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特開2017-212965低アルコールワイン様飲料及びその製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2017-212965(P2017-212965A)
(43)【公開日】2017年12月7日
(54)【発明の名称】低アルコールワイン様飲料及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
   C12G 3/04 20060101AFI20171110BHJP
【FI】
   C12G3/04
【審査請求】未請求
【請求項の数】14
【出願形態】OL
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2016-111024(P2016-111024)
(22)【出願日】2016年6月2日
(71)【出願人】
【識別番号】303040183
【氏名又は名称】サッポロビール株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100128381
【弁理士】
【氏名又は名称】清水 義憲
(74)【代理人】
【識別番号】100176773
【弁理士】
【氏名又は名称】坂西 俊明
(74)【代理人】
【識別番号】100206944
【弁理士】
【氏名又は名称】近藤 絵美
(72)【発明者】
【氏名】土松 知歳
【テーマコード(参考)】
4B115
【Fターム(参考)】
4B115LG03
4B115LH11
4B115LP02
(57)【要約】
【課題】本発明は、良好な酸味を有する低アルコールワイン様飲料を提供することを目的とする。
【解決手段】乳酸及びクエン酸三ナトリウムを含み、乳酸の含有量が0.1w/v%以上0.5w/v%以下であり、酒石酸の含有量が0.7w/v%以下である、低アルコールワイン様飲料。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
乳酸及びクエン酸三ナトリウムを含み、乳酸の含有量が0.1w/v%以上0.5w/v%以下であり、酒石酸の含有量が0.7w/v%以下である、低アルコールワイン様飲料。
【請求項2】
乳酸の含有量が0.1w/v%以上0.4w/v%以下である、請求項1に記載の飲料。
【請求項3】
クエン酸三ナトリウムの含有量が0.0w/v%超0.4w/v%以下である、請求項1又は2に記載の飲料。
【請求項4】
乳酸に対するクエン酸三ナトリウムの含有質量比が0.2以上2.0以下である、請求項1〜3のいずれか一項に記載の飲料。
【請求項5】
乳酸に対するクエン酸三ナトリウムの含有質量比が0.4以上1.5以下である、請求項1〜3のいずれか一項に記載の飲料。
【請求項6】
酒石酸の含有量が、0.0w/v%超0.6w/v%以下である、請求項1〜5のいずれか一項に記載の飲料。
【請求項7】
乳酸に対する酒石酸の含有質量比が0.2以上1.0以下である、請求項1〜6のいずれか一項に記載の飲料。
【請求項8】
赤ワイン様飲料である、請求項1〜7のいずれか一項に記載の飲料。
【請求項9】
アルコール濃度が5体積%以下である、請求項1〜8のいずれか一項に記載の飲料。
【請求項10】
ワイン様飲料原料に、水、乳酸及びクエン酸三ナトリウムを添加することを含み、前記乳酸が、飲料中の乳酸の含有量が0.1w/v%以上0.5w/v%以下となるように添加される、低アルコールワイン様飲料の製造方法。
【請求項11】
前記クエン酸三ナトリウムは、飲料中のクエン酸三ナトリウム含有量が0.0w/v%超0.4w/v%以下となるように添加される、請求項10に記載の製造方法。
【請求項12】
前記クエン酸三ナトリウム及び乳酸は、乳酸に対するクエン酸三ナトリウムの含有質量比が0.2以上2.0以下となるように添加される、請求項10又は11に記載の製造方法。
【請求項13】
飲料中の酒石酸含有量が0.0w/v%超0.6w/v%以下となるように酒石酸を添加することを更に含む、請求項10〜12のいずれか一項に記載の製造方法。
【請求項14】
前記乳酸及び酒石酸は、飲料中の乳酸に対する酒石酸の含有質量比が0.2以上1.0以下となるように添加される、請求項13に記載の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、低アルコールワイン様飲料及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
アルコール濃度が低いワイン様飲料の需要が近年高まっている。例えば特許文献1には、グルコン酸濃度、酒石酸濃度、及び総酸量を特定のバランスに調節した、ノンアルコール又は低アルコールのワイン風味飲料が開示されている。
【0003】
特許文献2では、ワインに乳酸を特定量添加することを含む、調理用ワインの製造方法が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2013−255490号公報
【特許文献2】特開2015−15926号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
アルコール濃度が低いワイン様飲料は、通常のワインを希釈して製造されるため、酸味が弱いという問題がある。
【0006】
本発明は、良好な酸味を有する低アルコールワイン様飲料を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の低アルコールワイン様飲料は、乳酸及びクエン酸三ナトリウムを含み、乳酸の含有量が0.1w/v%以上0.5w/v%以下であり、酒石酸の含有量が0.7w/v%以下である。
【0008】
乳酸の含有量は、0.1w/v%以上0.4w/v%以下であることが好ましい。乳酸の含有量を上記範囲とすることにより、ワイン様飲料の酸味及びまろやかさをより改善することができる。
【0009】
クエン酸三ナトリウムの含有量は、0.0w/v%超0.4w/v%以下であることが好ましい。クエン酸三ナトリウムの含有量を上記範囲とすることにより、ワイン様飲料の酸味及びバランスをより改善することができる。
【0010】
乳酸に対するクエン酸三ナトリウムの含有質量比は、0.2以上2.0以下であることが好ましく、0.4以上1.5以下であることがより好ましい。乳酸に対するクエン酸三ナトリウムの含有質量比を上記範囲とすることにより、ワイン様飲料の酸味及びバランスをより改善することができる。
【0011】
酒石酸の含有量は、0.0w/v%超0.6w/v%以下であることが好ましい。酒石酸の含有量を上記範囲とすることにより、ワイン様飲料の酸味及びバランスをより改善することができる。
【0012】
乳酸に対する酒石酸の含有質量比は、0.2以上1.0以下であることが好ましい。乳酸に対する酒石酸の含有質量比を上記範囲とすることにより、ワイン様飲料の酸味、まろやかさ及びバランスをより改善することができる。
【0013】
上記ワイン様飲料は、赤ワイン様飲料であることが好ましい。また、上記飲料は、アルコール濃度が5体積%以下であってよい。
【0014】
本発明の低アルコールワイン様飲料の製造方法は、ワイン様飲料原料に、水、乳酸及びクエン酸三ナトリウムを添加することを含み、上記乳酸は、飲料中の乳酸の含有量が0.1w/v%以上0.5w/v%以下となるように添加される。
【0015】
上記製造方法において、上記クエン酸三ナトリウムは、飲料中のクエン酸三ナトリウム含有量が0.0w/v%超0.4w/v%以下となるように添加されることが好ましい。
【0016】
上記製造方法において、上記クエン酸三ナトリウム及び乳酸は、乳酸に対するクエン酸三ナトリウムの含有質量比が0.2以上2.0以下となるように添加されることが好ましい。
【0017】
上記製造方法は、飲料中の酒石酸含有量が0.0w/v%超0.6w/v%以下となるように酒石酸を添加することを更に含んでもよい。
【0018】
上記乳酸及び酒石酸は、飲料中の乳酸に対する酒石酸の含有質量比が0.2以上1.0以下となるように添加されることが好ましい。
【発明の効果】
【0019】
本発明により、良好な酸味を有する低アルコールワイン様飲料が提供される。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明を実施するための形態について詳細に説明する。なお、本発明は、以下の実施形態に限定されるものではない。
【0021】
本発明の低アルコールワイン様飲料は、乳酸及びクエン酸三ナトリウムを含み、乳酸の含有量が0.1w/v%以上0.5w/v%以下であり、酒石酸の含有量が0.7w/v%以下である。
【0022】
本明細書において、ワイン様飲料とは、ワインのような味及び香りを呈するものであって、飲用の際にワインを飲用したような感覚を飲用者に与える飲料をいう。ワイン様飲料は、例えば、日本国酒税法(昭和二十八年二月二十八日法律第六号)上の果実酒、甘味果実酒、又はリキュールに分類されるものであってよい。本発明による効果をより顕著に奏する観点から、ワイン様飲料は赤ワイン様飲料であることが好ましい。ワイン様飲料は、原料にワインを含むことが好ましく、赤ワインを含むことがより好ましい。ワイン様飲料は、ワインであってよく、赤ワインであってもよい。
【0023】
本明細書において低アルコールとは、アルコール濃度が5体積%以下であることをいう。本実施形態に係る低アルコールワイン様飲料のアルコール濃度は、4体積%以下であってもよく、3体積%以下であってもよく、2体積%以下であってもよく、1体積%以下であってもよい。アルコール濃度は0.5体積%以上であってよく、1体積%以上であってよく、2体積%以上又は3体積%以上であってもよい。なお、本明細書においてアルコールとは、特に言及しない限りエタノールを意味する。
【0024】
ワイン様飲料は、発泡性であってもよく、非発泡性であってもよい。本明細書において発泡性とは、20℃におけるガス圧が0.049MPa(0.5kg/cm)以上であることをいい、非発泡性とは、20℃におけるガス圧が0.049MPa(0.5kg/cm)未満であることをいう。ワイン様飲料は非発泡性であることが好ましい。
【0025】
本実施形態に係るワイン様飲料は、乳酸を0.1w/v%以上0.5w/v%以下含有する。乳酸の含有量は、0.1w/v%以上0.4w/v%以下であることが好ましく、0.2w/v%以上0.3w/v%以下であることがより好ましい。乳酸の含有量が上記範囲であると、ワイン様飲料が、弱すぎず強すぎず良好な範囲の酸味を有し、また、まろやかさ及びバランスにより優れたものとなる。飲料中の乳酸含有量は、HPLC(高速液体クロマトグラフィー)により測定することができる。
【0026】
本実施形態に係るワイン様飲料は、クエン酸三ナトリウムを含む。クエン酸三ナトリウムは飲料において酸味料として用いられるものである。クエン酸三ナトリウムの含有量は、例えば0.0w/v%超0.8w/v%以下であってよく、0.0w/v%超0.6w/v%以下であることが好ましく、0.0w/v%超0.4w/v%以下であることがより好ましく、0.05w/v%以上0.3w/v%以下であることが更に好ましい。クエン酸三ナトリウムの含有量が上記範囲であると、ワイン様飲料が、より良好な程度の酸味を有し、また、まろやかさ及びバランスに優れたものとなる。また、ワイン様飲料の酸度が高い場合であっても、飲用時の酸味、まろやかさ及びバランスを良好に保ち得る。本明細書において、飲料におけるクエン酸三ナトリウムの含有量とは、飲料中に電離して存在する量を含む。
【0027】
本実施形態に係るワイン様飲料において、乳酸に対するクエン酸三ナトリウムの含有質量比は、例えば0.0超3.3以下であってよく、0.2以上2.0以下であることが好ましく、0.4以上1.7以下であることがより好ましく、0.4以上1.5以下であることが更に好ましく、0.4以上1.2以下であることがより更に好ましく、0.7以上1.0以下であることが特に好ましい。乳酸に対するクエン酸三ナトリウムの含有質量比が上記範囲であると、ワイン様飲料の酸味、まろやかさ、及びバランスがより優れたものとなる。
【0028】
本実施形態に係るワイン様飲料は、酒石酸の含有量が0.7w/v%以下である。ワイン様飲料の酒石酸の含有量は、0.6w/v%以下であることが好ましく、0.4w/v%以下であることがより好ましく、0.3w/v%以下であることが更に好ましい。ワイン様飲料の酒石酸の含有量は、0.0w/v%超であってよく、0.05w/v%以上であってよく、0.1w/v%以上であってもよい。ワイン様飲料は酒石酸を含んでいなくてもよい。飲料中の酒石酸含有量は、HPLCにより測定する。なお、本明細書において、ワイン様飲料中の乳酸及び酒石酸の含有量は、各酸の全部又は一部が塩の形態として含まれる場合には、塩を含む総量を酸の量として換算した値である。ただし塩が結晶化した不溶物として含まれる場合は当該不溶物量を含まない。
【0029】
本実施形態に係るワイン様飲料において、乳酸に対する酒石酸の含有質量比は、3.0以下であってよく、0.2以上2.5以下であることが好ましく、0.2以上1.5以下であることがより好ましく、0.2以上1.0以下であることが更に好ましく、0.2以上0.6以下であることがより更に好ましい。
【0030】
本実施形態に係るワイン様飲料の酸度は、例えば0.25〜1.1w/v%であってよく、0.3〜0.9w/v%であることが好ましく、0.4〜0.7w/v%であることがより好ましく、0.4〜0.5w/v%であることが更に好ましい。ワイン様飲料の酸度は、飲料100mL中に含まれる有機酸量を酒石酸に換算した場合のグラム数(g/100mL酒石酸換算)で表すことができる。酸度は、日本農林規格JASの酸度測定法で定められた方法、つまり、0.1mol/L水酸化ナトリウム標準液をアルカリ溶液として使用した中和滴定法(定量式)により測定する。
【0031】
本実施形態に係る低アルコールワイン様飲料は、例えば、ベースとなるワイン様飲料原料に、水を添加して希釈し、乳酸、クエン酸三ナトリウム、及び必要に応じて酒石酸等を、所望の含有量となるように添加することにより製造することができる。すなわち、本実施形態に係る低アルコールワイン様飲料の製造方法は、ワイン様飲料原料に、水、乳酸及びクエン酸三ナトリウムを添加することを含み、乳酸は、飲料中の乳酸の含有量が0.1w/v%以上0.5w/v%以下となるように乳酸を添加される。本実施形態に係る製造方法により得られる低アルコールワイン様飲料は、良好な程度の酸味を有する。
【0032】
上記製造方法において、ベースとなるワイン様飲料原料は、日本国酒税法上の果実酒、甘味果実酒、又はリキュールに分類されるものであってよい。ワイン様飲料原料は、ワインであってもよく、ワインに水、酸類等が既に添加された加工品であってもよい。ワイン様飲料原料はワインであることが好ましく、赤ワインであることがより好ましい。ワインは公知の方法で製造されたものを用いることができる。ワインは、マロラクティック発酵を経たものであることが好ましい。マロラクティック発酵を経たワインは、乳酸菌によりワイン中のリンゴ酸が乳酸に変換されているため、酸味が適度に抑えられ、まろやかさが向上したものとなる。したがって、ワイン様飲料原料としてマロラクティック発酵を経たワインを含む原料を用いることにより、得られるワイン様飲料の酸味、まろやかさ及びバランスをより向上させることができる。
【0033】
上記製造方法において、全原料中、ワインを例えば10〜95w/v%含んでいてよく、20〜70w/v%含むことが好ましく、30〜50w/v%含むことがより好ましい。
【0034】
上記製造方法において、乳酸の添加は、飲料中の乳酸の含有量が、例えば0.1w/v%以上0.4w/v%以下、又は0.2w/v%以上0.3w/v%以下となるように行われてもよい。乳酸の添加量は、ワイン様飲料に対して例えば0.05w/v%以上0.5w/v%以下であってよく、0.1w/v%以上0.4w/v%以下、又は0.2w/v%以上0.3w/v%以下であってもよい。
【0035】
上記製造方法において、クエン酸三ナトリウムの添加は、飲料中のクエン酸三ナトリウムの含有量が、例えば0.0w/v%超0.8w/v%以下、0.0w/v%超0.6w/v%以下、0.0w/v%超0.4w/v%以下、又は0.05w/v%以上0.3w/v%以下となるように行われてもよい。上記製造方法において、クエン酸三ナトリウムの添加量は、ワイン様飲料に対して、例えば0.0w/v%超0.8w/v%以下であってよく、0.0w/v%超0.6w/v%以下、0.0w/v%超0.4w/v%以下、又は0.05w/v%以上0.3w/v%以下であってもよい。
【0036】
上記製造方法においては、酒石酸を添加してもよい。酒石酸の添加は、例えば、飲料中の酒石酸含有量が0.7w/v%以下となるように行われてもよく、0.0w/v%超0.6w/v%以下、0.0w/v%超0.4w/v%以下、又は0.0w/v%超0.3w/v%以下となるように行われてもよい。上記製造方法において、酒石酸の添加量は、ワイン様飲料に対して、例えば0.0w/v%超0.7w/v%以下であってよく、0.0w/v%超0.6w/v%以下、0.0w/v%超0.5w/v%以下、0.0w/v%超0.3w/v%以下、又は0.0w/v%超0.2w/v%以下であってもよい。上記製造方法においては、酒石酸を添加しなくてもよい。
【0037】
上記製造方法における、ワイン様飲料のアルコール濃度、飲料中の乳酸に対するクエン酸三ナトリウムの含有質量比、及び乳酸に対する酒石酸の含有質量の態様については、上述の低アルコールワイン様飲料について説明したとおりである。
【0038】
乳酸、クエン酸三ナトリウム及び必要に応じて酒石酸を添加する態様は特に限定されない。これらの原料は、例えば粉末状のものを添加してもよく、水又はワイン様飲料原料の一部に予め溶解したものを添加してもよい。ワイン様飲料に添加される水は、水そのものとして添加してもよく、乳酸等の原料を予め溶解した水溶液として添加してもよく、その他の原料に含まれる水分として添加してもよい。ワイン様飲料原料に各原料を添加した後、攪拌機、窒素によるバブリング等で攪拌することが好ましい。上記製造方法は、ワイン様飲料に発泡性を付与することを含んでいてもよい。発泡性の付与は、例えば、炭酸水の添加、カーボネーション等により行うことができる。
【0039】
本実施形態に係るワイン様飲料は、本発明による効果を妨げない限り、その他にリンゴ酸、グルコン酸等の有機酸、糖類、果汁、香料等が添加されていてもよい。本実施形態に係るワイン様飲料は、リンゴ酸及びグルコン酸が添加されていないことが好ましい。また、上記ワイン様飲料は、リンゴ酸を含まないことが好ましい。
【実施例】
【0040】
以下、実施例に基づいて本発明をより具体的に説明する。ただし、本発明は、以下の実施例により限定されるものではない。
【0041】
常法により発酵して得られたワインをワイン様飲料原料とし、これに、水、乳酸、クエン酸三ナトリウム二水和物、及び必要に応じて酒石酸を添加して混合し、アルコール濃度3体積%のワイン様飲料を得た。得られたワイン様飲料の乳酸濃度、酒石酸濃度、及びクエン酸三ナトリウム二水和物添加量(クエン酸三ナトリウム換算)を表1、2、3に示す。添加する乳酸としては、50質量%水溶液を用いた。
【0042】
乳酸、酒石酸の含有量はそれぞれHPLCにより測定した。酒石酸対乳酸の含有質量比を算出した。クエン酸三ナトリウム添加量をクエン酸三ナトリウム含有量とみなして、クエン酸三ナトリウム対乳酸の含有質量比を求めた。
【0043】
【表1】
【0044】
【表2】
【0045】
【表3】
【0046】
得られたワイン様飲料について、エキス分を「国税庁所定分析方法(訓令)9 果実酒」に記載の方法により測定した。ワイン様飲料のエキス分及び総酸度を表1、2、3に示す。
【0047】
得られたワイン様飲料について熟練のパネルにより官能評価を行った。具体的には、各サンプルを試飲し、酸味とまろやかさ又はバランスについて、それぞれ下記のとおり1〜5の5段階で評価し、平均値を求めた。なお、味がまろやかであるとは、十分な酸味を有し、苦みが十分に抑制されていることをいい、バランスが良いとは、飲料として、甘味、酸味、渋味及び苦味の4要素のバランスに優れることをいう。また、各項目について、表中の区分及び評価値に基づいて、良好(◎)、やや良好(○)、可(△)、及び不可(×)に分けた。結果を表1、2、3に示す。
酸味:1…酸味が強い、2…酸っぱい、3…やや酸っぱい、4…僅かに酸味がある、5…酸味が弱い。
まろやかさ:1…苦みが浮く、2…味がぼやける、3…やや酸不足、4…やや味がまろやか、5…味がまろやか。
バランス:1…バランスに欠ける、2…ややバランスに欠ける、3…バランスがある、4…ややバランスが良い、5…バランスが良い。