特開2017-213909(P2017-213909A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ イビデン株式会社の特許一覧
特開2017-213909機能性化粧板、機能性化粧板の機能回復方法及び機能性付与組成物
<>
  • 特開2017213909-機能性化粧板、機能性化粧板の機能回復方法及び機能性付与組成物 図000003
  • 特開2017213909-機能性化粧板、機能性化粧板の機能回復方法及び機能性付与組成物 図000004
  • 特開2017213909-機能性化粧板、機能性化粧板の機能回復方法及び機能性付与組成物 図000005
  • 特開2017213909-機能性化粧板、機能性化粧板の機能回復方法及び機能性付与組成物 図000006
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2017-213909(P2017-213909A)
(43)【公開日】2017年12月7日
(54)【発明の名称】機能性化粧板、機能性化粧板の機能回復方法及び機能性付与組成物
(51)【国際特許分類】
   B32B 9/00 20060101AFI20171110BHJP
   B01J 35/02 20060101ALI20171110BHJP
   B01J 23/72 20060101ALI20171110BHJP
【FI】
   B32B9/00 A
   B01J35/02 J
   B01J23/72 M
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2017-157523(P2017-157523)
(22)【出願日】2017年8月17日
(62)【分割の表示】特願2015-219904(P2015-219904)の分割
【原出願日】2015年11月9日
(71)【出願人】
【識別番号】000000158
【氏名又は名称】イビデン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000914
【氏名又は名称】特許業務法人 安富国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】堀野 克年
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 和紘
【テーマコード(参考)】
4F100
4G169
【Fターム(参考)】
4F100AA00C
4F100AA01D
4F100AA17E
4F100AA19C
4F100AA21E
4F100AD00C
4F100AH06B
4F100AK01B
4F100AK52B
4F100AT00A
4F100BA05
4F100BA07
4F100DE01C
4F100GB07
4F100JL08E
4F100JM01C
4F100YY00C
4F100YY00D
4F100YY00E
4G169AA03
4G169BA04A
4G169BA04B
4G169BA48A
4G169BB04B
4G169BC31A
4G169BC31B
4G169EB18Y
4G169FA06
4G169FB23
4G169HA02
4G169HB01
4G169HB06
4G169HC02
4G169HD10
4G169HE06
4G169HE07
(57)【要約】
【課題】表層樹脂層の劣化を防ぎ、機能性の効果の維持に優れた機能性化粧板を提供する。
【解決手段】基板と、上記基板の一方面又は両面上に積層される表層樹脂層と、上記表層樹脂層上に露出して配置されるセラミック粒子と、上記セラミック粒子の露出面上に、無機ゾルの乾燥体を介して担持される機能性物質と、からなることを特徴とする機能性化粧板。
【選択図】 図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板と、
前記基板の一方面又は両面上に積層される表層樹脂層と、
前記表層樹脂層上に露出して配置されるセラミック粒子と、
前記セラミック粒子の露出面上に、無機ゾルの乾燥体を介して担持される機能性物質と、
からなることを特徴とする機能性化粧板。
【請求項2】
前記機能性物質と前記無機ゾルとの重量比は、機能性物質:無機ゾル=3:7〜7:3である請求項1に記載の機能性化粧板。
【請求項3】
前記セラミック粒子は、酸化アルミニウム含有粒子である請求項1又は2に記載の機能性化粧板。
【請求項4】
前記セラミック粒子は、アルミナ又はアルミン酸ストロンチウムのいずれかからなる粒子である請求項1〜3のいずれかに記載の機能性化粧板。
【請求項5】
前記セラミック粒子の平均粒子径は、0.1μm〜55μmである請求項1〜4のいずれかに記載の機能性化粧板。
【請求項6】
前記セラミック粒子は、前記表層樹脂層表面に対して5〜30%の面積率で露出して存在する請求項1〜5のいずれかに記載の機能性化粧板。
【請求項7】
前記機能性物質は、可視光応答型光触媒である請求項1〜6のいずれかに記載の機能性化粧板。
【請求項8】
前記可視光応答型光触媒は、白金担持チタニア触媒、銅担持チタニア触媒、鉄担持チタニア触媒、窒素ドープチタニア触媒、硫黄ドープチタニア触媒、炭素ドープチタニア触媒、又は、酸化タングステンである請求項7に記載の機能性化粧板。
【請求項9】
前記表層樹脂層は、シリコーン樹脂及び/又はシランカップリング剤を含有する請求項1〜8のいずれかに記載の機能性化粧板。
【請求項10】
基板と、前記基板の一方面又は両面上に積層される表層樹脂層と、前記表層樹脂層上に露出して配置されるセラミック粒子と、前記セラミック粒子の露出面上に、無機ゾルの乾燥体を介して担持される機能性物質と、からなる機能性化粧板の機能回復方法であって、
前記機能性物質が脱落もしくは失活することにより機能が低下もしくは失活した機能性化粧板に、無機ゾル、機能性物質および溶剤からなる機能性付与組成物を塗布することを特徴とする機能性化粧板の機能回復方法。
【請求項11】
基板と、前記基板の一方面又は両面上に積層される表層樹脂層と、前記表層樹脂層上に露出して配置されるセラミック粒子とからなる化粧板に、機能性を付与するために使用される機能性付与組成物であって、無機ゾル、機能性物質および分散媒からなることを特徴とする機能性付与組成物。
【請求項12】
前記機能性付与組成物は、さらに分散剤を含む請求項11に記載の機能性付与組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、機能性化粧板、機能性化粧板の機能回復方法及び機能性付与組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、メラミン化粧板等の化粧板に、光触媒などの機能性物質を添加もしくは塗布することで、防汚性、抗菌性等の機能性を付与した機能性化粧板が提供されている。
【0003】
特許文献1には、抗菌・抗ウィルス性等の機能を有する機能材を含有する樹脂塗膜で被覆されて機能材が表面近傍で固定化されていることを特徴とする機能性建材が提案されている。
【0004】
特許文献2には、紙の表面に抗菌性金属を担持させたカルシウム系セラミックス焼成物粉末よりなる抗菌剤を添加した不飽和ポリエステル樹脂を塗布することで抗菌性ポリエステル化粧板を得る製造方法が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2008−80210号公報
【特許文献2】特開平07−304619号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
図4は、従来の機能性化粧板を模式的に示す概略断面図である。
この機能性化粧板3では、光触媒などの機能性物質14が表層樹脂層12に固定されている。
【0007】
図4に示した機能性化粧板3では、光触媒などの機能性物質14が表層樹脂層12に長時間接触すると表層樹脂層12を劣化させることがある。具体的には、表層樹脂層12の変色や機能性物質14の脱落が生じることがある。これによって、機能性が低下するだけでなく、表層樹脂層12の変色による機能性化粧板3の意匠性の低下、表面の凹凸の発生による機能性化粧板3の外観の不具合を引き起こすという問題があった。
【0008】
また、化粧板の表層に機能性物質を添加又は塗布する場合があるが、このような場合、機能性物質は表層の表層樹脂層に埋まってしまい表層における露出部が少ないため、十分な機能性が発現できないという問題があった。さらに、化粧板には、ウィルス不活度が99.9%以上(大腸菌に対して不活化されていないウィルス濃度が1000分の1以下)相当となる高い抗菌性、抗ウィルス性を要求される場合もあり、このような場合、その機能性を充分に発現できないという課題もあった。
【0009】
本発明は、このような問題に鑑みてなされたものであり、メラミン樹脂等からなる表層樹脂層の劣化を防ぎ、機能性の効果の維持に優れた機能性化粧板を提供することを目的とする。特に、抗菌性、抗ウィルス性の効果の維持に優れた機能性化粧板を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の機能性化粧板は、基板と、上記基板の一方面又は両面上に積層される表層樹脂層と、上記表層樹脂層上に露出して配置されるセラミック粒子と、上記セラミック粒子の露出面上に、無機ゾルの乾燥体を介して担持される機能性物質と、からなることを特徴とする。
【0011】
すなわち、本発明は、基板と基板の表面上に積層される表層樹脂層を有し、セラミック粒子が表層樹脂層上に露出して配置され、無機ゾルの乾燥体を介して機能性物質がセラミック粒子上に担持された構造を有する機能性化粧板である。
【0012】
本明細書において、セラミック粒子は、セラミック粒子の露出面上に担持されている機能性物質の等電点よりも高い等電点となる粒子であることが好ましい。ここで等電点とは、溶液の水素イオン濃度を変化させたとき、溶質となる粒子の正と負の電荷が全体としてゼロになり、電場をかけても移動しないような状態で、粒子全体の電荷平均が0となるときの水素イオン指数であり、その値をpHとして表す。この等電点は物質により規定される値であり、その一例として、機能性物質の等電点はpH5〜6であるものが多く、それに対して、セラミック粒子は、機能性物質の等電点よりも高い等電点となるものを用いることができる。特に、セラミック粒子の等電点がpH7以上であることがより望ましい。なお、等電点の測定方法としては、電気泳動法(JIS R1638)により行うことができる。
【0013】
セラミック粒子としては、具体的には、セリウム、ジルコニウム、ストロンチウム、アルミニウム、珪素、鉄、コバルト、銅、クロム、ニッケル、錫、カドミウム、マグネシウム、マンガン、タングステン、バナジウム、イットリウムなどから選ばれる少なくとも1種の金属を含む金属酸化物あるいは金属水和物の粒子、酸化アルミニウム含有粒子、シリカ含有粒子、珪藻土からなるセラミック粒子を用いることができる。また、等電点に関し、アルミナ(Al)の等電点は、pH:7.4〜9.2、ベーマイト(AlOOH)の等電点は、pH7.7〜9.4、カドミウム水酸化物(Cd(OH))の等電点は、pH10.5以上、酸化カドミウム(CdO)の等電点は、pH7.7、鉄水和物(Fe(OH))の等電点は、pH12、酸化鉄(Fe)の等電点は、pH12、酸化銅(CuO)の等電点は、pH9.5、銅水和物(Cu(OH))の等電点は、pH7.7である。これらの成分を複合化し、セラミック粒子としての等電点が、機能性物質の等電点よりも高いことが望ましい。上記したセラミック粒子を構成する化合物のなかでは、特に酸化アルミニウム含有粒子を用いることが望ましい。
【0014】
セラミック粒子は、菌やウィルスを引き寄せやすいという作用を有する。そもそも、菌やウィルスは、タンパク質や脂肪を含んでいるため、アニオン物質であり、アニオン物質は、その対極であるカチオン物質に引き寄せられるという性質を有する。つまり、化粧板の表層に存在する菌やウィルスは、セラミック粒子に引き寄せられ、セラミック粒子に担持された機能性物質により、菌やウィルスを減少させることができ、また、菌やウィルスが増殖しないので、抗菌や抗ウィルスの効果を得やすくなる。セラミック粒子でない粒子の場合、化粧板の表層に存在する菌やウィルスが機能性物質に接触する頻度が低いので、菌やウィルスが残存または増殖し、抗菌や抗ウィルスの効果を得にくいのである。
【0015】
また、セラミック粒子は、表層樹脂層上に露出して配置された機能性物質を一定間隔で担持しやすいという性質を有する。セラミック粒子でない粒子に機能性物質を担持させると、機能性物質の間隔が狭くなりやすい。そのため、菌やウィルスと機能性物質との接触頻度が低下し、想定される菌やウィルスの減少作用が発揮されなくなる。その結果、菌やウィルスを減少させるのに時間を要し、抗菌、抗ウィルスの効果が発現しにくくなる。これに対して、本発明で用いるセラミック粒子は、一定間隔に露出した状態で担持されるので、菌やウィルスが機能性物質との接触頻度の低下がなく、所望の時間で菌やウィルスを減少させ、抗菌、抗ウィルスの効果が発現しやすくなる。このように、セラミック粒子は、機能性物質の担持を一定間隔にさせ、菌やウィルスを引き寄せるという効果があり、抗菌や抗ウィルス効果を向上させることができる。機能性物質に、菌やウィルスが接触すると、機能性物質は、菌やウィルスを全分解させるか、又は、一部を損傷させることができるので、菌やウィルスを減少させることができる。
上記した効果は、セラミック粒子の露出面に機能性物質を担持させることにより得られる。
【0016】
本発明の機能性化粧板においては、無機ゾルの乾燥体を介して機能性物質がセラミック粒子上に担持されている。セラミック粒子の表層に無機ゾル及び機能性物質を付着させた後、乾燥させることにより、無機ゾルの乾燥体(無機バインダ)で機能性物質を固定化し、機能性物質をより強固に固定化することができる。無機ゾルとしては、シリカゾル、アルミナゾル、シリカ−アルミナゾル、チタニアゾル等を用いることができ、中でもシリカゾルを用いることが望ましい。
【0017】
本発明の機能性化粧板において、機能性物質と無機ゾルとの重量比は、機能性物質:無機ゾル=3:7〜7:3であることが望ましく、4:6〜6:4であることがより望ましく、5:5であることが特に望ましい。機能性物質及び無機ゾルの合計重量に対する機能性物質の重量の割合が30%未満であると、無機ゾルの量が多いため、機能性物質の機能性が充分発現できない傾向にあり、機能性物質及び無機ゾルの合計重量に対する機能性物質の重量の割合が70%を超えると、無機ゾルの量が少ないため、セラミック粒子と機能性物質との密着性を充分向上させることができない傾向にある。
本明細書において、無機ゾルの重量とは、無機ゾルの固形分の重量を意味する。
【0018】
本発明の機能性化粧板では、セラミック粒子として、酸化アルミニウム含有粒子を用いることが望ましい。また、セラミック粒子として、具体的には、アルミナ又はアルミン酸ストロンチウムのいずれかからなる粒子を用いることが望ましい。アルミナは、セラミック粒子の中で最も利用しやすい上に、上記で説明した菌やウィルスを減少させる作用を効率的に利用することができる。また、アルミン酸ストロンチウムは、蓄光作用があるので、光がない環境下でも菌やウィルスを減少させる作用を長時間持続させることができる。
【0019】
本発明の機能性化粧板において、セラミック粒子の平均粒子径は、0.1μm〜55μmであることが望ましい。
【0020】
本発明の機能性化粧板において、上記セラミック粒子は、上記表層樹脂層表面に対して5〜30%の面積率で露出して存在することが望ましい。
セラミック粒子が、表層樹脂層表面に対して5%以上の面積率で露出していると、光触媒などの機能性物質を充分に担持させることができるため、菌やウィルスを減少させる作用を充分に発揮させることができる。また、セラミック粒子が、表層樹脂層表面に対して30%以下の面積率で露出していると、機能性物質を担持するセラミック粒子が表面樹脂層に強固に接合され脱落しにくくなるため、菌やウィルスを減少させる作用を充分に持続させることができる。
【0021】
本発明の機能性化粧板において、機能性物質は、可視光応答型光触媒であることが望ましい。
【0022】
本発明の機能性化粧板において、上記可視光応答型光触媒は、白金担持チタニア触媒、銅担持チタニア触媒、鉄担持チタニア触媒、窒素ドープチタニア触媒、硫黄ドープチタニア触媒、炭素ドープチタニア触媒、又は、酸化タングステンであることが望ましい。特に、可視光応答型光触媒の等電点は、pH5〜6であることが望ましい。
【0023】
本発明の機能性化粧板において、上記表層樹脂層は、シリコーン樹脂及び/又はシランカップリング剤を含有していてもよい。
【0024】
さらに、本発明は、基板と、上記基板の一方面又は両面上に積層される表層樹脂層と、上記表層樹脂層上に露出して配置されるセラミック粒子と、上記セラミック粒子の露出面上に、無機ゾルの乾燥体を介して担持される機能性物質と、からなる機能性化粧板の機能回復方法に関する。本発明の機能性化粧板の機能回復方法では、上記機能性物質が脱落もしくは失活することにより機能が低下もしくは失活した機能性化粧板に、無機ゾル、機能性物質および溶剤からなる機能性付与組成物を塗布することを特徴とする。
本発明の機能性化粧板の機能回復方法においては、無機物であるセラミック粒子の露出面上に無機ゾルの乾燥体を介して機能性物質が担持されるため、機能性物質を確実に機能性化粧板表面に付着させることができ、機能性を回復させることができる。
【0025】
このような機能が低下した機能性化粧板の機能回復のために、機能性付与組成物を使用することができる。
したがって、本発明は、基板と、上記基板の一方面又は両面上に積層される表層樹脂層と、上記表層樹脂層上に露出して配置されるセラミック粒子とからなる化粧板に、機能性を付与するために使用される機能性付与組成物に関する。本発明の機能性付与組成物は、無機ゾル、機能性物質および分散媒からなることを特徴とする。本発明の機能性付与組成物は、さらに分散剤を含んでもよい。
このような機能性付与組成物を、機能が低下した機能性化粧板に塗布することで、簡便かつ迅速な機能回復を実現できる。
【発明の効果】
【0026】
本発明の機能性化粧板では、セラミック粒子が表層樹脂層上に露出して配置され、機能性物質はセラミック粒子の露出面上に担持されているため、機能性物質は表層樹脂層に直接接触しない。このため、機能性物質による表層樹脂層の劣化を防ぐことができ、表層樹脂層の変色や表層樹脂層の劣化等に起因する機能性物質の脱落を防止することができる。また、無機ゾルの乾燥体(無機バインダ)を介して機能性物質がセラミック粒子の露出面上に担持されているため、セラミック粒子と機能性物質との密着性を向上させることができる。さらに、機能性物質の表層樹脂層中への埋没がなく、機能性物質が化粧板表面上に露出されているので、抗菌性、抗ウィルス性等、機能性物質としての本来の機能を発揮することができ、その効果を長期間維持することができる。
また、本発明の機能性付与組成物を、機能性が低下した機能性化粧板に塗布することで、簡便かつ迅速な機能回復を実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
図1図1は、本発明の一実施形態に係る機能性化粧板を模式的に示す概略断面図である。
図2図2は、本発明の機能性化粧板を構成するセラミック粒子の露出部の面積率の算定の基礎となる面積部を示す説明図である。
図3図3(a)は、本発明の一の実施形態に係る機能性化粧板を模式的に示す概略断面図であり、図3(b)は、本発明の他の実施形態に係る機能性化粧板を模式的に示す概略断面図である。
図4図4は、従来の機能性化粧板を模式的に示す概略断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、本発明の機能性化粧板について詳細に説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係る機能性化粧板を模式的に示す概略断面図である。
【0029】
本発明の機能性化粧板1は、基板(図示せず)と基板の表面上に積層されるメラミン樹脂等からなる表層樹脂層12とを有し、セラミック粒子13が表層樹脂層12上に露出して配置され、無機ゾルの乾燥体17を介して機能性物質14がセラミック粒子13の露出面上に担持された構造を有するものである。
【0030】
本発明の機能性化粧板に使用する基板は、特に限定されるものではなく、一般的に化粧板に使用されるコア紙やマグネシアセメント等の不燃基材等を使用することができる。コア紙は単独でもよく複数枚のコア紙を積層した積層体としてもよい。コア紙の枚数は特に限定されないが、1〜20枚とすることができる。コア紙としては、例えば、水酸化アルミニウム抄造紙を使用することができる。コア紙には、フェノール樹脂を含浸させることができる。また、コア紙とマグネシアセメント不燃基材を積層させて基板とすることもできる。
【0031】
マグネシアセメント不燃基材は、単独で使用することにより、又は、コア紙の中心部に積層して配置させることにより基板を構成することができる。マグネシアセメント不燃板は、酸化マグネシウム(MgO)と塩化マグネシウム(MgCl)を混合し、さらに骨材と水を加えて混練し、板状に成形することにより製造されるものである。骨材としては、ロックウール、グラスウール等の無機質繊維、ウッドチップ、パルプ等の有機質繊維を用いることができる。また、マグネシアセメント不燃板の強度を高めるため、中間層として網目状等に形成されたガラス繊維層を設けることができる。
【0032】
複数又は単数のコア紙及び/又はマグネシアセメント不燃基材からなる基板表面上に表層樹脂層を形成する方法は、特に限定されるものではなく、一般的な方法で行うことができる。例えば、基板の片面又は両面にメラミン樹脂含浸紙を積層し、熱圧成形する方法を用いることができる。上記方法を用いると、メラミン樹脂含浸紙のメラミン樹脂がコア紙に浸透し、そこで硬化反応が進行して、コア紙に対するメラミン樹脂含浸紙の接着力が発現する。
また、本発明の機能性化粧板を構成する表層樹脂層に用いることができる樹脂としては、メラミン樹脂、ジアリルフタレート(DAP)樹脂、ポリエステル樹脂、オレフィン樹脂、塩化ビニル樹脂、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂、フェノール樹脂、シリコーン樹脂、グアナミン樹脂などが挙げられる。これらの中では、メラミン樹脂を用いることが望ましい。
【0033】
メラミン樹脂は、透光性などの光学的、視覚的特性を損なうことなく、寸法安定性や靭性を改善した樹脂である。メラミン樹脂としては、メラミン及びその誘導体をモノマーとする樹脂であれば公知のものを採用することができる。また、メラミン樹脂は、単一のモノマーからなる樹脂であってもよく、複数のモノマーからなる共重合体であってもよい。メラミンの誘導体としては、例えば、イミノ基やメチロール基、メトキシメチル基、ブトキシメチル基等のアルコキシメチル基などの官能基を有する誘導体が挙げられる。また、メチロール基を有するメラミン誘導体に低級アルコールを反応させて部分的あるいは完全にエーテル化した化合物をモノマーとして用いることができる。モノメチロールメラミン、ジメチロールメラミン、トリメチロールメラミン、テトラメチロールメラミン、ペンタメチロールメラミン、ヘキサメチロールメラミン等のメチロール基を有する誘導体(以下、「メチロール化メラミン」という。)を架橋剤としてメラミンと共重合させてなるメラミン樹脂を用いることができる。
【0034】
メラミン樹脂含浸紙は、パターン紙にメラミン樹脂を所定の含浸率で含浸させた後、加熱、乾燥させることにより作製される。メラミン樹脂をパターン紙に含浸させるには、溶媒として、例えば、ホルムアルデヒド水溶液を使用したメラミン樹脂含有溶液中にパターン紙を浸漬することにより行うことができる。また、メラミン樹脂含浸紙に曲げ加工性を付与するために、メラミン樹脂と共に可塑剤を含む溶液を含浸させることができる。可塑剤としては、例えば、ε−カプロラクタム、アセトグアナミン、パラトルエンスルフォン酸アミド、尿素等を使用することができる。パターン紙としては、例えばチタン紙が用いられる。パターン紙の坪量は、パターン紙の厚みや重さを考慮して80〜150g/mとすることができる。加熱、乾燥の温度は、パターン紙にメラミン樹脂を強固に固着させるために100〜150℃に設定することができる。
【0035】
本発明の機能性化粧板を構成するセラミック粒子としては、機能性物質の等電点より高い等電点を有し、機能性物質を担持することができる粒子であれば特に限定されないが、酸化アルミニウム含有粒子であることが望ましい。セラミック粒子としては、具体的には、アルミナ又はアルミン酸ストロンチウムのいずれかからなる粒子を用いることが望ましい。
【0036】
本発明の機能性化粧板において、セラミック粒子の平均粒子径は0.1〜55μmであることが望ましく、0.5〜5μmであることがより望ましい。セラミック粒子の平均粒子径が0.1μm未満であると、セラミック粒子が表層樹脂層に埋まり易くなり、機能性物質がセラミック粒子に担持されにくくなる傾向にあり、セラミック粒子の平均粒子径が55μmを超えると、セラミック粒子が脱落したり、表層樹脂層に凹凸が形成されたりするため、化粧板の外観及び意匠性に不具合が生じる傾向にある。セラミック粒子の平均粒子径が0.5〜5μmであると、機能性物質としての機能性が発揮されて、化粧板の外観及び意匠性においても問題とならない。
【0037】
本発明の機能性化粧板において、セラミック粒子は、表層樹脂層表面に対して5〜30%の面積率で露出して存在することが望ましい。
セラミック粒子が、表層樹脂層表面に対して5%以上の面積率で露出していると、光触媒などの機能性物質を充分に担持させることができるため、菌やウィルスを減少させる作用を充分に発揮させることができる。また、セラミック粒子が、表層樹脂層表面に対して30%以下の面積率で露出していると、機能性物質を担持するセラミック粒子が表面樹脂層に強固に接合され脱落しにくくなるため、菌やウィルスを減少させる作用を充分に持続させることができる。
図2は、本発明の機能性化粧板を構成するセラミック粒子の露出部の面積率の算定の基礎となる面積部を示す説明図である。
本発明の機能性化粧板おける面積率とは、図2における表層樹脂層全体の表面積Aに対する、その上にセラミック粒子13が露出して存在する表層樹脂層の合計の表面積Bの割合を意味する。セラミック粒子が、上記表層樹脂層表面に対して面積率で5%未満しか露出しないと、機能性物質の機能性が十分に発揮できない傾向にある。
【0038】
本発明の機能性化粧板において、機能性物質は、抗菌性、抗ウィルス性、抗アレルゲン性、消臭性等の機能を有する機能材であることが望ましい。例えば、抗菌性、抗ウィルス性の機能性物質としては、可視光応答型光触媒が挙げられる。この可視光応答型光触媒の具体例としては、例えば、酸化チタンに白金、パラジウム、ロジウム、ルテニウムなどの白金族、鉄、銅などを担持させたものなどが挙げられる。
本発明の機能性化粧板において、可視光応答型光触媒は、白金担持チタニア触媒、銅担持チタニア触媒、鉄担持チタニア触媒、窒素ドープチタニア触媒、硫黄ドープチタニア触媒、炭素ドープチタニア触媒、又は、酸化タングステンであることが望ましく、銅担持チタニア触媒であることがより望ましい。銅担持チタニア触媒としては、例えば、特開2006−232729号公報に記載されたCuO/TiO(重量%比)=1.0〜3.5の範囲で銅を含有するアナターゼ型酸化チタン、特開2012−210557号公報に記載された亜酸化銅(酸化銅(I):CuO)と酸化チタンとが複合化した光触媒組成物、特開2013−166705号公報に記載された一価銅化合物及び二価銅化合物を含む混合物を表面に担持した酸化チタン、並びに、国際公開第2013/094573号に記載された結晶性ルチル型酸化チタンを含む酸化チタンと2価銅化合物とを含有する銅及びチタン含有組成物などが挙げられる。
【0039】
本発明の機能性化粧板においては、無機ゾルの乾燥体を介して機能性物質がセラミック粒子上に担持されている。無機ゾルの乾燥体(無機バインダ)を介して機能性物質を固定化することにより、機能性物質をより強固に固定化することができる。無機ゾルとしては、シリカゾル、アルミナゾル、シリカ−アルミナゾル、チタニアゾル等を用いることができ、中でもシリカゾルを用いることが望ましい。シリカゾルを用いることにより、機能性物質とセラミック粒子との密着性を向上させることができ、機能性物質の脱落が抑制され、機能性が維持される。
【0040】
本発明の機能性化粧板において、機能性物質と無機ゾルとの重量比は、機能性物質:無機ゾル=3:7〜7:3であることが望ましく、4:6〜6:4であることがより望ましく、5:5であることが特に望ましい。機能性物質及び無機ゾルの合計重量に対する機能性物質の重量の割合が30%未満であると、無機ゾルの量が多いため、機能性物質の機能性が充分発現できない傾向にあり、機能性物質及び無機ゾルの合計重量に対する機能性物質の重量の割合が70%を超えると、無機ゾルの量が少ないため、セラミック粒子と機能性物質との密着性を充分向上させることができない傾向にある。
【0041】
本発明の機能性化粧板において、表層樹脂層は、シリコーン樹脂及び/又はシランカップリング剤を含有していてもよい。シリコーン樹脂としては、例えば、シリコーンレジン、変性シリコーンオイル等を用いることができる。変性シリコーンオイルとしては、分子内に1個以上の官能基を有するシリコーンオイルを用いることができる。官能基を導入する位置は特に限定されず、ポリシロキサン主鎖の片末端、両末端あるいは側鎖のいずれの位置に導入してもよい。また、官能基としては、例えば、水酸基、アミノ基、メトキシ基、ヒドラジノ基、エポキシ基、メタクリル基、カルボキシル基、カルビノール基等を導入することができる。
【0042】
シランカップリング剤としては、例えば、ビニル基、プロペニル基、ブタジエニル基、スチリル基、アクリロイル基、メタクリロキシ基、アミノ基、メルカプト基、イソシアネート基といった官能基を持ったものが望ましい。シランカップリング剤としては、例えば、ビニルトリクロルシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリイソプロポキシシラン、アリルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、p−スチリルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−トリエトキシシリル−N−(1,3−ジメチル−ブチリデン)プロピルアミン、ジアリルジメチルシラン、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3−イソシアネ−トプロピルトリエトキシシラン等が挙げられる。
【0043】
次に、本発明の機能性化粧板の製造方法について説明する。
最初に、複数又は単数のコア紙及び/又はマグネシアセメント不燃基材等からなる基板表面上に表層樹脂層を形成する。上記基板やその製造方法、上記表層樹脂層については、本発明の機能性化粧板の説明において説明したので、ここでは省略する。
【0044】
本発明の機能性化粧板においても説明したが、基板表面上に表層樹脂層を形成する方法は、特に限定されるものではなく、一般的な方法で行うことができる。具体的な表層樹脂層の形成方法としては、例えば、コア紙の積層体からなる基板の片面又は両面にメラミン樹脂等の樹脂含浸紙を積層する積層工程と、メラミン樹脂等の樹脂含浸紙が積層された基板を熱圧成形する熱圧成形工程を含む方法が挙げられる。上記方法を用いると、メラミン樹脂含浸紙のメラミン樹脂がコア紙に浸透し、そこで硬化反応が進行して、コア紙に対するメラミン樹脂含浸紙の接着力が発現する。
【0045】
熱圧成形する際の加熱条件としては、化粧板の温度を125〜150℃とすることができ、加圧条件としては、1.96〜9.80MPa(20〜100kg/cm)とすることができる。温度が125℃未満の場合又は圧力が1.96MPa未満の場合には、基板に対する樹脂含浸紙の密着性が不足し、剥離が発生しやすくなる。一方、温度が150℃を超える場合又は圧力が9.80MPaを超える場合には、亀裂が発生するおそれがある。
【0046】
基板上に表層樹脂層を有する表層樹脂層表面に、セラミック粒子を固定する方法としては、例えば、セラミック粒子を含むスプレー液を表層樹脂層表面に吹き付け、乾燥後、熱圧着する方法をとることができる。上記方法により、樹脂表面上にセラミック粒子を露出して固定させることができる。
【0047】
上記工程の後、セラミック粒子が配置された基板を、機能性物質及び無機ゾルを含む溶液中に浸漬し、乾燥することにより、無機ゾルの乾燥体を介して機能性物質をセラミック粒子の露出面上に担持させることができる。また、機能性物質及び無機ゾルを含む溶液を、セラミック粒子が配置された基板上に塗布し、乾燥することにより、無機ゾルの乾燥体を介して機能性物質をセラミック粒子の露出面上に担持させてもよい。
【0048】
本発明の機能性化粧板の製造方法においては、無機ゾルの乾燥体(無機バインダ)を介して機能性物質をセラミック粒子上に担持することにより、機能性物質の固定化を補強することができる。無機ゾルとしてはシリカゾル、アルミナゾル、シリカ−アルミナゾル、チタニアゾル等を用いることができ、シリカゾルを用いることが望ましい。
【0049】
本発明の機能性化粧板の製造方法において、機能性物質と無機ゾルとの重量比は、機能性物質:無機ゾル=3:7〜7:3であることが望ましく、4:6〜6:4であることがより望ましく、5:5であることが特に望ましい。
【0050】
本発明の機能性化粧板の製造方法においては、セラミック粒子を表層樹脂層表面に熱圧着する際、セラミック粒子吹き付け面と熱圧着プレス面との間にポリエチレンテレフタレート(PET)からなる離形クッション材を介在させて行うことができる。これによって、セラミック粒子が表層樹脂層内に埋没するのを防止することができ、表層樹脂層の表面上に露出して固定することができる。
【0051】
本発明の機能性化粧板の他の製造方法としては、転写フィルムにセラミック粒子を含むスプレー液を吹き付け、次いで、表層樹脂層を有する基板の樹脂表面に、転写フィルムのセラミック粒子付着面を対向させて、セラミック粒子を熱転写する方法が挙げられる。
【0052】
表層樹脂層にシリコーン樹脂及び/又はシランカップリング剤を含有させる際には、メラミン樹脂溶液中に、シリコーン樹脂及び/又はシランカップリング剤を含ませることによって、表層樹脂層にシリコーン樹脂及び/又はシランカップリング剤を含浸する方法を用いることができる。
【0053】
図3(a)は、本発明の一の実施形態に係る機能性化粧板を模式的に示す概略断面図であり、図3(b)は、本発明の他の実施形態に係る機能性化粧板を模式的に示す概略断面図である。
表層樹脂層がシリコーン樹脂及び/又はシランカップリング剤を含有すると、メラミン樹脂等の表面に撥水性を付与することができる。機能性物質をセラミック粒子の露出面上に担持させる際に、図3(a)に模式的に示されるように、表層樹脂層12がシリコーン樹脂及びシランカップリング剤を含有しない場合には、セラミック粒子13表面だけでなく、表層樹脂層表面15に機能性物質14が付着することがある。一方、図3(b)に模式的に示されるように、表層樹脂層12がシリコーン樹脂及び/又はシランカップリング剤を含有する場合には、シリコーン樹脂及び/又はシランカップリング剤を含有する表層樹脂層表面16の撥水性によって、機能性物質14は、表層樹脂層12の表面を避け、極力、セラミック粒子13の露出面上に付着するようになり、表層樹脂層12の表面に直接接触する機能性物質14の量をさらに低減することができる。また、表層樹脂層がシランカップリング剤を含有すると、メラミン樹脂等に硬化性を付与することができ、セラミック粒子を熱圧着する際に、表層樹脂層中に埋没することを防ぐことができる。
【0054】
表層樹脂層にシリコーン樹脂及び/又はシランカップリング剤を含有させることで、セラミック粒子を埋没させずに固定化させることができ、表層樹脂層に機能性物質が付着しにくくする効果がある。具体的には、工程中に過剰となった機能性物質が表層樹脂層に付着しても、洗浄工程後に除去しやすいということである。さらに、菌やウィルスなどを含む汚染水が親水性のセラミック粒子や機能性物質に引き寄せられやすくなり、機能性が発現しやすくなる。特に、表層樹脂層にメラミン樹脂を用いた場合には、上記の作用、効果を得やすい。
【0055】
以下、本発明の機能性付与組成物について説明する。
本発明の機能性付与組成物は、基板と、上記基板の一方面又は両面上に積層される表層樹脂層と、上記表層樹脂層上に露出して配置されるセラミック粒子とからなる化粧板に、機能性を付与するために使用される機能性付与組成物であって、無機ゾル、機能性物質および分散媒からなることを特徴とする。
【0056】
無機ゾル、機能性物質および分散媒からなる当該組成物を化粧板の表層樹脂層に塗布し、これを乾燥させることで、表層樹脂層から露出しているセラミック粒子に機能性物質が無機ゾルの乾燥体を介して付着するため、機能性物質を確実にセラミック粒子に付着せしめることができ、その結果、機能性物質が脱落もしくは失活することにより低下した機能性化粧板の機能を回復せしめることができる。
特に、セラミック粒子がアルミナ粒子等の酸化アルミニウム含有粒子である場合には、無機ゾルと酸化アルミニウム含有粒子との密着性に優れるため、機能性物質を確実に担持することができる。
【0057】
本発明の機能性付与組成物において使用される無機ゾル及び機能性物質は、先に説明したものと同様のものを使用できる。無機ゾルとしては、シリカゾル、ペルオキシチタネートゾルもしくはこれらの混合物が最適である。分散媒は、水、エタノール、メタノール、イソプロピルアルコール、キシレンなどを使用できる。
【0058】
本発明の機能性付与組成物において、機能性物質の含有量は、機能性付与組成物の固形分中、1〜10重量%が望ましく、1〜5重量%がより望ましい。また、無機ゾルの含有量は、機能性付与組成物の固形分中、90〜99重量%が望ましい。
【0059】
本発明の機能性付与組成物は、さらに分散剤を含んでもよい。
分散剤としては、ナフタレンスルホン酸ホルマリン、ポリエチレングリコール、ポリエーテル、アルキルスルホン酸塩など各種の分散剤を使用することができる。分散剤は、機能性付与組成物の固形分に対して0.1重量%程度添加することが望ましい。
【実施例】
【0060】
(実施例1)
(一次メラミン含浸工程)
厚さ0.2〜0.3mmの紙ロールを、メラミン樹脂を含む溶液中に浸漬する。溶液の温度20℃、浸漬時間2分となるように、ロール紙を溶液中に浸漬しながら通過させることにより、ロール紙にメラミン樹脂を含浸させた。なお、ロール紙の移動速度は、10〜20cm/秒であった。
(乾燥工程)
メラミン溶液中を通過したロール紙は、乾燥機(ESPEC社製、OVEN PH−201)により、温度100℃、乾燥時間30秒となるように乾燥させた。
【0061】
(二次メラミン含浸工程)
乾燥工程を経た紙ロールを、メラミン樹脂からなる溶液中に浸漬させた。溶液の温度20℃、浸漬時間30分となるように、ロール紙を溶液中に浸漬しながら通過させることにより、メラミン樹脂を紙ロールに含浸させた。なお、ロール紙の移動速度は、10〜20cm/秒であった。
(乾燥・切断工程)
メラミン溶液中を通過したロール紙は、乾燥機(ESPEC社製、OVEN PH−201)により、温度100℃、乾燥時間2時間となるように乾燥させた。乾燥後、910mm×1820mmに切断した。
【0062】
(アルミナ粒子スプレー工程)
平均粒子径0.5μmのγアルミナ粒子とエタノールからなるスプレー液を調製した。スプレー液を常温でスプレーに充填させて、切断したメラミン樹脂含浸紙に吹き付けた。
(乾燥工程)
アルミナ粒子を吹き付けたメラミン樹脂含浸紙を乾燥機(ESPEC社製、OVEN PH−201)により、温度110℃、乾燥時間2分となるように乾燥させた。
【0063】
(組合せ工程)
厚み0.3〜0.4mmのフェノール樹脂含浸コア紙を4枚積層し、その上に、上記工程により得られたアルミナ粒子を吹き付けたメラミン樹脂含浸紙をアルミナ粒子吹き付け面が外面となるように積層し、プレス機のプレス面とメラミン樹脂含浸紙のアルミナ粒子吹き付け面との間にPETからなる離形クッション材を介在させて、温度143℃、プレス圧80kg/cm、プレス時間(昇温時間を含む)50分で熱圧着した。これにより、メラミン樹脂含浸層上にアルミナ粒子が露出して固定された。
【0064】
(光触媒担持工程)
平均粒子径100nmのCuO−TiOの光触媒を水に分散したスラリー(固形分濃度25重量%)と、シリカゾル(SiO濃度:3重量%)とを、4.5:5.5の重量割合(固形分重量)で含むメタノール混合溶液(光触媒濃度0.05重量%)を調製した。上記工程で得られたアルミナ粒子が表面に露出して配置されたメラミン樹脂含浸層を表面に有する基板に、スプレーを用いて上記メタノール混合溶液を塗布し、25℃で12時間乾燥させることにより、シリカゾルの乾燥体を介してアルミナ粒子上に上記光触媒が担持された機能性化粧板の製造を完了した。
【0065】
(比較例1)
上記実施例1における(一次メラミン含浸工程)〜(乾燥・切断工程)と同様にして、メラミン樹脂含浸紙を得た。次いで、厚み0.3〜0.4mmのフェノール樹脂含浸コア紙を4枚積層し、その上に、上記工程により得られたメラミン樹脂含浸紙を載せ、プレス機により、温度143℃、プレス圧80kg/cm、プレス時間(昇温時間を含む)50分で熱圧着した。これにより、表面にメラミン樹脂含浸層を有する基板が得られた。
次に、平均粒子径100nmのCuO−TiOの光触媒を水に分散したスラリー(固形分濃度25重量%)と、シリカゾル(SiO濃度:3重量%)とを、4.5:5.5の重量割合(固形分重量)で含むメタノール混合溶液(光触媒濃度0.05重量%)を調製した。上記工程で得られたメラミン樹脂含浸層を表面に有する基板に、スプレーを用いて上記メタノール混合溶液を塗布し、25℃で12時間乾燥させることにより、シリカゾルの乾燥体を介してメラミン樹脂含浸層上に上記光触媒が担持された機能性化粧板の製造を完了した。
【0066】
(抗ウィルス性評価)
実施例1及び比較例1で得られた光触媒が担持された機能性化粧板の抗ウィルス性を評価するために、JIS R1756 可視光応答形光触媒材料の抗ウィルス性試験方法に準じて抗ウィルス性に関する測定を行った。測定結果は、大腸菌に対して不活化されたウィルス濃度で表すこととした。
ここで、ウィルス濃度の指標として、大腸菌に対して不活化されたウィルスの濃度(ウィルス不活度)を使用した。ウィルス不活度とは、バクテリオファージを用いた抗ウィルス性試験で、ファージウィルスQβ濃度:830万個/ミリリットルを用いて、大腸菌に感染することができるウィルスの濃度を測定することにより、大腸菌に対して不活化されたウィルスの濃度を算出した結果である。すなわち、ウィルス不活度は、ファージウィルスQβ濃度に対して、大腸菌に感染することができない濃度の度合いであり、(ファージウィルスQβ濃度−大腸菌に感染することができるウィルスの濃度)/(ファージウィルスQβ濃度)×100で算出することができる。ウィルス不活度の値が高いほど、抗ウィルス性に優れるといえる。
【0067】
実施例1の機能性化粧板では、大腸菌に感染することができるウィルスの濃度が830個/ミリリットル以下という結果であり、ウィルス不活度に換算すると99.99%以上相当になり、高い抗ウィルス性を有することが確認された。これに対して、比較例1の機能性化粧板では、大腸菌に感染することができるウィルスの濃度が約8300個/ミリリットルという結果であり、ウィルス不活度に換算すると約99.9%であり、ウィルスの残留している度合いが実施例1に比べて高く、抗ウィルス性が実施例1に比べて劣ることが確認された。
【0068】
(清掃後の抗ウィルス性)
水を含む布巾を用い、実施例1及び比較例1に係る機能性化粧板の表面を拭いた後、上記した方法と同様の方法で抗ウィルス性を測定した。
その結果、実施例1の機能性化粧板では、高い抗ウィルス性を維持しているのに対し、比較例1の機能性化粧板では、布巾を用いて化粧板の表面を拭く前と比べて、さらに抗ウィルス性が劣化していることが確認された。
【0069】
(実施例2)
(1)シリカゾル0.11g(固形分)、ペルオキシチタネート0.03g(固形分)、平均粒子径100nmのCuO−TiOの光触媒0.01g(固形分)およびメタノール14.6gを混合し、この混合液中の固形分に対して0.1%の分散剤(アルキルスルホン酸ナトリウム)を添加して混合することにより、機能性付与組成物を調製する。
(2)実施例1の機能性化粧板に、次亜塩素酸ナトリウム水溶液からなる洗浄剤を化粧板に吹き付けて洗浄し、これを水洗して60℃の熱風で乾燥させる。CuO−TiO光触媒は、次亜塩素酸ナトリウムにより失活する。
(3)上記(2)の機能性化粧板に上記(1)の機能性付与組成物をスプレーで吹き付けて塗布し、25℃で12時間乾燥させることにより、シリカゾルの乾燥体を介してアルミナ粒子上に上記光触媒を追加担持させた機能性化粧板を製造する。
【0070】
実施例1と同様に抗ウィルス性を測定すると、ウィルス不活度に換算して約99.99%相当になり、高い抗ウィルス性を有する化粧板とすることができる。
【符号の説明】
【0071】
1,3 機能性化粧板
12 表層樹脂層
13 セラミック粒子
14 機能性物質
15 表層樹脂層表面
16 シリコーン樹脂及び/又はシランカップリング剤を含有する表層樹脂層表面
17 無機ゾルの乾燥体(無機バインダ)
A 表層樹脂層全体の表面積
B セラミック粒子が露出して存在する表層樹脂層の合計の表面積
図1
図2
図3
図4