(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2017-212834(P2017-212834A)
(43)【公開日】2017年11月30日
(54)【発明の名称】太陽電池モジュール検査システムおよび台座
(51)【国際特許分類】
H02S 50/10 20140101AFI20171102BHJP
【FI】
H02S50/10
【審査請求】未請求
【請求項の数】38
【出願形態】OL
【全頁数】21
(21)【出願番号】特願2016-105836(P2016-105836)
(22)【出願日】2016年5月27日
(71)【出願人】
【識別番号】000116024
【氏名又は名称】ローム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100086380
【弁理士】
【氏名又は名称】吉田 稔
(74)【代理人】
【識別番号】100135389
【弁理士】
【氏名又は名称】臼井 尚
(72)【発明者】
【氏名】青木 陽一
【テーマコード(参考)】
5F151
【Fターム(参考)】
5F151AA11
5F151FA04
5F151FA06
5F151JA02
5F151KA09
(57)【要約】 (修正有)
【課題】発電機能検査および外観検査を適切に行うことが可能な太陽電池モジュール検査システムおよび台座を提供する。
【解決手段】太陽電池モジュール8を対象とした検査を行う太陽電池モジュール検査システムであって、太陽電池モジュール8は、発電領域861が受ける光が入射する入射面801と、入射面801とは反対側に配置された出力端子851と、を有し、z方向において互いに反対側を向く主面および裏面と、z方向に貫通する貫通孔13と、x方向において貫通孔13を挟んで配置され主面と同じ側を向き且つz方向において主面と裏面との間に位置するとともに太陽電池モジュール8が載置される一対の載置面14と、を有する台座を備える。
【選択図】
図15
【特許請求の範囲】
【請求項1】
太陽電池モジュールを対象とした検査を行う太陽電池モジュール検査システムであって、
前記太陽電池モジュールは、発電領域が受ける光が入射する入射面と、当該入射面とは反対側に配置された出力端子と、を有し、
厚さ方向において互いに反対側を向く主面および裏面と、前記厚さ方向に貫通する貫通孔と、前記厚さ方向に直角である第1方向において前記貫通孔を挟んで配置され前記主面と同じ側を向き且つ前記厚さ方向において前記主面と前記裏面との間に位置するとともに前記太陽電池モジュールが載置される一対の載置面と、を有する台座を備えることを特徴とする、太陽電池モジュール検査システム。
【請求項2】
前記台座に前記太陽電池モジュールが載置された場合に、前記出力端子が前記貫通孔から前記裏面側に露出する、請求項1に記載の太陽電池モジュール検査システム。
【請求項3】
前記貫通孔は、前記台座に前記太陽電池モジュールが載置された場合に、前記厚さ方向および前記第1方向のいずれに対しても直角である第2方向において前記太陽電池モジュールから延出する延出部を有する、請求項2に記載の太陽電池モジュール検査システム。
【請求項4】
前記貫通孔は、前記第2方向において互いに反対側に位置する一対の前記延出部を有する、請求項3に記載の太陽電池モジュール検査システム。
【請求項5】
前記台座は、前記太陽電池モジュールが載置された場合に、前記厚さ方向視において前記太陽電池モジュールから延出する基準面を有する、請求項4に記載の太陽電池モジュール検査システム。
【請求項6】
前記基準面は、前記載置面に繋がる、請求項5に記載の太陽電池モジュール検査システム。
【請求項7】
前記基準面は、前記厚さ方向において前記載置面と同じ位置にある、請求項6に記載の太陽電池モジュール検査システム。
【請求項8】
前記台座は、一対の前記基準面を有する、請求項7に記載の太陽電池モジュール検査システム。
【請求項9】
前記一対の基準面は、前記第1方向において前記貫通孔および前記一対の載置面を挟んで配置されている、請求項8に記載の太陽電池モジュール検査システム。
【請求項10】
前記台座は、複数の前記貫通孔、複数対の前記載置面および複数対の前記基準面を有し、複数の前記太陽電池モジュールが載置される、請求項9に記載の太陽電池モジュール検査システム。
【請求項11】
前記複数の太陽電池モジュールは、前記第1方向および前記第2方向に沿うマトリクス状に載置される、請求項10に記載の太陽電池モジュール検査システム。
【請求項12】
前記台座は、脱着可能である、請求項11に記載の太陽電池モジュール検査システム。
【請求項13】
前記台座は、樹脂からなる、請求項12に記載の太陽電池モジュール検査システム。
【請求項14】
前記台座を搬送する台座搬送部と、
前記台座に載置された前記太陽電池モジュールの検査を行う検査室と、
前記太陽電池モジュールの発電機能を検査する発電機能検査装置と、
前記太陽電池モジュールの形状および寸法の少なくともいずれかを検査する外観検査装置と、を備える、請求項10ないし13のいずれかに記載の太陽電池モジュール検査システム。
【請求項15】
前記検査室は、前記厚さ方向における前記台座の前記主面側において前記台座に接近離間可能である遮光性の検査カバーを有する、請求項14に記載の太陽電池モジュール検査システム。
【請求項16】
前記検査室は、前記厚さ方向における前記台座の前記裏面側において前記台座に接近離間可能であるステージを有する、請求項15に記載の太陽電池モジュール検査システム。
【請求項17】
前記発電検査装置は、前記ステージに設けられ前記太陽電池モジュールの前記出力端子に当接する検査プローブを有する、請求項16に記載の太陽電池モジュール検査システム。
【請求項18】
前記出力端子および前記検査プローブは、前記太陽電池モジュールの厚さ方向視中央に対して前記第2方向一方側に配置されている、請求項17に記載の太陽電池モジュール検査システム。
【請求項19】
前記ステージには、前記太陽電池モジュールの厚さ方向視中央に対して前記第2方向他方側に配置され前記太陽電池モジュールに当接するダミープローブが設けられている、請求項18に記載の太陽電池モジュール検査システム。
【請求項20】
前記発電検査装置は、前記検査カバーの内面に設けられた光源を有する、請求項17ないし19のいずれかに記載の太陽電池モジュール検査システム。
【請求項21】
前記外観検査装置は、前記検査カバーの外部に設けられたカメラを有する、請求項20に記載の太陽電池モジュール検査システム。
【請求項22】
前記検査カバーは、前記太陽電池モジュールの前記発電領域を露出させる開口部を有し、且つ前記台座を覆う押さえ板を有する、請求項20または21に記載の太陽電池モジュール検査システム。
【請求項23】
前記検査プローブが前記太陽電池モジュールの前記出力端子に当接した状態で、前記押さえ板が前記太陽電池モジュールに当接する、請求項22に記載の太陽電池モジュール検査システム。
【請求項24】
前記押さえ板は、金属からなる、請求項23に記載の太陽電池モジュール検査システム。
【請求項25】
前記押さえ板は、黒色である、請求項23または24に記載の太陽電池モジュール検査システム。
【請求項26】
前記押さえ板は、前記検査カバーに固定されている、請求項23ないし25のいずれかに記載の太陽電池モジュール検査システム。
【請求項27】
太陽電池モジュールを対象とした検査を行う太陽電池モジュール検査システムに用いられる台座であって、
前記太陽電池モジュールは、発電領域が受ける光が入射する入射面と、当該入射面とは反対側に配置された出力端子と、を有し、
厚さ方向において互いに反対側を向く主面および裏面と、前記厚さ方向に貫通する貫通孔と、前記厚さ方向に直角である第1方向において前記貫通孔を挟んで配置され前記主面と同じ側を向き且つ前記厚さ方向において前記主面と前記裏面との間に位置するとともに前記太陽電池モジュールが載置される一対の載置面と、を有することを特徴とする、台座。
【請求項28】
前記太陽電池モジュールが載置された場合に、前記出力端子が前記貫通孔から前記裏面側に露出する、請求項27に記載の台座。
【請求項29】
前記貫通孔は、前記太陽電池モジュールが載置された場合に、前記厚さ方向および前記第1方向のいずれに対しても直角である第2方向において前記太陽電池モジュールから延出する延出部を有する、請求項28に記載の台座。
【請求項30】
前記貫通孔は、前記第2方向において互いに反対側に位置する一対の前記延出部を有する、請求項29に記載の台座。
【請求項31】
前記太陽電池モジュールが載置された場合に、前記厚さ方向視において前記太陽電池モジュールから延出する基準面を有する、請求項30に記載の台座。
【請求項32】
前記基準面は、前記載置面に繋がる、請求項31に記載の台座。
【請求項33】
前記基準面は、前記厚さ方向において前記載置面と同じ位置にある、請求項32に記載の台座。
【請求項34】
一対の前記基準面を有する、請求項33に記載の台座。
【請求項35】
前記一対の基準面は、前記第1方向において前記貫通孔および前記一対の載置面を挟んで配置されている、請求項34に記載の台座。
【請求項36】
複数の前記貫通孔、複数対の前記載置面および複数対の前記基準面を有し、複数の前記太陽電池モジュールが載置される、請求項35に記載の台座。
【請求項37】
前記複数の太陽電池モジュールは、前記第1方向および前記第2方向に沿うマトリクス状に載置される、請求項36に記載の台座。
【請求項38】
樹脂によって形成されている、請求項27ないし37のいずれかに記載の台座。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、太陽電池モジュール検査システムおよび当該システムに用いられる台座に関する。
【背景技術】
【0002】
太陽電池は、太陽光をはじめとする光を電力に変換する光電変換機能を備えており、いわゆる再生可能エネルギーを利用した発電手段として開発が進められている。特許文献1には、有機薄膜からなる光電変換層と、この光電変換層を挟む第1導電層および第2導電層を備える太陽電池モジュールが開示されている。
【0003】
太陽電池モジュールを工業生産する場合、製造工程において種々の検査をすることが必要となる。このような検査としては、たとえば発電機能を確認する発電機能検査や形状および寸法を検査する外観検査が挙げられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2014−192196号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、上記した事情のもとで考え出されたものであって、発電機能検査および外観検査を適切に行うことが可能な太陽電池モジュール検査システムおよび台座を提供することをその課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第1の側面によって提供される太陽電池モジュール検査システムは、太陽電池モジュールを対象とした検査を行う太陽電池モジュール検査システムであって、前記太陽電池モジュールは、発電領域が受ける光が入射する入射面と、当該入射面とは反対側に配置された出力端子と、を有し、厚さ方向において互いに反対側を向く主面および裏面と、前記厚さ方向に貫通する貫通孔と、前記厚さ方向に直角である第1方向において前記貫通孔を挟んで配置され前記主面と同じ側を向き且つ前記厚さ方向において前記主面と前記裏面との間に位置するとともに前記太陽電池モジュールが載置される一対の載置面と、を有する台座を備えることを特徴としている。
【0007】
本発明の好ましい実施の形態においては、前記台座に前記太陽電池モジュールが載置された場合に、前記出力端子が前記貫通孔から前記裏面側に露出する。
【0008】
本発明の好ましい実施の形態においては、前記貫通孔は、前記台座に前記太陽電池モジュールが載置された場合に、前記厚さ方向および前記第1方向のいずれに対しても直角である第2方向において前記太陽電池モジュールから延出する延出部を有する。
【0009】
本発明の好ましい実施の形態においては、前記貫通孔は、前記第2方向において互いに反対側に位置する一対の前記延出部を有する。
【0010】
本発明の好ましい実施の形態においては、前記台座は、前記太陽電池モジュールが載置された場合に、前記厚さ方向視において前記太陽電池モジュールから延出する基準面を有する。
【0011】
本発明の好ましい実施の形態においては、前記基準面は、前記載置面に繋がる。
【0012】
本発明の好ましい実施の形態においては、前記基準面は、前記厚さ方向において前記載置面と同じ位置にある。
【0013】
本発明の好ましい実施の形態においては、前記台座は、一対の前記基準面を有する。
【0014】
本発明の好ましい実施の形態においては、前記一対の基準面は、前記第1方向において前記貫通孔および前記一対の載置面を挟んで配置されている。
【0015】
本発明の好ましい実施の形態においては、前記台座は、複数の前記貫通孔、複数対の前記載置面および複数対の前記基準面を有し、複数の前記太陽電池モジュールが載置される。
【0016】
本発明の好ましい実施の形態においては、前記複数の太陽電池モジュールは、前記第1方向および前記第2方向に沿うマトリクス状に載置される。
【0017】
本発明の好ましい実施の形態においては、前記台座は、脱着可能である。
【0018】
本発明の好ましい実施の形態においては、前記台座は、樹脂からなる。
【0019】
本発明の好ましい実施の形態においては、前記台座を搬送する台座搬送部と、前記台座に載置された前記太陽電池モジュールの検査を行う検査室と、前記太陽電池モジュールの発電機能を検査する発電機能検査装置と、前記太陽電池モジュールの形状および寸法の少なくともいずれかを検査する外観検査装置と、を備える。
【0020】
本発明の好ましい実施の形態においては、前記検査室は、前記厚さ方向における前記台座の前記主面側において前記台座に接近離間可能である遮光性の検査カバーを有する。
【0021】
本発明の好ましい実施の形態においては、前記検査室は、前記厚さ方向における前記台座の前記裏面側において前記台座に接近離間可能であるステージを有する。
【0022】
本発明の好ましい実施の形態においては、前記発電検査装置は、前記ステージに設けられ前記太陽電池モジュールの前記出力端子に当接する検査プローブを有する。
【0023】
本発明の好ましい実施の形態においては、前記出力端子および前記検査プローブは、前記太陽電池モジュールの厚さ方向視中央に対して前記第2方向一方側に配置されている。
【0024】
本発明の好ましい実施の形態においては、前記ステージには、前記太陽電池モジュールの厚さ方向視中央に対して前記第2方向他方側に配置され前記太陽電池モジュールに当接するダミープローブが設けられている。
【0025】
本発明の好ましい実施の形態においては、前記発電検査装置は、前記検査カバーの内面に設けられた光源を有する。
【0026】
本発明の好ましい実施の形態においては、前記外観検査装置は、前記検査カバーの外部に設けられたカメラを有する。
【0027】
本発明の好ましい実施の形態においては、前記検査カバーは、前記太陽電池モジュールの前記発電領域を露出させる開口部を有し、且つ前記台座を覆う押さえ板を有する。
【0028】
本発明の好ましい実施の形態においては、前記検査プローブが前記太陽電池モジュールの前記出力端子に当接した状態で、前記押さえ板が前記太陽電池モジュールに当接する。
【0029】
本発明の好ましい実施の形態においては、前記押さえ板は、金属からなる。
【0030】
本発明の好ましい実施の形態においては、前記押さえ板は、黒色である。
【0031】
本発明の好ましい実施の形態においては、前記押さえ板は、前記検査カバーに固定されている。
【0032】
本発明の第2の側面によって提供される台座は、太陽電池モジュールを対象とした検査を行う太陽電池モジュール検査システムに用いられる台座であって、前記太陽電池モジュールは、発電領域が受ける光が入射する入射面と、当該入射面とは反対側に配置された出力端子と、を有し、厚さ方向において互いに反対側を向く主面および裏面と、前記厚さ方向に貫通する貫通孔と、前記厚さ方向に直角である第1方向において前記貫通孔を挟んで配置され前記主面と同じ側を向き且つ前記厚さ方向において前記主面と前記裏面との間に位置するとともに前記太陽電池モジュールが載置される一対の載置面と、を有することを特徴としている。
【0033】
本発明の好ましい実施の形態においては、前記太陽電池モジュールが載置された場合に、前記出力端子が前記貫通孔から前記裏面側に露出する。
【0034】
本発明の好ましい実施の形態においては、前記貫通孔は、前記太陽電池モジュールが載置された場合に、前記厚さ方向および前記第1方向のいずれに対しても直角である第2方向において前記太陽電池モジュールから延出する延出部を有する。
【0035】
本発明の好ましい実施の形態においては、前記貫通孔は、前記第2方向において互いに反対側に位置する一対の前記延出部を有する。
【0036】
本発明の好ましい実施の形態においては、前記太陽電池モジュールが載置された場合に、前記厚さ方向視において前記太陽電池モジュールから延出する基準面を有する。
【0037】
本発明の好ましい実施の形態においては、前記基準面は、前記載置面に繋がる。
【0038】
本発明の好ましい実施の形態においては、前記基準面は、前記厚さ方向において前記載置面と同じ位置にある。
【0039】
本発明の好ましい実施の形態においては、一対の前記基準面を有する。
【0040】
本発明の好ましい実施の形態においては、前記一対の基準面は、前記第1方向において前記貫通孔および前記一対の載置面を挟んで配置されている。
【0041】
本発明の好ましい実施の形態においては、複数の前記貫通孔、複数対の前記載置面および複数対の前記基準面を有し、複数の前記太陽電池モジュールが載置される。
【0042】
本発明の好ましい実施の形態においては、前記複数の太陽電池モジュールは、前記第1方向および前記第2方向に沿うマトリクス状に載置される。
【0043】
本発明の好ましい実施の形態においては、樹脂によって形成されている。
【発明の効果】
【0044】
本発明によれば、発電機能検査および外観検査を適切に行うことができる。
【0045】
本発明のその他の特徴および利点は、添付図面を参照して以下に行う詳細な説明によって、より明らかとなろう。
【図面の簡単な説明】
【0046】
【
図1】本発明の第1実施形態に基づく台座を示す平面図である。
【
図3】
図2のIII−III線に沿う要部拡大断面図である。
【
図4】
図2のIV−IV線に沿う要部拡大断面図である。
【
図5】太陽電池モジュールの一例を示す平面図である。
【
図6】
図5の太陽電池モジュールを示す底面図である。
【
図7】
図5のVII−VII線に沿う要部拡大断面図である。
【
図8】本発明の第1実施形態に基づく太陽電池モジュール検査システムを示す断面図である。
【
図9】
図8の太陽電池モジュール検査システムを示すシステム構成図である。
【
図10】
図8の太陽電池モジュール検査システムにおいて太陽電池モジュールが載置された台座を示す平面図である。
【
図12】
図8の太陽電池モジュール検査システムを用いた検査を示す断面図である。
【
図13】
図8の太陽電池モジュール検査システムを用いた検査を示す断面図である。
【
図14】
図8の太陽電池モジュール検査システムにおいて台座を押さえ板が覆った状態を示す平面図である。
【
図15】
図8の太陽電池モジュール検査システムにおいて台座を押さえ板が覆った状態を示す要部拡大平面図である。
【
図16】
図15のXVI−XVI線に沿う要部拡大断面図である。
【
図17】
図15のXVII−XVII線に沿う要部拡大断面図である。
【
図18】
図8の太陽電池モジュール検査システムを用いた検査を示す断面図である。
【
図19】
図18の台座1および太陽電池モジュール8を示す要部拡大断面図である。
【
図20】台座および太陽電池モジュールの変形例を示す要部拡大平面図である。
【
図21】台座および太陽電池モジュールの他の変形例を示す要部拡大平面図である。
【
図22】本発明の第2実施形態に基づく太陽電池モジュール検査システムを示す断面図である。
【
図23】
図20の太陽電池モジュール検査システムを用いた検査を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0047】
以下、本発明の好ましい実施の形態につき、図面を参照して具体的に説明する。
【0048】
図1〜
図4は、本発明の第1実施形態に基づく台座を示している。本実施形態の台座1は、後述する太陽電池モジュール検査システムA1において太陽電池モジュール8が載置されるものである。図示された例においては、複数の太陽電池モジュール8は、x方向およびy方向に沿うマトリクス状に載置される。
【0049】
図1は、台座1を示す平面図である。
図2は、台座1を示す要部拡大平面図である。
図3は、
図2のIII−III線に沿う要部拡大断面図である。
図4は、
図2のIV−IV線に沿う要部拡大断面図である。
【0050】
台座1は、主面11、裏面12、複数の貫通孔13、複数対の載置面14および複数対の基準面15を有する。1つの貫通孔13、一対の載置面14および一対の基準面15が、1つの太陽電池モジュール8に対応して設けられている。本実施形態の台座1は、太陽電池モジュール検査システムA1に対して脱着可能ないわゆるトレイとして構成されている。台座1の材質は特に限定されず、本実施形態においては、たとえば樹脂からなる。なお、理解の便宜上、
図1および
図2において、主面11には、相対的に薄いトーンのハッチングを付しており、載置面14および基準面15には、相対的に濃いトーンのハッチングを付している。以降の図においても、適宜同様のハッチングを付している。
【0051】
主面11および裏面12は、台座1の厚さ方向であるz方向において反対側を向く。貫通孔13は、台座1をz方向に貫通している。
【0052】
一対の載置面14は、第1方向であるx方向において貫通孔13を挟んで配置されている。載置面14は、主面11と同じ側を向き、本実施形態において主面11と平行である。載置面14は、z方向において主面11と裏面12との間に位置する。一対の載置面14は、太陽電池モジュール8が載置される面である。
【0053】
一対の基準面15は、一対の載置面14に繋がっており、x方向において貫通孔13および一対の載置面14を挟んで配置されている。言い換えると、一対の基準面15は、一対の載置面14からx方向両側に延出している。基準面15は、z方向において載置面14と同じ位置にある。
【0054】
図5〜
図7は、台座1に載置される太陽電池モジュール8を示している。
図5は、太陽電池モジュール8を示す平面図である。
図6は、太陽電池モジュール8を示す底面図である。
図7は、
図5のVII−VII線に沿う要部拡大断面図である。
【0055】
太陽電池モジュール8は、様々な構成を適宜採用可能であり、シリコン系太陽電池モジュール、化合物系太陽電池モジュール、有機系太陽電池モジュール等が挙げられる。本実施形態においては、有機薄膜太陽電池モジュールとして構成された太陽電池モジュール8を例に説明する。このような太陽電池モジュール8は、基板80、第1導電層81,第2導電層82、光電変換層83、保護層84および外部導電層85を有する。
【0056】
基板80は、太陽電池モジュール8の土台となるものである。基板80は、たとえば透明なガラスあるいは樹脂等から適宜選択される材質からなる、単層もしくは複数層を有する。基板80の厚さは、たとえば0.05mm〜2.0mmである。基板80の形状や大きさは特に限定されず、本実施形態においては、z方向視矩形状とされている。基板80のうち、第1導電層81、第2導電層82、光電変換層83および保護層84が積層された面と反対側の面が、入射面801とされている。入射面801は、太陽電池モジュール8の発電機能におけるエネルギー源となる光を入射させる面である。
【0057】
第1導電層81は、基板80上に形成されている。第1導電層81は、透明であり、本実施形態においてはITOからなる。第1導電層81の形状は、様々な形状に設定されうる。第1導電層81の厚さは、たとえば100nm〜300nmである。
【0058】
光電変換層83は、基板80および第1導電層81上に積層されており、第1導電層81と第2導電層82とに挟まれている。光電変換層83は、有機薄膜からなる層であり、受けた光を電力に変換する光電変換機能を発揮する。光電変換層83の具体的構成は特に限定されないが、その一例を挙げると、バルクヘテロ接合有機活性層と、このバルクヘテロ接合有機活性層に対して第1導電層81側に積層された正孔輸送層とからなる。本実施形態においては、光電変換層83は、平面視円形状とされているが、これは一例であり、光電変換層83は、様々な形状とされうる。光電変換層83の厚さは、たとえば50nm〜300nmである。
【0059】
バルクヘテロ接合有機活性層は、p型有機活性層領域とn型有機活性層領域が混在し、複雑なバルクへテロpn接合を形成している。p型有機活性層領域は、例えば、P3HT(poly(3-hexylthiophene-2,5diyl))で形成され、n型有機活性層領域は、例えば、PCBM(6,6-phenyl-C61-butyric acid methyl ester)で形成されている。正孔輸送層は、たとえばPEDOT:PSSで形成されている。
【0060】
光電変換層83の形成に用いられる材質を例示すると、フタロシアニン(Pc:Phthalocyanine)、亜鉛フタロシアニン(ZnPc:Zinc- phthalocyanine)、Me−Ptcdi(N,N'-dimethyl perylene-3,4,9,10-dicarboximide)、フラーレン(C 60 :Buckminster fullerene)が挙げられる。これらの材質は、たとえば真空蒸着に使用される。
【0061】
また、光電変換層83の形成に用いられる他の材質を例示すると、MDMO−PPV(poly[2-methoxy-5-(3,7-dimethyl octyloxy)]-1,4-phenylene vinylene)、PCDTBT(poly[N-9'-hepta-decanyl-2,7-carbazole-alt-5,5-(4',7'-di-thienyl-2'1',3'-b3nzothiadizaole)])、PC60BM(6,6-phenyl-C61-butyric acid methyl ester)、PC70BM(6,6-phenyl-C71-butyric acid methyl ester)が挙げられる。これらの材質は、たとえば溶液プロセスに使用される。
【0062】
第2導電層82は、その大部分が光電変換層83を介して第1導電層81上に積層されている。また、第2導電層82の一部は、第1導電層81に直接接している。第2導電層82の材質は特に限定されず、透明であっても不透明であってもよいが、本実施形態においては、第2導電層82は、Al、W、Mo、Mn、Mgに代表される金属からなる。以下においては、第2導電層82がAlからなる場合を例に説明する。したがって、第2導電層82は、不透明である。またこの場合、第2導電層82の基板80とは反対側の表面に、Al
2O
3からなる不動態皮膜(図示略)が形成されてもよい。第2導電層82の厚さは、たとえば30nm〜150nmである。
【0063】
保護層84は、第1導電層81の片面側において第1導電層81、第2導電層82および光電変換層83を覆っている。保護層84は、絶縁材料からなり、本実施形態においては透明である。太陽電池モジュール8の材質としては、樹脂、ガラスおよびこれらを適宜積層させたものが挙げられる。
【0064】
図5において、ハッチングを付した部分は、第1導電層81、第2導電層82および光電変換層83が積層されたことにより発電機能を果たす発電領域861である。なお、以降の図においても、適宜同様のハッチングを付している。本実施形態の太陽電池モジュール8は、互いに直列に接続された複数の発電領域861を有する。これらの発電領域861は、z方向視矩形環状に配置されている。複数の発電領域861に囲まれた領域は、透光領域862とされている。透光領域862は、光を通過させる領域である。このような太陽電池モジュール8は、たとえば腕時計の発電手段として用いられるのに適している。
【0065】
外部導電層85は、太陽電池モジュール8と外部の接続端子等とを導通させるためのものである。本実施形態においては、太陽電池モジュール8は、2つの外部導電層85を有する。一方の外部導電層85は、第1導電層81に導通しており、他方の外部導電層85は、第2導電層82に導通している。外部導電層85は、出力端子851を有する。出力端子851は、外部の接続端子等が接触する部位である。本実施形態においては、2つの出力端子851が、z方向視において太陽電池モジュール8の中央に対してy方向一方寄りに配置されている。出力端子851は、z方向視において発電領域861と重なっている。2つの出力端子851は、x方向に並んでいる。
【0066】
図2〜
図4に示すように、貫通孔13は、被覆部131および一対の延出部132を有する。被覆部131は、台座1に太陽電池モジュール8が載置されたときに、z方向視において太陽電池モジュール8に覆われる部分である。一対の延出部132は、台座1に太陽電池モジュール8が載置されたときに、太陽電池モジュール8から延出する部分である。一対の延出部132は、太陽電池モジュール8からy方向両側に延出している。
【0067】
一対の基準面15は、台座1に太陽電池モジュール8が載置されたときに、z方向視において太陽電池モジュール8から延出する。
【0068】
台座1に太陽電池モジュール8が載置されたときに、太陽電池モジュール8の一対の出力端子851は、貫通孔13から裏面12側に露出する。
【0069】
図8および
図9は、本発明の第1実施形態に基づく太陽電池モジュール検査システムを示している。本実施形態の太陽電池モジュール検査システムA1は、台座搬送部2、検査室3、押さえ板4、発電機能検査装置5、外観検査装置6および制御部7を備えている。太陽電池モジュール検査システムA1は、複数の太陽電池モジュール8を対象として、発電機能の検査と、形状および寸法に係る外観検査とを行うシステムである。
【0070】
図8は、太陽電池モジュール検査システムA1を示す断面図である。
図9は、太陽電池モジュール検査システムA1を示すシステム構成図である。
【0071】
台座搬送部2は、台座1を検査に必要な位置に適宜搬送するものである。台座搬送部2の具体的構成は、台座1を適切に搬送可能なものであれば特に限定されず、ローラやレールを備える軌道構造のものや、ロボットアームを有する構造のものが例示される。
【0072】
本実施形態においては、台座搬送部2は、複数のローラ21を備えている。複数のローラ21は、x方向に配列されており、y方向に離間した2列をなしている。台座搬送部2は、モータ(図示略)等のローラ21を駆動する手段、台座1の位置を検出するセンサ(図示略)、台座1の移動を規制するストッパ(図示略)等を適宜備える。このような構成により、台座1は、台座搬送部2をx方向に搬送可能に構成されており、台座1を検査室3によって覆われる位置に停止させることが可能である。
【0073】
図11に示すように、複数のローラ21は、台座1のy方向両側に配列されており、台座1を支持し且つx方向に移動させる機能を果たす。
【0074】
検査室3は、台座1に載置された太陽電池モジュール8を対象として、発電機能検査を行うための場を提供するものである。なお、検査室3において外観検査を行う構成であってもよい。本実施形態の検査室3は、検査カバー31、ステージ32および検査室駆動部39を有する。検査カバー31は、台座搬送部2によって搬送された台座1に対してz方向上方に配置されている。検査カバー31は、遮光性の材料からなり、z方向下方が開口した箱状である。ステージ32は、台座搬送部2によって搬送された台座1に対してz方向下方に配置されている。検査室駆動部39は、検査カバー31およびステージ32をz方向に昇降させることにより、検査カバー31およびステージ32が台座1からともに離間した状態と、検査カバー31およびステージ32が接近することにより台座1を収容する状態と、をとらせる。検査室駆動部39は、たとえばモータまたはシリンダ(いずれも図示略)を適宜有する。
【0075】
押さえ板4は、発電機能検査を行う際に太陽電池モジュール8を押さえるためのものである。押さえ板4は、板状であり本実施形態においてはステンレスに代表される金属からなる。また、押さえ板4は、黒色である。押さえ板4は、複数の開口部41を有する。複数の開口部41は、z方向視において太陽電池モジュール8の発電領域861を露出させるためのものである。
【0076】
本実施形態においては、押さえ板4は、検査室3の検査カバー31に固定されている。コレにより、押さえ板4は、検査カバー31と一体的に昇降する。なお、押さえ板4は、検査カバー31と別体とされたものであってもよい。
【0077】
発電機能検査装置5は、太陽電池モジュール8を対象とした発電機能検査を行う装置であり、図示された例においては、検査制御部51、複数の光源52および複数の検査プローブ53を有する。検査制御部51は、発電機能検査を行うための光源52の点灯制御や太陽電池モジュール8の発電状態を監視するものである。複数の光源52は、太陽電池モジュール8を発電させるための光を発するものである。本実施形態においては、複数の光源52は、検査カバー31の内面(図中z方向上面)に設けられている。光源52は、たとえばLEDを具備する。
【0078】
複数の検査プローブ53は、複数の太陽電池モジュール8の出力端子851に接触することにより、太陽電池モジュール8の発電によって得られた電力を取り出す部位である。本実施形態においては、1つの太陽電池モジュール8に一対の出力端子851が設けられていることに対応して、1つの太陽電池モジュール8について一対の検査プローブ53が設けられている。これらの複数対の検査プローブ53は、本実施形態においては、ステージ32に取り付けられている。検査プローブ53は、ステージ32からz方向上方に突出している。また、検査プローブ53は、たとえばばね(図示略)によって支持されることにより、z方向下方に退避可能とされている。
【0079】
また、本実施形態においては、ステージ32に複数対のダミープローブ33が設けられている。各対のダミープローブ33は、台座1に載置された太陽電池モジュール8の中心を挟んでy方向反対側に配置されている。ダミープローブ33は、検査プローブ53と同様にばね(図示略)によって支持されることにより、z方向下方に退避可能とされている。ただし、ダミープローブ33には、電気配線等は結線されていない。
【0080】
外観検査装置6は、太陽電池モジュール8の形状および寸法の少なくともいずれかを検査するものであり、検査制御部61およびカメラ62を有する。本実施形態においては、外観検査装置6は、太陽電池モジュール8の形状および寸法の双方を検査する。
【0081】
検査制御部61は、カメラ62の撮像処理や、カメラ62によって得られた画像に基づく画像処理を行うことにより、太陽電池モジュール8の形状および寸法を算出する部位である。
【0082】
カメラ62は、太陽電池モジュール8の形状および寸法の検査に必要な太陽電池モジュール8の画像を撮影するものである。本実施形態においては、カメラ62は、検査カバー31の外部に設けられており、より具体的には、検査カバー31に対してx方向下流側に配置されている。
【0083】
制御部7は、太陽電池モジュール8を対象とした検査において、台座搬送部2、検査室駆動部39、発電機能検査装置5および外観検査装置6を適宜制御するものである。
【0084】
図8は、太陽電池モジュール検査システムA1による太陽電池モジュール8を対象とした検査の開始状態を示している。この状態において、台座1は、検査カバー31およびステージ32に対してx方向上流側に位置している。
図10および
図11は、この状態の台座1を示している。台座1には、複数の太陽電池モジュール8がマトリクス状に載置されている。
【0085】
次いで、
図12に示すように、制御部7の指令にしたがった台座搬送部2の搬送動作により、台座1がx方向に搬送され検査カバー31およびステージ32の間に移動される。台座搬送部2は、台座1が図示された位置に到達したことを検出するセンサ(図示略)を有してもよい。また、台座1を停止させるストッパ(図示略)を有してもよい。
【0086】
次いで、
図13に示すように、制御部7の指令にしたがった検査室駆動部39の駆動動作により、検査カバー31が下降し、ステージ32が上昇する。これにより、検査カバー31およびステージ32によって台座1を収容する検査室3が構成される。検査カバー31は、遮光性を有するため、太陽電池モジュール8は、外光が遮られた環境に置かれる。
【0087】
図14は、検査カバー31が下降した状態の押さえ板4、台座1および複数の太陽電池モジュール8を示す平面図であり、
図15は、当該部位の要部拡大平面図である。
図16は、
図15のXVI−XVI線に沿う要部拡大断面図であり、
図17は、
図15のXVII−XVII線に沿う要部拡大断面図である。
図13〜
図17に示すように、押さえ板4が台座1の主面11に接近または当接する。押さえ板4の開口部41は、z方向視において太陽電池モジュール8よりも大である。このため、太陽電池モジュール8は押さえ板4を通過できない。ただし、開口部41は、太陽電池モジュール8のすべての発電領域861をz方向視において露出させる。
図14および
図15においては、理解の便宜上、押さえ板4に斜線からなるハッチングを付している。
【0088】
ステージ32が上昇することにより、太陽電池モジュール8の一対の出力端子851に一対の検査プローブ53が当接する。また、一対のダミープローブ33が太陽電池モジュール8に当接する。図示された例においては、一対の検査プローブ53および一対のダミープローブ33が太陽電池モジュール8に当接することにより、太陽電池モジュール8が上昇させられており、押さえ板4によって押さえられた格好となっている。また、図示された例においては、太陽電池モジュール8が載置面14から離間している。なお、検査プローブ53およびダミープローブ33がz方向下方に退避可能であることにより、太陽電池モジュール8が押さえ板4に当接した後は、ステージ32が上昇しても検査プローブ53およびダミープローブ33がz方向下方に退避する。
【0089】
この状態で、太陽電池モジュール8の発電機能検査を行う。たとえば、制御部7の指令にしたがって、検査制御部51が光源52を所定の照度で点灯させる。この際に太陽電池モジュール8によって発電された電力を、一対の検査プローブ53を介して検査制御部51が検出する。光源52の照度を適宜変更することにより、照度に応じた太陽電池モジュール8の発電量が、検査制御部51によって得られる。この発電結果に基づいて、検査制御部51または制御部7は、太陽電池モジュール8の発電機能が適切であるか否かを判定する。太陽電池モジュール検査システムA1においては、複数対の検査プローブ53を有することにより、台座1に載置された複数の太陽電池モジュール8について、一括してあるいは連続的に発電機能検査を行うことができる。
【0090】
次いで、検査カバー31を上昇させ且つステージ32を下降させることにより、検査室3を開放する。そして、台座搬送部2によって台座1をx方向に搬送することにより、
図18に示すように、台座1をカメラ62の直下に位置させる。この状態においては、台座1および複数の太陽電池モジュール8のz方向視は、
図10に示すとおりである。また、
図19は、この際の台座1および太陽電池モジュール8を示す要部拡大断面図である。
【0091】
カメラ62は、制御部7の指令に従った検査制御部61の制御により、台座1に載置された複数の太陽電池モジュール8の画像を撮影する。太陽電池モジュール8の3次元的な形状および寸法を検査する場合、カメラ62の撮影によって、太陽電池モジュール8の3次元的なデータを算出しうる角度および枚数の画像が得られる。この画像に基づき検査制御部61は、太陽電池モジュール8の外観検査を行う。本実施形態においては、たとえば、太陽電池モジュール8のz方向における形状や寸法が検査される。
【0092】
また、太陽電池モジュール8のz方向寸法(厚さd)が検査される。本実施形態においては、太陽電池モジュール8が載置された載置面14と基準面15とは互いに繋がっており、z方向における位置が同じである。このため、太陽電池モジュール8の厚さdは、z方向における太陽電池モジュール8の入射面801と台座1の基準面15との距離を算出することによって得られる。また、台座1が一対の基準面15を有することから、台座1が仮にカメラ62に対して傾いていた場合に、一対の基準面15の位置情報に基づいて、この傾きによる影響を除外することができる。
【0093】
以上に述べた検査処理は、1つの台座1に載置された複数の太陽電池モジュール8に着目して説明した。実際の太陽電池モジュール検査システムA1における検査処理では、複数の台座1を用いることにより、台座1への複数の太陽電池モジュール8の載置作業、検査室3における発電機能検査装置5による発電機能検査および外観検査装置6による外観検査を、並行して行うことが好ましい。
【0094】
次に、太陽電池モジュール検査システムA1および1の作用について説明する。
【0095】
本実施形態によれば、台座1の一対の載置面14によって太陽電池モジュール8を安定して保持することができる。また、一対の載置面14に太陽電池モジュール8が載置された状態で、太陽電池モジュール8の出力端子851が、貫通孔13から裏面12側に露出する。これにより、出力端子851を利用した太陽電池モジュール8の発電機能検査を行うことができる。また、一対の載置面14に太陽電池モジュール8が載置された状態で、太陽電池モジュール8の全体が主面11側に現れている。このため、台座1の主面11側から太陽電池モジュール8の外観検査を行うことができる。したがって、台座1および台座1が用いられた太陽電池モジュール検査システムA1によれば、太陽電池モジュール8の発電機能検査および外観検査を適切に行うことができる。
【0096】
図2に示すように、貫通孔13は、一対の延出部132を有する。これにより、台座1への太陽電池モジュール8載置や台座1に載置された太陽電池モジュール8を取り上げる時に、たとえば太陽電池モジュール8をy方向に挟む一対の挟持治具を延出部132に進入させることが可能である。したがって、太陽電池モジュール8の取り扱いをよりスムーズに行うことができる。
【0097】
図19に示すように、基準面15を利用して、太陽電池モジュール8の厚さdを計測することができる。基準面15が載置面14とz方向において同じ位置にある構成により、z方向における太陽電池モジュール8の入射面801と基準面15との距離を計測することにより、厚さdが得られる。また、基準面15は、台座1の主面11よりもz方向奥側に位置している。主面11は、台座1の使用に伴い損傷を受ける可能性が高い。しかしながら、基準面15は、このような損傷を受ける可能性が低く、外形検査の基準として用いるのに適している。また、x方向に離間した一対の基準面15を有することにより、仮に台座1がx方向に対して傾いていたとしても、一対の基準面15の位置を検出することにより、当該傾きによる測定誤差を排除することができる。
【0098】
台座1に複数の太陽電池モジュール8が載置可能であることにより、複数の太陽電池モジュール8に対して発電機能検査や外形検査をより効率良く行うことができる。
【0099】
台座1が太陽電池モジュール検査システムA1に対して脱着可能なトレイとして構成されていることにより、太陽電池モジュール検査システムA1とは離れた場において、太陽電池モジュール8の載置作業を予め完了させておくことができる。これは、太陽電池モジュール検査システムA1の検査効率を高めるのに適している。また、形状等が異なる複数種類の太陽電池モジュール8を検査する場合に、それぞれの太陽電池モジュール8に適した台座1を適宜使用しやすいという利点がある。
【0100】
太陽電池モジュール検査システムA1が検査室3を備えることにより、外光が進入しない環境で、太陽電池モジュール8の発電機能検査を行うことが可能である。これは、発電機能検査の精度向上に好ましい。検査室3が、検査カバー31およびステージ32からなることにより、台座1を進入させる開放状態と、検査を行う閉鎖状態とを、検査室3に適切にとらせることが可能である。なお、検査室3を閉鎖状態とする際に検査カバー31と台座搬送部2の一部とが干渉する場合、台座搬送部2の干渉部分を一時的に退避させる機構を台座搬送部2に備えてもよい。
【0101】
ステージ32に検査プローブ53が設けられていることにより、ステージ32を台座1の裏面12側から接近させることにより、検査プローブ53と太陽電池モジュール8の出力端子851とを適切に接触させることができる。台座1の主面11側に押さえ板4が配置されていることにより、検査プローブ53によって持ち上げられた太陽電池モジュール8が、台座1から外れてしまうことを防止することができる。検査プローブ53に加えてダミープローブ33を備えることにより、太陽電池モジュール8がy方向の片側のみから持ち上げられることにより、不当に傾いてしまうことを回避することができる。押さえ板4を黒色とすることにより、発電機能検査において光源52からの光が押さえ板4によって乱反射されてしまうことを抑制することができる。
【0102】
図20〜
図23は、本発明の他の実施形態を示している。なお、これらの図において、上記実施形態と同一または類似の要素には、上記実施形態と同一の符号を付している。
【0103】
図20は、台座1および太陽電池モジュール8の変形例を示している。本変形例においては、太陽電池モジュール8は、全体としてz方向視円形状である。複数の発電領域861は、矩形環状に配列されている。また、透光領域862は、円形状である。
【0104】
台座1の一対の載置面14は、円形状の太陽電池モジュール8にあわせた形状とされている。また、一対の基準面15および一対の延出部132が、z方向視において太陽電池モジュール8から延出している。
【0105】
図21は、台座1および太陽電池モジュール8の他の変形例を示している。本変形例においては、太陽電池モジュール8は、全体として矩形状である。複数の発電領域861は、x方向に配列されている。また、本変形例においては、透光領域862は、設けられていない。このような太陽電池モジュール8は、たとえば電気卓上計算機の発電手段として用いられるのに適している。
【0106】
図22および
図23は、本発明の第2実施形態に基づく太陽電池モジュール検査システムおよび台座を示している。本実施形態の太陽電池モジュール検査システムA2においては、台座1が太陽電池モジュール検査システムA2から脱着されない構成となっている。
【0107】
図示された台座1は、x方向において複数回の発電機能検査および外観検査を行いうる複数の太陽電池モジュール8が載置されている。台座1は、検査室3の検査カバー31およびステージ32に対して、台座搬送部2によってたとえばx方向に往復動可能とされている。あるいは、台座1は、ベルトコンベアに類似した構成とされた台座搬送部2において無限軌道ベルトによって構成されてもよい。
【0108】
台座1には、凹部16が形成されている。凹部16は、検査カバー31が下降した時に、検査カバー31の下端が進入する部位である。これにより、発電機能検査等を行う際に外光が検査室3内に進入することを阻止することができる。
【0109】
このような実施形態によっても、太陽電池モジュール8の発電機能検査および外観検査を適切に行うことができる。
【0110】
本発明に係る太陽電池モジュール検査システムおよび台座は、上述した実施形態に限定されるものではない。本発明に係る太陽電池モジュール検査システムおよび台座の各部の具体的な構成は、種々に設計変更自在である。
【符号の説明】
【0111】
A1,A2 :太陽電池モジュール検査システム
1 :台座
2 :台座搬送部
3 :検査室
4 :押さえ板
5 :発電機能検査装置
6 :外観検査装置
7 :制御部
8 :太陽電池モジュール
11 :主面
12 :裏面
13 :貫通孔
14 :載置面
15 :基準面
16 :凹部
21 :ローラ
31 :検査カバー
32 :ステージ
33 :ダミープローブ
39 :検査室駆動部
41 :開口部
51 :検査制御部
52 :光源
53 :検査プローブ
61 :検査制御部
62 :カメラ
80 :基板
81 :第1導電層
82 :第2導電層
83 :光電変換層
84 :保護層
85 :外部導電層
131 :被覆部
132 :延出部
801 :入射面
851 :出力端子
861 :発電領域
862 :透光領域