【課題】投入される被選別物が、重量物に軽量物が絡まったものや、重量物や軽量物に小径物が付着したものであっても、精度良く小径物と重量物と軽量物に選別できる揺動選別機を提供する。
【解決手段】揺動選別機1は、ケーシング2の本体部2a内に、揺動駆動される複数の短冊状の揺動体3を有する。ケーシング2の本体部2aの後端部に、揺動体3による軽量物94の送り動作を補助する空気流を形成する第1送風部6を有する。ケーシング2の本体部2aの上部に、被選別物91の投入口21の近傍に空気流を形成する第2送風部7を有する。投入口21から投入された被選別物91は、第2送風部7で形成された空気流によって、重量物93と軽量物94の絡み合いが軽減され、また、重量物93や軽量物94への小径物92の付着が軽減される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上記従来の揺動選別機は、ケーシング502内に投入された被選別物が、ペットボトルやガラスビン等の重量物93に、プラスチックシートや繊維等の軽量物94が絡まったものや、重量物93や軽量物94に砂や金属粒等の小径物92が付着したものである場合がある。このような場合、軽量物94が絡まった重量物93が重量物排出口523から排出され、また、小径物92が付着した軽量物94が軽量物排出口524から排出され、また、小径物92が付着した重量物93が重量物排出口523から排出される。その結果、軽量物94と、重量物93と、小径物92の選別精度が低下する不都合がある。
【0008】
そこで、本発明の課題は、投入される被選別物が、重量物に軽量物が絡まったものや、重量物や軽量物に小径物が付着したものであっても、精度良く小径物と重量物と軽量物に選別できる揺動選別機を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するため、本発明の揺動選別機は、透孔と鋸状の送り部材とを有し、水平面に対して傾斜して配置された複数の短冊状の揺動体と、
上記複数の揺動体を、互いに位相差を与えて揺動駆動する駆動部と、
上記揺動体の上側に後方から前方に向かって空気を供給する第1送風部と、
上記揺動体を収容し、上記揺動体の上方に位置する被選別物の投入口と、上記揺動体の中央部の下方に位置する小径物排出口と、上記揺動体の後側部分の下方に位置する重量物排出口と、上記揺動体の前側部分の下方に位置する軽量物排出口と、上記揺動体の前側部分の上方に位置する排気口とを有するケーシングと、
上記ケーシングの投入口の近傍で、この投入口から投入された被選別物に向かって空気を吹き出す第2送風部と
を備えることを特徴としている。
【0010】
上記構成によれば、例えば廃棄物等の被選別物がケーシングの投入口から投入され、この被選別物に、第2送風部から吹き出された空気が吹き付けられる。被選別物が、重量物に軽量物が絡まったものである場合、第2送風部からの空気が吹き付けられることにより、重量物と軽量物との絡み合いが軽減される。また、被選別物が、重量物や軽量物に小径物が付着したものである場合、第2送風部からの空気が吹き付けられることにより、重量物や軽量物への小径物の付着が軽減される。こうして重量物と軽量物との絡み合いが軽減され、軽量物への小径物の付着が軽減された被選別物が、複数の揺動体で受け取られる。揺動体で受け取られた被選別物は、駆動部で駆動される揺動体の作用により、小径物と重量物と軽量物に分けられる。詳しくは、被選別物のうちの小径物は、揺動体の透孔を通過して落下し、小径物排出口からケーシングの外に排出される。被選別物のうちの重量物は、揺動体上を重力によって後方に移動し、揺動体の後端から落下し、重量物排出口からケーシングの外に排出される。被選別物のうちの軽量物は、揺動体の送り部材によって揺動体上を前方に送られると共に、第1送風部から吹き出された空気により、前方への移動が促進される。上記揺動体上を移動した軽量物は、揺動体の前端から落下し、軽量物排出口からケーシングの外に排出される。このように、被選別物が、重量物に軽量物が絡まったものや、軽量物に小径物が付着したものであっても、重量物と軽量物と小径物が精度良く選別される。
【0011】
一実施形態の揺動選別機は、上記第2送風部は、上記ケーシングの投入口の近傍に配置され、この投入口を縦断するように後側から前側に向かう空気流を形成する空気吹出口を有する。
【0012】
上記実施形態によれば、ケーシングの投入口の近傍に配置された空気吹出口から空気が吹き出されて、上記投入口を縦断するように後側から前側に向かう空気流が形成される。したがって、投入口に投入された被選別物は、ケーシング内を前側に向かって流されながら、重量物と軽量物の絡み合いが軽減される。したがって、軽量物が揺動体の前側部分で受け取られるので、軽量物が軽量物排出口から排出され易くなり、その結果、軽量物が重量物排出口から排出される不都合を防止できる。ここで、投入口の近傍とは、投入口と揺動体との間を結ぶ距離の中央よりも投入口の側の領域をいう。
【0013】
一実施形態の揺動選別機は、上記ケーシングの投入口が矩形状を有し、
上記第2送風部の空気吹出口が、上記投入口の上記揺動体の幅方向に延びる縁の近傍から、上記ケーシングの平面視において上記揺動体の延在方向と平行の方向に空気を吹き出す。
【0014】
上記実施形態によれば、ケーシングの矩形状を有する投入口の近傍であって、この投入口の幅方向に延びる縁の近傍に、空気吹出口が配置される。この空気吹出口から、ケーシングの平面視において揺動体の延在方向と平行の方向に空気が吹き出されることにより、投入口から投入される被選別物に、効果的に空気を吹き付けることができる。ここで、投入口の幅方向とは、ケーシングの平面視において、このケーシングに収容される揺動体が延在する方向と直角の方向をいう。
【0015】
一実施形態の揺動選別機は、上記第2送風部の空気吹出口が、上記ケーシングの投入口の幅方向の縁に沿った細長形状を有する。
【0016】
上記実施形態によれば、ケーシングの投入口の幅方向の縁に沿った細長形状の空気吹出口から空気を吹き出すことにより、ケーシングの投入口を縦断する空気流を効果的に形成することができる。
【0017】
一実施形態の揺動選別機は、上記第2送風部の空気吹出口が、上記ケーシングの投入口の幅方向の縁に沿って複数個配置されている。
【0018】
上記実施形態によれば、ケーシングの投入口の幅方向の縁に沿って配置された複数個の空気吹出口から、空気を吹き出すことにより、ケーシングの投入口を縦断する空気流を効果的に形成することができる。ここで、上記空気吹出口は、上記投入口の幅方向の縁に沿った細長形状以外に、投入口の幅方向の縁に沿った楕円形状や、円形状を有してもよい。
【0019】
一実施形態の揺動選別機は、上記ケーシングの前端部に、上向きに傾斜した内側面を有する。
【0020】
上記実施形態によれば、第1送風部から供給された空気は、揺動体上の軽量物の移動を促進した後、ケーシングの前端部に達する。また、第2送風部から供給された空気は、投入口に投入された被選別物を解した後、ケーシングの前端部に達する。このケーシングの前端部の内側面が、上向きに傾斜しているので、上記第1送風部及び第2送風部からの空気の流れが、上記内側面によって上向きに変更される。これにより、ケーシング内の空気流が排気口から速やかに排出されるので、ケーシング内に第1送風部と第2送風部から空気が供給されるにもかかわらず、ケーシング内の空気流の乱れが防止される。したがって、乱れた空気流によって軽量物がケーシング内を後方に流され、重量物排出口から重量物に混入して排出されて、選別精度が低下する不都合を効果的に防止できる。また、ケーシング内の空気流が排気口から速やかに排出されるので、軽量物排出口からの空気の排出を効果的に抑制でき、その結果、軽量物を処理する後工程の作業領域に、被選別物の塵を含んだ風を送る不都合を効果的に防止できる。
【0021】
一実施形態の揺動選別機は、上記第2送風部の空気吹出口が、上記ケーシングの側面視において上記揺動体の延在方向に対する傾斜角度が変更可能である。
【0022】
上記実施形態によれば、第2送風部の空気吹出口の傾斜角度が変更されることにより、ケーシングの投入口から投入された被選別物を、揺動体の上の適切な位置に送ることができる。詳しくは、被処理物の軽量物が、かさ比重の小さいものが主体である場合、空気吹出口の傾斜角度を、揺動体の延在方向に対して上向きとなるように設定することにより、揺動体の前端寄りの位置に軽量物を搬送でき、速やかに軽量物排出口から排出することができる。一方、被処理物の軽量物が、かさ比重の大きいものが主体である場合、空気吹出口の傾斜角度を、揺動体の延在方向に対して下向きとなるように設定することにより、揺動体の後端寄りの位置に軽量物を搬送でき、揺動体の送り作用によって速やかに軽量物排出口から排出することができる。
【0023】
一実施形態の揺動選別機は、上記揺動体の傾斜角度が13°以上30°以下であり、かつ、上記第1送風部と第2送風部から供給される空気量の合計が100m
3/min以上300m
3/min以下である。
【0024】
上記実施形態によれば、傾斜角度が13°以上30°以下の揺動体により、被選別物の重量物を適切に後方へ移動させると共に、第1送風部及び第2送風部から100m
3/min以上300m
3/min以下の空気量の空気を供給することにより、軽量物を適切に前方に送ることができる。したがって、投入された被選別物の絡みや付着を解除しつつ、重量物と軽量物の選別精度を効果的に向上することができる。また、重量物及び軽量物の揺動体上の移動速度を増大できるので、処理能力を効果的に向上できる。ここで、揺動体の傾斜角度が13°を下回ると、揺動体上を前方に移動する重量物が生じて、軽量物排出口から排出される軽量物に混入する重量物が増大する。一方、揺動体の傾斜角度が30°を超えると、揺動体上を前方に移動しない軽量物が生じて、重量物排出口から排出される重量物に混入する軽量物が増大する。また、第1送風部及び第2送風部の送風量の合計が100m
3/minを下回ると、揺動体を前方に移動しない軽量物が生じて、重量物排出口から排出される重量物に混入する軽量物が増大する。一方、第1送風部及び第2送風部の送風量の合計が300m
3/minを超えると、揺動体上を重量物が前方に移動して、軽量物排出口から排出される軽量物に混入する重量物が増大する。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、本発明を図示の実施の形態により詳細に説明する。
【0027】
本発明の実施形態の揺動選別機は、廃棄物の処理工程において、事前に粗砕されて大きさ及び重量の異なるものを含んで構成された被選別物を、小径物、重量物及び軽量物の3種に選別して排出するものである。このような被選別物としては、複数の種別の廃棄物が混合している混合廃棄物があり、混合廃棄物の例として、木材及び壁紙等の可燃物とコンクリート及びガラス等の不燃物が混在する建設系廃棄物が挙げられる。また、混合廃棄物の例として、食品容器及びレジ袋等の廃プラスチックや古紙等や食品残渣等の可燃物と、小型電化製品等の不燃物が混在した一般廃棄物が挙げられる。
【0028】
図1は、実施形態の揺動選別機を示す縦断面図であり、
図2は、揺動選別機の平面図であり、
図3は、揺動選別機の平断面図であり、
図4は、揺動選別機の横断面図である。本実施形態の揺動選別機1は、前側が後側よりも上方に位置するように傾斜して支持された大略箱状のケーシング2と、このケーシング2内に配列された複数の短冊状の揺動体3,3,3,・・・を備える。
【0029】
ケーシング2は、前端部28の外側面が下方に向けて傾斜した逆台形状断面を有する本体部2aと、この本体部2aの前側部分から上方に突出した突出部2bを有する。ケーシング2の本体部2aには、上面の長手方向の中央部に設けられた投入口21と、下面の長手方向の中央部に設けられた小径物排出口22と、下面の後側部に設けられた重量物排出口23と、下面の前側部分に設けられた軽量物排出口24を有する。突出部2bは、下部が箱状に形成され、上部が上方に向かうにつれて平断面が縮小すると共に、縦断面において前方寄りに傾斜した逆漏斗形状を有する。この突出部2bの上端面に、ケーシング2内の空気を排出する排気口25が設けられている。ケーシング2の前端部28の内側面は、後述する第1送風部6や第2送風部7からの空気が排気口25の方向に流れるように、法線が揺動体3の延在する面よりも上方を向くように傾斜している。すなわち、ケーシング2の前端部28の内側面が、少なくとも第1送風部6の吹き出しノズル63から揺動体3と平行の延長上の位置と、第2送風部7の吹き出しノズル73から揺動体3と平行の延長上の位置において、法線が揺動体3の延長面に関して上方を向くように傾斜している。
【0030】
ケーシング2の後端部27には、前側に向かって空気流を形成する第1送風部6が設けられている。また、ケーシング2の本体部2aの上部には、ケーシング2内の投入口21の近傍に、投入口21の後側から前側に向かって空気流を形成する第2送風部7が設けられている。また、ケーシング2内の前側部分に、揺動体3の前側部分と排気口25の間に位置するように、フィルタ9が配置されている。
【0031】
ケーシング2内の複数の揺動体3の各々は、前側部分が前側偏心軸受ユニット4で支持され、後側部分が後側偏心軸受ユニット5で支持されている。各揺動体3は、互いに平行に配置されており、前端が後端よりも高く位置するように傾斜している。本発明において、揺動体3の動作によって軽量物94が送られる方向を前方向とし、重量物93が移動する方向を後ろ方向とする。
【0032】
図5は、揺動体3の前側部分と前側偏心軸受ユニット4を示す斜視図である。揺動体3は、複数の透孔31aが設けられた細長の矩形の篩板31と、この篩板31の両側の縁に沿って立設された鋸状の送り部材32と、篩板31の表面に幅方向に延在して立設された幅方向板33を有する。
【0033】
篩板31は、板材で形成され、前側偏心軸受ユニット4と後側偏心軸受ユニット5の間の部分に透孔31aが設けられている。透孔31aは、選別すべき小径物92の寸法に対応した寸法に形成され、円形又は多角形状に打ち抜かれて形成されている。篩板31は、揺動体3が揺動駆動されることにより、透孔31aに、投入口21から投入された被選別物91に含まれる土砂、釘、ネジ、残飯及び茶殻等の小径物92を通過させ、揺動体3の下方に落下させる。また、篩板31は、揺動体3が揺動駆動されることにより、陶器片、金属片、金物、缶、ペットボトル、ガラスビン、ブロック、コンクリート片、石及び靴等の重量物93を、表面で転動又は滑動させて、傾斜方向の下方向、すなわち揺動体3の後方に移動させる。このように、揺動体3の傾斜方向の下側に移動する重量物93は、主に、金属や石や硬質プラスチック等の反発性の高いものである。なお、篩板31は、前側偏心軸受ユニット4と後側偏心軸受ユニット5の間の部分を、メッシュで形成して透孔31aと同様の小径物92の選別機能を実現してもよい。篩板31は、下面の両側に配置され、長手方向に延在する桁部材35と、下面側の桁部材35の間に設けられた溝型部材38とで補強されている。
【0034】
揺動体3の送り部材32は、アングル材で形成され、一方のフランジに、前側斜辺32aと後側斜辺32bで形成された鋸歯を形成したものである。送り部材32は、篩板31の縁に沿って他方のフランジが固定されて、篩板31に取り付けられている。送り部材32の鋸歯の前側斜辺32aは、後側斜辺32bよりも篩板31に対して急角度を成すように形成されている。この送り部材32は、揺動体3が揺動駆動されることにより、投入口21から投入された被選別物91に含まれる繊維屑、紙、木片、プラスチックトレイ、プラスチックフィルム、プラスチックシート等の軽量物94を、前側斜辺32aで接する一方、後側斜辺32bで滑らせることにより、揺動体3上を傾斜方向の上側に送る送り動作を行う。このように揺動体3の傾斜方向の上側、すなわち、前側に送られる軽量物94は、反発性の低いものである。なお、送り部材32や鋸歯の数を増やすと、軽量物94の選別量が多くなり、また、送り部材32や鋸歯の数を減らすと、重量物93の選別量が多くなる。ここで、送り部材は、篩板31の縁に延在方向に立設される板材で形成される以外に、篩板31を、側面視において水平面に対して急角度部分と緩角度部分とが交互に連なるように屈曲させて形成してもよい。すなわち、篩板31が送り部材を兼ねてもよい。また、送り部材は、篩板31の縁に延在方向に立設される板材で形成される以外に、篩板31の表面に千鳥状に配置され、後側斜辺と、この後側斜辺よりも篩板31に対して急角度を成す前側斜辺とを有する三角形状の鋸歯で形成してもよい。
【0035】
幅方向板33は、アングル材で形成され、篩板31の表面に一方のフランジが固定されて、他方のフランジが篩板31の表面に直角に立設して幅方向に延在している。幅方向板33により、送り部材32で前側に送られる軽量物94が、篩板31の表面を滑って後方に移動することを防止すると共に、軽量物94の前方への搬送を補助している。
【0036】
揺動体3の傾斜方向の上端の縁、すなわち、揺動体3の前端縁には、篩板31に対して直角を成して下方に延在する垂下部材36が取り付けられている。垂下部材36は、揺動体3上を送られて前端縁から落下する軽量物94が、揺動体3を支持する前側偏心軸受ユニット4の側に流れることを防止するものである。従来の揺動選別機は、ケーシング502内を軽量物排出口524に向かう空気の一部が揺動体503の下方に流れ、これにより軽量物94が前側偏心軸受ユニット504に付着する不都合があった。本実施形態によれば、揺動体3の前端縁に垂下部材36を設けたことにより、揺動体3の下方に流れる空気流を低減して軽量物94の前側偏心軸受ユニット4への付着を防止できる。また、ケーシング2内の軽量物排出口24の近傍に、前側偏心軸受ユニット4の前側で幅方向に延在する仕切り板85が設けられている。仕切り板85は、上端が、前側偏心軸受ユニット4と、揺動体3の垂下部材36との間に位置すると共に、下端が軽量物排出口24の開口の近傍に位置している。仕切り板85は、ケーシング2内を幅方向に架け渡された棒状の支持部材87によってケーシング2に固定されている。仕切り板85の下端には、ケーシング2の幅方向に分離して配列された複数のゴム板86が固定されており、このゴム板86が軽量物排出口24の開口から下端が突出している。この仕切り板85及びゴム板86により、揺動体3の下方に流れる空気流を更に低減できて、軽量物94が前側偏心軸受ユニット4へ付着する不都合を効果的に防止できる。
【0037】
ケーシング2内に配置された複数の揺動体3のうち、幅方向の両端に位置する揺動体3は、ケーシング2の内側面に隣接する側の縁に沿って側壁34が設けられている。側壁34は、板状体で形成され、揺動体3の幅方向の両側に設けられた2つの送り部材32のうちの一方に、この送り部材32の篩板31と直角に延在するフランジに重ねて固定されている。側壁34の高さは、篩板31の幅の0.5〜2倍に設定することができる。好ましくは、側壁34の高さは、篩板31の幅の0.7〜1.5倍である。なお、揺動体3に側壁34を固定する固定部材として、送り部材32以外のアングル材を用いてもよい。幅方向の両端の揺動体3に設けられた側壁34により、揺動する揺動体3とケーシング2の内側面との間に被選別物が挟まれる問題や、揺動体3とケーシング2の内側面との隙間を通って被選別物が落下する問題を防止できる。
【0038】
図6は、揺動体3の後側部分と後側偏心軸受ユニット5を示す部分断面図であり、
図7は、揺動体3と後側偏心軸受ユニット5を示す横断面図である。
図7は、
図6中のI−I線に沿った断面図である。なお、
図6では、揺動体3が水平に描かれているが、ケーシング2内では、
図1に示すように傾斜した状態に保持される。揺動体3を支持する前側偏心軸受ユニット4と後側偏心軸受ユニット5は、揺動体3の傾斜角度を保持したまま、側面視において揺動体3が円軌道を描くように揺動駆動する。前側偏心軸受ユニット4と後側偏心軸受ユニット5は、互いに実質的に同じ構成を有する。後側偏心軸受ユニット5は駆動軸15に連結され、駆動軸15から入力された回転力により偏心回転する。一方、前側偏心軸受ユニット4は従動軸14に連結され、揺動体3を介して伝達された力により、従動軸14回りに従動偏心回転する。
【0039】
後側偏心軸受ユニット5は、
図6及び7に示すように、駆動軸15に固定された円盤状の偏心板51と、偏心板51の外周を取り囲む短円筒形状の偏心旋回部材52と、偏心板51と偏心旋回部材52との間に介在された転がり軸受54とを含んで形成されている。偏心板51は、その中心から外周側に偏った位置で貫通する駆動軸15に対して固定されている。偏心旋回部材52は、揺動体3の下面側に設けられた溝型部材38に固定されている。転がり軸受54は、偏心板51の外周面に固定された内輪55と、偏心旋回部材52の内周面に固定された外輪57と、内輪55と外輪57との間に介在された複数の転動体56とを含んで形成されている。転動体56は、玉で形成されている。この転がり軸受54により、偏心板51が回転するに伴って偏心旋回部材52が公転するように形成されている。
図7に示すように、後側偏心軸受ユニット5の転がり軸受54には、駆動軸15の長さ方向に沿って、転動体56が2列配列されている。なお、本実施形態では、玉を転動体とする転がり軸受54を設けたが、円筒ころや円錐ころを転動体とする転がり軸受を設けてもよい。また、前側偏心軸受ユニット4は、後側偏心軸受ユニット5と同様に、従動軸14に固定された円盤状の偏心板と、偏心板の外周を取り囲む短円筒形状の偏心旋回部材と、偏心板と偏心旋回部材との間に介在された転がり軸受とを含んで形成されている。後側偏心軸受ユニット5と同様に、前側偏心軸受ユニット4の偏心旋回部材は、揺動体3の下面側に設けられた溝型部材38に固定されている。
【0040】
上記後側偏心軸受ユニット5に連結された駆動軸15と、上記前側偏心軸受ユニット4に連結された従動軸14は、直線状の軸部材からなり、揺動選別機1の幅方向、すなわち、揺動体3の長手方向と直角の方向に延びるように支持されている。従動軸14と駆動軸15は、
図4の横断面図に示すように、複数の軸受支持部材13によって、長さ方向の複数位置で支持されている。従動軸14を支持する軸受支持部材13は、ケーシング2の前側下部の幅方向に延在する前側支持梁41に支持されている。駆動軸15を支持する軸受支持部材13は、ケーシング2の後側下部の幅方向に延在する後側支持梁45に支持されている。駆動軸15は、その両端が、カップリング装置12と減速装置10を介して駆動モータ11に連結されている。カップリング装置12と減速装置10と駆動モータ11は、ケーシング2の後側支持梁45によって支持されており、後述のように、ケーシング2の傾斜角度が調整されるに伴って、ケーシング2と共に移動するように形成されている。なお、カップリング装置12と減速装置10と駆動モータ11は、後側支持梁45以外の部材により、ケーシング2に取り付けられてもよい。
【0041】
複数の揺動体3の下面側に配設された複数の後側偏心軸受ユニット5の偏心板51は、共通の駆動軸15に固定されている。前述した後側偏心軸受ユニット5の構成により、駆動軸15が回転駆動されると偏心板51が軸周りに偏心回転し、これ伴って偏心旋回部材52が駆動軸15を中心に偏心旋回する。また、駆動軸15からの回転力が、揺動体3を介して前側偏心軸受ユニット4に伝達され、この前側偏心軸受ユニット4の偏心板が従動軸14の回りを偏心回転すると共に、偏心旋回部材が従動軸14の回りを公転する。これにより、偏心旋回部材52に連結された揺動体3が、傾斜角度を保った状態で、駆動軸15方向視において円軌道を描くように、上下前後に揺動する。
図6では、揺動体3の揺動に際して、ほぼ最上点に位置する送り部材32、揺動体3及び後側偏心軸受ユニット5が実線で示すと共に、ほぼ最下点に位置するそれらの構成を仮想線(一点鎖線)で示している。
【0042】
駆動軸15が回転駆動されると、全ての揺動体3が、それぞれに配設された後側偏心軸受ユニット5を介して駆動され、一斉に揺動する。本実施形態では、各揺動体3は、隣接する揺動体3に対して180°の位相差を有するように設定されている。したがって、
図4に示すように、ある揺動体3が最上点に位置するときには、それに隣接する揺動体3が最下点に位置する。このように、前側偏心軸受ユニット4、後側偏心軸受ユニット5、従動軸14、駆動軸15、モータ11、減速装置10及びカップリング装置12により、複数の揺動体3を、位相差を付与して駆動する駆動部を構成している。
【0043】
直線状の従動軸14と駆動軸15は、クランク軸と比べて、長さ寸法が大きく設定された場合にも、耐荷重性及び回転バランスを安定して確保することができる。つまり、並列配置された揺動体3が、前側偏心軸受ユニット4を介して直線状の従動軸14と、後側偏心軸受ユニット5を介して直線状の駆動軸15により支持される構成によれば、耐荷重性及び回転バランスを確保しつつ従動軸14と駆動軸15を長くして、揺動体3の数を増やすことができ、ひいては、揺動選別機1の処理能力を向上させることができる。それにより、例えば重量物93の大量処理も可能となる。加えて、揺動体3の数を増やした場合にも、耐荷重性及び回転バランスが確保されるため、振動や騒音の増大を抑制することができる。
【0044】
また、本実施形態では、従動軸14と駆動軸15は、複数の軸受支持部材13により、長さ方向の複数位置で支持されているが、従動軸14と駆動軸15が直線状であるため、軸受支持部材13は、前側偏心軸受ユニット4又は後側偏心軸受ユニット5と干渉しない限りで、従動軸14と駆動軸15の長さ方向において任意の位置に配置することが可能である。これにより、従動軸14及び駆動軸15の耐荷重性及び回転バランスを比較的簡単に向上させることができる。
【0045】
上記揺動体3を支持する従動軸14と駆動軸15は、軸受支持部材13を介して、ケーシング2の前側下部の前側支持梁41と、ケーシング2の後側下部の後側支持梁45に支持されている。上記従動軸14を支持する軸受支持部材13が取り付けられた前側支持梁41は、ヒンジ42を介して前側支柱43で支持されている。上記駆動軸15を支持する軸受支持部材13が取り付けられた後側支持梁45は、ヒンジ46を介して後側支柱47で支持されている。前側支柱43は後側支柱47よりも上端の位置が高く設定されて、前側支持梁41が後側支持梁45よりも上方に配置されている。これにより、ケーシング2と複数の揺動体3が、水平面に対して傾斜している。前側支柱43には、油圧シリンダや電動シリンダ等のアクチュエータが内蔵されており、このアクチュエータを伸縮することにより、前側支柱43の上端に設けられたヒンジ42の高さが調整可能になっている。これにより、ケーシング2の前側支持梁41の後側支持梁45に対する高さが調節可能になっており、ケーシング2と揺動体3の傾斜角度が調節可能になっている。ケーシング2と揺動体3の傾斜角度は、後述するように、第1送風部6及び第2送風部7によるケーシング2内への風量と関連して調節される。
【0046】
第1送風部6は、ケーシング2の後端部27に設けられ、揺動駆動される揺動体3の表面の近傍に、後方から前方に向かう空気流を形成し、揺動体3による軽量物94の送り動作を補助するものである。この第1送風部6は、図示しない送風機に接続された円形断面の送風管61と、この送風管61に接続されていると共にケーシング2を貫通し、下流に向かうにつれて幅が拡大して断面が矩形に形成された接続ダクト62と、この接続ダクト62の先端に設けられ、幅方向に延びる細長の矩形状の開口を有する吹き出しノズル63を含んで形成されている。第1送風部6は、ケーシング2の後端部27の幅方向に2つ配置されている。
図1に示すように、この第1送風部6から矢印A1で示すように吹き出した風は、矢印B1で示すように、揺動体3の表面の近傍を、この揺動体3と略平行に流れる。この第1送風部6の送風量は、上記ケーシング2及び揺動体3の傾斜角度と関連して、後述のように調節される。
【0047】
第2送風部7は、ケーシング2の本体部2aの上部に設けられ、ケーシング2内の投入口21の近傍に、投入口21の後側から前側に向かって空気流を形成し、この投入口21から投入される被選別物91を解すものである。この第2送風部7は、図示しない送風機に接続された円形断面の送風管71と、この送風管71に接続されていると共にケーシング2を貫通し、下流に向かうにつれて幅が拡大して断面が矩形に形成された接続ダクト72と、この接続ダクト72の先端に設けられ、幅方向に延びる細長の矩形状の開口を有する吹き出しノズル73を含んで形成されている。吹き出しノズル73の開口部分は、ケーシング2の平面視において、矩形状を有する投入口の幅方向に延びる縁と平行に延在している。ここで、ケーシング2の平面視とは、ケーシング2内に収容された揺動体3の上側から、この揺動体3に対して直角をなす方向から視た様子をいう。換言すれば、揺動体3が水平方向に延在するようにケーシング2を配置し、このケーシング2を鉛直上側から視た様子をいう。第2送風部7は、ケーシング2の本体部2aの天面に、幅方向に2つ配置されている。
図1に示すように、この第2送風部7から矢印A2で示すように吹き出された風により、投入口21を縦断するように後側から前側に向かう空気流が形成される。この空気流は、ケーシング2の平面視において、揺動体3の延在方向と平行をなしている。第2送風部7から吹き出された風は、投入口21の近傍を流れた後、矢印B2で示すように、揺動体3の上方を、この揺動体3と略平行に流れる。この第2送風部7の送風量は、上記ケーシング2及び揺動体3の傾斜角度と関連して、後述のように調節される。
【0048】
図8は、第2送風部7の吹き出しノズル73の周辺を拡大して示した縦断面図である。この第2送風部7の吹き出しノズル73は、側面視において、揺動体3の延在方向と平行の基準線Lに関する傾斜角度が、上向きの角度αと下向きの角度βの範囲内で変更可能に形成されている。吹き出しノズル73の変更可能な傾斜角度α及びβは、いずれも15°である。第2送風部7の吹き出しノズル73は、軽量物94の内容に応じて、傾斜角度α及びβを調節する。詳しくは、軽量物94が、レジ袋、ポリ袋、ビニール袋、ナイロン袋及びビニールシート等のように、厚みが小さく、かさ比重の小さいものが主体の場合、吹き出しノズル73の傾斜角度を、基準線Lよりも上向きの角度αに設定する。一方、軽量物94が、木片等のように、厚みが大きく、かさ比重の大きいものが主体の場合、吹き出しノズル73の傾斜角度を、基準線Lよりも下向きの角度βに設定する。これにより、比較的軽くて薄い軽量物94は、上向きの角度αで吹き出す空気流によってケーシング2内を前方に運搬し、揺動体3の前側部分に運搬することにより、軽量物を軽量物排出口24から速やかに排出できる。また、比較的重くて塊状の軽量物94は、下向きの角度βで吹き出す空気流によって揺動体3上に速やかに落下させ、揺動体3の送り作用によって揺動体3上を前側に運搬し、軽量物を軽量物排出口24から速やかに排出できる。
【0049】
この揺動選別機1には、前側偏心軸受ユニット4へ軽量物94や塵が付着することを防止するための空気吹出部8が設けられている。空気吹出部8は、図示しない送風機と、この送風機から吹き出された空気を導く送風管82と、この送風管82に接続された空気分配管81を有する。空気分配管81は、前側偏心軸受ユニット4の後側に、この前側偏心軸受ユニット4の駆動軸15と略平行に配置されている。空気分配管81は、直線状の円形断面管で形成され、前側偏心軸受ユニット4に対向する面に、貫通孔で形成された複数の空気吹出口が、長手方向に約150mmの間隔をおいて形成されている。送風機は、第2送風部7の送風機と兼用しており、第2送風部7の送風管71から空気吹出部8の送風管82が分岐している。なお、空気吹出部8の送風機は、第1送風部6の送風機と兼用してもよい。この空気吹出部8は、送風機から送風管82を通して空気分配管81に導かれた空気を、
図1の矢印Jで示すように、空気吹出口から前側偏心軸受ユニット4に向かって吹き出す。こうして、前側偏心軸受ユニット4に、後側から前側に向かって空気を吹き付けることにより、揺動体3の上側から下側に流れた軽量物94や塵が、前側偏心軸受ユニット4に付着して前側偏心軸受ユニット4の動作に異常が生じる不都合を、効果的に防止できる。
【0050】
フィルタ9は、ケーシング2内の前側部分に、このケーシング2の本体部2aと突出部2bとの間に位置すると共に、ケーシング2の内部を横断するように配置されている。このフィルタ9は、複数のフラットバーを格子状に配列して形成されている。このフィルタ9は、ケーシング2内から排気口25へ向かう空気を通過させる一方、この空気によって流れる軽量物94を捕集し、排気口25から軽量物94が排出されることを防止する。フィルタ9は、揺動体3の前端と排気口25とを結ぶ線を横切るように位置し、フィルタ9の少なくとも前側の部分が、捕集した軽量物94が落下して軽量物排出口24から排出されやすいように、前側が下方に傾斜して配置されているのが好ましい。なお、フィルタ9は、金網、パンチングメタル又はエキスパンドメタル等の網状のもののほか、複数のフラットバーを互いに平行に配列したスリット状のスクリーンでもよい。
【0051】
上記構成の揺動選別機1は、次のように動作する。
【0052】
まず、図示しない送風機が起動され、第1送風部6の吹き出しノズル63から矢印A1で示すように空気が吹き出されると共に、第2送風部7の吹き出しノズル73から矢印A2で示すように空気が吹き出される。これにより、揺動体3の表面近傍に、揺動体3と平行方向の矢印B1で示すような空気流が形成されると共に、ケーシング2の投入口21の近傍に、揺動体3と平行方向の矢印A2乃至B2で示すような空気流が形成される。また、モータ11が起動され、減速装置10とカップリング装置12を介して駆動軸15が駆動される。駆動軸15が回転駆動されると、後側偏心軸受ユニット5を介して揺動体3に駆動力が伝達され、前側偏心軸受ユニット4が従動して、駆動軸15方向視において円軌道を描くように、揺動体3が上下前後に揺動駆動される。複数の揺動体3は、各々の前側偏心軸受ユニット4及び後側偏心軸受ユニット5に設定された位相により、隣り合う揺動体3が180°の位相差を有するように駆動される。
【0053】
続いて、図示しないコンベヤ等によって被選別物91が搬送され、
図1の矢印Eで示すように、投入口21からケーシング2内に投入される。被選別物91は、ビンやコンクリート片等の重量物93と、プラスチックシートや紙等の軽量物94と、砂や紙片等の小径物92を含んで構成されている。被選別物91には、ペットボトルやガラスビン等の重量物93に、プラスチックシートや繊維等の軽量物94が絡まったものや、重量物93や軽量物94に砂や金属粒等の小径物92が付着したものが含まれる場合がある。このような被選別物91が投入口21から投入されると、投入口21の近傍に第2送風部7の吹き出しノズル73から吹き出されて形成された空気流によって、重量物93と軽量物94の絡み合いが軽減され、また、重量物93や軽量物94への小径物92の付着が軽減される。そして、絡み合いが解かれた重量物93と軽量物94や、重量物93や軽量物94から分離された小径物92が、揺動駆動されている揺動体3に受け取られる。
【0054】
揺動駆動されている揺動体3上の被選別物91のうち、小径物92が、篩板31の透孔31aを通って下方に落下し、
図1の矢印Fで示すように、小径物排出口22から排出される。また、揺動駆動されている揺動体3上の被選別物91のうち、重量物93が、篩板31の表面を重力によって転動又は滑動して後方に移動し、揺動体3の後端縁から落下し、
図1の矢印Gで示すように、重量物排出口23から排出される。また、揺動駆動されている揺動体3上の被選別物91のうち、軽量物94が、送り部材32による送り動作と、第1送風部6の吹き出しノズル63からの空気流によって揺動体3上を前方に送られる。揺動体3の前方に送られた軽量物94は、前端縁から落下し、
図1の矢印Hで示すように、軽量物排出口24から排出される。こうして、被選別物91が、重量物93と、軽量物94と、小径物92に選別される。選別された小径物92、重量物93及び軽量物94は、それぞれに対応する再利用工程又は廃棄処理が行われる。
【0055】
一方、揺動体3の表面近傍を流れた第1送風部6からの空気流は、矢印C1で示すように、ケーシング2の前端部28の内側面に衝突し、ケーシング2内を本体部2aから突出部2bへ向かって流れる。また、揺動体3の上方を流れた第2送風部7からの空気流は、矢印C2で示すように、ケーシング2の前端部28の内側面に衝突し、ケーシング2内を本体部2aから突出部2bへ向かって流れる。これらの空気流によって軽量物94が流された場合は、空気流がフィルタ9を通過する際に軽量物94がフィルタ9によって捕集される。フィルタ9で捕集された軽量物94は、第1送風部6や第2送風部7による送風が停止したときに、フィルタ9から離れて落下し、軽量物排出口24から排出される。フィルタ9を通過した空気は、矢印Dで示すように上方に流れ、排気口25からケーシング2の外へ排出される。
【0056】
このように、本実施形態の揺動選別機1は、ケーシング2の投入口21の近傍に、第2送風部7により、投入口21を縦断する空気流を形成するので、投入された被選別物91に、重量物93と軽量物94が絡み合ったものや、重量物93や軽量物94に小径物92が付着したものが含まれても、これらの重量物93と軽量物94と小径物92を効果的に分離することができる。したがって、揺動駆動される揺動体3の動作により、重量物93と軽量物94と小径物92を、精度良く選別することができる。
【0057】
また、本実施形態の揺動選別機1は、ケーシング2の前端部28の内側面が上向きに傾斜しているので、第1送風部6及び第2送風部7からの空気流が、ケーシング2の前端部28の内側面によって上向きに変更される。これにより、空気流の方向に対してケーシング502の前端部の内側面が直角に延在する従来の揺動選別機501と比較して、ケーシング2内の空気流の乱れが効果的に低減される。また、第1送風部6に加えて第2送風部7を有するにもかかわらず、第1送風部6からの空気流と、第2送風部7からの空気流を、ケーシング2の前端部28の内側面によって速やかに排気口25へ導くことができる。その結果、乱れた空気流によって軽量物94がケーシング内を後方に流され、重量物93に混入して選別精度が低下する不都合を効果的に防止できる。また、ケーシング2内の空気流は、ケーシング2の前端部28の内側面によって上向きに流れた後、揺動体3の前側部分の上方に位置する排気口25から排出されるので、軽量物排出口24からの空気の排出を効果的に抑制できる。したがって、この揺動選別機1で選別された軽量物94を処理する後工程の作業領域に、被選別物の塵を含んだ風を送る不都合を効果的に防止できる。
【0058】
本実施形態の揺動選別機1は、揺動体3の傾斜角度と、第1送風部6及び第2送風部7による空気の供給量とを設定することにより、軽量物94と重量物93の選別精度を効果的に向上することができる。表1は、揺動体3の傾斜角度と、第1送風部6及び第2送風部7の送風量とを設定した比較例と実施例の運転条件について、被選別物としての都市ゴミを選別したときに、小径物排出口22から排出される小径物92と、重量物排出口23から排出される重量物93と、軽量物排出口24から排出される軽量物94との重量割合を示したものである。
【表1】
【0059】
都市ゴミは、軽量物94であるプラスチック製の容器及び包装や、小径物92である食品残渣や、重量物93であるペットボトル、缶及び電池等が混在する一般廃棄物である。比較例1の運転条件では、重量物93として重量物排出口23から排出されるものに、プラスチック製の容器及び包装等の軽量物94が混入するので、重量物93として選別されるものの割合が比較的多い。また、軽量物94として軽量物排出口24から排出されるものに、重量物93であるペットボトルや缶の一部が混入していた。これに対して、実施例1の運転条件では、揺動体3の傾斜角度を増大すると共に、第1送風部6及び第2送風部7の送風量を増加することにより、ペットボトルや缶を効果的に揺動体3上で後方に落下させる一方、プラスチック製の容器及び包装等を揺動体3上で効果的に前方に送ることができる。その結果、比較例1では重量物93に混入していた軽量物94が、適切に軽量物排出口24から排出され、その結果、軽量物94の重量割合が比較例1よりも多くなった。このように、実施例1の運転条件によれば、都市ゴミから精度良くプラスチック製の容器及び包装等の軽量物94を選別でき、例えばRPF(Refuse Paper and Plastic Fuel:廃紙・廃プラスチックを用いた燃料)等のリサイクル原料として、有効に再利用することができる。
【0060】
表2は、本実施形態の揺動選別機1により、揺動体3の傾斜角度と、第1送風部6及び第2送風部7の送風量とを設定した比較例と実施例の運転条件について、被選別物としての建築系混合廃棄物を選別したときに、小径物排出口22から排出される小径物92と、重量物排出口23から排出される重量物93と、軽量物排出口24から排出される軽量物94との重量割合を示したものである。
【表2】
【0061】
建築系混合廃棄物には、軽量物94である厚手の軟質プラスチック及び壁紙や、小径物92である土砂や、重量物93であるコンクリート片等が混在している。比較例2の運転条件では、重量物93として重量物排出口23から排出されるものに軽量物94が混入するので、重量物93として選別されるものの割合が比較的多い。これに対して、実施例2の運転条件では、第1送風部6及び第2送風部7の送風量を増加することにより、比較例2では重量物93に混入していた軟質プラスチック及び壁紙等の軽量物94が、適切に軽量物排出口24から排出される。その結果、軽量物94の重量割合が比較例2よりも多くなる。このように、実施例2の運転条件によれば、建築系混合廃棄物から精度良く軟質プラスチック及び壁紙等の軽量物94を選別でき、例えばRPF等のリサイクル原料として有効に再利用することができる。また、被選別物である建築系混合廃棄物の時間当たりの処理質量が、比較例2では17.1t/hであったが、実施例2では23.8t/hであった。このように、実施例2によれば、揺動体3の傾斜角度が20°であると共に、第1送風部6と第2送風部7の送風量の合計が240m
3/minであるので、選別精度の向上と、処理能力の向上を効果的に両立することができる。ここで、揺動体3の傾斜角度が20°を下回ると、揺動体3上を前方に移動する重量物93が生じ、軽量物排出口24から排出される軽量物94に混入する重量物93が増大するので、揺動体3の傾斜角度は20°以上であるのが好ましい。一方、揺動体3の傾斜角度が25°を超えると、揺動体3上を前方に移動しない軽量物94が生じ、重量物排出口23から排出される重量物93に混入する軽量物94が増大するので、揺動体3の傾斜角度は25°以下が好ましい。また、第1送風部6及び第2送風部7の送風量の合計が200m
3/minを下回ると、揺動体3を前方に移動しない軽量物94が生じて、重量物排出口23から排出される重量物93に混入する軽量物94が増大するので、第1送風部6及び第2送風部7の送風量の合計は200m
3/min以上が好ましい。一方、第1送風部6及び第2送風部7の風量の合計が250m
3/minを超えると、揺動体3上を重量物93が前方に移動して、軽量物排出口24から排出される軽量物94に混入する重量物93が増大するので、第1送風部6及び第2送風部7の風量の合計は250m
3/min以下が好ましい。
【0062】
上記実施形態において、第2送風部7は、幅方向に延びる細長の矩形状の開口を有する吹き出しノズル73を2つ備えたが、吹き出しノズル73の開口の形状は矩形状に限らず、幅方向に延びる楕円形状や、円形状でもよい。また、吹き出しノズル73の個数は、2つに限らず、1つ又は3個以上のいずれでもよい。第2送風部7は、平面視においてケーシング2の投入口21を縦断するように空気流を形成できれば、吹き出しノズル73の形状及び個数は特に限定されない。
【0063】
また、上記実施形態において、ケーシング2は、前端部28の外側面が下方に向けて傾斜した逆台形状断面を有する本体部2aと、この本体部2aの前側部分から上方に突出した突出部2bを有し、この突出部2bの上部が、上方に向かうにつれて平断面が縮小すると共に、縦断面において前方寄りに傾斜した逆漏斗形状を有したが、ケーシング2の形状は他の形状であってもよい。
【0064】
また、上記実施形態において、ケーシング2の本体部2aが、前端部28の外側面が下方に向けて傾斜すると共に、この前端部28の内側面が上方に向けて傾斜したが、前端部28の内側面が上方に傾斜していれば、外側面の形状は他の形状であってもよい。また、ケーシング2の前端部28の内側に、上向きに傾斜した板状体を設け、この板状体の表面によって上向きに傾斜した内側面を形成してもよい。また、ケーシング2の前端部28の内側面は、必ずしも傾斜していなくてもよく、例えば、揺動体3の延在方向に対して直角に形成されてもよい。
【0065】
また、上記実施形態では、揺動選別機1が建設系廃棄物や一般廃棄物等の混合廃棄物を選別する例を取り上げたが、これに限定されることなく、揺動選別機1は、例えば、シュレッダーダストの選別、容器包装プラスチックの選別、瓶や缶などの資源ゴミの選別、粗大ゴミの選別、埋め立て地の掘り起こし材の選別、穀類等の農産物の選別等、多種多様な用途に利用することができる。
【0066】
また、上記実施形態では、隣接する揺動体3の位相差が180°に設定されたが、これに限定されることなく、例えば90°又は120°など、揺動体3の数や寸法に応じて、被選別物の選別が効率的に実行可能であるように適宜選定される。更に、揺動体3は、透孔31aの直径ごとに数種類の取り替え可能なスクリーンとして用意され、被選別物の選別が効率的に実行可能であるように適宜選定されてもよい。
【0067】
また、上記実施形態では、前側偏心軸受ユニット4に従動軸14を連結する一方、後側偏心軸受ユニット5に駆動軸15を連結したが、前側偏心軸受ユニット4に駆動軸15を連結する一方、後側偏心軸受ユニット5に従動軸14を連結してもよい。
【0068】
また、上記実施形態では、複数の揺動体3を、位相差を付与して揺動駆動する駆動部として、揺動体3に設けた前側偏心軸受ユニット4及び後側偏心軸受ユニット5と、後側偏心軸受ユニット5に連結した駆動軸15と、前側偏心軸受ユニット4に連結した従動軸14と、駆動軸15に連結したカップリング装置12、減速装置10及びモータ11を備えたが、駆動部はクランク軸等を用いたものでもよい。駆動部の動力源や伝達装置等の形態は、適宜選択できる。