(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2017-213168(P2017-213168A)
(43)【公開日】2017年12月7日
(54)【発明の名称】ゴルフマーカー保持具
(51)【国際特許分類】
A63B 57/20 20150101AFI20171110BHJP
A63B 102/32 20150101ALN20171110BHJP
【FI】
A63B57/20
A63B102:32
【審査請求】有
【請求項の数】4
【出願形態】OL
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2016-108883(P2016-108883)
(22)【出願日】2016年5月31日
(11)【特許番号】特許第6124487号(P6124487)
(45)【特許公報発行日】2017年5月10日
(71)【出願人】
【識別番号】596161547
【氏名又は名称】有限会社コスモ
(71)【出願人】
【識別番号】516160658
【氏名又は名称】有限会社ケイアイ工業
(71)【出願人】
【識別番号】516160669
【氏名又は名称】株式会社サンライズビジネスコーポレーション
(74)【代理人】
【識別番号】100098109
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 浩平
(72)【発明者】
【氏名】大友 康義
(57)【要約】
【課題】 ゴルフマーカー保持具1の両挟持部2,2が直接的に磁着されている場合であっても、容易に両挟持部2,2を引き離すことができるゴルフマーカー保持具を提供することを目的とする。
【解決手段】 磁石5,5は、それぞれそれらが取り付けられている挟持部2,2の後端部側に偏倚して取り付けられており、挟持部2の前端部13と磁石5との間の部分の、少なくとも前端部13及び両側部14に沿った部分に、ヒンジ部3よりも厚肉の厚肉縁部7が形成されており、両挟持部が直接的に磁着したときに、屈曲されたヒンジ部の弾性復帰力が、両挟持部の前寄りの部分を撓ませ、両挟持部のその部分を開いて隙間を形成させ得るだけの大きさとなるように、ヒンジ部が形成されている
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
一対の挟持部が、ヒンジ部を介して連結され、前記挟持部とヒンジ部は、柔軟性及び可撓性を有する材料で一体に形成され、一方の挟持部に磁石が取り付けられ、他方の挟持部に磁石に吸着可能な金属部材が取り付けられ、ヒンジ部を屈曲させることにより前記一対の挟持部で被挟持体を挟み、磁力によって被挟持体に固定するゴルフマーカー保持具であって、前記一対の挟持部は、それぞれ縦長に形成され、挟持部において、挟持部とヒンジ部との境界を挟持部の前端部、反対側の端部を後端部としたときに、前記磁石及び金属部材は、それぞれそれらが取り付けられている挟持部の後端部側に偏倚して取り付けられており、両挟持部の前端部と磁石又は金属部材との間の部分の、少なくとも前端部及び両側部に沿った部分に、ヒンジ部よりも厚肉の厚肉縁部が形成されており、両挟持部が直接的に磁着したときに、屈曲されたヒンジ部の弾性復帰力が、両挟持部の前寄りの部分を撓ませ、両挟持部のその部分を開いて隙間を形成させ得るだけの大きさとなるように、ヒンジ部が形成されていることを特徴とするゴルフマーカー保持具。
【請求項2】
挟持部の全周に沿った部分が、ヒンジ部よりも厚肉の厚肉縁部に形成されている請求項1記載のゴルフマーカー保持具。
【請求項3】
挟持部に、それぞれ、磁石又は金属部材を装着するための凹部が形成され、挟持部のこの凹部以外の部分の肉厚は、ヒンジ部よりも厚みが厚い請求項1又は請求項2記載のゴルフマーカー保持具。
【請求項4】
金属部材は磁石である請求項1乃至請求項3のいずれか一項記載のゴルフマーカー保持具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ゴルフのプレー中に使用するゴルフマーカーを磁力により磁着させて保持するゴルフマーカー保持具に関する。
【背景技術】
【0002】
ゴルフマーカーを磁力により磁着させて保持するゴルフマーカー保持具は、従来から存在している。例えば、特許文献1の
図1に、従来技術として記載されたゴルフマーカー保持具は、クリップに形成され、ゴルフマーカーを磁力でゴルフマーカー保持具に取り付ける台座を有し、クリップの弾性力によって帽子の鍔を挟むようにして取り付けるものが知られている。
【0003】
また、そのように、弾力性を有するクリップに代えて、柔軟性及び可撓性を有する合成ゴムやシリコーン樹脂等でゴルフマーカー保持具を形成し、中央で折り畳んで帽子の鍔を挟むように取り付け、ゴルフマーカー保持具の双方の挟持部に取り付けた磁石の磁力によって、折り畳んだ保持具を帽子の鍔に固定するものも存在している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】登録実用新案第3145922号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
前述した、柔軟性及び可撓性を有する合成ゴムやシリコーン樹脂等で形成されたゴルフマーカー保持具は、保持具自身の弾性力によって帽子の鍔に挟み付けるものではなく、磁石の磁力によって挟み付けるものである。その場合、帽子の鍔は厚手に形成されているから、磁石の磁力を強くしないと鍔から外れてしまうので、磁力の強力なネオジム磁石等が用いられている。
【0006】
それらネオジム磁石等の磁力は強いので、その強力な磁力によってゴルフマーカー保持具を帽子の厚手の鍔に固定することができるのである。そして、ゴルフプレーが終了して、ゴルフマーカー保持具を帽子の鍔から取り外すときは、鍔が厚手であるためにその分だけ磁石の磁力が弱くなっており、ゴルフマーカー保持具の挟持部同士を比較的容易に引き離して、ゴルフマーカー保持具を鍔から取り外すことができる。
【0007】
このような、磁力の強いネオジム磁石等の磁石を用いたゴルフマーカー保持具の難点は、後日、再度使用する場合に生じる。すなわち、帽子の鍔から外したゴルフマーカー保持具は挟持部同士が直接的に磁着している。両挟持部の間に帽子の鍔のような厚手の被挟持体が介在していないので、ネオジム磁石等の磁力があまり弱められていないである。そのために、磁着している両挟持部を容易に引き離すことができず帽子の鍔に取り付けるときに手間がかかるのである。そこで、本発明は、両挟持部が直接的に磁着されている場合であっても、容易に両挟持部を引き離すことができるゴルフマーカー保持具を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1記載の発明は、一対の挟持部とヒンジ部が柔軟性及び可撓性を有する材料で一体に形成され、一方の挟持部に磁石が取り付けられ、他方の挟持部に磁石に吸着可能な金属部材が取り付けられ、被挟持体を挟むための挟持部は、それぞれ縦長に形成され、磁石及び金属部材は、それぞれそれらが取り付けられている挟持部の後端部側に偏倚して取り付けられており、両挟持部の前端部と磁石又は金属部材との間の部分の、少なくとも前端部及び両側部に沿った部分に、ヒンジ部よりも厚肉の厚肉縁部が形成され、両挟持部が直接的に磁着したときに、屈曲されたヒンジ部の弾性復帰力が、両挟持部の前寄りの部分を撓ませ、両挟持部のその部分を開いて隙間を形成させ得るだけの大きさとなるように、ヒンジ部が形成されている構成である。
【0009】
請求項2記載の発明は、挟持部の全周に沿った部分が、ヒンジ部よりも厚肉の厚肉縁部に形成されている構成である。
【0010】
請求項3記載の発明は、挟持部に、それぞれ、磁石又は金属部材を装着するための凹部が形成され、挟持部のこの凹部以外の部分の肉厚は、ヒンジ部よりも厚みが厚い構成である。
【0011】
請求項4記載の発明は、金属部材が磁石である構成である。
【発明の効果】
【0012】
請求項1記載の発明は、両挟持部が直接的に磁着したときに、屈曲されたヒンジ部の弾性復帰力が、両挟持部の前寄りの部分を撓ませ、両挟持部のその部分を開いて隙間を形成させ得るだけの大きさとなるように、ヒンジ部が形成されている。そこで、磁着している挟持部を引き離すときは、まず隙間に指先を押し付ける。ゴルフマーカー保持具は、柔軟性及び可撓性を有する材料で形成され、さらに、磁石及び金属部材は、それぞれそれらが取り付けられている挟持部の後端部側に偏倚して取り付けられているから、押し付けた指先でその押し付けた部分がやや広がり、そこに指先を引っ掛けることができる。そして、その引っ掛けた指先に力を加えて挟持部を引き離すことができる。そのとき、両挟持部の前端部と磁石又は金属部材との間の部分の、少なくとも前端部及び両側部に沿った部分に、ヒンジ部よりも厚肉の厚肉縁部が形成されているので、指先で広げられたときに腰の強さを与えて、その部分がぐにゃりと抵抗なくくずれるように変形することがなく、確実に挟持部を引き離すことができる。
【0013】
請求項2記載の発明は、挟持部の全周に沿った部分が、ヒンジ部よりも厚肉の厚肉縁部に形成されている。したがって、挟持部全体の腰が強くなるので、さらに容易且つ確実に挟持部を引き離すことができる。
【0014】
請求項3記載の発明は、挟持部に、それぞれ、磁石又は金属部材を装着するための凹部が形成され、挟持部のこの凹部以外の部分の肉厚は、ヒンジ部よりも厚みが厚く形成されている。すなわち、凹部と挟持部の前端部との間の部分全体がヒンジ部よりも肉厚が厚いので、その部分の腰をより強くすることができる。
【0015】
請求項4記載の発明は、金属部材が磁石であるので、双方が磁力による吸着力を有しており、磁力を強くすることができる。すなわち、磁石が一つであると必然的に大きなものにしなければならず、ゴルフマーカー保持具自体が大きくなって、見た目が良くないのであるが、磁石が2つであれば小さな磁石で足りるから、ゴルフマーカー保持具を小さなものとすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】本発明の実施例を挟持側の内面の反対側から見たゴルフマーカー保持具の上面図である。
【
図6】
図1において磁石を覆うカバー板を取り除いた上面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
次に、本発明の実施例について図面を参照しながら説明する。
図1は、本実施例のゴルフマーカー保持具1の上面図である。
図1に示すように、ゴルフマーカー保持具1は、一対の挟持部2,2と、それらの挟持部2,2を連結するヒンジ部3とを有する。挟持部2,2は、長手方向に縦長に形成されている。また、挟持部2,2及びヒンジ部3は、柔軟性及び可撓性を有する材料である合成ゴムで一体に形成されている。そのほかに、材料としてはシリコーン樹脂又は軟質ポリ塩化ビニル等の合成樹脂が用いられるが、これらの材料に限定されないことは勿論である。また、本実施例のサイズについて説明すると、ゴルフマーカー保持具1の全長は約80mmであり、挟持部2の長さは約35mmであり、挟持部2の最大幅は約20mmである。ヒンジ部3の長さは約10mmであり、その幅は一定で約16mmである。本発明が、これらの数値に限定されないことは勿論である。
【0018】
図2は、本実施例のゴルフマーカー保持具1の側面図である。
図2に示すように、ゴルフマーカー保持具1はその側面視で両挟持部2,2がヒンジ部3よりも肉厚に形成されている。ただし、
図3に示すように、挟持部2,2の肉厚は後述するように場所によって異なっている。また、両挟持部2,2の底面15,15とヒンジ部3の底面16は面一となるように形成されている。ただし、本発明は、これに限定されるものでなく、
図2においてヒンジ部3の底面16が、両挟持部2,2の底面15,15よりも上に位置するものであってもよい。
【0019】
挟持部2,2のそれぞれの後端部4,4寄りの部分に、磁石5,5を装着するための凹部6,6が形成されており、それらの凹部6の底面部9の厚みはヒンジ部3の厚みよりも薄く形成されており、厚肉ではない。本実施例のヒンジ部3の厚みが約1.0mmであるのに対して、凹部6の底面部9の厚みは約0.5mmである。底面部9の厚みをこのように薄くした理由は、底面部9によって磁力が大きく弱められることを避けるためである。本発明は、これらの数値に限定されない。なお、磁石5,5はネオジム磁石であるが、これに代えて磁力の強い他の磁石であっても差し支えない。また、一方の磁石5に代えて鉄等の強磁性体を用いてもよい。なお、磁石5,5の装着は、挟持部2に凹部6を形成することに限定されるものではない。例えば、磁力を有しない金属部材を内包するように挟持部2,2を射出成型し、次に、内包された金属部材に磁力を付与することにより磁石5としてもよい。
【0020】
また、
図3及び
図4に示すように、それぞれの挟持部2は、その全周に沿って所定の幅を有する厚肉縁部7が最も厚肉に形成されている。また、挟持部2の、厚肉縁部7の内側の部分であって、凹部6よりもヒンジ部3側の部分である前寄り内側部分8の肉厚は、厚肉縁部7よりも薄く、ヒンジ部3の肉厚よりも厚く形成されている。これらの厚みの数値は、厚肉縁部7の肉厚、すなわち
図2における挟持部2の上下幅が約5.0mmであるのに対して、前寄り内側部分8の肉厚は約3.5mmであり、この部分も厚肉に形成されている。挟持部2の厚肉縁部7の肉厚と、前寄り内側部分8の肉厚がこのような数値に設定されているので、前寄り内側部分8の上面は、厚肉縁部7の上面よりも1.5mm低い。また、厚肉縁部7は、挟持部2の全周に亘って延在し、その上面視の幅は約2mmである。
【0021】
挟持部2の厚肉縁部7に囲まれた前寄り内側部分8と磁石5の上面には、商標や図形等が付されたシート10が貼着されている。磁石5等を覆って見た目を良くするためである。さらに、その上に透明な薄手の樹脂カバー11が嵌め込まれている。樹脂カバー11が容易に外れないように、樹脂カバー11の周囲は粘着剤でシート10に粘着されている。
【0022】
ゴルフマーカー保持具1が帽子の鍔に取り付けられていないときは、通常、
図5に示すように、両挟持部2,2が直接的に磁着されている。両挟持部2,2は、柔軟性及び可撓性を有する材料で一体に形成され、磁石5,5は、それぞれそれらが取り付けられている挟持部2,2の後端部4,4側に偏倚して取り付けられている。そして、屈曲されたヒンジ部3の弾性復帰力が、両挟持部2,2の前寄り内側部分8,8とその両側の厚肉縁部7,7とを撓ませて、両挟持部2,2のその部分に隙間12を形成させ得るだけの大きさとなるように、ヒンジ部3は形成されている。ヒンジ部3は、そのように形成されているので、両挟持部2,2を直接的に磁着すると、
図5に示すような隙間12が形成される。
【0023】
そこで、その隙間12に指先を宛がって隙間12の中に押し込むと、指先の当たっているヒンジ部3の縁部が上下方向に押し広げられ、その変形に伴って隙間3が上下方向に広がるのである。これにより、指先を挟持部2の縁に確実に引っ掛けることができ、その挟持部2の縁にヒンジ部よりも厚肉の厚肉縁部7が形成されているので、指先で広げられたときに腰の強さを与えて、その部分がぐにゃりと抵抗なくくずれるように変形することがなく、確実に挟持部を引き離すことができる。すなわち、厚肉縁部7は、その内側の前寄り内側部分8の肉厚よりも厚いので、変形はするが腰の強いフレームの如き作用をなし、挟持部2全体の腰を強くしている。厚肉縁部7は、挟持部2の全周に亘って形成してもよく、挟持部2の前端部13と前寄り内側部分8の両側部14,14だけに設けてもよい。また、本発明においては、前寄り内側部分8を厚肉縁部7と同じ厚みの厚肉に形成してもよいことは勿論である。すなわち、縁部は厚肉である必要があるのであって、厚肉の縁部に形成された厚肉縁部7は、挟持部2の全周に亘らなくても、少なくともその前端部13及び両側部14に沿った部分に形成されていればよい。
【0024】
前述のようにして、両挟持部2,2を引き離してから、それらが帽子の鍔を挟むように鍔を介して両挟持部2,2を磁着させる。容易に引き離すことはできない程度に磁石5,5の磁力を強くした理由は、仮に、容易に引き離すことができるのであれば、鍔を介して両挟持部2,2を磁着したときに、簡単に離れて帽子の鍔から外れてしまうからである。
【産業上の利用可能性】
【0025】
両挟持部2,2が直接的に磁着したときに、屈曲されたヒンジ部3の弾性復帰力が、両挟持部2,2の前寄りの部分を撓ませ、両挟持部のその部分を開いて隙間を形成させ得るだけの大きさとなるように、ヒンジ部を形成することにより、直接的に磁着された両挟持部2,2を容易に分離することができる。
【符号の説明】
【0026】
1 ゴルフマーカー保持具、 2 挟持部、 3 ヒンジ部、 4 挟持部の後端部、 5 磁石、 6 凹部、 7 厚肉縁部、 8 挟持部の前寄り内側部分、 9 凹部の底面部、 10 シート、 11 樹脂カバー板、 12 隙間、 13 挟持部の前端部、 14 前寄り内側部分の両側部、 15 挟持部の底面、 16 ヒンジ部の底面