【課題】神経は、腎動脈などの動脈の壁を支配する検索及び識別するためのシステム及び方法が開示されている。本発明は、神経と神経支配される血管壁上の領域を識別し、エネルギーが正確に標的神経に送達されているかどうかの指示を提供し、神経に供給されるエネルギーの影響を即座に処置後、評価を提供する。
【解決手段】この方法は、少なくともエネルギーを動脈壁に送達された後に生理学的パラメータの変化を評価する、評価した結果に基づいて、エネルギーが送達された領域の神経のタイプ(神経無し、交感神経または副交感神経)を決定するステップを含む。システムは、少なくとも血管壁にエネルギーを送達するための装置と、被験体からの生理学的信号を検出するセンサと、前記方法を用いて得られた結果を表示するインジケータとを含む。また、マッピングを実行し、機能を切除するためのカテーテルが提供される。
機能的な神経の位置を特定または識別するための方法において使用されるように適合されたカテーテルに被験体における血管壁を支配するシャフトを含み、前記シャフトの近位端はエネルギー源に接続するように構成され、遠位端(カテーテルチップ)は単一螺旋、二重螺旋または1つ以上の電極を有する複数のプロングの形態であることを特徴とするカテーテル。
1つまたは複数の電極が、前記血管に神経を刺激するか、または切除するのに十分なエネルギーを放出するように構成されていることを特徴とする請求項1に記載されるカテーテル。
前記カテーテル全体は、長さが1〜2mの間であり、カテーテル先端部は、長さが2〜8cmの間で、直径が0.5mm〜10mmの間であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載するカテーテル。
前記螺旋またはプロングコイルが円形または平坦状であり、電極が前記コイルまたはプロングの長手方向に沿って配置され、その電極がコイルまたはプロングに埋め込まれている、または当該コイルやプロングの表面上にあることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載するカテーテル。
カテーテル先端が前記螺旋又はプロングのコイル内の空間を埋めるために、バルーン膨張可能に保持するように構成されていることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載するカテーテル。
前記位置は、神経が切除された領域であり、前記工程bにおいて、前記生理学的パラメータにおける変化の欠如は神経切除を確認された領域も含むことを特徴とする請求項9〜11のいずれかに記載するカテーテルの使用。
前記生理学的パラメータは、血圧、心拍数、心臓の電気的活動、筋肉活動、骨格神経活動、細胞の活動電位、瞳孔反応、筋電図、血管収縮、及びエピネフリン、ノルエピネフリン、レニン〜アンジオテンシンIIとバソプレシンから選択される生化学物質のレベルから選択されることを特徴とする請求項9〜13のいずれかに記載するカテーテルの使用。
前記エネルギーが調整可能であり、電気的、機械的、超音波、放射線、光及び熱エネルギーの1つ以上から成ることを特徴とする請求項9〜14のいずれかに記載するカテーテルの使用。
【背景技術】
【0003】
うっ血性心不全、高血圧、糖尿病と慢性腎不全の初期病因はかなり異なるが、進行中から末期までの経路が共通である。共通経路では、腎交感神経の活動が亢進し過ぎる。腎交感神経が求心性腎神経活動を通して、脊髄および脳に位置するより高い交感神経中枢へ信号を入力することによって、全身交感神経の緊張を増やす。一方、脳からの信号も遠心性神経活動を通して、腎神経と動脈を交感神経の亢進に参与させ、更に全身交感神経の緊張を高める(Dibona,Kopp,1997)。交感神経活性化が最初は有益であるが、最終的に不適応になってしまう。交感神経活動亢進状態で、一連の病理学的な変化を引き起こすことがある、例えば、ホルモンの異常(カテコールアミン、レニン、アンギオテンシンII等の分泌増加を含む)、血圧上昇(末梢血管収縮および/あるいは水とナトリウムの保持に起因する)、腎不全(糸球体濾過障害およびネフロン損失に起因する)、心室機能不全や心不全(左心室肥大や心筋細胞の損失に起因する)、脳卒中、さらには糖尿病がある。従って、交感神経亢進の調整(抑制/除去)はこれら疾患の進行を遅らせるか防ぐことができる。近年、高い無線周波数を用いた腎神経を除去することは、薬剤抵抗性高血圧(Esler et al.,2010;Krum et al.,2009)および糖代謝異常(Mahfound,2011)を治療するための方法として認識されている。但し、現在使用されているいくつかの腎神経アブレーションまたは除去方法は原始的であるか、疾患経路における重要な腎神経の位置決めに関して過度に不確かなままに医者が操作する態様で行われている。本発明は上記問題の解決を目指している。
【0004】
腎交感神経亢進および高血圧
高血圧の発生と持続性に寄与する腎交感神経活動亢進が系統的に研究されている。その理由は主に次の事実に起因している、現在、患者の生活スタイルを改善するための薬品、併用薬品と資源がたくさんあるにもかかわらず、高血圧の治癒率が驚くほど低いままである。特に、高血圧患者の約三分の一は最適化された薬物療法に対して完全に応答しない。そのような患者の中の測定した血圧の範囲が異常のままである。この症状は薬剤抵抗性高血圧と呼ばれている。高血圧患者の約半数において、血圧は一般的に認められた治療目標レベルよりも高いままである。これらの患者のうち、「必須」高血圧(即ち、特定の原因が発見されていない持続的かつ病理学的な高血圧)患者は、現在の治療レジメンに応答しない潜在的な病理生理学的メカニズムを備える可能性が存在している。また、このような患者において、遠心性腎臓の交感神経流出はレニン放出を刺激し、管状ナトリウム再吸収を増加させ、腎血流量を減少させることができ、腎臓からの求心性神経信号は中央交感神経流出を調節することができる、それによって、ナトリウムおよび水の代謝、血管に寄与しながら、血管トーン(tone)/抵抗および血圧を調節することが注目されている。
【0005】
各種データにより、腎神経のブロッキングは高血圧の減少に肯定的な効果を確認し、更に、一部のデータは交感神経系の活動と高血圧との間の関連性を確認した。特に、研究では、高血圧につながる交感神経系活動が増加したメカニズムとしての腎機能障害を示した(Campese,2002;Ye,2002)、動物実験では、腎神経活動の遮断によって、慢性腎不全に関連する高血圧の制御の助けになることが確認された(Campese,1995)、その外科的に行われた腎除神経は多発性嚢胞腎疾患を有する患者における難治性疼痛を排除できるだけでなく、高血圧をも排除できる(Valente 2001)。他の研究ではノルアドレナリンが腎静脈へ波及することは特定した本態性高血圧症における原因のように示されている(Esler et al.,1990)、腎摘出による除神経は薬物難治性重症高血圧透析患者の血圧レベルを低下させた(Converse 1992)。腎除神経は多くの実験形態の動物では各種高血圧の発生を遅らせたり、予防することを示している、例えば、自然発症高血圧ラット(SHR)、脳卒中を起こしやすいSHR、ニュージーランドSHR、ボーダーライン高血圧ラット(SHR)、ゴールドブラット1K、1C(ラット)、ゴールドブラット2K、2C(ラット)、大動脈弁狭窄症(犬)、大動脈神経切断(ラット)、DOCA‐NaCL(ラット、ブタ)、アンギオテンシンII(ラット、ウサギ)、摂食時―肥満(犬)、腎ラップ(ラット)(DiBona and Kopp, 1997)。
【0006】
腎交感神経活動亢進、インスリン感受性およびグルコース代謝
腎交感神経活動亢進はインスリン感受性およびグルコース代謝に重要な影響を与えると断定され、特に、ノルアドレナリン放出の増加に伴い、腎神経活動亢進の結果による血流の低下はグルコースの取込みを減少した。これは膜を横切ってグルコースを輸送する細胞の能力障害を示している。腎神経活動亢進はオープン毛細血管数の神経調節性の低下に関連し、インスリンが血管内コンパートメントから細胞膜に到達するために移動しなければならない距離の増加があるようになっている。筋肉灌流でのインスリン媒介性の増加はインスリン抵抗性の状態で約30%低減される。結果的に、筋肉交感神経活動とインスリン抵抗性との間に直接的な関係があり、インスリン抵抗性とオープン毛細血管数との間に逆の関係を持っている(Mahfound,et al.,2011)。腎交感神経活動亢進はこのように糖尿病および/またはメタボリックシンドロームの特定の態様に関連している;交感神経活動亢進はインスリン抵抗性および高インスリン血症を誘発し、次いで、追加の交感神経活性を生成する。研究は糖尿病の基準に基づき、腎除神経の影響についての評価を行ってきた。
【0007】
Mahfoundらの研究(2011)では患者に対する腎除神経の影響をテストした。彼らは少なくても3つの抗高血圧薬(利尿剤の1種を含む)にて治療されている2型糖尿病、並びに160mmHg高血圧の患者(あるいは血圧が150mmHgの2型糖尿病患者)である。ベースライン時および処置後1と3ヶ月で行われたフォローアップの検診で、血液化学、および空腹時血糖、インスリン、CペプチドとHbA1cを測定した、経口ブドウ糖負荷試験(OGTT)はそれぞれベースライン時および処置後の3ヶ月後に実行した。除神経3ヶ月後に糖尿病の指標が実質的に改善され、インスリン感度が腎除神経後に有意に増加した。25名のうち、7名の患者がOGTTにおける改善を示した。Mahfoundらの研究では、腎臓の交感神経系がインスリン抵抗性の重要な調節因子であり、腎神経アブレーションが実質的にインスリン感受性およびグルコース代謝を改善することを実証した。抗高血圧薬がまだ現れていない1950年代には、外科的交感神経切除術は、重症高血圧症の臨床治療に適用されていた(Smithwick and Thompson, 1953)。しかし、このような外科的腎除神経は非常に侵襲的であり、主要な外科手術の関与が必要なので、臨床診療において大きな限界があった(DiBona,2003)。
【0008】
近年では、血管内カテーテル技術は好ましく、ヒト腎臓における選択的除神経を行うために利用されてきた。腎神経は主に血管中膜の外に位置する腎動脈の外膜の空間内の媒体となり、高周波エネルギー、レーザーエネルギー、高い集中的な集束超音波およびアルコールを腎動脈の壁に送達できる、そして、動脈の技術も同様に交感神経腎神経を切除するために、腎動脈の内腔を介して、腎動脈の壁に適用している。交感神経腎神経カテーテル手法による腎神経アブレーションの最初の人の研究では、2009年に高血圧患者の試験対象として行われた。患者の被験者は3種類以上の抗高血圧薬(利尿剤の1種を含む)にて治療されている、起立(standing)血圧(SBP)が160mmHgに等しいまたはそれ以上の患者、または抗高血圧薬に耐えなれないと診断された患者である(Krum et al.,2009)。45人の患者に対する調査では患者の全体的な血圧ベースラインは177/101±20/15(mmHg)で構成されていた。
【0009】
腎臓の除神経を効果的に実行されたかどうかを評価するために、腎神経切除後に腎ノルアドレナリンスピルオーバーが交感神経除神経の成功を判定するために測定された。血圧をベースラインで測定し、処置後1ヶ月、3ヶ月、6ヶ月、9ヶ月、12ヶ月に、各時点の収縮期および拡張圧の低下およびその持続時間を記録する。手術後、45名の被験者では、全身ノルアドレナリンスピルオーバーは全体的に28%(p =0.043)減少し、そのうち、約1/3は腎交感神経除神経に起因することが示された。
【0010】
腎除神経カレントプロトコール
Krumらの研究は、カテーテル手段を介入して腎神経切除を行うための特定の方法論を受け入れ、確立された後、方法論に幾つかのバリエーションを含むことが特徴となっている。一般的には、腎神経アブレーションはカテーテルに基づいた方法を包含し、当該方法においては、無線周波数(RF)が自動化され、低消費電力であり、安全性アルゴリズムが内蔵されたRF発生器によって生成され、無線周波数(RF)は、腎動脈当たりの治療に4〜6分間施される。5mm以上の離間単位で無線周波数を印加しながら、大動脈の遠位端から大動脈の近位端へのカテーテルの移動をさせることにより、カテーテルによって通常5〜8Wの無線周波数を腎動脈に施す。
【0011】
前述のMahfoudらの糖尿病研究では、以下のアブレーションプロトコールに従った治療用ガイドカテーテルを腎二重曲線または左側内胸動脈を用いて、各腎動脈に導入され、放置した;8Wの低電力を適用し、最大持続無線周波数焼灼は2分間で、各腎動脈の中に長手方向および回転方向の両方で6回まで分離、切除を行われた。治療は、第一遠位の主腎動脈分岐部から腎門まで行う。カテーテル先端インピーダンスおよび温度を常時監視し、無線周波数エネルギー送達は、所定のアルゴリズムに従って調節した。
【0012】
機能的には、腎動脈の切除の最適化された目標は、選択的に他の臓器の交感神経のシグナリングを損なうことなく、腎交感神経(求心性と遠心性の両方)の神経を無効にし、かつ正確に腎交感神経が順に分布している場所にエネルギーを提供することで、神経を除神経する。現在、腎神経切除は「ブラインド」方式で行われる、つまり、アブレーション用高周波が送達される前に、腎臓の交感神経が分布している場所を知っていない医師は、腎動脈の全長となるようアブレーションを実行する;さらに、腎神経が実際に切除されたかは二次的効果、即ち、処置完了後のノルエピネフリンスピルオーバーを測定することにより確認することができる。現在、非常に少ない選択的な患者集団における患者の約89%は腎除神経処置に応答し、(Krum et al.,2009 and Esler et al. 2010)。しかし、最近のデータで、レスポンダー率は、治療された患者のうち、50%未満と低くなっていることを示した(医療機器:Pg1‐2 2012年2月22日)。場合によっては、治療の失敗は腎神経の再生に起因し得る(Eslerら、Lancet 2010年 1908頁)、他には、治療の失敗が正確に標的とする障害および腎神経の十分に完全アブレーションに起因する可能性がある。従って、腎神経分布が腎動脈に沿って生じる場合、アブレーションターゲットを医師に提供することができるように正確に検出するための、効率的な切除が送達されているかどうかを評価するような臨床的に関連指標(例えば、血圧、心拍数および筋交感神経活動)を監視するための方法が必要となっている。上記のように、腎求心性と遠心性神経系は、交感神経活動亢進のための共通の経路として機能し、従って、腎神経の刺激は、血圧の上昇および心拍数の変化を引き起こす可能性がある。心拍数の変化は交感神経の直接刺激または圧反射を介した間接調整による血圧低下の何れかによって引き起こされることがある。
【0013】
改良された方法論はそれによって腎神経マッピングアプローチを伴うだろう。血圧、心拍数および筋交感神経活動を測定しながら腎動脈の個々のセグメントが低電力電流によって刺激される。血圧、心拍数および筋交感神経活動の測定可能な変化は、血圧の上昇または心拍数の変化として、検出または筋交感神経活動が低下している場合、その部位でアブレーションのように行われるべきであるという合理的な期待がある。より正確な方法で神経繊維を破壊し、その結果、所望の臨床尺度を改善する。これら改善された腎神経マッピングおよびカテーテル法の技術は、記載の除神経処置の中で不必要な切除を最小限にし、腎切除処置を実行するために技師を案内し、高血圧、心不全、腎不全および糖尿病の治療のための腎神経切除の臨床結果を最適化する。
【0014】
腎神経アブレーション中の解剖学的マッピングとターゲティング
解剖学的に、腎臓の中で繊維を運ぶ神経が腹腔神経叢(a/k/a 太陽神経叢)とその下位区分神経、腰椎内臓神経、および腸間膜動脈間神経叢に由来している(DiBona and Kopp, 1997, p. 79)。腹腔神経叢は副腎神経節(即ち、大動脈腎動脈神経節)、腹腔神経節、および主要な内臓神経で構成されている。腹腔神経節は胸部交感神経幹(胸内臓神経)および迷走神経からの寄与を受ける(DiBona and Kopp, 1997, p. 79)。
【0015】
副腎神経節は、副腎に向かって多くの枝を出している。そのいくつかのコースの腎動脈の周りの血管周囲神経の束に、副腎動脈に沿って腎門に入り、他の枝は腎肺門領域の外側を通って腎臓に入る。腹腔神経節への途中の主要な内臓神経は副腎神経節を越えた時点で、腎臓へ枝を出している。腹腔神経節は腎門に入る腎動脈の周りの血管周囲神経の束で腎臓へ枝を出している(DiBona and Kopp, 1997, p. 79)。
【0016】
腰椎と胸内臓神経はそれぞれ腰部と胸部脊柱傍交感神経幹から派生している。それらは腹腔神経節に向かう枝を経由するだけではなく、腎門に入る腎動脈の周りの血管周囲神経の束に向かう枝を経由する腎神経分布を提供する。(DiBona and Kopp, 1997, p. 79)。
【0017】
腸間膜動脈間神経叢は、上腸間膜神経節を含む。腰椎内臓神経からの寄与を受け、多くの場合、腎臓に到達する前に卵巣や精巣動脈を伴う枝を出している(DiBona and Kopp, 1997, p. 79)。腎神経は、腎動脈と静脈を伴って腎臓の門に入る(DiBona and Kopp, 1997, p. 81)。その後、それらは葉間、アーチ形、および葉間動脈と求心性と遠心性糸球体細動脈を含む。腎皮質および外部髄質における腎動脈の血管セグメントに沿って分布する(DiBona and Kopp, 1997, p. 81)。
【0018】
アブレーションを行う前に、腎臓、神経アーキテクチャは最優先の配慮であるが、除神経用カテーテル法を考える前に、個々の腎アーキテクチャを慎重に考慮しなければならない。KrumとEslerらが述べたように、カテーテル法のための適格性は、腎動脈の解剖学的構造、腎動脈狭窄、腎臓ステント留置術前の血管形成術または、デュアル腎動脈を評価することによって部分的に決定した。腎異常や異常なアーキテクチャは、それ自体がカテーテル挿入に支障となるだけでなく、腎アーキテクチャの正常な変動、特に適応外カテーテルシステム(即ち、それ自体が腎動脈切除のために設計されていないカテーテル)が使用されている場合、骨の折れることを証明した。次善のカテーテルシステムと腎カテーテル検査のリスクは、カテーテル先端部の粗いまたはジャグ(jagged)の操作に起因する腎動脈の破裂を含み、過度のアブレーションにより、繊細な組織の破壊および/または動脈壁や動脈内皮に損傷を与える。従って、特別に腎アーキテクチャにおける腎アーキテクチャと共通の不均一のために設計されたカテーテルシステムは、適格な難治性患者集団の広範囲の治療が望ましい。
【0019】
カテーテルシステム
冠動脈システム用に設計されたある種のカテーテルシステムは、腎神経アブレーションにおいて使用することができるものと同様であり、特に、頻脈を改善するように調整されている冠状動脈の使用のために設計されたアブレーションカテーテルシステムは、腎神経アブレーション処置のために使用することができる。このように、これらのシステムは、典型的なカテーテル電極を通して、心臓組織における既存の電流を評価するために設計された電極を含む。対照的に、腎除神経のための理想的なカテーテルシステムは、最適には二重の機能を用いて操作される:電気刺激および腎除神経の結果として生じるリアルタイムの患者の生理学的変化における評価を内科医が行うことができるように、電気刺激を与えることによって、腎神経分布をマッピングし、腎交感神経活動を刺激する。しかし、そのようなカテーテルは、以前に開発されていない。
【0020】
既知のカテーテルシステムは、多くの場合、心臓用途のための複数機能を有する。市場における注目すべき特定のカテーテルシステムは、次のものがある。
【0021】
Ardian Symplicity(登録商標)カテーテルシステム
Symplicity(登録商標)カテーテルシステム、即ち、アブレーションカテーテルおよび無線周波数発生器の両方を含む腎切除のために利用される現在のカテーテルシステムは、Ardian社(マウンテンビュー、CA、USA)によって設計されている。しかしながら、Symplicity(登録商標)カテーテルはマッピング機能を有していない。アブレーションがその唯一の機能である。また、このようなカテーテルシステム(だけでなく、血管形成のための血管形成術および遠位保護デバイス)は、冠動脈および頸動脈システム用に設計された‐それゆえ、これらのシステムは、高血圧、心不全、腎不全および糖尿病を治療するための腎神経アブレーションと除神経に使用されることは「適応外」となっている。
【0022】
高血圧のいくつかの場合、純粋な薬理学的手段による治療に抵抗するという事実は、これらのケースを治療するのに侵襲的技術の使用が再燃している。歴史的には、外科的腎除神経は、経口投与する抗高血圧薬(Smithwick and Thompson, 1953)の導入前に高血圧重症の場合のための著名な治療法であった。しかし、従来のこの種の手術は、非常に侵襲的であり、その実用性を制限する主要な外科的処置を含んでいた(DiBona, 2003)。少なくとも2つの臨床研究は、ある程度、抵抗性高血圧の治療における最小侵襲的カテーテルベースの無線周波数(RF)の腎神経アブレーションの使用にサポートを提供する(Krum et al.,2009;Esler et al.,2009)。入手可能な抗高血圧薬に抵抗性高血圧を有する患者は、これらの研究のために選択され、この介入処置は小さく、選択的な患者集団におけるそれらの血圧を低下させる89%の臨床的成功率を示した。
【0023】
高血圧の治療のためにこのような低侵襲介入技術を使用し、関心の高まりがあるが、Ardian Symplicity(登録商標)カテーテルシステムを含む市場のすべてのシステムは、この目的のために最適に設計されていない。Ardian Symplicity(登録商標)カテーテルシステムにおいてさえ介入結果の確実性を制限する明らかな欠点がある。
【0024】
現在の介入システムおよび技術では考慮されていない重要なことは、位置決めおよび動脈壁における適切なアブレーションスポットへ有効量のエネルギーを送達する精度と正確さである。カテーテルを介して腎神経切除を行うための現在一般的に認められた処置は、典型的には、各腎動脈の内壁にRFエネルギーの2分間の加え、長手方向および回転方向に沿って動脈壁に4〜6回の切除によって構成される。アブレーションエネルギーの送達前および送達中にアブレーションカテーテルに対して腎動脈を支配する神経の正確な位置が不明であるので、アブレーションは、螺旋状に「ブランド」的に行わなければならなかった。不正確に導かれた用量を有するエネルギーは、健康な組織と非交感神経に不必要な損傷を引き起こすだけでなく、より重要なのは、介入処置が、意図された高血圧症のための期待された解決法を提供することができなかった。実際には、公表された上記2項の研究以外の特定の臨床現場で、介入処置の現在の「ブラインド」法の応答率は50%と低くなっていることを示している(医療機器:PG1‐2、2012年2月22日)。
【0025】
理論的には、動脈の壁内の正確な神経焼灼は、ある特定の用量のエネルギーの送達前に動脈壁を神経支配する神経の位置をマッピングすることによって達成することができる。刺激が動脈壁上の選択された場所に送達されている間、血圧、心拍数および筋活動等の自律神経システムに関連する生理学的パラメータを監視することによって、この場所のすぐ近くに監視対象の生理的パラメータの変化から自律神経の存在が反映される(Wang,US 2011/0306851 A1)。
【0026】
また、自律神経系の交感神経と副交感神経は、多くの場合、血圧および心拍数に対するそれらの制御を含む人体内で反対の効果を発揮する。動脈壁の交感神経のアブレーションは、高血圧を緩和しながら、この副交感神経のような他の組織が介入処置の「ブラインド」法に切除されることも同様に可能性がある。いくつかの動物研究から推測され得るように、盲目的に神経活動の減少または除去をした結果、高血圧を悪化させることがある(Ueda et al.,1967; Beacham and Kunze,1969;Aars and Akre,1970;Ma and Ho,1990;Lu et al.
1995)。
【0027】
現在の治療失敗の原因は、アブレーション後に神経の再生に起因するもので(Esler et al.,2010)、また、対象となる神経に送達するエネルギーの用量が不十分であることと、効果的なアブレーション用のある特定の用量のエネルギーを提供していない両方に関連している可能性がある。現在、腎除神経の成功は、ただ介入処置数日後のノルエピネフリンスピルオーバーとして知られている二次的な効果を測定することにより評価される(Krum et al.,2009)、処置後即時の評価のための方法を欠いている。介入処置の成功率を向上させるためには、動脈壁上の適切なアブレーションスポットを見つけるだけでなく、切除プロセス中に、エネルギーを精密かつ正確に標的神経に送達することを確認し、アブレーション後、効果的に標的神経に送達されるあるエネルギーの用量をすぐに確認することも重要である。
【発明の概要】
【0028】
現在の神経切除のためのシステムおよび方法の欠点に応じて、本発明は、腎動脈壁上の適切なアブレーションスポットの正確かつ精密な位置決めのためのシステムおよび方法を提供することによって改善を導入し、確実に十分な切除エネルギーを正確に標的神経に向けさせ、神経切除の直後の評価を実施する。最適な腎神経マッピング用カテーテルシステムも、本発明によって提供されている。
【0029】
なお、本発明は、前記ニーズに応じて開発された。開示された実施形態は、動脈壁上の神経と神経支配領域の正確かつ精密な位置のためのシステムおよび方法、刺激およびアブレーションのような所望の応答を誘発するために、十分なエネルギーを正確に標的神経に導くことを確保することによって、神経切除の直後の評価を実施することに関するものである。さらに、本開示の実施形態はまた、位置が動脈壁にプローブされる神経支配された神経の位置と種類を明確に表現するためのインターフェースを提供することに向けられている。
【0030】
本発明は、エネルギーの投与場所に対して、人体内で動脈壁を神経支配する交感神経の機能と副交感神経の存在を識別するための方法を提供する。この方法は、動脈壁へある特定の用量のエネルギーを送達する前に、生理学的パラメータのうちの1つまたは複数のベースラインを用意する工程、動脈壁へある特定の用量のエネルギーを送達する工程、エネルギーが送達された結果として、生理的変化を検出する工程、経験的に予め定められた値のセットに基づいて変更を評価する工程の1つまたは複数を含み、評価に基づく交感神経や副交感神経の近くにおいてエネルギーを送達された領域を決定する。
【0031】
一実施形態では、この方法は、神経切除処置の前に、動脈壁における交感神経系および副交感神経系の両方を含む圧反射に関連する適切な神経切除部位の位置を特定するために使用される。特定の実施形態では、神経切除処置は、腎動脈の神経除去するためのものである。別の実施形態では、この方法は、神経切除プロセス中に動脈壁における標的神経に切除エネルギーの正確な送達を確実にするために使用される。さらなる実施形態において、この方法は、標的神経が神経切除処置に供給されるエネルギーによってアブレーション処置されることを確実にするため、神経切除プロセス処置後の即時評価のために使用される。
【0032】
特定の実施形態では、エネルギーは、神経刺激に適した用量で動脈壁に送達される。他の実施形態では、エネルギーは、神経切除に適した用量で動脈壁に送達される。
【0033】
一実施形態では、生理学的パラメータは、血圧、心拍数、生化学的レベル、心臓の電気的活動、筋肉活動、骨格神経活動、細胞の活動電位または瞳孔反応、筋電図、血管収縮のような他の生理学的変化の結果として測定可能な反応を含む。
【0034】
幾つかの実施形態では、動脈壁上の領域が刺激を受けると、血圧および心拍数の増加を引き起こすことが交感神経で神経支配されると考えられ、逆に、動脈壁上の領域が刺激を受けると、血圧低下と心拍数の減少を引き起こすことが副交感神経に支配されると考えられている。
【0035】
一実施形態では、生理的パラメータがアブレーションプロセス中にベースラインから有意に逸脱した時に、アブレーションのためのエネルギーは動脈壁を支配する標的神経に正確に送達されたと考えられている。
【0036】
一実施形態では、神経切除処置は、切除エネルギーの送達前に、前記方法で神経が神経支配されていることが確認され、刺激エネルギーがこの場所に送達されるように血圧および心拍数のような生理学的パラメータの変化をもはやもたらさない時に、成功したと考えられている。
【0037】
本発明はまた、動脈壁の神経を位置決めおよび識別するためのシステムを提供する。システムは、動脈壁へ特定の用量のエネルギーを送達することができる1つ以上のデバイス、生理学的パラメータの信号を受信するための1つ以上のセンサ、センサからの信号を分析するための1つまたは複数のデバイス、および分析の結果を表示できる1つ以上のインジケータまたはパネルを含む。
【0038】
一実施形態では、エネルギー送達デバイスによって送達されるある特定の用量のエネルギーは、神経刺激または神経切除のいずれかを達成するように制御することができる。別の実施形態では、2つのデバイスはそれぞれ独立して、神経刺激および神経切除を行うために使用される。
【0039】
別の実施形態では、送達されるエネルギーは、電気的、機械的、超音波、放射線、光および熱エネルギーの1つ以上である。
【0040】
いくつかの実施形態では、前記センサは、血圧、心拍数、生化学的レベル、心臓の電気的活動、筋肉活動、骨格神経活動、細胞の活動電位および他の瞳孔応答、筋電図と血管収縮等測定可能な反応を含む生理学的パラメータを検出する。特定の実施形態では、生理学的パラメータに対応する信号は、この分野で知られている商業的に利用可能な技術を用いて検出される。
【0041】
別の実施形態では、生理学的信号をデジタル解析するための装置は、マイクロコントローラまたはコンピュータである。
【0042】
一実施形態では、分析された結果は、異なる色のインジケータを用いて表示される。交感神経に支配される領域が緑色のインジケータで表され、副交感神経に支配される領域が赤色のインジケータで表される。別の実施形態では、分析されたデータは、デジタル表示パネルに表示される。
【0043】
一実施形態では、インジケータまたはパネルのセットは、そのようなエネルギー送達デバイスなどのシステム内のデバイスに組み込まれてもよい。特定の実施形態では、インジケータまたはパネルのセットは、システム内の別個のエンティティとして存在してもよい。
【0044】
本発明はまた、腎臓アーキテクチャにカスタマイズされた形状の遠位端(即ち、カテーテルチップ)を有する特別に設計されたカテーテルを提供し、1つ以上の電極を処理することにより、腎臓の神経分布をマッピングし、腎切除を行い、アブレーション後の評価を実施し、血管造影を行う。特定の実施形態では、そのようなカテーテルの電極が順次カテーテル先端の長手方向に沿って離間している、カテーテル先端の電極面が腎動脈内腔のセグメント化された部分と接触する。特定の実施形態では、カテーテルの先端が操縦可能であり、無線周波数エネルギーを放出するための単一の電極を有している。特定の実施形態では、カテーテル先端の形状は、螺旋コイルの形状が円形またはフラットのいずれかであることを特徴とする単一の螺旋である。他の実施形態では、カテーテル先端は、螺旋コイルの形状が円形またはフラットのいずれかである二重螺旋である。さらなる実施形態では、カテーテル先端は螺旋状コイルに巻かれているバルーンを含んでもよく、螺旋コイルの長手方向に沿って離間している電極であり、代わりに、カテーテル先端は、バルーンをカプセル化する傘要素であるバルーンの周りを含んでよく、前記傘要素に沿って離間している電極である。両方の実施形態の変形形態では、コイルまたは傘要素は、形状が円形またはフラットのいずれかであり得る。結果としてコイルや傘の長手方向に沿って離間している電極は、コイルまたは傘の下にある形状に応じて、形状が円形またはフラットであってもよい。
【0045】
さらなる実施形態では、カテーテル先端が傘状または閉鎖端を有するフレーム、または開放端を有する傘状であってもよい。
【0046】
特定の実施形態では、上記カテーテル先端は、ステントの機能を実行するために、動脈アーキテクチャに導入されてもよい。
【0047】
一実施形態では、これらのカテーテル先端の直径は0.5mmから10mmまで変化し得、カテーテル先端の長さは20mmから80mmまで変化し得、コイルの直径は3.0mmから7.5mmまで変化し得、各コイル間の距離は4mmから6mmまで変化し得、非コイルの全長は31mmから471mmまで変化し得る。
【0048】
カテーテルの電極は、互いに独立して活性化するか、電気刺激または高周波エネルギーを放出する任意の組み合わせで活性化することができる。各電極は、電気刺激または無線周波数エネルギーを送達する二重の機能を有する。電気刺激は重要な腎神経の下に位置する腎動脈内腔のセグメントを識別し、マッピングするために使用されている。識別とマッピングは血圧応答および心拍数または筋交感神経活動に適用される電気刺激に対する応答または生理学的応答(Schlaich et al.,NEJM 2009)、または腎ノルエピネフリンスピルオーバー(Esler et al.2009,and Schlaich et al.,J Htn.2009)を監視することによって達成される、前記生理学的応答の変化は、活性化電極の近傍における下の交感神経分布の存在を示す。別の実施形態では、カテーテルの各電極は、最大の生理学的応答を評価し、下にある腎神経の位置決めするために、医師により操作され、選択された組み合わせで活性化することができる。カテーテルの電極は、腎臓の神経を刺激するのに十分な強度の電流を放出するだけでなく、そのような腎神経マッピングの結果に基づいて、下にある腎神経組織を切除するための高周波エネルギーとして熱エネルギーを放出することができる。他の実施形態では、カテーテルの別個の電極が選択的に活性化された電極の選択は、神経のマッピングの結果に基づく、高い無線周波数エネルギー等のアブレーションエネルギーを放射するように活性化することができる。さらなる実施形態では、腎神経のマッピングに基づいて、例えば、レーザーエネルギー、高密度の集束超音波またはクライオアブレーション技術等、アブレーション技術は他種類のアブレーションエネルギーを使用して、腎臓の交感神経を切除するために腎動脈の壁に適用することができる。
【0049】
特定の実施形態では、これらのカテーテルは、交換可能に、既存の心臓カテーテルシステムに利用される既存の無線周波数発生器と共に使用される。
【0050】
一実施形態では、前述のカテーテルシステムは、予め所望の位置にカテーテル先端を案内するために患者の体内に挿入されるカテーテル、ガイドワイヤのいずれかを利用することができる。それらはまた、シースおよび拡張器等のようなデバイスの心血管および腎臓の血管系内の通過を容易にするために使用する装置および他の機器と共に使用することができる。必要な場合には、上述のカテーテルシステムはまた、カテーテル先端を位置決めするプラーワイヤと共に利用される。
【0051】
本発明はまた、血圧および心拍数のような生理学的応答の変化を監視しながら、電気刺激を用いて、腎神経分布をマッピングし、腎神経の理想的な除神経のために腎動脈内のアブレーションスポットを識別する工程を含む腎臓の神経分布をマッピングために本明細書に記載されたカテーテルを使用する方法を提供する。これらの方法は、血圧および心拍数のような生理学的反応を監視しながら、下にある腎神経を刺激するための電荷を放出するように上記カテーテルの独立電極を活性化することを含む。生理学的応答における変化の存在は、活性化された電極の近傍に下の交感神経およびアブレーションのための優れた場所の存在を示す。マッピングデータの蓄積は、切除を行う際の臨床医を支援するために、腎神経分布について臨床的に有用なガイドの形態を取ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0052】
【
図1】
図1は、動脈壁内の機能的な神経を位置決めおよび識別するための本発明のシステムの概略図である。本システムは、動脈壁へエネルギーを送達するための装置101、装置101に電力を供給するための電源102、生理学的パラメータの信号を検出するためのセンサ103、センサ103からのデータを分析するための装置104、装置104からの結果を表示するためのインジケータ105を含む。
【0053】
【
図2】
図2は、動脈壁に供給される特定の用量のエネルギーの近傍に機能的な交感神経または副交感神経があるかどうかを識別する方法の実施形態における工程を示す概略図である。グラフは、記録可能な生理学的信号を示す。
【0054】
【
図3A】
図3Aは、本発明の一実施形態による単一の螺旋アブレーションカテーテルの遠位部分(カテーテル先端部)の正面図を示し、電極301が螺旋の長手方向に沿って90度間隔で配置され、螺旋コイル303が円形であることを特徴とする、「L」は遠位部分の長さを示し、「I」は単一のコイルの一巻きの長さを示し、「d」はカテーテル先端の直径を示し、「D」は螺旋コイルの直径を示す。
【0055】
【
図3B】
図3Bは、
図3Aに示したアブレーションカテーテルの螺旋内の単一の完全なコイル電極301の分布を示す。
【0056】
【
図3C】
図3Cは、リード線の搬送方向から、
図3Aに示した実施形態に係る単一の螺旋アブレーションカテーテルの遠位部分の端面図を示し、電極301のコイルの最初のターンのみを示す。
【0057】
【
図3D】
図3Dは、本発明の実施形態に係る単一の螺旋アブレーションカテーテルの遠位部分の立面図を示し、電極305は螺旋の長手方向に沿って120度間隔で配置され、螺旋コイル307は円形である。
【0058】
【
図3E】
図3Eは、
図3Dに示したアブレーションカテーテルの螺旋内の単一の完全なコイル電極305の分布を示す。
【0059】
【
図3F】
図3Fは、リード線の搬送方向から、
図3Dに示した実施形態に係る単一の螺旋アブレーションカテーテルの遠位部分の端面図を示し、電極305のコイルの最初のターンのみを示す。
【0060】
【
図3G】
図3Gは、本発明の実施形態に係る単一の螺旋アブレーションカテーテルの遠位部分の立面図を示し、電極309は螺旋の長手方向に沿って90度間隔で配置され、螺旋コイル311自体は平坦化されている。
【0061】
【
図3H】
図3Hは、
図3Gに示したアブレーションカテーテルの螺旋内の単一の完全なコイル電極309の分布を示す。
【0062】
【
図3I】
図3Iは、本発明の実施形態に係る単一の螺旋アブレーションカテーテルの遠位部分の立面図を示し、電極313は螺旋の長手方向に沿って120度間隔で配置され、螺旋コイル315自体は平坦化されている。
【0063】
【
図3J】
図3Jは、
図3Iに示したアブレーションカテーテルの螺旋内の単一の完全なコイル電極313の分布を示す。
【0064】
【
図4A】
図4Aは、本発明の一実施形態に係る二重螺旋アブレーションカテーテルの遠位部分の立面図を示し、電極417はそれぞれ各螺旋の長手方向に沿って90度間隔で配置され、螺旋コイル419は円形である、「L」は遠位部分の長さを示し、「I」は各螺旋コイルの1ターンの長さを示す。
【0065】
【
図4B】
図4Bは、リード線の搬送方向から、
図4Aに示した一実施形態に係る二重螺旋アブレーションカテーテルの遠位部分の端面図を示し、電極417の各コイルの最初のターンのみを示す。
【0066】
【
図4C】
図4Cは、本発明の一実施形態に係る二重螺旋アブレーションカテーテルの遠位部分の立面図を示し、電極421はそれぞれ各螺旋の長手方向に沿って120度間隔で配置され、螺旋コイル423は円形である、「L」は遠位部分の長さを示し、「I」は各螺旋コイルの1ターンの長さを示す。
【0067】
【
図4D】
図4Dは、リード線の搬送方向から、
図4Cに示した一実施形態に係る二重螺旋アブレーションカテーテルの遠位部分の端面図を示し、電極421の各コイルの最初のターンのみを示す。
【0068】
【
図4E】
図4Eは、本発明の一実施形態に係る二重螺旋アブレーションカテーテルの遠位部分の立面図を示し、電極425はそれぞれ各螺旋の長手方向に沿って90度間隔で配置され、螺旋コイル427は平坦化されている。
【0069】
【
図4F】
図4Fは、本発明の一実施形態に係る二重螺旋アブレーションカテーテルの遠位部分の立面図を示し、電極429はそれぞれ各螺旋の長手方向に沿って120度間隔で配置され、螺旋コイル431は平坦化されている。
【0070】
【
図5A】
図5Aは、本発明の一実施形態に係るバルーンアブレーションカテーテルの遠位部分の立面図を示し、バルーン533は膨張することができ、電極535は形状が円形で、バルーンの周りに巻き付けている螺旋コイル537に沿って、間隔を置いて均等に配置されている。
【0071】
【
図5B】
図5Bは、バルーン541をカプセル化する傘状部品539を組み込んだ本発明の一実施形態に係るバルーンアブレーションカテーテルの遠位部分の立面図を示し、前記バルーンが膨張でき、バルーンを封入した電極543は、傘に沿って間隔を置いて配置されていることを特徴とする。
【0072】
【
図6A】
図6Aは、電極647がフレームのような傘に沿って、間隔を置いて配置されているフレーム645のようなクローズドエンド型傘を組み込んだ本発明の一実施形態に係るアブレーションカテーテルの遠位部分の立面図を示す。
【0073】
【
図6B】
図6Bは、リード線の搬送方向から、
図6Aに示した一実施形態に係るアブレーションカテーテルの遠位部分の端面図を示す。
【0074】
【
図6C】
図6Cは、電極651がフレームのような傘に沿って、間隔を置いて配置されている前記フレーム649のようなオープンエンド型傘を組み込んだ本発明の一実施形態に係るアブレーションカテーテルの遠位部分の立面図を示す。
【0075】
【
図6D】
図6Dは、リード線の搬送方向から、切除カテーテルの遠位部分の端面図を示す。
【0076】
【
図7A】
図7Aは、単一の電極755が操縦可能なカテーテル先端753に配置されている本発明の一実施形態に係るアブレーションカテーテルの遠位部分の立面図を示す。
【0077】
【
図7B】
図7Bは、リード線の搬送方向から、
図7Aに示した実施形態に係るアブレーションカテーテルの遠位部分の端面図を示し、電極755を示す。
【0078】
【
図8-1】
図8‐1は、神経マッピング実験において使用される急性のブタを実験するための実験の設定を示す。
【
図8-2】
図8‐2は、神経マッピング実験において使用される急性のブタを実験するための実験の設定を示す。
【0079】
【
図9A】
図9Aは、左腎動脈(LRA)刺激後の動脈収縮圧(ASP、mmHgで測定する場合)の最大と最小の効果を示し、左腎動脈(LRA)電気刺激後の前記動脈収縮圧のベースライン測定値および刺激後の最大と最小の応答を示す。
【0080】
【
図9B】
図9Bは、左腎動脈(LRA)刺激後の動脈拡張圧(ADP、mmHgで測定する場合)の最大と最小の効果を示し、左腎動脈(LRA)電気刺激後の前記動脈拡張圧のベースライン測定値および刺激後の最大と最小の応答を示す。
【0081】
【
図9C】
図9Cは、左腎動脈(LRA)刺激後の平均動脈圧(MAP、mmHgで測定する場合)の最大と最小の効果を示し、左腎動脈(LRA)電気刺激後の前記平均動脈圧のベースライン測定値および刺激後の最大と最小の応答を示す。
【0082】
【
図9D】
図9Dは、左腎動脈(LRA)刺激後の心拍数(HR)の最大と最小の効果を示し、左腎動脈(LRA)電気刺激後の前記心拍数(HR)の最大および最小の変化、ベースライン測定値および刺激後の最大と最小の応答を示す。
【0083】
【
図10A】
図10Aは、右腎動脈(RRA)刺激後の動脈収縮圧(ASP、mmHgで測定する場合)の最大と最小の効果を示し、右腎動脈(RRA)電気刺激後の前記動脈収縮圧のベースライン測定値および刺激後の最大と最小の応答を示す。
【0084】
【
図10B】
図10Bは、右腎動脈(RRA)刺激後の動脈拡張圧(ADP、mmHgで測定する場合)の最大と最小の効果を示し、右腎動脈(RRA)電気刺激後の前記動脈拡張圧のベースライン測定値および刺激後の最大と最小の応答を示す。
【0085】
【
図10C】
図10Cは、右腎動脈(RRA)刺激後の平均動脈圧(MAP、mmHgで測定する場合)の最大と最小の効果を示し、ベースライン測定値および刺激後の最大と最小の応答を示す。
【0086】
【
図10D】
図10Dは、右腎動脈(RRA)刺激後の心拍数(HR)の最大と最小の効果を示し、右腎動脈(RRA)電気刺激後の前記心拍数(HR)の最大および最小の変化、ベースライン測定値および刺激後の最大と最小の応答を示す。
【0087】
【
図11】
図11は、腎内動脈刺激が腎動脈の特定の場所に適用された後、心拍数の減少を示す。
【0088】
【
図12A】
図12Aは、左腎動脈の4回に分けた腎切除の間、動脈収縮圧(ASP)の変化を示し、左腎動脈(LRA)の4回それぞれの腎切除の際の動脈収縮圧(ASP、mmHgで測定する場合)の変化を示す。
【0089】
【
図12B】
図12Bは、左腎動脈の4回に分けた腎切除の間、動脈拡張圧(ADP)の変化を示し、左腎動脈(LRA)の4回それぞれの腎切除の際の動脈拡張圧(ADP、mmHgで測定する場合)の変化を示す。
【0090】
【
図12C】
図12Cは、左腎動脈の4回に分けた腎切除の間、平均動脈圧(MAP)の変化を示し、左腎動脈(LRA)の4回それぞれの腎切除の際の平均動脈圧(MAP、mmHgで測定する場合)の変化を示す。
【0091】
【
図12D】
図12Dは、左腎動脈の4回に分けた腎切除の間、心拍数(HR)の変化を示し、左腎動脈(LRA)の4回それぞれの腎切除の際の心拍数(HR)の変化を示す。
【0092】
【
図13A】
図13Aは、右腎動脈の4回に分けた腎切除の間、動脈収縮圧(ASP)の変化を示し、右腎動脈(RRA)の4回それぞれの腎切除の際の動脈収縮圧(ASP、mmHgで測定する場合)の変化を示す。
【0093】
【
図13B】
図13Bは、右腎動脈の4回に分けた腎切除の間、動脈拡張圧(ADP)の変化を示し、右腎動脈(RRA)の4回それぞれの腎切除の際の動脈拡張圧(ADP、mmHgで測定する場合)の変化を示す。
【0094】
【
図13C】
図13Cは、右腎動脈の4回に分けた腎切除の間、平均動脈圧(MAP)の変化を示し、右腎動脈(RRA)の4回それぞれの腎切除の際の平均動脈圧(MAP、mmHgで測定する場合)の変化を示す。
【0095】
【
図13D】
図13Dは、右腎動脈の4回に分けた腎切除の間、心拍数(HR)の変化を示し、右腎動脈(RRA)の4回それぞれの腎切除の際の心拍数(HR)の変化を示す。
【0096】
【
図14-1】
図14‐1は、慢性腎神経アブレーション実験のための実験の設定を示す。
【
図14-2】
図14‐2は、慢性腎神経アブレーション実験のための実験の設定を示す。
【0097】
【
図15】
図15は、殺された動物から採取した腎動脈のセクションのための組織学マップスキームを示す。
【発明を実施するための形態】
【0098】
本明細書を通して言及されるように、用語「カテーテル」は、アブレーションまたは他の作用のための標的解剖に導入することが意図された遠端部分から、カテーテルが、カテーテルとRF発生器とを結合する連結部まで延びるカテーテル装置の全長を指すことに留意されたい。本明細書を通して言及されるように、用語「カテーテルチップ」は、電極を搬送し、作用の標的部位において身体内刺激、アブレーションおよびマッピング機能を実行するカテーテルの遠位部分を指す。用語「カテーテルチップ」は、カテーテルの「遠位部分」を指す用語と任意に交換可能に使用される。
【0099】
成功的なアブレーションを行う前に、腎神経アーキテクチャは、最優先の配慮である。そのため、除神経のためのカテーテル挿入が正常に行われる前に、個々の腎神経アーキテクチャを慎重に検討し、またはマッピングする必要がある。異常な腎アーキテクチャの存在だけでなく、個人の腎神経アーキテクチャの正常な変動も、切除前に腎神経のマッピングが必要になる。つまり、アブレーションのための最高のスポットが人およびその人の動脈によって異なるという意味で「ランダム」であるため、腎神経のマッピングはカテーテル除神経の前に必要となる。このように、最適なアブレーションは、カテーテルアブレーション前に腎神経の識別やマッピングが必要となる。
【0100】
本発明は、動脈、特に腎動脈の壁内の機能的な神経と神経支配部位の位置を決めするためのシステムおよび方法を提供するが、該当技術分野の当業者は、人体のほかの動脈または血管を支配する神経を本発明を用いて位置決めすることができることを理解する。システムは、動脈壁へ特定の用量のエネルギーを送達することができる1つ以上のデバイス、生理的信号の入力を受信するための1つ以上のセンサ、センサからの信号を分析するための1つまたは複数のデバイス、および1つ以上のインジケータまたは分析結果を表示することができるパネルを含む。
【0101】
図1は、神経応答を識別するための生理学的パラメータとして、血圧および心拍数を用いて、腎臓除神経系の一態様による例示的な本発明のシステムを示す。システムは、電源102と電気的に連絡している動脈壁へのエネルギーの送達のための1つ以上の装置101を含む。システムはさらに、生理学的信号を分析するための装置104と電気的に連絡して生理学的信号を検出するためのセンサ103を備える。装置104と電気的に通信するインジケータ105は、装置104からの解析結果を表示する。装置101は、二重機能カテーテルの形で、本実施形態では、最小限の侵襲性介入処置を介して腎動脈内に挿入されている。装置101は少なくとも一本の電極が腎動脈壁の指定された場所と接触し、この電極が電源102から神経の刺激またはアブレーションのための特定の用量のエネルギーを送達することができ、神経支配のために動脈壁の領域に電極が接触している。神経刺激または切除するのに十分なエネルギーが、電極が動脈壁に接触している箇所に、装置101上の電極から送達されると、センサ103は、血圧および/または心拍数の変化を検出する。センサ103からの信号は、信号が誘発されるかどうかを決定するデジタル装置104に入力されると、交感神経または副交感神経によるものであるか、またはその欠如に起因するかを決定する。インジケータ105は、装置104からの分析結果を表示する。
【0102】
本発明の一実施形態では、装置101は、神経刺激またはアブレーションを生じ、神経支配する動脈へエネルギーを送達することができる動脈に挿入する侵襲的な装置である。別の実施形態では、装置101は、1つは神経刺激エネルギー、1つは神経除去エネルギーを送達する2つの別々のエンティティから構成されている。別の実施形態では、装置101は、単一電極カテーテルまたは多電極カテーテルである。
【0103】
一実施形態では、電源102は、装置101を介して動脈壁にエネルギーを送達する。別の実施形態では、エネルギーは、装置101無しに動脈壁内に電源102によって人体を介して遠隔に送達される。さらなる実施形態では、電源102は、独立して、動脈壁上の別個の位置への別々のある特定の用量のエネルギーを送達することができるマルチチャンネル電源である。他の実施形態では、電源102は、特定の用量のエネルギーごとに送達することができるシングルチャネル電源である。別の実施形態では、電源102によって供給されるべきエネルギーの用量は、例えば、刺激またはアブレーション等の標的神経に異なる効果を誘導するのに調整可能である。さらなる実施形態では、電源102によって供給されるエネルギーは、電気的、機械的、超音波、放射線、光および熱エネルギーの1つ以上である。
【0104】
一実施形態では、センサ103は、血圧、心拍数、生化学的レベル、心臓の電気的活動、筋肉活動、骨格神経活動、細胞の活動電位および他の瞳孔応答、筋電図と血管収縮等測定可能な反応を含む生理学的パラメータを検出する。さらなる実施形態では、センサ103は外部からまたは人体の任意の部分に接触することなく信号を検出する。別の実施形態では、センサ103は、腎動脈または大腿動脈または他の動脈のような関心のある内腔またはその近傍で接触することによって人体の内部信号を検出する。さらに、別の実施形態では、センサ103は、介入処置中に本発明と共に使用される他の機器の一部からのセンサであってもよい。
【0105】
一実施形態では、装置104は、1つまたは複数のマイクロコントローラまたはセンサ103から直接または間接的に生じる信号をデジタル解析することができるコンピュータである。
【0106】
一実施形態では、インジケータ105は、装置104からの分析結果を表示する1つまたは複数のデジタルビューイングパネルである。別の実施形態では、動脈壁上の複数の位置から前記分析の1つ以上の分析結果を同時にインジケータ105に表示される。さらなる実施形態では、インジケータ105は、センサ103からの1つ以上の生理学的信号、例えば、電流、周波数、電圧等の電源102からのエネルギー関連の情報、インピーダンスと組織電極界面関連情報、そして、温度などの装置101に関連する情報を表示する。特定の実施形態では、インジケータ105は、それぞれ交感神経、副交感神経または無神経を表す色の異なる光の各セットを含む。他の実施形態では、インジケータ105は、テキスト、シンボル、色、音、またはこれらの組み合わせを有する装置104からの分析結果を表示する。
【0107】
特定の実施形態では、装置4およびインジケータ5は、単一の装置として統合されており、さらなる実施形態では、装置4およびインジケータ5の両方が電源2に統合されている。
【0108】
さらに別の実施形態では、センサ103、装置104およびインジケータ105は、装置101と電源102から独立して存在することによって、センサ103、装置104およびインジケータ105は高強度の超音波等の血管壁へのエネルギー送達のための他の外部または侵襲的な方法と共に使用することができる。
【0109】
本発明はさらに、ある特定の用量のエネルギーにより誘導される生理学的パラメータの変化に基づいて動脈壁上の選択された領域を神経支配する交感神経の機能または副交感神経の存在を識別するための方法を提供する。この方法は、動脈壁へある特定の用量のエネルギーの送達前に測定される生理学的パラメータのベースラインを用意する工程、動脈壁へ特定の用量のエネルギーを送達する工程、送達されるエネルギーの結果として生理的変化を検出する工程、経験的に予め決められた値のセットに基づいて変化を評価する工程、そして、評価の結果に基づくエネルギー送達部位の近傍で機能的な交感神経や副交感神経があるかどうかを判断する工程等のうちの1つまたは複数の工程を含む。
【0110】
図2は、任意の官能交感神経または副交感神経支配する動脈壁の選択された領域の存在を決定するための方法の工程を示すフローチャートである。
【0111】
工程1では、センサ103からの生理学的信号を連続信号における任意の瞬間的な変化を反映する信頼できるベースラインを生成するために、装置104によって記録される。
【0112】
次いで、エネルギーは、この電極と接触している動脈壁上の領域に装置101内の電極のいずれかによって送達される(工程2)。センサ103は、供給されるエネルギーによって引き起こされる任意の生理学的変化を検出し、その変化は、装置104に送信された信号として記録される(工程3)。
【0113】
工程4では、装置104は、工程1およびベースラインからの生理学的信号の偏差を決定し、工程5では、ベースライン情報からの偏差に基づいて、動脈壁上の領域支配する神経の種類を判定する。
【0114】
一実施形態では、センサ103によって検出された生理学的信号は、結果として、血圧、心拍数、生化学的レベル、心臓の電気的活動、筋肉活動、骨格神経活性、細胞および瞳孔反応や血管収縮等のような他の観察可能な身体反応の活動電位の1つまたは複数を含む。
【0115】
一実施形態では、工程2で供給されるエネルギーの用量は、神経刺激または神経の切除等の標的神経との異なる相互作用を誘発するために調整可能である。
【0116】
特定の実施形態では、生理学的信号が、他の外部デバイスで測定され、装置104によって形成された従来のベースラインを置き換えるために、エネルギー送達前に装置104に入力される。
【0117】
一実施形態では、生理学的パラメータの変化は、工程2におけるエネルギー送達処理中または処理後に検出される。別の実施形態では、生理学的パラメータの変化は、数値や波形の形態である。さらなる実施形態では、工程1のベースラインからの偏差は、信号から、工程1のベースラインを差し引くことによって評価される。
【0118】
一実施形態では、経験的に予め定められた設定値は、臨床データのセットまたは臨床医師の経験から推定される。いくつかの実施形態では、動脈壁上の領域は、その領域に供給されるエネルギーが10分当たりの拍数および/または6mmHgの血圧の上昇による心拍数の増加を引き起こす場合に、交感神経で神経支配されると考えられる。他の実施形態では、動脈壁上の領域は、その領域に供給されるエネルギーが5分当たりの拍数および/または2mmHgの血圧の低下による心拍数の減少を引き起こす場合に、副交感神経で神経支配されると考えられる。
【0119】
さらなる実施形態では、工程5の結果は、インジケータ105に表示される。
【0120】
一実施形態では、本方法は、交感神経と副交感神経系を介して圧反射を破壊し、動脈壁における神経の切除に適した部位を識別するために使用される。別の実施形態では、本方法は、切除エネルギーが動脈壁内の標的神経に正確に送達されるかどうかの指標を提供する。さらなる実施形態では、本方法は、神経切除直後の処置を評価するために使用される。
【0121】
本発明はまた、腎臓の神経分布をマッピングして、腎切除と血管造影を実行するために1つ以上の電極を有し、腎臓アーキテクチャに合わせてカスタマイズ形状に操縦可能な遠位端(即ち、カテーテルチップ)で、特別に設計されたカテーテルを提供する。特定の実施形態では、そのようなカテーテルの電極が順次電極面が腎動脈内腔のセグメント化された部分と接触するカテーテル先端の長手方向に沿って配置されている。特定の実施形態では、カテーテル先端の形状は、螺旋形状のコイル(
図3A‐J)において、円形またはフラットのいずれかであることを特徴とする単一の螺旋である。他の実施形態では、カテーテル先端は、螺旋コイル形状(
図4A‐F)において、円形またはフラットのいずれかである二重螺旋である。さらなる実施形態では、カテーテル先端は、螺旋コイルを巻かれているバルーンを含み、螺旋コイルの長手方向に沿って間隔を置いた電極(
図5A)であり、その代わりに、カテーテル先端は、バルーンをカプセル化する傘要素である周囲にバルーンを含み、前記傘要素に沿って間隔を置いた電極(
図5B)である。
図5Aおよび
図5Bに示す両方の実施形態の変形形態では、コイルまたは傘要素は、形状が円形またはフラットのいずれかであり、その結果、コイルまたは傘の長手方向に沿って間隔を置いた電極は、コイルまたは傘の下にある形状に応じて、形状が円形またはフラットであってもよい。
【0122】
さらなる実施形態では、カテーテル先端が閉鎖端(
図6A‐B)、または開放端(
図6C‐D)を有する傘状またはフレームを含むことができる。
【0123】
別の実施形態では、カテーテルは、その先端における単一の電極を有する操縦可能なカテーテル先端を有する(
図7A‐B)。
【0124】
特定の実施形態では、上記カテーテル先端は、ステントの機能を実行するために、動脈アーキテクチャに導入することができる。
【0125】
一実施形態では、これらのカテーテル先端の直径Dは0.5mmから10mmまで変化し得、カテーテルの先端の長さLは20mmから80mmまで変化し得、コイルの直径Dは3.0mmから7.5mmまで変化し得、各コイル間の距離Lは4mmから6mmまで変化し得、コイルの数は3.3から20まで変化し得、非コイルの全長は31mmから471mmまで変化し得る。
【0126】
カテーテルの電極は、互いに独立して活性化するか、電気刺激または高周波エネルギーを放出する任意の組み合わせで活性化することができる。各電極は、電気刺激または無線周波数エネルギーを送達する二重の機能を有する。電気刺激は重要な腎神経をその下に位置する腎動脈内腔のセグメントを識別し、マッピングするために使用されている。識別とマッピングは血圧応答および心拍数または筋交感神経活動に適用される電気刺激に対する応答または生理学的応答(Schlaich et al.,NEJM 2009)、または腎ノルエピネフリンスピルオーバー(Esler et al.2009,and Schlaich et al.,J Htn.2009)を監視することによって達成される。前記生理学的応答の変化は、活性化電極の近傍における下の交感神経分布の存在を示す。別の実施形態では、カテーテルの各電極は、最大の生理学的応答を評価し、下にある腎神経を位置決めするために、医師に操作、選択された組み合わせで活性化させることができる。カテーテルの電極は、腎臓の神経を刺激するのに十分な強度の電流を放出するだけでなく、そのような腎神経マッピングの結果に基づいて、下にある腎神経組織を切除するための高周波エネルギーとして熱エネルギーを放出することができる。他の実施形態では、カテーテルの別個の電極が選択的に活性化された電極の選択は、神経のマッピングの結果に基づいて、高い無線周波数エネルギー等のアブレーションエネルギーを放射するように活性化することができる。さらなる実施形態では、腎神経のマッピングに基づいて、例えば、レーザーエネルギー、高密度の集束超音波またはクライオアブレーション技術等、アブレーション技術は他種類のアブレーションエネルギーを使用して、腎臓の交感神経を切除するために腎動脈の壁に適用することができる。
【0127】
特定の実施形態では、これらのカテーテルは、交換可能に、既存の心臓カテーテルシステムに利用される既存の無線周波数発生器と共に使用される。
【0128】
一実施形態では、前述のカテーテルシステムは、予め所望の位置にカテーテル先端を案内するために患者の体内に挿入されるカテーテル、ガイドワイヤのいずれかを利用することができる。それらはまた、シースおよび拡張器等のようなデバイスの心血管および腎臓の血管系内の通過を容易にするために使用する装置および他の機器と共に使用することができる。必要な場合には、上述のカテーテルシステムはまた、カテーテル先端を位置決めするプラーワイヤと共に利用される。
【0129】
本発明はまた、血圧および心拍数のような生理学的応答の変化を監視しながら、電気刺激を用いて、腎神経分布をマッピングし、腎神経の理想的な除神経のために腎動脈内のアブレーションスポットを識別する工程を含む腎臓の神経分布をマッピングために本明細書に記載されたカテーテルを使用する方法を提供する。これらの方法は、血圧および心拍数のような生理学的反応を監視しながら、下にある腎神経を刺激するための電荷を放出するように上記カテーテルの独立電極を活性化することを含む。生理学的応答における変化の存在は、活性化された電極の近傍に下の交感神経およびアブレーションのための優れた場所の存在を示す。マッピングデータの蓄積は、切除を行う際の臨床医を支援するために、腎神経分布について臨床的に有用なガイドの形態を取ることができる。
【0130】
一実施形態では、カテーテルの先端は、必要に応じて腎動脈内腔の所望の部分に接触するために、指定されたプロトコルに従って、血管内を移動する。一実施形態では、上記方法でカテーテル先端を移動させるための任意のプロトコルが腎臓の内部に近い腎動脈の半分から、大動脈に近い腎動脈の半分にカテーテル先端の刺激またはアブレーション部を移動させ、2つの半分にそれぞれ1つまたは複数の電気刺激を印加する。
【0131】
別の実施形態では、カテーテル先端部を移動させるための任意のプロトコルは、以下の配列中の腎動脈内にカテーテル先端の刺激またはアブレーション部を回す方法を含む。(a)動脈の前壁から後壁へ回す;(b)動脈の後壁から上壁へ回す;(c)動脈の上壁から下壁へ回す。この場合、それぞれ90度またはそれ以下回すこと必要である。一実施形態では、1つ以上の電気刺激は、腎動脈内のカテーテル先端部の各旋回後に適用される。
【0132】
一実施形態では、電気刺激は、以下のパラメータ内で印加する:(a)電圧が2〜30Vの間、(b)抵抗間100〜1000Ωの間、(c)電流間5〜40mAの間、(d)印加時間が0.1〜20ミリ秒の間である。
【0133】
本発明はまた、全身性腎神経機能亢進に起因する疾患を治療するために腎神経を切除する方法を提供し、以下の工程を含む:(a)、腎神経をマッピングするために、本明細書に記載のマッピング方法を適用すること、(b)腎動脈内腔の特異な部位にマッピングされた腎神経を切除するために、カテーテルを介して高周波エネルギーを印加すること、(c)アブレーションの有効性を評価するために再度刺激を印加する。さらなる実施形態では、腎神経のマッピングに基づいて、当該技術分野において一般に知られている他のアブレーション技術には、交感神経腎神経を切除するために腎動脈の壁に、レーザーエネルギーのような他の切除エネルギーを用いて、例えば、アブレーション技術を利用することができる集束集中的な高超音波または冷凍アブレーション技術がある。
【0134】
本発明は、シャフトを含む対象における血管壁を位置決めまたは機能的神経の神経支配を識別するための方法において使用されるように適合されたカテーテルを提供する、前記シャフトの近位端は、エネルギー源に接続するように構成され、遠位端(カテーテル先端)のシャフトは、単一の螺旋、二重螺旋または1つ以上の電極を有する複数のプロングの形態である。
【0135】
一実施形態では、前記カテーテルは、血管上の神経を刺激するか、または切除するのに十分なエネルギーを放出するように構成された1つ以上の電極を含むことを特徴とする。さらなる実施形態では、電極は、互いに独立して活性化されてもよい。
【0136】
一実施形態では、前記カテーテルの長さが1〜2mの間であり、カテーテル先端部の長さが2〜8cmの間で、直径が0.5mm〜10mmの間である。
【0137】
一実施形態では、カテーテルは実質的に円形または平坦状である螺旋状コイルまたはプロングを含み、電極が、前記コイルまたは前記プロングの長手方向に沿って離間され、前記コイルまたは前記プロングに電極が埋め込まれているか、または前記コイルまたは前記プロングの表面上にある。一実施形態では、プロングは、遠位端で再結合される。さらに別の実施形態では、電極は均等にコイルを互いに90度または120度で長手方向に沿って前記間隔を置いて配置される。
【0138】
一実施形態では、前記カテーテルは、螺旋またはプロングのコイル内の空間を充填するために、バルーンを膨張可能に保持するように構成されたカテーテル先端を有する。
【0139】
本発明はまた、被験体における血管壁の機能を支配する神経を位置決めまたは識別するためにカテーテルを使用する方法を提供し、以下の工程を含む:a)前記カテーテルを前記血管内に挿入し、交感神経または副交感神経による前記血管の神経の支配に関連付けられた1つ以上の生理学的パラメータを変更するように、前記血管壁の1つ以上の場所に十分なエネルギーを送達するためにカテーテル上の電極を活性化する工程と、b)各エネルギー送達後、1つ以上の生理学的前記パラメータを測定し、前記血管へのエネルギー送達せずに得られた関連パラメータの変化を決定する工程。工程bにおいて、前記生理学的パラメータにおける変化の欠如は、エネルギー送達の場所における機能の神経が存在しないことを示す。工程bにおいて、前記生理学的パラメータの有意な変化は、エネルギー送達の場所における機能の神経の存在を示す。前記工程bにおいて、前記生理学的パラメータの変化の方向は、その神経がエネルギー送達の場所における交感神経または副交感神経であると判断する。変化の欠如はこの変化が無視できるか、統計的に有意ではないことが当業者によって考慮されることを意味し、有意な変化はこの変化が有意義であるか、統計学的に有意であることが当業者によって考えられるであろうことを意味することが理解されるべきである。
【0140】
一実施形態では、前記血管は腎動脈等の動脈である。一実施形態では、機能的神経圧反射に関連する。一実施形態では、エネルギーが送達される場所は、前記工程bにおいて、前記生理学的パラメータにおける変化の欠如によって神経切除を確認した神経が切除された領域である。別の実施形態では、使用対象は、人または人以外の動物である。別の実施形態では、前記生理的パラメータは、血圧、心拍数、心臓の電気的活動、筋肉活動、骨格神経活動、細胞の活動電位、瞳孔反応、筋電図、血管収縮、およびエピネフリン、ノルエピネフリンから選択される生化学物質のレベル、レニン‐アンギオテンシンIIおよびバソプレシンを含む。さらに別の実施形態では、前記エネルギーは調節可能であり、電気的、機械的、超音波、放射線、光および熱エネルギーの1つ以上から成る。一実施形態では、前記エネルギーは、神経刺激または神経切除を引き起こす。別の実施形態では、機能的神経は交感神経または副交感神経である。さらに別の実施形態では、送達されるエネルギーは、以下の範囲内にある。a)電圧が2〜30Vの間、b)抵抗が100〜1000Ωの間、c)電流が5〜40mAの間、d)印加時間が0.1〜20ミリ秒の間。
【0141】
一実施形態では、血管内に挿入するために使用されるカテーテルは、以下の順序で血管内を移動する。(a)動脈の前壁から後壁へ90度またはそれ以下回す;(b)動脈の後壁から上壁へ90度またはそれ以下回す;(c)動脈の上壁から下壁へ90度またはそれ以下回す。
【0142】
なお、本明細書に開示されたシステムおよび方法は、交感神経と副交感神経系を介して圧反射を破壊するために腎動脈の神経切除に使用することができるが、その適用は、体内の任意の神経支配血管に拡張することができ、当業者によって理解されるであろう。
【0143】
本発明は、以下の実験の詳細を参照することによって理解されるであろうが、当業者は、特定の実施例は、例示の目的のみのためであり、その後に添付する特許請求の範囲によって定義される本発明の範囲を限定するものではないことを理解するであろう。
【0144】
なお、「含む」は「含有する」、「含んでいる」または「によって特徴付けられる」等の過渡的用語と同義であるが、「含む」は包括的またはオープンエンドであり、追加の、非列挙の要素または方法、工程を排除しないことに留意すべきである。
【0145】
[実施例1]
動脈壁神経支配の位置決め
動脈壁を支配する神経の位置決めする方法は、適切な用量のエネルギーの送達後に生理的パラメータの変化の検討をして、急性のブタの実験で設計され、実行された。この実験の目的は以下の通りである。
1.腎神経マッピングとアブレーションの目的のために、既存の心臓アブレーションカテーテル(7F、Bタイプ、2‐5‐2mm間隔、CELSIUS(登録商標) RMT診断/アブレーション操作可能なカテーテル、バイオセンスウェブスター、ダイアモンドバー、カリフォルニア州91765、米国)と高周波発生器(STOCKERT70、RF発生器、モデルStockert GmbHは、EP‐SHUTTLE ST‐3205、STOCKERT社、フライブルク、ドイツ)をテストする。
2.左右の腎動脈のルーメン内の異なる部位での電気刺激印加時の血圧および心拍数の変化の検査を介して、腎神経マッピングをテストする。
3.腎動脈壁および組織の視覚的変化の検討を通じて、腎神経切除のために腎動脈に放出される高周波エネルギーの安全な範囲を決定する。
4.腎切除中の腎神経の効率的な切除の指標として、血圧および心拍数の変化を使用する。
【0146】
三匹のブタ(50〜52キロ体重)を、15 mg / kgのペントバルビタールナトリウムを用いて静脈内注射で麻酔した。生理学的パラメータ:収縮圧、拡張圧、平均動脈圧および心拍数をモニターした。実験設計およびプロトコルは、
図8に示す。
【0147】
この一連の実験で使用されるアブレーションカテーテルは、7F、B‐タイプ、間隔 2‐5‐2mm、CELSIUS(登録商標) RMTRMT診断/アブレーション操作可能なカテーテル(バイオセンスウェブスター、ダイアモンドバー、カリフォルニア州 91765、米国)と摂氏(Celsius)高周波発生器(STOCKERT70、RF発生器、モデルStockert GmbH、EP‐SHUTTLE ST‐3205、STOCKERT社、フライブルク、ドイツ)である。
【0148】
収縮圧、拡張圧、平均動脈血圧および心拍数のためのベースラインが腎動脈壁の異なる領域への電気エネルギーの送達前に測定された。エネルギーの送達後5秒〜2分で動脈血圧および心拍数を測定し、効果を評価する。血圧および心拍数の有意な変化が神経刺激に関連することがあることを認識することによって、それが神経支配されている動脈壁のセグメントは、各動物において異なるが、本明細書に記載される方法が正確に動物の各々においてこれらの領域を位置決めし、腎動脈内の神経支配領域のマップを与えることがわかった。
【0149】
[実施例2]
生理的パラメータと動脈壁を支配する神経との関係
動脈壁上の別の場所に送達されるエネルギーは、血圧および心拍数のような生理学的パラメータ、およびそのような特性に異なる効果をもたらし得ることを実証するために、神経支配する動脈壁の種類を識別するために活用することができ、電気エネルギーはいくつかの方法に従ってブタモデルの腎動脈壁上の神経支配領域に送達された。ブタ#1、ブタ#2、ブタ#3に送達される電気エネルギーについての詳細なパラメータは、それぞれ表1、表2および表3に示す。
【0150】
ブタ#1では、4回の別々の刺激は、左腎動脈に行い、2回の別々の刺激は右腎動脈で行った。予備的なアプローチとして、左腎動脈の腹側に、電気エネルギーを別々の用量で2回、1回は動脈の前壁に、1回は動脈の後壁に送達された。左腎動脈の腎臓側に、電気エネルギーは、別々の用量で2回、1回は動脈の前壁に、1回は動脈の後壁に送達された。血圧および心拍数に対するこれらのエネルギーのさまざまな効果が観察された。右腎動脈においては、ある特定の用量の電気エネルギーは、それぞれ、腎動脈の腹側および腎側に送達された。同じ刺激方法がブタ#2とブタ#3に対して使用された。
【0151】
腎動脈内の別の場所に送られる電気エネルギーは、収縮圧、拡張圧、平均動脈血圧および心拍数に対して、試験されたブタのすべてにおいて異なる効果を引き起こした。例えば、左腎臓に送られる電気エネルギーに応じて、収縮圧の最大の変化は、ブタ#1とブタ#3、それぞれ19.5 mmHgと29 mmHgで、収縮圧の微小変化は、ブタ#1とブタ#3、それぞれ2 mmHgと1 mmHgであった。しかし、ブタ#2に対して、電気エネルギーが腹部大動脈側または腎臓側のいずれかに送達された時、収縮圧の変化は一貫していた。さらに、最大効果や最小効果を発生させた刺激の場所は動物から動物に変化され、腎臓の自律神経の分布は動物の間で一貫していないことを示す。左腎動脈の壁への電気エネルギーの送達中に観察される収縮圧、拡張圧、平均動脈血圧および心拍数におけるこれらの現象は、それぞれ、表4A、4B、4Cと4Dに示し、右腎動脈の壁への電気エネルギーの送達中に観察される収縮圧、拡張圧、平均動脈血圧および心拍数における同様な現象は、それぞれ、表5A、5B、5Cと5Dに纏めた。
【0152】
これらのデータは、動脈壁を神経支配する神経を位置決めおよび識別するための概念的な証明を提供する。具体的には、実質的な生理学的応答として、この場合で測定された血圧の最大増加または減少は、腎神経枝が豊富に分布して定義された場所に配置されたカテーテルを介して、電気エネルギーを送達することによって誘導された。表4A‐Dおよび表5A‐Dから計算された平均データ(平均±SD)は、グラフィカルにすべてのサブ図形を含み、
図9および
図10に表されている。
【0166】
前述したプロトコルに従ってブタで行われるすべての刺激実験の中でも、腎動脈壁内の特定の場所は、血圧の変化を引き起こすことなく、心拍数の有意な減少につながったか、または心拍数の減少と比べて、血圧の変化が最小であった(
図11)。多くの場合、血圧、特に拡張圧のわずかな減少は記録された。実験で評価した全ての4つの生理的パラメータを含む56のデータポイントのうち、値の低下、あるいは無し/無意味な変化によるある特定の用量のエネルギーで応答し、各生理学的パラメータから少なくとも1データポイントがあったが、これはこの実験におけるデータポイントの23%を占めた。刺激に応答して、これらの特徴的な生理学的変化は、副交感神経性のものであり、それら交感神経と異なっている神経がこの場所を支配することを示すように見え、刺激時の血圧および心拍数の増加をもたらす位置を神経支配する。表6は、イヌ、ネコ、ウサギの動物モデルを含む別の研究において、求心性腎神経へ適切な用量のエネルギーを送達する効果をまとめた。本発明に関連して、表6における研究は、適切な用量のエネルギーは、腎臓を神経支配する神経に送達される副交感神経活動に類似の効果を誘導することは珍しいことではないことを実証した。換言すれば、腎動脈の神経回路では、交感神経活性より副交感神経活性を誘導することができるので、血圧に関連する疾患を治療する際に切除されるべきではない神経が存在する、ということを表す。
[実施例3]
確実にエネルギーが切除中の標的神経に向けられる
【0167】
動脈壁内の神経を位置決めおよび識別するための研究に続いて、切除に適した用量のエネルギーが同一のブタの腎動脈壁内の神経支配スポットに送達された。それぞれ左、右の腎臓動脈で行った4回のアブレーションは腎臓側から始まり、前壁から、後壁、上壁、下壁へと、腹部大動脈側に移動された。各アブレーションが前のアブレーションの位置とアブレーションカテーテルの電極ヘッド(カテーテル先端)から5mm以上離れたが、各アブレーションの後に90度回転した。文献(Krum 2009、2010)に基づいて、低エネルギーレベル(5〜8W)は、腎切除のために使用されるべきである。そのため、5Wと8W、腎切除のために使用された。左腎動脈切除のために、適用されるエネルギーレベルは5Wで、アブレーションの時間長は120秒であり、右腎動脈切除のために、適用されるエネルギーレベルは8Wで、時間長は120秒であった。アブレーション部位の温度が、40℃〜50℃であると測定された。生理的パラメータ:収縮圧、拡張圧、平均動脈圧および心拍数はアブレーション時に調べた。データは明らかに、腎動脈内の異なる位置でのアブレーションが血圧および心拍数の変化をもたらし、異なっていることを示された、さらに、血圧および心拍数のような生理学的パラメータの変化は、標的神経に切除エネルギーを正確に送達するための指標として使用できることを実証し、動脈壁内神経の分布がケースバイケースで変動しているさらなる証拠を提供した。左腎臓の腎動脈内の4つの別々の腎切除中の収縮圧、拡張圧、平均動脈圧および心拍数の変化は、それぞれ、
図12A、12B、12Cおよび12Dにまとめた。右腎臓の腎動脈内の4つの別々の腎切除中の収縮圧、拡張圧、平均動脈圧および心拍数の変化は、それぞれ、
図13A、13B、13Cおよび13Dにまとめた。
[実施例4]
慢性腎神経アブレーションの実験結果
【0168】
この一連の実験は、腎神経の除神経内の既存の心臓アブレーションカテーテルで使用されるエネルギーレベルの安全性プロファイルを決定する方法を含む。
図14は、この実験の詳細について説明するものである。
【0169】
この一連の実験で使用されるアブレーションカテーテルは、7F、B‐タイプ、 間隔 2‐5‐2mm、CELSIUS(登録商標) RMT診断/アブレーション操作可能なカテーテル(バイオセンスウェブスター、ダイアモンドバー、カリフォルニア州91765、米国)と摂氏高周波発生器(STOCKERT70、RF発生器、モデルStockert GmbH EP‐SHUTTLE ST‐3205、STOCKERT社、フライブルク、ドイツ)。4匹のブタを研究に使用した。
【0170】
アブレーションに使用するエネルギーレベルは以下のように適用された:右腎動脈アブレーション、8W、120S、左腎動脈アブレーション16W、120S(n=3)。右腎動脈アブレーション、16W、120S、左腎動脈アブレーション、8W、120S(n=3)。
【0171】
ブタを麻酔し、別々に各腎動脈(右と左)について4‐5回の腎切除を行った。腎血管造影は、腎動脈の開存性を調べるために、アブレーションの前および後に行った。ブタは処置から回復させた。切除エネルギーの安全レベルを決定するために、1匹のブタ(右腎動脈アブレーション、16W、120S、左腎動脈アブレーション、8W、120S)は、アブレーョンの二つの異なるエネルギー準位に起因する急性病変を評価するために殺処理された。切除処置後12週間、両方の腎動脈のために動物について血管造影法を行った。その後、動物を殺し、目に見える腎動脈、腎臓の異常について検査し、両方の腎臓を縦方向に切開し、腎動脈の無傷に切り開いた画像を採取する。両方の腎動脈からのサンプルを、
図15に示す組織学的マップによるさらなる組織学的研究のために収集した。
[実施例5]
腎マッピングカテーテルデザイン
【0172】
刺激、マッピング、アブレーションおよび血管造影の機能が設計された新しいカテーテルが本明細書に開示されている。
【0173】
カテーテル装置は、カテーテル先端部を有する細長いカテーテル、近位端部、および複数のアブレーション電極を含み、前記先端は一旦挿入されると、腎血管アーキテクチャ内の静止位置に留まるように意図される。一実施形態では、アブレーション電極は、細長いカテーテル先端部の長手方向に沿って均等に間隔を置いて配置されている。これらのアブレーション電極は、複数の非導電性セグメントにより近位端部または細長いカテーテル先端の遠位端から離間している。一実施形態では、カテーテルの先端側またはカテーテルの末端側の第1電極は、電気刺激を送達する任意の他の刺激電極用の基準として使用することができ、あるいは、これらの電極のいずれか一方を他の電極のための基準として使用することができる。
【0174】
一実施形態では、細長いカテーテルの先端は、螺旋形状である。
【0175】
別の実施形態では、1つ以上の導電ワイヤが連結されていると、1つ以上の導線を介して複数の電極に直流または交流電流を供給する。コントローラは、カテーテル先端を腎動脈内の静止位置にしながら、独立的な態様または同時的な態様のいずれかで複数の電極に電流を制御するように構成されている。
【0176】
別の実施形態では、1つ以上の導線と連結され、複数の電極に高周波(RF)エネルギーを供給し、RFエネルギーは単極性RFエネルギーまたは双極性RFエネルギーのいずれかである。高周波発生器は、複数の電極に1つまたはそれ以上の導線を介してエネルギーを供給する。コントローラは、カテーテル先端を腎動脈内の静止位置にしたままに依存しない方法、順次、または同時に複数の電極にエネルギーを供給するためにエネルギー源を制御するように構成されている。
【0177】
低レベルの電気エネルギーインパルスだけを、下にある神経組織、特に、腎神経組織を刺激するために、電極によって発生されるように、電極に送られるRFエネルギーを制御することができる。その代わりに、大きな電気エネルギーインパルスは、下にある神経組織、特に、腎神経組織を切除するために、電極によって発生されるように、電極に送られるRFエネルギーを制御することができる。カテーテル先端、特に、電極は、刺激およびアブレーションを通して、同じ場所で、腎動脈の内腔と接触したままであるように設計されている。
【0178】
別の実施形態では、カテーテルは、現在、心臓組織アブレーションの実施において利用する高周波発生器と共に使用されることが可能である。これらの無線周波数発生器は現在メドトロニック、コーディス/ジョンソン・エンド・ジョンソン、セント・ジュード・メディカル、およびBiotronic社によって製造されるものを含むが、必ずしもにそれだけに限定されるものではない。
【0179】
本発明の例示的な実施形態は、以下でより詳細に説明するように、腎神経を除去する装置を提供する。
【0180】
図3〜7は、これらのアブレーションカテーテルや電極の例や説明図である。図示は、本発明の様々な実施形態によるアブレーションカテーテル先端の遠位部分の斜視図、断面図、および正面図である。
【0181】
一実施形態では、カテーテルは、螺旋状の細長い先端を有する。複数の電極を等間隔の非導電性セグメントによりカテーテル先端の遠位端を通ってカテーテル先端の近位端から配置される。
【0182】
特定の実施形態では、アブレーションカテーテルのカテーテル先端は、単一の螺旋を含み、他の場合には、二重螺旋から構成されている。カテーテル先端の螺旋または螺旋コイルまたはコイルは円形またはフラットのいずれであってもよい。電極は、コイルの長手方向に沿って均等に配置されてもよい。例えば、それらは60度、90度または120度のいずれかを離間させることができるが、他のコンフォメーションに配置(conformation)または異なる程度で離間することもできる。
【0183】
一実施形態では、螺旋コイル自体が平坦化されている場合、電極は、形状が扁平な矩形または正方形のどちらかであってもよい。その代りに、コイル自身が丸いものである場合には、電極は円形、および/または螺旋に組み込まれていてもよい。別の実施形態では、カテーテル先端の直径は0.5mmから10mmまで変化し得、カテーテル先端の長さは20mmから80mmまで変化し得、コイルの直径は3.0mmから7.5mmまで変化し得、各コイル間の距離は、4mmから6mmまで変化し得、非コイルの全長は31mmから471mmまで変化し得、カテーテルの全長は1mから2.0mまで変化し得る。
【0184】
別の実施形態では、アブレーションカテーテルのカテーテル先端は、バルーンカテーテルシステムを備える。一実施形態では、電極は、形状が円形または平坦のいずれかであり、バルーンの周りに均等に巻き付けられた螺旋コイルに沿って間隔をおいて配置されている。他の実施形態では、電極は形状が円形または平坦のいずれかであり、バルーンの長手方向に沿って巻き付けられた傘フレーム装置に沿って配置されている。特定の実施形態では、傘フレーム装置は、開放端以外に、閉鎖端を有する。電極は、バルーン装置の膨張時に腎アーキテクチャと接触することになる。一実施形態では、バルーンが膨張されていない場合、カテーテル先端の直径は0.5mmから10mmまで変化し得、カテーテル先端の長さは20mmから80mmまで変化し得、コイルの直径は3.0mmから8mmまで変化し得、各コイル間の距離は、4mmから6mmまで変化し得、コイルの数は3.3から20まで変化し得、非コイルの全長は31mmから471mmまで変化し得、カテーテルの全長は1mから2.0mまで変化し得る。
【0185】
一実施形態では、バルーンが膨張される場合、カテーテル先端の直径は0.5mmから10mmまで変化し得る。バルーン周りのコイル直径は、3mmから10mmまで変化し得る。完全に膨張したバルーンの直径は、3mmから10mmまで変化し得る。
【0186】
本発明はまた、チューブ状、円筒状、および調整可能なサイズの自己拡張カテーテル先端部を含んでもよい。特定の実施形態では、これらカテーテル先端に使用される材料は、ニッケル ‐ チタン(ニチノール)合金を含むことができる。
【0187】
本発明の一実施形態では、腎臓神経変調およびアブレーションプロセス(左側腎臓、右側の腎臓のどちらか、または両方に)は左腎動脈(LRA)または右腎動脈(RRA)のいずれかに上述のカテーテルのいずれかの挿入を含む。それに続いて、上記方法によって腎神経のマッピングを行い、個々の電極で標的化アブレーションを行った。
【0188】
一実施形態では、神経刺激は、以下のパラメータを適用することによって行われる:0.1ms‐20ms、2V‐30V、5mA‐40mA、および100 Ohm‐1000 Ohm。一実施形態では、神経切除は、以下のパラメータを適用することによって行われる:12W以下、30秒〜180秒。
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機能的な神経の位置を特定または識別するための方法において使用されるように適合されたカテーテルに被験体における血管壁を支配するシャフトを含み、前記シャフトの近位端はエネルギー源に接続するように構成され、遠位端(カテーテルチップ)は単一螺旋、二重螺旋または1つ以上の電極を有する複数のプロングの形態であることを特徴とするカテーテル。