き出されている。
前記ドレインメタルは、前記ドレイン領域上に形成された第1ドレインメタルと、前記第1ドレインメタル上に形成され、その周縁が、前記第1ドレインメタルの周縁よりも外側まで引き出された第2ドレインメタルとを含む、請求項1または2に記載の半導体装置。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下では、本発明の実施形態を、添付図面を参照して詳細に説明する。
<第1実施形態>
図1は、本発明の第1実施形態に係る半導体装置1を示す平面図である。
図2は、
図1に示される半導体装置1を示す平面図であって、エピタキシャル層4上の構成を取り除いた図である。
図3は、
図1に示されるIII−III線に沿う縦断面図である。
図4は、
図1に示されるIV-IV線に沿う縦断面図である。
【0017】
半導体装置1は、ドレイン・ソース間電圧V
DSが、たとえば500V以上1500V以下のLDMIS(laterally diffused metal insulator semiconductor)が形成されるLDMIS領域2を含む半導体装置である。半導体装置1は、p型(第1導電型)の半導体基板3と、半導体基板3上に形成されたn型(第2導電型)の半導体層の一例としてのエピタキシャル層4とを含む。半導体基板3は、たとえばp型不純物濃度が比較的低い値に設定された高抵抗シリコン基板である。
【0018】
半導体基板3のp型不純物濃度は、たとえば1.0×10
13cm
−3以上1.0×10
14cm
−3以下である。エピタキシャル層4のn型不純物濃度は、たとえば1.0×10
15cm
−3以上1.0×10
16cm
−3以下である。エピタキシャル層4の厚さは、たとえば、1μm以上10μm以下である。エピタキシャル層4の表面領域には、p型のボディ領域5が形成されている。
【0019】
ボディ領域5は、本実施形態では、平面視において、互いに平行な一対の帯状の直線状部分6a,6bと、一対の直線状部分6a,6bの両端にそれぞれ連なる一対の帯状の曲線状部分7a,7bとを有する長円環状に形成されている。この環状のボディ領域5によって、LDMIS領域2と他の領域とが区画されている。ボディ領域5の具体的な構成については、後述する。ボディ領域5の表面領域には、n型のソース領域8とp型のボディコンタクト領域9とが互いに隣接して形成されている。
【0020】
ソース領域8は、ボディ領域5の内周縁から間隔を空けて、ボディ領域5の表面領域に複数(本実施形態では2つ)形成されている。ソース領域8は、ボディ領域5の各直線状部分6a,6bに直線状に一つずつ形成されている。ソース領域8は、エピタキシャル層4のn型不純物濃度よりも高いn型不純物濃度を有している。ソース領域8のn型不純物濃度は、たとえば1.0×10
19cm
−3以上1.0×10
20cm
−3以下である。
【0021】
ボディコンタクト領域9は、平面視においてボディ領域5に沿う長円環状に形成されている。ボディコンタクト領域9は、ボディ領域5の各直線状部分6a,6bでは、ソース領域8よりもボディ領域5の外周側に配置されている。ボディコンタクト領域9は、ボディ領域5のp型不純物濃度よりも高いp型不純物濃度を有している。ボディコンタクト領域9のp型不純物濃度は、たとえば1.0×10
19cm
−3以上1.0×10
20cm
−3以下である。エピタキシャル層4の表面領域におけるボディ領域5に取り囲まれる領域の中央部には、ボディ領域5から間隔を空けてn型のドレイン領域10が形成されている。
【0022】
ドレイン領域10は、ボディ領域5の一対の直線状部分6a,6bの対向方向中央部において、当該直線状部分6a,6bに沿う平面視直線状(本実施形態では平面視長円状)に設けられている。これにより、ソース領域8とドレイン領域10とがエピタキシャル層4の表面領域に間隔を空けて形成された構成とされている。ドレイン領域10は、ソース領域8のn型不純物濃度と略同一のn型不純物濃度を有している。ドレイン領域10の直下のエピタキシャル層4には、n型のドレインバッファ領域11が形成されている。
【0023】
ドレインバッファ領域11は、半導体基板3とエピタキシャル層4との境界を横切るように半導体基板3内およびエピタキシャル層4内に形成されており、半導体基板3との間でpn接合を形成している。ドレインバッファ領域11が半導体基板3との間でpn接合部を形成することによって、半導体装置1の耐圧が高められている。ドレインバッファ領域11は、ドレイン領域10に沿うようにボディ領域5から間隔を空けて平面視直線状(本実施形態では平面視長円状)に形成されており、その周縁がドレイン領域10の周縁よりも外側(ソース領域8側)まで引き出されている。
【0024】
ドレインバッファ領域11の上部は、エピタキシャル層4の厚さ方向にドレイン領域10の底部全域に対向している。ドレインバッファ領域11は、エピタキシャル層4のn型不純物濃度よりも高くドレイン領域10のn型不純物濃度よりも低いn型不純物濃度を有している。ドレインバッファ領域11のn型不純物濃度は、たとえば1.0×10
18cm
−3以上1.0×10
19cm
−3以下である。
【0025】
エピタキシャル層4の表面には、ゲート絶縁膜12が形成されている。ゲート絶縁膜12は、ソース領域8とドレイン領域10との間でボディ領域5に接するように平面視環状に形成されている。ゲート絶縁膜12は、ソース領域8のドレイン領域10側の周縁およびボディコンタクト領域9のドレイン領域10側の周縁からボディ領域5の内周縁を横切るように形成されている。ゲート絶縁膜12は、窒化膜(SiN膜)、シリコン酸化膜(SiO
2膜)または窒化膜およびシリコン酸化膜の積層膜からなっていてもよい。本実施形態では、ゲート絶縁膜12は、シリコン酸化膜である。
【0026】
エピタキシャル層4の表面には、さらにLOCOS膜13が形成されている。LOCOS膜13は、平面視においてエピタキシャル層4の表面におけるソース領域8およびドレイン領域10間の領域を被覆するように環状に形成されている。LOCOS膜13の外周縁は、ゲート絶縁膜12と一体を成しており、LOCOS膜13の内周縁は、ドレイン領域10を取り囲んでいる。LOCOS膜13の外周縁は、ボディ領域5の内周縁よりもドレイン領域10側に位置している。
【0027】
LOCOS膜13の内周縁から外周縁までの領域がドリフト領域14であり、このドリフト領域14の距離Dは、たとえば80μm以上200μm以下(本実施形態では、120μm程度)である。LOCOS膜13は、ゲート絶縁膜12の厚さよりも大きい厚さを有している。ゲート絶縁膜12の厚さは、たとえば300Å以上1000Å以下(本実施形態では、500Å程度)であり、LOCOS膜13の厚さは、ゲート絶縁膜12の厚さの10倍以上、たとえば5000Å以上15000Å以下(本実施形態では、8000Å程度)である。
【0028】
エピタキシャル層4におけるLOCOS膜13と接する部分には、p型のリサーフ層15が形成されている。リサーフ層15は、LOCOS膜13に沿う環状に形成されており、エピタキシャル層4との間でpn接合を形成している。リサーフ層15は、半導体基板3のp型不純物濃度よりも高いp型不純物濃度を有している。リサーフ層15のp型不純物濃度は、たとえば1.0×10
15cm
−3以上1.0×10
16cm
−3以下である。
【0029】
ゲート絶縁膜12上には、ゲート電極16が形成されている。ゲート電極16は、ソース領域8とドレイン領域10との間でゲート絶縁膜12を介してボディ領域5に対向している。ゲート電極16は、ゲート絶縁膜12上からLOCOS膜13の外周縁上に連続して延び、LOCOS膜13の外周縁を被覆する被覆部17を有している。ゲート電極16は、たとえば不純物が添加されたポリシリコンからなる。
【0030】
LOCOS膜13上には、電気的に浮遊状態とされた複数個(本実施形態では、6個)のフィールドプレート18が間隔を空けて配置されている。つまり、複数個のフィールドプレート18は、ソース領域8、ドレイン領域10およびゲート電極16のいずれからも電気的に絶縁されている。複数個のフィールドプレート18は、エピタキシャル層4における電界の乱れを抑制するために設けられている。複数個のフィールドプレート18は、相対的に長い周囲長を有するフィールドプレート18が、相対的に短い周囲長を有するフィールドプレート18を取り囲むように配置されている。複数個のフィールドプレート18は、ゲート電極16と同一材料および同一厚さで形成されている。
【0031】
エピタキシャル層4上には、LOCOS膜13、ゲート電極16およびフィールドプレート18を被覆するように複数の層間絶縁膜が形成されている。複数の層間絶縁膜には、第1層間絶縁膜21、第2層間絶縁膜22および第3層間絶縁膜23が含まれる。第1層間絶縁膜21、第2層間絶縁膜22および第3層間絶縁膜23は、たとえば酸化シリコン(SiO
2)または窒化シリコン(SiN)の単層構造からなる。第3層間絶縁膜23上には、たとえば窒化シリコン(SiN)からなるパッシベーション膜24と、ポリイミド樹脂からなる樹脂膜25とが形成されている。
【0032】
複数の層間絶縁膜内には、ソース領域8に電気的に接続されるソースメタル30と、ドレイン領域10に電気的に接続されるドレインメタル31と、ゲート電極16に電気的に接続されるゲートメタル32とが配置されている。
ソースメタル30は、本実施形態では、ソース領域8上に形成された第1ソースメタル33と、第1ソースメタル33上に形成された第2ソースメタル34とを含む積層構造を有している。
【0033】
第1ソースメタル33は、第1層間絶縁膜21上に配置されており、ソース領域8の全域を被覆するように直線状に形成されている。第1ソースメタル33は、第1層間絶縁膜21に形成されたコンタクト35を介してソース領域8およびボディコンタクト領域9に電気的に接続されている。
第2ソースメタル34は、第2層間絶縁膜22上に配置されている。
図1に示されるように、第2ソースメタル34は、第2層間絶縁膜22におけるドレイン領域10上の領域を露出させるように平面視凹状に形成されている。より具体的には、第2ソースメタル34は、ボディ領域5の一対の直線状部分6a,6bに沿って形成された一対の第1部分34a,34bと、ボディ領域5の他方側の曲線状部分7bに沿って形成され、一対の第1部分34a,34bを接続する接続部34cとを含む。第2ソースメタル34は、第2層間絶縁膜22に形成されたコンタクト36を介して第1ソースメタル33に電気的に接続されている。
【0034】
ドレインメタル31は、平面視においてドレイン領域10上に形成されている。本実施形態では、ドレインメタル31は、ドレイン領域10上に形成された第1ドレインメタル37と、第1ドレインメタル37上に形成された第2ドレインメタル38とを含む積層構造を有している。
第1ドレインメタル37は、第1層間絶縁膜21上に配置されており、ドレイン領域10の全域を被覆するように平面視直線状(たとえば平面視長円状)に形成されている。第1ドレインメタル37は、平面視において、その周縁が、ドレインバッファ領域11の周縁よりも外側まで引き出された構成とされている。第1ドレインメタル37は、LOCOS膜13上に配置された複数個のフィールドプレート18のうち、最内側のフィールドプレート18と第1層間絶縁膜21を挟んで対向している。つまり、第1ドレインメタル37は、第1層間絶縁膜21を介して最内側のフィールドプレート18と容量結合している。第1ドレインメタル37は、第1層間絶縁膜21に形成されたコンタクト39を介してドレイン領域10に電気的に接続されている。
【0035】
第2ドレインメタル38は、第2層間絶縁膜22上に配置されている。
図1に示されるように、第2ドレインメタル38は、第2ソースメタル34により区画される平面視凹状の部分に噛合うように平面視凸状に形成されている。より具体的には、第2ドレインメタル38は、平面視においてLDMIS領域2の外側からボディ領域5の一方側の曲線状部分7aを横切り、ドレイン領域10を覆うように直線状に形成されている。第2ソースメタル34により区画される平面視凹状の部分に配置された第2ドレインメタル38の先端部は、外側に向かう円弧状に形成されている。
【0036】
第2ドレインメタル38は、その周縁が、第1ドレインメタル37の周縁よりも外側まで引き出された構成とされており、第1ドレインメタル37の全域を被覆している。第2ドレインメタル38は、平面視においてLOCOS膜13上に形成された複数個のフィールドプレート18の内の幾つかと対向している。本実施形態では、第2ドレインメタル38は、平面視において最内側から数えて3個のフィールドプレート18と対向している。第2ドレインメタル38は、第2層間絶縁膜22に形成されたコンタクト40を介してドレイン領域10に電気的に接続されている。
【0037】
ゲートメタル32は、単層構造を有しており、第1層間絶縁膜21上に配置されている。ゲートメタル32は、ゲート電極16を被覆するように当該ゲート電極16に沿って環状に形成されている。ゲートメタル32は、コンタクト41を介してゲート電極16に電気的に接続されている。
第1層間絶縁膜21上には、さらに、エピタキシャル層4における電界の乱れ等を抑制するためのフィールドメタル42が配置されている。フィールドメタル42は、ゲートメタル32の内周に沿って平面視環状に形成されている。フィールドメタル42は、LOCOS膜13上に配置された複数個のフィールドプレート18のうち、最外側のフィールドプレート18と第1層間絶縁膜21を挟んで対向している。つまり、フィールドメタル42は、第1層間絶縁膜21を介して最外側のフィールドプレート18と容量結合している。フィールドメタル42は、第2層間絶縁膜22に形成されたコンタクト43を介して第2ソースメタル34に電気的に接続されている。
【0038】
図1〜
図4を再度参照して、ボディ領域5の構成について具体的に説明する。ボディ領域5は、エピタキシャル層4とのpn接合部51aがゲート絶縁膜12に接する第1ボディ部分51と、エピタキシャル層4とのpn接合部52aがLOCOS膜13に接する第2ボディ部分52とを含む。
ボディ領域5の第1ボディ部分51は、一対の直線状部分6a,6bに沿う部分に形成されている。第1ボディ部分51において、ゲート電極16がゲート絶縁膜12を介して対向する部分には、チャネル53が形成される。したがって、第1ボディ部分51は、チャネル53の形成によりエピタキシャル層4との間で電流経路を形成する。
【0039】
一方、ボディ領域5の第2ボディ部分52は、一対の曲線状部分7a,7bに沿う部分に帯状に形成されており、かつ、第1ボディ部分51よりもドレイン領域10側に張り出した張り出し部として形成されている。第2ボディ部分52は、LOCOS膜13を挟んでゲート電極16の被覆部17と対向している。第2ボディ部分52のpn接合部52aは、ゲート絶縁膜12と、ゲート電極16におけるドレイン領域10側の端部との間に位置している。本実施形態では、第2ボディ部分52がソース領域8の存在しない部分に形成されているので、第2ボディ部分52は、エピタキシャル層4との間で電流経路を形成しない。
【0040】
ボディ領域5は、当該ボディ領域5の表面領域から底部に向かう厚さ方向に関して、異なるp型不純物濃度で形成されている。より具体的には、ボディ領域5は、厚さ方向中間部のp型不純物濃度が最も低くなるように形成されている。ボディ領域5は、表面側に形成されたp型の第1高濃度領域54と、底部側に形成され、第1高濃度領域54の不純物濃度よりも高い不純物濃度を有するp
+型の第2高濃度領域55と、第1高濃度領域54と第2高濃度領域55との間に介在し、第1高濃度領域54のp型不純物濃度よりも低いp型不純物濃度を有するp
−型の低濃度領域56を含む。
【0041】
第1高濃度領域54のp型不純物濃度は、たとえば1.0×10
17cm
−3以上1.0×10
18cm
−3以下である。第2高濃度領域55のp型不純物濃度は、たとえば1.0×10
18cm
−3以上1.0×10
19cm
−3以下である。低濃度領域56のp型不純物濃度は、たとえば1.0×10
16cm
−3以上1.0×10
17cm
−3以下である。
【0042】
第1高濃度領域54および低濃度領域56は、エピタキシャル層4との間でpn接合部を形成するように設けられている。一方、第2高濃度領域55は、ボディ領域5の厚さ方向に関して、半導体基板3とエピタキシャル層4との境界を横切るように形成されており、エピタキシャル層4の一部との間でpn接合部を形成するように設けられている。
ボディ領域5の第1ボディ部分51とボディ領域5の第2ボディ部分52とは、異なる不純物濃度で形成されている。より具体的には、第1ボディ部分51は、第1高濃度領域54、第2高濃度領域55および低濃度領域56を含む。第1ボディ部分51では、第1高濃度領域54、第2高濃度領域55および低濃度領域56が、エピタキシャル層4との間でpn接合部51aを形成している。
【0043】
一方、第2ボディ部分52は、第2高濃度領域55および低濃度領域56を含む。第2ボディ部分52では、第2高濃度領域55および低濃度領域56が、エピタキシャル層4との間でpn接合部52aを形成している。第2ボディ部分52の低濃度領域56は、第1高濃度領域54と第2高濃度領域55との間からドレイン領域10側のエピタキシャル層4の表面領域に引き出されている。第2ボディ部分52の第2高濃度領域55は、低濃度領域56の底部に接するようにその深さを維持した状態でドレイン領域10側に引き出されている。
【0044】
第2ボディ部分52のpn接合部52aは、第1ボディ部分51のpn接合部51aよりもドレイン領域10側に配置されているため、当該に第1ボディ部分51のpn接合部51aに印加される電界よりも高い電界が印加される。つまり、第2ボディ部分52によって、第1ボディ部分51のpn接合部51aにかかる電界強度が相対的に低減されている。
【0045】
したがって、ドレイン領域10およびソース領域8間に過電圧等の高電圧が印加されると、その負荷は第2ボディ部分52に集中するので、チャネル53外の第2ボディ部分52を第1ボディ部分51よりも優先的にブレークダウンする。これにより、ブレークダウンに伴って発生する高電界やホットキャリア等を第2ボディ部分52に集中させることができる。その結果、第1ボディ部分51でのブレークダウンを効果的に回避または抑制できるので、第1ボディ部分51に接するゲート絶縁膜12が破損するのを効果的に抑制できる。
【0046】
また、複数の第2ボディ部分52でブレークダウンさせることができるので、ブレークダウンによる負荷を複数の第2ボディ部分52に分散させることができる。これにより、第2ボディ部分52一つあたりの負荷を低減できるので、第1ボディ部分51でのブレークダウンの発生を効果的に回避または抑制しつつ、ブレークダウンによるゲート絶縁膜12の破損に起因する特性の変動を効果的に抑制できる。
【0047】
図1〜
図4を参照して、半導体装置1は、ドレイン領域10とドレインバッファ領域11との間のエピタキシャル層4に所定の態様で形成されたn型のウェル領域61を含むことを特徴としている。本実施形態では、このウェル領域61によって、エピタキシャル層4におけるソース領域8およびドレイン領域10間で、電界集中が発生するのを抑制しようとするものである。以下、ウェル領域61およびその周辺の構成について、より具体的に説明する。
【0048】
図1〜
図4に示されるように、ウェル領域61は、ドレイン領域10およびドレインバッファ領域11に接するように、それらの間に形成されている。つまり、ドレイン領域10、ドレインバッファ領域11およびウェル領域61は、電気的に接続されている。ウェル領域61は、LOCOS膜13と接するように形成されており、ウェル領域61とエピタキシャル層4との境界は、LOCOS膜13に接している。
【0049】
ウェル領域61は、エピタキシャル層4のn型不純物濃度よりも高くドレインバッファ領域11のn型不純物濃度よりも低いn型不純物濃度を有している。ウェル領域61のn型不純物濃度は、たとえば1.0×10
16cm
−3以上1.0×10
17cm
−3以下である。なお、ウェル領域61は、ドレイン領域10およびドレインバッファ領域11から間隔を空けて、それらの間に形成されていてもよい。この場合、ドレイン領域10、ドレインバッファ領域11およびウェル領域61は、エピタキシャル層4を介して電気的に接続される。また、ウェル領域61は、LOCOS膜13と間隔を空けて形成されていてもよい。
【0050】
ウェル領域61は、ボディ領域5から間隔を空けてドレイン領域10およびドレインバッファ領域11に沿うように平面視直線状(本実施形態では平面視長円状)に形成されており、その周縁がドレインバッファ領域11の周縁よりも外側(ソース領域8側)に引き出されている。より具体的には、ウェル領域61は、ドレイン領域10に対向する対向部62と、対向部62からソース領域8に向けて引き出された引き出し部63とを有している。
【0051】
ドレインバッファ領域11は、前述の通り、その周縁が、ドレイン領域10の周縁よりも外側まで引き出されている。ドレインバッファ領域11に対して、ウェル領域61の引き出し部63は、その周縁が、平面視においてドレインバッファ領域11の周縁よりも外側まで引き出されている。したがって、ドレインバッファ領域11は、平面視においてウェル領域61の内側に収まるように形成されており、ドレインバッファ領域11の上部の全域が、エピタキシャル層4の厚さ方向にウェル領域61の底部に対向する構成とされている。直線状のドレイン領域10の形成方向に直交する方向を横方向と定義すると、ドレイン領域10の横方向の幅W1と、ドレインバッファ領域11の横方向の幅W2と、ウェル領域61の横方向の幅W3との間には、W1<W2<W3の関係式が成立している。
【0052】
ドレインメタル31は、平面視においてウェル領域61に重なるように形成されている。そして、ウェル領域61の引き出し部63は、その周縁が、平面視においてドレインメタル31の周縁(第1ドレインメタル37の周縁および第2ドレインメタル38の周縁)よりも外側まで引き出されている。前述のように、本実施形態では、第1ドレインメタル37の周縁が、ドレインバッファ領域11の周縁よりも外側まで引き出された構成とされており、第2ドレインメタル38の周縁が、第1ドレインメタル37の周縁よりも外側まで引き出された構成とされている。したがって、ドレインバッファ領域11の横方向の幅W2と、ウェル領域61の横方向の幅W3と、第1ドレインメタル37の横方向の幅W4と、第2ドレインメタル38の横方向の幅W5との間には、W2<W4<W5<W3の関係式が成立している。
【0053】
また、ウェル領域61の引き出し部63は、平面視において複数個のフィールドプレート18の幾つか(本実施形態では、最内側から数えて3個のフィールドプレート18)と重なるように形成されている。
以下、
図5および
図6を参照しつつ、本実施形態に係る半導体装置1の効果について説明する。
図5は、
図3に対応する縦断面図であって、本発明の第1実施形態に係る半導体装置1の等電位線を示す図である。
図6は、参考例に係る半導体装置101を示す縦断面図である。参考例に係る半導体装置101は、ドレインバッファ領域11およびウェル領域61を含まない点を除いて、本実施形態に係る半導体装置1と略同様の構成を有している。
図6において、前述の
図1〜
図5に示された構成と同様の構成については、同一の参照符号を付して説明を省略する。
【0054】
図6に示されるように、参考例に係る半導体装置101では、ドレインメタル31から拡がる等電位線がエピタキシャル層4の表面付近においてドレイン領域10に向かって急激に曲げられてしまい、等電位線の間隔が狭い領域、つまり等電位線が密となる領域Fが生じる虞がある。等電位線が密となる領域Fは、他の領域に比べて電界強度が高く、局所的に電界が集中する領域である。このような局所的な電界集中は、半導体装置の耐圧低下を招く原因となるという課題がある。
【0055】
これに対して、本実施形態に係る半導体装置1は、その周縁が、ドレイン領域10の周縁よりも外側まで引き出されたドレインバッファ領域11を含み、ウェル領域61の引き出し部63の周縁が、平面視においてドレインバッファ領域11の周縁よりも外側まで引き出された構成とされている。
このようなドレインバッファ領域11によれば、
図5に示されるように、ドレインメタル31から拡がる等電位線がエピタキシャル層4の表面付近においてドレイン領域10に向かって曲げられるのを抑制できる。しかも、ドレインバッファ領域11の上方に配置されたウェル領域61の引き出し部63の周縁が、平面視においてドレインバッファ領域11の周縁よりも外側まで引き出されているため、ドレインメタル31から拡がる等電位線がエピタキシャル層4の表面付近においてドレイン領域10に向かって曲げられるのを良好に抑制できる。その結果、ドレイン領域10およびソース領域8間で生じる局所的な電界集中の発生を良好に抑制できる。
【0056】
さらに、本実施形態に係る半導体装置1では、ウェル領域61の引き出し部63の周縁が、平面視においてドレインメタル31の周縁(第1ドレインメタル37の周縁および第2ドレインメタル38の周縁)よりも外側まで引き出されている。このドレイン領域10の側方に引き出されたウェル領域61の引き出し部63によって、ドレインメタル31から拡がる等電位線がエピタキシャル層4の表面付近においてドレイン領域10に向かって曲げられるのを効果的に抑制できる。その結果、ドレイン領域10およびソース領域8間で生じる局所的な電界集中の発生を効果的に抑制できる。
【0057】
さらに、上記に加えて、本実施形態に係る半導体装置1では、ウェル領域61の引き出し部63が、平面視において複数個のフィールドプレート18の幾つかと重なっている。複数個のフィールドプレート18によれば、ドレインメタル31から拡がる等電位線がエピタキシャル層4の表面付近において乱れるのを抑制できる。つまり、複数個のフィールドプレート18によって、エピタキシャル層4における電界の乱れを抑制できる。したがって、ウェル領域61の引き出し部63を、エピタキシャル層4における電界の乱れが抑制される領域に配置することによって、ドレイン領域10およびソース領域8間で生じる局所的な電界集中の発生をより一層効果的に抑制できる。
【0058】
このように、本実施形態によれば、ドレイン領域10およびソース領域8間で生じる局所的な電界集中の発生を効果的に抑制できるから、耐圧を効果的に向上できる半導体装置1を提供できる。
なお、樹脂膜25が設けられた構成では、樹脂膜25中の陰イオンが可動イオンとなって、ソースメタル30とドレインメタル31との間からLOCOS膜13上の領域やエピタキシャル層4の表面上の領域に移動する結果、等電位線が変動し、エピタキシャル層4中の電界分布が変動することがある。本実施形態の構成によれば、平面視において、ソースメタル30とドレインメタル31との間の領域にウェル領域61の引き出し部63が配置されているので、このような可動イオンによるエピタキシャル層4中の電界分布の変動を抑制することもできる。したがって、ソースメタル30とドレインメタル31との間の領域にウェル領域61の引き出し部63が配置されている構成は、可動イオンに起因する局所的な電界集中の発生を抑制する上で有効である。
【0059】
次に、
図7を参照して、半導体装置1の耐圧について説明する。
図7は、ドリフト領域14の全面積に占めるウェル領域61の面積の割合を変化させた場合の半導体装置1の耐圧の変化を示すグラフである。なお、ドリフト領域14の全面積とは、LOCOS膜13の内周縁から外周縁までの領域の全面積でもある。
本実施形態では、ドリフト領域14の全面積に占めるウェル領域61の面積の割合を変化させた複数個の半導体装置1を試験試料として用意し、それぞれについてブレークダウン電圧BVと、静電破壊試験を実施した際の良品率Rとを測定した。
【0060】
ブレークダウン電圧BVは、半導体装置1が破壊に至る電圧であり、ソース電圧V
Sが0V、ゲート電圧V
Gが0Vとされた状態で、ドレイン電圧V
Dを0Vから半導体装置1が破壊に至る電圧まで増加させることによって測定されている。
静電破壊試験は、本実施形態では、HBM(Human Body Model:人体モデル)試験であり、この試験によって、試験試料とされた半導体装置1に帯電した人体が接触した場合における当該半導体装置1の静電破壊耐量が測定されている。良品率Rとは、試験試料とされたすべての半導体装置1に対して、所定値以上の静電破壊耐量が得られた半導体装置1の個数の割合を示している。なお、半導体装置1の静電破壊耐量は、本実施形態では、ソース・ドレイン間に+2000V程度の電圧を複数回印加し、ソース・ドレイン間に−2000V程度の電圧を複数回印加することによって測定されている。
【0061】
図7において、横軸は、ドリフト領域14の全面積に占めるウェル領域61の面積の割合(%)であり、左側縦軸は、半導体装置1の耐圧を表すソース・ドレイン間のブレークダウン電圧BV(V)であり、右側縦軸は、静電破壊試験を実施した際の良品率R(%)である。
図7のグラフには、曲線L1と曲線L2とが示されている。曲線L1は、ブレークダウン電圧BVの変化を示しており、曲線L2は、静電破壊試験を実施した際の良品率Rの変化を示している。
【0062】
曲線L1を参照して、ドリフト領域14の全面積に占めるウェル領域61の面積の割合が増加するにしたがって、ブレークダウン電圧BVが低下しているのが理解される。これは、ウェル領域61の面積の増加に伴って、p型ボディ領域5とエピタキシャル層4とのpn接合部から本来拡がるべき空乏層の拡がりが、当該ウェル領域61によって阻害され、その結果、ソース−ドレイン間の電界強度が増加したためと考えられる。
【0063】
一方、曲線L2を参照して、ドリフト領域14の全面積に占めるウェル領域61の面積の割合が増加するにしたがって、良品率Rが向上しているのが理解される。これは、ウェル領域61の面積の増加に伴って、ドリフト領域14の抵抗値の低下によって電流が流れ易くなる結果、過電圧に起因する過電流がエピタキシャル層4外に移動し易くなったためと考えられる。
【0064】
曲線L1および曲線L2を参照して、ドリフト領域14の全面積に占めるウェル領域61の面積の割合に対して、ブレークダウン電圧BVと良品率Rとの間には、背反の関係が存在していることが理解される。ドリフト領域14の全面積に占めるウェル領域61の面積の割合が25%以上50%以下の範囲であれば、70%以上の良品率Rを達成しつつ、900V以上1200V以下のブレークダウン電圧BVを達成できることが理解される。
【0065】
したがって、ドリフト領域14の全面積に占めるウェル領域61の面積の割合が25%以上50%以下であるという特徴をさらに具備する事によって、ブレークダウン電圧BVを向上させつつ、良品率R、つまり、静電破壊耐量を向上させることができる。
<第2実施形態>
図8は、本発明の第2実施形態に係る半導体装置71を示す縦断面図である。
図8は、前述の
図3に対応する部分の縦断面図である。第2実施形態に係る半導体装置71は、前述のドレインバッファ領域11および複数個のフィールドプレート18を有さない点を除いて、前述の第1実施形態に係る半導体装置1と略同様の構成で形成されている。
図8において、前述の第1実施形態において述べられた構成と同様の構成については、同一の参照符号を付して説明を省略する。
【0066】
図8に示されるように、ウェル領域61は、ドレイン領域10の直下のエピタキシャル層4に形成されている。ウェル領域61は、ボディ領域5から間隔を空けてドレイン領域10に沿うように平面視直線状(本実施形態では平面視長円状)に形成されており、ドレイン領域10に対向する対向部62と、対向部62からソース領域8に向けて引き出された引き出し部63とを有している。
【0067】
ウェル領域61の引き出し部63は、その周縁が、平面視においてドレインメタル31の周縁(第1ドレインメタル37の周縁および第2ドレインメタル38の周縁)よりも外側まで引き出されている。したがって、ウェル領域61の横方向の幅W3と、第1ドレインメタル37の横方向の幅W4と、第2ドレインメタル38の横方向の幅W5との間には、W4<W5<W3の関係式が成立している。
【0068】
このような構成によっても、ドレイン領域10の側方に引き出されたウェル領域61の引き出し部63によって、ドレインメタル31から拡がる等電位線がエピタキシャル層4の表面付近においてドレイン領域10に向かって曲げられるのを抑制できる。これにより、ドレイン領域10およびソース領域8間で生じる局所的な電界集中の発生を抑制できるから、耐圧を向上できる半導体装置71を提供できる。
【0069】
<第3実施形態>
図9は、本発明の第3実施形態に係る半導体装置72を示す縦断面図である。
図9は、前述の
図3に対応する部分の縦断面図である。第3実施形態に係る半導体装置72は、前述の複数個のフィールドプレート18を有さない点を除いて、前述の第1実施形態に係る半導体装置1と略同様の構成で形成されている。
図9において、前述の第1実施形態において述べられた構成と同様の構成については、同一の参照符号を付して説明を省略する。
【0070】
図9に示されるように、ウェル領域61は、前述の第1実施形態と同様、ドレイン領域10およびドレインバッファ領域11に接するように、それらの間に形成されており、ドレイン領域10に対向する対向部62と、対向部62からソース領域8に向けて引き出された引き出し部63とを有している。
ドレインバッファ領域11は、その周縁が、ドレイン領域10の周縁よりも外側まで引き出されており、ウェル領域61の引き出し部63は、その周縁が、平面視においてドレインバッファ領域11の周縁よりも外側まで引き出されている。したがって、ドレイン領域10の横方向の幅W1と、ドレインバッファ領域11の横方向の幅W2と、ウェル領域61の横方向の幅W3との間には、W1<W2<W3の関係式が成立している。
【0071】
ウェル領域61の引き出し部63は、本実施形態では、その周縁が、平面視において第1ドレインメタル37の周縁よりも外側まで引き出されている一方で、第2ドレインメタル38の周縁よりも内側に配置されている。したがって、ドレインバッファ領域11の横方向の幅W2と、ウェル領域61の横方向の幅W3と、第1ドレインメタル37の横方向の幅W4と、第2ドレインメタル38の横方向の幅W5との間には、W2<W4<W3<W5の関係式が成立している。
【0072】
このように、本実施形態に係る半導体装置72は、その周縁が、ドレイン領域10の周縁よりも外側まで引き出されたドレインバッファ領域11を含み、ウェル領域61の引き出し部63の周縁が、平面視においてドレインバッファ領域11の周縁よりも外側まで引き出された構成とされている。
このようなドレインバッファ領域11によれば、ドレインメタル31から拡がる等電位線がエピタキシャル層4の表面付近においてドレイン領域10に向かって曲げられるのを抑制できる。しかも、ドレインバッファ領域11の上方に配置されたウェル領域61の引き出し部63の周縁が、平面視においてドレインバッファ領域11の周縁よりも外側まで引き出されているため、ドレインメタル31から拡がる等電位線がエピタキシャル層4の表面付近においてドレイン領域10に向かって曲げられるのを良好に抑制できる。その結果、ドレイン領域10およびソース領域8間で生じる局所的な電界集中の発生を良好に抑制できるから、耐圧を向上できる半導体装置72を提供できる。
【0073】
むろん、本実施形態においても、ウェル領域61の引き出し部63の周縁が、平面視において第1ドレインメタル37の周縁よりも外側まで引き出された構成とされてもよい。つまり、前述の第1実施形態と同様に、ドレインバッファ領域11の横方向の幅W2と、ウェル領域61の横方向の幅W3と、第1ドレインメタル37の横方向の幅W4と、第2ドレインメタル38の横方向の幅W5との間に、W2<W4<W5<W3の関係式が成立していてもよい。
【0074】
<第4実施形態>
図10は、本発明の第4実施形態に係る半導体装置73を示す縦断面図である。
図10は、前述の
図3に対応する部分の縦断面図である。第4実施形態に係る半導体装置73は、前述のドレインバッファ領域11を有さない点を除いて、前述の第1実施形態に係る半導体装置1と略同様の構成で形成されている。
図10において、前述の第1実施形態において述べられた構成と同様の構成については、同一の参照符号を付して説明を省略する。
【0075】
図10に示されるように、ウェル領域61は、ドレイン領域10の直下のエピタキシャル層4に形成されている。ウェル領域61は、ボディ領域5から間隔を空けてドレイン領域10に沿うように平面視直線状(本実施形態では平面視長円状)に形成されており、ドレイン領域10に対向する対向部62と、対向部62からソース領域8に向けて引き出された引き出し部63とを有している。
【0076】
ウェル領域61の引き出し部63は、本実施形態では、その周縁が、平面視において第1ドレインメタル37の周縁よりも外側まで引き出されている一方で、第2ドレインメタル38の周縁よりも内側に配置されている。したがって、ウェル領域61の横方向の幅W3と、第1ドレインメタル37の横方向の幅W4と、第2ドレインメタル38の横方向の幅W5との間には、W4<W3<W5の関係式が成立している。
【0077】
ウェル領域61の引き出し部63は、平面視において複数個のフィールドプレート18の幾つか(本実施形態では、最内側から数えて3個のフィールドプレート18)と重なるように形成されている。
本実施形態に係る半導体装置73では、ウェル領域61におけるドレイン領域10の側方に引き出された引き出し部63によって、ドレインメタル31から拡がる等電位線がエピタキシャル層4の表面付近においてドレイン領域10に向かって曲げられるのを抑制できる。しかも、このウェル領域61の引き出し部63は、平面視において複数個のフィールドプレート18の幾つか(本実施形態では、3個のフィールドプレート18)と重なるように形成されている。
【0078】
複数個のフィールドプレート18によれば、ドレインメタル31から拡がる等電位線がエピタキシャル層4の表面付近において乱れるのを抑制できるから、エピタキシャル層4における電界の乱れを抑制できる。したがって、エピタキシャル層4における電界の乱れが抑制される領域に、ウェル領域61の引き出し部63を配置することによって、ドレイン領域10およびソース領域8間で生じる局所的な電界集中の発生を良好に抑制できる。その結果、耐圧を良好に向上できる半導体装置73を提供できる。
【0079】
むろん、本実施形態においても、ウェル領域61の引き出し部63の周縁が、平面視において第1ドレインメタル37の周縁よりも外側まで引き出された構成とされてもよい。つまり、前述の第1実施形態と同様に、ウェル領域61の横方向の幅W3と、第1ドレインメタル37の横方向の幅W4と、第2ドレインメタル38の横方向の幅W5との間に、W4<W5<W3の関係式が成立していてもよい。
【0080】
<第5実施形態>
図11は、本発明の第5実施形態に係る半導体装置74を示す平面図である。
図12は、
図11に示されるXII−XII線に沿う縦断面図である。
図11において、前述の第1実施形態において述べられた構成と同様の構成については、同一の参照符号を付して説明を省略する。
【0081】
図11に示されるように、本実施形態では、第2ソースメタル34が、一対の第1部分34a,34bおよび接続部34cに加えて、ボディ領域5の一方側の曲線状部分7aに沿って形成され、一対の第1部分34a,34bを接続する接続部34dを含む。その一方で、ドレインメタル31は、第2ソースメタル34により取り囲まれた領域内に配置された島状の第2ドレインメタル38を含む。第2ドレインメタル38は、平面視長円状に形成されている。
【0082】
図12に示されるように、パッシベーション膜24および樹脂膜25には、第2ドレインメタル38の上面の一部を電極パッド75として露出させるパッド開口76が形成されている。この電極パッド75に、外部からドレインメタル31に電力を供給するためのボンディングワイヤ77が接合されている。
図11および
図12を参照して、ウェル領域61の引き出し部63は、その周縁が、島状の第2ドレインメタル38の全周よりも外側まで引き出された構成とされている。
【0083】
このような構成によっても、前述の第1実施形態において述べた効果と同様の効果を奏することができる。
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は、さらに他の形態で実施することもできる。
たとえば、前述の各実施形態では、ソースメタル30が、第1ソースメタル33と、第2ソースメタル34とを含む積層構造を有しており、ドレインメタル31が、第1ドレインメタル37と、第2ドレインメタル38とを含む積層構造を有している例について説明した。これに代えて、
図13に示される構成が採用されてもよい。
図13は、第1実施形態の第1変形例に係る半導体装置81の縦断面図である。
図13において、前述の第1実施形態において述べられた構成と同様の構成については、同一の参照符号を付して説明を省略する。
【0084】
図13に示されるように、半導体装置81では、ソースメタル30が、第2ソースメタル34のみを含む単層構造を有しており、ドレインメタル31が、第2ドレインメタル38のみを含む単層構造を有している。このような単層構造のソースメタル30およびドレインメタル31を採用しても、前述の第1実施形態において述べた効果と同様の効果を奏することができる。むろん、
図13に示される構成は、前述の第2〜第5実施形態にも適用可能である。
【0085】
また、前述の各実施形態では、第2ドレインメタル38の周縁が、第1ドレインメタル37の周縁よりも外側まで引き出された構成とされた例について説明した。しかし、これに代えて、第1ドレインメタル37の周縁が、第2ドレインメタル38の周縁よりも外側まで引き出された構成とされてもよい。この場合、ウェル領域61の引き出し部63は、その周縁が、少なくとも第1ドレインメタル37の周縁よりも外側まで引き出された構成とされる。むろん、第2〜第5実施形態においても、第1ドレインメタル37の周縁が、第2ドレインメタル38の周縁よりも外側まで引き出された構成が採用されてもよい。
【0086】
また、前述の各実施形態では、半導体装置1が、平面視において直線状部分6a,6bおよび曲線状部分7a,7bを有する長円環状のボディ領域5を含む例について説明した。しかし、これに代えて、
図14に示される構成が採用されてもよい。
図14は、第1実施形態の第2変形例に係る半導体装置82の平面図である。
図14において、前述の第1実施形態において述べられた構成と同様の構成については、同一の参照符号を付して説明を省略する。
【0087】
図14に示されるように、半導体装置82では、平面視長円環状のボディ領域5に代えて、平面視円環状のボディ領域5が採用されている。ソース領域8およびボディコンタクト領域9は、ボディ領域5に沿って平面視円環状に形成されてもよい。また、ドレイン領域10、ドレインバッファ領域11およびウェル領域61は、平面視円形状に形成されてもよい。また、LOCOS膜13は、ボディ領域5やドレイン領域10の形状に応じて平面視円環状に形成されてもよい。その他の構成についても、ボディ領域5の形状に合わせて適宜変更されてもよい。また、
図14に示されるように、ボディ領域5の第2ボディ部分52は、2つ以上形成されていてもよい。むろん、
図14に示される構成は、前述の第2〜第5実施形態にも適用可能である。
【0088】
また、ソース領域7とドレイン領域10との間の領域にLOCOS膜13が形成された例について説明した。しかし、ソース領域7とドレイン領域10との間の領域に、LOCOS膜13に代えて、STI(Shallow Trench Isolation)が形成されていてもよい。STIは、ソース領域8とドレイン領域10との間でエピタキシャル層4を掘り下げて形成された平面視環状のトレンチと、トレンチに埋設された絶縁体(酸化シリコンや窒化シリコン等)とを含む。
【0089】
前述の半導体装置1,72,73,74,81,82は、たとえば、自動車(電気自動車を含む)、電車、産業用ロボット、空気調節装置、空気圧縮機、扇風機、掃除機、乾燥機、冷蔵庫等の動力源として利用される電動モータを駆動するインバータ回路に用いられるパワーモジュールに組み込むことができる。また、前述の半導体装置1,72,73,74,81,82は、太陽電池、風力発電機その他の発電装置等のインバータ回路に用いられるパワーモジュールにも組み込むことができる他、アナログ制御電源、デジタル制御電源等を構成する回路モジュールにも組み込むことができる。
【0090】
その他、特許請求の範囲に記載された事項の範囲で種々の設計変更を施すことが可能である。