特開2017-212880(P2017-212880A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2017-212880(P2017-212880A)
(43)【公開日】2017年11月30日
(54)【発明の名称】ワイヤレス電力伝送装置
(51)【国際特許分類】
   H02J 50/70 20160101AFI20171102BHJP
   H02J 50/12 20160101ALI20171102BHJP
【FI】
   H02J50/70
   H02J50/12
【審査請求】有
【請求項の数】4
【出願形態】OL
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2017-171380(P2017-171380)
(22)【出願日】2017年9月6日
(62)【分割の表示】特願2013-135000(P2013-135000)の分割
【原出願日】2013年6月27日
(71)【出願人】
【識別番号】000003067
【氏名又は名称】TDK株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100106909
【弁理士】
【氏名又は名称】棚井 澄雄
(74)【代理人】
【識別番号】100163496
【弁理士】
【氏名又は名称】荒 則彦
(74)【代理人】
【識別番号】100188558
【弁理士】
【氏名又は名称】飯田 雅人
(74)【代理人】
【識別番号】100169694
【弁理士】
【氏名又は名称】荻野 彰広
(72)【発明者】
【氏名】福澤 成敏
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 満成
(72)【発明者】
【氏名】伊井 彰宏
(72)【発明者】
【氏名】幸 洋
(57)【要約】
【課題】電力伝送効率の向上に繋がる給電部におけるQ値の向上と、受電部における、周囲への不要輻射及び周囲からの電磁的影響の低減が可能な、ワイヤレス電力伝送装置を提供すること。
【解決手段】ワイヤレス電力伝送装置1は、給電部10と、受電部20と、を備え、給電側コイル41の外形寸法は、受電側コイル42の外形寸法より大きく、給電部10と受電部20とは、一次巻線11と二次巻線12とを介して、一次磁性体コア21の持つ主面の他方21Sと二次磁性体コア22の持つ主面の他方22Sとが互い対向するように配置され、給電側シールド材51の給電側コイル41との対向面51Sから、給電側コイル41の給電側シールド材51との対向面41S’までの距離は、受電側シールド材52の受電側コイル42との対向面52Sから、受電側コイル42の受電側シールド材52との対向面42S’までの距離より長い。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
一次巻線、及び、対向する二つの主面を持つ一次磁性体コアを有する給電側コイルと、対向する二つの主面を持つ給電側シールド材とを含み、かつ、前記一次磁性体コアの持つ前記主面の一方と前記給電側シールド材の持つ前記主面の一方とが互いに対向して配置された給電部と、
二次巻線、及び、対向する二つの主面を持つ二次磁性体コアを有する受電側コイルと、対向する二つの主面を持つ受電側シールド材とを含み、前記二次磁性体コアの持つ前記主面の一方と前記受電側シールド材の持つ前記主面の一方とが互いに対向して配置された受電部と、を備え、
前記給電側コイルの外形寸法は、前記受電側コイルの外形寸法よりも大きく、
前記給電部と前記受電部とは、前記一次巻線と前記二次巻線とを介して、前記一次磁性体コアの持つ前記主面の他方と前記二次磁性体コアの持つ前記主面の他方とが互い対向するように配置されており、
前記給電側シールド材の前記給電側コイルとの対向面から、前記給電側コイルの前記給電側シールド材との対向面までの距離は、
前記受電側シールド材の前記受電側コイルとの対向面から、前記受電側コイルの前記受電側シールド材との対向面までの距離よりも長い、ワイヤレス電力伝送装置。
【請求項2】
前記一次巻線は、平面状に巻回され、かつ、前記一次磁性体コアの持つ前記主面のうち、前記給電側シールド材と対向する側の面とは反対側の面上に設けられる線材であり、
前記二次巻線は、平面状に巻回され、かつ、前記二次磁性体コアの持つ前記主面のうち、前記受電側シールド材が設けられた側の面とは反対側の面上に設けられる線材である、請求項1に記載のワイヤレス電力伝送装置。
【請求項3】
前記一次巻線は、前記一次磁性体コアの持つ前記二つの主面を複数回横切って、前記一次磁性体コアの周囲を螺旋状に巻回される線材であり、
前記二次巻線は、前記二次磁性体コアの持つ前記二つの主面を複数回横切って、前記二次磁性体コアの周囲を螺旋状に巻回される線材である、請求項1に記載のワイヤレス電力伝送装置。
【請求項4】
前記給電側シールド材の前記給電側コイルとの対向面から、前記給電側コイルの前記給電側シールド材との対向面までの距離は、1cm以上2cm以下である、請求項1〜3のいずれか一項に記載のワイヤレス電力伝送装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ワイヤレス電力伝送装置に関する。
【背景技術】
【0002】
電源コードを用いずに電力を供給する給電技術、いわゆる、ワイヤレス給電技術が注目されつつある。ワイヤレス給電技術は、非接触で給電機器から受電機器に電力を供給できることから、電車、電気自動車等の輸送機器、家電製品、電子機器、無線通信機器、玩具、といったさまざまな製品への応用が期待されている。
【0003】
ワイヤレス給電に用いる装置は、給電機器側回路から受電機器側回路へ、物理的な接触により電気が流れるシステムではないため、給電機器側回路から受電機器側回路へ電力を伝送する際のロスを低減し、電力伝達を効率よく行うことが極めて重要である。
【0004】
電力伝送の効率化を図るために、特許文献1には、電磁結合する第一コイルおよび第二コイルが、渦巻き状であってその平面が対向するようになっている第一平面コイルおよび第二平面コイルであり、第一平面コイルおよび第二平面コイルは、その両者の対向する面の反対側の面に、磁性シートがそれぞれ設けられた非接触電力伝送装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2006−42519号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、本発明者らが鋭意研究した結果、特許文献1に記載された非接触電力伝送装置は、電力伝送効率が十分ではないことが明らかとなった。
【0007】
また、電気自動車等の輸送機器といった、電力を供給される側の機器においては、周囲への不要輻射及び周囲からの電磁的影響の低減は、実用上極めて重要な問題である。
【0008】
そこで本発明は、電力伝送効率の向上に繋がる給電部におけるQ値の向上と、受電部における、周囲への不要輻射及び周囲からの電磁的影響の低減が可能な、ワイヤレス電力伝送装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
そこで本発明は、一次巻線、及び、対向する二つの主面を持つ一次磁性体コアを有する給電側コイルと、対向する二つの主面を持つ給電側シールド材とを含み、かつ、一次磁性体コアの持つ主面の一方と給電側シールド材の持つ主面の一方とが互いに対向して配置された給電部と、二次巻線、及び、対向する二つの主面を持つ二次磁性体コアを有する受電側コイルと、対向する二つの主面を持つ受電側シールド材とを含み、二次磁性体コアの持つ主面の一方と受電側シールド材の持つ主面の一方とが互いに対向し、かつ、受電側コイルと受電側シールド材とが重なって配置された受電部と、を備え、給電側コイルの外形寸法は、受電側コイルの外形寸法よりも大きく、給電部と受電部とは、一次巻線と二次巻線とを介して、一次磁性体コアの持つ主面の他方と二次磁性体コアの持つ主面の他方とが互い対向するように配置されており、給電側シールド材の給電側コイルとの対向面から、給電側コイルの給電側シールド材との対向面までの距離は、受電側シールド材の受電側コイルとの対向面から、受電側コイルの受電側シールド材との対向面までの距離よりも長い、ワイヤレス電力伝送装置を提供する。
【0010】
本発明に係るワイヤレス電力伝送装置においては、給電側シールド材の給電側コイルとの対向面から、給電側コイルの給電側シールド材との対向面までの距離が、受電側シールド材の受電側コイルとの対向面から、受電側コイルの受電側シールド材との対向面までの距離よりも長いことにより、給電部におけるQ値が向上する。電力伝送効率は、結合係数kとQ値との積であるため、Q値は、電力伝送効率を向上させるうえで重要なファクターである。そのため、Q値を向上させることによって、電力伝送効率の向上に繋げることができる。また、受電部においては、受電側コイルと受電側シールド材とが重なって配置されているため、周囲への不要輻射及び周囲からの電磁的影響の低減が可能となる。したがって本発明によれば、上述した給電側における効果と受電側における効果を両立することが可能なワイヤレス電力伝送装置を提供することができる。
【0011】
また、本発明に係るワイヤレス電力伝送装置において、一次巻線は、平面状に巻回され、かつ、一次磁性体コアの持つ主面のうち、給電側シールド材と対向する側の面とは反対側の面上に設けられる線材であり、二次巻線は、平面状に巻回され、かつ、二次磁性体コアの持つ主面のうち、受電側シールド材が設けられた側の面とは反対側の面上に設けられる線材であるとよい。一次巻線及び二次巻線が上述のような構造であることにより、上述した効果がより確実に奏される。
【0012】
また、本発明に係るワイヤレス電力伝送装置において、一次巻線は、一次磁性体コアの持つ二つの主面を複数回横切って、一次磁性体コアの周囲を螺旋状に巻回される線材であり、二次巻線は、二次磁性体コアの持つ二つの主面を複数回横切って、二次磁性体コアの周囲を螺旋状に巻回される線材である。一次巻線及び二次巻線が上述のような構造であることにより、上述した効果がより確実に奏される。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、電力伝送効率の向上に繋がる給電部におけるQ値の向上と、受電部における、周囲への不要輻射及び周囲からの電磁的影響の低減が可能な、ワイヤレス電力伝送装置を提供することを目的とする。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明の第一実施形態に係るワイヤレス電力伝送装置の断面図である。
図2】本発明の第二実施形態に係るワイヤレス電力伝送装置の断面図である。
図3】本発明に係るワイヤレス電力伝送装置を電気自動車に適用した状態を示す概略図である。
図4】本発明の実施例に係るワイヤレス電力伝送装置を用いて測定された、給電側シールド材の給電側コイルとの対向面から給電側コイルの給電側シールド材との対向面までの距離と給電側コイルのQ値(QTX)との関係を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について詳細に説明するが、本発明は、以下の実施形態に限定されるものではない。なお、以下の説明では、同一又は相当部分には同一符号を付し、重複する説明は省略する。
【0016】
本発明は、一次巻線、及び、対向する二つの主面を持つ一次磁性体コアを有する給電側コイルと、対向する二つの主面を持つ給電側シールド材とを含み、かつ、一次磁性体コアの持つ主面の一方と給電側シールド材の持つ主面の一方とが互いに対向して配置された給電部と、二次巻線、及び、対向する二つの主面を持つ二次磁性体コアを有する受電側コイルと、対向する二つの主面を持つ受電側シールド材とを含み、二次磁性体コアの持つ主面の一方と受電側シールド材の持つ主面の一方とが互いに対向し、かつ、受電側コイルと受電側シールド材とが重なって配置された受電部と、を備え、給電部と受電部とは、一次巻線と二次巻線とを介して、一次磁性体コアの持つ主面の他方と二次磁性体コアの持つ主面の他方とが互い対向するように配置されており、給電側シールド材の給電側コイルとの対向面から、給電側コイルの前記給電側シールド材との対向面までの距離は、受電側シールド材の受電側コイルとの対向面から、受電側コイルの受電側シールド材との対向面までの距離よりも長い、ワイヤレス電力伝送装置である。
【0017】
本発明によれば、給電側シールド材の給電側コイルとの対向面から、給電側コイルの給電側シールド材との対向面までの距離が、受電側シールド材の受電側コイルとの対向面から、受電側コイルの受電側シールド材との対向面までの距離よりも長いことにより、給電部におけるQ値が向上する。電力伝送効率は、結合係数kとQ値との積であるため、Q値は、電力伝送効率を向上させるうえで重要なファクターである。そのため、Q値を向上させることによって、電力伝送効率の向上に繋げることができる。また、受電部においては、受電側コイルと受電側シールド材とが重なって配置されているため、周囲への不要輻射及び周囲からの電磁的影響の低減が可能となる。したがって本発明によれば、上述した給電側における効果と受電側における効果を両立することが可能なワイヤレス電力伝送装置を提供することができる。
【0018】
[第一実施形態]
ここで、図1は、本発明の第一実施形態に係るワイヤレス電力伝送装置の断面図である。
本実施形態に係るワイヤレス電力伝送装置1は、下記のような給電部10及び受電部20を備える。
(給電部10)
一次巻線11、及び、対向する二つの主面21S,21S’を持つ一次磁性体コア21を有する給電側コイル41と、対向する二つの主面51S,51S’を持つ給電側シールド材51とを含む。一次磁性体コア21の持つ主面の一方21S’と給電側シールド材51の持つ主面の一方51Sとが互いに対向して配置されている。
一次巻線11は、平面状に巻回され、かつ、一次磁性体コア21の持つ主面のうち、給電側シールド材51と対向する側の面21S’とは反対側の面21S上に設けられる線材である。一次巻線11は、一次磁性体コア21の持つ主面21Sに略平行となる対向する二つの主面11S,11S’を持つ。
(受電部20)
二次巻線12、及び、対向する二つの主面22S,22S’を持つ二次磁性体コア22を有する受電側コイル42と、対向する二つの主面52S,52S’を持つ受電側シールド材52とを含み、二次磁性体コア22の持つ主面の一方22S’と受電側シールド材52の持つ主面の一方52Sとが互いに対向し、かつ、受電側コイル42と受電側シールド材52とが重なって配置されている。
二次巻線12は、平面状に巻回され、かつ、二次磁性体コア22の持つ主面のうち、受電側シールド材52が設けられた側の面22S’とは反対側の面22S上に設けられる線材である。二次巻線12は、二次磁性体コア22の持つ主面22Sに略平行となる対向する二つの主面12S,12S’を持つ。
二次巻線がこのように配置されていることにより、本実施形態において、「受電側コイル42と受電側シールド材52とが重なって配置されている」とは、二次磁性体コア22の主面の一方22S’と受電側シールド材52の主面の一方52Sとが接して受電側コイル42と受電側シールド材52とが積層されていることを意味する。
【0019】
上記給電部10及び上記受電部20とは、下記のように配置されている。
給電部10と受電部20とは、一次巻線11と二次巻線12とを介して、一次磁性体コア21の持つ主面の他方21Sと二次磁性体コア22の持つ主面の他方22Sとが互い対向し、かつ略平行に配置されており、給電側シールド材51の給電側コイル41との対向面51Sから、給電側コイル41の給電側シールド材51との対向面41S’までの距離l1は、受電側シールド材52の受電側コイル42との対向面52Sから、受電側コイル42の受電側シールド材52との対向面42S’までの距離よりも長い。
【0020】
ここで、本実施形態において、「給電側シールド材51の給電側コイル41との対向面51S」とは、一次巻線が上述のように配置されていることにより、給電側シールド材51の一次磁性体コア21との対向面51Sを意味する。また、「給電側コイル41の給電側シールド材51との対向面41S’」とは、一次磁性体コア21の給電側シールド材51との対向面21S’を意味する。
また、本実施形態において、「受電側シールド材52の受電側コイル42との対向面52S」とは、二次巻線が上述のように配置されていることにより、受電側シールド材52の二次磁性体コア22との対向面52Sを意味する。また、「受電側コイル42の受電側シールド材52との対向面42S’」とは、二次磁性体コア22の受電側シールド材52との対向面22S’を意味する。
【0021】
本実施形態に係るワイヤレス電力伝送装置1は、上述した構造を有することにより、本発明による効果がより確実に奏される。
【0022】
本実施形態において、一次巻線11及び二次巻線12としては、銅、銀、金、アルミニウム等の金属ワイヤが挙げられる。軽量化の観点では、アルミニウム線、銅クラッドアルミ線等を用いるとよい。軽量化と電気伝導率とを両立する観点では、アルミニウム線の周りに銅を一様に被覆した、銅クラッドアルミ線が好ましい。銅クラッドアルミ線は、多数本を束ね撚り合せたリッツ線として用いるのがよい。一次巻線11及び二次巻線12は、それぞれ同一種類の金属ワイヤを用いても、異なる種類の金属ワイヤを用いてもよい。
【0023】
一次巻線11及び二次巻線12は、平面状に巻回された線材であれば特に限定されないが、中央部に開口を有する形状であることが好ましい。また、外形形状としても特に限定はなく、四角形状、円形状、楕円形状、多角形状等が挙げられる。
【0024】
一次磁性体コア21及び二次磁性体コア22としては、所望の磁気特性の実現容易性及び、所望の形状の成形容易性の観点から、軟磁性体であることが好ましく、軟磁性体粉末を成形したものを用いることができる。軟磁性体として特に制限はないが、透磁率が高く、電気抵抗が高いものが好ましく、高周波領域での渦電流損失が小さい、例えば、マンガン亜鉛フェライト、ニッケル亜鉛フェライト、銅亜鉛フェライト等のフェライトが挙げられる。
【0025】
一次磁性体コア21及び二次磁性体コア22の外形形状は、対向する二つの主面を有する形状であれば特に制限はなく、主面の形状が、四角形、多角形、円形、楕円形等のいずれの形状であってもよい。
【0026】
給電側シールド材51及び受電側シールド材52としては、導電性の高い金属板を用いるとよい。金属板としては、アルミニウム板、銅板等が挙げられる。給電側シールド材51及び受電側シールド材52の外形形状は、対向する二つの主面を有する形状であれば特に制限はなく、主面の形状が、四角形、多角形、円形、楕円形等のいずれの形状であってもよい。
【0027】
[第二実施形態]
ここで、図2は、本発明の第二実施形態に係るワイヤレス電力伝送装置の断面図である。
本実施形態に係るワイヤレス電力伝送装置2は、下記のような給電部10及び受電部20を備える。
(給電部10)
一次巻線11、及び、対向する二つの主面21S,21S’を持つ一次磁性体コア21を有する給電側コイル41と、対向する二つの主面51S,51S’を持つ給電側シールド材51とを含む。一次磁性体コア21の持つ主面の一方21S’と給電側シールド材51の持つ主面の一方51Sとが互いに対向して配置されている。
一次巻線11は、一次磁性体コア21の持つ二つの主面21S,21S’を複数回横切って、一次磁性体コア21の周囲を螺旋状に巻回される線材である。
(受電部20)
二次巻線12、及び、対向する二つの主面22S,22S’を持つ二次磁性体コア22を有する受電側コイル42と、対向する二つの主面52S,52S’を持つ受電側シールド材52とを含み、二次磁性体コア22の持つ主面の一方22S’と受電側シールド材52の持つ主面の一方52Sとが互いに対向し、かつ、受電側コイル42と受電側シールド材52とが重なって配置されている。
二次巻線12は、二次磁性体コア22の持つ二つの主面22S,22S’を複数回横切って、二次磁性体コア22の周囲を螺旋状に巻回される線材である。二次巻線がこのように配置されていることにより、本実施形態において、「受電側コイル42と受電側シールド材52とが重なって配置されている」とは、二次巻線12の長軸方向に伸びた巻線の接線を含み、受電側シールド材52の持つ主面の一方52Sに平行である、受電側シールド材52と最も近接した仮想面12S’と、受電側シールド材52の一方の主面52Sとが接して、受電側コイル42と受電側シールド材52とが積層されていることを意味する。
【0028】
上記給電部10及び上記受電部20とは、下記のように配置されている。
給電部10と受電部20とは、一次巻線11と二次巻線12とを介して、一次磁性体コア11の持つ主面の他方21Sと二次磁性体コアの持つ主面の他方22Sとが互い対向し、かつ略平行に配置されており、給電側シールド材51の給電側コイル41との対向面51Sから、給電側コイル41の給電側シールド材51との対向面41S’までの距離l2は、受電側シールド材52の受電側コイル42との対向面52Sから、受電側コイル42の受電側シールド材52との対向面42S’までの距離よりも長い。
【0029】
ここで、本実施形態において、「給電側コイル41の給電側シールド材51との対向面41S’」とは、一次巻線が上述のように配置されていることにより、一次巻線11の長軸方向に伸びた巻線の接線を含み、給電側シールド材51の持つ主面の一方51Sに平行である、給電側シールド材51と最も近接した仮想面11S’を意味する。また、「給電側シールド材51の給電側コイル41との対向面51S」とは、一次巻線が上述のように配置されていることにより、給電側シールド材51の上記仮想面11S’との対向面51Sを意味する。
また、本実施形態において、「受電側コイル42の受電側シールド材52との対向面42S’」とは、二次巻線が上述のように配置されていることにより、二次巻線12の長軸方向に伸びた巻線の接線を含み、受電側シールド材52の持つ主面の一方52Sに平行である、受電側シールド材52と最も近接した仮想面12S’を意味する。また、「受電側シールド材52の受電側コイル42との対向面52S」とは、二次巻線が上述のように配置されていることにより、給電シールド材52の上記仮想面12S’との対向面を意味する。
【0030】
本実施形態に係るワイヤレス電力伝送装置1は、上述した構造を有することにより、本発明による効果がより確実に奏される。
【0031】
本実施形態において、一次巻線11及び二次巻線12の材質は、第一実施形態で用いられた一次巻線11及び二次巻線12と同様の材質を用いることができる。一次巻線11及び二次巻線12は、一次磁性体コア21及び二次磁性体コア22の持つ二つの主面を、それぞれ複数回横切って、一次磁性体コア21及び二次磁性体コア22の周囲を、それぞれ螺旋状に巻回された線材であれば特に限定されない。一次巻線11及び二次巻線12の外形形状としても特に限定はなく、螺旋状に巻回された線材の長軸方向に垂直な断面形状が四角形状、多角形状、円形状、楕円形状等が挙げられる。
【0032】
一次磁性体コア21及び二次磁性体コア22の材質及び外形形状としては、第一実施形態で用いられたものと同様の材質及び外形形状とすることができる。
【0033】
給電側シールド材51及び受電側シールド材52の材質及び外形形状としても、第一実施形態で用いられたものと同様の材質及び外形形状とすることができる。
【0034】
図3は、本発明のワイヤレス電力伝送装置を電気自動車への給電装置に適用した状態を示す概略図である。電気自動車30は、受電コイル39を含むコイルユニット31と、このコイルユニット31に整流器34、DC/DCコンバータ35を経由して接続されたバッテリ36とを備えている。受電コイル39を含むコイルユニット31は、本発明における受電部20に相当する。
【0035】
電気自動車30の下部に配設された給電装置33は、送電コイル38を含むコイルユニット31と、このコイルユニット31に高周波電力ドライバ37を経由して接続された交流電源32を備えている。送電コイル38を含むコイルユニット31は、本発明における給電部10に相当する。
【0036】
受電コイル39は、両端がオープン(非接続)のコイルであり、給電装置33の送電コイル38と電磁場を介して電力を受電する。
【0037】
送電コイル38から受電コイル39に電力が受け渡されるワイヤレス電力伝送装置において、本発明における受電部と給電部を用いることにより、電力伝送効率に優れ、かつ、受電部における、周囲への不要輻射及び周囲からの電磁的影響の低減された電気自動車用のワイヤレス電力伝送装置が実現できる。
【0038】
なお、本発明のワイヤレス電力伝送用装置は、受電側コイルを電気自動車のほか電車等の他の移動体、家電製品、電子機器、無線通信機器、玩具、といったさまざまな製品への給電装置へ応用が可能である。
【実施例】
【0039】
以下、実施例に基づいて本発明をより具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
【0040】
<給電部及び受電部の作成>
以下のような給電側コイルと給電側シールド材とを用い、給電部を準備した。また、以下のような受電側コイルと受電側シールド材とを用い、受電部を準備した。
(給電部)
給電側コイル:縦40cm、横40cm、厚さ2mmのフェライト板(一次磁性体コア)の主面の一方に、縦35cm、横35cm、厚さ5mmの平面状の巻線(一次巻線)を接着した。
給電側シールド材:縦40cm、横40cm、厚さ2mmのアルミニウム板を用いた。
(受電部)
受電側コイル:縦25cm、横25cm、厚さ2mmのフェライト板(二次磁性体コア)の主面の一方に、縦20cm、横20cm、厚さ5mmの平面状の巻線(二次巻線)を接着した。
受電側シールド材:縦25cm、横25cm、厚さ2mmのアルミニウム板を用いた。
【0041】
<Q値の測定>
以下のような方法で、給電側コイルのインダクタンス(LTX)及びQ値(QTX)を測定した。まず、図1に示すような給電側コイルの平面状の一次巻線に、受電側コイルの平面状の二次巻線が対向するように給電側コイル及び受電側コイルを配置した。給電側コイルと受電側コイルとは略平行であり、給電側コイルの平面状の一次巻線の主面11Sから、受電側コイルの平面状の二次巻線の主面12Sまでの距離を10cmとした。
次に、給電側シールド材を、その主面の一方が、一次磁性体コアの二つの主面のうち、平面状の一次巻線が設けられた側とは反対側の面から0cm、1cm、2cm、3cm、4cm、5cmに位置するよう変化させて配置した(すなわち、給電側シールド材の給電側コイル(一次磁性体コア)との対向面から、給電側コイル(一次磁性体コア)の給電側シールド材との対向面までの距離:0cm、1cm、2cm、3cm、4cm、5cm)。
一方、受電側シールド材を、その主面の一方が、二次磁性体コアの二つの主面のうち、平面状の巻線が設けられた側とは反対側の面と接するように配置した(すなわち、受電側シールド材の受電側コイル(二次磁性体コア)との対向面から、受電側コイル(二次磁性体コア)の受電側シールド材との対向面までの距離:0cm)。
給電側コイルの一次巻線は、巻線の両端にLCRメータ(Agilent社製 商品名:4294A PRICISION IMPEADANCE ANALYZER)を接続し、受電側コイルの二次巻線においては、その両端同士を接触させた。受電側シールド材と受電側コイルとの距離を、上述したように変化させながら給電側コイルのインダクタンスLTX及びQTXを測定した。測定においては、周波数f=85kHzの交流電流を印加した。なお、LTXとQTXとの間には、測定時に与える交流電流の周波数fと、給電側コイルの巻線の抵抗rTXとの間に、下記式(1)で表される関係がある。
TX=2πfLTX/r (1)
【0042】
上述のようにして得られた、給電側シールド材の給電側コイル(一次磁性体コア)との対向面から給電側コイル(一次磁性体コア)の給電側シールド材との対向面までの距離(横軸)と、給電側コイルのQ値(QTX、縦軸)との関係を、図4に示す。給電側シールド材の給電側コイル(一次磁性体コア)との対向面から給電側コイル(一次磁性体コア)の給電側シールド材との対向面までの距離を、0cmから5cmまで変化させると、給電側コイルのQ値は、0cmから1cmの間で急激に増加し、1cmから2cmの間で緩やかに増加し、2cmから5cmの間で微増した。このような結果から、受電側コイルと受電側シールド材とが重なって配置され、かつ、給電側シールド材の給電側コイルとの対向面から給電側コイルの給電側シールド材との対向面までの距離を、受電側シールド材の受電側コイルとの対向面から受電側コイルの受電側シールド材との対向面までの距離よりも長くすることにより、給電側コイルのQ値(QTX)を向上できることが明らかとなった。
【符号の説明】
【0043】
1,2…ワイヤレス電力伝送用装置、10…給電部、11…一次巻線、12…二次巻線、20…受電部、21…一次磁性体コア、22…二次磁性体コア、30…電気自動車、31…コイルユニット、32…交流電源、33…給電装置、34…整流器、35…DC/DCコンバータ、36…バッテリ、37…高周波電力ドライバ、38…送電コイル、39…受電コイル、41…受電側コイル、42…給電側コイル、51…給電側シールド材、52…受電側シールド材。
図1
図2
図3
図4