【解決手段】生体情報測定装置100は、車両のステアリング200の左位置に配置され、2つの左分割電極EL1、EL2によって構成される左電極10と、ステアリング200の右位置に配置され、2つの右分割電極ER1、ER2によって構成される右電極20と、2つの左分割電極EL1、EL2の電位差を検出する電位差検出部30と、2つの右分割電極ER1、ER2の電位差を検出する電位差検出部32と、左分割電極EL2と右分割電極ER2の電位差を検出する電位差検出部34と、電位差検出部30、32、34の各検出結果に基づいて、ステアリング200を操作する運転者の生体情報を算出するデータ処理部40とを備えている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、特許文献1に開示された生体情報測定装置では、測定対象となるi番目の電極部のインピーダンスを測定する際に、スイッチング回路部を切り換えて、このi番目の電極部の両電極をインピーダンス測定部に接続しても、その後、インピーダンス測定部からの検出信号が安定するのに時間がかかることから、スイッチング回路部を切り換えてから検出信号が安定するのに要する時間が経過した後、一定期間、検出信号をサンプリングし、そのサンプリングした検出信号を平均化しており、インピーダンス測定ひいては生体情報の測定に時間がかかるという問題があった。8個の電極部のそれぞれについてインピーダンス測定を行った後に、左右一組の電極部を選択して生体情報を測定することになるため、生体情報の測定が終了するまでかなりの時間を要することのになる。さらに、測定に要する時間が長くなると、インピーダンス測定の時点と生体情報測定の時点では運転者の手の接触状態が変化するおそれがあり、測定精度の低下が懸念されるため、測定に要する時間は短いほど望ましい。
【0005】
本発明は、このような点に鑑みて創作されたものであり、その目的は、生体情報の測定に要する時間を短くするとともに測定精度を向上させることができる生体情報測定装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題を解決するために、本発明の生体情報測定装置は、車両のステアリングの左位置に配置され、複数の左分割電極によって構成される左電極と、ステアリングの右位置に配置され、複数の右分割電極によって構成される右電極と、複数の左分割電極の電位差を検出する左電位差検出手段と、複数の右分割電極の電位差を検出する右電位差検出手段と、左分割電極と右分割電極の電位差を検出する左右電位差検出手段と、左電位差検出手段、右電位差検出手段および左右電位差検出手段の各検出結果に基づいて、ステアリングを操作する運転者の生体情報を算出する生体情報算出手段とを備えている。
【0007】
同時(あるいは、多少の時間差が生じてもよい)に検出した3種類の電位差に基づいて生体情報を測定しているため、生体情報の測定に要する時間を短くすることができる。また、測定時間を短くすることにより、測定中に運転者の手の接触状態が変化する事態を避けることができ、生体情報の測定精度を向上させることができる。さらに、複数の左分割電極の電位差と複数の右分割電極の電位差を検出することにより、ステアリングを握る運転者の左右の手の接触状態を反映させた生体情報の測定を行うことが可能となり、生体情報の測定精度をさらに向上させることができる。
【0008】
また、上述した生体情報算出手段は、左電位差検出手段、右電位差検出手段および左右電位差検出手段の各検出結果の中から、左電位差検出手段および右電位差検出手段の各検出結果に基づいて、生体情報の算出に必要な検出結果を選択することが望ましい。
【0009】
具体的には、上述した生体情報算出手段は、左電位差検出手段および右電位差検出手段のそれぞれによって検出された電位差が、ともに所定の閾値よりも小さい場合に、左右電位差検出手段によって検出された電位差に基づいて生体情報を算出する。
【0010】
また、上述した生体情報算出手段は、左電位差検出手段によって検出された電位差が所定の閾値よりも大きく、かつ、右電位差検出手段によって検出された電位差が閾値よりも小さい場合に、左右電位差検出手段によって検出された電位差に基づいて、あるいは、左右電位差検出手段によって検出された電位差から左電位差検出手段によって検出された電位差を差し引いた値に基づいて、生体情報を算出する。
【0011】
また、上述した生体情報算出手段は、左電位差検出手段によって検出された電位差が所定の閾値よりも小さく、かつ、右電位差検出手段によって検出された電位差が閾値よりも大きい場合に、左右電位差検出手段によって検出された電位差に基づいて、あるいは、左右電位差検出手段によって検出された電位差から右電位差検出手段によって検出された電位差を差し引いた値に基づいて、生体情報を算出する。
【0012】
また、上述した生体情報算出手段は、左電位差検出手段によって検出された電位差が所定の閾値よりも大きく、かつ、右電位差検出手段によって検出された電位差が閾値よりも大きい場合に、左右電位差検出手段によって検出された電位差に基づいて、あるいは、左右電位差検出手段によって検出された電位差から左電位差検出手段によって検出された電位差を差し引いた値に基づいて、あるいは、左右電位差検出手段によって検出された電位差から右電位差検出手段によって検出された電位差を差し引いた値に基づいて、あるいは、左右電位差検出手段によって検出された電位差から左電位差検出手段および右電位差検出手段によって検出された各電位差を差し引いた値に基づいて、生体情報を算出する。
【0013】
これにより、運転者の左右の手の接触状態の組み合わせ毎に、左右電極の正確な電位差を検出して精度の高い生体情報の測定が可能となる。
【0014】
また、上述した生体情報算出手段は、生体情報の算出に必要な電位差の候補が複数ある場合に、これら複数の候補のそれぞれに対応する生体情報の算出を行い、この算出によって得られた生体情報の中から正常範囲に含まれる生体情報を選択することが望ましい。これにより、不安定な手の接触状態に起因する生体情報の異常値を排除して、精度の高い生体情報の測定が可能となる。
【0015】
また、上述した生体情報は、心電図信号や心拍数であることが望ましい。これにより、運転者の心電図信号や心拍数を正確に測定することができる。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明を適用した一実施形態の生体情報測定装置について、図面を参照しながら説明する。
【0018】
図1は、一実施形態の生体情報測定装置の構成を示す図である。この生体情報測定装置は、車両に搭載されて、運転者の生体情報(心電図や心拍数)を測定する。
図1に示すように、本実施形態の生体情報測定装置100は、左電極10、右電極20、電位差検出部30、32、34、データ処理部40を備えている。
【0019】
図2は、左電極10および右電極20の設置状態を示す図である。
図2(A)には、ステアリング200を運転席側から見た状態が示されている。また、
図2(B)にはステアリング200を左側面方向から見た状態が、
図2(C)にはステアリング200を右側面方向から見た状態がそれぞれ示されている。
【0020】
図2に示すように、左電極10は、車両走行時に運転者がステアリング200を両手で握ったときに左手が接触する可能性がある範囲であって、ステアリング200のリング部210の左側に配置されている。また、左電極10は、ホイール部210の円周方向に延在する2つの左分割電極EL1、EL2によって構成されている。一方の左分割電極EL1が運転席側に、他方の左分割電極EL2が反運転席側に配置されている。
【0021】
同様に、右電極20は、車両走行時に運転者がステアリング200を両手で握ったときに右手が接触する可能性がある範囲であって、ステアリング200のリング部210の右側に配置されている。また、右電極20は、ホイール部210の円周方向に延在する2つの右分割電極ER1、ER2によって構成されている。一方の右分割電極ER1が運転席側に、他方の右分割電極ER2が反運転席側に配置されている。
【0022】
電位差検出部30は、左電極10に対応して電位差を検出するためのものであり、一方の左分割電極EL1の電位をV
L1、他方の左分割電極EL2の電位をV
L2としたときに、これら2つの左分割電極EL1、EL2間の電位差V
L1-L2(=V
L1−V
L2)を検出する。
【0023】
電位差検出部32は、右電極20に対応して電位差を検出するためのものであり、一方の右分割電極ER1の電位をV
R1、他方の右分割電極ER2の電位をV
R2としたときに、これら2つの右分割電極ER1、ER2間の電位差V
R2-R1(=V
R2−V
R1)を検出する。
【0024】
電位差検出部34は、左電極10と右電極20との間の電位差を検出するためのものであり、左分割電極EL2と右分割電極ER2との間の電位差V
R2-L2(=V
R2−V
L2)を検出する。
【0025】
データ処理部40は、3つの電位差検出部30、32、34の各検出結果(V
L1-L2、V
R2-R1、V
R2-L2)に基づいて、生体情報としての心電図(ECG:Electrocardiogram)信号と心拍数を算出する。このために、データ処理部40は、ECG算出部42、RRI(R-R interval)算出部44、心拍数算出部46を含んで構成されている。
【0026】
ECG算出部42は、3つの電位差検出部30、32、34の各検出結果を用いて、左電極10と右電極20との間の電位差としてのECG信号(ECG波形)を算出する。
【0027】
図3は、左電極10と右電極20を左右の手でしっかり握ったときに現れる電極間の電位差としてのECG波形を示す図である。また、
図4は、ECG波形の1周期を示す図である。
【0028】
ところで、本実施形態では、左電極10として2つの左分割電極EL1、EL2が備わっており、右電極20として2つの右分割電極ER1、ER2が備わっているため、左電極10と右電極20の電位差としては、以下に示す4つの組合せA〜Dが存在する。
(組合せA:左分割電極EL2と右分割電極ER2との間の電位差V
R2-L2)
この電位差は、電位差検出部34によって検出される電位差V
R2-L2そのものである。
(組合せB:左分割電極EL1と右分割電極ER2との間の電位差V
R2-L1)
この電位差は、電位差検出部34によって検出される電位差V
R2-L2から電位差検出部30によって検出される電位差V
L1-L2を差し引くことにより取得することができる。
【0029】
V
R2-L2−V
L1-L2=(V
R2−V
L2)−(V
L1−V
L2)
=V
R2−V
L2−V
L1+V
L2
=V
R2−V
L1
=V
R2-L1
(組合せC:左分割電極EL2と右分割電極ER1との間の電位差V
R1-L2)
この電位差は、電位差検出部34によって検出される電位差V
R2-L2から電位差検出部32によって検出される電位差V
R2-R1を差し引くことにより取得することができる。
【0030】
V
R2-L2−V
R2-R1=(V
R2−V
L2)−(V
R2−V
R1)
=V
R2−V
L2−V
R2+V
R1
=V
R1−V
L2
=V
R1-L2
(組合せD:左分割電極EL1と右分割電極ER1との間の電位差V
R1-L1)
この電位差は、電位差検出部34によって検出される電位差V
R2-L2から電位差検出部30、32によって検出される各電位差V
L1-L2、電位差V
R2-R1を差し引くことにより取得することができる。
【0031】
V
R2-L2−(V
L1-L2+V
R2-R1)
=(V
R2−V
L2)−((V
L1−V
L2)+(V
R2−V
R1))
=V
R2−V
L2−V
L1+V
L2−V
R2+V
R1
=V
R1−V
L1
=V
R1-L1
図5は、組合せDに対応する3つの電位差検出部30、32、34の各検出結果を示す図である。
図5において横軸は経過時間を、縦軸は電圧(電位差)をそれぞれ示している。
【0032】
図5(A)は、電位差検出部34によって検出された左分割電極EL2と右分割電極ER2との間の電位差V
R2-L2を示す図である。組合せDは、左分割電極EL1と右分割電極ER1に運転者の両手が安定して接触した状態を想定しており、左分割電極EL2と右分割電極ER2には運転者の両手が確実に接触してはいない。したがって、
図5(A)に示すように、波形に乱れが生じている。
【0033】
図5(B)は、電位差検出部30によって検出された左分割電極EL1、EL2間の電位差V
L1-L2を示す図である。左手が一方の左電極電圧EL1には安定して接触しているが、他方の左電極電圧EL2には確実に接触していない。したがって、
図5(B)に示すように、これらの間の電位差が所定の閾値よりも小さくならない。
【0034】
図5(C)は、電位差検出部32によって検出された右分割電極ER1、ER2間の電位差V
R2-R1を示す図である。右手が一方の左電極電圧ER1には安定して接触しているが、他方の左電極電圧ER2には確実に接触していない。したがって、
図5(C)に示すように、これらの間の電位差が所定の閾値よりも小さくならない。
【0035】
図6は、組合せDに対応する3つの電位差検出部30、32、34の各検出結果を用いて左分割電極EL1と右分割電極ER1との間の電位差V
R1-L1を算出した結果を示す図である。
図5(A)に示した電位差V
R2-L2から、電位差検出部30、32によって検出される各電位差V
L1-L2、電位差V
R2-R1を差し引くことにより、
図6に示すような安定したECG波形が得られる。
【0036】
ECG算出部42は、上述した4つの組合せA〜Dのそれぞれの電位差を順番に、あるいは、並行して算出する。なお、本実施形態では、これら4つの組合せA〜Dのそれぞれの電位差を用いて、後述する心拍数算出部46において順番に、あるいは、並行して心拍数の算出も行われる。
【0037】
RRI算出部44は、ECG算出部42によって算出されたECG波形において、2つの隣り合うR波間の時間差であるRRIを算出する。具体的には、RRI算出部44は、
図3に示すECG波形から、
図4に示すR波のピーク間隔であるRRIを算出する。例えば、所定周期分のRRIが平均されてRRI算出部44から出力される。
【0038】
心拍数算出部46は、RRI算出部44によって算出されたRRIに基づいて、以下の式を用いて心拍数を算出する。
【0039】
心拍数(bpm)=60000/RRI(msec)
上述した電位差検出部30が左電位差検出手段に、電位差検出部32が右電位差検出手段に、電位差検出部34が左右電位差検出手段に、データ処理部40が生体情報算出手段にそれぞれ対応する。
【0040】
本実施形態の生体情報測定装置100はこのような構成を有しており、次に、その動作を説明する。生体情報としてのECG波形を算出する際には、上述した組合せA〜Dのいずれかを用いることになるが、本実施形態では、運転者の左右の手の動き(操作内容)を予想することにより、用いる組合せを選択するようにしている。具体的には、以下のケース1〜4で示す手の動きを想定している。
(ケース1:運転者の両手ともしっかりステアリング200を握っている)
この状態では、電位差検出部30によって検出される電位差V
L1-L2と電位差検出部32によって検出される電位差V
R2-R1がともに所定の閾値より小さくなる。このケース1では、左電極10と右電極20の電位差としては、上述した組合せAが用いられる。
(ケース2:運転者が左手で何らかの操作(例えば、ワイパーの操作)を行っている)
この状態では、電位差検出部30によって検出される電位差V
L1-L2が所定の閾値よりも大きくなり、かつ、電位差検出部32によって検出される電位差V
R2-R1が所定の閾値より小さくなる。このケース2では、左電極10と右電極20の電位差としては、上述した組合せBあるいはAが用いられる。
(ケース3:運転者が右手で何らかの操作(例えば、ウインカーの操作)を行っている)
この状態では、電位差検出部30によって検出される電位差V
L1-L2が所定の閾値よりも小さくなり、かつ、電位差検出部32によって検出される電位差V
R2-R1が所定の閾値より大きくなる。このケース3では、左電極10と右電極20の電位差としては、上述した組合せCあるいはAが用いられる。
(ケース4:運転者が右手および左手のそれぞれで何らかの操作(例えば、ワイパーの操作)を行っている)
この状態では、電位差検出部30によって検出される電位差V
L1-L2と電位差検出部32によって検出される電位差V
R2-R1がともに所定の閾値より大きくなる。このケース4では、左電極10と右電極20の電位差としては、上述した組合せA〜Dのいずれかが用いられる。
【0041】
図7〜
図11は、ECG波形および心拍数を測定する本実施形態の生体情報測定装置100の動作手順を示す流れ図である。
【0042】
まず、ECG算出部42、RRI算出部44、心拍数算出部46は、上述した組合せA〜Dのそれぞれに対応する電位差を用いてECG、RRI、心拍数を算出する(ステップ100)。
【0043】
次に、心拍数算出部46は、上述したケース1に該当するか否か(電位差検出部30によって検出される電位差V
L1-L2と電位差検出部32によって検出される電位差V
R2-R1がともに所定の閾値より小さいか否か)を判定する(ステップ102)。該当する場合には肯定判断が行われる。この場合には、心拍数算出部46は、左分割電極EL1、EL2および右分割電極ER1、ER2の全てに運転者の左右の手が接触しているものと判定し(ステップ104)、組合せAに対応するECGや心拍数を採用する(ステップ106)。なお、ステップ104や後述する112等の判定動作は、説明をわかりやすくするために追加したが、実際の動作とは関係ないため、省略するようにしてもよい。また、ステップ102の判定動作は、心拍数算出部46が行う代わりに、ECG算出部42やRRI算出部44あるいはその他の制御部を設けて行うようにしてもよい。
【0044】
また、ケース1に該当しない場合にはステップ102の判定において否定判断が行われる。次に、心拍数算出部46は、上述したケース2に該当するか否か(電位差検出部30によって検出される電位差V
L1-L2が所定の閾値よりも大きく、かつ、電位差検出部32によって検出される電位差V
R2-R1が所定の閾値より小さいか否か)を判定する(ステップ108)。該当する場合には肯定判断が行われる。この場合には、心拍数算出部46は、上述した組合せAに対応する心拍数が正常範囲内に含まれるか否かを判定する(ステップ110)。含まれる場合には肯定判断が行われ、心拍数算出部46は、左分割電極EL2および右分割電極ER1、ER2に運転者の左右の手が安定して接触しているものと判定し(ステップ112)、組合せAに対応するECGや心拍数を採用する(ステップ114)。
【0045】
また、組合せAに対応する心拍数が正常範囲内に含まれずにステップ110の判定において否定判断が行われると、次に、心拍数算出部46は、上述した組合せBに対応する心拍数が正常範囲内に含まれるか否かを判定する(ステップ116)。含まれる場合には肯定判断が行われ、心拍数算出部46は、左分割電極EL1および右分割電極ER1、ER2に運転者の左右の手が安定して接触しているものと判定し(ステップ118)、組合せBに対応するECGや心拍数を採用する(ステップ120)。
【0046】
また、組合せBに対応する心拍数が正常範囲内に含まれずにステップ116の判定において否定判断が行われると、次に、心拍数算出部46は、右分割電極ER1、ER2のみに運転者の右手が安定して接触し、左分割電極EL1、EL2のどちらにも左手がきちんと接触していないと判定し(ステップ122)、ECGや心拍数の算出が行えない旨を決定する(ステップ124)。
【0047】
また、ケース2に該当しない場合にはステップ108の判定において否定判断が行われる。次に、心拍数算出部46は、上述したケース3に該当するか否か(電位差検出部30によって検出される電位差V
L1-L2が所定の閾値よりも小さく、かつ、電位差検出部32によって検出される電位差V
R2-R1が所定の閾値より大きいか否か)を判定する(ステップ126)。該当する場合には肯定判断が行われる。この場合には、心拍数算出部46は、上述した組合せAに対応する心拍数が正常範囲内に含まれるか否かを判定する(ステップ128)。含まれる場合には肯定判断が行われ、心拍数算出部46は、左分割電極EL1、EL2および右分割電極ER2に運転者の左右の手が安定して接触しているものと判定し(ステップ130)、組合せAに対応するECGや心拍数を採用する(ステップ132)。
【0048】
また、組合せAに対応する心拍数が正常範囲内に含まれずにステップ128の判定において否定判断が行われると、次に、心拍数算出部46は、上述した組合せCに対応する心拍数が正常範囲内に含まれるか否かを判定する(ステップ134)。含まれる場合には肯定判断が行われ、心拍数算出部46は、左分割電極EL1、EL2および右分割電極ER1に運転者の左右の手が安定して接触しているものと判定し(ステップ136)、組合せCに対応するECGや心拍数を採用する(ステップ138)。
【0049】
また、組合せCに対応する心拍数が正常範囲内に含まれずにステップ134の判定において否定判断が行われると、次に、心拍数算出部46は、左分割電極EL1、EL2のみに運転者の左手が安定して接触し、右分割電極ER1、ER2のどちらにも右手がきちんと接触していないと判定し(ステップ140)、ECGや心拍数の算出が行えない旨を決定する(ステップ142)。
【0050】
また、ケース3に該当しない場合にはステップ126の判定において否定判断が行われる。これはケース4に該当する場合であって、次に、心拍数算出部46は、上述した組合せAに対応する心拍数が正常範囲内に含まれるか否かを判定する(ステップ144)。含まれる場合には肯定判断が行われ、心拍数算出部46は、左分割電極EL2および右分割電極ER2に運転者の左右の手が安定して接触しているものと判定し(ステップ146)、組合せAに対応するECGや心拍数を採用する(ステップ148)。
【0051】
また、組合せAに対応する心拍数が正常範囲内に含まれずにステップ144の判定において否定判断が行われると、次に、心拍数算出部46は、上述した組合せBに対応する心拍数が正常範囲内に含まれるか否かを判定する(ステップ150)。含まれる場合には肯定判断が行われ、心拍数算出部46は、左分割電極EL1および右分割電極ER2に運転者の左右の手が安定して接触しているものと判定し(ステップ152)、組合せBに対応するECGや心拍数を採用する(ステップ154)。
【0052】
また、組合せBに対応する心拍数が正常範囲内に含まれずにステップ150の判定において否定判断が行われると、次に、心拍数算出部46は、上述した組合せCに対応する心拍数が正常範囲内に含まれるか否かを判定する(ステップ156)。含まれる場合には肯定判断が行われ、心拍数算出部46は、左分割電極EL2および右分割電極ER1に運転者の左右の手が安定して接触しているものと判定し(ステップ158)、組合せCに対応するECGや心拍数を採用する(ステップ160)。
【0053】
また、組合せCに対応する心拍数が正常範囲内に含まれずにステップ156の判定において否定判断が行われると、次に、心拍数算出部46は、上述した組合せDに対応する心拍数が正常範囲内に含まれるか否かを判定する(ステップ162)。含まれる場合には肯定判断が行われ、心拍数算出部46は、左分割電極EL1および右分割電極ER1に運転者の左右の手が安定して接触しているものと判定し(ステップ164)、組合せDに対応するECGや心拍数を採用する(ステップ166)。
【0054】
また、組合せDに対応する心拍数が正常範囲内に含まれずにステップ162の判定において否定判断が行われると、次に、心拍数算出部46は、必要な電極への両手の接触が不充分(左分割電極EL1、EL2のいずれにもきっちり左手が接触しておらず、かつ、右分割電極ER1、ER2のいずれにもきっちり左手が接触していない場合や、片手あるいは両手が左電極10や右電極20から離れている場合)であると判定し(ステップ168)、ECGや心拍数の算出が行えない旨を決定する(ステップ170)。
【0055】
このように、本実施形態の生体情報測定装置100では、同時(あるいは、多少の時間差が生じてもよい)に検出した3種類の電位差V
R2-L2、V
L1-L2、V
R2-R1に基づいて生体情報を測定しているため、生体情報の測定に要する時間を短くすることができる。また、測定時間を短くすることにより、測定中に運転者の手の接触状態が変化する事態を避けることができ、生体情報の測定精度を向上させることができる。さらに、2つの左分割電極EL1、EL2の電位差V
L1-L2と2つの右分割電極ER1、ER2の電位差V
R2-R1を検出することにより、ステアリング200を握る運転者の左右の手の接触状態を反映させた生体情報の測定を行うことが可能となり、生体情報の測定精度をさらに向上させることができる。
【0056】
また、上述したケース1〜4に示したような運転者の左右の手の接触状態の組み合わせを想定し、これらの各ケース毎に左右電極の正確な電位差を検出することにより、精度の高い生体情報の測定が可能となる。
【0057】
また、上述したケース2〜4では、組合せA〜Dの中から複数の選択候補が抽出され、その中から生体情報(心拍数)が正常範囲に含まれるものを選択しており、不安定な手の接触状態に起因する生体情報の異常値を排除して、精度の高い生体情報の測定が可能となる。
【0058】
なお、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨の範囲内において種々の変形実施が可能である。例えば、上述した実施形態では、ECGや心拍数に基づいて運転者の眠気やストレス度合いや安らぎ度合いなどを生体情報として測定するようにしてもよい。
【0059】
また、上述した実施形態では、左電極10を2つの左分割電極EL1、EL2で構成し、右電極20を2つの右分割電極ER1、ER2で構成したが、分割電極の数は3以上であってもよい。