【解決手段】外皮内にケーブル長手方向に沿って埋設された抗張力体56を有する光ファイバケーブル50を固定するケーブル固定部32と、光ファイバユニット51の外周をそれぞれ覆って保護する複数の保護チューブ60を固定するチューブ固定部33と、第1ベース部材20及び第2ベース部材30をクロージャのフレームに対して固定する貫通孔及び締結ボルト26Bと、を備える。
前記分岐部材本体は、接地線に接続された導電体に固定される第1部材と、前記第1部材に接合される第2部材と、前記第1部材及び前記第2部材とを接合する接合部と、を備え、
前記接合部で接合された前記第1部材及び前記第2部材によって前記抗張力体が保持されている請求項1に記載の光ファイバケーブル分岐部材。
前記ケーブル固定部は、前記光ファイバケーブルを締付可能な締付バンドが取り付けられるバンド取付部をさらに備える請求項1,5,6のうちのいずれか1項に記載の光ファイバケーブル分岐部材。
前記分岐部材本体は、接地線に接続された導電体に固定される第1部材と、前記第1部材に接合される第2部材と、前記第1部材及び前記第2部材とを接合する接合部と、を備え、
前記接合部は、前記光ファイバケーブルから延出した光ファイバ心線が分岐されてなり、前記保護チューブで保護される前記第2の光ファイバ心線束の配置位置を避けた位置に配置されている請求項2または3に記載の光ファイバケーブル分岐構造。
前記ケーブル固定部と前記チューブ固定部との間に、露出した光ファイバ心線が配置される露出配置領域が設けられている請求項2,3,8のうちのいずれか1項に記載の光ファイバケーブル分岐構造。
前記チューブ固定部は、前記複数の保護チューブを結束する結束バンドと、前記結束バンドが挿通可能である複数の取付孔と、を備える請求項2,3,8,9,10のうちのいずれか1項に記載の光ファイバケーブル分岐構造。
前記ケーブル固定部と前記チューブ固定部との間に、光ファイバ心線を保護する保護部が設けられている請求項2,3,9〜11のうちのいずれか1項に記載の光ファイバケーブル分岐構造。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記特許文献1に開示された分岐ケースにおいて固定される光ファイバケーブルには、光ファイバに張力を与えないために抗張力体が設けられている。この抗張力体は、外皮の内周面に沿って配置されているため、光ファイバケーブルを固定することによって、抗張力体も固定される。
【0006】
しかし、光ファイバケーブルのうち、例えばラッピングチューブケーブル(WTC)は、外皮内にケーブル長手方向に沿って配置固定された抗張力体を備えている。このラッピングチューブケーブルでは、ケーブルを固定したとしても、抗張力体を固定することができなかった。このため、ラッピングチューブケーブルを固定したとしても、抗張力体が不安定な状態となる場合がある。
【0007】
また、上記の光ファイバケーブル分岐部材は、クロージャなどの被取付物に取り付けられる。ところが、光ファイバケーブル分岐部材の取付態様がさまざまであることから、光ファイバケーブル分岐部材の取付に手間がかかることがあった。
【0008】
本発明の幾つかの実施形態が解決しようとする課題は、クロージャなどの被取付物に容易に固定することができる光ファイバケーブル分岐部材及び光ファイバケーブル分岐構造を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の幾つかの実施形態に係る光ファイバケーブル分岐部材は、分岐部材本体と、第1の光ファイバ心線束と、前記第1の光ファイバ心線束の外周を被覆し、ケーブル長手方向に沿って抗張力体が埋設された外皮と、を有する光ファイバケーブルの前記外皮の端部を前記分岐部材本体に対して把持固定するケーブル固定部と、前記外皮の端部から延出する第1の光ファイバ心線束を分岐して得られる複数の第2の光ファイバ心線束のそれぞれの外周をそれぞれ覆って保護する複数の保護チューブを前記分岐部材本体に対して固定するチューブ固定部と、前記分岐部材本体を被取付物に対して固定する本体固定部と、を備えることを特徴とする。
【0010】
上記の構成によれば、分岐部本体には、ケーブル固定部が設けられており、ケーブル固定部は、前記第1の光ファイバ心線束の外周を被覆し、ケーブル長手方向に沿って抗張力体が埋設された外皮を把持固定している。このため、外皮とともに抗張力体を固定できる。また、光ファイバケーブル分岐部材は、分岐部材本体を被取付物に対して固定する本体固定部を備えている。このため、クロージャなどの被取付物に容易に固定することができる。
【0011】
本発明の幾つかの実施形態に係る光ファイバケーブル分岐構造は、第1の光ファイバ心線束と、前記第1の光ファイバ心線束の外周を被覆し、ケーブル長手方向に沿って抗張力体が埋設された外皮と、を有する光ファイバケーブルと、前記外皮の端部から延出する前記第1の光ファイバ心線束を複数の第2の光ファイバ心線束に分岐する光ファイバケーブル分岐部材と、光ファイバケーブル分岐部材で分岐された前記複数の第2の光ファイバ心線束と、前記複数の第2の光ファイバ心線束のそれぞれの外周をそれぞれ覆って保護する複数の保護チューブと、を備え、前記光ファイバケーブル分岐部材は、分岐部材本体と、前記光ファイバケーブルの前記外皮の端部を前記分岐部材本体に対して把持固定するケーブル固定部と、前記第1の光ファイバ心線束を分岐して得られる前記複数の第2の光ファイバ心線束を保護する前記複数の保護チューブを前記分岐部材本体に対して固定するチューブ固定部と、前記分岐部材本体を被取付物に対して固定する本体固定部と、を備えることを特徴とする。
【0012】
上記の構成によれば、クロージャなどの被取付物に容易に取り付けることができる。
【0013】
また、前記被取付物は、導電体であって接地線に接続されており、前記光ファイバケーブルの前記抗張力体は、導電体で構成され、前記光ファイバケーブル分岐部材に固定された前記光ファイバケーブルの前記外皮の端部から前記抗張力体が延出され、前記抗張力体は、前記被取付物と電気的に接続されるものでもよい。
【0014】
上記の構成によれば、抗張力体を接地させるための部材が不要となり、部品点数の削減に寄与できる。
【0015】
また、延出された前記抗張力体は、前記光ファイバケーブル分岐部材の前記分岐部材本体と、前記被取付物との間に挟持されることにより、前記被取付物と電気的に接続されるものでもよい。
【0016】
上記の構成によれば、抗張力体が分岐部材本体と、前記被取付物との間に挟持されることで、抗張力体を容易に接地させることができる。
【0017】
また、前記分岐部材本体は、接地線に接続された導電体に固定される第1部材と、前記第1部材に接合される第2部材と、前記第1部材及び前記第2部材とを接合する接合部と、を備え、前記接合部で接合された前記第1部材及び前記第2部材によって前記抗張力体が保持されているものでもよい。
【0018】
上記の構成によれば、抗張力体を第1部材と第2部材とによって保持することで、容易に接地させることができる。
【0019】
また、前記ケーブル固定部と前記チューブ固定部とが、板材に設けられていてもよい。
【0020】
上記の構成によれば、前記ケーブル固定部と前記チューブ固定部とを一体化することができ、全体としてコンパクト化できる。
【0021】
また、前記ケーブル固定部は、前記光ファイバケーブルを締付可能な締付バンドが取り付けられるバンド取付部をさらに備えていてもよい。
【0022】
上記の構成によれば、光ファイバケーブルを容易に固定することができる。
【0023】
また、前記分岐部材本体は、接地線に接続された導電体に固定される第1部材と、前記第1部材に接合される第2部材と、前記第1部材及び前記第2部材とを接合する接合部と、を備え、前記接合部は、前記光ファイバケーブルから延出した光ファイバ心線が分岐されてなり、前記保護チューブで保護される前記第2の光ファイバ心線束の配置位置を避けた位置に配置されていてもよい。
【0024】
上記の構成によれば、第2の光ファイバ心線束を保護チューブで保護した後であっても、分岐部材本体と前記被取付物とを接合する際に保護チューブが邪魔になりにくくすることができる。
【0025】
また、前記ケーブル固定部と前記チューブ固定部との間に、露出した光ファイバ心線が配置される露出配置領域が設けられていてもよい。
【0026】
上記の構成によれば、前記ケーブル固定部と前記チューブ固定部との間の光ファイバ心線を保護するカバー等が不要であるので、全体の簡素化に寄与することができる。特に、光ファイバケーブル分岐部材をクロージャのケース等に収容する場合には、前記ケーブル固定部と前記チューブ固定部との間の光ファイバ心線が厳しい環境にさらされることは少ないため好適である。
【0027】
また、前記チューブ固定部は、前記複数の保護チューブを振り分ける振分部を備えていてもよい。
【0028】
上記の構成によれば、複数の保護チューブを容易に振り分けることができる。
【0029】
また、前記チューブ固定部は、前記複数の保護チューブを結束する結束バンドと、前記結束バンドが挿通可能である複数の取付孔と、を備えていてもよい。
【0030】
上記の構成によれば、結束バンドで結束される保護チューブの数によらず、結束バンドをチューブ固定部に容易に取り付けることができる。
【0031】
また、前記ケーブル固定部と前記チューブ固定部との間に、光ファイバ心線を保護する保護部が設けられていてもよい。
【0032】
上記の構成によれば、光ファイバケーブル分岐部材をクロージャのケースなどの外側に設ける場合でも、前記ケーブル固定部と前記チューブ固定部との間における光ファイバ心線の損傷を抑制することができる。
【0033】
また、前記抗張力体を保持する保持部を備え、前記保持部は、クロージャに設けられた金属部材に取り付けられていてもよい。
【0034】
上記の構成によれば、光ファイバケーブル分岐部材をクロージャに容易に取り付けることができる。
【発明の効果】
【0035】
本発明の幾つかの実施形態に係る光ファイバケーブル分岐部材及び光ファイバケーブル分岐構造によれば、クロージャなどの被取付物に容易に固定することができる。
【発明を実施するための形態】
【0037】
次に、本発明の幾つかの実施形態に係る実施形態を図面に基づいて説明する。
図1は、本発明の幾つかの実施形態に係る光ファイバケーブル分岐構造の斜視図、
図2は、本発明の幾つかの実施形態に係る光ファイバケーブル分岐構造の分解斜視図である。なお、以下の説明では、発明を理解し易くするために、適宜構成部品の一部を省略したり、形状を単純化したり、縮尺を変更したりする等、図示を簡略化していることがある。また、XYZ直交座標系を設定して各構成の位置関係を説明する。また、XYZ直交座標系において、X方向を左右方向、Y方向を前後方向、Z方向を上下方向として説明する。このため、下方向(Z方向)が、光ファイバの延出方向となる。
【0038】
図1及び
図2に示すように、本発明の幾つかの実施形態に係る光ファイバケーブル分岐構造1は、光ファイバケーブル分岐部材10と、光ファイバケーブル50と、保護チューブ60と、分岐部保護部材90(
図6参照)と、を備えている。また、光ファイバケーブル分岐部材10は、第1ベース部材20と、第2ベース部材30と、ケーブル保持環(締付バンド)40と、留金70(
図3参照)と、結束バンド80と、を備えている。
【0039】
図7に示すように、光ファイバケーブル50は、複数組、例えば10数組の光ファイバユニット51からなる光ファイバユニット束(第1の光ファイバ心線束)51Aを備えている。光ファイバユニット51は、一以上の光ファイバ(光ファイバ心線)52からなり、複数、例えば100本程度の光ファイバ52を備えている。一定数の光ファイバ52は、
図8(A)(B)に示すように、間欠固定心線52Aとなっている。間欠固定心線52Aは、テープ状をなしており、光ファイバ52が一定方向に同ピッチで配置されて構成されている。間欠固定心線52Aは、SWR(Spider Web Ribbon)と呼ばれ、数本、例えば
図8(A)に示すように、4本の光ファイバ52を備えている。あるいは、
図8(B)に示すように、12本の光ファイバ52を備えていてもいし、その他の数の光ファイバ52を備えていてもよい。
【0040】
以下、
図8(B)に示す間欠固定心線52Aについてさらに説明すると、間欠固定心線52Aは、12本の光ファイバ52が並べられて形成されている。これらの12本の光ファイバ52のうち、隣り合う光ファイバ52同士が、連結部115で連結されている。連結部115は、光ファイバ52の長手方向(ケーブル長手方向)に一定間隔をおいて配置されている。隣り合う光ファイバ52同士を連結する連結部115の位置に対して、隣り合う光ファイバ52同士の隣で隣り合う光ファイバ52同士を連結する連結部115は、光ファイバ52の長手方向にずれた位置に配置されている。同様にして、隣り合う光ファイバ52同士のさらに隣で隣り合う光ファイバ52同士を連結する連結部115は、光ファイバ52の長手方向にずれた位置に配置されている。こうして、連結部115は、幅方向及び長手方向に対して階段状に配置されている。
【0041】
図8(A)に示す4本の光ファイバ52を備える間欠固定心線52Aにおいても、隣り合う光ファイバ52同士が、連結部115で連結されている。連結部115は、光ファイバ52の長手方向(ケーブル長手方向)に一定間隔をおいて配置されている。このため、
図8(A)に示す4本の光ファイバ52を備える間欠固定心線52Aに設けられた連結部115は、
図8(B)に示す12本の光ファイバ52を備える間欠固定心線52Aに設けられた連結部115よりも密に配置されている。言い換えると、
図8(B)に示す12本の光ファイバ52を備える間欠固定心線52Aに設けられた連結部115は、
図8(A)に示す4本の光ファイバ52を備える間欠固定心線52Aに設けられた連結部115よりも疎に配置されている。
【0042】
図9(A)にも示すように、隣り合う光ファイバ52同士のうち、連結部115で連結される隣り合う光ファイバ52同士は、連結部115を間に挟んで配置されている。連結部115で連結される隣り合う光ファイバ52同士以外の隣り合う光ファイバ52同士の間には、隙間部116が形成されている。隣り合う光ファイバ52同士の間における連結部115及び隙間部116の幅は略同一である。このため、隣り合う光ファイバ52同士の幅は略一定である。光ファイバ52は、樹脂層117で覆われている。
【0043】
間欠固定心線52Aでは、隣り合う光ファイバ52が、幅方向及び長手方向に対して階段状に配置された連結部115で連結されている。このため、間欠固定心線52Aは、長手方向途中位置から、その延在方向に対して直交する方向に引っ張られることで、
図9(B)に示すように、網目状(蜘蛛の巣状)に広がる構成をなしている。
【0044】
光ファイバユニット51は、所定数の間欠固定心線52Aが結束材(バンドル部材)53によって束ねられた光ファイバ52の集合体によって構成されている。結束材53は、光ファイバユニット51毎に異なる色に着色されている。このため、光ファイバユニット51は、結束材53の色によって識別可能である。
図7に示すように、光ファイバユニット束51Aは、吸水テープで形成されるラッピングチューブ54によって包み込まれている。
【0045】
光ファイバケーブル50は、外皮(外被)55及び抗張力体56を備えている。外皮55は、光ファイバユニット束51Aを包むラッピングチューブ54を覆っており、光ファイバ52の外周を被覆する。抗張力体56は、外皮55内の内側に隣接する位置に設けられている。抗張力体56は、光ファイバケーブル50の長手方向に沿って埋設されている。抗張力体56は、光ファイバケーブル50の断面で見て、上端に位置する12時の位置及び下端に位置する6時の位置にそれぞれ埋設されている。
【0046】
さらに、外皮55における内側面に近接する位置には、引き裂き紐57が設けられている。引き裂き紐57は、光ファイバ52の延在方向に沿って配設されている。引き裂き紐57は、光ファイバケーブル50の断面で見て、右側に位置する3時の位置及び左側に位置する9時の位置にそれぞれ配置されている。外皮55における引き裂き紐57が配置された位置の外側には、突条のマーカ突起58が設けられている。マーカ突起58は、引き裂き紐57に沿って形成されており、引き裂き紐57の埋設位置を案内している。なお、引き裂き紐57やマーカ突起58が設けられていないようにしてもよい。
【0047】
第1ベース部材(分岐部材本体、第1部材)20は、金属製の板材であり、導電性を有している。第1ベース部材20は、
図3に示すように、矩形の第1プレート(板材)21を備えている。第1プレート21の後端部における左側には第1左取付部(接合部)22が設けられており、第1左取付部22には、第1左ボルト孔23が設けられている。また、第1プレート21の後端部における右側には第1右取付部24が設けられており、第1右取付部(接合部)24には、第1右ボルト孔25が設けられている。また、第1プレート21の中央部には、貫通孔(本体固定部)26が設けられている。
【0048】
第2ベース部材(分岐部材本体、第2部材)30は、金属製の板材であり、導電性を有している。第2ベース部材30は、矩形の第2プレート(板材)31を備えている。第2プレート31の先端部には、前部にケーブル固定部32が設けられている。第2プレート31の後部にはチューブ固定部33が設けられている。第2プレート31におけるケーブル固定部32とチューブ固定部33との間には中央部34が設けられている。中央部34には、貫通孔34Aが形成されている。
【0049】
また、中央部34におけるチューブ固定部33側端部における左側には、第2左取付部(接合部)35が設けられており、第2左取付部35には、第2左ボルト孔36が設けられている。また、中央部34におけるチューブ固定部33側端部における右側には、第2右取付部(接合部)37が設けられており、第2右取付部37には、第2右ボルト孔38が設けられている。中央部34の上方には、分岐領域39が形成されている。分岐領域39では、光ファイバケーブル50の端部から延出する複数組の光ファイバユニット51にそれぞれ分岐される。
【0050】
光ファイバケーブル50の端部から延出する複数の光ファイバ52を分岐することで得られる光ファイバ心線束は、1以上の光ファイバ心線からなるものであればよい。上記の例では、光ファイバ心線束は、光ファイバユニット51であるが、光ファイバユニット51を解いた1の間欠固定心線52Aまたは1の光ファイバ52であってもよい。あるいは、光ファイバユニット51を解いた複数の間欠固定心線52Aまたは光ファイバ52であってもよい。あるいは、複数の光ファイバユニット51から集められた複数の間欠固定心線52Aまたは光ファイバ52であってもよい。
【0051】
ケーブル固定部32は、後方が狭幅部32A(バンド取付部)とされ、前方が広幅部32Bとされている。狭幅部32Aの左右方向幅は、広幅部32Bの左右方向の幅よりも狭くされている。また、広幅部32Bの左右方向の幅は、第2プレート31の左右方向の幅よりも狭くされている。ケーブル固定部32の狭幅部32Aには、貫通孔32Cが設けられている。
【0052】
チューブ固定部33は、板状部33Aを備えており、板状部33Aには、複数、ここでは8個の調整孔(取付孔)33B1〜33B4,33C1〜33C4が設けられている。調整孔33B1〜33B4,33C1〜33C4は、板状部33Aにおいて前後左右に並列状態で設けられている。
【0053】
板状部33Aにおける前方部には、左側から4個の前側第1調整孔33B1、前側第2調整孔33B2、前側第3調整孔33B3、前側第4調整孔33B4が設けられている。板状部33Aにおける後方部には、左側から4個の後側第1調整孔33C1、後側第2調整孔33C2、後側第3調整孔33C3、後側第4調整孔33C4が設けられている。
【0054】
中央部34に設けられた貫通孔34Aは、大径部34ACと、左小径部34ALと、右小径部34ARと、を備えている。大径部34ACは、中央部34の左右方向略中央部に配置されている。左小径部34ALは、大径部34ACの左側後方に配置されている。右小径部34ARは、大径部34ACの右側後方に配置されている。
大径部34ACは、左小径部34AL及び右小径部34ARよりも大きな面積の開口である。左小径部34ALと右小径部34ARとは、ほぼ同形、同面積の開口である。
【0055】
第2左取付部35に設けられた第2左ボルト孔36には、左ボルト35BLが貫通している。左ボルト35BLは、第1ベース部材20の第1左取付部22に設けられた第1左ボルト孔23にねじ込まれている。第2右取付部37に設けられた第2右ボルト孔38には、右ボルト37BRが貫通している。右ボルト37BRは、第1ベース部材20の第1右取付部24に設けられた第1右ボルト孔25にねじ込まれている。これらの左ボルト35BL及び右ボルト37BRがそれぞれ第1左ボルト孔23及び第1右ボルト孔25にねじ込まれることにより、第1ベース部材20と第2ベース部材30とが接合される。
【0056】
また、第1ベース部材20における第2ベース部材30の貫通孔34Aに相当する位置には、貫通孔26が形成されている。この貫通孔には、締結ボルト(本体固定部)26Bのねじ部が貫通している。締結ボルト26Bのねじ部には、
図2に示す締結ナット(本体固定部)26Nが締め付けられている。
【0057】
ケーブル固定部32とチューブ固定部33との間は、露出配置領域とされている。光ファイバユニット51は、露出配置領域では、露出した状態とされていることがある。この実施形態では、光ファイバユニット51は、露出配置領域において、分岐部保護部材90に覆われて保護されている。
【0058】
上記の光ファイバケーブル分岐構造1は、
図10に示すように、例えばクロージャ100に取り付けられて利用される。クロージャ100は、片側から光ファイバが導入、導出されるいわゆるポット型のクロージャである。クロージャ100は、フレーム(被取付物、金属部材)101と、融着部収納トレー102と、クロージャスリーブ103と、端面板104と、を備えている。クロージャ100においては、端面板104を介して光ファイバケーブル50がクロージャスリーブ103の内側に導入される。クロージャスリーブ103は、一側が開口し、他側が閉塞しており、一側の開口部に端面板104が取り付けられて開口部が閉塞されている。また、融着部収納トレー102は、複数設けられており、複数の融着部収納トレー102は、バンド部材105によってまとめられている。
フレーム101は、端面板104の内側面及びクロージャスリーブ103の内側面にそれぞれ設けられている。フレーム101は、金属製であり、図示しないアース線を介して地面に電気に接地されている。フレーム101には、光ファイバケーブル分岐構造1が取り付けられている。クロージャスリーブ103内に導入された光ファイバケーブル50は、光ファイバケーブル分岐構造1で光ファイバユニット(第2の光ファイバ心線束)51に分岐される。分岐された光ファイバユニット51は、保護チューブ60が被せられたまま融着部収納トレー102に導入されている。
【0059】
第1ベース部材20における第2ベース部材30と対向する面の反対側の面には、クロージャ100のフレーム101が配置されている。フレーム101には、締結ボルト26Bのねじ部が貫通する貫通孔が形成されている。第1ベース部材20とフレーム101とを重ね合わせて第1ベース部材20及びフレーム101の貫通孔に締結ボルト26Bのねじ部が挿入されそのねじ部に締結ナット26Nが締め付けられている。こうして、締結ボルト26Bの頭部と締結ナット26Nによって、第1ベース部材20とフレーム101とが挟み込まれて、第1ベース部材20がフレーム101に固定される。
【0060】
ケーブル保持環40は、締付部41と、ねじ設置部42と、ねじ部43と、を備えている。締付部41は、金属製の円環である。締付部41には、複数の孔部41Aが設けられている。複数の孔部41Aは、周方向に略等間隔をおいて配置されている。ねじ設置部42は、函体であり、締付部41の一端が固定されている。
【0061】
ねじ設置部42には、ねじ部43が設置されている。ねじ部43は、作業員等が操作することによって回転させることができる。ねじ部43は、ねじ設置部42に設けられた図示しない歯車に接続されている。歯車の歯は、締付部41に設けられた複数の孔部41Aに入り込んでいる。ねじ設置部42をたとえば時計回りに回転させると、歯車が入り込む孔部41Aが一方向に移動し、締付部41が締め付けられて縮径する。ねじ設置部42を反時計回り(時計回りと逆方向)に回転させると、歯車が入り込む孔部41Aが逆方向の移動し、締付部41が緩められて拡径する。
【0062】
締付部41は、光ファイバケーブル50とケーブル固定部32の狭幅部32Aとを包んで締付可能とされている。光ファイバケーブル50は、縮径された締付部41によってケーブル固定部32の狭幅部32Aと共締めされてケーブル固定部32に固定される。ケーブル固定部32は、ケーブル保持環40とともに光ファイバケーブル50の外皮55の端部を第2ベース部材30に対して把持固定している。
【0063】
ケーブル固定部32の前方に設けられた広幅部32Bは、狭幅部32Aよりも広い。このため、広幅部32Bは、締付部41の前方への抜け落ちによる光ファイバケーブル50の脱落を抑制している。また、ケーブル固定部32の後方に設けられた第2プレート31は、狭幅部32Aよりも幅広である。このため、第2プレート31は、締付部41の後方への抜け落ちによる光ファイバケーブル50の脱落を抑制している。
【0064】
留金70は、金属製の部材であり、第2ベース部材30のケーブル固定部32に固定されている。留金70は、板状部71と、鬼目72と、固定ピン73と、を備えている。板状部71は、第2ベース部材30におけるケーブル固定部32の狭幅部32A上に取り付けられている。板状部71の上面には、ケーブル長手方向を軸とした弧を描くくぼみが設けられている。このくぼみの径は、光ファイバケーブル50の径と略同一とされている。光ファイバケーブル50は、板状部71の上面におけるくぼみに沿って配置される。
鬼目72は、板状部71の上面に設けられている。鬼目72は、上方に向けて突出する突起部である。鬼目72は先鋭状をなしており、光ファイバケーブル50の外皮55に食い込むようにされている。鬼目72の長さは、光ファイバケーブル50の外皮55の厚さよりも短くされている。
固定ピン73は、板状部71の下面に設けられている。固定ピン73は、ケーブル固定部32の狭幅部32Aに設けられた貫通孔32Cに貫通可能とされている。固定ピン73は、狭幅部32Aの上方から貫通孔32Cに挿通され、狭幅部32Aの下面側で折り返されている。固定ピン73が折り返されることにより、板状部71がケーブル固定部32の狭幅部32Aに固定されている。
【0065】
ケーブル保持環40に保持された光ファイバケーブル50の外皮55の端部からは、抗張力体56が延出している。抗張力体56は、
図4に示すように、第2プレート31の中央部34に形成された貫通孔34Aの左小径部34AL及び右小径部34ARを介して第1プレート21と第2プレート31との間に案内されている。第1プレート21と第2プレート31とは、第1ボルトB1及び第2ボルトB2がそれぞれ第1左ボルト孔23及び第1右ボルト孔25にねじ込まれて接合されている。こうして、第1プレート21と第2プレート31とは、抗張力体56を挟み込んで保持している。抗張力体56は、第1プレート21と第2プレート31とによって挟持されて固定されている。
【0066】
図5に示すように、外皮55に埋設された2本の抗張力体56は、第2プレート31からの距離が略同一とされている。言い換えると、2本の抗張力体56を光ファイバ52の長手方向に直交する切断面で切った際の抗張力体56同士を繋いだ線分は、第2プレート31の上面に沿った線(水平線)と略平行となっている。
【0067】
結束バンド80は、樹脂製の部材である。結束バンド80は、バンド部81と、留部82とを備えている。バンド部81は、紐状部材をなしており、その断面の大きさは、第2ベース部材30に設けられたチューブ固定部33の調整孔33B1〜33B4,33C1〜33C4を挿通可能となる太さとされている。
【0068】
留部82は、バンド部81の長さ方向途中位置に配置されている。留部82には、バンド部81が挿通されており、留部82によってバンド部81を留める位置により、バンド部81を締め付けたり緩めたりすることができる。結束バンド80は、調整孔33B1〜33B4,33C1〜33C4のいずれかに挿通されて、留部82によってその大きさが調整されることによって、複数本の保護チューブ60を結束している。こうして、チューブ固定部33と結束バンド80とは、複数の保護チューブ60を第2ベース部材30に固定している。
【0069】
第2ベース部材30には、6本の保護チューブ60が固定されている。これらの6本の保護チューブ60は、3本ずつ1本の結束バンド80によって結束されている。このうちの3本の保護チューブ60は、第1結束バンド80Aによって結束され、他の3本の保護チューブは、第2結束バンド80Bによって結束されている。
第1結束バンド80Aは、前側の中央より左側に配置された前側第1調整孔33B1及び前側第2調整孔33B2に挿通されている。第2結束バンド80Bは、後側中央より右側に配置された後側第3調整孔33C3及び後側第4調整孔33C4に挿通されている。第1結束バンド80Aに結束された3本の保護チューブ60は、第2ベース部材30の中央よりも左側に寄せられた位置で結束されている。第2結束バンド80Bに結束された3本の保護チューブ60は、第2ベース部材30の中央よりも右側に寄せられた位置で結束されている。第1結束バンド80Aで結束された保護チューブ60と、第2結束バンド80Bで結束された保護チューブ60とは、左右に振り分けられて配置されている。
【0070】
保護チューブ60は、例えば樹脂で形成された柔軟性を有する部材である。保護チューブ60は、種々の色白の材料で構成されており、1つの光ファイバケーブル分岐部材10には、異なる色の保護チューブ60が用いられる。なお、保護チューブ60は、透明または半透明の材料で構成されていてもよい。保護チューブ60は、分岐領域39で分岐された複数の光ファイバユニット51にそれぞれ被せられる。複数の光ファイバユニット51にそれぞれ被せられる保護チューブ60の色は、いずれも異なっている。このため、光ファイバユニット51を区別しやすくすることができる。
【0071】
分岐部保護部材90は、例えば樹脂で形成された柔軟性及び延伸性を有する部材であり、透明または半透明の材料で構成されている。ただし、黒色や白色などの他の色であってもよい。分岐部保護部材90は、前方半円筒部91と、後方円筒部92と、を備えている。前方半円筒部91と後方円筒部92とは、同径であり、後方円筒部92の直径は、第2ベース部材30における第2プレート31の幅方向の長さよりも短くされている。
【0072】
図6に示すように、分岐部保護部材90は、後方円筒部92がチューブ固定部33の全周を覆って第2ベース部材30に取り付けられる。分岐部保護部材90の後方円筒部92は延伸してチューブ固定部33を覆っている。このとき、分岐部保護部材90の前方半円筒部91は、第2プレート31における分岐領域39を覆っている。分岐部保護部材90は、分岐領域39では、光ファイバケーブル50の端部から延出する光ファイバ52を上方から覆って保護している。
【0073】
分岐部保護部材90先端部及び後端部には、いずれもビニールテープ95が巻き付けられている。分岐部保護部材90の先端部は、ビニールテープが巻き付けられることで、分岐部保護部材90からの光ファイバ52の露出を抑制している。分岐部保護部材90の後端部は、ビニールテープ95が巻き付けられることにより、半径方向内側に圧縮されて保護チューブ60を締め付けている。
【0074】
図10に示すように、クロージャスリーブ103の内側に配置された光ファイバケーブル分岐構造1では、分岐部保護部材90が設けられて分岐領域39を保護している。なお、クロージャスリーブ103の内側に光ファイバケーブル分岐構造1が配置される際には、分岐部保護部材90を設けないようにしてもよい。
【0075】
上記の光ファイバケーブル分岐構造1においては、光ファイバケーブル50の抗張力体56は、外皮55の内側に設けられている。このため、外皮55を剥がすことにより、抗張力体56が露出して固定されないことが想定される。この点、上記の光ファイバケーブル分岐構造1では、抗張力体56を保持する第1プレート21と第2プレート31とを備えている。このため、第1プレート21と第2プレート31によって抗張力体56を挟み込んで保持することにより、第1ベース部材20及び第2ベース部材30に抗張力体を固定することができる。したがって、抗張力体56が外皮55に設けられた光ファイバケーブル50における固定した際に、抗張力体を安定させる固定した際に、抗張力体56を安定させることができる。
【0076】
また、第1プレート21と第2プレート31とによって抗張力体56を保持している。このため、抗張力体を容易に固定することができる。また、抗張力体56を固定するために別途の部材を要することがないため、部品点数の増加を抑制できる。
【0077】
また、第1プレート21は、金属製であり、第1プレート21は、クロージャ100のフレーム101に接触し、電気的に接続されている。抗張力体56は、第1プレート21と第2プレート31とに保持されることにより、第1プレート21に接触している。また、クロージャ100のフレーム101は、図示しない接地線に電気的に接続された導電体である。
このため、第1プレート21及びクロージャ100のフレーム101を介して抗張力体56を電気的に接地させることができる。なお、上記の光ファイバケーブル分岐構造1では、クロージャ100のフレーム101に第1プレート21が取り付けられているが、フレーム101以外の他の導電体に取り付けられていてもよい。
【0078】
また、第1ベース部材20は、導電体である第1プレート21を備えており、抗張力体56は、第1プレート21を介してクロージャ100のフレーム101に電気的に接続されている。このため、第1ベース部材20第1プレート21に抗張力体56を電気的に接続されるだけで抗張力体56を接地することができるので、抗張力体を容易に接地させることができる。
【0079】
また、第2ベース部材30における第2プレート31の中央部34には、貫通孔34Aが形成されている。このため、抗張力体56を第2プレート31の上方から第2プレート31と第1プレート21との間に容易に案内することができる。
また、貫通孔34Aは、左小径部34ALと右小径部34ARとが設けられている。左小径部34ALと右小径部34ARのそれぞれに抗張力体56を案内することにより、光ファイバユニット51などと接触しにくい位置に抗張力体を案内することができる。
【0080】
また、
図8(B)に示す12本の光ファイバ52を備える間欠固定心線52Aに設けられた連結部115は、
図8(A)に示す4本の光ファイバ52を備える間欠固定心線52Aに設けられた連結部115よりも疎に配置されている。このため、幅方向に見て、連結部115が光ファイバ52を横切る回数が少なくなる。したがって、間欠固定心線52Aをより柔軟にすることができるので、間欠固定心線52Aを光ファイバ52に解いたときに心線のロスを少なくすることができる。
【0081】
また、
図5に示すように、光ファイバケーブル50の外皮55に埋設された2本の抗張力体56は、第2プレート31からの距離が略同一とされている。このため、第2プレート31の上面に対して垂直となる方向(ケーブル長手方向に直交する水平線周りに回転する方向)に光ファイバケーブル50を曲げやすくすることができる。
【0082】
また、抗張力体56は、外皮55に埋設されているので、抗張力体56の配置を気にすることなく光ファイバケーブル50を光ファイバケーブル分岐部材10に固定することができる。したがって、光ファイバケーブル50の光ファイバケーブル分岐部材10に固定する際の作業性を高めることができ、作業負荷の軽減や作業時間の短縮に寄与することができる。
【0083】
以下、光ファイバケーブル分岐構造1をクロージャ100に取り付ける際の取付手順について説明する。なお、作業員が取り付け作業を行うものとして説明を行う。
【0084】
図10に示すように、フレーム101には、複数の貫通孔101Aが設けられている。
図10に示すフレーム101における光ファイバケーブル分岐構造1が取り付けられた位置にも図示しない貫通孔が設けられている。光ファイバケーブル分岐構造1は、この貫通孔に締結ボルト26B(
図2参照)のねじ部が貫通され、フレーム101に取り付けられている。
【0085】
光ファイバケーブル分岐構造1がクロージャ100のフレーム101に取り付けられる前は、第1プレート21と第2プレート31とは分離されている。作業員は、フレーム101に対してまず、第1プレート21を取り付ける。作業員は、第1プレート21とフレーム101とのそれぞれに設けられた貫通孔が同軸状になるように第1プレート21とフレーム101とを配置する。作業員は、第1プレート21とフレーム101との貫通孔に第1プレート21側から締結ボルト26Bのねじ部を挿入する。
続いて、作業員は、フレーム101側から締結ボルト26Bのねじ部に締結ナット26Nを締め付ける。こうして、作業員は、フレーム101に対して、第1プレート21を固定する。
【0086】
作業員は、フレーム101に第1プレート21を取り付けている間に、またはフレーム101に第1プレート21を取り付けた後に、光ファイバケーブル50を第2プレート31に固定する。作業員は、光ファイバケーブル50を第2プレート31に固定する前に、光ファイバケーブル50にケーブル保持環40の締付部41を通しておく。また、作業員は、光ファイバケーブル50の端部から光ファイバ52を延出させて、保護チューブ60を通しておく。
それから、作業員は、第2プレート31のケーブル固定部32に光ファイバケーブル50を載置する。このとき、作業員は、ケーブル固定部32に固定された留金70の鬼目72に光ファイバケーブル50の外皮55を軽く食い込ませる。
【0087】
続いて、作業員は、ケーブル保持環40に光ファイバケーブル50及びケーブル固定部32の狭幅部32Aを通し、ケーブル保持環40の締付部41を締め付けて縮径させる。こうして、作業員は、ケーブル保持環40の締付部41によって光ファイバケーブル50とケーブル固定部32の狭幅部32Aとを共締めする。
このとき、留金70の鬼目72が光ファイバケーブル50の外皮55に食い込む。このため、光ファイバケーブル50は、ケーブル固定部32に強固に固定される。その後、作業員は、第2ベース部材30に分岐部保護部材90を取り付ける。こうして、保護チューブ60及び第2ベース部材30の分岐領域39における光ファイバ52を保護する。分岐領域39は、保護チューブ60で保護される光ファイバユニット51の配置位置である。
【0088】
その後、作業員は、調整孔33B1〜33B4,33C1〜33C4に挿通された結束バンド80によって保護チューブ60を結束する。作業員は、続いて、第1プレート21と第2プレート31を接合させる。第1プレート21と第2プレート31とを接合させるにあたり、左ボルト35BL及び右ボルト37BRを締め付ける。
左ボルト35BL及び右ボルト37BRは、分岐領域39を避けた位置で締め付けられる。このため、光ファイバ52が分岐された状態であっても、左ボルト35BL及び右ボルト37BRの締付作業の邪魔とならないようにすることができる。こうして、光ファイバケーブル分岐構造1の取り付け作業が終了する。
【0089】
上記の光ファイバケーブル分岐構造1をクロージャ100に固定するにあたり、光ファイバケーブル分岐部材10には、光ファイバケーブル分岐部材10の第1ベース部材20及び第2ベース部材30をクロージャに固定する固定部材としての貫通孔26、締結ボルト26B、及び締結ナット26Nが設けられている。このため、光ファイバケーブル分岐部材10の第1ベース部材20及びクロージャ100のフレーム101を挟んだ状態で締結ボルト26Bを貫通孔26に貫通させ、締結ナット26Nに締め付けるのみで、光ファイバケーブル分岐部材10をフレーム101に固定することができる。よって、クロージャ100のフレーム101に光ファイバケーブル分岐部材10を容易に固定することができる。
【0090】
また、上記の光ファイバケーブル分岐構造1において、また、第1プレート21と第2プレート31とは、第1プレート21の第1左取付部22と第2プレート31の第2左取付部35が第1ボルトB1で固定されて接合される。同様に第1プレート21と第2プレート31とは、第1プレート21の第1左取付部22と第2プレート31の第2左取付部35が第1ボルトB1で固定されて接合される。
これらの第1左取付部22、第2左取付部35、第1右取付部24、第2左取付部35は、中央部34の右側または左側に配置されている。要は、第1左取付部22、第2左取付部35、第1右取付部24、第2左取付部35は、いずれも保護チューブ60で保護される光ファイバユニット51を避けた位置に配置されている。このため、光ファイバケーブル50から延出した光ファイバユニット51を保護する保護チューブ60を覆い、光ファイバケーブル50及び保護チューブ60を固定した状態でも、第1ベース部材20と第2ベース部材30とを容易に接合することができる。
【0091】
また、上記第2ベース部材30は、チューブ固定部33を備えている。このため、保護チューブ60を第2ベース部材30に容易に固定することができる。また、チューブ固定部33は、結束バンド80を挿通可能な調整孔33B1〜33B4,33C1〜33C4を備えている。このため、結束バンド80をチューブ固定部33に容易に取り付けることができるので、複数の保護チューブ60を結束する結束バンド80を第2ベース部材30に容易に取り付けることができる。その結果、保護チューブ60を容易に固定することができる。
また、上記の光ファイバケーブル分岐構造1は、取付孔として複数の調整孔33B1〜33B4,33C1〜33C4を備えている。このため、結束バンド80が挿通される調整孔を結束バンド80で結束される保護チューブ60の本数に応じて決定できる。したがって、保護チューブ60の本数が少ない場合でも結束バンド80によって安定した状態で結束することができる。
【0092】
また、上記の光ファイバケーブル分岐構造1のケーブル固定部32は、狭幅部32Aを備えている。狭幅部32Aが設けられていることにより、ケーブル固定部32にケーブル保持環40を容易に取り付けることができる。したがって、ケーブル固定部32に光ファイバケーブル50を容易に固定することができる。
【0093】
なお、本発明は上記の一実施形態に限られるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々の設計変更が可能である。例えば、第2ベース部材30に設けられるケーブル固定部32やチューブ固定部33を他の態様としてもよい。以下、チューブ固定部の変形例について
図11を参照して説明する。なお、変形例において、上記の実施形態と比較して、機能や用途が共通する部材等については、上記の実施形態と同一の番号を付してその説明を省略することがある。
【0094】
図11に示すように、変形例に係るチューブ固定部110は、隔壁(振分部)111を備えている。隔壁111は、板状をなしており、上下方向に伸びるように配置されている。隔壁111は、第2ベース部材30の第2プレート31の後端部に設けられている。隔壁111は、第2プレート31の幅方向略中央位置に配置されている。隔壁111は、複数の保護チューブ60を左右に振り分けている。
隔壁111の上面には、複数の仕切溝112が設けられている。仕切溝112は、隔壁111の延在方向(前後方向)に略等間隔で離間して配置されている。仕切溝112の前後方向の幅は、結束バンド80のバンド部81の幅よりわずかに広い幅とされている。
【0095】
変形例に係るチューブ固定部110では、複数の保護チューブ60を結束する結束バンド80を引っかけることにより、結束バンド80を容易に固定することができる。また、複数の保護チューブ60を容易に結束することができる。また、チューブ固定部110の隔壁111には、仕切溝112が設けられている。この仕切溝112に結束バンド80のバンド部81を引っかけることができるので、結束バンド80をより容易に固定することができる。
また、仕切溝112が複数設けられていることにより、複数の結束バンド80を容易に固定することができる。このため、隔壁111の左右に複数の保護チューブ60を振り分けて配置したときに、左右のそれぞれの保護チューブ60を容易に結束することができる。また、隔壁111が設けられているので、複数の保護チューブ60を振り分けて結束することができる。また、隔壁111が左右方向の略中央部に設けられているので、保護チューブ60をバランスよく振り分けることができる。
【0096】
次に、ケーブル固定部及びケーブル保持環40の変形例について説明する。
図12に示すように、変形例に係るケーブル固定部120は、第2ベース部材30における第2プレート31の中央部34と同じ幅の延在部121を備えている。延在部121には、把持部材122がねじ123によって取り付けられる。このため、延在部121には、ねじ123がねじ込まれる図示しないねじ穴が形成されている。
【0097】
把持部材122は、把持部材本体122Aを備えている。把持部材本体122Aは、光ファイバケーブル50と略同径のアーチ状をなす断面半円形の金属半環である。把持部材本体122Aの両側方には、板状の締付部122Bがそれぞれ形成されている。
【0098】
締付部122Bには、図示しない貫通孔が設けられており、貫通孔を貫通するねじ123が延在部121に設けられたねじ穴にねじ込まれることで、把持部材本体122Aが延在部121に固定される。把持部材本体122Aには、鬼目122Cが設けられている。把持部材本体122Aが延在部121に固定されると、鬼目122Cが光ファイバケーブル50の外皮55に食い込み、光ファイバケーブル50が固定される。
【0099】
変形例に係るケーブル固定部及び把持部材122によって光ファイバケーブル50を把持することにより、光ファイバケーブル50を第2ベース部材30に固定することができる。また、把持部材本体122Aは、ねじ123をねじ込むことで、第2プレート31の延在部121に固定することができるので、把持部材本体122Aを容易に固定することができる。また、把持部材本体122Aには、鬼目122Cが設けられており、固定された光ファイバケーブル50の外皮55に鬼目122Cが食い込んでいる。このため、光ファイバケーブル50を強固に固定することができる。
【0100】
また、上記の光ファイバケーブル分岐構造1では、第1プレート21と第2プレート31とによって抗張力体56を保持している。これに対して、他の態様で抗張力体56を挟持してもよい。例えば、第1プレート21とクロージャ100のフレーム101との間まで抗張力体56を導入して、第1プレート21とクロージャ100のフレーム101によって抗張力体56を挟持してもよい。
また、第1プレート21とクロージャ100のフレーム101とで抗張力体を挟持する場合、第2プレートを設けることなく第1プレートにケーブル固定部及びチューブ固定部を設けてもよい。
被取付物は、クロージャ100のフレーム101以外の部材であってもよい。例えば、光ファイバケーブル分岐構造1をクロージャ100でなくキャビネットに設ける場合には、キャビネットのフレームを被取付物としてもよく、光ファイバケーブル分岐構造1を取り付けるための取付板などを設ける場合には、この取付板を被取付物としてもよい。また、被取付物としてもクロージャは、片側から光ファイバが導入、導出されるポット型のものではなく、クロージャスリーブの両側の端面板に光ファイバケーブル導入孔を備えて、光ファイバケーブルの配線方向に添うように、光ファイバケーブルが両端から内部に導入される構造のクロージャでもよい。
また、被取付物は、金属などの導電体であることにより、抗張力体を電気的に接地させられるため好適である。ただし、被取付物は、樹脂などの非導電体であってもよい。また、ベース部材は、導電体でなくともよい。この場合に、抗張力体56を保持する保持部材をベース部材に設け、保持部材を導電体で構成してもよい。また、抗張力体56と導電体からなる被取付物が絶縁状態となっている場合には、抗張力体56と被取付物を電気的に接続する導電性の接続部材を別途設けてもよい。