画像読取装置1は、搬送される原稿Pが有る有状態又は原稿Pが無い無状態を示す信号を出力するセンサ20と、センサ20から出力される信号に基づいて、原稿Pの前端部FEと後端部REとを判断する端部判断部120と、前端部FEと後端部REとに基づいて、原稿Pの原稿サイズを特定する読取処理部130とを備え、端部判断部120は、最初に信号が有状態に変化した場合、有状態に変化した時点で原稿Pの前端部FEを検出したと判断し、信号が無状態に変化した時点から所定期間Da内に有状態に変化した場合、原稿Pの後端部REとは判断せず、信号が無状態に変化した時点から所定期間Da内に有状態に変化しない場合、無状態に変化した時点で原稿の後端部REを検出したと判断する。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施例に係る画像読取装置について、図面を参照しながら詳細に説明する。また、以下に示す実施例は、この発明の技術的思想を具体化するための装置等を例示するものであって、この発明の技術的思想は、各構成部品の配置等を下記のものに特定するものでない。この発明の技術的思想は、特許請求の範囲において、種々の変更を加えることができる。
【0016】
[実施例1]
<画像読取装置の構成>
図1は、本発明の実施例1に係る画像読取装置1の構成を示す概略平面図である。なお、
図1において、X方向(左右方向)が横方向を示し、Y方向(上下方向)が幅方向を示し、Z方向(前後方向)が高さ方向を示す。
【0017】
画像読取装置1は、複写機や印刷装置などの機器に設けられる。画像読取装置1は、原稿Pを搬送しながら原稿Pに形成される画像を読み取るものである。また、画像読取装置1により搬送される原稿Pは、ルーズリーフ等のように穴開き部分Hを有する。原稿Pは、搬送経路TRに沿って搬送される。
【0018】
図2には、本発明の実施例1に係る画像読取装置1の構成を示す概略断面図が示されている。
図2に示すように、画像読取装置1は、搬送部10と、センサ20と、画像読取部30と、制御部100とを備える。
【0019】
搬送部10は、原稿Pを載置する載置台11と、原稿Pを搬送する搬送ローラ12とを備え、自動原稿搬送(ADF:Auto Document Feeder)により、載置台11に載置される原稿Pを搬送経路TRに沿って搬送する。
【0020】
センサ20は、原稿Pの前端部FEと原稿Pの後端部REとを検出するための反射型の光学センサである。センサ20は、搬送経路TR上に配置されている。
【0021】
センサ20は、搬送される原稿Pに照射した照射光に基づいて、原稿Pが有る有状態又は原稿Pが無い無状態を検出して、有状態又は無状態を示す信号を出力する。センサ20から出力される信号は、制御部100に入力される。
【0022】
画像読取部30は、自動読取動作と手動読取動作とにより、原稿Pの画像を読み取る。具体的に、自動読取動作では、画像読取部30は、自動読取領域31を介して、搬送経路TRに沿って搬送される原稿Pの画像を読み取る。
【0023】
画像読取部30は、主走査方向に延びるライン画像を読み取って、読み取ったライン画像を制御部100に送信する。また、画像読取部30は、原稿Pの搬送により、副走査方向に順次読み込んだライン画像を、制御部100に順次送信する。
【0024】
また、画像読取部30は、
図2に示すX方向(左右方向)に移動可能に構成されている。そして、手動読取動作では、画像読取部30は、原稿載置領域32を介して、原稿載置領域32に配置される原稿Pの画像を読み取ることもできる。
【0025】
自動読取領域31及び原稿載置領域32は、いずれもガラス板によって構成され、自動読取領域31及び原稿載置領域32の周囲は遮光部材により覆われている。
【0026】
制御部100は、画像読取装置1の各部の動作を制御する。制御部100は、CPU、RAM、ROM、ハードディスク等を備えて構成される。
【0027】
ここで、
図3には、画像読取装置1の機能を示すブロック図が示されている。
図3に示すように、制御部100は、搬送制御部110と、端部判断部120と、読取処理部130とを備える。
【0028】
搬送制御部110は、搬送部10を制御する。搬送制御部110は、例えば、操作パネル(不図示)を用いたユーザの入力操作によって、原稿Pに形成される画像の読込開始を指示されると、搬送経路TRに沿って原稿Pを搬送するように搬送部10を制御する。
【0029】
端部判断部120は、センサ20から出力される信号に基づいて、原稿Pの前端部FEと後端部REとを判断する。
【0030】
例えば、端部判断部120は、原稿Pの搬送を開始した後に最初に信号が有状態に変化した場合、当該有状態に変化した時点で原稿Pの前端部FEを検出したと判断する。
【0031】
また、端部判断部120は、センサ20から出力される信号が有状態から無状態に変化した時点から所定期間内に有状態に変化した場合、原稿Pの後端部REとは判断しない。一方、端部判断部120は、センサ20から出力される信号が有状態から無状態に変化した時点から所定期間内に有状態に変化しない場合、すなわち、所定期間内に無状態を維持していた場合、当該無状態に変化した時点で原稿Pの後端部REを検出したと判断する。
【0032】
端部判断部120は、信号補正処理部121と、前端検出部122と、後端検出部123とを備えており、これらの機能により、原稿Pの前端部FEと後端部REとを判断するように構成される。
【0033】
信号補正処理部121は、センサ20から出力される信号を入力すると、自身で生成する期間参照信号と、センサ20から出力される信号とに基づいて、補正信号を出力する。
【0034】
ここで、期間参照信号は、センサ20から出力される信号が有状態から無状態に変化した時点から所定期間を規定するための信号である。期間参照信号は、所定期間以外は、“H状態”を示し、所定期間だけ“L状態”を示す。
【0035】
また、所定期間は、穴開き部分Hのサイズφと原稿Pの搬送速度Vとに基づいて設定される。具体的に、所定期間をDaとした場合、穴開き部分Hのサイズをφとし、原稿Pの搬送速度をVとした場合、DaとφとVとは、(φ/V)<Da<(2×φ/V)の関係を満たす。
【0036】
補正信号は、原稿Pの前端部FEと後端部REとを検出するために用いられる信号である。補正信号は、センサ20の信号が無状態から有状態に変化した時点で、センサ20の信号に追従して、無状態から有状態に変化する。
【0037】
また、補正信号は、センサ20の信号が有状態から無状態に変化した時点から所定期間内に有状態に変化した場合には、所定期間経過後に有状態に変化する。
【0038】
前端検出部122は、センサ20の信号に基づいて、原稿Pの前端部FEを判断する。具体的に、前端検出部122は、センサ20の信号の変化に伴って、補正信号も有状態に変化した場合に、原稿Pの前端部FEを検出したと判断する。
【0039】
後端検出部123は、信号補正処理部121から出力される補正信号と、センサ20から出力される信号とに基づいて、原稿Pの後端部REを判断する。
【0040】
具体的に、後端検出部123は、補正信号が有状態から無状態に変化した場合、無状態に変化するよりも所定期間Daだけ前に、センサ20の信号が無状態に変化した時点で原稿Pの後端部REを検出したと判断する。
【0041】
前端検出部122による前端部FEの検出結果と、後端検出部123による後端部REの検出結果とは、読取処理部130に送信される。
【0042】
読取処理部130は、原稿Pの前端部FEと後端部REとに基づいて、原稿Pの原稿サイズを特定する。そして、読取処理部130は、原稿Pの原稿サイズを読取範囲として、原稿Pに形成される画像を読み取って、画像データを生成する。なお、読取処理部130は、特許請求の範囲に記載の原稿サイズ特定部を構成する。
【0043】
<画像読取装置1の動作>
次に、
図4〜5を参照して、画像読取装置1の動作について説明する。
図4は、画像読取装置1の動作を示すフローチャートである。なお、
図4のフローチャートでは、画像読取装置1が一枚の原稿Pを搬送しながら、原稿Pに形成される画像を読み込んで、画像データを生成する際の動作が示されている。
【0044】
また、
図5(a)は、搬送される原稿Pの平面図であり、
図5(b)は、画像読取装置1の信号及び動作を示すタイミングチャートである。
【0045】
ステップS10において、1枚の原稿Pの搬送が開始されると、端部判断部120は、センサ20の信号が有状態に変化したか否かを判定する。すなわち、端部判断部120は、原稿Pの搬送を開始後、センサ20の信号が無状態から最初に有状態に変化したか否かを判定する。
【0046】
なお、端部判断部120は、センサ20の信号が有状態に変化しない場合(ステップS10“No”)、ステップS10の動作を繰り返す。
【0047】
ステップS20において、端部判断部120は、センサ20の信号が最初に有状態に変化した場合(ステップS10“Yes”)、信号が有状態に変化した時点を原稿Pの前端部FEと判断する。
【0048】
具体的に、
図5(a)に示す原稿Pの前端部FEがセンサ20に到達すると、
図5(b)に示すように、センサ20の信号が、無状態を示す“H状態”から有状態を示す“L状態”に変化する。
【0049】
端部判断部120では、信号補正処理部121は、センサ20の信号が有状態を示す“L状態”に変化した時点T1において、“H状態”から“L状態”に変化させた補正信号を出力する。
【0050】
前端検出部122は、センサ20の信号が最初に有状態を示す“L状態”に変化した時点T1、すなわち、信号補正処理部121の補正信号が“H状態”から“L状態”に変化した時点T1を、原稿Pの前端部FEと判断して、読取処理部130に通知する。
【0051】
ステップS30において、読取処理部130は、画像読取部30を制御して、原稿Pに形成される画像の読込を開始する。具体的に、読取処理部130は、画像読取部30により読み込まれる主走査方向に延びるライン画像をメモリ(不図示)に記憶する。また、読取処理部130は、画像読取部30が原稿Pの搬送により副走査方向に順次読み込むライン画像を、順次記憶していく。
【0052】
なお、実際には、センサ20の位置と画像読取部30の位置とが離間しているため、原稿Pの搬送等による遅延調整を行う必要があるが、簡略化のため、センサ20の位置と画像読取部30の位置とが同一であり、遅延調整が不要であるものとして説明する。
【0053】
また、読取処理部130によりライン画像の記憶が開始されると、端部判断部120では、後端検出部123が、読取処理部130を参照して主走査方向のライン画像のカウントを開始する。具体的に、後端検出部123は、
図5(b)に示すように、カウント値L1を初期値として、カウントを開始する。
【0054】
ステップS40において、端部判断部120は、センサ20の信号が、有状態を示す“L状態”から無状態を示す“H状態”に変化したか否かを判定する。なお、端部判断部120は、センサ20の信号が無状態に変化しない場合(ステップS40“No”)、ステップS40の動作を繰り返す。
【0055】
ステップS50において、端部判断部120は、センサ20の信号が、有状態を示す“L状態”から無状態を示す“H状態”に変化した場合(ステップS40“Yes”)、端部判断部120では、後端検出部123が、ライン画像のカウント値を保持する。
【0056】
ここで、センサ20の信号が、有状態を示す“L状態”から無状態を示す“H状態”に変化するケースは、センサ20が原稿Pの穴開き部分Hに到達するケースと、センサ20が原稿Pの後端部REに到達するケースとの2つのケースがあり得る。
【0057】
具体的に、
図5(b)に示すように、センサ20が原稿Pの穴開き部分Hに到達した時点T2において、センサ20の信号が、有状態を示す“L状態”から無状態を示す“H状態”に変化した場合、端部判断部120では、後端検出部123が、ライン画像のカウント値Lnを保持する。
【0058】
一方、センサ20が原稿Pの後端部REに到達した時点T5においても、センサ20の信号が、有状態を示す“L状態”から無状態を示す“H状態”に変化した場合、端部判断部120では、後端検出部123が、ライン画像のカウント値Lmを保持する。
【0059】
ステップS60において、端部判断部120は、センサ20の信号が有状態を示す“L状態”から無状態を示す“H状態”に変化した時点T2から、所定期間Daの間に、有状態を示す“L状態”に変化しなかったか否かを判定する。言い換えれば、端部判断部120は、所定期間Daの間に、センサ20の信号が有状態を示す“L状態”に復帰したか否かを判定する。
【0060】
ここで、ステップS60における端部判断部120動作は、センサ20の信号の状態変化が、穴開き部分Hの端部によるものか、原稿Pの後端部REによるものかを判断するための動作である。
【0061】
具体的に、
図5(b)に示すように、端部判断部120では、信号補正処理部121が、所定期間Daの間、期間参照信号を“H状態”から“L状態”に変化させる。
【0062】
また、信号補正処理部121から出力される補正信号は、時点T2から所定期間Daの間、“L状態”を維持する。そして、補正信号は、所定期間Daの終わる時点T4以後、センサ20から出力される信号に追従して、“L状態”を維持する。
【0063】
なお、
図5(b)に示すように、時点T3において、センサ20の信号が、穴開き部分Hの端部により、無状態を示す“H状態”から有状態を示す“L状態”に変化しても、端部判断部120は、特に動作を行わない。
【0064】
すなわち、端部判断部120では、センサ20から出力される信号が有状態の“L状態”から無状態の“H状態”に変化した時点T2から、所定期間Da内に有状態“L状態”に変化した場合、穴開き部分Hの端部によるものと判断して、原稿Pの後端部REとは判断しない。
【0065】
従って、ステップS60において、端部判断部120は、有状態を示す“L状態”に変化した場合(ステップS40“No”)には、ステップS40の動作を繰り返す。
【0066】
一方、ステップS70において、端部判断部120は、センサ20の信号が無状態を示す“H状態”に変化してから所定期間Daの間、有状態を示す“L状態”に変化していない場合(ステップS60“Yes”)、すなわち、所定期間Daの後もセンサ20の信号が無状態のままであった場合、後端部REを検出したと判断する。
【0067】
具体的に、
図5(b)に示すように、センサ20の信号が無状態を示す“H状態”に変化した時点T5から時点T6までの所定期間Daの間、無状態のままであった場合、端部判断部120では、信号補正処理部121が、時点T6において、有状態を示す“L状態”から無状態を示す“H状態”に変化させた補正信号を出力する。
【0068】
そして、端部判断部120では、後端検出部123は、補正信号が時点T6に“H状態”に変化したことにより、後端部REが検出されたと判断する。具体的に、後端検出部123は、時点T5で後端部REが検出されたと判断する。そして、後端検出部123は、時点T5に保持していたカウント値Lmを後端部REとして読取処理部130に送信する。
【0069】
ステップS80において、端部判断部120は、ライン画像のカウントを停止するとともに、読取処理部130に画像の読込の停止を指示する。
【0070】
ステップS90において、読取処理部130は、前端部FEと後端部REとに基づいて、原稿Pの原稿サイズを特定する。具体的に、読取処理部130は、前端部FEとして検出されたカウント値L1から、後端部REとして検出されたカウント値Lmまでの範囲を、画像を読み込むべき原稿サイズであると特定する。そして、
図5(b)に示すように、読取処理部130は、カウント値L1からカウント値Lmまでライン画像に基づいて、画像データを生成する。
【0071】
<作用及び効果>
以上のように、本発明の実施例1に係る画像読取装置1では、原稿Pの有状態と無状態を示す信号を出力するセンサ20と、センサ20の信号に基づいて原稿Pの前端部FEと後端部REとを判断する端部判断部120と、を有する。
【0072】
また、端部判断部120は、原稿Pの搬送を開始した後に最初に原稿Pの有状態に変化した場合、有状態に変化した時点(例えば、時点T1)で原稿Pの前端部FEを検出したと判断する。端部判断部120は、原稿Pの有状態から無状態に変化した時点(例えば、時点T2)から所定期間Da内に有状態に変化した場合は原稿Pの後端部REを検出したと判断せずに搬送を継続し、所定期間Da内に有状態に変化しない場合、無状態に変化した時点(例えば、時点T5)を原稿Pの後端部REを検出した判断する。
【0073】
これにより、センサ20から出力される信号が穴開き部分Hによって無状態に変化しても、所定期間Da内に有状態に復帰するのであれば、原稿Pの後端部REを検出したと判断しない。
【0074】
このため、穴開き部分Hの影響を受けずに、原稿Pの後端部REの検出を判断できるため、原稿サイズを正確に検出できる。すなわち、穴開き部分Hを有する原稿Pの原稿サイズをより正確に検出するとともに、原稿Pに形成される画像を正確に読み取ることも可能になる。
【0075】
また、複数のセンサ20を備えなくとも、単一のセンサ20を備えていればよいので、複数のセンサ20を備える場合に比べてコスト低減が可能となる。
【0076】
また、本発明の実施例1に係る画像読取装置1によれば、所定期間Daは、穴開き部分Hのサイズφと原稿Pの搬送速度Vとに基づいて設定されるため、穴開き部分Hの搬送される所定期間Daをより正確に設定できる。これにより、原稿Pの前端部FEと後端部REとをより正確に判断できる。
【0077】
[本発明のその他の実施形態]
以上、上述の実施形態を用いて本発明について詳細に説明したが、当業者にとっては、本発明が本明細書中に説明した実施形態に限定されるものではないということは明らかである。
【0078】
例えば、上述した実施形態では、センサ20は、反射型の光学センサであったが、これに限定されず、透過型の光学センサであってもよい。
【0079】
このように、本発明は上記実施の形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上記実施の形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合せにより、種々の発明を形成できる。例えば、実施の形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。