特開2017-216045(P2017-216045A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 京セラ株式会社の特許一覧

特開2017-216045ヒータおよびこれを備えたグロープラグ
<>
  • 特開2017216045-ヒータおよびこれを備えたグロープラグ 図000003
  • 特開2017216045-ヒータおよびこれを備えたグロープラグ 図000004
  • 特開2017216045-ヒータおよびこれを備えたグロープラグ 図000005
  • 特開2017216045-ヒータおよびこれを備えたグロープラグ 図000006
  • 特開2017216045-ヒータおよびこれを備えたグロープラグ 図000007
  • 特開2017216045-ヒータおよびこれを備えたグロープラグ 図000008
  • 特開2017216045-ヒータおよびこれを備えたグロープラグ 図000009
  • 特開2017216045-ヒータおよびこれを備えたグロープラグ 図000010
  • 特開2017216045-ヒータおよびこれを備えたグロープラグ 図000011
  • 特開2017216045-ヒータおよびこれを備えたグロープラグ 図000012
  • 特開2017216045-ヒータおよびこれを備えたグロープラグ 図000013
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2017-216045(P2017-216045A)
(43)【公開日】2017年12月7日
(54)【発明の名称】ヒータおよびこれを備えたグロープラグ
(51)【国際特許分類】
   H05B 3/10 20060101AFI20171110BHJP
   H05B 3/48 20060101ALI20171110BHJP
   F23Q 7/00 20060101ALI20171110BHJP
【FI】
   H05B3/10 A
   H05B3/48
   F23Q7/00 V
   F23Q7/00 605M
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2016-107116(P2016-107116)
(22)【出願日】2016年5月30日
(71)【出願人】
【識別番号】000006633
【氏名又は名称】京セラ株式会社
(72)【発明者】
【氏名】岡村 健
【テーマコード(参考)】
3K092
【Fターム(参考)】
3K092PP16
3K092QB03
3K092QB26
3K092QB72
3K092RA02
3K092RB02
3K092RB22
3K092VV31
(57)【要約】      (修正有)
【課題】ヒータを構成するセラミック体と発熱抵抗体との間におけるクラック発生を防ぎ、ヒータの長期信頼性を向上させる。
【解決手段】ヒータは、棒状のセラミック体と、セラミック体の内部に設けられた発熱抵抗体3とを備えており、発熱抵抗体3は、対向する2つの並列部32と、2つの並列部32を繋ぐ折返し部30とを有するとともに、折返し部30の伸びる方向に垂直な断面を見たときに折返し部30の内周側に窪み31を有する。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
棒状のセラミック体と、該セラミック体の内部に設けられた発熱抵抗体とを備えており、該発熱抵抗体は、対向する2つの並列部と該2つの並列部を繋ぐ折返し部とを有するとともに、該折返し部の伸びる方向に垂直な断面を見たときに前記折返し部の内周側に窪みを有するヒータ。
【請求項2】
前記窪みが前記折返し部の内周に沿って伸びている請求項1に記載のヒータ。
【請求項3】
前記窪みが前記折返し部の頂部の内周側に位置している請求項2に記載のヒータ。
【請求項4】
前記折返し部の伸びる方向に垂直な断面における前記窪みの深さが前記頂部において最も大きくなっている請求項3に記載のヒータ。
【請求項5】
前記折返し部の伸びる方向に垂直な断面における前記窪みの深さが前記頂部から離れるにつれて小さくなっている請求項4に記載のヒータ。
【請求項6】
前記2つの並列部を含む断面で見たときに前記2つの並列部の少なくとも一方が凹部を有するとともに、前記窪みが前記凹部の内周面にまで伸びている請求項1乃至請求項5のいずれかに記載のヒータ。
【請求項7】
前記窪みが前記2つの並列部にまで伸びている請求項1乃至請求項6のいずれかに記載のヒータ。
【請求項8】
該折返し部の伸びる方向に垂直な断面を見たときに前記窪みの底面が曲線状である請求項1乃至請求項7のいずれかに記載のヒータ。
【請求項9】
前記窪みの一部が前記発熱抵抗体を貫通している請求項1乃至請求項8のいずれかに記載のヒータ。
【請求項10】
請求項1乃至請求項9のいずれかに記載のヒータであって前記発熱抵抗体が前記セラミック体の一端側に位置しているヒータと、前記セラミック体の他端側を覆うように取り付けられた金属筒とを備えたグロープラグ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば燃焼式車載暖房装置における点火用もしくは炎検知用のヒータ、石油ファンヒータ等の各種燃焼機器の点火用のヒータ、ディーゼルエンジンのグロープラグ用のヒータ、酸素センサ等の各種センサ用のヒータまたは測定機器の加熱用のヒータ等に利用されるヒータおよびこれを備えたグロープラグに関するものである。
【背景技術】
【0002】
ヒータとして、例えば、特許文献1に記載のセラミックヒータが知られている。特許文献1に記載のセラミックヒータは、棒状のセラミック体と、セラミック体の内部に設けられた発熱抵抗体とを備えている。発熱抵抗体は折返し部を有するとともに、折返し部を折返し部の伸びる方向に垂直な断面を見たときの形状が楕円形状になっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2003−22889号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載のヒータにおいては、折返し部の断面形状が楕円形状であることから、セラミック体と発熱抵抗体との間でクラックが広がりやすい傾向にあった。具体的には、折返し部の断面形状が楕円形状(すなわち、滑らかな形状)であると、セラミック体と発熱抵抗体との間のどこか1箇所にクラックが発生すると、このクラックがセラミック体と発熱抵抗体との滑らかな界面に沿って進行してしまい、クラックが拡大してしまうおそれがあった。特に、折返し部の内周側においては、他の部位と比較して高温になる傾向があることから、クラックが発生しやすい傾向にあった。これらの結果、ヒータの長期信頼性を向上させることが困難であった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の一態様のヒータは、棒状のセラミック体と、該セラミック体の内部に設けられた発熱抵抗体とを備えており、該発熱抵抗体は、対向する2つの並列部と該2つの並列部を繋ぐ折返し部とを有するとともに、該折返し部の伸びる方向に垂直な断面を見たときに前記折返し部の内周側に窪みを有する。
【発明の効果】
【0006】
本発明の一態様のヒータによれば、発熱抵抗体の折返し部の断面を見たときに折返し部の内周側に窪みを有することによって、長期信頼性を向上できる。具体的には、折返し部の内周側にクラックが発生したとしても、上述した窪みがあることによってクラックの進行を窪みで止めやすくすることができる。そのため、クラックがセラミック体と発熱抵抗体との間で拡大してしまうことを低減できる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】(a)はヒータの実施形態の一例を示す断面図であり、(b)は折返し部近傍の拡大断面図である。
図2】(a)は図1に示すヒータのうち発熱抵抗体を示す模式図であり、(b)は発熱抵抗体をa−a線で切った断面図である。
図3】(a)は他の例のヒータのうち発熱抵抗体を示す模式図であり、(b)は発熱抵抗体をb−b線で切った断面図である。
図4】(a)は他の例のヒータのうち発熱抵抗体を示す模式図であり、(b)は発熱抵抗体をc−c線で切った断面図である。
図5図1に示すヒータをX−Y線で切った断面図と、発熱抵抗体をA−A’線、B−B’線、C−C’線、D−D’線、E−E’線、F−F’線、G−G’線のそれぞれで切った断面図である。
図6】他の例のヒータおよび他の例のヒータにおける発熱抵抗体を図5と同様の断面で切った断面図である。
図7】他の例のヒータおよび他の例のヒータにおける発熱抵抗体を図5と同様の断面で切った断面図である。
図8】他の例のヒータおよび他の例のヒータにおける発熱抵抗体を図5と同様の断面で切った断面図である。
図9】他の例のヒータおよび他の例のヒータにおける発熱抵抗体を図5と同様の断面で切った断面図である。
図10】他の例のヒータのうち折返し部近傍を示す拡大断面図である。
図11】グロープラグの実施形態の一例を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
図1に示すように、ヒータ1は、セラミック体2と、セラミック体2に埋設された発熱抵抗体3と、発熱抵抗体3に接続されてセラミック体2の表面に引き出されたリード4とを備えている。
【0009】
ヒータ1におけるセラミック体2は、例えば長手方向を有する棒状に形成されたものである。このセラミック体2には発熱抵抗体3およびリード4が埋設されている。ここで、セラミック体2はセラミックスからなる。これにより急速昇温時の信頼性が高いヒータ1を提供することが可能になる。セラミックスとしては、酸化物セラミックス、窒化物セラミックスまたは炭化物セラミックス等の電気的に絶縁性を有するセラミックスが挙げられる。特に、セラミック体2は、窒化珪素質セラミックスからなっていてもよい。窒化珪素質セラミックスは、主成分である窒化珪素が強度、靱性、絶縁性および耐熱性の観点で優れているからである。
【0010】
窒化珪素質セラミックスからなるセラミック体2は、例えば、主成分の窒化珪素に対して、焼結助剤として3〜12質量%のY、YbまたはEr等の希土類元素酸化物、0.5〜3質量%のAlおよび焼結体に含まれるSiO量が1.5〜5質量%となるようにSiOを混合し、所定の形状に成形し、その後、1650〜1780℃でホットプレス焼成することによって得ることができる。セラミック体2の長さは、例えば20〜50mmに設定され、セラミック体2の直径は例えば3〜5mmに設定される。
【0011】
なお、セラミック体2として窒化珪素質セラミックスからなるものを用いる場合は、MoSiOまたはWSi等を混合し、分散させてもよい。この場合には、母材である窒化珪素質セラミックスの熱膨張率を発熱抵抗体3の熱膨張率に近付けることができ、ヒータ1の耐久性を向上させることができる。
【0012】
発熱抵抗体3は、セラミック体2の内部に設けられている。発熱抵抗体3はセラミック体2の先端側(一端側)に設けられている。発熱抵抗体3は、電流を流すことによって発熱する部材である。発熱抵抗体3は、セラミック体2の長手方向に沿って伸びる並列部32と、これらを連結する折返し部30とからなる。発熱抵抗体3の形成材料としては、W,MoまたはTiなどの炭化物、窒化物または珪化物などを主成分とするものを使用することができる。セラミック体2が窒化珪素質セラミックスからなる場合は、セラミック体2との熱膨張率の差が小さい点および高い耐熱性を有する点で、上記の材料の中でも炭化タングステン(WC)が発熱抵抗体3の材料として優れている。
【0013】
さらに、セラミック体2が窒化珪素質セラミックスからなる場合は、発熱抵抗体3は、無機導電体のWCを主成分とし、これに添加される窒化珪素の含有率が20質量%以上であるものが好ましい。例えば、窒化珪素質セラミックスからなるセラミック体2中において、発熱抵抗体3となる導体成分は窒化珪素と比較して熱膨張率が大きいため、通常は引張応力がかかった状態にある。これに対して、発熱抵抗体3中に窒化珪素を添加することにより、熱膨張率をセラミック体2のそれに近付けて、ヒータ1の昇温時および降温時の熱膨張率の差による応力を緩和することができる。
【0014】
また、発熱抵抗体3に含まれる窒化珪素の含有量が40質量%以下であるときには、発熱抵抗体3の抵抗値のばらつきを小さくさせることができる。従って、発熱抵抗体3に含まれる窒化珪素の含有量は20〜40質量%であることが好ましい。より好ましくは、窒化珪素の含有量は25〜35質量%がよい。また、発熱抵抗体3への同様の添加物として、窒化珪素の代わりに窒化硼素を4〜12質量%添加することもできる。発熱抵抗体3は全長を3〜15mm、断面積を0.15〜0.8mmに設定することができる。
【0015】
リード4は、発熱抵抗体3と外部の電源とを電気的に接続するための部材である。リード4は、発熱抵抗体3に接続されるとともにセラミック体2の表面に引き出されている。具体的には、発熱抵抗体3の両端部にそれぞれリード4が接合されていて、一方のリード4は、一端が発熱抵抗体3の一端に接続され、他端がセラミック体2の後端寄りの側面から導出され、他方のリード4は、一端が発熱抵抗体3の他端に接続され、他端がセラミック体2の後端部から導出されている。
【0016】
このリード4は、例えば、発熱抵抗体3と同様の材料を用いて形成される。リード4は、発熱抵抗体3よりも断面積を大きくしたり、セラミック体2の形成材料の含有量を発熱抵抗体3よりも少なくしたりすることによって、単位長さ当たりの抵抗値が低くなっている。特に、WCが、セラミック体2との熱膨張率の差が小さい点、高い耐熱性を有する点および比抵抗が小さい点で、リード4の材料として好適である。また、リード4は無機導電体であるWCを主成分とし、これに窒化珪素を含有量が15質量%以上となるように添加することが好ましい。窒化珪素の含有量が増すにつれて、リード4の熱膨張率を、セラミック体2を構成する窒化珪素の熱膨張率に近付けることができる。また、窒化珪素の含有量が40質量%以下であるときには、リード4の抵抗値が低くなるとともに安定する。従って、窒化珪素の含有量は15〜40質量%が好ましい。より好ましくは、窒化珪素の含有量は20〜35質量%とするのがよい。
【0017】
ここで、本実施形態のヒータ1においては、図1に示すように、棒状のセラミック体2と、セラミック体2の内部に設けられた発熱抵抗体3とを備えている。発熱抵抗体3は、対向する2つの並列部32と2つの並列部32を繋ぐ折返し部30とを有する。そして、図2に示すように、折返し部30の伸びる方向に垂直な断面を見たときに折返し部30の内周側に窪み31を有する。
【0018】
発熱抵抗体3の折返し部30の断面を見たときに折返し部30の内周側に窪み31を有することによって、ヒータ1の長期信頼性を向上できる。具体的には、折返し部30の内周側にクラックが発生したとしても、上述した窪み31があることによってクラックの進行を窪み31で止めやすくすることができる。そのため、クラックがセラミック体2と発熱抵抗体3との間で拡大してしまうことを低減できる。その結果、ヒータ1の長期信頼性を向上できる。
【0019】
発熱抵抗体3の断面形状が窪み31が設けられている部位を除いて楕円形状である場合
(略楕円形状である場合)には、発熱抵抗体3は、折返し部30の伸びる平面上に短軸が位置しており、折返し部30の伸びる平面に垂直な方向に長軸が位置していてもよい。発熱抵抗体3が略楕円形状である場合には、クラックは短軸に沿った方向よりも長軸に沿った方向に進行しやすい。そのため、折返し部30の伸びる平面に垂直な方向に長軸が位置していると、窪み31が長軸方向に沿った方向に進行しようとするクラックを止めやすくなる。
【0020】
また、図3に示すように窪み31が折返し部30の内周に沿って伸びていていてもよい。これにより、窪み31が折返し部30の内周に沿って弧を描くように伸びることになるので、熱応力を分散させやすくすることができる。その結果、ヒータ1の長期信頼性を向上できる。さらに、図4に示すように、窪み31が折返し部30の全周に沿って伸びていてもよい。これにより、窪み31の端部が折返し部30の途中に位置してしまい、この端部を起点としたクラックが生じるおそれを低減できる。その結果、折返し部30の特定の部位に熱応力が集中するおそれを低減できる。
【0021】
また、図5に示すように、窪み31が折返し部30の頂部(最も先端に位置する部位)の内周側に位置していてもよい。折返し部30のうち最も応力が集中しやすい位置、すなわち、最もクラックが生じやすい位置に窪み31が位置していることによって、クラックの進行を低減しやすくできる。
【0022】
また、図5に示すように、折返し部30の伸びる方向に垂直な断面における窪み31の深さが頂部(D−D’線が通る部位)において最も大きくなっていてもよい。応力が集中しやすい頂部において窪み31を深くしておくことによって、クラックの進行を低減しやすくできる。
【0023】
特に、図6のうちD−D’線で切った断面に示すように、窪み31の深さが発熱抵抗体3の幅(内周と外周との間隔の最大値)の1/2よりも大きい部分があってもよい。この場合には、窪み31が折返し部30の断面の中心に位置するようになるので、折返し部30の内側と外側とにセラミック体2が位置することになる。そのため、折返し部30が熱膨張したときに、外側だけではなく内側にも熱膨張によって生じる力を逃がすことができる。その結果、ヒータ1におけるクラックの発生を低減できる。
【0024】
また、折返し部30の伸びる方向に垂直な断面における窪み31の深さが頂部から離れるにつれて小さくなっていてもよい。これにより、窪み31の深さを徐々に小さくしていくことができるので、窪み31の端部において大きな段差が生じてしまうおそれを低減できる。これにより、窪み31の端部を起点としたクラックが生じるおそれを低減できる。
【0025】
また、図7に示すように、窪み31が2つの並列部32にまで伸びていてもよい。窪み31が並列部32にまで伸びて形成されていることによって、窪み31の端部を折返し部30の外に位置させることができる。その結果、折返し部30において熱応力が集中するおそれを低減できる。
【0026】
折返し部30の伸びる方向に垂直な断面を見たときに窪み31の底面が曲線状であってもよい。これにより、折返し部30の窪み31において応力が集中するおそれを低減できる。その結果、急速昇温可能なヒータ1とすることができる。
【0027】
また、図8に示すように、折返し部30の外周側にも第2窪み33があってもよい。これにより、クラックの進行をさらにしにくくすることができる。第2窪み33は、第2窪み33と窪み31との間に折返し部30の断面の中心が来るように位置していてもよい。これにより、折返し部30の内周側と外周側とで生じる熱応力のばらつきを低減できる。
そのため、ヒータ1にクラックが生じるおそれを低減できる。
【0028】
また、図9に示すように、窪み31の一部が発熱抵抗体3を貫通していてもよい。発熱抵抗体3に突入電流が流れたときには、瞬間的に発熱抵抗体3にいびつな温度分布が生じるおそれがあり、この際に発熱抵抗体2にねじれるような熱膨張が生じるおそれがある。窪み31の一部が発熱抵抗体を貫通していることによって、ねじれるような熱膨張が生じようとしたときに、この熱応力を低減することができる。
【0029】
また、図10に示すように、2つの並列部32を含む断面で見たときに2つの並列部32の少なくとも一方が凹部34を有していてもよい。凹部34は、2つの並列部32を含む平面に対して垂直な方向に伸びている。言い換えると、凹部34は、並列部32を、2つの並列部32を含む平面に対して垂直な方向に貫いている。そして、窪み31が凹部34の内周面にまで伸びていてもよい。これにより、折返し部30で生じた熱応力を並列部32の凹部34にまで伝えるとともに、この凹部34で分散させることができる。
【0030】
図11に示すように、グロープラグ10は、上述のヒータ1と、ヒータ1の後端側(他端側)を覆うように取り付けられた筒状の金属筒5とを備えている。また、金属筒5の内側に配置されてヒータ1の後端に取り付けられた電極金具6を備えている。グロープラグ10によれば、上述のヒータ1を使用していることから、耐久性が向上している。
【0031】
金属筒5は、セラミック体2を保持するための部材である。金属筒5は、筒状の部材であって、セラミック体2の後端側を囲むように取り付けられている。すなわち、筒状の金属筒5の内側に棒状のセラミック体2が挿入されている。金属筒5は、セラミック体2の後端側の側面に設けられてリード4が露出している部分に電気的に接続されている。金属筒5は、例えば、ステンレスまたは鉄(Fe)−ニッケル(Ni)−コバルト(Co)合金からなる。
【0032】
金属筒5とセラミック体2とは、ろう材によって接合されている。ろう材は、金属筒5とセラミック体2との間にセラミック体2の後端側を囲むように設けられている。このろう材が設けられていることによって、金属筒5とリード4とが電気的に接続されている。
【0033】
ろう材としては、ガラス成分を5〜20質量%含んだ銀(Ag)−銅(Cu)ろう、AgろうまたはCuろう等を用いることができる。ガラス成分はセラミック体2のセラミックスとの濡れ性が良く、摩擦係数が大きいために、ろう材とセラミック体2との接合強度またはろう材と金属筒5との接合強度を向上させることができる。
【0034】
電極金具6は、金属筒5の内側に位置してセラミック体2の後端にリード4に電気的に接続するように取り付けられている。電極金具6は、種々の形態のものを用いることができるが、図12に示す例では、セラミック体2の後端にリード4を含んで被さるように取り付けられるキャップ部と外部の接続電極に電気的に接続されるコイル状部とが線状部で接続された構成である。この電極金具6は、金属筒5との間で短絡が生じないように金属筒5の内周面から離れて保持されている。
【0035】
電極金具6は、外部の電源との接続における応力緩和のために設けられたコイル状部を有する金属線である。電極金具6は、リード4に電気的に接続されるとともに、外部の電源と電気的に接続される。外部の電源によって金属筒5と電極金具6との間に電圧を加えることによって、金属筒5および電極金具6を介して発熱抵抗体3に電流を流すことができる。電極金具6は、例えばニッケルまたはステンレスからなる。ヒータ1は、例えば、上記構成の発熱抵抗体3、リード4およびセラミック体2の形状の金型を用いた射出成形法等によって形成することができる。
【符号の説明】
【0036】
1:ヒータ
2:セラミック体
3:発熱抵抗体
30:折返し部
31:窪み
32:並列部
33:第2窪み
34:凹部
4:リード
5:金属筒
6:電極金具
10:グロープラグ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11