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特開2017-214930SCR触媒を備えたリーンバーン内燃機関用排気システム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2017-214930(P2017-214930A)
(43)【公開日】2017年12月7日
(54)【発明の名称】SCR触媒を備えたリーンバーン内燃機関用排気システム
(51)【国際特許分類】
   F01N 3/08 20060101AFI20171110BHJP
   F01N 3/28 20060101ALI20171110BHJP
   F01N 3/022 20060101ALI20171110BHJP
   F01N 3/035 20060101ALI20171110BHJP
   B01D 53/94 20060101ALI20171110BHJP
   B01J 35/04 20060101ALI20171110BHJP
   B01J 29/76 20060101ALI20171110BHJP
   B01J 29/74 20060101ALI20171110BHJP
   B01J 23/89 20060101ALI20171110BHJP
   B01J 23/44 20060101ALI20171110BHJP
【FI】
   F01N3/08 BZAB
   F01N3/28 301P
   F01N3/28 301Q
   F01N3/022 C
   F01N3/035 A
   F01N3/035 E
   B01D53/94 222
   B01J35/04 301L
   B01J29/76 A
   B01J29/74 A
   B01J23/89 A
   B01J23/44 A
【審査請求】有
【請求項の数】19
【出願形態】OL
【外国語出願】
【全頁数】24
(21)【出願番号】特願2017-136409(P2017-136409)
(22)【出願日】2017年7月12日
(62)【分割の表示】特願2014-545363(P2014-545363)の分割
【原出願日】2012年12月11日
(31)【優先権主張番号】61/569,537
(32)【優先日】2011年12月12日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】1200784.5
(32)【優先日】2012年1月18日
(33)【優先権主張国】GB
(71)【出願人】
【識別番号】590004718
【氏名又は名称】ジョンソン、マッセイ、パブリック、リミテッド、カンパニー
【氏名又は名称原語表記】JOHNSON MATTHEY PUBLIC LIMITED COMPANY
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】ブレイクマン, フィリップ
(72)【発明者】
【氏名】ブラウン, ギャヴィン マイケル
(72)【発明者】
【氏名】チッフィー, アンドルー フランシス
(72)【発明者】
【氏名】ガスト, ジェーン
(72)【発明者】
【氏名】フィリップス, ポール リチャード
(72)【発明者】
【氏名】ラジャラム, ラジ
(72)【発明者】
【氏名】シュプライツァー, グレン
(72)【発明者】
【氏名】ウォーカー, アンドリュー
【テーマコード(参考)】
3G091
3G190
4D148
4G169
【Fターム(参考)】
3G091AA02
3G091AA12
3G091AA17
3G091AA18
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3G190CB26
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4G169BA01A
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4G169FB30
4G169ZA19B
4G169ZD06
4G169ZF09A
4G169ZF09B
(57)【要約】      (修正有)
【課題】排気ガス高温時の白金族金属(PGM)の被毒の低減と、揮発したPGMを補足する。
【解決手段】内燃機関用の排気システム20は、a)第一の触媒化基材モノリス12であり、該基材モノリスの第一のウォッシュコートコーティングと第二のウォッシュコートコーティングとを含み、ここで、第一のウォッシュコートコーティングが、少なくとも一の白金族金属(PGM)及び少なくとも一の担体材料を含む触媒組成物を含み、第一のウォッシュコートコーティングが比較的高い温度を含む比較的過酷な条件に曝露されている場合に揮発する傾向があり、第二のウォッシュコートコーティングは、揮発したPGMを捕捉するための銅を担持する少なくとも一の材料を含み、b)第二の触媒化基材モノリス14であり、第一の触媒化基材モノリスから下流に配されている窒素性還元剤による、窒素の酸化物から二窒素への還元を選択的に触媒するための触媒を含む。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
内燃機関のための排気システムにおいて、
a)第一の触媒化基材モノリスであって、該基材モノリスの第一のウォッシュコートゾーンに配されている第一のウォッシュコートコーティングと該基材モノリスの第二のウォッシュコートゾーンに配されている第二のウォッシュコートコーティングとを含み、該第一のウォッシュコートコーティングが、少なくとも一の白金族金属(PGM)及び少なくとも一の担体材料を含む触媒組成物を含み、前記第一のウォッシュコートコーティング中の少なくとも一のPGMは、前記第一のウォッシュコートコーティングが比較的高い温度を含む比較的過酷な条件に曝露されている場合に揮発する傾向があり、前記第二のウォッシュコートコーティングは、揮発したPGMを捕捉するための銅を担持する少なくとも一の材料を含み、前記第二のウォッシュコートコーティングは、前記第一のウォッシュコートと接触した排ガスと接触するように配向されている、第一の触媒化基材モノリスと、
b)第二の触媒化基材モノリスであって、前記第一の触媒化基材モノリスの下流に配されている窒素性還元剤による、窒素の酸化物から二窒素への還元を選択的に触媒するための触媒を含む、第二の触媒化基材モノリスと
を備えるシステム。
【請求項2】
第一の触媒化基材モノリスと第二の触媒化基材モノリスとの間に、窒素性還元剤を排ガスに注入するための注入器を備える、請求項1に記載の排気システム。
【請求項3】
第一のウォッシュコートコーティング中の少なくとも一のPGMが、白金を含む、請求項1又は2に記載の排気システム。
【請求項4】
第一のウォッシュコートコーティング中の少なくとも一のPGMが、白金及びパラジウムの両方を含む、請求項1、2又は3に記載の排気システム。
【請求項5】
Pt:Pdの重量比が2以下である、請求項4に記載の排気システム。
【請求項6】
担体材料が、少なくとも一の金属酸化物、モレキュラーシーブ、又はそれらの任意の二以上の混合物である、請求項1から5の何れかに記載の排気システム。
【請求項7】
前記又は各金属酸化物担体が、安定化されていてもよいアルミナ、非晶質シリカ−アルミナ、安定化されていてもよいジルコニア、セリア、チタニア、安定化されていてもよいセリア−ジルコニア混合酸化物及びそれらの任意の二以上の混合物からなる群から選択される、請求項6に記載の排気システム。
【請求項8】
前記モレキュラーシーブがアルミノケイ酸塩ゼオライトである、請求項6に記載の排気システム。
【請求項9】
前記第一の基材モノリスがフロースルー基材モノリスである、請求項1から8の何れかに記載の排気システム。
【請求項10】
前記第一の基材モノリスが、入口表面及び出口表面を有する濾過基材モノリスであり、前記入口表面が多孔質構造によって前記出口表面から分離されており、前記第一のゾーンの前記第一のウォッシュコートコーティングが前記入口表面に適用されており、前記第二のゾーンの前記第二のウォッシュコートコーティングが前記出口表面に適用されている、請求項1から8の何れかに記載の排気システム。
【請求項11】
前記濾過基材モノリスがウォールフローフィルタであり、前記ウォールフローフィルタの入口チャネルが前記第一のゾーンを含み、前記ウォールフローフィルタの出口チャネルが前記第二のゾーンを含む、請求項10に記載の排気システム。
【請求項12】
前記第二の基材モノリスがフロースルー基材モノリスである、請求項1から11の何れかに記載の排気システム。
【請求項13】
前記第二の基材モノリスが、入口表面及び出口表面を有する濾過基材モノリスであり、前記入口表面が多孔質構造によって前記出口表面から分離されている、請求項1から11の何れかに記載の排気システム。
【請求項14】
前記濾過基材モノリスがウォールフローフィルタである、請求項13に記載の排気システム。
【請求項15】
前記第一のウォッシュコートが、酸化触媒又はNO吸蔵触媒を含む、請求項1から14の何れかに記載の排気システム。
【請求項16】
第三の基材モノリスを含み、ここで、前記第三の基材モノリスが濾過基材モノリスであり、前記第三の基材モノリスは、前記第二の触媒化基材モノリスの下流に配されている、請求項1から15の何れかに記載の排気システム。
【請求項17】
前記第三の基材モノリスが酸化触媒を含む、請求項16に記載の排気システム。
【請求項18】
請求項1から17の何れかに記載の排気システムを備える、特に自動車用の内燃機関。
【請求項19】
白金族金属(PGM)を含む触媒組成物が比較的高い温度を含む比較的過酷な条件に曝露されている場合に、リーンバーン内燃機関の排気システム内の選択的接触還元(SCR)触媒が、少なくとも一の担体材料上に担持され前記SCR触媒の上流の基材モノリス上に配されている少なくとも一のPGMを含む触媒組成物から揮発し得るPGMで被毒するのを低減させる又は防止する方法であって、前記PGMを含む触媒組成物と同じ基材モノリス上に配されている、銅を担持する少なくとも一の材料を含むウォッシュコートコーティング中の揮発したPGMを捕捉するステップを含む方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、内燃機関のための排気システムであって、基材モノリス上に配されている第一のウォッシュコートコーティング中に白金含有触媒を含み、窒素性還元剤による窒素の酸化物から二窒素への還元を選択的に触媒するための触媒、すなわちSCR触媒の上流に配されている前記白金含有触媒は、高温で揮発する傾向がある、排気システムに関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、世界中の政府間機関によって規制する法律が制定されている4つのクラスの汚染物質がある:一酸化炭素(CO)、未燃炭化水素(HC)、窒素の酸化物(NO)及び粒子状物質(PM)。
【0003】
自動車のエンジンからの排ガス中におけるそのような汚染物質の許容される排出に対する排出基準は、次第に厳しくなっており、これらの排出基準を満たすために、エンジン管理及び複数の触媒排ガス後処理システムの組合せが提案され開発されている。粒子フィルタを含む排気システムでは、フィルタ上に把持された残りの煤煙すべてを実質的に燃焼させ、それによってシステムをベースラインレベルに戻すために、エンジン管理を周期的に(例えば500kmごとに)使用してフィルタ内の温度を上昇させることが一般的である。これらのエンジン管理の煤煙燃焼事象は、多くの場合「フィルタ再生」と呼ばれる。フィルタ再生の主要な焦点はフィルタ上に把持された煤煙を燃焼させることであるが、意図しない結果は、排気システム内に存在する一又は複数の触媒コーティング、例えば、フィルタ自体の上のフィルタコーティング(いわゆる触媒煤煙フィルタ(CSF))、フィルタの上流又は下流に位置する酸化触媒(ディーゼル酸化触媒(DOC)等)又はNO吸蔵触媒(NAC)(例えば、第一のDOC、続いてディーゼル粒子フィルタ、続いて今度は第二のDOC、最後にSCR触媒)が、システムにおけるエンジン管理制御のレベルに応じて、高い排ガス温度に定期的に曝露され得ることである。そのような状態は、意図しない時折のエンジン不調モード又は制御されていないもしくは制御が十分でない再生事象を伴って経験されることもある。しかしながら、いくつかのディーゼルエンジン、特に高荷重で動作する大型自動車用ディーゼルエンジンは、正常動作条件下で、触媒を相当の温度、例えば600℃超に曝露することさえあり得る。
【0004】
自動車メーカーは、排出基準を満たすためのエンジン及びエンジン管理システムを開発しているため、出願人/譲受人は、自動車メーカーから、排出基準を満たすという目的を支援するための触媒成分及び触媒成分の組合せを提案するように求められている。そのような成分は、CO、HCs及び場合によりNOも酸化させるためのDOC;CO、HCsを酸化させるため、場合によりNOも酸化させるため、かつその後の燃焼のために粒子状物質を捕捉するためのCSF;CO及びHCを酸化させるため、かつ一酸化窒素(NO)を酸化させ、それをリーン排ガスから吸収して吸蔵されたNOを脱離させるため、かつリッチな排ガス中でそれをNに還元するためのNAC(以下を参照);ならびに、アンモニア等の窒素性還元剤の存在下でNOをNに還元するための選択的接触還元(SCR)触媒(以下を参照)を包含する。
【0005】
実際に、DOC及びCSFにおいて用いられる触媒組成物は非常に類似している。しかしながら、一般に、DOC及びCSFの使用の間で本質的に異なるのは、触媒組成物がコーティングされている基材モノリスである:DOCの場合、基材モノリスは、典型的には、それを通って伸長する一連の細長いチャネルを有する金属又はセラミックのハニカムモノリスを含むフロースルー基材モノリスであり、該チャネルは両端で開口しており;CSF基材モノリスは、ウォールフローフィルタ、例えば、複数の出口チャネルと並行して配設されている複数の入口チャネルを含み、ここで、各入口チャネル及び各出口チャネルは多孔質構造のセラミック壁によって部分的に画定され、各入口チャネルは、多孔質構造のセラミック壁によって出口チャネルから交互に分離されており、逆もまた然りである、セラミック多孔質フィルタ基材等の濾過モノリスである。換言すれば、ウォールフローフィルタは、上流端が塞がれている複数の第一のチャネルと、上流端は塞がれていないが下流端が塞がれている複数の第二のチャネルとを画定するハニカム配列である。第一のチャネルに縦方向及び横方向に隣接しているチャネルは、下流端が塞がれている。いずれかの端から見ると、チャネルの交互に塞がれた端及び開口した端部は、チェス盤の外観を呈している。
【0006】
DOC及びNAC等の非常に複雑な多層触媒配列を、フロースルー基材モノリス上にコーティングしてよい。フィルタモノリスの表面、例えばウォールフローフィルタの入口チャネル表面を、1つを超える層の触媒組成物でコーティングすることは可能であるが、濾過モノリスのコーティングに関する問題は、使用する際に、フィルタモノリスに触媒ウォッシュコートで過負荷をかけ、それによってそれを通るガスの通路を制限することにより、不必要に上昇する背圧を回避することである。それ故、フィルタ基材モノリスの表面を一又は複数の異なる触媒層で連続的にコーティングすることは不可能ではないが、異なる触媒組成物を、ゾーンで、例えばフィルタモノリスの前後半分のゾーンに軸方向で隔離する、又はウォールフローフィルタ基材モノリスの入口チャネルを第一の触媒組成物で、その出口チャネルを第二の触媒組成物でコーティングすることの何れかによって隔離することがより一般的である。しかしながら、本発明の特定の実施形態において、第一の入口は一又は複数の層でコーティングされ、その層は、同じ又は異なる触媒組成物であってよい。濾過基材モノリスの上にNAC組成物をコーティングすることも提案されている(例えば、欧州特許第0766993号明細書を参照)。
【0007】
それぞれが別個の基材モノリスを含む複数の触媒成分を含む排気システムにおいて、典型的には、SCR触媒はDOC及び/又はCSF及び/又はNACの下流に位置し、これは、DOC及び/又はCSF及び/又はNACを出るNO:NOの比が約1:1となるように排ガス中の若干の酸化窒素(NO)を二酸化窒素(NO)に酸化させることにより、下流のSCR反応が促進されることが公知であるためである(以下を参照)。排ガス中のNOをNOに酸化させることによって発生するNOが、下流フィルタ上で煤煙を受動的に燃焼させるために使用され得ることも、欧州特許第341832号明細書から周知である(いわゆる連続再生式トラップ又はCRT(登録商標))。欧州特許第341832号明細書のプロセスが重要である排気システム配置において、仮にSCR触媒がフィルタの上流に位置していたとしたら、煤煙を燃焼させるために使用されるNOの大部分はおそらくSCR触媒で除去されるため、これは、NO中の捕捉された煤煙を燃焼させるプロセスを低減させる又は妨げるであろう。
【0008】
しかしながら、軽量ディーゼル車の好ましいシステム配置は、ディーゼル酸化触媒(DOC)、続いて窒素注入器(インジェクタ)、次いでSCR触媒、最後に触媒煤煙フィルタ(CSF)である。そのような配列の省略形は、「DOC/SCR/CSF」である。この配列は軽量ディーゼル車に好ましく、これは、(i)NO変換用のアンモニアを遊離させるためにアンモニア等の窒素性還元剤の前駆体を注入/分解すること;及び(ii)可能な限り高いNO変換を可能にするために、自動車エンジンが始動した後可能な限り速く排気システム内でのNO変換を実現することが、考慮すべき重要事項であるためである。仮に大型熱質量フィルタがSCR触媒の上流、すなわちDOCとSCR触媒との間に置かれてであったなら(「DOC/CSF/SCR」)、(i)及び(ii)は実現するのにはるかに長くかかるであろうし、NO変換は排出基準運転サイクルの全体として低減されるであろう。粒子除去は酸素を使用して、フィルタの時折の強制的な再生はエンジン管理技術を使用して為され得る。
【0009】
フィルタ基材モノリス自体の上にSCR触媒ウォッシュコートをコーティングすることも提案されており(例えば、国際公開第2005/016497号パンフレットを参照)、この場合、SCR触媒上でのNO還元活性を促進するためのNO/NO比を修正するために、SCRコーティングされたフィルタ基材の上流に酸化触媒が位置していてよい(酸化触媒がDOC、CSF又はNACのいずれの成分であるかにかかわらず)。フロースルー基材モノリス上に配されているSCR触媒の上流にNACを位置付けることも提案されており、このNACは、NACの再生中にNHをその場(インサイツ)で発生させることができる(以下を参照)。1つのそのような提案は、英国特許第2375059号明細書において開示されている。
【0010】
NACは、例えば米国特許第5473887号明細書から知られており、排ガス中の酸素濃度が低下した場合に、リーン排ガス(ラムダ>1)からNOを吸蔵し、NOを脱離させるように設計されている。脱離したNOは、好適な還元剤、例えばエンジン燃料でNに還元され、ロジウム等、NAC自体の、又はNACの下流に位置する触媒成分によって促進され得る。実際に、酸素濃度の制御は、NACの算出された残りのNO吸蔵容量、例えば、正常なエンジン稼働動作よりもリッチ(ではあるが依然として化学量論のリーン側又はラムダ=1組成)、化学量論又は化学量論のリッチ側(ラムダ<1)に応答して、間欠的に所望のレドックス組成に調整することができる。酸素濃度は、いくつかの手段、例えば、スロットルで調整すること、排気行程中等におけるエンジンシリンダへの追加の炭化水素燃料の注入、又はエンジンマニホールドの下流の排ガスに炭化水素燃料を直接注入することによって調整することができる。
【0011】
典型的なNAC配合物は、白金等の触媒酸化成分、有意量の(すなわち、三元触媒中の促進剤等、促進剤として使用するために必要とされるよりも実質的に多い)、バリウム等のNO貯蔵成分、及び還元触媒、例えばロジウムを包含する。この配合物のためのリーン排ガスからのNO貯蔵に一般的に与えられる1つの機構は、
NO+1/2O→NO (1);及び
BaO+2NO+1/2O→Ba(NO) (2)
であり、式中、反応(1)において、酸化窒素は白金上の活性酸化部位で酸素と反応してNOを形成する。反応(2)は、無機硝酸塩の形態の貯蔵材料によるNOの吸蔵を伴う。
【0012】
より低い酸素濃度及び/又は昇温では、硝酸塩種は熱力学的に不安定になって分解し、以下の反応(3)によりNO又はNOを生成する。好適な還元剤の存在下では、これらの酸化窒素は、その後、一酸化炭素、水素及び炭化水素によってNに還元され、これは還元触媒上で起こり得る(反応(4)を参照)。
Ba(NO)→BaO+2NO+3/2O又はBa(NO)
→BaO+2NO+1/2O (3);及び
NO+CO→1/2N+CO (4);
(他の反応は、Ba(NO)+8H→BaO+2NH+5HOと続くNH+NO→N+yHO又は2NH+2O+CO→N+3HO+CO等を含む)。
【0013】
本明細書において上記(1)〜(4)の反応において、反応性バリウム種は酸化物として記載されている。しかしながら、空気の存在下において、バリウムのほとんどは炭酸塩又はことによると水酸化物の形態であることが理解される。当業者であれば、酸化物以外のバリウムの種及び排気流中における触媒コーティングの順序について相応に上記の反応スキームを適合させることができる。
【0014】
酸化触媒は、COからCO及び未燃HCsからCO及びHOへの酸化を促進する。典型的な酸化触媒は、高表面積担体上の白金及び/又はパラジウムを包含する。
【0015】
自動車内燃(IC)エンジン、特にリーンバーンICエンジンからのNO排出を処理するためのSCRテクノロジーの適用が周知である。SCR反応において使用され得る窒素性還元剤の例は、窒素水素化物、例えばアンモニア(NH)もしくはヒドラジン、又はNH前駆体等の化合物を包含する。
【0016】
NH前駆体は、例えば加水分解によってNHが誘導され得る一又は複数の化合物である。アンモニア及び他の副産物への前駆体の分解は、熱水又は触媒的加水分解によるものであってよい。NH前駆体は、尿素(CO(NH))を水溶液として、又は固体もしくはカルバミン酸アンモニウム(NHCOONH)として包含する。尿素が水溶液として使用されるのであれば、共融混合物、例えば32.5%NH(水溶液)が好ましい。結晶化温度を低減させるために、水溶液中に添加剤が包含されていてよい。現在、尿素は自動車用途のためのNHの好ましい源であり、これは、尿素がNHよりも低毒性であり、輸送及び取り扱いが容易であり、安価で、かつ一般に入手可能なためである。部分的に加水分解された尿素の固体又は液滴は、PMについての法的試験において使用される濾紙によって捕捉され、PM質量としてカウントされるため、尿素の不完全な加水分解は、関連の排出試験サイクルを満たすための試験におけるPM排出の増大につながることがある。さらに、シアヌル酸等の不完全な尿素加水分解のある特定の生成物の放出は、環境的に望ましくない。
【0017】
SCRは、NOを元素窒素に還元する3つの主反応(反応(5)〜(7)において以下で表されるもの)を有する。
4NH+4NO+O→4N+6HO(即ち、1:1 NH:NO)(5)
4NH+2NO+2NO→4N+6HO(即ち、1:1 NH:NO)(6)
8NH+6NO→7N+12HO(すなわち、4:3 NH:NO)(7)
【0018】
関連の望ましくない、非選択的副反応は、
2NH+2NO→NO+3HO+N (8)
である。
【0019】
実際に、反応(7)は反応(5)と比べて比較的遅く、反応(6)はすべての中で最も速い。この理由で、熟練の科学技術者が自動車用の排気後処理システムを設計する場合、多くの場合、SCR触媒の上流に酸化触媒元素(例えば、DOC及び/又はCSF及び/又はNAC)を配置することを好む。
【0020】
ある特定のDOC及び/又はNAC及び/又はCSFが、例えばフィルタ再生及び/もしくはエンジン不調事象中に遭遇する高温、ならびに/又は(ある特定の大型車両用ディーゼル用途において)正常な高温の排ガスに曝露されるようになると、高温で十分な時間が与えられれば、低レベルの白金族金属成分、特にPtが、DOC及び/又はNAC及び/又はCSF成分から揮発すること、及びその後、白金族金属がSCR触媒の下流で捕捉されるようになることがあり得る。これは、Ptの存在が、反応(9)(NHの完全酸化を示す)等において、競合する、非選択的アンモニア酸化に対する高活性につながり、それによって二次排出を生成し、かつ/又はNHを非生産的に消費するため、SCR触媒の性能に対して極めて有害な影響を有し得る。
4NH+5O→4NO+6HO (9)
【0021】
ある自動車メーカーが、SAE paper 2009−01−0627においてこの現象の観察を報告しており、これは“Impact and Prevention of Ultra−Low Contamination of Platinum Group Metals on SCR catalysts Due to DOC Design”と題され、流動モデル排ガスと850℃で16時間接触させた4つの供給業者の白金族金属(PGM)含有DOCの後ろに直列に位置するFe/ゼオライトSCR触媒について、温度に対するNO変換活性を比較したデータを包含するものである。提示された結果は、計70gft−3のPGMで20Pt:Pd DOCの後ろに配されているFe/ゼオライトSCR触媒のNO変換活性が、Pt汚染の結果としてのより低い評価温度と比較して高い評価温度で悪化したことを示している。計105gft−3のPGMの、異なる供給業者からの2つの2Pt:Pd DOCも試験した。第一の2Pt:Pd DOCにおいては、SCR触媒活性が20Pt:Pd DOCについての試験と同程度まで影響を及ぼしたのに対し、SCR触媒活性を試験した第二の2Pt:Pd DOCは、程度は低いながら汚染されたのであるが、第二の2Pt:Pd DOCは、ブランク対照(DOCなし、裸基材のみ)と比較して低減したNO変換活性を依然として示した。著者は、より穏やかなNO変換の劣化を示した第二の2Pt:Pd DOCの供給業者が、存在する70gft−3のPtを35gft−3のPdで安定化することにより成功したと結論付けた。150gft−3のPdのみのDOCは、ブランク対照と比べて下流SCRに対する影響を実証しなかった。SAE 2009−01−0627の著者による以前の著作は、SAE paper no.2008−01−2488において公開されている。
【0022】
米国特許出願公開第2011/0014099号明細書は、リーン条件下で主に動作される内燃機関の排ガスから酸化窒素及び粒子を除去するために有用な触媒活性粒子フィルタについて教示している。粒子フィルタは、フィルタ本体と、白金族金属酸化触媒活性コーティングと、第二のコーティング内に位置する銅化合物とを備える。
【発明の概要】
【0023】
自動車メーカーは、出願人に、SCR触媒の上流にある成分からの比較的低レベルのPGMの揮発の問題を解決するための手段を求め始めた。高温におけるこのPGMの下流SCR触媒への動きを防止するための戦略を開発することが非常に望ましいであろう。本発明者らは、この必要性を満たすために、いくつかの戦略を開発した。
【0024】
本発明者らは、白金及びパラジウムの両方を含むPGM含有触媒からの白金の揮発が、過酷な温度条件下、Pt:Pdの重量比が約2:1より大きい場合に起こり得ることを見出した。PGMが白金からなる場合にも、白金揮発が観察され得るとも考えられている。本発明者らは、PGM、特にPtが上流の比較的高荷重のPt触媒から下流SCR触媒へ移動する問題を回避又は低減させる下流SCR触媒と組み合わせて使用するための、PGM含有触媒組成物を包含する排気システム配置を考案した。
【0025】
第一の態様によれば、本発明は、内燃機関用の排気システムであって、
a)第一の触媒化基材モノリスであり、該基材モノリスの第一のウォッシュコートゾーンに配されている第一のウォッシュコートコーティングと該基材モノリスの第二のウォッシュコートゾーンに配されている第二のウォッシュコートコーティングとを含み、ここで、第一のウォッシュコートコーティングが、少なくとも一の白金族金属(PGM)及び少なくとも一の担体材料を含む触媒組成物を含み、第一のウォッシュコートコーティング中の少なくとも一のPGMは、第一のウォッシュコートコーティングが比較的高い温度を含む比較的過酷な条件に曝露されている場合に揮発する傾向があり、第二のウォッシュコートコーティングは、揮発したPGMを捕捉するための銅を担持する少なくとも一の材料を含み、第二のウォッシュコートコーティングは、第一のウォッシュコートと接触した排ガスと接触するように配向されている、第一の触媒化基材モノリスと、
b)第二の触媒化基材モノリスであり、第一の触媒化基材モノリスから下流に配されている窒素性還元剤による、窒素の酸化物から二窒素への還元を選択的に触媒するための触媒を含む、第二の触媒化基材モノリスと
を備えるシステムを提供する。
【0026】
さらなる態様によれば、本発明は、本発明による排気システムを備える、特に自動車用の内燃機関を提供する。リーンバーン内燃機関は、典型的にはガソリン燃料又はガソリン燃料のブレンド及びエタノール等の他の成分で走行するポジティブ点火(例えば火花点火)エンジンであってよいが、好ましくは圧縮点火、例えばディーゼル型エンジンである。リーンバーン内燃機関は、ガソリン等の燃料又はディーゼル燃料のいずれかを動力源とする予混合(homogenous charge)圧縮点火(HCCI)エンジンを包含する。
【0027】
さらなる態様によれば、本発明は、本発明による排気システムを備える自動車を提供する。典型的には、自動車はさらに内燃機関を備える。
【0028】
またさらなる態様によれば、本発明は、白金族金属(PGM)を含む触媒組成物が比較的高い温度を含む比較的過酷な条件に曝露されている場合に、リーンバーン内燃機関の排気システム内の選択的接触還元(SCR)触媒が、少なくとも一の担体材料上に担持され該SCR触媒の上流の基材モノリス上に配されている少なくとも一のPGMを含む触媒組成物から揮発し得るPGMで被毒するのを低減させる又は防止する方法であって、PGMを含む触媒組成物と同じ基材モノリス上に配されている、銅を担持する少なくとも一の材料を含むウォッシュコートコーティング中の揮発したPGMを捕捉するステップを含む方法を提供する。
【0029】
本発明はさらに、典型的にはリーンバーン内燃機関の排気システム内の、白金族金属(PGM)による選択的接触還元(SCR)触媒の被毒を低減させる又は防止するためのウォッシュコートコーティングの使用に関し、前記ウォッシュコートコーティングは、銅を担持する少なくとも一の材料を含み、前記ウォッシュコートコーティングは、少なくとも一のPGMを含む基材モノリスの上に配されており、好ましくは少なくとも一の担体材料に担持されている。
【0030】
本発明のさらなる態様は、典型的にはリーンバーン内燃機関の排気システム内の、白金族金属(PGM)による選択的接触還元(SCR)触媒の被毒を低減させる又は防止するための触媒化基材モノリスの使用に関し、該触媒化基材モノリスは、該基材モノリスの第一のウォッシュコートゾーンに配されている第一のウォッシュコートコーティングと該基材モノリスの第二のウォッシュコートゾーンに配されている第二のウォッシュコートコーティングとを含み、ここで、第一のウォッシュコートコーティングが、少なくとも一の白金族金属(PGM)及び少なくとも一の担体材料を含む触媒組成物を含み、第一のウォッシュコートコーティング中の少なくとも一のPGMは、第一のウォッシュコートコーティングが比較的高い温度を含む比較的過酷な条件に曝露されている場合に揮発する傾向があり、第二のウォッシュコートコーティングは、揮発したPGMを捕捉するための銅を担持する少なくとも一の材料を含み、場合により、第二のウォッシュコートコーティングは、第一のウォッシュコートと接触した排ガスと接触するように配向されている。本発明は、さらに好ましくは、リーンバーン内燃機関の排ガス中の、白金族金属(PGM)による選択的接触還元(SCR)触媒の被毒を低減させる又は防止するため、ならびに一酸化炭素(CO)及び/又は炭化水素(HCs)を酸化させるための、触媒化基材モノリスの使用に関する。
【0031】
本発明をより完全に理解できるように、単に例示目的で添付図と共に、下記の実施例を参照する。
【図面の簡単な説明】
【0032】
図1】Fe/ベータゼオライトSCR触媒又はCu/CHAゼオライトSCR触媒上での白金汚染を試験するために使用される実験室反応器の概略図である。
図2】NO変換活性を、そのそれぞれが、本発明において使用するための実施例3又は比較例2のコア試料を含有する実験室規模の排気システム構成においてエージングされた、2つのエージングSCR触媒コアの温度の関数として比較するグラフである。エージングSCR活性の結果を、フレッシュな、すなわちエージングさせていないSCR触媒の活性に対してプロットする。
図3】NO変換活性を、そのそれぞれが、Fe/ベータゼオライトSCR触媒の上流に配されている触媒化されたウォールフローフィルタを含む実験室規模の排気システム構成であって、入口及び出口チャネルの両方が1:1重量比のPt:Pdでコーティングされたフィルタを備える一システム;入口及び出口チャネルの両方が5:1重量比のPt:Pdでコーティングされたフィルタを備える第二のシステム;ならびに入口及び出口チャネルの両方がPtのみの触媒でコーティングされたフィルタを備える第三の比較用システムであるシステム構成においてエージングされた、3つのエージングSCR触媒コアの温度の関数として比較するグラフである。エージングSCR活性の結果を、フレッシュな、すなわちエージングされていないSCR触媒の活性に対してプロットする。
図4】NO変換活性を、そのそれぞれが、チューブ炉内、900℃で2時間、流動合成排ガス中で加熱した実施例8のディーゼル酸化触媒のコア試料を、下流に位置する300℃に保たれたCu/CHAゼオライトSCR触媒コアとともに含有する図1において示されている実験室規模の排気システムにおいてエージングされた、2つのエージングSCR触媒コアの温度の関数として比較する棒グラフである。
図5】本発明による排気システム実施形態の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0033】
典型的には、本発明による排気システムは、第一の触媒化基材モノリスと第二の触媒化基材モノリスとの間に、窒素性還元剤を排ガスに注入するための注入器を備えていてよい。本発明において使用するための窒素性還元剤及びその前駆体は、背景技術の節との関連で上記で言及したもののいずれかを包含する。故に、例えば、窒素性還元剤は、好ましくはアンモニア又は尿素である。
【0034】
代替として、(すなわち、第一の触媒化基材モノリスと第二の触媒化基材モノリスとの間に配されているアンモニア又は尿素等のその前駆体を注入するための手段なしに)、又はアンモニアもしくはその前駆体を注入するための手段に加えて、アンモニアガスが、第一のウォッシュコートコーティングの触媒組成物及び/又はDOCもしくはNAC上のNOの還元によってその場で発生するように、排ガスをリッチ化させるためのエンジン管理手段、典型的には、第一の基材モノリスの上流又は第一の基材モノリスの下流に配された、DOC組成物又はNAC組成物を含む基材モノリスが好ましくは設けられている。基材モノリスがDOC組成物もしくはNAC組成物を含む、又はNACがフィルタの下流に配されている場合、これは、好ましくは、アンモニアもしくはその前駆体を注入するための手段の上流に、又は第一及び第二の触媒化基材モノリスの間に配されている。
【0035】
適切に設計され管理されたディーゼル圧縮点火エンジン(基材モノリスの上流、図示されず)と組み合わさって、リッチ化された排ガス、すなわち、正常なリーン走行モードと比べて増大した分量の一酸化炭素及び炭化水素を含有する排ガスが、NACと接触する。PGM促進セリア又はセリア−ジルコニア等のNAC又はNAC組成物内の成分は、水−ガスシフト反応、すなわち、CO(g)+H(v)→CO2(g)+H2(g)でH放出を促進することができる。反応(3)及び(4)について上記で提示されている副反応注釈、例えばBa(NO)+8H→BaO+2NH+5HOから、NHをその場で発生させ、下流SCR触媒上でのNO還元のために貯蔵することができる。
【0036】
本発明において使用するための窒素性還元剤及びその前駆体は、背景技術の節との関連で上記で言及したもののいずれかを包含する。故に、例えば、窒素性還元剤は、好ましくはアンモニア又は尿素である。
【0037】
一般に、第一のウォッシュコートコーティングは白金を含む。第一のウォッシュコートコーティング中の少なくとも一のPGMが白金である場合、該白金は、第一のウォッシュコートコーティングが比較的高い温度を含む比較的過酷な条件に曝露されている場合に揮発する傾向があるPGMである。比較的高い温度を含む比較的過酷な条件は、例えば、700℃以上、好ましくは800℃以上、又はより好ましくは900℃以上の温度である。
【0038】
典型的には、第一のウォッシュコートコーティングは、白金及びパラジウムの両方を含む(すなわち、少なくとも一のPGMは白金及びパラジウムの両方である)。白金及び/又はパラジウムは、第一のウォッシュコートコーティングが比較的高い温度を含む比較的過酷な条件に曝露されている場合に揮発する傾向があるPGMであり得る。しかしながら、白金及びパラジウムの両方が存在する場合、通常は白金が、第一のウォッシュコートコーティングが比較的高い温度を含む比較的過酷な条件に曝露されている場合に揮発する傾向があるPGMである可能性が高い。
【0039】
本発明の一実施形態において、第一のウォッシュコートコーティングは、金、とりわけパラジウム−金合金を含まない。
【0040】
第一の触媒化基材モノリスは、揮発した白金が白金を含む触媒から下流SCR触媒へ移動するのを低減させる又は防止するための手段を備えているため、例えば、NOを発生させて、濾過された粒子状物質の下流燃焼を促進することを目的として、白金を含む触媒において、10:1以下、例えば、8:1、6:1、5:1又は4:1等の比較的高いPt:Pd重量比を使用することが可能である。本発明の第一の触媒化基材モノリスの設計は、揮発したPGMが下流SCR触媒と接触するのを実質的に防止するため、PGMがそこから揮発し得るが、そのような比較的高いPt:Pd重量比を使用することが可能である。
【0041】
しかしながら、本発明者らは、Pt:Pd重量比を低減させることにより、PGM揮発のレベルをさらに低減させることが可能であり、これにより、下流SCR触媒のPGM被毒を低減させる又は防止することができるのを見出した。第一のウォッシュコートコーティング中の少なくとも一のPGMが白金及びパラジウムの両方を含む場合、好ましくは、Pt:Pdの重量比は、1.5:1以下、例えば約1:1等、2以下である。この特徴の重要性は、実施例において示されている:本発明者らは、好ましいPt:Pd重量比が、4:1のPt:Pd重量比を有する同様の触媒よりも経験的試験による揮発が少ないことを見出した。層状の触媒配列において、外層が2以下のPt:Pd重量比を有すること、又は場合により、合わせたすべての層の全体的なPt:Pd重量比が2以下であることが好ましい。
【0042】
典型的には、Pt:Pdの重量比は、35:65以上(例えば7:13以上)である。重量比Pt:Pdは、40:60以上(例えば2:3以上)、より好ましくは42.5:57.5以上(例えば17:23以上)、特に50:50以上(例えば1:1以上)等の45:55以上(例えば9:11以上)、なお一層好ましくは1.25:1以上であることが好ましい。Pt:Pdの重量比は、典型的には10:1から7:13である。Pt:Pdの重量比は、8:1から2:3、より好ましくは6:1から17:23、さらに一層好ましくは4:1から1:1等の5:1から9:11、なお一層好ましくは2:1から1.25:1であることが好ましい。
【0043】
一般に、白金族金属(PGM)の総量(例えば、Pt及び/又はPdの総量)は、1から500gft−3である。好ましくは、PGMの総量は、5から400gft−3、より好ましくは10から300gft−3、なお一層好ましくは25から250gft−3、さらに一層好ましくは35から200gft−3である。
【0044】
第一のウォッシュコートコーティング中の担体材料は、金属酸化物(すなわち少なくとも一の金属酸化物)、モレキュラーシーブ(すなわち少なくとも一のモレキュラーシーブ)又はそれらの任意の二以上の混合物であってよい。好ましくは、担体材料は、少なくとも一の金属酸化物を含む。担体材料が少なくとも一の金属酸化物を含むこと、及び第一のウォッシュコートコーティングが少なくとも一のモレキュラーシーブを含むことがさらに好ましい。
【0045】
一般に、第一のウォッシュコートコーティングの少なくとも一の金属酸化物担体は、安定化されていてもよいアルミナ、非晶質シリカ−アルミナ、安定化されていてもよいジルコニア、セリア、チタニア、安定化されていてもよいセリア−ジルコニア混合酸化物及びそれらの任意の二以上の混合物からなる群から選択される金属酸化物を含み得る。好適な安定剤は、シリカ及び希土類金属の1つ又は複数を包含する。第一のウォッシュコートコーティングは、好ましくは、安定化されていてもよいアルミナ又は非晶質シリカ−アルミナを含む。
【0046】
典型的には、第二のウォッシュコートコーティング中の担体材料は、金属酸化物(すなわち少なくとも一の金属酸化物)、モレキュラーシーブ(すなわち少なくとも一のモレキュラーシーブ)又はそれらの任意の二以上の混合物であってよい。故に、銅を担持する少なくとも一の材料は、少なくとも一の担体材料上に担持されている銅であり、ここで、該担体材料は本明細書において記載されている通りである。
【0047】
第二のウォッシュコートコーティングは、モレキュラーシーブを含み得る。第二のウォッシュコートコーティング中の銅を担持するモレキュラーシーブは、窒素性還元剤を使用する窒素の酸化物の還元のためのSCR触媒として活性であるような手法で配合され得ることが分かる。銅/モレキュラーシーブSCR触媒と、アンモニアガスが、第一のウォッシュコートの触媒組成物上のNOの還元によってその場で発生するように、排ガスをリッチ化させるためのエンジン管理手段との組合せが特に好ましい。一実施形態において、第二のウォッシュコートコーティングは、安定化されていてもよいアルミナ、非晶質シリカ−アルミナ、安定化されていてもよいジルコニア、セリア、チタニア、安定化されていてもよいセリア−ジルコニア混合酸化物及びそれらの任意の二以上の混合物等の金属酸化物を含まない。
【0048】
しかしながら、第二のウォッシュコートコーティングの少なくとも一の金属酸化物担体は、典型的には、安定化されていてもよいアルミナ、非晶質シリカ−アルミナ、安定化されていてもよいジルコニア、セリア、チタニア、安定化されていてもよいセリア−ジルコニア混合酸化物及びそれらの任意の二以上の混合物からなる群から選択される金属酸化物を含む。好適な安定剤は、シリカ及び希土類金属の1つ又は複数を包含する。
【0049】
第二のウォッシュコートコーティングが金属酸化物を含む場合、好ましくは、金属酸化物は、安定化されていてもよいアルミナ、非晶質シリカ−アルミナ、安定化されていてもよいジルコニア、チタニア、安定化されていてもよいセリア−ジルコニア混合酸化物及びそれらの任意の二以上の混合物からなる群から選択される。より好ましくは、金属酸化物は、安定化されていてもよいアルミナである。
【0050】
一実施形態において、第二のウォッシュコートコーティングは、セリア及び/又はモレキュラーシーブを含まない。
【0051】
第二のウォッシュコートコーティングは、典型的には、銅を10から350gft−3までの総量で含む。第二のウォッシュコートコーティング中の銅の総量は、20から300gft−3、より好ましくは30から250gft−3、なお一層好ましくは45から200gft−3、さらに一層好ましくは50から175gft−3であるのが好ましい。
【0052】
第一のウォッシュコートコーティングは、少なくとも一の白金族金属(PGM)と該少なくとも一のPGMのための少なくとも一の担体材料とを含む触媒組成物を含む。触媒を、典型的には、仕上げ触媒コーティング中に少なくとも一のPGM塩及び一又は複数の担体材料を含むウォッシュコートスラリーとして、基材モノリスに適用し、その後、コーティングされたフィルタを乾燥させ、次いで焼成する。一又は複数の担体材料を、「ウォッシュコート成分」と称することがある。少なくとも一のPGMを、一又は複数の担体材料に予め固定した後でそれをスラリー化すること、あるいはPGMが予め固定されている担体材料粒子の組合せを、PGM塩の溶液中でスラリー化することも可能である。
【0053】
本明細書において、少なくとも一の「担体材料」により、本発明者らは、安定化されていてもよいアルミナ、非晶質シリカ−アルミナ、安定化されていてもよいジルコニア、セリア、チタニア及び安定化されていてもよいセリア−ジルコニア混合酸化物からなる群から選択される金属酸化物、又はモレキュラーシーブ及びそれらの任意の二以上の混合物を意味する。
【0054】
少なくとも一の担体材料は、一又は複数のモレキュラーシーブ、例えばアルミノケイ酸塩ゼオライトを包含し得る。本発明において使用するためのPGM触媒中におけるモレキュラーシーブの主要な役割は、デューティサイクルの低温始動後又は低温期中に炭化水素を貯蔵し、関連する白金族金属触媒成分がHC変換のためにより活性になった際に貯蔵されている炭化水素をより高い温度で放出することにより、デューティサイクル全体にわたって炭化水素変換を改良することである。例えば、本出願人/譲受人の欧州特許第0830201号明細書を参照されたい。モレキュラーシーブは、典型的には軽量ディーゼル車用の本発明による触媒組成物において使用されるが、大型車両用ディーゼルエンジンにおける排ガス温度は、炭化水素捕捉機能性が概して必要とされないことを意味するため、大型車両用ディーゼル用途用の触媒組成物においては稀にしか使用されない。
【0055】
しかしながら、アルミノケイ酸塩ゼオライト等のモレキュラーシーブは、主としてシリカ、特に、それらの熱耐久性の増大に好都合である比較的高いシリカ対アルミナモレキュラーシーブであるため、白金族金属の特に良好な担体ではない:該モレキュラーシーブは、エージング中に熱劣化して、これによりモレキュラーシーブの構造が崩壊し得、かつ/又はPGMが焼結し得、より低い分散、ならびに結果としてより低いHC及び/又はCO変換活性をもたらし得る。
【0056】
第一のウォッシュコートコーティング及び/又は第二のウォッシュコートコーティングがそれぞれモレキュラーシーブを含む場合、好ましくは、第一のウォッシュコートコーティング及び/又は第二のウォッシュコートコーティングは、個々のウォッシュコートコーティング層の30重量%以下(25重量%以下、20重量%以下、例えば15重量%以下等)のモレキュラーシーブを含む。第一のウォッシュコートコーティング又は第二のウォッシュコートコーティングの残りの少なくとも一の担体材料は、安定化されていてもよいアルミナ、非晶質シリカ−アルミナ、安定化されていてもよいジルコニア、セリア、チタニア及び安定化されていてもよいセリア−ジルコニア混合酸化物ならびにそれらの任意の二以上の混合物からなる群から選択される金属酸化物を含み得る。
【0057】
担体材料/炭化水素吸蔵体としての使用に好ましいモレキュラーシーブは、中型孔ゼオライト、好ましくはアルミノケイ酸塩ゼオライト、すなわち、最大環サイズの8個の四面体原子を有するもの、及び大型孔ゼオライト(最大10個の四面体原子)好ましくはアルミノケイ酸塩ゼオライトであり、フォージャサイト、クリノプチロライト、モルデナイト、シリカライト、フェリエライト、ゼオライトX、ゼオライトY、超安定性ゼオライトY、ZSM−5ゼオライト、ZSM−12ゼオライト、SSZ−3ゼオライト、SAPO−5ゼオライト、オフレタイト又はベータゼオライト、好ましくはZSM−5、ベータ及びYゼオライト等の天然又は合成ゼオライトを包含する。好ましいゼオライト吸蔵材料は、水熱安定性の改良のために、高いシリカ対アルミナ比を有する。ゼオライトは、少なくとも約25/1、好ましくは少なくとも約50/1のシリカ対/アルミナモル比を、約25/1から1000/1まで、50/1から500/1及び約25/1から100/1、25/1から300/1、約100/1から250/1までの有用な範囲で有し得る。
【0058】
本発明において使用するための基材モノリスは、コーディエライト、チタン酸アルミニウム、炭化ケイ素等のセラミック;又は例えばフェライト鉄−クロム−アルミニウム合金の薄い金属箔製の金属であってよい。
【0059】
第一の基材モノリスは、フロースルー基材モノリス又は濾過基材モノリスであってよい。第二のウォッシュコートコーティングは、一般に、第一のウォッシュコートと接触した排ガスと接触するように配向されている。これは、第一のウォッシュコートコーティングを、排ガスと最初に接触させるためである。次いで、第一のウォッシュコートコーティングからの排ガス及び任意の揮発したPGMは、揮発したPGMを捕捉するための銅を包含する第二のウォッシュコートコーティングと接触する。
【0060】
第一の基材モノリスがフロースルー基材モノリスである場合、典型的には、第一のウォッシュコートゾーン又は第一のウォッシュコートコーティングのいずれかが基材モノリスの入口端に配されており、第二のウォッシュコートゾーン又は第二のウォッシュコートコーティングが基材モノリスの出口端に配されている。第一のウォッシュコートコーティング及び第二のウォッシュコートコーティングは、(例えば基材モノリスの中央部で)重複していてよい。第一のウォッシュコートコーティング及び第二のウォッシュコートコーティングが重複している(例えば一方のウォッシュコートコーティングが他方の上にある)場合、好ましくは、第二のウォッシュコートコーティングが第一のウォッシュコートコーティングの上に(例えば重複領域内に)配されており、第一のウォッシュコートコーティングが基材モノリスの上に配されている(すなわち、第一のウォッシュコートコーティングは基材モノリスの表面に接触している)。第一のウォッシュコートコーティングと第二のウォッシュコートコーティングとの間、又は第一のウォッシュコートゾーンと第二のウォッシュコートゾーンとの間に、実質的に重複がないことが好ましい。
【0061】
典型的には、濾過基材モノリスは入口表面及び出口表面を有し、入口表面は多孔質構造によって出口表面から分離されており、第一のゾーンの第一のウォッシュコートコーティングが入口表面に適用されており、第二のゾーンの第二のウォッシュコートコーティングが出口表面に適用されている。第一の基材モノリスが濾過基材モノリスである場合、好ましくは、濾過基材モノリスは、背景技術の節において上述されているもの等のウォールフローフィルタであり、ウォールフローフィルタの入口チャネルは第一のゾーンを含み、ウォールフローフィルタの出口チャネルは第二のゾーンを含む。
【0062】
単層ウォッシュコートコーティング及び二重層配列(1つのウォッシュコートコーティング層が別のウォッシュコートコーティング層の上にある)を包含する触媒化基材モノリスを作製する方法は、当技術分野において公知であり、出願人/譲受人の国際公開第99/47260号パンフレットを包含する、すなわち、(a)基材モノリスの上の第一端に抑制手段を位置付けるステップと、(b)所定分量の第一のウォッシュコートコーティング成分を前記抑制手段に投入するステップとを、(a)次いで(b)、又は(b)次いで(a)のいずれかの順序で、ならびに(c)圧力又は真空を印加することにより、前記第一のウォッシュコートコーティング成分を基材モノリスの少なくとも一部に取り込み、及び前記分量の実質的にすべてを基材モノリス内に保持するステップとを含む。第一のステップにおいて、塗布の第一端からのコーティングを乾燥させてよく、乾燥した基材モノリスを180度反転させてよく、同じ手順を、基材モノリスの上の第二端に、基材モノリスの第一及び第二端からの塗布の間に層の重複が実質的にないように行ってよい。次いで、得られたコーティング生成物を乾燥させ、次いで焼成する。第二のウォッシュコートコーティング成分を用いてプロセスを繰り返して、本発明による触媒化された(二層)基材モノリスを提供する。
【0063】
本発明において使用するための濾過基材モノリスは、好ましくは、ウォールフローフィルタ、すなわち、複数の出口チャネルと並行して配設されている複数の入口チャネルを含み、ここで、各入口チャネル及び各出口チャネルは多孔質構造のセラミック壁によって部分的に画定され、各入口チャネルは、多孔質構造のセラミック壁によって出口チャネルから交互に分離されており、逆もまた然りである、セラミック多孔質フィルタ基材である。換言すれば、ウォールフローフィルタは、上流端が塞がれている複数の第一のチャネルと、上流端は塞がれていないが下流端が塞がれている複数の第二のチャネルとを画定するハニカム配列である。第一のチャネルに縦方向及び横方向に隣接しているチャネルは、下流端が塞がれている。いずれかの端から見ると、チャネルの交互に塞がれている端及び開口した端は、チェス盤の外観を呈している。
【0064】
触媒化されたフィルタ、好ましくはウォールフローフィルタは、出願人/譲受人の国際公開第2011/080525号パンフレットにおいて開示されている方法を使用してコーティングすることができる。すなわち、複数のチャネルを含むハニカムモノリス基材を、触媒成分を含む液体でコーティングする方法であって、(i)ハニカムモノリス基材を実質的に縦方向に把持するステップと、(ii)所定体積の液体を、基材の下端にあるチャネルの開口端を介して基材に導入するステップと、(iii)導入された液体を基材内に密封して保持するステップと、(iv)保持された液体を含有する基材を裏返しにするステップと、(v)基材の裏返しになった下端にある基材のチャネルの開口端に真空を印加して、基材のチャネルに沿って液体を取り込むステップとを含む方法である。触媒組成物をフィルタチャネル上に第一端からコーティングしてよく、その後、コーティングされたフィルタを乾燥させてよい。
【0065】
第二の基材モノリスは、入口表面及び出口表面を有するフロースルー基材モノリス又は濾過基材モノリスであってよく、入口表面は多孔質構造によって出口表面から分離されており、好ましくはウォールフローフィルタである。
【0066】
第一のウォッシュコートゾーンに配されている第一のウォッシュコートコーティングは、本発明の背景技術において上述されている通りの酸化触媒又はNO吸蔵触媒(すなわち、酸化又はNAC組成物)を含んでよい。NAC又はNAC組成物は、酸化触媒と比べて有意な分量のアルカリ土類金属及び/又はアルカリ金属を含有する。NAC又はNAC組成物は、典型的には、セリア又はセリア含有混合酸化物、例えば、セリウム及びジルコニウムの混合酸化物も包含し、この混合酸化物は、場合により、一又は複数の追加のランタニド又は希土類元素をさらに包含する。第一の基材モノリスが濾過基材モノリスであり、かつ第一のウォッシュコートが酸化触媒である場合、このデバイスは多くの場合、当技術分野において、「触媒煤煙フィルタ」又は「CSF」と称される。
【0067】
第二の触媒化基材モノリスは、選択的接触還元(SCR)触媒としても公知の、窒素性還元剤による、窒素の酸化物から二窒素への還元を選択的に触媒するための触媒を含む。
【0068】
典型的には、SCR触媒は、上述したもの等の基材モノリスへのコーティングとしてコーティングされる。
【0069】
代替として、SCR触媒は押出物(「触媒本体」としても公知である)として提供される、すなわち、該触媒は、いずれも押出されている基材モノリス構造の成分と混合され、そのため、触媒は基材モノリスの壁の一部となる。
【0070】
第二の基材モノリスのSCR触媒は、濾過基材モノリス又はフロースルー基材モノリスを含み得る。押出されているSCR触媒からウォールフローフィルタを作製することも可能である(出願人/譲受人の国際公開第2009/093071号パンフレット及び国際公開第2011/092521号パンフレットを参照)。第二の触媒化基材モノリスとの関連で使用するための選択的接触還元(SCR)触媒は、耐火性酸化物又はモレキュラーシーブ上に担持されている、Cu、Hf、La、Au、In、V、ランタニド、及びFe等の第VIII族遷移金属の少なくとも1つからなる群から選択され得る。好適な耐火性酸化物は、Al、TiO、CeO、SiO、ZrO、及びそれらの2つ以上を含有する混合酸化物を包含する。非ゼオライト触媒は、酸化タングステン、例えばV/WO/TiOも包含し得る。特に興味深い好ましい金属は、Ce、Fe及びCuからなる群から選択される。モレキュラーシーブは、上記の金属とイオン交換することができる。
【0071】
少なくとも一のモレキュラーシーブは、アルミノケイ酸塩ゼオライト又はSAPOであることが好ましい。少なくとも一のモレキュラーシーブは、例えば、小型、中型又は大型孔モレキュラーシーブであってよい。
【0072】
本明細書において、「小型孔モレキュラーシーブ」により、本発明者らは、CHA等の最大環サイズの8個の四面体原子を含有するモレキュラーシーブを意味し;本明細書において、「中型孔モレキュラーシーブ」により、本発明者らは、ZSM−5等の最大環サイズの10個の四面体原子を含有するモレキュラーシーブを意味し;本明細書において、「大型孔モレキュラーシーブ」により、本発明者らは、ベータ等の最大環サイズの12個の四面体原子を有するモレキュラーシーブを意味する。小型孔モレキュラーシーブは、SCR触媒において使用するために潜在的に有利であり、例えば国際公開第2008/132452号パンフレットを参照されたい。本発明によるSCR触媒において使用するためのモレキュラーシーブは、モレキュラーシーブのフレームワーク、例えばFe「フレームワーク内」ベータ及びCu「フレームワーク内」CHAに組み込まれる一又は複数の金属を包含する。
【0073】
本発明において用途を持つ特定のモレキュラーシーブは、CHAモレキュラーシーブ、例えば現在好ましいアルミノケイ酸塩CHAを持つ、特に促進剤としてのCuと組み合わせた、例えばイオン交換された、AEI、ZSM−5、ZSM−20、ZSM−34を包含するERI、モルデナイト、フェリエライト、ベータを包含するBEA、Y、CHA、Nu−3を包含するLEV、MCM−22及びEU−1からなる群から選択される。
【0074】
場合により触媒化された濾過基材モノリス(すなわち第三の触媒化基材モノリス)は、第二の触媒化基材から下流に、すなわち、上記の本発明の背景技術との関連で論じたDOC/SCR/CSF配列で配されることが好ましい。濾過基材モノリスは、好ましくはウォールフローフィルタである。触媒される場合、濾過基材モノリスとの関連で使用するための触媒は酸化触媒であるが、代替的な実施形態において、NAC組成物であってよい。代替として、濾過基材モノリスは無触媒であってよい。
【0075】
本発明による排気システムを図5に示す。排気システム20は、上流から下流へ直列配列で、触媒化されたフロースルー基材モノリス12と;アンモニア前駆体、尿素のための注入器を備えるアンモニア源13と;Fe/ベータSCR触媒でコーティングされたフロースルー基材モノリス14とを備える。各基材モノリス12、14は、円錐形ディフューザを含む金属容器又は「缶」内に配されており、基材モノリス12、14のいずれかの断面積よりも小さい断面積の一連の導管3によって連結されている。円錐形ディフューザは、「缶詰にした」基材モノリスの筺体に入る排ガスの流れを拡散させるように作用するため、排ガスは全体として、各基材モノリスの前「面」全体を実質的に横断するように方向付けられる。基材モノリス4を出た排ガスは、「排気管」5で大気中に放出される。
【0076】
触媒化されたフロースルー基材モノリス12は、4:1 Pt:Pd重量比の触媒でコーティングされたその上流端によって部分的に画定されており、Pt及びPdは担体材料上に担持されている、第一のゾーン16と;第一のゾーン16と実質的に重複がないフロースルー基材モノリスの全長の約50%の第二のゾーン18であって、安定化された粒子状アルミナ担体材料上に担持された銅化合物を含む第二のゾーン18とを含む。触媒化されたフロースルー基材モノリスは、反応(1)及びそれにより下流SCR触媒上での反応(6)を促進することを目的として設計されている。
【実施例】
【0077】
実施例1− 5wt%Fe/ベータゼオライトがコーティングされた基材モノリスの調製
市販のベータゼオライトを、Fe(NO)の水溶液に撹拌しながら添加した。混合した後、結合剤及びレオロジー改質剤を添加して、ウォッシュコート組成物を形成した。
【0078】
400セル毎平方インチのコーディエライトフロースルー基材モノリスを、5wt%のFe/ベータゼオライト試料の水性スラリーで、国際公開第99/47260号パンフレットにおいて開示されている方法、すなわち、(a)担体の上に抑制手段を位置付けるステップと、(b)所定分量の液体成分を前記抑制手段に投入するステップとを、(a)次いで(b)、又は(b)次いで(a)のいずれかの順序で、ならびに(c)圧力又は真空を印加することにより、前記液体成分を担体の少なくとも一部に取り込み、及び前記分量の実質的にすべてを担体内に保持するステップとを含む方法を使用してコーティングした。このコーティングされた生成物(一端からのみコーティングされたもの)を乾燥させ、次いで焼成し、2つのコーティング間の接合部において軸方向にわずかに重複して、実質的に基材モノリス全体がコーティングされるように、このプロセスを他端から繰り返す。直径1インチ(2.54cm)×長さ3インチのコアを完成品から切り取った。
【0079】
比較例2− Ptのみで触媒化されたウォールフローフィルタの調製
脱イオン水中、比較的高い粒径分布に粉砕したアルミナ粒子、硝酸白金、結合剤及びレオロジー改質剤の混合物を含むウォッシュコート組成物を調製した。チタン酸アルミニウムウォールフローフィルタを、0.2g/inのウォッシュコート負荷から5g/ft−3までの総計Pt負荷の触媒組成物で、出願人/譲受人の国際公開第2011/080525号パンフレットにおいて開示されている方法及び装置を使用してコーティングし、ここで、上流側への配向が意図されている第一端のチャネルは、それらの全長の75%にわたり、意図されているその上流端から硝酸白金及び粒子状アルミナを含むウォッシュコートでコーティングし;反対端にあって下流側へ配向されることが意図されているチャネルは、それらの全長の25%にわたり、入口チャネルと同じウォッシュコートでコーティングする。すなわち、前記方法は、(i)ハニカムモノリス基材を実質的に縦方向に把持するステップと、(ii)所定体積の液体を、基材の下端にあるチャネルの開口端を介して基材に導入するステップと、(iii)導入された液体を基材内に密封して保持するステップと、(iv)保持された液体を含有する基材を裏返しにするステップと、(v)基材の裏返しになった下端にある基材のチャネルの開口端に真空を印加して、基材のチャネルに沿って液体を取り込むステップとを含むものであった。触媒組成物をフィルタチャネル上に第一端からコーティングし、その後、コーティングされたフィルタを乾燥させた。次いで、第一端からコーティングされた乾燥したフィルタの方向を変え、前記方法を繰り返して同じ触媒を第二端からフィルタチャネルまでコーティングし、続いて乾燥させ、焼成した。
【0080】
直径1インチ(2.54cm)×長さ3インチ(7.62cm)のコアを完成品から切り取った。得られた部分を「フレッシュ」、すなわちエージングされていないと記述する。
【0081】
実施例3− Ptを入口に/Cu−Alを出口に含有する触媒化されたウォールフローフィルタの調製
コーティングされたフィルタは、ガス接触部の入口側の方への配向が意図されているチャネルのチャネル全長の100%を、硝酸白金及びアルミナを含有するウォッシュコートでコーティングした後、コーティングされたフィルタを乾燥させたこと;ならびに出口側の方への配向が意図されているチャネルの全長の35%を、アルミナ及び硫酸銅を含有するウォッシュコートでコーティングしたことを除き、比較例2と同じ方法を使用して調製した。次いで、得られたコーティングされたフィルタを乾燥させ、次いで焼成した。コーティングされたフィルタの入口チャネルにおけるPtの全負荷は、5gft−3であった。出口における全銅負荷は、66gft−3であった。
【0082】
直径1インチ(2.54cm)×長さ3インチのコアを完成品から切り取った。得られた部分を「フレッシュ」、すなわちエージングされていないと記述する。
【0083】
実施例4− 1:1重量%のPt:Pdを含有する触媒化されたウォールフローフィルタの調製
コーティングされたフィルタは、フィルタの入口チャネル及び出口チャネルの両方に適用されたウォッシュコートが、硝酸白金に加えて硝酸パラジウムを包含していたことを除き、比較例2と同じ方法を使用して調製した。入口及び出口チャネルにおけるウォッシュコート負荷は、入口表面及び出口表面の両方において5g/ftのPt、5g/ftのPdの負荷、すなわち、10g/ftの全PGM負荷に達するような手法で行った。
【0084】
直径1インチ(2.54cm)×長さ3インチのコアを完成品から切り取った。得られた部分を「フレッシュ」、すなわちエージングされていないと記述する。
【0085】
実施例5− 5:1重量%のPt:Pdを含有する触媒化されたウォールフローフィルタの調製
コーティングされたフィルタは、フィルタの入口チャネル及び出口チャネルの両方に適用されたウォッシュコートが、硝酸白金に加えて硝酸パラジウムを包含していたことを除き、比較例2と同じ方法を使用して調製した。入口及び出口チャネルにおけるウォッシュコート負荷は、入口表面及び出口表面の両方において5g/ftのPt、1g/ftのPd負荷、すなわち、6g/ftの全PGM負荷に達するような手法で行った。
【0086】
直径1インチ(2.54cm)×長さ3インチのコアを完成品から切り取った。得られた部分を「フレッシュ」、すなわちエージングされていないと記述する。
【0087】
実施例6− システム試験
図1において例証されている第一の合成触媒活性試験(SCAT)実験室反応器に対して試験を実施し、ここでは、実施例1のコーティングされたFe/ベータゼオライトSCR触媒のフレッシュなコアを、比較例2又は実施例3、4もしくは5の触媒化されたウォールフローフィルタのいずれかのコアの下流の導管内に配置した。合成ガス混合物を、30,000hr−1の触媒掃引体積(catalyst swept volume)で導管を通過させた。炉を使用して、定常温度の触媒化されたウォールフローフィルタ試料を、900℃のフィルタ入口温度で60分間加熱し(又は「エージング」させ)、その間、入口SCR触媒温度は300℃を使用した。空気(熱交換器)又は水冷却機構を使用して、フィルタとSCR触媒との間の温度降下を達成した。エージング中のガス混合物は、10%のO、6%のHO、6%のCO、100ppmのCO、400ppmのNO、100ppmのHCをC1として、バランスNであった。
【0088】
エージング後、エージングされたSCR触媒を第一のSCAT反応器から取り出し、第二のSCAT反応器に挿入して、エージングされた試料のNH−SCR活性を具体的に試験した。次いで、エージングされたSCR触媒を、150、200、250、300、350、450、550及び650℃におけるSCR活性について、合成ガス混合物(O=14%;HO=7%;CO=5%;NH=250ppm;NO=250ppm;NO=0ppm;N=バランス)を使用して試験し、得られたNO変換を、図2において、各温度データ点について温度に対してプロットした。このプロットは、本質的に、反応(9)と反応(5)との間の競合、及び故に、反応(9)が、SCR反応(反応(5))に必要とされる利用可能なNHの消費によるNO変換にどの程度影響を及ぼすかを測定するものである。
【0089】
結果を図2に示す。実施例3の試験結果から、本発明による排気システムにおけるSCR触媒が、比較例2におけるSCR触媒よりも活性を保持しているが、フレッシュな触媒よりも低いSCR活性を保持していることが分かる。本発明者らはこの結果を、SCR活性の喪失が、部分的に、上流の触媒化されたウォールフローフィルタからの低レベルのPtが下流SCR触媒に堆積することによって引き起こされることを示すものとして解釈している。フレッシュなFe/ベータ触媒と上流に存在するいかなる触媒もなく300℃で1時間でエージングさせたFe/ベータ触媒との間には、実質的に活性の喪失が見られなかった(結果は図示せず)。
【0090】
実施例7− 3wt%のCu/CHAゼオライトでコーティングされた基材モノリスの調製
市販のアルミノケイ酸塩CHAゼオライトを、Cu(NOの水溶液に撹拌しながら添加した。スラリーを濾過し、次いで洗浄し、乾燥させた。所望の金属負荷を実現するために、手順を繰り返してよい。最終生成物を焼成した。混合した後、結合剤及びレオロジー改質剤を添加して、ウォッシュコート組成物を形成した。
【0091】
400cpsiのコーディエライトフロースルー基材モノリスを、3wt%のCu/CHAゼオライト試料の水性スラリーで、上記の実施例1において記述されている、出願人/譲受人の国際公開第99/47260号パンフレットにおいて開示されている方法を使用してコーティングした。コーティングされた基材モノリスを、炉内、空気中にて、500℃で5時間エージングさせた。直径1インチ(2.54cm)×長さ3インチ(7.62cm)のコアを完成品から切り取った。
【0092】
実施例8− さらなるPt:Pd重量比研究
2つのディーゼル酸化触媒を次の通りに調製した。
【0093】
ディーゼル酸化触媒A
単層DOCを次の通りに調製した。硝酸白金及び硝酸パラジウムを、シリカ−アルミナのスラリーに添加した。ベータゼオライトをスラリーに添加して、スラリーが固体含有量の30質量%未満をゼオライトとして含むようにした。ウォッシュコートスラリーを、上記の実施例1の方法を使用して、400cpsiのフロースルー基材に投入した。投入された部分を乾燥させ、次いで500℃で焼成した。ウォッシュコートコーティング中の全白金族金属負荷は60gft−3であり、全Pt:Pd重量比は4:1であった。直径1インチ(2.54cm)×長さ3インチ(7.62cm)のコアを完成品から切り取った。得られた部分を「フレッシュ」、すなわちエージングされていないと記述する場合がある。
【0094】
ディーゼル酸化触媒B
単層DOCを次の通りに調製した。硝酸白金及び硝酸パラジウムを、シリカ−アルミナのスラリーに添加した。ベータゼオライトをスラリーに添加して、スラリーが固体含有量の30質量%未満をゼオライトとして含むようにした。ウォッシュコートスラリーを、DOC Aについて使用したのと同じ方法を使用して、400cpsiのフロースルー基材に投入した。投入された部分を乾燥させ、次いで500℃で焼成した。単層DOC中の全PGM負荷は120g/ftであり、Pt:Pd重量比は2:1であった。直径1インチ(2.54cm)×長さ3インチ(7.62cm)のコアを完成品から切り取った。得られた部分を「フレッシュ」、すなわちエージングされていないと記述する場合がある。
【0095】
両方の触媒を、実施例9において提示されているプロトコールに従って試験した。結果を、図3において対照(DOC A又はDOC Bのいずれかの下流でそれ以上エージングされていない、エージングされたSCR触媒)を基準として提示する。
【0096】
実施例9−システム試験
図1において例証されている第一の合成触媒活性試験(SCAT)実験室反応器に対して試験を実施し、ここでは、実施例7のコーティングされたCu/CHAゼオライトSCR触媒のエージングされたコアを、ディーゼル酸化触媒(DOC)A又はBのいずれかのコア(実施例8による)の下流の導管内に配置した。合成ガス混合物を、毎分6リットルの速度で導管を通過させた。炉を使用して、定常温度のDOC試料を、900℃の触媒出口温度で2時間加熱した(又は「エージング」させた)。SCR触媒をDOC試料の下流に配置し、炉出口とSCR入口との間のチューブの長さを調整することによって、エージングプロセス中300℃の触媒温度で把持したが、水冷式熱交換器ジャケットを適宜使用してもよい。温度は、適切に位置決めされた熱電対(T及びT)を使用して決定した。エージング中に使用したガス混合物は、40%の空気、50%のN、10%のHOであった。
【0097】
DOCエージング後、SCR触媒を第一のSCAT反応器から取り出し、第二のSCAT反応器に挿入して、エージングされた試料のNH−SCR活性を具体的に試験した。次いで、SCR触媒を、500℃におけるSCR活性について、合成ガス混合物(O=10%;HO=5%;CO=7.5%;CO=330ppm;NH=400ppm;NO=500ppm;NO=0ppm;N=バランス、すなわち、0.8のアルファ値を使用した(NH:NOの比)ため、利用できる最大可能NO変換は80%となった)を使用して試験し、得られたNO変換を、図4中の添付の棒グラフにおいて、温度に対してプロットした。このプロットは、本質的に、反応(9)と反応(5)との間の競合、及び故に、反応(9)が、SCR反応(反応(5))に必要とされる利用可能なNHの消費によるNO変換にどの程度影響を及ぼすかを測定するものである。
【0098】
Pt:Pd重量比研究−結論
全体として捉えると、実施例4及び5ならびに比較例2との関連で図3において示されている実施例6の結果は、触媒を含有する白金族金属から下流SCR触媒への、白金族金属、主に白金の揮発によるNO変換活性喪失の問題を低減させる上で、1:1から5:1の間のPt:Pd重量比が有益であることを指示するものである。
【0099】
ディーゼル酸化触媒A及びBとの関連で図4において示されている実施例9の結果は、全体的に2:1のPt:Pd重量比を有するDOCの下流でエージングされたSCR触媒について、NO変換活性の喪失が、72%のNO変換活性の対照と比較して比較的軽度の67%のNO変換活性であることを示すものである(同じプロトコールを使用して、全体的に1:1 Pt:Pd重量比のDOCの後ろでエージングさせたSCR触媒(本明細書においては記述されていない)は、69%のNO変換活性を有していた)。しかしながら、全体的なPt:Pd重量比が4:1まで増大すると、SCR活性は48%まで著しく低減した。
【0100】
したがって、本発明者らは、それを上回るとPt揮発が起こる可能性が高くなる、全体的に約2:1のPt:Pd重量比に境界が存在すると結論付けている。それ故、全体としてのDOC中において全体的に2:1のPt:Pd重量比に、及び第二のウォッシュコートコーティング層中において2:1以下のPt:Pd重量比に限定することにより、DOC中のPtが揮発及び下流SCR触媒へ移動する可能性が低くなる。
【0101】
いかなる誤解も避けるために、本明細書において引用されているありとあらゆる文書の内容全体は、参照により本願に組み込まれる。
図1
図2
図3
図4
図5
【外国語明細書】
2017214930000001.pdf