【解決手段】本発明の一実施形態に係る音声出力装置は、別機である遊技機にて出力される音声と同一の音声をヘッドフォンに出力する音声出力装置であって、遊技機から音声に対応付けられた音声識別子を取得する取得手段と、取得手段により取得された音声識別子に基づいて音声識別子に対応付けられた音声を再生する音声再生手段と、音声再生手段により再生された音声を前記ヘッドフォンに出力する出力手段とを備える。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照して、本発明を実施するための形態について説明する。
<構成>
(外観構成)
図1は、本発明の一実施形態に係る遊技システムの全体構成を示す図である。
図2は、本発明の一実施形態に係るパチンコ機の正面図である。以下、
図1及び2を参照しながら説明する。
本実施形態に係る遊技システムは、弾球遊技機(以下、「パチンコ機」とも呼ぶ)1、音声出力装置20、及びヘッドフォン30を含む。
【0010】
パチンコ機1は、いわゆるデジタルパチンコ機(デジパチ機)である。遊技者が操作ハンドル2を操作し、上受皿3上の遊技球の打ち出しを行うと、透明のフロントガラスに保護された遊技盤4内に遊技球が打ち出される。打ち出された遊技球が始動口5に入賞すると、パチンコ機1内部では、大当たり抽せんが行われる。また、始動口5に遊技球が入賞すると同時に映像表示装置6に表示された図柄(例えば、3つの数字図柄など)が変動し、大当たり抽せんに当せんした場合、例えば、停止図柄が揃うなどして、大当たり状態が発生する。大当たり状態が発生すると、大入賞口7が大当たりラウンド数の回数分、開閉する。
【0011】
また、本実施形態に係るパチンコ機1は、音声画像表示装置8を備える。音声画像表示装置8は、パチンコ機1から出力される様々な音声を特定するための画像(以下、音声画像とよぶ)として表示する。この音声画像は、音声を特定するための情報(例えば、ID等)が所定の方法により変換された二次元バーコード(例えば、QRコード(登録商標))である。また、ここでいう音声とは、例えば、演出音、効果音、BGM、楽曲、セリフ(声)など、パチンコ機1から出力されるあらゆる音を含む。なお、上記音声画像は、一次元バーコードであってもよいし、文字列等からなるパスワードであってもよい。
【0012】
音声出力装置20が、フロントガラスを挟んで音声画像表示装置8に対向する位置に配置されている。音声出力装置20は小型の撮像部(カメラ)21を搭載し、音声画像表示装置8に表示された音声画像を撮影する。音声画像には、パチンコ機1から出力される音声を識別するための音声識別子が埋め込まれている。音声出力装置20は撮影した音声画像から音声識別子を取得し、音声識別子に基づいてパチンコ機1から出力される音声を生成し、生成した音声をヘッドフォン30に対して無線等により送信する。
なお、音声出力装置20は、パチンコ機1筐体とは別個の装置である。筐体に外から取り付けられる形で設置されてもよいし、パチンコ機間の島設備の一部等に取り付けられてもよい。
【0013】
ヘッドフォン30は、電気信号を音声に変換する機器であって、装着者の両耳を覆う形の小型スピーカーを備える。遊技中、遊技者はヘッドフォン30を両耳まわりにバンドで装着する。ヘッドフォン30は、音声出力装置20から音声を受信すると、音声をスピーカーから出力する。
なお、ヘッドフォン30は、音声(音声情報)を無線により受信可能な両耳用のワイヤレスヘッドフォンである。但し、音声出力装置20と有線コードで接続し、音声を有線により受信可能な有線ヘッドフォンであってもよい。また、ヘッドフォン30は、片耳用のイヤホンに代えてもよい。
【0014】
(機能構成)
図3は、本発明の一実施形態に係る遊技システムの制御系構成を示す図である。
まず、パチンコ機1は、基板系として主基板11及び周辺基板12を有する。
主基板11は、主に抽せん処理を司るメイン制御部としての機能を有するメイン制御基板である。主基板11は、各種演算、演出処理の制御等を実行する。即ち、
図1の始動口5に遊技球が入賞したことを検知すると、主基板11は、大当たり抽せん、ならびに該大当たり抽せんに関する演出における尺(音声発生時間)および演出の大枠(どんな流れでどんな演出を行うか;以下では、“演出種”とも呼ぶ)の抽せんを行う。主基板11は、該抽選によって得られた尺および演出の大枠(以下では、演出コマンドとも呼ぶ)を周辺基板12に送信する。
【0015】
周辺基板12は、主に演出処理を司るサブ制御部としての機能を有するサブ制御基板である。周辺基板12は、主基板11から受信する演出コマンドに応じて演出処理を実行する。周辺基板12には、演出に用いられる画像(映像)や音声といった演出データが記憶されている。周辺基板12は、周辺基板12は、主基板11から取得した演出コマンドに従って、具体的な演出内容を抽せんにより決定し、当該演出に用いられる画像(映像)を映像表示装置6に出力すると共に、当該演出に用いられる音声に対応付けられた音声識別子を埋め込んだ音声画像を生成し、これを音声画像表示装置8に表示する。
【0016】
音声画像表示装置8は、周辺基板12により生成された音声画像を表示する。なお、音声画像表示装置8に表示される音声画像は、音声識別子が様々な形で含まれていればよく、例えば、音声識別子がQRコード(登録商標)やバーコード等によりコード化されていたり、音声識別子が特定マーク、文字列又は記号等により埋め込まれていてもよい。また、音声画像表示装置8がセグにより実現される場合、セグランプの点灯/消灯する組み合わせや配列のバリエーションにより、音声識別子を埋め込むこともできる。
【0017】
音声出力装置20は、撮像部21、画像処理部22、音声再生部23、通信部24、記憶部25、および入力部26を有する。
【0018】
撮像部21は、音声画像表示装置8に表示される音声画像を撮像する、いわゆるカメラである。なお、本実施形態では、撮像部21が音声画像表示装置8に表示された音声画像を撮影可能となるような位置に音声出力装置20が配置されることが重要である。
【0019】
画像処理部22は、撮像部21により撮像された音声画像から音声識別子を取得する。上述したように、音声画像には音声識別子が埋め込まれており、所定の画像処理を実行することで、音声画像から音声識別子を抽出する。
【0020】
音声再生部23は、画像処理部22により取得された音声識別子に基づいて、該音声識別子に対応付けられた音声を取得し、該取得された音声を再生する。
【0021】
通信部24は、音声再生部23により再生された音声を、無線又は有線コード等を介してヘッドフォン30に出力する。
【0022】
記憶部25は、パチンコ機1の周辺基板12に記憶された音声の各々を少なくとも記憶している。すなわち、記憶部25は、周辺基板12が保持する各音声識別子と該音声識別子の各々に対応する音声とを関連付けたテーブルを有する。従って、音声出力装置20は、パチンコ機1にて出力される音声の全てを再生することができる。
【0023】
入力部26は、CD(Compact Disc)−ROM、DVD(Digital Versatile Disc)−ROMを含む可搬型記憶媒体から所定の音声(音声情報)を読み取ることができる。入力部26により読み取られた音声は記憶部25に記憶される。なお、上記所定の音声の取得は、可搬型記憶媒体から取得する形態に限らず、ネットワークを介してダウンロードにより取得してもよい。この場合は、入力部26は、ネットワークを介して他のコンピュータから上記音声を取得する。
【0024】
ヘッドフォン30は、通信部31及び出力部32を有する。
【0025】
通信部31は、音声出力装置20から出力されてくる音声を受信する。
【0026】
出力部32は、ヘッドフォン30のスピーカーに受信した音声を出力する。ヘッドフォン30のスピーカーに出力された音声は遊技者により聴音される。
なお、上記各機能部は、ハードウェア又はCPUが実行するプログラム、もしくはこれらの協動により実現されるものである。
【0027】
(音声と音声識別子とを対応付けるテーブル情報)
図4は、本発明の一実施形態に係る音声と音声識別子とを対応付けるテーブル情報を示す図である。テーブル情報は、パチンコ機1の周辺基板12が予め既知情報として記憶している。
図4に示されるように、テーブル情報には、「演出種」、「発生演出(演出の画像、演出の音声)」、及び「発生音/音声識別子」が予め対応付けられている。
【0028】
「演出種」は、演出の種類を示す。例えば、ハズレ(リーチにならない状態)、ノーマルリーチ、ノーマルロングリーチ、大当たりなどの種類がある。
「発生演出」は、「演出種」のうち、実際に発生する演出を示す。例えば、「演出種」がハズレの場合、ハズレA、ハズレB、ハズレCといったハズレ演出がある。また例えば、「演出種」がスーパーリーチの場合、スーパーリーチA、スーパーリーチB、スーパーリーチCといったスーパーリーチ演出がある。
「発生音/音声識別子」は、「発生演出」に対応付けられた演出音、音声識別子を示す。例えば、「発生演出」がスーパーリーチAの場合、スーパーリーチA発生に伴って出力される音声は、S0001という識別子により特定される音声である。つまり、「発生演出」がスーパーリーチAと決定されると、スーパーリーチAの映像と共に、S0001という識別子により特定される音声が出力される。
なお、ハズレであっても、演出のための音声は存在するので、3つの図柄のうちリーチにならない映像と共に、当該ハズレ演出に用いられる音声(例えば、Z0001〜Z0003の何れか)が出力される。
【0029】
<制御処理>
図5は、本発明の一実施形態に係る遊技システムの制御処理を示す全体シーケンス図である。
【0030】
S10:まず、パチンコ機1は、音声画像表示装置8に、音声識別子を含む音声画像を表示する。なお、パチンコ機1にて表示される演出の映像と同期して、音声出力装置20にて上記演出の映像に対応する音声を再生することを考慮すると、音声画像表示装置8への音声画像の表示は、映像表示装置6における該当映像の表示の開始よりも前であることが好ましい。
【0031】
S20:音声出力装置20は、パチンコ機1の音声画像表示装置8に表示された音声画像を撮像し、撮像された音声画像から音声識別子を取得し、取得した音声識別子に対応付けられた音声を再生する。なお、音声出力装置20は、所定の演出の映像が映像表示装置6にて表示されるタイミングと同期して、対応する音声を再生することが好ましい。例えば、音声画像表示装置8での音声画像の表示の開始からX秒後に該音声画像に関する演出の映像を映像表示装置6に表示するようにパチンコ機1を構成した場合、撮像部21にて音声画像を取得してからX秒後に該当音声を再生するように音声出力装置20を構成すればよい。
【0032】
また、本実施形態では、音声出力装置20は、パチンコ機1から音声識別子を取得した順に対応する音声を再生する。よって、音声出力装置20が所定の音声の再生中に次の音声識別子を取得した場合、音声出力装置20は、現在再生中の音声が終了した後に、新たに取得した音声識別子に対応する音声を再生する。また、例えば、音声出力装置20が第1の音声識別子に対応する音声を再生中に、順番に第2の音声識別子、第3の音声識別子を取得した場合、音声出力装置20は、第1の音声識別子に対応する音声が終了した後に第2の音声識別子に対応する音声を再生し、該第2の音声識別子に対応する音声が終了した後に第3の音声識別子に対応する音声を開始する。
【0033】
S30:ヘッドフォン30は、音声出力装置20から音声を受信し、スピーカーに受信した音声を出力する。ヘッドフォン30のスピーカーに出力された音声は遊技者により聴音される。
【0034】
以下、各ステップについて詳しく説明する。
図6は、本発明の一実施形態に係るパチンコ機の制御処理S10を示すフローチャート図である。
【0035】
S11:周辺基板12は、パチンコ機1から出力されるべき音声が発生したか否か(演出コマンドが生成されたか否か)を判定する。主基板11は、演出を発生させる場合、周辺基板12に演出を発生させるための演出コマンドを送信する。周辺基板12は、演出コマンドを受信した場合、出力されるべき音声が発生したと判定する。
【0036】
S12:周辺基板12は、演出コマンドの「演出種」と尺との情報に基づいて、抽せんにより「発生演出」を決定し、決定した「発生演出」に対応する音声識別子を一意に特定する。
【0037】
図4を参照し、例えば、主基板11からの演出コマンドにより「演出種」がスーパーリーチである場合、周辺基板12は、スーパーリーチのうち、スーパーリーチA、スーパーリーチB、又はスーパーリーチCの中から尺に合う何れか1つの「発生演出」を決定する。「発生演出」が決定されると、音声識別子も一意に特定される。「発生演出」がスーパーリーチAと決定されると、スーパーリーチAの発生に伴う音声として、S0001という音声識別子が特定される。
【0038】
S13:周辺基板12は、S12で特定した音声識別子を含む音声画像を生成する。
【0039】
S14:周辺基板12は、映像表示装置6にてS12にて決定された演出の画像を表示する前に、音声画像表示装置8に、S12で生成した音声識別子を含む音声画像を音声画像表示装置8にて表示させる。周辺基板12は、音声画像表示装置8にて音声画像を表示させた後、所定時間経過したら、現在表示されている音声画像の表示を停止させる。
【0040】
図7は、本発明の一実施形態に係る音声出力装置の制御処理S20を示すフローチャート図である。
【0041】
S21:撮像部21は、画像を取得したか否かを判定する。なお、ここで取得する画像は、必ずしも音声画像に限られず、音声識別子を含まない画像を取得する可能性もある。
【0042】
S22:画像処理部22は、S21で撮像された画像から音声識別子を取得できたか否かを判定する。上述したように、音声画像であれば音声識別子が埋め込まれており、所定の画像処理を実行することで、S21で取得された画像が音声画像であれば音声識別子を取得、抽出できる。
【0043】
S23:音声再生部23は、S22で取得された音声識別子に基づいて、該音声識別子に対応付けられた音声を再生する。例えば、S22で音声識別子S0001が取得された場合、音声識別子S0001に対応付けられた音声(スーパーリーチAの発生に伴う音声)を再生することができる(
図4参照)。即ち、音声再生部23は、記憶部25が有するテーブルを参照して、取得された音声識別子S0001に対応する音声を抽出して再生する。
【0044】
S24:通信部24は、S23で再生された音声を、無線又は有線コード等を介してヘッドフォン30に送信する。
【0045】
図8は、本発明の一実施形態に係るヘッドフォンの制御処理S30を示すフローチャート図である。
【0046】
S31:通信部31は、音声出力装置20から音声を受信したか否かを判定する。
【0047】
S32:出力部32は、音声を受信すると、ヘッドフォン30のスピーカーに受信した音声を出力する。
【0048】
以上、本実施形態に係る遊技システムによれば、上述の規則上の要件を充足しつつ、パチンコ機1にて出力される音声と同一のものをヘッドフォン30からを出力できるため、遊技者は楽しみたい自遊技機の音声(演出音楽や効果音等々)を十分に聞き取ることが可能である。また、各々のパチンコ機1からの音声はヘッドフォン30から出力されるようになるため、ホール店内の騒音環境を改善することもできる。また、本実施形態に係る遊技システムでは、パチンコ機1とは関係なく、小型の音声出力装置20と汎用のヘッドフォン30とをホールに提供すればよく、実装も比較的容易である。
【0049】
<変形例1>
図9は、本発明の一実施形態に係る遊技システムの制御処理を示す全体シーケンス図である。
図5と比較すると、ヘッドフォン30が複数存在する点で異なる。
【0050】
S10:まず、パチンコ機1は、音声画像表示装置8に、音声識別子を含む音声画像を表示する(表示させる)。
【0051】
S20:音声出力装置20は、パチンコ機1の音声画像表示装置8に表示された画像から音声識別子を取得し、該音声識別子に対応付けられた音声を再生する。
【0052】
S30:複数存在する各々のヘッドフォン30は、音声出力装置20から音声を無線により受信し、スピーカーに受信した音声を出力する。
【0053】
なお、音声出力装置20から各々のヘッドフォン30に音声を無線送信する際、音声と共にパチンコ機1の識別子(例えば、台番号)を付加して送信する。これにより、ヘッドフォン30は、複数のパチンコ機からの音声を受信すると共に、その音声が何れのパチンコ機から出力されたものであるかを識別することが可能である。
これにより、友人間で遊技したいものの隣り合って座れずに遊技台が離れるようなことになった場合でも、お互いに音声(演出音や効果音等々)の共有が可能となる。例えば、ヘッドフォン30において、通常は自台の音声を聞くようにし、音声出力装置20側又はヘッドフォン30の設定により、友人の音声としては特定の音声(例えば、スーパーリーチ)のみを聞くようにして楽しむことができる。
【0054】
<変形例2>
可視光通信とは、人の目に見える光である可視光を使って通信を行うものである。パチンコ機1の音声画像表示装置8(この場合、可視光表示装置といえる)において、音声識別子を埋め込んだ可視光を表示し、音声出力装置20は、パチンコ機1の可視光から音声識別子を取得し、該音声識別子に対応付けられた音声を再生する。また、可視光通信を用いると、可視光そのものを演出時の照明に兼ねることができるため、パチンコ機1の照明装置を兼ねて遊技性を一層向上させることが可能である。
【0055】
なお、上述の実施形態では、音声出力装置20が、再生すべき音声情報を記憶部25にて全て保持しているが、随時外部コンピュータから取得してもよい。この場合は、例えば、音声出力装置20をネットワークに接続させ、
図7のステップS22にて音声識別子を取得した場合に、ステップS23にて、上記ネットワークを介して音声管理サーバ(少なくともパチンコ機1に保持されている音声情報が格納されている)にアクセスして、音声管理サーバに取得された音声識別子に対応する音声を抽出させ、抽出した音声を音声管理サーバから取得すればよい。
【0056】
<総括>
以上のように、本実施形態に係る遊技システムにおいては、規則上の要件を充足しつつ、遊技機の演出に係る音声を好適に聞き取り可能な音声出力装置を提供することが可能である。
【0057】
なお、本発明の好適な実施の形態により、特定の具体例を示して本発明を説明したが、特許請求の範囲に定義された本発明の広範な趣旨及び範囲から逸脱することなく、これら具体例に様々な修正及び変更を加えることができることは明らかである。即ち、具体例の詳細及び添付の図面により本発明が限定されるものと解釈してはならない。