【発明が解決しようとする課題】
【0004】
歩行型管理機は、機体を走行させながら、耕耘爪を駆動回転させて圃場の耕耘作業を行う際、耕耘爪によって跳ね上げられた土がカバーの内面に衝突することが繰り返し行われる。このとき、勢いよく跳ね上げられてカバーに衝突する土がカバーの内面に付着することがある。
【0005】
このようにカバーの内面に土が付着すると、作業が行われるに伴って飛散する土がさらに付着し易くなり、堆積して付着する土が多くなることがある。その結果、耕耘作業が阻害されるおそれがあり、又、付着する土に起因して機体全体の重量が増し、歩行しながら運転操作している作業者にとっては、作業の負担が大きくなる等の不利な面がある。そこで、カバーの内面に土が多量に付着した場合には、付着した土を取り除く処理が必要となる。
【0006】
従来の歩行型管理機では、カバーは機体に固定されていたから、カバーに付着した土を取り除くときは、カバーの下方側から耕耘爪の間の狭い隙間を通して清掃用の棒体を差し込んで取り除く等、煩わしい作業が必要となっていた。
【0007】
そこで、付着した土の除去作業が容易に行えるようにすることが望まれていた。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る歩行型管理機の特徴構成は、機体横向き軸芯周りで回転する耕耘爪と、前記耕耘爪の上側を覆うカバーとが備えられ、
前記カバーが、平面視で内側に開放領域を有するフレーム部材と、前記フレーム部材に支持されて前記開放領域を覆う面部材とを備え、
前記面部材は、前記フレーム部材に対して取付け取外し自在である点にある。
【0009】
耕耘作業を行うときは、面部材をフレーム部材に取付けた状態で作業を行う。カバーに付着した土を取り除く作業等のメンテナンス作業を行う場合には、面部材をフレーム部から取外して、大きく開放された作業空間を確保した状態で作業を行うことができる。
【0010】
すなわち、耕耘作業を行うときは、カバーによって耕耘爪の上側を覆うことにより、耕耘爪により跳ね上げられた土が機体外方の運転者に飛散することを防止して、良好に作業を行うことができ、カバーに付着した土を取り除くときは、機体からカバーを取り外して機体から分離された状態で容易に作業を行える。
【0011】
従って、耕耘爪の上側を覆うカバーに付着した土の除去作業を容易に行えるようにすることが可能となった。
【0012】
本発明においては、前記フレーム部材に前記面部材をスライド可能に支持する摺動支持部が備えられ、
前記面部材は、前記摺動支持部に沿ってスライドさせて抜き差しすることにより、前記フレーム部材に対して取付け取外し自在であると好適である。
【0013】
本構成によれば、面部材は摺動支持部に沿ってスライドさせて抜き差しすることができるので、フレーム部材に対する取付け取外し作業が行い易い。又、面部材を摺動支持部に沿ってスライドさせて、少ない個数の固定具でスライド方向の位置を保持することができ、固定具の装着作業や取り外し作業が簡単に行える。
【0014】
この構成に代えて、例えば、面部材を板面と交差する方向に沿ってフレーム部材に装着させて、面部材の周囲の複数箇所をフレーム部材にボルト等の締結手段により取り付ける構成等も考えられるが、この構成では、取付作業において、面部材のフレーム部材に対する位置合わせが行い難く煩わしい作業となる。これに対して、本構成によれば、面部材のフレーム部材に対する取付け作業としては、スライド方向での移動位置を定めるための取付作業を行えばよく、取付け取外し作業を容易に行うことができる。
【0015】
本発明においては、前記カバーは、機体側面視で上向き突出状に湾曲形成され、
前記面部材は、湾曲形状に沿ってスライド可能並びに位置固定可能に前記摺動支持部に支持されていると好適である。
【0016】
本構成によれば、カバーが機体側面視で上向き突出状に湾曲形成されるので、耕耘爪の上側に位置するカバーをできるだけ耕耘爪の回転軌跡に近付けることができ、耕起した土がカバーの内部で無駄に飛散せずに圃場に戻すように良好に案内することができる。
【0017】
そして、カバーを構成する面部材も同様に上向き突出状に湾曲形成されるが、面部材は、湾曲形状に沿ってスライド可能に摺動支持部に支持される。その結果、面部材は湾曲形状のまま無理なく円滑にスライド操作することができ、取付け作業及び取外し作業が容易に行える。
【0018】
従って、耕起した土の案内を良好に行うことができるものでありながら、取付け作業及び取外し作業が容易に行うことが可能となった。
【0019】
本発明においては、前記面部材は、前記耕耘爪に臨む側に設けられた内側面部材と、その内側面部材の外側に前記内側面部材と重複する状態で設けられた外側面部材とを備え、
前記内側面部材と前記外側面部材とが夫々、各別にスライド可能並びに位置固定可能に前記摺動支持部に支持されていると好適である。
【0020】
本構成によれば、内側面部材と外側面部材のうちのいずれか一方を、摺動支持部に固定しておき、他方をスライド操作させることにより、耕耘爪の外周部のうちの面部材にて覆う領域を変更することができる。例えば、内側面部材と外側面部材のうち固定される一方の端部をフレーム部材の一端部に合わせておき、スライド操作される他方をフレーム部材の他端側から外方に突出させる形態で固定すると、この突出する面部材を従来より既存の整地板に兼用することにより、構成を簡素化させることが可能となる。
【0021】
本発明においては、前記面部材は、弾性体にて構成されていると好適である。
【0022】
本構成によれば、面部材が弾性体にて構成されるので、耕耘爪により跳ね飛ばされた土が面部材に衝突するときに、弾性変形により衝撃力が吸収されるので、土が付着し難いものになる。又、衝突の際の振動によって既に面部材に付着している土を振り落とす作用を発揮することもできる。さらに、弾性体であることから、金属材にて構成するものに比べて、カバー全体が軽量化することができ、作業者による労力負担を軽減できる。