特開2017-216846(P2017-216846A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社明電舎の特許一覧
<>
  • 特開2017216846-永久磁石式回転電機 図000003
  • 特開2017216846-永久磁石式回転電機 図000004
  • 特開2017216846-永久磁石式回転電機 図000005
  • 特開2017216846-永久磁石式回転電機 図000006
  • 特開2017216846-永久磁石式回転電機 図000007
  • 特開2017216846-永久磁石式回転電機 図000008
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2017-216846(P2017-216846A)
(43)【公開日】2017年12月7日
(54)【発明の名称】永久磁石式回転電機
(51)【国際特許分類】
   H02K 1/27 20060101AFI20171110BHJP
【FI】
   H02K1/27 501A
   H02K1/27 501M
   H02K1/27 501K
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
【全頁数】19
(21)【出願番号】特願2016-110585(P2016-110585)
(22)【出願日】2016年6月2日
(71)【出願人】
【識別番号】000006105
【氏名又は名称】株式会社明電舎
(74)【代理人】
【識別番号】100078499
【弁理士】
【氏名又は名称】光石 俊郎
(74)【代理人】
【識別番号】230112449
【弁護士】
【氏名又は名称】光石 春平
(74)【代理人】
【識別番号】100102945
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 康幸
(74)【代理人】
【識別番号】100120673
【弁理士】
【氏名又は名称】松元 洋
(74)【代理人】
【識別番号】100182224
【弁理士】
【氏名又は名称】山田 哲三
(72)【発明者】
【氏名】松尾 圭祐
(72)【発明者】
【氏名】川口 将司
(72)【発明者】
【氏名】久光 行正
【テーマコード(参考)】
5H622
【Fターム(参考)】
5H622AA03
5H622CA02
5H622CA07
5H622CB03
5H622CB04
(57)【要約】      (修正有)
【課題】永久磁石から発生する磁束の漏れを抑制し、かつ、回転子径寸法を大きくすることや永久磁石の種類の変更を行わずに、界磁磁束量を増加することができる永久磁石式回転電機の回転子を提供する。
【解決手段】回転子の一極当たり3つずつ、外周側を向く略U字状に回転子鉄心1aに配され、それぞれ2箇所の角部がテーパ形状である永久磁石11,12,13と、各永久磁石11,12,13のうち、テーパ形状の角部又はそうでない角部の2箇所に隣接する位置に、それぞれ形成される空隙31〜36とを備える。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転子鉄心(1a)において、一極ごとに、3つ一組として回転子鉄心(1a)の外周面(1c)側を向く略U字状に形成される磁石孔を備える永久磁石式回転電機であって、
前記磁石孔のうち、中央に形成される磁石孔を第1磁石孔(12A)、その左右に形成される磁石孔を第2磁石孔(11A)及び第3磁石孔(13A)とし、
前記第1磁石孔(12A)は、前記外周面(1c)に対し略平行に形成された第1側面(72A)、及び、該第1側面(72A)よりも前記回転子鉄心(1a)の内周面側に該第1側面(72A)と平行に形成された中央部(82Aa)と、該第1側面(72A)からの離間距離が該中央部(82Aa)よりも長くなるように形成された両端部(82Ab)とからなる第2側面(82A)を有し、
前記第2磁石孔(11A)は、前記第1磁石孔(12A)から周方向に離間するようにして前記外周面(1c)へ向け延伸して形成された第3側面(71A)、及び、該第3側面(71A)よりも前記U字状の外側に、該第3側面(71A)と平行に形成され、該第3側面(71A)よりも長い第4側面(81A)を有し、全体が台形状であり、
前記第3磁石孔(13A)は、前記第1磁石孔(12A)の中心点及び回転子(1)の中心点を通る仮想直線(O)を中心として、前記第2磁石孔(11A)と対称的に形成され、前記第1磁石孔(12A)から周方向に離間するようにして前記外周面(1c)へ向け延伸して形成された第5側面(73A)、及び、該第5側面(73A)よりも前記U字状の外側に、該第5側面(73A)と平行に形成され、該第5側面(73A)よりも長い第6側面(83A)を有し、全体が台形状であり、
さらに、
磁化方向が磁極ごとに周方向に交互になるようにして前記第1磁石孔(12A)、前記第2磁石孔(11A)及び前記第3磁石孔(13A)にそれぞれ配される、第1永久磁石(12)、第2永久磁石(11)及び第3永久磁石(13)を備え、
前記第1永久磁石(12)は、前記第1磁石孔(12A)に対し、該第1磁石孔(12A)の両端部に第1空隙(33)及び第2空隙(34)を有するように、前記第2側面(82A)の前記両端部から離間し、それ以外は全面が接して挿入される形状であり、
前記第2永久磁石(11)は、前記第2磁石孔(11A)に対し、少なくとも、該第2磁石孔(11A)の前記第1磁石孔(12A)側の端部に第3空隙(32)を有するように、前記第4側面(81A)と接する面が該第4側面(81A)よりも短くかつ前記第3側面(71A)よりも長く、それ以外は全面が接して挿入される形状であり、
前記第3永久磁石(13)は、前記第3磁石孔(13A)に対し、少なくとも、該第3磁石孔(13A)の前記第1磁石孔(12A)側の端部に第4空隙(35)を有するように、前記第6側面(83A)と接する面が該第6側面(83A)よりも短くかつ前記第5側面(73A)よりも長く、それ以外は全面が接して挿入される形状である
ことを特徴とする永久磁石式回転電機。
【請求項2】
前記回転子鉄心(1a)において、
前記第1磁石孔(12A)と前記第2磁石孔(11A)とは、対向する互いの側面が平行に形成され、
前記第1磁石孔(12A)と前記第3磁石孔(13A)とは、対向する互いの側面が平行に形成される
ことを特徴とする請求項1に記載の永久磁石式回転電機。
【請求項3】
前記回転子鉄心(1a)において、
前記第2永久磁石(11)は、さらに、前記第2磁石孔(11A)の前記外周面(1c)側の端部に第5空隙(31)を有するように、前記第4側面(81)と接する面が該第4側面(81A)よりも短くかつ前記第3側面(71A)よりも長い形状であり、
前記第3永久磁石(13)は、さらに、前記第3磁石孔(13A)の前記外周面(1c)側の端部に第6空隙(36)を有するように、前記第6側面(83A)と接する面が該第6側面(86A)よりも短くかつ前記第5側面(73A)よりも長い形状である
ことを特徴とする請求項1又は2のいずれか一項に記載の永久磁石式回転電機。
【請求項4】
前記第2磁石孔(11A)の前記外周面(1c)側の側面は、該外周面(1c)と略平行に形成され、
前記第3磁石孔(13A)の前記外周面(1c)側の側面は、該外周面(1c)の略平行に形成される
ことを特徴とする請求項3に記載の永久磁石式回転電機。
【請求項5】
回転子鉄心(1a´)において、一極ごとに、3つ一組として回転子鉄心(1a´)の外周面(1c´)側を向く略U字状に形成される磁石孔を備える永久磁石式回転電機であって、
前記磁石孔のうち、中央に形成される磁石孔を第1磁石孔(12A´)、その左右に形成される磁石孔を第2磁石孔(11A´)及び第3磁石孔(13A´)とし、
前記第1磁石孔(12A´)は、前記外周面(1c´)に対し略平行に形成された第1側面(72A´)、及び、該第1側面(72A´)よりも前記回転子鉄心(1a´)の内周面側に、該第1側面(72A´)と平行に形成され、該第1側面(72A´)よりも短い第2側面(82A´)を有し、全体が台形状であり、
前記第2磁石孔(11A´)は、前記第1磁石孔(12A´)から周方向に離間するようにして前記外周面(1c´)へ向け延伸して形成された第3側面(71A´)、及び、該第3側面(71A´)よりも前記U字状の内側に、該第3側面(71A´)と平行に形成される第4側面(81A´)を有し、
前記第3磁石孔(13A´)は、前記第1磁石孔(12A´)の中心点及び回転子(1´)の中心点を通る仮想直線(O´)を中心として、前記第2磁石孔(11A´)と対称的に形成され、前記第1磁石孔(12A´)から周方向に離間するようにして前記外周面(1c´)へ向け延伸して形成された第5側面(73A´)、及び、該第5側面(73A´)よりも前記U字状の内側に、該第5側面(73A´)と平行に形成される第6側面(83A´)を有し、
さらに、
磁化方向が磁極ごとに周方向に交互になるようにして前記第1磁石孔(12A´)、前記第2磁石孔(11A´)及び前記第3磁石孔(13A´)にそれぞれ配される、第1永久磁石(12´)、第2永久磁石(11´)及び第3永久磁石(13´)を備え、
前記第1永久磁石(12´)は、前記第1磁石孔(12A´)に対し、前記第1磁石孔(12A´)の両端部に第1空隙(33´)及び第2空隙(34´)を有するように、前記第1側面(72A´)に接する面が該第1側面(72A´)よりも短くかつ第2側面(82A´)よりも長く、それ以外は全面が接して挿入される形状であり、
前記第2永久磁石(11´)は、前記第2磁石孔(11A´)に対し、少なくとも、該第2磁石孔(11A´)の前記第1磁石孔(12A´)側の端部に第3空隙(32´)を有するように、前記第3側面(71A´)と接する面が該第3側面(71A´)よりも短く、前記第2磁石孔(11A´)の前記第1磁石孔(12A´)側の端部に対応する部分がテーパ形状であり、それ以外は全面が接して挿入される形状であり、
前記第3永久磁石(13´)は、前記第3磁石孔(13A´)に対し、少なくとも、該第3磁石孔(13A´)の前記第1磁石孔(12A´)側の端部に第4空隙(35´)を有するように、前記第5側面(73A´)と接する面が該第5側面(73A´)よりも短く、該第3磁石孔(13A´)の前記第1磁石孔(12A´)側の端部に対応する部分がテーパ形状であり、それ以外は全面が接して挿入される形状である
ことを特徴とする永久磁石式回転電機。
【請求項6】
前記回転子鉄心(1a´)において、
前記第1磁石孔(12A´)と前記第2磁石孔(11A´)とは、対向する互いの側面が平行に形成され、
前記第1磁石孔(12A´)と前記第3磁石孔(13A´)とは、対向する互いの側面が平行に形成される
ことを特徴とする請求項5に記載の永久磁石式回転電機。
【請求項7】
前記回転子鉄心(1a´)において、
前記第2磁石孔(11A´)の前記外周面(1c´)側の側面の両端部のうち、該外周面1c´側の端部が、第5空隙(31´)を有するように、該外周面(1c´)側に窪んだ形状であり、
前記第3磁石孔(13A´)の前記外周面(1c´)側の側面の両端部のうち、該外周面1c´側の端部が、第6空隙(36´)を有するように、該外周面(1c´)側に窪んだ形状である
ことを特徴とする請求項5又は6に記載の永久磁石式回転電機。
【請求項8】
前記第5空隙(31´)における前記外周面(1c´)を向く第17側面(61´)は、前記外周面(1c´)と略平行となるように形成され、
前記第6空隙(36´)における前記外周面(1c´)を向く第18側面(66´)は、前記外周面(1c´)と略平行となるように形成される
ことを特徴とする請求項7に記載の永久磁石式回転電機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電動機などの回転電機に係り、内部に永久磁石を配置した永久磁石式回転電機に関する。
【背景技術】
【0002】
下記特許文献1の段落[0010]及び図4には、永久磁石式回転電機において、回転子一極当たりに永久磁石が3つ配置され、それらが略U字状に形成され、さらに、各磁石の両側面には空隙9a1,9a2,9b1,9b2,9c1,9c2が配置されており、これら空隙によって各リブ11a,11b,10a,10bに生じる漏れ磁束を低減し、出力特性の向上を図る、との技術が開示されている。
【0003】
下記特許文献2の段落[0007]及び図3には、永久磁石式回転電機において、上記特許文献1同様、回転子一極当たりに略U字状に配置された3つの永久磁石の両側面に空隙C1〜C4が配置されており、永久磁石38の側面とリブ84が略平行に形成され、さらに、空隙C1,C2の合計面積を空隙C3,C4の合計面積よりも大きくなるように形成することで、漏れ磁束をより低減することができ、出力特性の向上につながる、との技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】国際公開第2011/002043号
【特許文献2】特開2014−165938号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記特許文献1に開示された技術では、空隙9a1,9a2,9b1,9b2,9c1,9c2が配置されることで、回転子鉄心6(上記特許文献1の図1〜4参照)の内部でループとなる漏れ磁束は抑制できるが、空隙を設けることによって磁石挿入穴7(上記特許文献1の図1〜3参照)に挿入される各永久磁石の体積は制限されてしまい、回転子径寸法や永久磁石の種類を変更せずに界磁磁束量をさらに増加させたい場合に、永久磁石の体積を大きくすることが困難である。
【0006】
上記特許文献2に開示された技術では、上記特許文献1と同様、空隙が配置されることで、各永久磁石の体積は制限されてしまう。また、永久磁石38の側面とリブ84を略平行に形成するためには、空隙C2は必ずしも必要ではないが、空隙C1をリブ84が永久磁石38の側面と略平行になるように形成する必要があるため、空隙C1によって永久磁石の体積は制限されてしまう。
【0007】
本発明は、上記技術的課題に鑑み、永久磁石から発生する磁束の漏れを抑制し、かつ、回転子径寸法を大きくすることや永久磁石の種類の変更を行わずに、界磁磁束量を増加することができる、永久磁石式回転電機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するための第1の発明に係る永久磁石式回転電機は、
回転子鉄心(1a)において、一極ごとに、3つ一組として回転子鉄心(1a)の外周面(1c)側を向く略U字状に形成される磁石孔を備える永久磁石式回転電機であって、
前記磁石孔のうち、中央に形成される磁石孔を第1磁石孔(12A)、その左右に形成される磁石孔を第2磁石孔(11A)及び第3磁石孔(13A)とし、
前記第1磁石孔(12A)は、前記外周面(1c)に対し略平行に形成された第1側面(72A)、及び、該第1側面(72A)よりも前記回転子鉄心(1a)の内周面側に該第1側面(72A)と平行に形成された中央部(82Aa)と、該第1側面(72A)からの離間距離が該中央部(82Aa)よりも長くなるように形成された両端部(82Ab)とからなる第2側面(82A)を有し、
前記第2磁石孔(11A)は、前記第1磁石孔(12A)から周方向に離間するようにして前記外周面(1c)へ向け延伸して形成された第3側面(71A)、及び、該第3側面(71A)よりも前記U字状の外側に、該第3側面(71A)と平行に形成され、該第3側面(71A)よりも長い第4側面(81A)を有し、全体が台形状であり、
前記第3磁石孔(13A)は、前記第1磁石孔(12A)の中心点及び回転子(1)の中心点を通る仮想直線(O)を中心として、前記第2磁石孔(11A)と対称的に形成され、前記第1磁石孔(12A)から周方向に離間するようにして前記外周面(1c)へ向け延伸して形成された第5側面(73A)、及び、該第5側面(73A)よりも前記U字状の外側に、該第5側面(73A)と平行に形成され、該第5側面(73A)よりも長い第6側面(83A)を有し、全体が台形状であり、
さらに、
磁化方向が磁極ごとに周方向に交互になるようにして前記第1磁石孔(12A)、前記第2磁石孔(11A)及び前記第3磁石孔(13A)にそれぞれ配される、第1永久磁石(12)、第2永久磁石(11)及び第3永久磁石(13)を備え、
前記第1永久磁石(12)は、前記第1磁石孔(12A)に対し、該第1磁石孔(12A)の両端部に第1空隙(33)及び第2空隙(34)を有するように、前記第2側面(82A)の前記両端部から離間し、それ以外は全面が接して挿入される形状であり、
前記第2永久磁石(11)は、前記第2磁石孔(11A)に対し、少なくとも、該第2磁石孔(11A)の前記第1磁石孔(12A)側の端部に第3空隙(32)を有するように、前記第4側面(81A)と接する面が該第4側面(81A)よりも短くかつ前記第3側面(71A)よりも長く、それ以外は全面が接して挿入される形状であり、
前記第3永久磁石(13)は、前記第3磁石孔(13A)に対し、少なくとも、該第3磁石孔(13A)の前記第1磁石孔(12A)側の端部に第4空隙(35)を有するように、前記第6側面(83A)と接する面が該第6側面(83A)よりも短くかつ前記第5側面(73A)よりも長く、それ以外は全面が接して挿入される形状である
ことを特徴とする。
【0009】
上記課題を解決するための第2の発明に係る永久磁石式回転電機は、
上記第1の発明に係る永久磁石式回転電機において、
前記回転子鉄心(1a)において、
前記第1磁石孔(12A)と前記第2磁石孔(11A)とは、対向する互いの側面が平行に形成され、
前記第1磁石孔(12A)と前記第3磁石孔(13A)とは、対向する互いの側面が平行に形成される
ことを特徴とする。
【0010】
上記課題を解決するための第3の発明に係る永久磁石式回転電機は、
上記第1又は2の発明に係る永久磁石式回転電機において、
前記回転子鉄心(1a)において、
前記第2永久磁石(11)は、さらに、前記第2磁石孔(11A)の前記外周面(1c)側の端部に第5空隙(31)を有するように、前記第4側面(81)と接する面が該第4側面(81A)よりも短くかつ前記第3側面(71A)よりも長い形状であり、
前記第3永久磁石(13)は、さらに、前記第3磁石孔(13A)の前記外周面(1c)側の端部に第6空隙(36)を有するように、前記第6側面(83A)と接する面が該第6側面(86A)よりも短くかつ前記第5側面(73A)よりも長い形状である
ことを特徴とする。
【0011】
上記課題を解決するための第4の発明に係る永久磁石式回転電機は、
上記第3の発明に係る永久磁石式回転電機において、
前記第2磁石孔(11A)の前記外周面(1c)側の側面は、該外周面(1c)と略平行に形成され、
前記第3磁石孔(13A)の前記外周面(1c)側の側面は、該外周面(1c)の略平行に形成される
ことを特徴とする。
【0012】
上記課題を解決するための第5の発明に係る永久磁石式回転電機は、
回転子鉄心(1a´)において、一極ごとに、3つ一組として回転子鉄心(1a´)の外周面(1c´)側を向く略U字状に形成される磁石孔を備える永久磁石式回転電機であって、
前記磁石孔のうち、中央に形成される磁石孔を第1磁石孔(12A´)、その左右に形成される磁石孔を第2磁石孔(11A´)及び第3磁石孔(13A´)とし、
前記第1磁石孔(12A´)は、前記外周面(1c´)に対し略平行に形成された第1側面(72A´)、及び、該第1側面(72A´)よりも前記回転子鉄心(1a´)の外周面側に、該第1側面(72A´)と平行に形成され、該第1側面(72A´)よりも短い第2側面(82A´)を有し、全体が台形状であり、
前記第2磁石孔(11A´)は、前記第1磁石孔(12A´)から周方向に離間するようにして前記外周面(1c´)へ向け延伸して形成された第3側面(71A´)、及び、該第3側面(71A´)よりも前記U字状の内側に、該第3側面(71A´)と平行に形成される第4側面(81A´)を有し、
前記第3磁石孔(13A´)は、前記第1磁石孔(12A´)の中心点及び回転子(1´)の中心点を通る仮想直線(O´)を中心として、前記第2磁石孔(11A´)と対称的に形成され、前記第1磁石孔(12A´)から周方向に離間するようにして前記外周面(1c´)へ向け延伸して形成された第5側面(73A´)、及び、該第5側面(73A´)よりも前記U字状の内側に、該第5側面(73A´)と平行に形成される第6側面(83A´)を有し、
さらに、
磁化方向が磁極ごとに周方向に交互になるようにして前記第1磁石孔(12A´)、前記第2磁石孔(11A´)及び前記第3磁石孔(13A´)にそれぞれ配される、第1永久磁石(12´)、第2永久磁石(11´)及び第3永久磁石(13´)を備え、
前記第1永久磁石(12´)は、前記第1磁石孔(12A´)に対し、前記第1磁石孔(12A´)の両端部に第1空隙(33´)及び第2空隙(34´)を有するように、前記第1側面(72A´)に接する面が該第1側面(72A´)よりも短くかつ第2側面(82A´)よりも長く、それ以外は全面が接して挿入される形状であり、
前記第2永久磁石(11´)は、前記第2磁石孔(11A´)に対し、少なくとも、該第2磁石孔(11A´)の前記第1磁石孔(12A´)側の端部に第3空隙(32´)を有するように、前記第3側面(71A´)と接する面が該第3側面(71A´)よりも短く、前記第2磁石孔(11A´)の前記第1磁石孔(12A´)側の端部に対応する部分がテーパ形状であり、それ以外は全面が接して挿入される形状であり、
前記第3永久磁石(13´)は、前記第3磁石孔(13A´)に対し、少なくとも、該第3磁石孔(13A´)の前記第1磁石孔(12A´)側の端部に第4空隙(35´)を有するように、前記第5側面(73A´)と接する面が該第5側面(73A´)よりも短く、該第3磁石孔(13A´)の前記第1磁石孔(12A´)側の端部に対応する部分がテーパ形状であり、それ以外は全面が接して挿入される形状である
ことを特徴とする。
【0013】
上記課題を解決するための第6の発明に係る永久磁石式回転電機は、
上記第5の発明に係る永久磁石式回転電機において、
前記回転子鉄心(1a´)において、
前記第1磁石孔(12A´)と前記第2磁石孔(11A´)とは、対向する互いの側面が平行に形成され、
前記第1磁石孔(12A´)と前記第3磁石孔(13A´)とは、対向する互いの側面が平行に形成される
ことを特徴とする。
【0014】
上記課題を解決するための第7の発明に係る永久磁石式回転電機は、
上記第5又は6の発明に係る永久磁石式回転電機において、
前記回転子鉄心(1a´)において、
前記第2磁石孔(11A´)の前記外周面(1c´)側の側面の両端部のうち、該外周面1c´側の端部が、第5空隙(31´)を有するように、該外周面(1c´)側に窪んだ形状であり、
前記第3磁石孔(13A´)の前記外周面(1c´)側の側面の両端部のうち、該外周面1c´側の端部が、第6空隙(36´)を有するように、該外周面(1c´)側に窪んだ形状である
ことを特徴とする。
【0015】
上記課題を解決するための第8の発明に係る永久磁石式回転電機は、
上記第7の発明に係る永久磁石式回転電機において、
前記第5空隙(31´)における前記外周面(1c´)を向く第17側面(61´)は、前記外周面(1c´)と略平行となるように形成され、
前記第6空隙(36´)における前記外周面(1c´)を向く第18側面(66´)は、前記外周面(1c´)と略平行となるように形成される
ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
本発明に係る永久磁石式回転電機によれば、永久磁石から発生する磁束の漏れを抑制し、かつ、回転子径寸法を大きくすることや永久磁石の種類の変更を行わずに、界磁磁束量を増加することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明の実施例1に係る永久磁石式回転電機の回転子の一極分の径方向断面図である。
図2】本発明の実施例1に係る永久磁石式回転電機の回転子鉄心の一極当たりの径方向断面図である。
図3図1の部分拡大図である。
図4】本発明の実施例2に係る永久磁石式回転電機の回転子の一極分の径方向断面図である。
図5】本発明の実施例2に係る永久磁石式回転電機の回転子鉄心の一極当たりの径方向断面図である。
図6図4の部分拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明に係る永久磁石式回転電機について図面を用いて説明する。
【0019】
[実施例1]
本実施例に係る永久磁石式回転電機の構成について説明する。
本実施例に係る永久磁石式回転電機は、一般的なラジアルギャップ型であり、円筒形状の固定子コア、該固定子コアの内径側に周方向に複数配置され、固定子巻線を巻回したティースを備えた固定子、及び、該固定子のティース先端部からラジアルギャップを介して中心部にシャフトを挿入した回転子を備える。
【0020】
まず、「永久磁石を基準として」本実施例に係る永久磁石式回転電機の構成を説明する。
図1は、本実施例に係る永久磁石式回転電機の回転子1の一極当たりの径方向断面図を示し、図2は、本実施例に係る永久磁石式回転電機の回転子鉄心1aの一極当たりの径方向断面図を示している。永久磁石11,12,13は、回転子1の一極毎に3つずつ配置された永久磁石のうちの一組であり、図1,2に示すように、回転子鉄心1aに形成された磁石孔11A,12A,13Aに挿入されるようにして、互いにリブ21,22を介し、外周側を向く略U字状に配置されている。
【0021】
図3は、図1の部分拡大図を示している。図3に示すように、回転子1の径方向断面視において、永久磁石12は、回転子1の外周面1cに対し略平行に形成された側面72,82を有している。
【0022】
また、永久磁石11は、永久磁石12から回転子1の外周面1cへ向けて(永久磁石12から周方向に離間するようにして)延伸し、互いに平行に形成される、側面71,81を有する。
【0023】
さらに、永久磁石13は、永久磁石12から回転子1の外周面1cへ向けて(永久磁石12から周方向に離間するようにして)延伸し、互いに平行に形成された側面73,83を有する。
【0024】
そして、永久磁石11,13は、永久磁石12の中心点及び回転子1の中心点(図示略)を通る仮想直線Oを中心として、永久磁石12の両側に互いに対称的に形成されることで、永久磁石11,12,13は、外周側を向く略U字状に配置される。
【0025】
永久磁石11,12,13は、回転子1の径方向断面視において、角部(両端部)がテーパ形状となっている。ただし、ここでの「角部」とは、永久磁石12においては、側面72,82のうち、回転子1の内周側を向く側面82の角部のみを指している。また、永久磁石11においては、側面71,81のうち、上述した略U字状の内側を向く側面71の角部のみを指している。さらに、永久磁石13においては、側面73,83のうち、上述した略U字状の内側を向く側面73の角部のみを指している。
【0026】
永久磁石11の側面71の角部に設けられたテーパ形状の側面(テーパ面)41,42のうち永久磁石12に対向するテーパ面42(すなわち、永久磁石11における両端部のうち永久磁石12側の端部の面であるテーパ面42)と、永久磁石12の永久磁石11に対向する側面53とが、略平行となっている。
【0027】
また、永久磁石13の側面73の角部に設けられたテーパ面45,46のうち永久磁石12に対向するテーパ面45(すなわち、永久磁石13における両端部のうち永久磁石12側の端部の面であるテーパ面45)と、永久磁石12の永久磁石13に対向する側面54とが、略平行となっている。
【0028】
すなわち、永久磁石11,12の間に形成されたリブ21は、永久磁石11のテーパ面42及び永久磁石12の側面53と、略平行に形成されており、永久磁石12,13の間に形成されたリブ22は、永久磁石13のテーパ面45及び永久磁石12の側面54と、略平行に形成されている。
【0029】
また、テーパ面42及び側面53は、その全面がリブ21に接し、テーパ面45及び側面54は、その全面がリブ22に接している。
【0030】
さらに、リブ21,22、テーパ面42,45、側面52,54は、仮想直線Oと平行に延伸している。なお、生産性を考慮し、永久磁石11,12,13は全て同一のサイズ及び形状となっている。
【0031】
また、回転子鉄心1aにおいて、上述のようにして永久磁石12の側面82の角部に設けられたテーパ面43,44に隣接する位置に、空隙33,34がそれぞれ配置され、永久磁石11の側面81と直交する側面51,52に隣接する位置には、空隙31,32がそれぞれ配置され、さらに、永久磁石13の側面83と直交する側面55,56に隣接する位置には、空隙35,36がそれぞれ配置される。なお、空隙31〜36は、図2に示すように回転子鉄心1aに形成される磁石孔11A,12A,13Aの一部として設けられるものである。
【0032】
なお、ここでは永久磁石11,12,13を同一のサイズ及び形状としているため、永久磁石12の角部もテーパ形状としているが、本実施例はこれに限定されるものではなく、永久磁石12を矩形状としてもよい。
【0033】
空隙31における回転子1の外周面1cを向く側面61は、回転子1の外周面1cと略平行な直線(又は円弧)になるように形成され、空隙32におけるリブ21に接する側面62は、永久磁石11のテーパ面42と同一線上に形成され、空隙33におけるリブ21に接する側面63は、永久磁石12の側面53と同一線上に形成される。なお、空隙34,35,36は、回転子1の径方向断面視において、仮想直線Oを軸としてそれぞれ空隙31,32,33と対称となるように形成されている。
【0034】
また、側面61、及び、永久磁石11の側面71の角部に設けられたテーパ面41,42のうち、回転子1の外周面1cに近接したテーパ面41と、回転子1の外周面1cとの間には、リブ23が形成される。そして、側面66、及び、永久磁石13の側面73の角部に設けられたテーパ面45,46のうち、回転子1の外周面1cに近接したテーパ面46と、回転子1の外周面1cとの間には、リブ24が形成される。
【0035】
本実施例に係る永久磁石式回転電機では、回転子1の一つの磁極を形成する永久磁石(11,12,13)の磁化方向は、3つの永久磁石11,12,13で1つの磁極を形成するように、U字状の内側及び外側でそれぞれ同一極性である。また、それとともに、周方向に隣接する磁極の永久磁石の組同士は、互いに磁化方向が反対、すなわち、回転子1の磁極の磁化方向が周方向に交互になるようにして、永久磁石がそれぞれ配置されている。
【0036】
なお、図1〜3では、一つの磁石孔11A,12A,13Aにそれぞれ一つずつ永久磁石11,12,13を挿入しているが、本実施例はこれに限定されるものではなく、例えば、一つの磁石孔あたりに、磁化方向を合わせて周方向や径方向に分割された複数個の永久磁石を用いてもよい。
【0037】
次に、「磁石孔を基準として」本実施例に係る永久磁石式回転電機の構成を説明する。
本実施例に係る永久磁石式回転電機は、図2に示すように、回転子鉄心1aにおいて、一極ごとに、3つ一組として回転子鉄心1aの外周面1c側を向く略U字状に形成される磁石孔を備えており、これら磁石孔のうち、中央に形成される磁石孔を磁石孔12A、その左右に形成される磁石孔を、磁石孔11A及び磁石孔13Aとする。
【0038】
磁石孔12Aは、外周面1cに対し略平行に形成された側面72A、及び、側面72Aよりも回転子鉄心1aの内周面側に、側面72Aと平行に形成され、両端部が側面72Aから離間する方向に窪んだ形状である側面82Aを有している。
【0039】
磁石孔11Aは、磁石孔12Aから周方向に離間するようにして外周面1cへ向け延伸して形成された側面71A、及び、側面71AよりもU字状の外側に、側面71Aと平行に形成され、側面71Aよりも長い、側面81Aを有しており、全体が台形状となっている。詳述すると、側面71Aの一端(側面72A側の端部)は、側面72Aの一端(側面71A側の端部)に対し、回転子1の径方向断面視の側面72Aと平行な方向に離間した位置に配され、側面71Aの他端は、回転子1の外周面1cに近接した位置に配されている。なお、ここでの側面71Aの一端は、回転子1の径方向断面視の側面72Aと平行な方向において、側面71Aの他端よりも磁石孔12Aに近接しているものとする。
【0040】
磁石孔13Aは、磁石孔12Aの中心点及び回転子1の中心点(図示略)を通る仮想直線Oを中心として、磁石孔11Aと対称的に形成され、磁石孔12Aから周方向に離間するようにして外周面1cへ向け延伸して形成された側面73A、及び、側面73AよりもU字状の外側に、側面73Aと平行に形成され、側面73Aよりも長い、側面83Aを有しており、全体が台形状となっている。詳述すると、側面73Aの一端(側面72A側の端部)は、側面72Aの他端(側面73A側の端部)に対し、回転子1の径方向断面視の側面72Aと平行な方向に離間した位置に配され、側面73Aの他端は、回転子1の外周面1cに近接した位置に配されている。なお、ここでの側面73Aの一端は、回転子1の径方向断面視の側面72Aと平行な方向において、側面73Aの他端よりも磁石孔12Aに近接しているものとする。
【0041】
そして、本実施例に係る永久磁石式回転電機は、1つの磁極を形成するように、U字状の内側及び外側でそれぞれ同一極性であり、磁化方向が磁極ごとに周方向に交互になるようにして磁石孔11A、磁石孔12A及び磁石孔13Aにそれぞれ配される、永久磁石11、永久磁石12及び永久磁石13を備えている。
【0042】
永久磁石12は、磁石孔12Aに対し、磁石孔12Aの両端部に空隙33及び空隙34を有するように、側面82Aと接する面が側面82Aの両端部から離間し、それ以外は全面が接して挿入される形状となっている。なお、図1,3では、永久磁石12の両端部をテーパ形状としているが、本実施例はこれに限定されるものでない。
【0043】
永久磁石11は、磁石孔11Aに対し、磁石孔11Aの磁石孔12A側の端部に空隙32を有するように、さらに、磁石孔11Aの外周面1c側の端部に空隙31を有するように、側面81Aと接する面が側面81Aよりも短く側面81Aの両端部から離間し、かつ側面71Aよりも長く、それ以外は全面が接して挿入される形状となっている。
【0044】
永久磁石13は、磁石孔13Aに対し、磁石孔13Aの磁石孔12A側の端部に空隙35を有するように、さらに、磁石孔13Aの外周面1c側の端部に空隙36を有するように、側面83Aと接する面が側面83Aよりも短く側面83Aの両端部から離間し、かつ側面73Aよりも長く、それ以外は全面が接して挿入される形状となっている。
【0045】
また、本実施例に係る永久磁石式回転電機では、回転子鉄心1aにおいて、磁石孔12Aと磁石孔11Aとは、対向する互いの側面が平行に形成され、磁石孔12Aと磁石孔13Aとは、対向する互いの側面が平行に形成されている。
【0046】
さらに、本実施例に係る永久磁石式回転電機では、磁石孔11Aの外周面1c側の側面は、外周面1cと略平行に形成され、磁石孔13Aの外周面1c側の側面は、外周面1cの略平行に形成されている。
【0047】
以上が、本実施例に係る永久磁石式回転電機の構成についての説明である。以下では、本実施例に係る永久磁石式回転電機の作用について説明する。
【0048】
本実施例に係る永久磁石式回転電機では、ある磁極(第1磁極)の永久磁石で発生した磁束は、図示しない固定子のティース及びバックコアを通って、隣接する磁極(第2磁極)の永久磁石に戻り、第2磁極の永久磁石から回転子コア1b(図1参照)を通り第1磁極の永久磁石に戻る磁束経路、又は、その反対回りの磁束経路となる。
【0049】
このとき、例えば、図1,3に示す永久磁石11,12,13で発生した磁束の一部は、リブ21,22,23,24を通る漏れ磁束となるが、永久磁石11のテーパ面41,42、永久磁石12の側面53,54、及び、永久磁石13のテーパ面45,46まで、永久磁石11,12,13があることや、永久磁石11のテーパ面42、永久磁石12の側面53,54、及び、永久磁石13のテーパ面45に対して、側面62,63,64,65がそれぞれ同一線上となるように空隙32,33,34,35を設け、回転子1の外周面1cに略平行となるように側面61,66を設けているので、リブ21,22,23,24の磁気抵抗が高く、漏れ磁束を低減することができる。
【0050】
すなわち、まず、永久磁石12は、テーパ面43,44が磁石孔12Aに接触せず、側面53,54が磁石孔に接触することになる。そして、「永久磁石11のテーパ面41,42、永久磁石12の側面53,54、及び、永久磁石13のテーパ面45,46まで、永久磁石11,12,13がある」ことで、(後述の如くリブ21,22,23,24の幅を広げる必要がなくなり、)永久磁石自体の磁気抵抗は空気の磁気抵抗とほぼ等しいため、リブ21,22,23,24の漏れ磁束を低減できることになる。
【0051】
また、「永久磁石11のテーパ面42、永久磁石12の側面53,54、及び、永久磁石13のテーパ面45に対して、側面62,63,64,65がそれぞれ同一線上となるように空隙32,33,34,35を設け」及び「回転子1の外周面1cに略平行となるように側面61,66を設けている」ことで、それぞれのリブ21,22,23,24の幅が一定となる。仮に、空隙31,32,33,34,35,36の部分が鉄心となっていれば、空隙が存在しない分のリブ21,22,23,24の幅が広がり、磁束が通り易くなってしまう。逆に、リブ21,22,23,24の幅を狭めるように空隙を大きく取ると、磁束漏洩は低減できるものの、リブ21,22,23,24の強度が低下し耐遠心力性能が低下することになる(リブ強度に関しては特許文献2参照)。
【0052】
また、本実施例によれば、従来技術で空隙となっていた部分に永久磁石を配置して、磁石孔11A,12A,13Aに対して永久磁石11,12,13が占める割合が従来よりも高くなり、永久磁石の体積を大きくすることができる。
【0053】
すなわち、永久磁石11,12,13がテーパ部を有するため、例えば、上記特許文献1における図17の回転子形状において、矩形の永久磁石8a,8cの両側面に位置する空隙9a1,9a2,9c1,9c2が占める空間を利用して、永久磁石の体積を大きくすることができる。
【0054】
よって、回転子径寸法を大きくしたり永久磁石の種類を変更したりすることなく、界磁磁束量を増やすことができる。
【0055】
このようにして、本実施例に係る永久磁石式回転電機では、各永久磁石がテーパ部を有するので、各々の永久磁石の体積を大きく取りながら各永久磁石間の距離を狭めて漏れ磁束を低減しつつ、界磁磁束量を増加させることができる。
【0056】
また、本実施例に係る永久磁石式回転電機では、各永久磁石間のリブを平行に形成する場合においても、各永久磁石のテーパ面を利用し、空隙を設けることなく永久磁石の体積を大きく取りながら、リブを平行に形成する(リブの幅を一定にする)ことができる。
【0057】
[実施例2]
本実施例に係る永久磁石式回転電機の構成について、実施例1と異なる点を中心に説明する。まず、「永久磁石を基準として」本実施例に係る永久磁石式回転電機の構成を説明する。
【0058】
図4は、本実施例に係る永久磁石式回転電機の回転子1´の一極当たりの径方向断面図を示し、図5は、本実施例に係る永久磁石式回転電機の回転子鉄心1a´の一極当たりの径方向断面図を示している。永久磁石11´,12´,13´は、回転子1´の一極毎に3つずつ配置された永久磁石のうちの一組であり、図4,5に示すように、回転子鉄心1a´に形成された磁石孔11A´,12A´,13A´に挿入されるようにして、互いにリブ21´,22´を介し、外周側を向く略U字状に配置されている。
【0059】
図6は、図4の部分拡大図を示している。図6に示すように、回転子1´の径方向断面視において、永久磁石12´は、回転子1´の外周面1c´に対し略平行に形成された側面72´,82´を有している。
【0060】
永久磁石11´は、永久磁石12´から回転子1´の外周面1c´へ向けて(永久磁石12´から周方向に離間するようにして)延伸し相対向する、側面71´,81´を有している。
【0061】
さらに、永久磁石13´は、永久磁石12´から回転子1´の外周面1c´へ向けて(永久磁石12´から周方向に離間するようにして)延伸し相対向する、側面73´,83´を有している。
【0062】
そして、永久磁石11´,13´は永久磁石12´の中心点及び回転子1´の中心点(図示略)を通る仮想直線O´を中心として、永久磁石12´の両側に互いに対称的に形成されることで、永久磁石11´,12´,13´は、外周側を向く略U字状に配置される。
【0063】
各永久磁石11´,12´,13´は、回転子1´の径方向断面視において、角部(両端部)がテーパ形状となっている。ただし、ここでの「角部」とは、永久磁石12´においては、側面72´,82´のうち、回転子1´の外周側を向く側面82´の角部のみを指している。また、永久磁石11´においては、側面71´,81´のうち、上述した略U字状の外側を向く側面71´の角部のみを指している。さらに、永久磁石13´においては、側面73´,83´のうち、上述した略U字状の外側を向く側面73´の角部のみを指している。
【0064】
上述のようにして永久磁石11´の永久磁石12´に対向する側面52´と、永久磁石12´の側面82´の角部に設けられたテーパ形状の側面(テーパ面)43´,44´のうち永久磁石11´に対向するテーパ面43´とが、略平行となっている。また、永久磁石13´の永久磁石12´に対向する側面55´と、永久磁石12´のテーパ面44´とが、略平行となっている。
【0065】
すなわち、永久磁石11´,12´の間に形成されたリブ21´は、永久磁石11´における永久磁石12´に対向する面52´、及び、永久磁石12´のテーパ形状の両端部のうち永久磁石11´側の端部の面であるテーパ面43´と略平行に形成されており、永久磁石12´,13´の間に形成されたリブ22´は、永久磁石12´のテーパ形状の両端部のうち永久磁石13´側の端部の面であるテーパ面44´、及び、永久磁石13´における永久磁石12´に対向する側面55´と略平行に形成されている。
【0066】
また、テーパ面43´及び側面52´は、その全面がリブ21´に接し、テーパ面44´及び側面55´は、その全面がリブ22´に接している。
【0067】
なお、生産性を考慮し、永久磁石11´,12´,13´は全て同一サイズ及び形状となっている。なお、ここでは永久磁石11´,12´,13´を同一のサイズ及び形状としているため、永久磁石11´,13´の側面51´,56´にそれぞれテーパ面41´,46´,が接続している様子が示されているが、本実施例はこれに限定されるものではなく、当該部分をテーパ面としなくともよい。
【0068】
つまり、本実施例における永久磁石12´は、実施例1の永久磁石12とは向きが異なり、テーパ部を有する側面82´が外周側を向くようにして配置される。他の永久磁石11´,13´も同様、テーパ部を有する面と有さない面とが、実施例1における配置と入れ替わるようにして設けられている。
【0069】
回転子鉄心1a´において、永久磁石12´の側面72´に直交する側面53´,54´に隣接する位置に、空隙33´,34´がそれぞれ配置され、永久磁石11´の側面71´のテーパ形状の両端部のうち、永久磁石12´側の端部の面であるテーパ面42´に隣接する位置には、空隙32´が配置され、さらに、永久磁石13´の側面73´のテーパ形状の両端部のうち、永久磁石12´側の端部の面であるテーパ面45´に隣接する位置には、空隙35´が配置される。
【0070】
また、回転子鉄心1a´において、永久磁石11´の側面81´と直交する側面のうち、回転子1´の外周面1c´側の側面51´に隣接する位置に、空隙31´が配置され、永久磁石13´の側面83´と直交する側面のうち、回転子1´の外周面1c´側の側面56´に隣接する位置に、空隙36´が配置される。
【0071】
なお、空隙31´〜36´は、図5に示すように、磁石孔11A´,12A´,13A´の一部として形成されているものである。
【0072】
空隙31´における回転子1´の外周面1c´を向く側面61´は、回転子1´の外周面1c´と略平行な直線(又は円弧)になるように形成され、空隙32´における側面62´は、永久磁石11´の側面52´と同一線上に形成され、空隙33´における側面63´は、永久磁石12´のテーパ面43´と同一線上に形成される。なお、空隙34´,35´,36´も仮想直線O´上を対称に同様に形成されている。
【0073】
また、側面61´と、回転子1´の外周面1c´との間には、リブ23´が形成される。そして、側面66´と、回転子1´の外周面1c´との間には、リブ24´が形成される。
【0074】
本実施例に係る永久磁石式回転電機では、回転子1´の一つの磁極を形成する永久磁石(11´,12´,13´)の磁化方向は、3つの永久磁石11´,12´,13´で1つの磁極を形成するように、U字状の内側及び外側でそれぞれ同一極性である。また、それとともに、周方向に隣接する磁極の永久磁石の組同士は、互いに磁化方向が反対、すなわち、回転子1´の磁極の磁化方向が周方向に交互になるようにして、永久磁石がそれぞれ配置されている。
【0075】
なお、図4〜6では、一つの磁石孔11A´,12A´,13A´にそれぞれ一つずつ永久磁石11´,12´,13´を挿入しているが、本実施例はこれに限定されるものではなく、例えば、一つの磁石孔あたりに、磁化方向を合わせて周方向や径方向に分割された複数個の永久磁石を用いてもよい。
【0076】
次に、「磁石孔を基準として」本実施例に係る永久磁石式回転電機の構成を説明する。
本実施例に係る永久磁石式回転電機は、図5に示すように、回転子鉄心1a´において、一極ごとに、3つ一組として回転子鉄心1a´の外周面1c´側を向く略U字状に形成される磁石孔を備えており、これら磁石孔のうち、中央に形成される磁石孔を磁石孔12A´、その左右に形成される磁石孔を磁石孔11A´及び磁石孔13A´とする。
【0077】
磁石孔12A´は、外周面1c´に対し略平行に形成された側面72A´、及び、側面72A´よりも回転子鉄心1a´の内周面側に、側面72A´と平行に形成され、側面72A´よりも短い側面82A´を有しており、全体が台形状となっている。
【0078】
磁石孔11A´は、磁石孔12A´から周方向に離間するようにして外周面1c´へ向け延伸して形成された側面71A´、及び、側面71A´よりもU字状の内側に、側面71A´と平行に形成される側面81A´を有している。詳述すると、側面71A´の一端(側面72A´側の端部)は、側面72A´の一端(側面71A´側の端部)対し、回転子1´の径方向断面視の側面71A´と平行な方向に離間した位置に配されている。なお、ここでの側面71A´の一端は、回転子1´の径方向断面視の側面72A´と平行な方向において、側面71A´の他端よりも磁石孔12A´に近接しているものとする。
【0079】
磁石孔13A´は、磁石孔12A´の中心点及び回転子1´の中心点を通る仮想直線O´を中心として、磁石孔11A´と対称的に形成され、磁石孔12A´から周方向に離間するようにして外周面1c´へ向け延伸して形成された側面73A´、及び、側面73A´)よりもU字状の内側に、側面73A´と平行に形成される側面83A´を有している。詳述すると、側面73A´の一端(側面72A´側の端部)は、側面72A´の他端(側面73A´側の端部)に対し、回転子1´の径方向断面視の側面72A´と平行な方向に離間した位置に配されている。なお、ここでの側面73A´の一端は、回転子1´の径方向断面視の側面72A´と平行な方向において、側面73A´の他端よりも磁石孔12A´に近接しているものとする。
【0080】
そして、本実施例に係る永久磁石式回転電機は、1つの磁極を形成するように、U字状の内側及び外側でそれぞれ同一極性であり、磁化方向が磁極ごとに周方向に交互になるようにして磁石孔11A´、磁石孔12A´及び磁石孔13A´にそれぞれ配される、永久磁石11´、永久磁石12´及び永久磁石13´を備えている。
【0081】
永久磁石12´は、磁石孔12A´に対し、磁石孔12A´の両端部に空隙33´及び空隙34´を有するように、側面72A´に接する面が側面72A´よりも短く側面72A´の両端部から離間し、かつ側面82A´よりも長く、それ以外は全面が接して挿入される形状となっている。
【0082】
永久磁石11´は、磁石孔11A´に対し、磁石孔11A´の、(磁石孔12A´の)空隙33´に対応する位置、すなわち、磁石孔12A´側の端部のうち上記U字状の外側に、空隙32´を有するように、磁石孔11A´の磁石孔12A´側の端部に対応する部分がテーパ形状であり、それ以外は全面が接して挿入される形状となっている。
【0083】
永久磁石13´は、磁石孔13A´に対し、磁石孔13A´の、(磁石孔12A´の)空隙34´に対応する位置、すなわち、磁石孔12A´側の端部のうち上記U字状の外側に、空隙35´を有するように、磁石孔13A´の磁石孔13A´側の端部に対応する部分がテーパ形状であり、それ以外は全面が接して挿入される形状となっている。
【0084】
また、本実施例に係る永久磁石式回転電機では、回転子鉄心1a´において、磁石孔12A´と磁石孔11A´とは、対向する互いの側面が平行に形成され、磁石孔12A´と磁石孔13A´とは、対向する互いの側面が平行に形成されている。
【0085】
さらに、本実施例に係る永久磁石式回転電機では、回転子鉄心1a´において、磁石孔11A´の外周面1c´側の側面の両端部のうち、外周面1c´側の端部が、空隙31´を有するように、外周面1c´側に窪んだ形状となっており、磁石孔13A´の外周面1c´側の側面の両端部のうち、外周面1c´側の端部が、空隙36´を有するように、外周面1c´側に窪んだ形状となっている。
【0086】
なお、図4〜6では、磁石孔11A´の外周面1c´側の側面の両端部のうち、外周面1c´側でない方の端部が、テーパ面となっているが、本実施例はこれに限定されるものではない。同様に、磁石孔13A´の外周面1c´側の側面の両端部のうち、外周面1c´側でない方の端部も、テーパ面となっているが、本実施例はこれに限定されるものではない。
【0087】
そして、本実施例に係る永久磁石式回転電機では、空隙31´における外周面1c´を向く側面61´は、外周面1c´と略平行となるように形成され、空隙36´における外周面1c´を向く側面66´は、外周面1c´と略平行となるように形成されている。
【0088】
以上が、本実施例に係る永久磁石式回転電機の構成についての説明である。以下では、本実施例に係る永久磁石式回転電機の作用について説明する。
【0089】
本実施例に係る永久磁石式回転電機では、ある磁極(第1磁極)の永久磁石で発生した磁束は、図示しない固定子のティース及びバックコアを通って、隣接する磁極(第2磁極)の永久磁石に戻り、第2磁極の永久磁石から回転子コア1b´(図4参照)を通り第1磁極の永久磁石に戻る磁束経路、又は、その反対回りとなる磁束経路となる。
【0090】
このとき、例えば、図4,6に示す永久磁石11´,12´,13´で発生した磁束の一部は、リブ21´,22´,23´,24´を通る漏れ磁束となるが、永久磁石11´の側面51´,52´、永久磁石12´のテーパ面43´,44´、及び、永久磁石13´の側面55´,56´まで、永久磁石11´,12´,13´があることや、永久磁石11´の側面52´、永久磁石12´のテーパ面43´,44´、及び、永久磁石13´の側面55´に対して、側面62´,63´,64´,65´がそれぞれ同一線上となるように空隙32´,33´,34´,35´を設け、回転子1´の外周面1c´に略平行となるように側面61´,66´を設けているので、リブ21´,22´,23´,24´の磁気抵抗が高く、漏れ磁束を低減することができる。
【0091】
また、本実施例によれば、従来技術で空隙となっていた部分に永久磁石を配置して、磁石孔11A´,12A´,13A´に対して永久磁石11´,12´,13´が占める割合が高く、永久磁石の体積を大きくすることができる。
【0092】
例えば、上記特許文献2における図3の回転子形状にて、リブ84が永久磁石38の側面と略平行になるように形成するためには、空隙C1を要するが、本実施例では、図6に示すように、永久磁石12´のテーパ部を利用することで、空隙を設けることなく、磁石間のリブ21´,22´を平行に形成することができる。したがって、従来空隙が占めていた空間を利用して、永久磁石の体積を大きくすることができる。
【0093】
よって、回転子径寸法を大きくしたり永久磁石の種類を変更したりすることなく、界磁磁束量を増やすことができる。
【0094】
本実施例に係る永久磁石式回転電機の回転子では、実施例1と同様、各永久磁石がテーパ部を有するので、各々の永久磁石の体積を大きく取りながら各永久磁石間の距離を狭めて漏れ磁束を低減しつつ、界磁磁束量を増加させることができる。
【産業上の利用可能性】
【0095】
本発明は、永久磁石式回転電機として好適である。
【符号の説明】
【0096】
1 (実施例1における)回転子
1´ (実施例2における)回転子
1a (実施例1における)回転子鉄心
1a´ (実施例2における)回転子鉄心
1b (実施例1における)回転子コア
1b´ (実施例2における)回転子コア
1c (実施例1における回転子の)外周面
1c´ (実施例2における回転子の)外周面
11,12,13 (実施例1における)永久磁石
11´,12´,13´ (実施例2における)永久磁石
11A,12A,13A (実施例1における)磁石孔
11A´,12A´,13A´ (実施例2における)磁石孔
21,22,23,24 (実施例1における)リブ
21´,22´,23´,24´ (実施例2における)リブ
31,32,33,34,35,36 (実施例1における)空隙
31´,32´,33´,34´,35´,36´ (実施例2における)空隙
41,42,43,44,45,46 (実施例1における永久磁石の)テーパ面
41´,42´,43´,44´,45´,46´ (実施例2における永久磁石の)テーパ面
51,52,53,54,55,56 (実施例1における永久磁石の)側面
51´,52´,53´,54´,55´,56´ (実施例2における永久磁石の)側面
61,62,63,64,65,66 (実施例1における空隙の)側面
61´,62´,63´,64´,65´,66´ (実施例2における空隙の)側面
71,72,73 (実施例1における永久磁石の)側面
71A,72A,73A (実施例1における磁石孔の)側面
71´,72´,73´ (実施例2における永久磁石の)側面
71A´,72A´,73A´ (実施例2における磁石孔の)側面
81,82,83 (実施例1における永久磁石の)側面
81A,82A,83A (実施例1における磁石孔の)側面
81´,82´,83´ (実施例2における永久磁石の)側面
81A´,82A´,83A´ (実施例2における磁石孔の)側面
図1
図2
図3
図4
図5
図6