特開2017-213073(P2017-213073A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 日本製紙クレシア株式会社の特許一覧

<>
  • 特開2017213073-吸収性物品 図000003
  • 特開2017213073-吸収性物品 図000004
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2017-213073(P2017-213073A)
(43)【公開日】2017年12月7日
(54)【発明の名称】吸収性物品
(51)【国際特許分類】
   A61F 13/15 20060101AFI20171110BHJP
   A61F 13/511 20060101ALI20171110BHJP
   A61F 13/514 20060101ALI20171110BHJP
   A61F 13/537 20060101ALI20171110BHJP
【FI】
   A61F13/15 110
   A61F13/511 300
   A61F13/514 100
   A61F13/514 200
   A61F13/537 100
   A61F13/537 310
   A61F13/537 330
   A61F13/537 400
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2016-107506(P2016-107506)
(22)【出願日】2016年5月30日
(71)【出願人】
【識別番号】000183462
【氏名又は名称】日本製紙クレシア株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100144048
【弁理士】
【氏名又は名称】坂本 智弘
(74)【代理人】
【識別番号】100204755
【弁理士】
【氏名又は名称】渡辺 浩司
(74)【代理人】
【識別番号】100186679
【弁理士】
【氏名又は名称】矢田 歩
(74)【代理人】
【識別番号】100189186
【弁理士】
【氏名又は名称】大石 敏弘
(74)【代理人】
【識別番号】100196645
【弁理士】
【氏名又は名称】宮本 陽子
(72)【発明者】
【氏名】安藤 拓郎
【テーマコード(参考)】
3B200
【Fターム(参考)】
3B200AA01
3B200AA03
3B200BA14
3B200BA18
3B200BA20
3B200BB03
3B200BB09
3B200BB17
3B200DA14
3B200DA16
3B200DA27
3B200DB01
3B200DB02
3B200DC01
3B200DC02
3B200DD01
3B200DD02
(57)【要約】
【課題】水解性の吸収性物品であって、体液の漏れを生じにくい吸収性物品を提供すること。
【解決手段】トップシートと、バックシートと、トップシート及びバックシートの間に配置された吸収体と、を有する吸収性物品であって、トップシートが、水解性のスパンレース不織布により形成され、バックシートが、身体側表面にサイズプレス処理が施された水解性のスパンレース不織布により形成され、吸収体が、吸収体の身体側表面と接するように配置された半水解性の開口ポリビニルアルコールフィルムと、吸収体の衣類側表面と接するように配置された半水解性のポリビニルアルコールフィルムと、により挟持されている、吸収性物品。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
トップシートと、バックシートと、トップシート及びバックシートの間に配置された吸収体と、を有する吸収性物品であって、
トップシートが、水解性のスパンレース不織布により形成され、
バックシートが、身体側表面にサイズプレス処理が施された水解性のスパンレース不織布により形成され、
吸収体が、吸収体の身体側表面と接するように配置された半水解性の開口ポリビニルアルコールフィルムと、吸収体の衣類側表面と接するように配置された半水解性のポリビニルアルコールフィルムと、により挟持されている、吸収性物品。
【請求項2】
半水解性の前記開口ポリビニルアルコールフィルムが、長手方向又は幅方向に平行する断面波状の凹凸を有し、
前記開口ポリビニルアルコールフィルムの身体側表面における凸部に沿って、複数の開口が設けられている、請求項1に記載の吸収性物品。
【請求項3】
吸収体が、吸収性繊維及び高吸収性ポリマーを含み、吸収性繊維及び高吸収性ポリマーの密度が、0.03g/cm以上0.09g/cm以下である、請求項1又は2に記載の吸収性物品。
【請求項4】
トップシート、バックシート、吸収体、開口ポリビニルアルコールフィルム、及びポリビニルアルコールフィルムの、JIS P 4501に準拠したほぐれやすさが、100秒以下である、請求項1から3のいずれかに記載の吸収性物品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水解性を有する軽失禁ライナーや軽失禁パッド等の吸収性物品に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に吸収性物品は、液透過性のトップシートと、液不透過性のバックシートと、トップシート及びバックシートの間に配置された吸収体と、で構成されており、これにより、尿や血液等の体液は、トップシートを通って吸収体に吸収される。この吸収性物品は、想定される使用状況における体液の排出量に応じて、様々な吸収量のものが存在する。これらのうち、比較的少量の排出量の体液を吸収するものとしては、軽失禁ライナーや軽失禁パッド等が知られている。
【0003】
ところで、軽失禁ライナーや軽失禁パッドにおいては、これを水解性の材料から構成した製品も知られている。これらの水解性の吸収性物品は、使用後にトイレに廃棄することも可能であり、使用後の後処理が容易であるという利点がある。このような水解性の吸収性物品としては、例えば、特許文献1に、トップシートと、バックシートと、トップシート及びバックシートの間に介在する吸収体とを有する吸収性物品において、吸収体と、トップシート及びバックシートとが、吸収性物品の主たる吸収領域において、熱的接合手段により非連続の接合パターンで接合されており、この吸収領域において吸収体とトップシートとが非連続の接合パターンで接合されている部位全体の面積が、この吸収領域の1%から50%である水解性の吸収性物品が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2002−035026号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、このような水解性の吸収性物品においては、体液が吸収体やトップシート、バックシート等を伝わりやすく、体液の漏れが生じやすいという問題がある。特に、吸収体が迅速に体液を吸収可能な場合、体液の吸収開始後短時間でバックシートにまで体液が到達するため、吸収した体液がバックシートを崩壊させ、下着等を濡らしてしまうおそれもあった。したがって、本発明は以上の課題に鑑みてなされたものであり、水解性の吸収性物品であって、体液の漏れを生じにくい吸収性物品を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の発明者は、上記課題に鑑み、鋭意研究を行った。その結果、トップシートと、バックシートと、トップシート及びバックシートの間に配置された吸収体と、を有する吸収性物品において、バックシートを、身体側表面にサイズプレス処理が施された水解性のスパンレース不織布で構成するとともに、吸収体を、身体側の半水解性の開口ポリビニルアルコールフィルムと、衣類側の半水解性のポリビニルアルコールフィルムと、により挟持したことにより、上記の課題を解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。具体的には、本発明は、以下のものを提供する。
【0007】
(1)本発明の第1の態様は、トップシートと、バックシートと、トップシート及びバックシートの間に配置された吸収体と、を有する吸収性物品であって、トップシートが、水解性のスパンレース不織布により形成され、バックシートが、身体側表面にサイズプレス処理が施された水解性のスパンレース不織布により形成され、吸収体が、吸収体の身体側表面と接するように配置された半水解性の開口ポリビニルアルコールフィルムと、吸収体の衣類側表面と接するように配置された半水解性のポリビニルアルコールフィルムと、により挟持されている、吸収性物品である。
【0008】
(2)本発明の第2の態様は、(1)に記載の吸収性物品であって、半水解性の前記開口ポリビニルアルコールフィルムが、長手方向又は幅方向に平行する断面波状の凹凸を有し、前記開口ポリビニルアルコールフィルムの身体側表面における凸部に沿って、複数の開口が設けられていることを特徴とするものである。
【0009】
(3)本発明の第3の態様は、(1)又は(2)に記載の吸収性物品であって、吸収体が、吸収性繊維及び高吸収性ポリマーを含み、吸収性繊維及び高吸収性ポリマーの密度が、0.03g/cm以上0.09g/cm以下であることを特徴とするものである。
【0010】
(4)本発明の第4の態様は、(1)から(3)のいずれかに記載の吸収性物品であって、トップシート、バックシート、吸収体、開口ポリビニルアルコールフィルム、及びポリビニルアルコールフィルムの、JIS P 4501に準拠したほぐれやすさが、100秒以下であることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0011】
本発明の吸収性物品は、バックシートを、身体側表面にサイズプレス処理が施された水解性のスパンレース不織布で構成したので、バックシートが排泄された体液に接する身体側表面に耐水能が付与され、吸収体に吸収された体液が、バックシートに到達したとしても、バックシートが崩壊したり、下着を濡らしたりすることを防止できる。一方、バックシートの衣類側表面は、サイズプレス処理が施されていないため、トイレに廃棄した場合には、トイレの洗浄水に接するバックシートの衣類側表面から、バックシートを容易に崩壊させることができる。さらに、本発明においては、吸収体を、身体側の半水解性の開口ポリビニルアルコールフィルムと、衣類側の半水解性のポリビニルアルコールフィルムとで挟持しているので、トップシートを透過した体液が、開口ポリビニルアルコールフィルムで一旦保持されるとともに、吸収体に吸収された体液と、バックシートとの接触も、ポリビニルアルコールフィルムにより防止されるので、体液の吸収体への穏やかな吸収が担保されるとともに、多量の体液がバックシートに到達してバックシートを崩壊させてしまうことがない。したがって、吸収性物品を水解性の材料としながらも、体液の漏れを効果的に防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明の吸収性物品の断面模式図を示す図面である。
図2】トップシートと吸収体との間に配置される開口ポリビニルアルコールフィルムを模式的に示す図面である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明について図面を参照して詳細に説明する。なお、本実施形態の説明においては、全体を通して同じ要素には同じ符号を付している。本明細書における以下の説明において、体液とは、尿、血液、軟便中の水分等の体内から体外に排出される液体をいう。さらに、吸収性物品1の着用時とは、吸収性物品1の装着時及び装着後の少なくとも一方を示す。なお、本明細書の説明において、吸収性物品1の長手方向とは、吸収性物品1が着用されたときに着用者の前後に亘る方向であり、吸収性物品1の幅方向とは、長手方向に対して横又は直交する方向である。さらに、本明細書において、吸収性物品1の身体側表面とは、吸収性物品1の着用時に着用者の肌に当接する表面を指し、衣類側表面とは、吸収性物品1の着用時に着用者の衣類に当接する表面を指す。本明細書においては、吸収性物品1の身体側表面側を上側と称し、衣類側表面側を下側と称することがある。
【0014】
<吸収性物品>
図1は、本発明の吸収性物品1の断面模式図を示す図面である。本発明の吸収性物品1は、トップシート10と、バックシート30と、トップシート10及びバックシート30の間に配置された吸収体20と、を有し、吸収体20は、吸収体20の身体側表面と接するように配置された半水解性の開口ポリビニルアルコールフィルム15と、吸収体20の衣類側表面と接するように配置された半水解性のポリビニルアルコールフィルム25と、により挟持されているものである。
【0015】
[トップシート]
トップシート10は、吸収体20に向けて体液を速やかに通過させるものであり、吸収体20を挟んで、バックシート30と対向して配置されている。トップシート10は、肌と当接するシートとなることから、柔らかな感触で、肌に刺激を与えないような基材から構成されるが、一方で、水解性を有する必要があるため、水解性のスパンレース不織布を使用することが好ましい。
【0016】
ここで、水解性の素材については、水中に投棄された後、早急に分解されなければ、浄化槽や配管、下水道に悪影響を与えてしまうことになる。このため、水解性の素材については、できるだけ早期に複数の細かい断片に分散される必要がある。一方、吸収性物品は、一般に一定以上の強度や耐久性を有している必要があり、強度の低下により、使用中に製品が分解してしまったり、破損したりすることも予想される。よって、吸収性物品に使用される水解性の素材については、この水により容易に崩壊する特性を維持しつつも、その強度や耐久性を十分なものとする必要がある。
【0017】
本発明で用いられる水解性のスパンレース不織布については、繊維同士が熱融着しておらず、ウォータージェット処理により繊維が交絡している。このため、水解性のスパンレース不織布は、水中に投棄され、水流等の外力が加わることにより、容易に崩壊し、水に分散するので、水解性の吸収性物品の構成材料として使用することができる。
【0018】
本発明において、トップシート10の坪量は、加工性、強度、水解性の点から、20g/m以上40g/m以下であることが好ましく、25g/m以上35g/m以下であることがより好ましい。トップシート10には、肌への刺激を低減させるために、ローション、酸化防止剤、抗炎症成分、pH調整剤、抗菌剤、保湿剤等を適用してもよい。トップシート10は、着用者の股部が位置づけられる長手方向中央に括れ部を有する砂時計形状、略矩形状等の形状を有していてもよく、吸収体20の側縁よりも若干外方に延在して設けられていてもよい。
【0019】
[バックシート]
バックシート30は、吸収体20側から吸収性物品1の外部に体液が漏れないような遮水性を有するシート材が用いられるが、ムレ防止のために透湿性を有していてもよい。より具体的には、トップシート10と同様に、水解性のスパンレース不織布が用いられるが、吸収体20に保持される体液が、バックシート30を容易に透過したり、バックシート30を崩壊させたりしないよう、バックシート30の身体側表面には、サイズプレス処理が施される。一方、バックシート30の衣類側表面は、サイズプレス処理が施されていないので、吸収性物品1をトイレに投棄した場合には、サイズプレス処理が施されておらず、水と接するバックシート30の衣類側表面から、バックシート30が迅速に崩壊し、水中に分散する。
【0020】
ここで、サイズプレス処理とは、デンプン等の接着剤を不織布の表面に塗布して乾燥させる処理を指す。水解性のスパンレース不織布上の接着剤層により、水解性のスパンレース不織布が、体液中の水分から保護され、バックシート30の耐水性を維持することができる。サイズプレス処理には、デンプンのほか、一般的な水溶性の接着剤を用いることができる。そのような水溶性接着剤としては、例えば、カチオン化デンプン、酸化デンプン、エステル化デンプン等の加工デンプン、カチオン化ポリビニルアルコール等を挙げることができる。
【0021】
本発明において、バックシート30の坪量は、加工性、強度、水解性の点から、20g/m以上40g/m以下であることが好ましく、25g/m以上35g/m以下であることがより好ましい。バックシート30は、着用者の股部が位置づけられる長手方向中央に括れ部を有する砂時計形状、略矩形状等の形状を有していてもよく、吸収体20の側縁より若干外方に延在して設けられていてもよい。バックシート30の衣類接触側表面には、着用時に下着等に吸収性物品1を固着するための粘着剤層が設けられていてもよい。吸収性物品1が粘着剤層を有する場合、粘着剤層を保護するための剥離シートを有していてもよく、この剥離シートは、吸収性物品1の包装シートと一体となっていてもよい。トップシート10及びバックシート30は、長手方向端部等、端部の少なくとも一部において、吸収体20を挟まずに、接着剤等により固着されるフラップを形成していてもよい。
【0022】
[吸収体]
吸収体20は、基材としての吸収性繊維と、高吸水性ポリマー(以下、SAPとも称する)と、を含有する。吸収性繊維は、一般に生理用ナプキン、おむつ、尿取りパッド等の吸収性物品に使用されるものであれば特に制限はなく、例えば、フラッフパルプ、コットン、レーヨン、アセテート、ティシュ、吸収紙、親水性不織布等を挙げることができる。これらの中でも、吸収性の観点から、フラッフパルプを使用することが好ましい。斯かるフラッフパルプとしては、木材パルプ、合成繊維、ポリマー繊維、非木材パルプ等を綿状に解繊したものを挙げることができる。
【0023】
吸収体20の高吸水性ポリマーとしては、体液を吸収し、かつ、逆流を防止できるものであれば特に制限はなく、ポリアクリル酸ナトリウム系、ポリアスパラギン酸塩系、(デンプン−アクリル酸)グラフト共重合体、(アクリル酸−ビニルアルコール)共重合体、(イソブチレン−無水マレイン酸)共重合体及びそのケン化物等の材料から形成されたものを使用することができる。これらの中でも、重量当たりの吸収量の観点から、ポリアクリル酸ナトリウム系が好ましい。
【0024】
吸収体20において、吸収性繊維及びSAPの形態は、吸収性繊維中にSAP粒子を混合して形成した形態であることが好ましい。吸収体20は、水に分散しやすいよう、圧縮加工されていないことが好ましい。したがって、吸収性繊維及び高吸収性ポリマーの密度が、0.03g/cm以上0.09g/cm以下であることが好ましく、0.03g/cm以上0.06g/cm以下であることがより好ましい。なお、密度については、尾崎製作所製ピーコックダイヤルゲージを用いて、3432Paの荷重下で厚みを測定し、厚みと吸収体面積及び質量より算出する。
【0025】
吸収体20は、上層吸収体と下層吸収体とを積層してなるものであってもよい。この場合、上層吸収体と下層吸収体の長手方向及び幅方向の寸法は、上層吸収体の寸法が下層吸収体の寸法より大きくてもよく、上層吸収体の寸法が下層吸収体の寸法と同じであってもよく、上層吸収体の寸法が下層吸収体の寸法より小さくてもよい。
【0026】
[開口ポリビニルアルコールフィルム及びポリビニルアルコールフィルム]
本発明の吸収性物品1においては、吸収体20が、吸収体20の身体側表面に接するように配置された半水解性の開口ポリビニルアルコールフィルム15と、吸収体20の衣類側表面に接するように配置された半水解性のポリビニルアルコールフィルム25と、により挟持されている。このような構成を採用することにより、トップシート10を透過した体液が、開口ポリビニルアルコールフィルム15により一旦保持されるので、短時間のうちに、吸収体20の全体に体液が浸透してしまうことがなく、且つ、吸収体20の全体に体液が浸透してしまうような場合においても、半水解性のポリビニルアルコールフィルム25により、体液を吸収した吸収体20とバックシート30との接触が遮断されるので、バックシート30と体液との接触が抑止され、体液によりバックシート30が崩壊し、体液の漏れが生じることを防止できる。
【0027】
半水解性の開口ポリビニルアルコールフィルム15、及び半水解性のポリビニルアルコールフィルム25の坪量は、5g/m以上20g/m以下であることが好ましく、10g/m以上15g/m以下であることがより好ましい。開口ポリビニルアルコールフィルム15及びポリビニルアルコールフィルム25の坪量を上記の範囲内とすることにより、体液の保持能/遮断能と、フィルムの水への分散性が良好に両立される。
【0028】
図2は、トップシート10と吸収体20との間に配置される開口ポリビニルアルコールフィルム15を模式的に示す図面である。図2に示すように、半水解性の開口ポリビニルアルコールフィルム15は、長手方向又は幅方向に平行する断面波状の凹凸を有し、開口ポリビニルアルコールフィルム15の身体側表面における凸部に沿って、複数の開口151が設けられていることが好ましい。複数の開口151は、凸部に沿って、規則的又は不規則に配列していることが好ましい。開口ポリビニルアルコールフィルム15に、長手方向又は幅方向に平行する段面波状の凹凸が設けられ、凸部に沿って開口151が設けられていることにより、トップシート10を透過した体液が、一旦、開口ポリビニルアルコールフィルム15の凹部により保持され、凹部からあふれ出る体液が、開口151を通って吸収体20側に透過することになる。このため、体液が、短時間のうちに吸収体20に到達してしまうことがなく、且つ開口ポリビニルアルコールフィルム15により体液が完全に遮断されて、体液の横漏れ等が生じることも防止できる。
【0029】
[各素材のほぐれやすさ]
本発明の吸収性物品1においては、トップシート10、バックシート30、吸収体20、開口ポリビニルアルコールフィルム15、及びポリビニルアルコールフィルム25の、JIS P 4501に準拠したほぐれやすさが、100秒以下であることが好ましい。これらの素材が、上記のようなほぐれやすさの指標を有することにより、トイレ等に投棄された吸収性物品1が迅速に崩壊して、各種素材が水中に分散し、浄化槽や配管、下水道設備に損傷を与えることを防止できる。
【0030】
<吸収性物品の製造方法>
吸収性物品1の製造方法としては、特に限定はなく、従来公知の方法を採用することができる。例えば、トップシート10とバックシート30との間に、開口ポリビニルアルコールフィルム15、ポリビニルアルコールフィルム25、及び吸収体20を挟持する。そして、トップシート10とバックシート30とを一部又は全周に亘って水解性の接着剤や超音波エンボス、高周波エンボス等を用いて固定することで製造することができる。最後に、これを包装体に個別包装した後、長手方向に3つ折り等にして折り畳めばよい。
【0031】
以上、本発明を実施形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は上記の実施形態に記載の発明の範囲には限定されないことは言うまでもなく、上記実施形態に、多様な変更又は改良を加えることが可能であることが当業者に明らかである。また、そのような変更又は改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれ得ることが、特許請求の範囲の記載から明らかである。
【符号の説明】
【0032】
1 吸収性物品
10 トップシート
15 開口ポリビニルアルコールフィルム
151 開口
20 吸収体
25 ポリビニルアルコールフィルム
30 バックシート
図1
図2