(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2017-213675(P2017-213675A)
(43)【公開日】2017年12月7日
(54)【発明の名称】仕上げロールによる多条研削ウォームの仕上げ方法
(51)【国際特許分類】
B24B 53/075 20060101AFI20171110BHJP
【FI】
B24B53/075
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2017-105268(P2017-105268)
(22)【出願日】2017年5月29日
(31)【優先権主張番号】10 2016 006 673.3
(32)【優先日】2016年5月31日
(33)【優先権主張国】DE
(71)【出願人】
【識別番号】515091795
【氏名又は名称】カップ ヴェルクゾイグマシーネン ゲー エム ベー ハー
【氏名又は名称原語表記】KAPP Werkzeugmaschinen GmbH
(71)【出願人】
【識別番号】513063062
【氏名又は名称】ニレス ヴェルクゾイグマシーネン ゲー エム ベー ハー
【氏名又は名称原語表記】NILES Werkzeugmaschinen GmbH
(74)【代理人】
【識別番号】100130111
【弁理士】
【氏名又は名称】新保 斉
(72)【発明者】
【氏名】ミュラー、フランク
【テーマコード(参考)】
3C047
【Fターム(参考)】
3C047CC12
3C047EE11
3C047EE15
(57)【要約】 (修正有)
【課題】仕上げの精度を改善し、仕上げ時間を短縮し、より大きな歯部に提供される研削ウォームを仕上げられる研削ウォームを仕上げるの方法を提供する。
【解決手段】多条研削ウォーム1の仕上げ方法において、仕上げの精度を向上させるため、a)仕上げロール2の仕上げ輪郭3、4、5が、研削ウォーム1の第1の隣接し合うねじ通路a、b、cに同時に案内される、第1の部分仕上げプロセスを実行するステップと、b)仕上げロール2の仕上げ輪郭3、4、5が、研削ウォーム1の第2の隣接し合うねじ通路b、c、・・・に同時に案内される、少なくとも1つの第2の部分仕上げプロセスを実行するステップを含み、第2の隣接し合うねじ通路b、c、・・・は、ステップa)と比較すると、研削ウォームの軸A方向において研削ウォーム1の少なくとも1つのねじ通路だけずれている。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
仕上げロール(2)による多条研削ウォーム(1)の仕上げ方法であって、
前記研削ウォーム(1)は、互いに平行に配置した少なくとも2つのねじ通路(a、b、c、・・・)を有し、前記ねじ通路(a、b、c、・・・)は、前記研削ウォームの軸(A)を中心として螺旋状に延在し、
前記仕上げロール(2)は、前記仕上げロールの軸(B)に沿って配置した少なくとも2つの隣接し合う仕上げ輪郭(3、4、5)を有し、
前記仕上げロール(2)の前記仕上げ輪郭(3、4、5)は、前記研削ウォーム(1)を仕上げる間、前記研削ウォーム(1)の前記隣接し合うねじ通路(a、b、c、・・・)に同時に案内される方法において、
a)前記仕上げロール(2)の前記仕上げ輪郭(3、4、5)が、前記研削ウォーム(1)の第1の隣接し合うねじ通路(a、b、c・・・)に同時に案内される、第1の部分仕上げプロセスを実行するステップ;
b)前記仕上げロール(2)の前記仕上げ輪郭(3、4、5)が、前記研削ウォーム(1)の第2の隣接し合うねじ通路(b、c、・・・)に同時に案内される、少なくとも1つの第2の部分仕上げプロセスを実行するステップ
を含み、前記第2の隣接し合うねじ通路(b、c、・・・)は、前記ステップa)と比較すると、前記研削ウォームの軸(A)方向において前記研削ウォーム(1)の少なくとも1つのねじ通路だけずれている
ことを特徴とする方法。
【請求項2】
ステップb)の実行時、前記仕上げロール(2)の前記仕上げ輪郭(3、4、5)は、前記研削ウォーム(1)の前記第2の隣接し合うねじ通路(b、c、・・・)に同時に案内され、前記第2の隣接し合うねじ通路(b、c、・・・)は、前記ステップa)と比較すると、前記研削ウォームの軸(A)方向において前記研削ウォーム(1)の厳密に1つのねじ通路だけずれている
請求項1に記載の方法。
【請求項3】
ステップb)の実行後、少なくとも1つの更なる部分仕上げプロセスを実行し、前記少なくとも1つの更なる部分仕上げプロセスでは、前記仕上げロール(2)の前記仕上げ輪郭(3、4、5)が、前記研削ウォーム(1)の更に隣接し合うねじ通路に同時に案内され、前記更に隣接し合うねじ通路は、ステップb)と比較すると、前記研削ウォームの軸(A)方向において前記研削ウォーム(1)の少なくとも1つのねじ通路だけ、好ましくは厳密に1つのねじ通路だけずれている
請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
ステップa)及びb)の実行時、前記研削ウォーム(1)及び前記仕上げロール(2)がそれぞれの前記軸(A、B)を中心として同時に回転する際、前記研削ウォーム(1)と前記仕上げロール(2)との間に所定の径方向距離が保持されている
請求項1ないし3のいずれかに記載の方法。
【請求項5】
前記研削ウォーム(1)と前記仕上げロール(2)との間の前記径方向距離は、ステップa)及びb)の実行時に等しい
請求項4に記載の方法。
【請求項6】
ステップa)及びb)の実行時、前記研削ウォームの軸(A)と前記仕上げロールの軸(B)との間に旋回角(γ)が設定されている
請求項1ないし5のいずれかに記載の方法。
【請求項7】
第1の直径(D4)を有する仕上げ輪郭(4)、及び第2の直径(D3、D5)を有する少なくとも1つの仕上げ輪郭(3、5)を有する仕上げロール(2)を使用し、前記仕上げ輪郭(3、4、5)は、互いに隣接して配置され、前記第1の直径(D4)は、前記第2の直径(D3、D5)よりも大きく、好ましくは更に、前記仕上げロールの軸(B)方向における、前記第2の直径(D3、D5)を有する前記仕上げ輪郭(3、5)の幅は、前記第1の直径(D4)を有する前記仕上げ輪郭(4)の幅と比較すると、減少している
請求項1ないし6のいずれかに記載の方法。
【請求項8】
前記第1の直径(D4)を有する仕上げ輪郭(4)を有する仕上げロール(2)を使用し、前記仕上げ輪郭(4)の両側に、前記第2の直径(D3、D5)を有する1つの仕上げ輪郭(3、5)が配置されている
請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記第2の直径(D3、D5)は、前記第1の直径(D4)の99.0%から99.9%の間である
請求項7または8に記載の方法。
【請求項10】
ステップa)による前記第1の部分仕上げプロセスの実行後、前記第1の直径(D4)を有する前記仕上げ輪郭(4)が、前記研削ウォーム(1)の全てのねじ通路(a、b、c、・・・)に案内される、ステップb)による前記更なる部分仕上げプロセスを実行する
請求項7ないし9のいずれかに記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、仕上げロールによる多条研削ウォームの仕上げ方法に関し、研削ウォームは、互いに平行に配置した少なくとも2つのねじ通路を有し、ねじ通路は、研削ウォームの軸を中心として螺旋状に延在し、仕上げロールは、仕上げロールの軸に沿って配置した少なくとも2つの隣接し合う仕上げ輪郭を有し、仕上げロールの仕上げ輪郭は、研削ウォームを仕上げる間、研削ウォームの隣接し合うねじ通路に同時に案内される。
【背景技術】
【0002】
通常、仕上げ可能な多条研削ウォームは、生成工具を用いて、伝動装置、サイクロイドまたはロータの輪郭を機械加工する際に使用される。一方研削ウォームの仕上げは、1つまたは多数の溝をもつ仕上げロールにより実行される。
【0003】
単一溝の仕上げロールによる仕上げ(単列仕上げ)は、1つの対応する機械加工行程を有する単一の送込みを複数回実行し、分配した後(即ち仕上げロールの輪郭を多条研削ウォームの次の通路に挿入した後)、研削ウォームの各通路において繰り返す。
【0004】
多溝仕上げロールの使用は、単溝ロールと比較すると、時間的な利点を達成する。というのは、仕上げの間、研削ウォームのいくつかのねじ条(即ち溝)を同時に仕上げることができ、このため、研削ウォームの単一条への分配を低減することができるか、または完全に省くことができるためである。
【0005】
費用のためには、仕上げ時間を最適にすることが常に目標とされる。例えば、3つの溝付き仕上げ工具(仕上げロール)を3条の研削ウォームの作製に使用する場合、研削ウォームの3つのねじ条または溝を同時に仕上げることができるため、分配プロセスは完全に省略される。条数が仕上げロールの溝の数よりも多い場合、仕上げロールは、それ応じて分配し、研削ウォームの全てのねじ条を仕上げなければならない。
【0006】
仕上げの目的は、できる限り不具合がない研削ウォームを最終的に得ることであり、こうした研削ウォームでは、全てのねじ条が正確に等しく外周周りに分散し、形状が互いに異ならない。
【0007】
仕上げ工具は、全ての溝(即ち全ての仕上げ輪郭)がウォームのねじ条でまたはねじ条において同じ形状を生成するように設計されている。所定の工具直径のための多溝仕上げロールの設計のため、したがって、所与の固定形状のため、仕上げロールの製造不具合のため、及び研削ウォームの全てのねじ条が同じ溝(即ち同じ仕上げ輪郭)で仕上げられていないために、研削ウォームの形状の不具合、したがって研削工具の形状の不具合が生じる。こうした不具合は、最初に、組織的に工具に伝達され、次に、次の研削プロセスで工作物に伝達される。
【0008】
仕上げは、通常、軸方向に平行ではない、研削ウォームのリード角で行われる。リード角は、研削ウォームの直径が小さくなるにつれて変化するので、研削ウォームにもたらされる形状も変化する。というのは、研削工具の形状が固定され、仕上げロールの全ての溝(仕上げ輪郭)が研削ウォームの旋回中心に配置されているためである。
【0009】
このことが、多溝仕上げ工具を伝動装置の全てのモジュールの範囲で使用できないことの実質的な理由である。より大きなモジュールは、より大きなリード角を意味するため、研削ウォームの旋回中心に配置されていない仕上げロールの溝は、より大きな偏差を生じる。
【0010】
単溝仕上げ工具は、多溝仕上げよりも常に高い質をもたらすが、仕上げにより多くの時間を必要とし、したがってより多くの費用を必要とする。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
研削ウォームを仕上げる包括的な種類の方法を提案することが、本発明の目的であり、この方法により、仕上げの精度を改善することができる。したがって、質の向上が得られ、仕上げ時間が可能な限り短縮されるはずである。更に、既存の仕上げ工具の適用分野を増大させること、及び特に、より大きな歯部モジュール範囲に提供される研削ウォームを仕上げることも目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明によるこの目的の解決策は、a)仕上げロールの仕上げ輪郭が、研削ウォームの第1の隣接し合うねじ通路に同時に案内される、第1の部分仕上げプロセスを実行するステップ; b)仕上げロールの仕上げ輪郭が、研削ウォームの第2の隣接し合うねじ通路に同時に案内される、少なくとも1つの第2の部分仕上げプロセスを実行するステップを含む方法を提案し、第2の隣接し合うねじ通路は、ステップa)と比較すると、研削ウォームの軸方向において研削ウォームの少なくとも1つのねじ通路だけずれている。
【0013】
上述のステップb)の実行時、仕上げロールの仕上げ輪郭は、好ましくは、研削ウォームの第2の隣接し合うねじ通路に同時に案内され、第2の隣接し合うねじ通路は、ステップa)と比較すると、研削ウォームの軸方向において研削ウォームの厳密に1つのねじ通路だけずれている。しかし、上述のずれは、研削ウォームのいくつかのねじ通路だけ実行することも可能である。
【0014】
上記ステップb)の実行後、仕上げロールの仕上げ輪郭が、研削ウォームの更に隣接し合うねじ通路に同時に案内される、少なくとも1つの更なる部分仕上げプロセスを実行することができ、更に隣接し合うねじ通路は、上記ステップb)と比較すると、研削ウォームの軸方向において研削ウォームの少なくとも1つのねじ通路、好ましくは厳密に1つのねじ通路だけずれている。
【0015】
上記ステップa)及びb)の実行時、好ましくは、研削ウォーム及び仕上げロールがそれぞれの軸を中心として同時に回転する際、研削ウォームと仕上げロールとの間に所定の(即ち一定の)径方向距離が保持されている。この場合、研削ウォームと仕上げロールとの間の径方向距離は、上記ステップa)及びb)を実行する際、等しいことが好ましく実現される。
【0016】
上記ステップa)及びb)の実行時、研削ウォームの軸と仕上げロールの軸との間に、ある旋回角を設定することができる。
【0017】
好ましい一実施形態によれば、第1の直径を有する仕上げ輪郭、及び第2の直径を有する少なくとも1つの仕上げ輪郭を有する仕上げロールを使用し、これらの輪郭は、互いに隣接して配置され、第1の直径は、第2の直径よりも大きい。更に、代替的にまたは追加的に、(仕上げロールの軸方向における)仕上げ輪郭の直径及び幅が減少していることを実現でき、仕上げ輪郭の形状も修正することができる。このことにより、非常に様々な伝動装置モジュールの研削を実現する可能性を可能にする。
【0018】
これにより、第1の直径を有する仕上げ輪郭を有する仕上げロールの使用を実現することができ、仕上げ輪郭の両側に、第2の直径を有する1つの仕上げ輪郭が配置されている。
【0019】
第2の直径は、好ましくは第1の直径の99.0%から99.9%の間である。
【0020】
上記ステップa)による第1の部分仕上げプロセスを実行した後、第1の直径を有する仕上げ輪郭が研削ウォームの全てのねじ通路に案内される、上記ステップb)による更なる部分仕上げプロセスを実行することができる。
【0021】
したがって、提案する概念は、実際に仕上げ、研削ウォームと仕上げロールとの噛合いを外し、それぞれを回転させて、研削ウォームを1つまたは複数の区分(通路)だけ変位させた後、好ましくは選択的な(径方向の)送込みを伴わない後続の仕上げ行程において、仕上げ工具の他の溝が研削ウォームの通路と接触するようにする可能性を提供する。
【0022】
これによって、仕上げロールの製造の不具合、または仕上げプロセス自体により生じた不具合があったとしても、通路の間の偏差を最小にするまたは最終的には偏差を完全になくした状態で、研削工具のいくつかの通路または更には全ての通路に伝達されるという利点が得られる。
【0023】
通常、仕上げプロセスは、複数回の単一送込みから構成されるため、単一溝仕上げ工具による仕上げと比較して、後続の回転及び更なる仕上げ行程にもかかわらず、時間的な利益が得られる。そのため、全体では、仕上げがより経済的なものとなる。
【0024】
多溝仕上げ工具は、研削ウォームに作成する輪郭ができる限り等しいように設計される。しかし、このことは、単一研削ウォームの直径及びリード角のそれぞれが理論的に一致しているにすぎない可能性がある。
【0025】
研削ウォームの直径が変化するにつれて、リード角が変化し、このことにより、作成したウォーム形状に偏差が生じる。最大の偏差は、仕上げロールの最外溝(仕上げロールの中心から最大距離を有する)により生じる。というのは、最外溝は、研削ウォームの旋回点から最大の距離を有するためである。こうした偏差は、可能性として、確かに後続のねじ通路の均一化(上記ステップbを参照)が全ての通路において一様な形状で実行されているにもかかわらず、設定した形状からの偏差が工作物を十分な質で研削できないほど大きくなるおそれがある。
【0026】
そのような場合、中央溝及び間隙のそれぞれ(即ち中央仕上げ輪郭)のみが所望の標的形状をもたらす仕上げ工具を用いることができる。全ての他の溝(即ち仕上げ輪郭)は、直径の縮小、及び適用可能な場合、仕上げロールの軸方向における幅の減少を目標として、仕上げ工具の成形側面で陥没するようにし、したがって、仕上げの終了時、各通路の均一化によって、十分な材料が所望の標的形状を生成するようにする。
【0027】
実際には、ここで、各ねじ通路を均一化のために再度機械加工しなければならないことは、好ましいことではない。しかし、ここでは、大型モジュールを有する研削ウォームを多溝式に仕上げ得るという利点が勝っている。
【0028】
そのため、本発明は、標準工具(仕上げロール)及び特殊な工具を用いて、ウォーム形状機械加工工具の多溝仕上げの間隙をずらすことに基づく解決策を提供する(以下で述べる実施形態を参照)。
【0029】
したがって、本発明による、仕上げロールによる、研削ウォームの実際の仕上げプロセスの後、研削ウォームの(少なくとも)1つの後続の間隙、即ち後続の通路それぞれにおいて、仕上げロールの間隙をずらす。研削ウォームの条数が仕上げロールの溝の数よりも多い場合、後続の通路で変位を実行することは必須ではなく、1つまたは任意の後続の通路内で変位させることができる。
【0030】
したがって、本発明は、多溝仕上げ工具使用時の仕上げの成果、特に、分配の成果を向上させ、且つ2条以上のウォーム形状工具における輪郭形状を向上させるソフトウェアによって実現することができる解決策を提供する。
【0031】
好ましくは、伝動装置、サイクロイドまたはロータの輪郭の機械加工に使用されるウォーム形状工具の多溝仕上げを提案する。
【0032】
有益には、時間削減の保持によって質の向上が得られる。
【0033】
提案する方法が、より大型のモジュールで利用でき、したがって適用分野の増大を得られることも非常に有益である。
【0034】
したがって、従来の多溝仕上げと比較して、わずかな時間損失のみで質の大幅な向上が得られる。
【0035】
特に、より大型モジュールに対しても多溝仕上げ工具の使用が可能である。というのは、提案する方法により、偏差を最小にするかまたは更には完全になくすことができるためである。
【0036】
本発明の実施形態を図面に示す。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【
図1】仕上げロールにより仕上げられる、大きな直径を有する研削ウォームの概略側面図
【
図2】仕上げロールにより仕上げられる、より小さな直径を有する
図1の研削ウォームの説明図
【発明を実施するための形態】
【0038】
図1及び
図2では、2つの異なる直径を有する研削ウォーム1の、仕上げロール2による仕上げプロセスを示す。研削ウォーム1は、研削ウォーム1がいくつかのねじ通路a、b、c、・・・を有するように、多条ウォームとして設計され、ねじ通路は、研削ウォームの軸Aを中心として互いに対し平行に螺旋状に延在する。
【0039】
仕上げは、本実施形態では3つの隣接し合う仕上げ輪郭3、4及び5(仕上げ円盤)を有する仕上げロール2により実行し、仕上げ輪郭3、4及び5はそれぞれ、円盤形状体として設計されている。それにより、3つの仕上げ輪郭3、4、5は、仕上げロールの軸Bに沿って並んで隣接して配置される。
【0040】
2つの
図1及び
図2から分かるように、研削ウォーム1の2つの異なる直径のために、研削ウォームの軸A及び仕上げロールの軸Bは、仕上げ中、旋回角γを描く。図示する研削ウォーム1及び仕上げロール2の側面図では、研削ウォームの軸A及び仕上げロールの軸Bは、旋回点Sで交差する。
【0041】
一般に、仕上げロール2による研削ウォーム1の仕上げは、仕上げロール2の仕上げ輪郭3、4、5が研削ウォーム1の隣接し合うねじ通路a、b、c、・・・に同時に案内されるように実行する。ここで、研削ウォーム1及び仕上げロール2は、それぞれの軸A、Bを中心として回転する。
【0042】
ここで、最初に、第1の部分仕上げプロセスを実行することが不可欠であり、第1の部分仕上げプロセスでは、仕上げロール2の仕上げ輪郭3、4、5は、研削ウォーム1の第1の隣接し合うねじ通路a、b、cに同時に案内される。このことが行われると、研削ウォーム1及び仕上げロール2は、まず、噛合いを外され、次に、第2の部分仕上げプロセスを実行できるように再度噛み合わされ、第2の部分仕上げプロセスでは、仕上げロール2の仕上げ輪郭3、4、5は、研削ウォーム1の第2の隣接し合うねじ通路b、c、・・・に同時に案内される。これにより、第2の隣接し合うねじ通路b、c、・・・が、第1の部分仕上げプロセスと比較すると、研削ウォームの軸A方向において研削ウォーム1の1つまたは複数のねじ通路だけずれていることが実現する。
【0043】
この第2の部分仕上げプロセスでは、研削ウォーム1と仕上げロール2との間に同じ径方向距離が保たれ、この同じ径方向距離により、研削ウォーム1に移送される仕上げロール2の不具合を最小にする。
【0044】
したがって、例えば、(図示のような)3条の研削ウォームにおいて、(図示のような)3つの溝付き仕上げロールを用い、仕上げプロセスの最後に、追加で2度更なる部分仕上げプロセスを(軸方向に変位させて)各1つのねじ条ごとに実行し、送込みを伴わない仕上げ行程を実行すると、研削ウォーム1では、単一溝仕上げ工具と匹敵する均一な結果が得られる。それにもかかわらず、単一溝仕上げロールの場合のような仕上げに対する時間を必要としない。
【0045】
図1及び
図2を比較すると、研削ウォーム1の直径が小さくなるほど、旋回角γがより大きくなることがわかる。このため、仕上げ輪郭3及び5により生じる形状の偏差が増大し、仕上げ輪郭3及び5は、旋回点Sから更に離れる。このことは、仕上げ輪郭2が
図3のように設計されている場合に当てはまる。
【0046】
この影響に取り組むために、
図4に示すような解決策を提供することができる。ここでは、中央仕上げ輪郭4が第1の直径D
4を有し、第1の直径D
4は、仕上げ輪郭4の両側に配置した2つの仕上げ輪郭3及び5の第2の直径D
3及びD
5よりも大きいことがわかる。したがって、仕上げ輪郭3、5の幅は、仕上げロールの軸Bの方向で減少させることができる。これにより、上述した仕上げ輪郭3、5の直径及び幅の減少はそれぞれ、好ましくは、中央仕上げ輪郭4のそれぞれの値の99.0%から99.9%の間の大きさで与えられる。
【0047】
これにより、広範囲の伝動装置モジュールを実現することが可能になるが、仕上げプロセスを正確に実行するためには、研削ウォーム1の全てのねじ通路a、b、c、・・・に仕上げ輪郭4を案内することが必要となる。
【符号の説明】
【0048】
1 研削ウォーム
2 仕上げロール
3 仕上げ輪郭(仕上げ円盤)
4 仕上げ輪郭(仕上げ円盤)
5 仕上げ輪郭(仕上げ円盤)
a 第1のねじ通路
b 第2のねじ通路
c 第3のねじ通路
A 研削ウォーム軸
B 仕上げロール軸
D
4 第1の直径
D
3 第2の直径
D
5 第2の直径
γ 旋回角
S 旋回点