特開2017-214557(P2017-214557A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特開2017-214557ポリアリレート樹脂およびそれからなるフィルム、積層体
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2017-214557(P2017-214557A)
(43)【公開日】2017年12月7日
(54)【発明の名称】ポリアリレート樹脂およびそれからなるフィルム、積層体
(51)【国際特許分類】
   C08G 63/19 20060101AFI20171110BHJP
   B32B 27/36 20060101ALI20171110BHJP
【FI】
   C08G63/19
   B32B27/36
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2017-101900(P2017-101900)
(22)【出願日】2017年5月23日
(31)【優先権主張番号】特願2016-105782(P2016-105782)
(32)【優先日】2016年5月27日
(33)【優先権主張国】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000004503
【氏名又は名称】ユニチカ株式会社
(72)【発明者】
【氏名】村田 成
(72)【発明者】
【氏名】秋月 隆昌
(72)【発明者】
【氏名】松本 千穂
(72)【発明者】
【氏名】萩原 啓太
【テーマコード(参考)】
4F100
4J029
【Fターム(参考)】
4F100AK43A
4F100AT00B
4F100BA02
4F100GB41
4J029AA06
4J029AB01
4J029AD01
4J029AD07
4J029AE01
4J029BB09B
4J029BB12
4J029CB05
4J029CB06
4J029FA07
4J029JA091
4J029JC091
4J029JF031
4J029KE11
(57)【要約】      (修正有)
【課題】耐熱性、非ハロゲン系有機溶媒への溶解性、水蒸気遮断性、機械強度、耐液垂れ性、および耐変形性に優れたポリアリレート樹脂の提供。
【解決手段】式(1)及び式(2)で示される二価フェノール残基と、芳香族二価カルボン酸残基とからなるポリアリレート樹脂及び前記ポリアリレート樹脂からなるフィルム及び前記ポリアリレート樹脂の層を基材上に設けた積層体。芳香族二価カルボン酸残基がテレフタル酸残基及びイソフタル酸残基であるポリアリレート樹脂。


(R及びRは各々独立に、C1〜6の炭化水素、ハロゲン化アルキル又はハロゲン;p及びqは各々独立にC0〜4の整数;Xは直鎖/分岐状のアルキル)
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
一般式(1)および一般式(2)で示される二価フェノール残基と、芳香族二価カルボン酸残基からなるポリアリレート樹脂。
【化1】
(式(1)中、RおよびRは、独立して、炭素数が1〜6の炭化水素基、ハロゲン化アルキル基またはハロゲン原子を表し、pおよびqは、独立して、0〜4の整数を表す。)
【化2】
(式(2)中、Xは炭素数が4〜6の直鎖状または分岐状のアルキル基を表す。)
【請求項2】
芳香族二価カルボン酸残基が、テレフタル酸残基およびイソフタル酸残基である請求項1に記載のポリアリレート樹脂。
【請求項3】
一般式(1)で示される二価フェノール残基が、3,3’,5,5’−テトラメチル−4,4’−ビフェノール残基である請求項1または2に記載のポリアリレート樹脂。
【請求項4】
一般式(2)で示される二価フェノール残基が、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−4−メチルペンタン残基である請求項1〜3いずれかに記載のポリアリレート樹脂。
【請求項5】
請求項1〜4いずれかに記載のポリアリレート樹脂からなるフィルム。
【請求項6】
請求項1〜4いずれかに記載のポリアリレート樹脂の層を基材上に設けた積層体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、耐熱性、非ハロゲン系有機溶媒への溶解性、水蒸気遮断性、機械特性、 耐液垂れ性および耐変形性に優れたポリアリレート樹脂に関するものである。
【背景技術】
【0002】
ポリアリレート樹脂は、耐熱性や透明性に優れていることから、電気電子用途、自動車用途、機械用途等、幅広い分野の応用が期待されている。近年、ポリアリレート樹脂は、その特性を活かして、液晶ディスプレイ等に応用することが検討されている。
【0003】
ポリアリレート樹脂を液晶ディスプレイに用いる場合、ポリアリレート樹脂は、常温で有機溶媒に溶解させ、樹脂溶液とし、ディスプレイにコーティングするため、有機溶媒への求められており、近年は、環境への影響および作業者の安全性の観点から、非ハロゲン系有機溶媒への溶解性が求められている。
【0004】
また近年では、液晶ディスプレイ等における光学フィルム用に使用される樹脂の使用条件が厳しくなってきていることから、一般的なフタル酸系ポリアリレートよりも高性能な樹脂が求められていた。
【0005】
上記のような課題を解決するために、特許文献1には3,3’,5,5’−テトラメチル−4,4’−ビフェノールの残基とテレフタル酸およびイソフタル酸の残基とからなるポリアリレート樹脂を液晶ディスプレイに用いることが開示されている。
【0006】
一方、特許文献2,3には2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−4−メチルペンタンを含むポリアリレート樹脂が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2002−293944号公報
【特許文献2】特開2013−7806号公報
【特許文献3】特開2013−10813号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
さらに近年では、電気電子部品および液晶ディスプレイを長時間使用すると、空気中の水分によりディスプレイ内部の電子部品が劣化し、電気信号の伝搬遅延および/または伝送損失が大きくなる問題が、より厳しくなっている。そのため、水蒸気透過度が小さく、水蒸気遮断性の高い材料が求められていた。
【0009】
また、ポリアリレートに対して、外部応力および/または内部応力等の負荷が継続的にかけられた場合、ポリアリレートがもつ粘性挙動に起因して、ポリアリレート自体が変形してしまったり、被膜または積層体として用いられているときは、剥離が発生してしまったりする課題があった。そのため、これらの変形および剥離が発生しないように、耐変形性に優れたポリアリレートが求められていた。詳しくは、粘性挙動の小さいポリアリレート、すなわち動的粘弾性測定における粘性挙動の指標となる損失弾性率(E'')が低い値を示すポリアリレートが求められていた。
【0010】
特許文献1のポリアリレート樹脂は、近年要求が高まっている非ハロゲン系有機溶媒への溶解性に限界があり、前記溶解性のさらなる向上が求められていた。また特許文献1のポリアリレート樹脂には、水蒸気遮断性および耐変形性(例えば密着性)に問題があった。
【0011】
特許文献2,3のポリアリレート樹脂には、耐熱性、機械強度および耐液垂れ性に問題があった。例えば、耐液垂れ性に劣ったポリアリレート樹脂から得られた樹脂溶液を塗付すると、液垂れが発生する場合があった。液垂れとは、基板上に塗付された直後に溶液状態となっている塗付膜が形状保持できずに変形してしまう現象である。液垂れが発生すると、塗付膜の形状および厚みが制御できなくなり、生産上の問題となった。液垂れの問題は、基板の塗布面が水平面に対して垂直にまたは傾斜して配置されている場合だけでなく、水平面に平行に配置されている場合においても生じた。特に、液垂れの問題が水平面に平行な塗布面において生じた場合、塗付された直後に溶液状態となっている塗付膜がその端部(エッジ部)でやはり形状保持できず、塗付膜の形状および厚みを制御することが困難であった。
【0012】
本発明は、上記課題を解決するものであって、耐熱性、非ハロゲン系有機溶媒への溶解性、水蒸気遮断性、機械強度、耐液垂れ性、および耐変形性(例えば密着性)に優れたポリアリレート樹脂を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明者らは、このような課題を解決するために鋭意検討の結果、一般式(1)と一般式(2)に示される二価フェノール残基とを併用することにより、上記目的が達成されることを見出し、本発明に到達した。
【0014】
すなわち、本発明の要旨は以下の通りである。
(1)一般式(1)および一般式(2)で示される二価フェノール残基と、芳香族二価カルボン酸残基からなるポリアリレート樹脂。
【化1】
(式(1)中、RおよびRは、独立して、炭素数が1〜6の炭化水素基、ハロゲン化アルキル基またはハロゲン原子を表し、pおよびqは、独立して、0〜4の整数を表す。)
【化2】
(式(2)中、Xは炭素数が4〜6の直鎖状または分岐状のアルキル基を表す。)
(2)芳香族二価カルボン酸残基が、テレフタル酸残基およびイソフタル酸残基である(1)に記載のポリアリレート樹脂。
(3)一般式(1)で示される二価フェノール残基が、3,3’,5,5’−テトラメチル−4,4’−ビフェノール残基である(1)または(2)に記載のポリアリレート樹脂。
(4)一般式(2)で示される二価フェノール残基が、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−4−メチルペンタン残基である(1)〜(3)いずれかに記載のポリアリレート樹脂。
(5)(1)〜(4)いずれかに記載のポリアリレート樹脂からなるフィルム。
(6)(1)〜(4)いずれかに記載のポリアリレート樹脂の層を基材上に設けた積層体。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、耐熱性、非ハロゲン系有機溶媒への溶解性、水蒸気遮断性、機械強度、耐液垂れ性、および耐変形性(例えば密着性)に優れたポリアリレート樹脂を提供することができる。詳しくは、本発明のポリアリレート樹脂は、優れた耐熱性、非ハロゲン系有機溶媒への溶解性および機械強度を十分に維持しながらも、水蒸気遮断性、耐液垂れ性、および耐変形性(例えば密着性)に優れている。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明のポリアリレート樹脂は、二価フェノール残基と芳香族二価カルボン酸残基とから構成される。
【0017】
二価フェノール残基としては、一般式(1)と一般式(2)で示される残基を含有させることが必要である。一般式(1)で示される残基を含有させない場合、ガラス転移温度、機械強度、耐液垂れ性が低下するので好ましくなく、一般式(2)で示される残基を含有させない場合、非ハロゲン系有機溶媒への溶解性、水蒸気遮断性、耐変形性(例えば密着性)が低下するので好ましくない。
【0018】
【化3】
【0019】
【化4】
【0020】
一般式(1)において、RおよびRは、ベンゼン環に結合する置換基を表し、独立して、炭素数が1〜6の炭化水素基、ハロゲン化アルキル基またはハロゲン原子を表す。これらの中でも、工業的に入手し易いことや合成し易いことから、メチル基、エチル基、フェニル基、シクロヘキシル基が好ましく、メチル基がより好ましい。
【0021】
一般式(1)において、pおよびqは、ベンゼン環に結合する置換基の数を表し、独立して、0〜4の整数を表す。pおよびqが0の場合、ベンゼン環に結合するすべての水素原子がRおよびRに置換されていないことを表す。pが2〜4の場合、複数のRは、互いに同じ置換基でもよく、異なる置換基でもよい。qが2〜4の場合、複数のRは、互いに同じ置換基でもよく、異なる置換基でもよい。非ハロゲン系溶媒への溶解性に優れることから、pおよびqは1〜4であることが好ましい。
【0022】
全二価フェノール成分に対して、一般式(1)で示される残基を与える二価フェノールの含有量は、耐熱性の観点から、10モル%以上とすることが好ましく、30モル%以上とすることがより好ましく、耐液垂れ性の観点から、50モル%以上とすることがさらに好ましい。
【0023】
一般式(1)で示される残基を与える二価フェノールとしては、例えば、4,4’−ビフェノール、3,3’−ジメチル−4,4’−ビフェノール、3,3’,5,5’−テトラメチル−4,4’−ビフェノール、2,2’,3,3’,5,5’−ヘキサメチル−4,4’−ビフェノール、3,3’,5,5’−テトラ−tert−ブチル−2,2’−ビフェノールが挙げられる。中でも、非ハロゲン系有機溶媒への溶解性の観点から、3,3’,5,5’−テトラメチル−4,4’−ビフェノールが好ましい。
【0024】
一般式(2)において、Xは、炭素数が4〜8、好ましくは4〜7、より好ましくは5〜7または4〜6の直鎖状または分岐状の二価炭化水素基を示す。Xの炭素数が4より小さい場合、水蒸気遮断性および/またはハロゲン系有機溶媒への溶解性が低下する場合がある。Xの炭素数が8より大きい場合、高いガラス転移温度が低下する場合がある。直鎖状とは、二価炭化水素基の2つの結合手が水素原子と結合したものと仮定したとき、得られる炭化水素化合物の化学構造式において炭素鎖が直鎖状であるという意味である。分岐状とは、二価炭化水素基の2つの結合手が水素原子と結合したものと仮定したとき、得られる炭化水素化合物の化学構造式において炭素鎖が分岐状であるという意味である。二価炭化水素基として、飽和脂肪族炭化水素基および不飽和脂肪族炭化水素基等の脂肪族炭化水素基等が挙げられる。好ましいXは直鎖状または分岐状の二価脂飽和肪族炭化水素基であり、より好ましくは分岐状の二価飽和脂肪族炭化水素基である。直鎖状の二価飽和脂肪族炭化水素基の具体例として、例えば、テトラメチレン基、ペンタメチレン基、ヘキサメチレン基、へプタメチレン基、オクタメチレン基、2,2−ブチレン基、2,2−ペンチレン基、2,2−ヘキシレン基、2,2−ヘプチレン基、2,2−オクチレン基、3,3−ペンチレン基等の直鎖状アルキレン基が挙げられる。分岐状の二価飽和脂肪族炭化水素基の具体例として、例えば、3−メチル−2,2−ブチレン基、4−メチル−2,2−ペンチレン基、2−エチル−1,1−ヘキシレン基、2−メチル−1,1−プロピレン基、3−メチル−1,1−ブチレン基等の分岐状アルキレン基が挙げられる。
【0025】
一般式(2)で示される残基を与える二価フェノールとしては、例えば、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ブタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ペンタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ヘキサン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3−メチルブタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−4−メチルペンタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−2−エチルヘキサン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ブタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−2−メチルプロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)オクタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3−メチルブタン、3,3−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ペンタン)が挙げられる。これらの中でも、水蒸気遮断性の観点から、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−4−メチルペンタンが好ましい。
【0026】
全二価フェノール成分に対して、一般式(2)で示される残基を与える二価フェノールの含有量は、10モル%以上とすることが好ましく、30モル%以上とすることがより好ましく、耐変形性(例えば密着性)や水蒸気遮断性の観点から、50モル%以上とすることがさらに好ましい。
【0027】
全二価フェノール成分に対して、一般式(1)および一般式(2)で示される残基を与える二価フェノールの合計の含有量は、90モル%以上とすることが好ましく、95%以上とすることがより好ましい。
【0028】
二価フェノール残基としては、本発明の効果を損なわない範囲で、一般式(1)および(2)で示される残基以外の他の二価フェノール残基を含有させてもよい。他の二価フェノール残基を与える二価フェノールとしては、例えば、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)メタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、1,1−ビス(4−メチル−2−ヒドロキシフェニル)メタン、1,1−ビス(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)メタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1−フェニルエタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−2−エチルヘキサン、2,2−ビス(3−フェニル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、1,1−ビス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)メタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ブタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−2−メチルプロパン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1−フェニルメタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)オクタン、1,1−ビス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、2,2−ビス(3−アリル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(3−イソプロピル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(3−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(3−sec−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、ビスフェノールフルオレン、1,1−ビス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−tert−ブチルフェニル)−2−メチルプロパン、4,4’−[1,4−フェニレン−ビス(2−プロピリデン)−ビス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)]、1,1−ビス(3−フェニル−4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、4,4’−ジヒドロキシフェニルエーテル、ビス(2−ヒドロキシフェニル)メタン、2,4’−メチレンビスフェノール、ビス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)メタン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、1,1−ビス(2−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)エタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3−メチルブタン、ビス(2−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)メタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロペンタン、1,1−ビス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)シクロペンタン、3,3−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ペンタン、3,3−ビス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)ペンタン、3,3−ビス(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)ペンタン、2,2−ビス(2−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ノナン、1,1−ビス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)−1−フェニルエタン、1,1−ビス(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)デカン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)デカン、ビス(2−ヒドロキシ−3−tert−ブチル−5−メチルフェニル)メタン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)ジフェニルメタン、テルペンジフェノール、1,1−ビス(3−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、1,1−ビス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−tert−ブチルフェニル)−2−メチルプロパン、2,2−ビス(3−シクロヘキシル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、1,1−ビス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)メタン、1,1−ビス(3,5−ジ−sec−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)メタン、1,1−ビス(3−シクロヘキシル−4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、1,1−ビス(2−ヒドロキシ−3,5−ジ−tert−ブチルフェニル)エタン、ビス(3−ノニル−4−ヒドロキシフェニル)メタン、2,2−ビス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、ビス(2−ヒドロキシ−3,5−ジ−tert−ブチル−6−メチルフェニル)メタン、1,1−ビス(3−フェニル−4−ヒドロキシフェニル)−1−フェニルエタン、ビス(3−フルオロ−4−ヒドロキシフェニル)メタン、ビス(2−ヒドロキシ−5−フルオロフェニル)メタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス(3−フルオロ−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、ビス(3−フルオロ−4−ヒドロキシフェニル)−フェニルメタン、ビス(3−フルオロ−4−ヒドロキシフェニル)−(p−フルオロフェニル)メタン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)−(p−フルオロフェニル)メタン、2,2−ビス(3−クロロ−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロパン、2,2−ビス(3,5−ジクロロ−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(3−クロロ−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、1,1−ビス(3,5−ジブロモ−4−ヒドロキシフェニル)メタン、2,2−ビス(3,5−ジブロモ−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(3−ニトロ−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)ジメチルシラン、ビス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)エーテル、ビス(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)エーテル、ビス(2,3,5−トリメチル−4−ヒドロキシフェニル)−フェニルメタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ドデカン、2,2−ビス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)ドデカン、2,2−ビス(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)ドデカン、1,1−ビス(3−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)−1−フェニルエタン、1,1−ビス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)−1−フェニルエタン、1,1−ビス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−シクロヘキシルフェニル)−2−メチルプロパン、1,1−ビス(2−ヒドロキシ−3,5−ジ−tert−ブチルフェニル)エタン、イサチンビスフェノール、イサチンビスクレゾール、ビス(2ーヒドロキシフェニル)メタン、2,4’−メチレンビスフェノール、1,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、2−(4−ヒドロキシフェニル)−2−(2−ヒドロキシフェニル)プロパン、ビス(2−ヒドロキシ−3−アリルフェニル)メタン、1,1−ビス(2−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)−2−メチルプロパン、1,1−ビス(2ーヒドロキシ−5−tert−ブチルフェニル)エタン、ビス(2−ヒドロキシ−5−フェニルフェニル)メタン、1,1−ビス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−tert−ブチルフェニル)ブタン、ビス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−シクロヘキシルフェニル)メタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ペンタデカン、2,2−ビス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)ペンタデカン、2,2−ビス(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)ペンタデカン、1,2−ビス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)エタン、ビス(2−ヒドロキシ−3,5−ジ−tert−ブチルフェニル)メタン、2,2−ビス(3−スチリル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1−(p−ニトロフェニル)エタン、ビス(3,5−ジフルオロ−4−ヒドロキシフェニル)メタン、ビス(3,5−ジフルオロ−4−ヒドロキシフェニル)フェニルメタン、ビス(3,5−ジフルオロ−4−ヒドロキシフェニル)ジフェニルメタン、ビス(3−フルオロ−4−ヒドロキシフェニル)ジフェニルメタン、2,2−ビス(3−クロロ−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3,3,5−トリメチル−シクロヘキサン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3,3,5,5−テトラメチル−シクロヘキサン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3,3,4−トリメチル−シクロヘキサン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3,3−ジメチル−5−エチル−シクロヘキサン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3,3,5−トリメチル−シクロペンタン、1,1−ビス(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)−3,3,5−トリメチル−シクロヘキサン、1,1−ビス(3,5−ジフェニル−4−ヒドロキシフェニル)−3,3,5−トリメチル−シクロヘキサン、1,1−ビス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)−3,3,5−トリメチル−シクロヘキサン、1,1−ビス(3−フェニル−4−ヒドロキシフェニル)−3,3,5−トリメチル−シクロヘキサン、1,1−ビス(3,5−ジクロロ−4−ヒドロキシフェニル)−3,3,5−トリメチル−シクロヘキサン、9,9−ビス(4−ヒドロキシフェニル)フルオレン、9、9−ビス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)フルオレン、1,1−ビス(3,5−ジブロモ−4−ヒドロキシフェニル)−3,3,5−トリメチル−シクロヘキサン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルホン、ビス(2−ヒドロキシフェニル)スルホン、ビス(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)スルホン、ビス(3,5−ジエチル−4−ヒドロキシフェニル)スルホン、ビス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)スルホン、ビス(3−エチル−4−ヒドロキシフェニル)スルホン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルフィド、ビス(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)スルフィド、ビス(3,5−ジエチル−4−ヒドロキシフェニル)スルフィド、ビス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)スルフィド、ビス(3−エチル−4−ヒドロキシフェニル)スルフィド、2,4−ジヒドロキシジフェニルスルホン、1,4−ジヒドロキシベンゼン、1,3−ジヒドロキシベンゼン、1,2−ジヒドロキシベンゼンが挙げられる。他の二価フェノールを含有させる場合、その含有量は、耐熱性、非ハロゲン系有機溶媒への溶解性、水蒸気遮断性、耐変形性(例えば密着性)の観点から、全二価フェノール成分において、10モル%未満とすることが好ましく、5モル%以下とすることがより好ましく、実質的に含まないことがさらに好ましい。
【0029】
芳香族二価カルボン酸残基を与える芳香族二価カルボン酸としては、例えば、テレフタル酸、イソフタル酸、オルソフタル酸等のフタル酸類や、4,4’−ビフェニルジカルボン酸、2,2’−ビフェニルジカルボン酸等のビフェニルジカルボン酸類や、1,5−ナフタレンジカルボン酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸等のナフタレンジカルボン酸類や、ジフェニルエーテル−2,2’−ジカルボン酸、ジフェニルエーテル−2,3’−ジカルボン酸、ジフェニルエーテル−2,4’−ジカルボン酸、ジフェニルエーテル−3,3’−ジカルボン酸、ジフェニルエーテル−3,4’−ジカルボン酸、ジフェニルエーテル−4,4’−ジカルボン酸等のジフェニルエーテルジカルボン酸類が挙げられる。前記芳香族二価カルボン酸は、芳香環に結合する水素原子が、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基およびtert−ブチル基等のアルキル基により置換されていてもよい。前記芳香族二価カルボン酸の中でも、機械強度の点から、フタル酸類が好ましく、テレフタル酸およびイソフタル酸を併用することがより好ましい。芳香族二価カルボン酸成分においてテレフタル酸とイソフタル酸を併用する場合、テレフタル酸とイソフタル酸のモル比率は、ハロゲン系有機溶媒への溶解性の観点から、テレフタル酸/イソフタル酸=7/3〜3/7(モル比)とすることが好ましく、6/4〜4/6(モル比)とすることがより好ましい。また、テレフタル酸とイソフタル酸の合計量は、全芳香族二価カルボン酸成分に対して、90モル%以上とすることが好ましく、95モル%以上とすることがより好ましい。
【0030】
本発明のポリアリレート樹脂には、本発明の効果を損なわない範囲で、二価フェノール残基や芳香族二価カルボン酸残基以外に、脂肪族ジオール、脂環族ジオール、脂肪族ジカルボン酸、脂環族ジカルボン酸等の他の成分の残基を含有させてもよい。脂肪族ジオールとしては、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコールが挙げられる。脂環族ジオールとしては、例えば、1,4−シクロヘキサンジオール、1,3−シクロヘキサンジオール、1,2−シクロヘキサンジオールが挙げられる。脂肪族ジカルボン酸としては、例えば、アジピン酸、セバシン酸が挙げられる。脂環族ジカルボン酸としては、例えば、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、1,3−シクロヘキサンジカルボン酸、1,2−シクロヘキサンジカルボン酸が挙げられる。他の成分の残基の含有量は、原料モノマーの総モル数に対して、10モル%未満とすることが好ましく、実質的に含まないことがより好ましい。
【0031】
本発明のポリアリレート樹脂の重量平均分子量は、耐熱性、機械強度、加工性の観点から、重量平均分子量が60000〜150000であることが好ましい。重量平均分子量が60000未満の場合、ガラス転移温度および/または機械強度が低下する場合がある。一方、重量平均分子量が150000を超えた場合、非ハロゲン系有機溶媒に溶解させた時の溶液粘度および/または溶融粘度が高すぎて、加工性が低下する場合がある。
【0032】
本発明のポリアリレート樹脂のガラス転移温度は、200℃以上であることが好ましく、215℃以上であることがより好ましく、230℃以上であることが最も好ましい。ポリアリレート樹脂を液晶ディスプレイ等に用いる場合、液晶ディスプレイにコートし、その上に、ITO(インジウム−錫酸化物)溶液を塗布し、その後、200℃以上の温度で結晶化させることが通常である。ポリアリレート樹脂のガラス転移温度を200℃以上とすることにより、ITOを容易に結晶化させることができる。
【0033】
本発明のポリアリレート樹脂の熱分解温度は、加工時の熱安定性の観点から、10%質量減少温度が370℃以上であることが好ましく、380℃以上であることがより好ましく、390℃以上であることが最も好ましい。
【0034】
本発明のポリアリレート樹脂は、非ハロゲン系有機溶媒への溶解性に優れている。非ハロゲン系有機溶媒としては、例えば、トルエン、キシレン、ベンゼン等の芳香族化合物;テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン、1,3−ジオキソラン等の環状エーテル化合物;およびシクロヘキサノン、シクロペンタノン等の環状ケトン化合物が挙げられる。中でも、芳香族化合物(特にキシレン)、および環状ケトン化合物(特にシクロヘキサノン)が好ましい。
【0035】
本発明のポリアリレート樹脂の製造方法としては、界面重合法および溶液重合法等の有機溶媒中で反応させる方法、または溶融重合等の溶融状態で反応させる方法が挙げられる。重合性および/または得られる樹脂の外観の観点から、有機溶媒中での反応、特に低温での反応が可能な界面重合法を用いることが好ましい。
【0036】
界面重合法としては、二価カルボン酸ハライドを水と相溶しない有機溶媒に溶解させた溶液(有機相)を、二価フェノール、末端封止剤、酸化防止剤および重合触媒を含むアルカリ水溶液(水相)に混合し、50℃以下の温度で1〜8時間撹拌しながら重合反応をおこなう方法が挙げられる。
【0037】
有機相に用いる溶媒としては、水と相溶せずポリアリレートを溶解する溶媒が好ましい。このような溶媒としては、塩化メチレン、クロロホルムが挙げられ、製造上使用しやすいことから、塩化メチレンが好ましい。
【0038】
水相に用いるアルカリ水溶液としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムおよびそれらの混合物の水溶液が挙げられる。
【0039】
末端封止剤は、ポリアリレート樹脂の分子量の調整および熱安定性の向上の観点から用いられる。末端封止剤としては、例えば、一価フェノール、一価酸クロライド、一価アルコール、一価カルボン酸が挙げられる。一価フェノールとしては、例えば、フェノール、o−クレゾール、m−クレゾール、p−クレゾール、p−tert−ブチルフェノール、o−フェニルフェノール、m−フェニルフェノール、p−フェニルフェノール、o−メトキシフェノール、m−メトキシフェノール、p−メトキシフェノール、2,3,6−トリメチルフェノール、2,3−キシレノール、2,4−キシレノール、2,5−キシレノール、2,6−キシレノール、3,4−キシレノール、3,5−キシレノール、2−フェニル−2−(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2−フェニル−2−(2−ヒドロキシフェニル)プロパン、2−フェニル−2−(3−ヒドロキシフェニル)プロパンが挙げられる。一価酸クロライドとしては、例えば、ベンゾイルクロライド、安息香酸クロライド、メタンスルホニルクロライド、フェニルクロロホルメートが挙げられる。一価アルコールとしては、例えば、メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノール、2−ブタノール、ペンタノール、ヘキサノール、ドデシルアルコール、ステアリルアルコール、ベンジルアルコール、フェネチルアルコールが挙げられる。一価カルボン酸としては、例えば、酢酸、プロピオン酸、オクタン酸、シクロヘキサンカルボン酸、安息香酸、トルイル酸、フェニル酢酸、p−tert−ブチル安息香酸、p−メトキシフェニル酢酸が挙げられる。中でも、熱安定性が高いことから、一価フェノール(特にp−tert−ブチルフェノール)が好ましい。
【0040】
酸化防止剤は、二価フェノール成分の酸化を防止するために用いられる。酸化防止剤としては、例えば、ハイドロサルファイトナトリウム、L−アスコルビン酸、エリソルビン酸、カテキン、トコフェノール、ブチルヒドロキシアニソールが挙げられる。中でも、水溶性に優れていることから、ハイドロサルファイトナトリウムが好ましい。
【0041】
重合触媒としては、例えば、トリ−n−ブチルベンジルアンモニウムハライド、テトラ−n−ブチルアンモニウムハライド、トリメチルベンジルアンモニウムハライド、トリエチルベンジルアンモニウムハライド等の第四級アンモニウム塩;およびトリ−n−ブチルベンジルホスホニウムハライド、テトラ−n−ブチルホスホニウムハライド、トリメチルベンジルホスホニウムハライド、トリエチルベンジルホスホニウムハライド等の第四級ホスホニウム塩が挙げられる。中でも、分子量が高く、酸価の低いポリマーを得ることができることから、トリ−n−ブチルベンジルアンモニウムハライド、トリメチルベンジルアンモニウムハライド、テトラ−n−ブチルアンモニウムハライド、トリ−n−ブチルベンジルホスホニウムハライド、テトラ−n−ブチルホスホニウムハライドが好ましい。
【0042】
本発明のポリアリレート樹脂は、有機溶媒に溶解した後、基材上に塗布して乾燥したり、基材上に溶融樹脂を押出したりすることにより、基材上にポリアリレート樹脂の層を設けた積層体を得ることができる。また、前記積層体から、樹脂層を剥離することによりフィルムを得ることができる。無色透明のフィルムを得るためには、熱分解による色調低下が生じないことから、有機溶媒に溶解した後、基材上に塗布乾燥し剥離してフィルムを得ることが好ましい。
【0043】
ポリアリレート樹脂を溶解する有機溶媒としては、前記した非ハロゲン系有機溶媒以外に、例えば、塩化メチレン、1,2−ジクロロエタン、クロロホルム、四塩化炭素、クロロベンゼン、1,1,2,2−テトラクロロエタン、1,1,1−トリクロロエタン、o−ジクロロベンゼン、m−ジクロロベンゼン、p−ジクロロベンゼンが挙げられる。
【0044】
基材としては、例えば、PETフィルム、ポリイミドフィルム、ガラス板、ステンレス板が挙げられる。塗布方法としては、例えば、ワイヤーバーコーター塗り法、フィルムアプリケーター塗り法、はけ塗り法、スプレー塗り法、グラビアロールコーティング法、スクリーン印刷法、リバースロールコーティング法、リップコーティング、エアナイフコーティング法、カーテンフローコーティング法、浸漬コーティング法が挙げられる。
【0045】
本発明のポリアリレート樹脂から得られるフィルムの引張破断強度は、機械強度の観点から、70MPa以上であることが好ましく、80MPa以上であることがより好ましく、90MPa以上であることがより好ましい。また、靭性の観点からフィルムの引張破断伸びは60%以上であることが好ましく、65%以上であることがより好ましく、70%以上であることがさらに好ましい。
【0046】
本発明のポリアリレート樹脂から得られるフィルムの水蒸気透過係数は、0.80g・cm/(m・day)以下であることが好ましく、0.70g・cm/(m・day)以下であることがより好ましく、0.65g・cm/(m・day)以下であることがより好ましい。
【0047】
本発明のポリアリレート樹脂から得られるフィルムの損失弾性率(E'')(周波数が1Hzの場合)は、0.20GPa以下であることが好ましく、0.15GPa以下であることがより好ましく、0.12GPa以下であることがより好ましい。前記損失弾性率を0.20GPa以下とすることにより、負荷がある状態においても、塑性変形しにくくすることができる。
【0048】
本発明のポリアリレート樹脂、それから得られるフィルムおよび積層体は、耐熱性、非ハロゲン系有機溶媒への溶解性、水蒸気遮断性、機械強度、耐液垂れ性、および耐変形性(例えば密着性)に優れている。そのため、液晶ディスプレイ、フィルムコンデンサー、照明、太陽電池、プリント回路等の基板フィルムとして電気・電子材料分野で好適に用いることができる。
【0049】
特に、本発明のポリアリレート樹脂は耐液垂れ性に優れている。詳しくは、液垂れを抑制する目安として、溶液粘度を測定するときの粘度安定時間が指標となる。一般に、粘度計を用いて樹脂溶液を測定した場合、時間経過とともに粘度が低下し、一定時間後に粘度が安定する。本発明において、粘度安定時間とは、粘度が安定するまでの時間であり、時間に対して粘度が変化しなくなるまでの時間をいう。ここでは、粘度安定時間が長いほど、せん断に対して溶液が流動しにくいと判断される。そのため、塗付直後に溶液状態となっている塗付膜は、外部から受ける力の影響を受けにくく形状保持しやすくなる。溶液粘度を測定するときの粘度安定時間は、液垂れ抑制の観点から、10min以上であることが好ましく、15min以上であることがより好ましく、20min以上であることがさらに好ましい。
【実施例】
【0050】
次に、本発明を実施例および比較例によって具体的に説明するが、本発明はこれらによって限定されるものではない。なお、ポリアリレート樹脂の物性測定は、以下の方法によりおこなった。
【0051】
(1)樹脂組成
高分解能核磁気共鳴装置(日本電子社製LA−400 NMR)を用いて、H−NMR分析することにより、それぞれの共重合成分のピーク強度から樹脂組成を求めた(分解能:400MHz、溶媒:重水素化トリフルオロ酢酸と重水素化テトラクロロエタンとの容量比が1/11の混合溶媒、温度:50℃)。
【0052】
(2)数平均分子量(Mn)および重量平均分子量(Mw)
ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)を用いて、以下の条件でポリスチレン換算の数平均分子量および重量平均分子量を測定した。
送液装置:ウォーターズ社製、Isocratic HPLC Pump 1515
検出器:ウォーターズ社製、Refractive Index Detector 2414
カラム:Mixed−D(充填シリカゲル粒径5μm、チューブ長さ300mm、内径7.5mm)
溶媒:クロロホルム
流速:1mL/分
測定温度:35℃
【0053】
(3)ガラス転移温度(Tg)(耐熱性)
ポリアリレート樹脂10mgをサンプルとして用いて、DSC(示差走査熱量測定)装置(パーキンエルマー社製、DSC7)を用いて昇温速度10℃/分の条件で昇温し、昇温曲線中のガラス転移に由来する2つの折曲点温度の中間値をガラス転移温度とした。
◎:230℃以上(最良)。
○:215℃以上230℃未満(良)。
△:200℃以上215℃未満(実用上問題なし)。
×:200℃未満(実用上問題あり)。
【0054】
(4)熱分解温度
ポリアリレート樹脂を以下の条件で測定し、10%質量が減少した温度を熱分解温度として求めた。
装置:日立ハイテクサイエンス社製、TG/DTA 7200
昇温速度:10℃/分
流入ガス:空気、流速200mL/分
◎:390℃以上(最良)。
○:380℃以上390℃未満(良)。
△:370℃以上380℃未満(実用上問題なし)。
×:370℃未満(実用上問題あり)。
【0055】
(5)水蒸気透過係数
ポリアリレート樹脂10質量部にクロロホルム90質量部を加えて樹脂溶液を得た。得られた樹脂溶液を用いて、PETフィルム上に塗膜を形成した。室温で風乾後、PETフィルムから剥離し、減圧にて150℃で24時間乾燥して、厚さ100μmのフィルムを作製した。得られたフィルムを用いて以下の条件で測定した。
試験装置: MOCON社製 水蒸気透過率測定装置
温度:23.0℃
湿度:80.0%
測定時間:24時間
◎:0.65g・cm/(m・day)以下(最良)。
○:0.65g・cm/(m・day)超0.70g・cm/(m・day)以下(良)。
△:0.70g・cm/(m・day)超0.80g・cm/(m・day)以下(実用上問題なし)。
×:0.80g・cm/(m・day)超(実用上問題あり)。
【0056】
(6)引張破断強さおよび引張破断伸び
(5)で得られたフィルムを用いてJIS K7127に準拠し、以下の条件で測定した。
試験装置:株式会社インテスコ製、Model2020
引張速度:50mm/分
試験環境:23℃、60%RH
・引張破断強さ
◎:90MPa以上(最良)。
○:80MPa以上90MPa未満(良)。
△:70MPa以上80MPa未満(実用上問題なし)。
×:70MPa未満(実用上問題あり)。
・引張破断伸び
◎:70%以上(最良)。
○:65%以上70%未満(良)。
△:60%以上65%未満(実用上問題なし)。
×:60%未満(実用上問題あり)。
【0057】
(7)損失弾性率(E'')
(5)で得られたフィルムを用いて、以下の条件で測定し、周波数1Hzの値を損失弾性率(E'')とした。損失弾性率(E'')が小さいほど、フィルムは耐変形性(例えば密着性)に優れている。
試験装置:レオメトリック社 粘弾性アナライザー RSAII
周波数:0.159〜15.9Hz
温度:25.0℃
歪み:0.20%
◎:0.12GPa以下(最良)。
○:0.12GPa超0.15GPa以下(良)。
△:0.15GPa超0.20GPa以下(実用上問題なし)。
×:0.20GPa超(実用上問題あり)。
【0058】
(8)溶解性
ポリアリレート樹脂15質量部にキシレンまたはシクロヘキサノン85質量部を加えて、ウェーブローターを用いて室温で攪拌した。1日後の樹脂溶液の状態を以下の基準で評価した。
◎:樹脂溶液は流動性を有しており、透明であった(最良)。
○:樹脂溶液は流動性を有してはいたが、僅かに白濁していた(良)。
△:樹脂溶液は流動性を有し、白濁していたが、実用上問題なかった。
×:樹脂溶液が流動性を有していなかったか、樹脂が全く溶解していなかった(実用上問題あり)。
【0059】
(9)粘度安定時間
ポリアリレート樹脂10質量部にN−メチルピロリドン90質量部を加えて、樹脂溶液を得た。得られた樹脂溶液について、東機産業社製のデジタル粘度計(VISCOMETER TVB−10)、HM−1型ロータおよびHM/H2少量サンプルアダプタを用いて、粘度を25.0℃の温度で測定するに際し、測定開始から粘度が安定するまでの時間を測定した。
◎: 20min以上(最良)。
○: 15min以上 20min未満(良)。
△: 10min以上 15min未満(実用上問題なし)。
×: 10min未満(実用上問題あり)。
【0060】
実施例1
攪拌装置を備えた反応容器中に、二価フェノール成分として3,3’,5,5’−テトラメチル−4,4’−ビフェノール(TMBP)10.51質量部、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−4−メチルペンタン(BisMIBK)89.49質量部、末端封止剤としてp−tert−ブチルフェノール(PTBP)1.60質量部、アルカリとして水酸化ナトリウム(NaOH)32.67質量部、重合触媒としてトリ−n−ブチルベンジルアンモニウムクロライド(TBBAC)の50質量%水溶液を1.56質量部、酸化防止剤としてハイドロサルファイトナトリウム0.51質量部を仕込み、水2500質量部に溶解させた(水相)。また、これとは別に、塩化メチレン2000質量部に、イソフタル酸クロライド/テレフタル酸クロライド=1/1(モル比)混合物(MPC)75.74質量部を溶解させた(有機相)(TMBP:BisMIBK:PTBP:MPC:TBBAC:NaOH=10.00:90.00:2.90:101.45:0.34:222.18(モル比))。水相をあらかじめ攪拌しておき、有機相を水相中に強攪拌下で添加し、15℃で2時間、界面重合法で重合をおこなった。この後、攪拌を停止し、水相と有機相をデカンテーションして分離した。水相を除去した後、塩化メチレン500質量部、純水3000質量部と酢酸10質量部を添加して反応を停止し、15℃で30分間攪拌した。その後、有機相を純水で10回洗浄し、有機相をメタノール中に添加してポリマーを沈殿させた。沈殿させたポリマーを濾過した後、165℃で24時間真空乾燥をおこない、ポリアリレート樹脂を得た。
得られたポリアリレート樹脂を組成分析したところ、樹脂組成は、TMBP:BisMIBK:PTBP:MPC:TBBAC:NaOH=10.00:90.00:2.90:101.45:0.34:222.18(モル比)と、仕込組成と同一であった。
【0061】
実施例2〜9、比較例1〜5
表1に示すように、樹脂組成を変更する以外は実施例1と同様の操作をおこなって、ポリアリレート樹脂を得た。
【0062】
実施例1〜9、比較例1〜5で得られたポリアリレート樹脂の評価結果を表1に示す。
【0063】
【表1】
【0064】
実施例1〜9のポリアリレート樹脂は、本発明で規定する二価フェノール残基から構成されていたため、ガラス転移温度、熱分解温度が高く、キシレンおよびシクロヘキサノンへの溶解性も高かった。また、フィルムとした場合の水蒸気透過係数および損失弾性率(E'')が低く、引張破断強さ、引張破断伸びが高かった。また、粘度安定時間が長かった。
【0065】
比較例1のポリアリレート樹脂は、二価フェノール成分に一般式(1)および一般式(2)で示される残基を与えるモノマーを用いず、ビスフェノールAのみを用いたため、キシレンやシクロヘキサノンへの溶解性が低く、粘度安定時間が短かった。
比較例2のポリアリレート樹脂は、二価フェノール成分に一般式(2)で示される残基を与えるモノマーを用いなかったため、水蒸気透過係数が高く、キシレンやシクロヘキサノンへの溶解性が低く、損失弾性率(E”)が高かった。
比較例3のポリアリレート樹脂は、二価フェノール成分に一般式(1)で示される残基を与えるモノマーを用いなかったため、ガラス転移温度が低く、粘度安定時間が短かった。
比較例4のポリアリレート樹脂は、二価フェノール成分に一般式(1)で示される残基を与えるモノマーのみを用いたため、水蒸気透過係数が高く、キシレンやシクロヘキサノンへの溶解性が低く、損失弾性率(E”)が高かった。
比較例5のポリアリレート樹脂は、二価フェノール成分に一般式(2)で示される残基を与えるモノマーのみを用いたため、ガラス転移温度が低く、粘度安定時間が短かった。