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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2017-215948(P2017-215948A)
(43)【公開日】2017年12月7日
(54)【発明の名称】釜の操作装置
(51)【国際特許分類】
   G05G 5/04 20060101AFI20171110BHJP
   G05G 1/08 20060101ALI20171110BHJP
   A47J 27/14 20060101ALI20171110BHJP
【FI】
   G05G5/04 B
   G05G1/08 A
   A47J27/14 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2017-84453(P2017-84453)
(22)【出願日】2017年4月21日
(31)【優先権主張番号】特願2016-109118(P2016-109118)
(32)【優先日】2016年5月31日
(33)【優先権主張国】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000175272
【氏名又は名称】三浦工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100126000
【弁理士】
【氏名又は名称】岩池 満
(74)【代理人】
【識別番号】100145713
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 竜太
(72)【発明者】
【氏名】間口 郁也
(72)【発明者】
【氏名】松矢 久美
(72)【発明者】
【氏名】松林 浩司
(72)【発明者】
【氏名】松本 宏典
(72)【発明者】
【氏名】石田 脩平
(72)【発明者】
【氏名】松本 賢二
【テーマコード(参考)】
3J070
4B054
【Fターム(参考)】
3J070AA02
3J070AA13
3J070AA32
3J070BA08
3J070BA31
3J070BA41
3J070CB12
3J070CC02
3J070CC43
3J070CD03
3J070DA57
3J070EA21
4B054AA03
4B054CE12
(57)【要約】
【課題】意図的にロック解除操作を行えば釜を動かすことができ、一方、ロック解除操作を止めることで、意識的にロック状態を形成しようとしなくてもロック状態を形成可能な状態となるため安全である、釜の操作装置を提供すること。
【解決手段】本発明の釜の操作装置10は、ハンドル3と、ハンドル3の回転に連動するハンドルシャフト4と、ハンドル3の回転をロックするハンドルロック機構5とを備え、ハンドル3の回転によってハンドルシャフト4を介して釜2に所定の動きを与えるように操作する、釜の操作装置であって、ハンドルロック機構5は、所定のロック解除操作が行われたときのみ、ハンドル3の回転のロックを解除するロック解除状態を形成し、ロック解除操作を止めると、自発する復元力によって、ハンドル3の回転をロックするロック状態を形成可能な状態となるように構成されている。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ハンドルと、前記ハンドルの回転に連動するハンドルシャフトと、前記ハンドルの回転をロックするハンドルロック機構とを備え、前記ハンドルの回転によって前記ハンドルシャフトを介して釜に所定の動きを与えるように操作する、釜の操作装置であって、
前記ハンドルロック機構は、所定のロック解除操作が行われたときのみ、前記ハンドルの回転のロックを解除するロック解除状態を形成し、ロック解除操作を止めると、自発する復元力によって、前記ハンドルの回転をロックするロック状態を形成可能な状態となるように構成されている、釜の操作装置。
【請求項2】
前記復元力は、前記ハンドルロック機構の自重に起因して発現する、請求項1に記載の釜の操作装置。
【請求項3】
前記ハンドルロック機構は、前記ハンドルシャフトから径方向外方に延びる非円形の鍔部と、前記鍔部を配置可能な規制溝部を有する規制部材と、を備え、
前記規制溝部は、前記鍔部が配置されたときに前記鍔部の回転を規制する鍔部回転規制部と、前記鍔部が配置されたときに前記鍔部の回転を許容する鍔部回転許容部と、を有する、請求項1又は2に記載の釜の操作装置。
【請求項4】
前記ハンドルロック機構は、前記ハンドルを操作するハンドル操作者がその足で前記ロック解除操作を行うことができる解除操作部を備える、請求項1〜3のいずれかに記載の釜の操作装置。
【請求項5】
前記ハンドルロック機構は、前記ハンドルシャフトから径方向外方に延びる非円形の鍔部と、前記鍔部を配置可能な規制溝部を有する規制部材と、を備え、
前記規制溝部は、前記鍔部が配置されたときに前記鍔部の回転を規制する鍔部回転規制部と、前記鍔部が配置されたときに前記鍔部の回転を許容する鍔部回転許容部と、を有し、
前記解除操作部は、ハンドル操作者の足で踏まれることにより移動するフットペダルと、前記フットペダルの移動に伴って前記規制部材を機械的に移動させる規制部材移動部と、を備え、前記フットペダルが踏まれると、前記規制部材が前記規制部材移動部により移動されて、前記鍔部回転規制部に配置される前記鍔部が前記鍔部回転許容部に配置されるように、構成されている、請求項4に記載の釜の操作装置。
【請求項6】
前記鍔部は、前記ハンドルシャフトの軸方向に視たときに、複数組の略平行な対辺を有する多角形であり、
前記鍔部回転規制部は、前記複数組の略平行な対辺を配置可能な対向内壁を有する、請求項3又は5に記載の釜の操作装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ハンドルの回転によってハンドルシャフトを介して釜に動きを与えるように操作する、釜の操作装置に関する。
【背景技術】
【0002】
業務用で大量の食材を煮炊きするために用いられる大きな釜を備える調理装置には、釜から調理済みの食材を取り出したり、釜を洗浄したりするときのために、ハンドルの回転によってハンドルシャフトを介して釜に動き(典型的には、回転)を与える操作装置が設けられている(例えば、下記特許文献1参照)。特許文献1に記載の釜の操作装置は、釜に固定された釜側シャフトに設けられたウォームホイール(「ウォーム歯車」とも言う)と、ハンドルのハンドルシャフトに設けられたウォームとを備える。ハンドルを回転させることに伴って、ハンドルシャフトに設けられたウォームが回転し、ウォームに螺合しているウォームホイールが回転し、それに伴って、ウォームホイールが設けられた釜側シャフトを介して、釜が回転する。
【0003】
ところで、意図せずハンドルが回転した場合、意図せず釜が回転し、釜の内容物がこぼれたりする虞がある。そのため、特許文献1に記載の釜の操作装置は、ハンドルの誤回転、延いては釜の誤回転を防止するためのロック機構を設けている。具体的には、特許文献1に記載の釜の操作装置は、ハンドルシャフトに設けられた円盤状のカラーと、カラーの周縁部に設けられた係合凹部と、ストッパーハンドルと、ストッパーハンドルの回転に連動して進退する係合突起とを備えている。特許文献1に記載の釜の操作装置は、ストッパーハンドルを回転させて、係合突起を突出させて係合凹部に係合させることで、カラー及びハンドルシャフトを介して、ハンドルの回転を規制し、一方、ストッパーハンドルを逆方向に回転させて、係合突起を後退させて係合凹部に係合させないことで、ハンドルの回転を許容することができる。
【0004】
仮に前述のような誤回転を防止するためのロック機構が機能しなくても、ウォームとウォームホイールとが螺合していれば、いわゆるセルフロック効果により、一般的には、容易には釜は回転しない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】実開昭60−126121号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、釜に過大な負荷が掛かり且つ釜が大きく傾いている場合などにおいては、(釜の操作用の)ハンドルに不意に当たっただけでもハンドルが回り始め、釜が傾いて内容物がこぼれてしまう可能性がある。また、セルフロック効果を発現しない構成を有する場合には、この問題は特に顕著となる。
【0007】
従って、本発明は、意図的にロック解除操作を行えば釜を動かすことができ、一方、ロック解除操作を止めることで、意識的にロック状態を形成しようとしなくてもロック状態を形成可能な状態となるため安全である、釜の操作装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、ハンドルと、前記ハンドルの回転に連動するハンドルシャフトと、前記ハンドルの回転をロックするハンドルロック機構とを備え、前記ハンドルの回転によって前記ハンドルシャフトを介して釜に所定の動きを与えるように操作する、釜の操作装置であって、前記ハンドルロック機構は、所定のロック解除操作が行われたときのみ、前記ハンドルの回転のロックを解除するロック解除状態を形成し、ロック解除操作を止めると、自発する復元力によって、前記ハンドルの回転をロックするロック状態を形成可能な状態となるように構成されている、釜の操作装置に関する。
【0009】
また、前記復元力は、前記ハンドルロック機構の自重に起因して発現することが好ましい。
【0010】
また、前記ハンドルロック機構は、前記ハンドルシャフトから径方向外方に延びる非円形の鍔部と、前記鍔部を配置可能な規制溝部を有する規制部材と、を備え、前記規制溝部は、前記鍔部が配置されたときに前記鍔部の回転を規制する鍔部回転規制部と、前記鍔部が配置されたときに前記鍔部の回転を許容する鍔部回転許容部と、を有することが好ましい。
【0011】
また、前記ハンドルロック機構は、前記ハンドルを操作するハンドル操作者がその足で前記ロック解除操作を行うことができる解除操作部を備えることが好ましい。
【0012】
また、前記解除操作部は、ハンドル操作者の足で踏まれることにより移動するフットペダルと、前記フットペダルの移動に伴って前記規制部材を機械的に移動させる規制部材移動部と、を備え、前記フットペダルが踏まれると、前記規制部材が前記規制部材移動部により移動されて、前記鍔部回転規制部に配置される前記鍔部が前記鍔部回転許容部に配置されるように、構成されていることが好ましい。
【0013】
また、前記鍔部は、前記ハンドルシャフトの軸方向に視たときに、複数組の略平行な対辺を有する多角形であり、前記鍔部回転規制部は、前記複数組の略平行な対辺を配置可能な対向内壁を有することが好ましい。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、意図的にロック解除操作を行えば釜を動かすことができ、一方、ロック解除操作を止めることで、意識的にロック状態を形成しようとしなくてもロック状態を形成可能な状態となるため安全である、釜の操作装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明の第1実施形態の釜の操作装置10を有する調理装置1を示す斜視図である。
図2】第1実施形態の釜の操作装置10を有する調理装置1の一部を示す右側面図である。
図3】第1実施形態の釜の操作装置10を有する調理装置1の一部を示す平面図である。
図4】第1実施形態の釜の操作装置10がハンドルのロック状態からロック解除状態に遷移する際の挙動を示す正面図である。
図5図4の一部を抜き出して示す図であって、(A)はロック状態を示す図、(B)はロック解除状態を示す図である。
図6】第2実施形態の釜の操作装置10Aがハンドルのロック状態からロック解除状態に遷移する際の挙動を示す正面図である(図4対応図)。
図7】ロック状態の第2実施形態の釜の操作装置10Aにおける解除操作部7Aの下半分を示す右側面図である。
図8】ロック解除状態の第2実施形態の釜の操作装置10Aにおける解除操作部7Aの下半分を示す右側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、図面を参照して、本発明の第1実施形態の釜の操作装置10を有する調理装置1について説明する。図1は、本発明の一実施形態の釜の操作装置10を有する調理装置1を示す斜視図である。図2は、釜の操作装置10を有する調理装置1の一部を示す右側面図である。図3は、釜の操作装置10を有する調理装置1の一部を示す平面図である。図4は、釜の操作装置10がハンドルのロック状態からロック解除状態に遷移する際の挙動を示す正面図である。図5は、図4の一部を抜き出して示す図であって、(A)はロック状態を示す図、(B)はロック解除状態を示す図である。
【0017】
各図面において、後ろ方向をD11で示し、前方向をD12で示し、両方向を合わせて「前後方向D1」という。本実施形態においては、前後方向D1は、ハンドル3及びハンドルシャフト4の軸方向D1と一致する。右方向をD21で示し、左方向をD22で示し、両方向を合わせて「横方向D2」という。上方向をD31で示し、下方向をD32で示し、両方向を合わせて「上下方向D3」という。
【0018】
〔調理装置1の全体構成〕
図1図3に示すように、調理装置1は、釜2と、架台11と、ハンドル側支持構造体12と、ハンドルとは反対側の支持構造体15と、ハンドル3等を有する操作装置10と、を備える。
釜2は、有底で上方に開放した形状を有し、被調理物を煮炊きする。釜2は、右方向D21及び左方向D22それぞれに突出する釜シャフト21を備える。架台11は、釜2の右側及び左側にそれぞれ設けられており、ハンドル側支持構造体12及び支持構造体15を介して、横方向D2を回転中心として釜2を回転(傾動)自在に支持する。
【0019】
詳述すると、ハンドル側支持構造体12は、右側の架台11の上方に設けられており、右側の釜シャフト21を介して、釜2の右側を回転自在に支持する。また、ハンドル側支持構造体12は、操作装置10を支持する。支持構造体15は、左側の架台11の上方に設けられており、左側の釜シャフト21(図示せず)を介して、釜2の左側を回転自在に支持する。
【0020】
架台11の下部には、調理装置1の接地部を構成する脚部(図示せず)が設けられている。
【0021】
〔第1実施形態の操作装置10〕
操作装置10は、ハンドル3の回転によってハンドルシャフト4を介して釜2に所定の動き(本実施形態では、横方向D2を回転中心とする回転=傾動)を与えるように操作する。操作装置10は、ハンドル3と、ハンドルシャフト4と、ウォームホイール22と、ウォーム41と、ハンドルシャフト支持部13と、ハンドルロック機構5と、を備える。
【0022】
右側の釜シャフト21は、ハンドル側支持構造体12を貫通して右側に突出している。ウォームホイール22は、ハンドル側支持構造体12よりも右側の釜シャフト21に設けられている。
【0023】
ハンドル3は、釜2の回転を行う際に作業者によって回される。つまり、ハンドル3が回されることで、釜2は釜シャフト21を中心に回転する。ハンドル3は、釜2の前方に立つ作業者の作業性を考慮して、釜2の右側の前側に配置される。ハンドル3(及びハンドルシャフト4)の回転中心(軸方向)は、前後方向D1でもある。
【0024】
ハンドルシャフト4は、ハンドル3に連結されており、ハンドル3から後ろ方向D11に延びる軸部材であり、ハンドル3の回転に連動して回転する。従って、ハンドル3が回されると、前後方向D1を回転中心としてハンドルシャフト4も回転する。ウォーム41は、ハンドルシャフト4における後部寄りに設けられている。
ハンドルシャフト支持部13は、ウォーム41の後ろ方向D11の側及び前方向D12の側にそれぞれ設けられる(前後方向D1にウォーム41を挟んで設けられる)。ハンドルシャフト支持部13は、ハンドル側支持構造体12の上部の右側に設けられる。
【0025】
ウォーム41は、ウォームホイール22に螺合している。従って、ハンドル3を回すと、ハンドルシャフト4、ウォーム41、ウォームホイール22、右側の釜シャフト21を介して、釜2が回転する。
【0026】
〔ハンドルロック機構5〕
ハンドルロック機構5は、操作装置10の一部を構成するものであり、図4及び図5に示すように、ハンドル3(の回転)をロック状態(ロックする状態)又はロック解除状態(ロックが解除され、回転可能な状態)に切り換える機構である。
ハンドルロック機構5は、所定のロック解除操作が行われたときのみ、ハンドル3の回転のロックを解除するロック解除状態を形成し、ロック解除操作を止めると、自発する復元力によって、ハンドル3の回転をロックするロック状態を形成可能な状態となるように構成されている。前記復元力は、ハンドルロック機構5の自重に起因して発現する。ロック状態及びロック解除状態の詳細については、後述する。
【0027】
図4及び図5に示すように、ハンドルロック機構5は、鍔部50と、規制部材6と、解除操作部7と、ガイド部材14と、カラー42(図1図3参照)と、を備える。
【0028】
鍔部50は、ハンドルシャフト4から径方向外方に延びる非円形の部位であり、ハンドル3と前側のハンドルシャフト支持部13との間のハンドルシャフト4に設けられる。鍔部50は、ハンドルシャフト4の軸方向D1に視たときに、複数組の略平行な対辺51,51を有する多角形である。本実施形態においては、鍔部50は正八角形形状を有する。つまり、鍔部50は、完全に平行な対辺51、51を4組有する。
【0029】
規制部材6は、板状部材から構成される。規制部材6は、前後方向D1に貫通し且つ鍔部50を配置可能な規制溝部60を有する。規制溝部60は、鍔部回転規制部61と、鍔部回転許容部66と、導入縁部63と、を有する。
【0030】
鍔部回転規制部61は、鍔部50が配置されることが可能な軸方向D1に貫通する孔状であり、鍔部50が配置されたときに鍔部50の回転を規制する。鍔部回転規制部61は、鍔部50における複数組の略平行な対辺51を配置可能な対向内壁62を有する。鍔部50が鍔部回転規制部61における対向内壁62に配置された状態において、対向内壁62と鍔部50の対辺51との間隔は狭くなっており、そのため、鍔部50は回転できない。
【0031】
鍔部回転許容部66は、鍔部50が配置されることが可能な軸方向D1に貫通する孔状であり、鍔部50が配置されたときに鍔部50の回転を許容する。鍔部50が鍔部回転許容部66に配置された状態において、鍔部回転許容部66と鍔部50の外周辺との間隔は広くなっており、そのため、鍔部50は回転できる。
導入縁部63は、鍔部回転規制部61と鍔部回転許容部66との境界に位置する部位であり、正面視において内側に向けて凸の丸みを帯びている。
【0032】
また、規制部材6の左側壁は、ガイド部材14(後述)と近接して対向しており、ガイド壁部68として機能する。規制部材6の右下部は、解除操作部7の押圧部73(詳細は後述)と対向しており、被押圧部69として機能する。被押圧部69は、円弧状に形成されており、その内側端部は、ハンドルシャフト4の回転中心から垂下した位置に配置される。これにより被押圧部69が押圧部73に押下されやすい構成の設計が容易となる。
【0033】
〔第1実施形態における解除操作部7〕
第1実施形態における解除操作部7は、主に、ハンドル3を操作するハンドル操作者の手や腕によってロック解除操作が行われる部位であり、解除ハンドル71と、支点シャフト72と、押圧部73と、支点シャフト支持部74と、回動規制片75とを備える。
図4に示すように、解除ハンドル71は、ロック解除操作時において使用される棒状のハンドルであって、作業者の手や腕によって操作されて、支点シャフト72を回転中心として回転する。解除ハンドル71は、先端側の把持される把持部711と、回動基部712とを有する。押圧部73は、解除ハンドル71の下部に連結される板状(角棒状)部材からなる。解除ハンドル71は、ほぼ上下方向D3に延びており、規制部材6の左側に配置される。押圧部73は、右方向D21に延びており、規制部材6の下方に配置される。支点シャフト72は、連結される解除ハンドル71及び押圧部73の支点として機能する。図2及び図3に示すように、支点シャフト72は、平面視において、ハンドル側支持構造体12の左側に配置され、軸方向D1(前後方向D1)に延びている。
【0034】
解除ハンドル71の把持部711の上部は、ハンドルシャフト4の上方空間に位置するように、屈曲している。ハンドルシャフト4の上方空間は、一般的に有効活用されていない空間であるところ、本実施形態においては、解除ハンドル71の把持部711の上部の配置スペースとして有効活用している。また、図4に示すように、ロック解除状態においても、解除ハンドル71の把持部711が左側に突出する量を最小限にできる(ハンドルシャフト4と釜2との間の空間に収めることができる)ため、ハンドルシャフト4と釜2との間の空間を拡大する等の設計変更を抑制できる。
【0035】
支点シャフト支持部74は、前後方向D1に離間して2個、ハンドル側支持構造体12に左側に連結されて設けられている。支点シャフト支持部74は、支点シャフト72を、前後方向D1に離間して2箇所において回転自在に支持する。
回動規制片75は、解除操作部7の解除ハンドル71の左側に配置され、ロック解除操作時に解除ハンドル71が左回りに回転し過ぎないように規制する。具体的には、解除ハンドル71が左回りに回転し過ぎると、解除ハンドル71の回動基部712が回動規制片75に接触し(図4において2点鎖線で示す)、解除ハンドル71は、それ以上左回りに回転できない。
【0036】
ガイド部材14は、規制部材6の左側壁からなるガイド壁部68に近接して配置されている。ガイド部材14は、ハンドル側支持構造体12の前方に配置され、ハンドル側支持構造体12に連結されている。
【0037】
図1図3に示すように、カラー42は、規制部材6の規制溝部60に位置する鍔部50及び規制溝部60を軸方向D1に挟むように、鍔部50に連結されている。カラー42と鍔部50との連結形態としては、溶接やボルト締結が例示される。カラー42は、規制部材6の軸方向D1(前後方向D1)の移動を規制する。また、カラー42は、規制部材6の規制溝部60の大部分(特に鍔部回転規制部61)を被覆する。ロック解除状態の保持を目的として、作業者が鍔部回転規制部61と鍔部50との間に物を挟む異常操作を行う虞が有る。しかし、カラー42が規制溝部60の大部分を被覆していれば、その異常操作を抑制することができる。
【0038】
〔第1実施形態におけるロック状態〕
第1実施形態においては、ロック状態は以下のように形成される。解除操作部7の解除ハンドル71が操作されないときには、図5(A)に示すように、押圧部73は、規制部材6から下方に離間しており、規制部材6に接触(押圧)していない。そのため、規制部材6は、その自重に従って、最も下方に移動しようとする。鍔部50が鍔部回転規制部61に位置する場合、鍔部50の上部が鍔部回転規制部61に当接するまで、規制部材6は下方に移動する。また、図5(B)に示すように、鍔部50が鍔部回転許容部66に位置するときには、規制部材6の下方への移動に伴って、鍔部50は、鍔部回転規制部61に移動しようとする。
【0039】
また、鍔部50の回転位置(つまり、ハンドル3及びハンドルシャフト4の回転位置)によっては、鍔部回転許容部66に位置する鍔部50は、引っ掛かって、鍔部回転規制部61に移動できない場合がある。しかし、その場合には、ハンドル3を少し回して鍔部50を回転させることにより、鍔部50が鍔部回転規制部61に進入可能な姿勢になり、鍔部50は鍔部回転規制部61に配置されることができる。また、丸みを帯びた導入縁部63が設けられているため、鍔部回転許容部66に位置する鍔部50は、引っ掛かりにくく、鍔部回転規制部61に移動しやすい。
【0040】
また、規制部材6が鍔部50に引っ掛かり、完全に下に落ちきっていない状態(ロック状態が未形成)で保持されているときに、この状態で何からの要因でハンドル3が誤回転し始めたとしも、規制部材6に設けた導入縁部63により、規制部材6は自然と自重で可能なところまで下方に落ち、ロック状態を形成することができる。このように、故意にハンドル3を操作しなくても、ハンドル3が再度回り始めることで自然とロック状態が形成される。
【0041】
ロック状態において、鍔部50の対辺51と鍔部回転規制部61の対向内壁62との間隔は小さい。そのため、鍔部50はほとんど回転することができず、延いては、鍔部50及びハンドルシャフト4を介して、ハンドル3もほとんど回転することができない。つまり、ハンドル3の回転はロックされている。ロック状態は、解除ハンドル71の操作によるハンドル解除操作が行われない限り、維持されているため、安全である。
【0042】
〔第1実施形態におけるロック解除状態〕
第1実施形態においては、ロック解除状態は、以下のように形成される。図4に示すように、解除操作部7の解除ハンドル71が操作されて左回りに回転すると、支点シャフト72を回転中心として、押圧部73も左回りに回転する。これに伴って、図4及び図5(B)に示すように、押圧部73は、規制部材6の右下部の被押圧部69を右下から左上に向けて押圧する。これにより、規制部材6は、左上に移動しようとする。しかし、規制部材6の左側には、ガイド部材14が配置されている。そのため、規制部材6の左側壁からなるガイド壁部68がガイド部材14に当接した後には、規制部材6は左方向D22に移動できない。そのため、規制部材6は、ガイド部材14によって移動方向を上下方向D3に規制されて、上方向D31に移動する。その結果、鍔部回転規制部61に位置する鍔部50は、鍔部回転許容部66に移動する。鍔部回転許容部66に位置する鍔部50は、回転を規制されないため、ハンドルシャフト4を介して連結されるハンドル3も回転が規制されない。つまり、ハンドル3のロックは解除される。なお、ロック解除状態において押圧部73はカラー42に接触しない。
【0043】
〔第1実施形態におけるロック解除状態からロック状態への遷移〕
第1実施形態においては、ロック解除状態は、解除操作部7の解除ハンドル71が操作されて左回りに回転した状態において形成される。一方、ロックの解除が不要になったときには、解除操作部7の解除ハンドル71の操作がされなくなる。例えば、作業者が解除ハンドル71を右回りに回転させることで、鍔部回転許容部66に配置する鍔部50は、鍔部回転規制部61に移動して、ロック状態は再度形成される。
【0044】
ところで、作業者がロック状態へ遷移させる操作を忘れることが有り得る。これに対して、本実施形態においては、ハンドルロック機構5の自重に起因して、前記復元力が発現する。例えば、規制部材6の自重や解除ハンドル71の重心の位置に起因して、解除操作部7に右回りの回転をさせる復元力が発現する。そのため、解除操作部7(特に、連結された解除ハンドル71及び押圧部73)は、電力や弾性部材の弾性力に起因する駆動源が無くても、右回りに回転する。
【0045】
なお、前述した通り、鍔部50の回転位置によって鍔部回転許容部66に位置する鍔部50が引っ掛かる場合には、ハンドル3を少し回して鍔部50を回転させることにより、鍔部50は鍔部回転規制部61に配置される(つまり、ロック状態を形成する)ことができる。
【0046】
〔第1実施形態の効果〕
第1実施形態の操作装置10によれば、例えば、以下の効果が奏される。
第1実施形態の操作装置10は、ハンドル3と、ハンドル3の回転に連動するハンドルシャフト4と、ハンドル3の回転をロックするハンドルロック機構5とを備え、ハンドル3の回転によってハンドルシャフト4を介して釜2に所定の動きを与えるように操作する、釜の操作装置であって、ハンドルロック機構5は、所定のロック解除操作が行われたときのみ、ハンドル3の回転のロックを解除するロック解除状態を形成し、ロック解除操作を止めると、自発する復元力によって、ハンドル3の回転をロックするロック状態を形成可能な状態となるように構成されている。
【0047】
そのため、意図的にロック解除操作を行えば釜2を動かすことができ、一方、ロック解除操作を止めることで、意識的にロック状態を形成しようとしなくてもロック状態を形成可能な状態となるため、安全である。電力を用いないため、電気的不調(通電不良、停電など)の影響を受けずに、ハンドル3をロックできる。
【0048】
第1実施形態の操作装置10においては、復元力は、ハンドルロック機構5の自重に起因して発現する。そのため、復元力を発現させるための機械的駆動源(弾性部材など)を用いなくても、復元力を発現させて、ロック状態を形成できる。
【0049】
第1実施形態の操作装置10においては、ハンドルロック機構5は、ハンドルシャフト4から径方向外方に延びる非円形の鍔部50と、鍔部50を配置可能な規制溝部60を有する規制部材6と、を備え、規制溝部60は、鍔部50が配置されたときに鍔部50の回転を規制する鍔部回転規制部61と、鍔部50が配置されたときに鍔部50の回転を許容する鍔部回転許容部66と、を有する。
【0050】
そのため、規制溝部60における鍔部50の配置位置を変更することで、鍔部50の回転、つまりハンドル3の回転の規制と許容とを容易に変更することができる。
【0051】
第1実施形態の操作装置10においては、鍔部50は、ハンドルシャフト4の軸方向D1に視たときに、複数組の略平行な対辺51を有する多角形であり、鍔部回転規制部61は、複数組の略平行な対辺51を配置可能な対向内壁62を有する。
【0052】
そのため、鍔部50が鍔部回転規制部61に配置されるパターンが複数あるため、ロック状態の形成過程においてハンドル3を回転させて鍔部50を鍔部回転規制部61に配置させる操作(つまり、ロック状態を形成する操作)が容易である。
【0053】
〔第2実施形態の操作装置10A〕
次に、本発明の第2実施形態の操作装置10Aについて、図6図8を参照しながら説明する。図6は、第2実施形態の釜の操作装置10Aがハンドルのロック状態からロック解除状態に遷移する際の挙動を示す正面図である(図4対応図)。図7は、ロック状態の第2実施形態の釜の操作装置10Aにおける解除操作部7Aの下半分を示す右側面図である。図8は、ロック解除状態の第2実施形態の釜の操作装置10Aにおける解除操作部7Aの下半分を示す右側面図である。
【0054】
第2実施形態については、主に第1実施形態との相違点について説明する。そのため、第1実施形態と同一(又は同等)の構成については、詳細な説明を省略する。また、第2実施形態において特に説明しない点については、第1実施形態の説明が適宜に適用又は援用される。第2実施形態においても、第1実施形態と同様の効果が奏される。
【0055】
前述の第1実施形態においては、解除操作部7は、解除ハンドル71を有し、主に、ハンドル3を操作するハンドル操作者の手や腕によってロック解除操作が行われる部位である。これに対して、第2実施形態においては、図6図8に示すように、解除操作部7Aは、フットペダル8を有し、ハンドル3を操作するハンドル操作者の足によってロック解除操作が行われる部位である。
【0056】
第2実施形態における解除操作部7Aは、ハンドル操作者の足で踏まれることにより移動するフットペダル8と、フットペダル8の移動に伴って規制部材6を機械的に移動させる規制部材移動部9と、を備える。解除操作部7Aは、フットペダル8が踏まれると、規制部材6が規制部材移動部9により移動されて、鍔部回転規制部61に配置される鍔部50が鍔部回転許容部66に配置されるように、構成されている。
【0057】
図7及び図8に示すように、フットペダル8は、基部81と、踏み板部82と、ヒンジ部83と、ストッパー部84とを備える。基部81は、フットペダル8の底部に形成される基部である。踏み板部82は、基部81に対して所定範囲で回動する板状部である。ヒンジ部83は、基部81と踏み板部82とを回動自在に連結する。ストッパー部84は、基部81の内面と踏み板部82の内面との間に配置されている。ストッパー部84は、踏み板部82が踏まれて基部81に接近すると、踏み板部82が突き当たって、踏み板部82がそれ以上基部81に接近することを阻害する部位である。ストッパー部84は、その高さを調整可能に構成されていてもよい。その場合、ストッパー部84の高さを調整することで、踏み板部82が突き当たるストッパー部84の上下方向D3の位置、つまり、踏み板部82の踏み込み可能な深さを調整することができる。
【0058】
図6図8に示すように、規制部材移動部9は、その上部から、押圧部73と、回動基部712と、支点シャフト72と、力点基部76と、連結棒構造体90とを備える。なお、図6の下方は図7又は図8の上方に繋がっているが、図6の向きと図7及び図8の向きとは90度異なっている。押圧部73、回動基部712及び支点シャフト72は、第1実施形態と同様であるため、説明を省略する。力点基部76は、支点シャフト72を挟んで押圧部73とは反対側(左方向D22)に配置され、押圧部73と一体的に構成されている部位である。
【0059】
連結棒構造体90は、押圧部73と一体的な力点基部76と、フットペダル8の踏み板部82とを連結する全体視で棒状の構造体である。連結棒構造体90の構成は、フットペダル8の踏み込みによるフットペダル8の移動(特に、移動量)を押圧部73に伝達して、押圧部73を移動させ、ロック状態とロック解除状態との遷移を実現できれば、制限されない。なお、フットペダル8の移動は、直線的移動に制限されず、例えば、曲線的移動、回動、回転、ジグザグ移動などを広く含むものとする。本実施形態においては、連結棒構造体90は、力点連結部91と、力点シャフト92と、上部棒状部93と、ターンバックル94と、下部棒状部95と、ペダル連結構造部96とを備える。
【0060】
力点連結部91は、連結棒構造体90の上端部に配置される部位であり、力点基部76に回動自在に連結される。力点シャフト92は、力点基部76と力点連結部91とに跨がって挿通される軸部材であり、力点基部76と力点連結部91との連結及び回動を実現すると共に、回転軸部材として機能する。上部棒状部93は、その上端部において、力点連結部91の下部に連結される剛体の棒状部である。上部棒状部93の下端部には、雄ネジが設けられている。ターンバックル94は、上部棒状部93の下端部と下部棒状部95の上端部とを連結する剛体の部材である。下部棒状部95は、ターンバックル94の下部に連結される剛体の棒状部である。下部棒状部95の上端部には、雄ネジが設けられている。
【0061】
ターンバックル94は、金属製の胴と、胴の両端にそれぞれ設けられる雌ネジとを有する。一方の雌ネジは右ネジ、他方の雌ネジは左ネジ(逆ネジ)になっている。この胴を回転させることで胴の両端に螺合される上部棒状部93の雄ネジ及び下部棒状部95の雄ネジが締め込まれ又は緩められ、両雄ネジの間隔を調節することができる。これにより、連結棒構造体90の全長を容易に広範囲で変更することができる。
【0062】
ペダル連結構造部96は、下部棒状部95の下端部とフットペダル8の踏み板部82とを連結する。ペダル連結構造部96の構成は、フットペダル8の踏み込みによるフットペダル8の移動(特に、移動量)を押圧部73に伝達して、押圧部73を移動させ、ロック状態とロック解除状態との遷移を実現できれば、制限されない。ペダル連結構造部96は、例えば、複数個の環状部品を繋げて線状にした構造体から構成される。
【0063】
図7及び図8に示すように、架台11の下部には、調理装置1の接地部を構成する脚部112が設けられている。脚部112は、上下方向D3の長さ(高さ)を変更可能な構造を有しており、高さを変更することにより、調理装置1の高さ方向位置、例えば、釜2の高さ方向位置、ハンドル3の高さ方向位置を変更することができる。
【0064】
フットペダル8の基部81と脚部112とは、全体視で横方向D2に延びる連結部材113により連結されている。これにより、架台11とフットペダル8との位置関係を固定することができる。
【0065】
また、第2実施形態においては、フットペダル8を踏まないとロック状態が形成され、フットペダル8を踏むとロック解除状態が形成される構成を備えているが、これを実現するためには、フットペダル8における基部81と踏み板部82との位置関係(間隔など)を現物合わせで適切に変更する必要がある。また、前述の通り、調理装置1の脚部112の高さも適宜変更する必要がある。これらの変更のためには、規制部材移動部9の長さを変更する必要がある。第2実施形態における規制部材移動部9は、ターンバックル94を備えているので、規制部材移動部9の全長の変更が容易である。
【0066】
第2実施形態においては、回動規制片75の上端に回動基部712が突き当たることによる回動規制機能を有するが、この機能はターンバックル94の調整の目安に用いる。例えば、フットペダル8を踏み切ると回動基部712がちょうど回動規制片75の上端に突き当たるように、ターンバックル94を調整する。
【0067】
このように構成される第2実施形態における解除操作部7Aによれば、以下のようにロック状態とロック解除状態とを遷移することができる。以下の説明においては、第1実施形態の説明を援用することで、説明を適宜に簡略化している。
【0068】
〔第2実施形態におけるロック状態〕
第2実施形態においては、第1実施形態における解除ハンドル71が操作されない場合と同様に、規制部材6は下方に移動しており、ロック状態が形成される(図5(A)も参照)。なお、第2実施形態においては、ロック状態は、フットペダル8の踏み込み操作によるハンドル解除操作が行われない限り、維持されているため、安全である。
【0069】
〔第2実施形態におけるロック解除状態〕
第2実施形態においては、ロック解除状態は、以下のように形成される。図7に示すように、フットペダル8の踏み板部82が上方に位置している状態から、図8に示すように、フットペダル8が踏み込み操作されて、踏み板部82が下方に回動して移動すると、踏み板部82の移動は、連結棒構造体90及び力点基部76を介して、押圧部73に伝達される。これにより、押圧部73及び回動基部712は、支点シャフト72を回転中心として、左回りに回転する。これに伴って、図6に示すように、押圧部73は、規制部材6の右下部の被押圧部69を右下から左上に向けて押圧する。これにより、規制部材6は、上方向D31に移動し、第1実施形態における解除ハンドル71の操作によるハンドル解除操作が行われた場合と同様に、ハンドル3のロックは解除される(図5(B)も参照)。
【0070】
〔第2実施形態におけるロック解除状態からロック状態への遷移〕
第2実施形態においては、ロック解除状態において、ロックの解除が不要になったときには、フットペダル8の踏み込み操作がされなくなる。これにより、規制部材6及び押圧部73は下方に移動し、一方、力点基部76及び連結棒構造体90は上方に移動する。これにより、連結棒構造体90の下端部に連結されたフットペダル8の踏み板部82は、上方に移動する。また、鍔部回転許容部66に配置する鍔部50は、鍔部回転規制部61に移動して、ロック状態は再度形成される。
【0071】
ところで、作業者がロック状態へ遷移させる操作を忘れることが有り得る。これに対して、本実施形態においては、ハンドルロック機構5の自重に起因して、前記復元力が発現する。例えば、規制部材6の自重や連結棒構造体90の重心の位置に起因して、解除操作部7Aの押圧部73及びこれと一体的な力点基部76に右回りの回転をさせる復元力が発現する。そのため、解除操作部7Aの押圧部73及び力点基部76は、電力や弾性部材の弾性力に起因する駆動源が無くても、右回りに回転する。これに伴って、力点基部76に連結された連結棒構造体90は上方に移動し、これに連結されたフットペダル8の踏み板部82も上方に移動する。
【0072】
〔第2実施形態の効果〕
第2実施形態の操作装置10Aによれば、例えば、以下の効果が奏される。
第2実施形態の操作装置10Aにおいては、ハンドルロック機構5は、ハンドル3を操作するハンドル操作者がその足でロック解除操作を行うことができる解除操作部7Aを備える。
【0073】
そのため、第2実施形態の操作装置10Aによれば、ハンドル操作者がその足でロック解除操作を行うことができるため、釜2の操作者であるハンドル操作者は、ロック解除操作時に、一方の手でハンドル3を操作しても、他方の手をフリーの状態に保つことができ、例えば、他方の手を使ってしゃもじ等で釜2の中の食材の掻き出しが可能となる。そのため、釜2の使用現場での作業効率を落とすことなく、且つハンドルロックに関する安全性も向上させることができる。
【0074】
第2実施形態の操作装置10Aにおいては、解除操作部7Aは、ハンドル操作者の足で踏まれることにより移動するフットペダル8と、フットペダル8の移動に伴って規制部材6を機械的に移動させる規制部材移動部9と、を備える。解除操作部7Aは、フットペダル8が踏まれると、規制部材6が規制部材移動部9により移動されて、鍔部回転規制部61に配置される鍔部50が鍔部回転許容部66に配置されるように、構成されている。そのため、第2実施形態の操作装置10Aによれば、解除操作部7Aを簡易な構成で実現することができる。
【0075】
〔変形例〕
以上、本発明の実施形態について説明した。しかし、本発明は、上述した実施形態に限定されることなく、種々の形態で実施することができる。例えば、第1実施形態においては、解除操作部7は、作業者の主に手や腕によって操作される解除ハンドル71を備え、解除ハンドル71が操作されることによって、ロック解除状態を形成する。これに対して、第2実施形態のように、解除操作部は、作業者の足や脚で操作されるように構成されることができる。
【0076】
ロック解除操作を止めると自発する復元力は、ハンドルロック機構5の自重に起因するものに制限されず、弾性部材の弾性力や磁石の磁力を利用するものであってもよい。弾性部材の弾性力を利用することで、規制部材6を軽量化したり、鍔部回転規制部61又は鍔部回転許容部66への鍔部50の配置形態の自由度(水平等に配置)を増すことができる。第2実施形態におけるフットペダル8においては、ロック解除操作を止めると自発する復元力として、基部81と踏み板部82とが離れる方向に弾性力や磁力が発現するように、弾性部材や磁石を配置してもよい。
鍔部50の形状は、八角形に制限されず、六角形、四角形、その他の多角形であってもよく、また、正多角形でなくてもよい。
【0077】
鍔部回転規制部61の対向内壁62、鍔部50の対辺51は、完全な平行でなくてもよく、例えば、完全な平行と比べて数°傾いた位置関係(略平行)や、平行とはいえない位置関係であってもよい。
ハンドル3によって釜2に与える動きは、典型的には回転(傾動)であるが、これに制限されず、例えば直線的移動であってもよい。
【0078】
第2実施形態に関して、例えば、フットペダル8に代えて、ペダル以外の構成(例えば、足で操作可能なレバーやボタン)で足により操作可能な構造を採用することができる。また、連結棒構造体90に代えて、フットペダル等の移動に伴って規制部材6を非機械的(例えば、電気的)に移動させる構造を採用することができる。
【符号の説明】
【0079】
10,10A 操作装置
2 釜
3 ハンドル
4 ハンドルシャフト
5 ハンドルロック機構
50 鍔部
51 対辺
6 規制部材
60 規制溝部
61 鍔部回転規制部
62 対向内壁
66 鍔部回転許容部
7,7A 解除操作部
8 フットペダル
9 規制部材移動部
D1 軸方向、前後方向
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8