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特開2017-217333生体情報測定装置、方法およびプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2017-217333(P2017-217333A)
(43)【公開日】2017年12月14日
(54)【発明の名称】生体情報測定装置、方法およびプログラム
(51)【国際特許分類】
   A61B 5/18 20060101AFI20171117BHJP
   A61B 5/0245 20060101ALI20171117BHJP
【FI】
   A61B5/18
   A61B5/02 710C
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2016-115794(P2016-115794)
(22)【出願日】2016年6月10日
(71)【出願人】
【識別番号】000101732
【氏名又は名称】アルパイン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100103171
【弁理士】
【氏名又は名称】雨貝 正彦
(72)【発明者】
【氏名】小澤 実
【テーマコード(参考)】
4C017
4C038
【Fターム(参考)】
4C017AA02
4C017AA08
4C017AA19
4C017AB03
4C017AC16
4C017BC20
4C017BC21
4C017BD06
4C017CC01
4C038PP05
4C038PQ04
4C038PS00
(57)【要約】
【課題】車両走行時に正確な生体情報を取得することができる生体情報測定装置、方法およびプログラムを提供すること。
【解決手段】生体情報測定・運転支援装置100は、車両の運転者の生体情報を検出する生体情報検出部21と、運転者の生体情報の変動をもたらす外部要因を検出する外部要因検出部23と、生体情報検出部21によって検出された生体情報が正常範囲を外れたか否かを判定する生体情報異常判定部22と、生体情報異常判定部22によって生体情報が正常範囲から外れた旨の判定が行われたときに、外部要因検出部23による外部要因検出の有無に基づいて、生体情報検出部21によって検出された生体情報の有効・無効を判定する生体情報有効・無効判定部24とを備えている。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の運転者の生体情報を検出する生体情報検出手段と、
運転者の生体情報の変動をもたらす外部要因を検出する外部要因検出手段と、
前記生体情報検出手段によって検出された生体情報が正常範囲を外れたか否かを判定する生体情報異常判定手段と、
前記生体情報異常判定手段によって生体情報が正常範囲から外れた旨の判定が行われたときに、前記外部要因検出手段による外部要因検出の有無に基づいて、前記生体情報検出手段によって検出された生体情報の有効・無効を判定する生体情報有効・無効判定手段と、
を備えることを特徴とする生体情報測定装置。
【請求項2】
請求項1において、
前記生体情報有効・無効判定手段は、前記生体情報異常判定手段によって生体情報が正常範囲から外れた旨の判定が行われたときであって、前記外部要因検出手段によって前記外部要因が検出された場合に、前記生体情報検手段によって検出された生体情報が無効である旨の判定を行うことを特徴とする生体情報測定装置。
【請求項3】
請求項1または2において、
前記生体情報有効・無効判定手段によって有効である旨の判定が行われた前記生体情報を外部装置に向けて送信する生体情報送信手段をさらに備えることを特徴とする生体情報測定装置。
【請求項4】
請求項3において、
前記生体情報送信手段は、ネットワークを介して外部装置としてのサーバに前記生体情報を送信することを特徴とする生体情報測定装置。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか一項において、
前記外部要因検出手段は、車両周辺の障害物を前記外部要因として検出することを特徴とする生体情報測定装置。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれか一項において、
前記外部要因検出手段は、運転者によるブレーキ操作、アクセル操作およびハンドル操作の少なくとも一つを前記外部要因として検出することを特徴とする生体情報測定装置。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれか一項において、
前記外部要因検出手段は、車両に搭載されたカメラによって撮像された画像に基づいて前記外部要因を検出することを特徴とする生体情報測定装置。
【請求項8】
請求項1〜7のいすれか一項において、
前記外部要因検出手段は、車両に搭載されて車両の走行を制御する制御装置から出力されるデータに基づいて前記外部要因を検出することを特徴とする生体情報測定装置。
【請求項9】
車両の運転者の生体情報を生体情報検出手段によって検出するステップと、
運転者の生体情報の変動をもたらす外部要因を外部要因検出手段によって検出するステップと、
前記生体情報検出手段によって検出された生体情報が正常範囲を外れたか否かを生体情報異常判定手段によって判定するステップと、
前記生体情報異常判定手段によって生体情報が正常範囲から外れた旨の判定が行われたときに、前記外部要因検出手段による外部要因検出の有無に基づいて、前記生体情報検出手段によって検出された生体情報の有効・無効を生体情報有効・無効判定手段によって判定するステップと、
を有することを特徴とする生体情報測定方法。
【請求項10】
請求項9において、
前記生体情報有効・無効判定手段によって有効である旨の判定が行われた前記生体情報を外部装置に向けて生体情報送信手段によって送信するステップさらに有することを特徴とする生体情報測定方法。
【請求項11】
コンピュータを、
車両の運転者の生体情報を検出する生体情報検出手段と、
運転者の生体情報の変動をもたらす外部要因を検出する外部要因検出手段と、
前記生体情報検出手段によって検出された生体情報が正常範囲を外れたか否かを判定する生体情報異常判定手段と、
前記生体情報異常判定手段によって生体情報が正常範囲から外れた旨の判定が行われたときに、前記外部要因検出手段による外部要因検出の有無に基づいて、前記生体情報検出手段によって検出された生体情報の有効・無効を判定する生体情報有効・無効判定手段と、
して機能させるための生体情報測定プログラム。
【請求項12】
請求項11において、
コンピュータを、前記生体情報有効・無効判定手段によって有効である旨の判定が行われた前記生体情報を外部装置に向けて送信する生体情報送信手段としてさらに機能させるための生体情報測定プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両の運転者の生体情報を測定して外部装置に送信する生体情報測定装置、方法およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、車両走行時の生体情報と車両停止時の生体情報とを測定し、それぞれの変化の度合いを示す生体変化値を算出して運転者の生体状態(眠気状態や興奮状態を含む運転者の体調)を判定するようにした運転者状態判定装置が知られている(例えば、特許文献1参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−213768号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、特許文献1に開示された運転者状態判定装置では、車両走行時に生体情報を測定しているが、生体情報としての心拍数を考えると、運転者自身の身体状態とは関係なく、外的要因の有無による変動が大きいため、車両走行時に心拍数等の正確な生体情報を得ることは難しいという問題があった。例えば、車両走行時に前方の障害物に突然気がついた場合を考えると、運転者自身の生体状態に大きな変化がなくても心拍数が急激に上昇することになる。このような状況と、運転者自身が急に気分が悪くなって心拍数が急激に上昇した場合とを比較すると、心拍数のみを観察しても区別することは難しい。
【0005】
また、このようにして取得した生体情報を外部に送信して運転者の健康状態を判定する場合を想定すると、外的要因の発生に伴う生体情報は健康状態の判定にとっては無効なデータといえるが、このような無効なデータを含めて車両から外部に送信するとデータ量や通信コストの増大を招くという問題があった。
【0006】
本発明は、このような点に鑑みて創作されたものであり、その目的は、車両走行時に正確な生体情報を取得することができる生体情報測定装置、方法およびプログラムを提供することにある。また、本発明の他の目的は、車両から外部に生体情報を送信する際のデータ量や通信コストを削減することができる生体情報測定装置、方法およびプログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述した課題を解決するために、本発明の生体情報測定装置は、車両の運転者の生体情報を検出する生体情報検出手段と、運転者の生体情報の変動をもたらす外部要因を検出する外部要因検出手段と、生体情報検出手段によって検出された生体情報が正常範囲を外れたか否かを判定する生体情報異常判定手段と、生体情報異常判定手段によって生体情報が正常範囲から外れた旨の判定が行われたときに、外部要因検出手段による外部要因検出の有無に基づいて、生体情報検出手段によって検出された生体情報の有効・無効を判定する生体情報有効・無効判定手段とを備えている。上述した生体情報有効・無効判定手段は、生体情報異常判定手段によって生体情報が正常範囲から外れた旨の判定が行われたときであって、外部要因検出手段によって外部要因が検出された場合に、生体情報検手段によって検出された生体情報が無効である旨の判定を行っている。
【0008】
また、本発明の生体情報測定方法は、車両の運転者の生体情報を生体情報検出手段によって検出するステップと、運転者の生体情報の変動をもたらす外部要因を外部要因検出手段によって検出するステップと、生体情報検出手段によって検出された生体情報が正常範囲を外れたか否かを生体情報異常判定手段によって判定するステップと、生体情報異常判定手段によって生体情報が正常範囲から外れた旨の判定が行われたときに、外部要因検出手段による外部要因検出の有無に基づいて、生体情報検出手段によって検出された生体情報の有効・無効を生体情報有効・無効判定手段によって判定するステップとを有している。
【0009】
また、本発明の生体情報測定プログラムは、コンピュータを、車両の運転者の生体情報を検出する生体情報検出手段と、運転者の生体情報の変動をもたらす外部要因を検出する外部要因検出手段と、生体情報検出手段によって検出された生体情報が正常範囲を外れたか否かを判定する生体情報異常判定手段と、生体情報異常判定手段によって生体情報が正常範囲から外れた旨の判定が行われたときに、外部要因検出手段による外部要因検出の有無に基づいて、生体情報検出手段によって検出された生体情報の有効・無効を判定する生体情報有効・無効判定手段として機能させる。
【0010】
車両走行時に運転者の健康状態に変化がない場合であっても、突発的な外部要因が原因で生体情報が急激に変化することがあるが、このような外部要因を検出してその際に生じる生体情報の変動を無効とすることにより、車両走行時に正確な生体情報を取得することが可能となる。
【0011】
また、上述した生体情報有効・無効判定手段によって有効である旨の判定が行われた生体情報を外部装置に向けて送信する生体情報送信手段をさらに備えることが望ましい。生体情報の有効・無効を判定した結果有効とされた生体情報を外部装置へ送信しており、無効な生体情報の送信を行わないようにすることで、送信するデータ量や通信コストを削減することができる。
【0012】
また、上述した生体情報送信手段は、ネットワークを介して外部装置としてのサーバに生体情報を送信することが望ましい。ネットワークを介して送信するデータ量を削減することにより、通信時間の短縮や通信処理に要する負荷の低減が可能となる。
【0013】
また、上述した外部要因検出手段は、車両周辺の障害物を外部要因として検出することが望ましい。障害物が突然現れた際の生体情報の変動を除外することにより、平常時の生体情報のみを取得することが可能となる。
【0014】
また、上述した外部要因検出手段は、運転者によるブレーキ操作、アクセル操作およびハンドル操作の少なくとも一つを外部要因として検出することが望ましい。ブレーキやアクセルあるいはハンドルを操作する際の緊張時に生じる生体情報の変動を除外することにより、平常時の生体情報のみを取得することが可能となる。
【0015】
また、上述した外部要因検出手段は、車両に搭載されたカメラによって撮像された画像に基づいて外部要因を検出することが望ましい。これにより、容易に外部要因の発生の有無を検出することが可能となる。
【0016】
また、上述した外部要因検出手段は、車両に搭載されて車両の走行を制御する制御装置から出力されるデータに基づいて外部要因を検出することが望ましい。これにより、特別なハードウエアを追加することなく、外部要因の発生の有無を検出することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】一実施形態の車両運転支援システムの全体構成を示す図である。
図2】生体情報測定・運転支援装置の詳細構成を示す図である。
図3】クラウドサーバの詳細構成を示す図である。
図4】生体情報測定・運転支援装置において生体情報を検出して送信する動作手順を示す流れ図である。
図5】生体情報の異常と外部要因の発生とが重なった場合の説明図である。
図6】生体情報の異常が単独で発生した場合の説明である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明を適用した一実施形態の車両運転支援システムについて、図面を参照しながら説明する。
【0019】
図1は、一実施形態の車両運転支援システムの全体構成を示す図である。図1に示す車両運転支援システムは、各車両に搭載された生体情報測定・運転支援装置100と、生体情報測定・運転支援装置100から送られてくる生体情報に基づいてこの生体情報測定・運転支援装置100が搭載された車両に向けて運転支援に必要な提案情報を作成して送信するクラウドサーバ200とを含んで構成されている。生体情報測定・運転支援装置100とクラウドサーバ200との間は、所定のネットワーク300を介して接続されている。このネットワーク300は、移動体電話網やインターネットなどの各種の通信網を含んで構成されている。
【0020】
次に、生体情報測定・運転支援装置100の詳細について説明する。図2は、生体情報測定・運転支援装置100の詳細構成を示す図である。図2に示すように、生体情報測定・運転支援装置100は、生体センサ10、カメラ12、生体情報測定制御部20、運転支援制御部30、通信モジュール40を備えている。
【0021】
生体センサ10は、生体情報測定・運転支援装置100が搭載された車両の運転者の生体情報を検出するために必要なセンサ類である。検出対象となる生体情報としては、ECG(Electrocardiogram、心電図)、心拍数、血圧など運転者の健康状態の変化を推測可能な各種の情報を含めることができる。また、検出対象となる生体情報は、1つであってもよいが2つ以上であってもよい。検出に必要な生体センサ10としては、検出対象となる生体情報に適した各種のセンサ、例えば、ステアリング等に設置した電極や、運転者の腕等に直接取り付ける各種センサ類、運転者の顔を撮像するカメラなどを用いることができる。
【0022】
以下の説明では、説明をわかりやすくするために、生体情報として運転者の心拍数を考えるものとする。また、心拍数を検出するためには、運転者の左右の手の電位を検出する必要があるが、この場合にはステアリングの左右に設けられた電極を生体センサ10として用いることができる。
【0023】
カメラ12は、運転者に生体情報の変動をもたらす原因となり得る外部要因を検出するためのものである。例えば、車両前方の所定範囲が撮像可能な位置に設けられており、ヒヤリ・ハットの原因となる歩行者や自転車等の急な飛び出し(障害物)がカメラ12によって撮像される。なお、本実施形態では、カメラ12を用いて上述した外部要因を検出するようにしたが、カメラ12に代えて、あるいは、カメラ12とともに他の検出機構(例えば、ミリ波レーダ等)を用いて上述した他の要因を検出するようにしてもよい。また、これらのカメラ12や他の検出機構を車両の複数箇所に設置するようにしてもよい。
【0024】
生体情報測定制御部20は、生体センサ10の出力やカメラ12による撮像画像、さらには、ECU(車両制御装置)から出力されるデータを用いて、各種の処理、具体的には、生体情報の検出、外部要因の検出、生体情報の異常判定、生体情報の有効・無効判定、生体情報のクラウドサーバ200に向けた送信処理などを行う。このために、生体情報測定制御部20は、生体情報検出部21、生体情報異常判定部22、外部要因検出部23、生体情報有効・無効判定部24、生体情報送信部25を備えている。この生体情報測定制御部20および運転支援制御部30は、CPU、RAM、ROMなどを含んで構成され、RAMやROMなどに格納された所定のプログラムを実行することによりコンピュータとしての各種の動作を行う。
【0025】
生体情報検出部21は、生体センサ10の出力に基づいて運転者の生体情報を検出する。生体情報としての心拍数を、ステアリングに設置された左右の電極からなる生体センサ10を用いて検出する場合には、生体情報検出部21は、これら左右の電極の各電位からそれらの電位差であるECGを算出し、このECGに含まれる2つの隣り合うR波間の時間差であるRRI(R-R interval)を算出し、さらにこのRRIから心拍数(=60000/RRI)を得ることができる。
【0026】
生体情報異常判定部22は、生体情報検出部21によって得られた生体情報(心拍数)が正常範囲を外れたか否かを判定する。ここでの「正常範囲」とは、人間としてとりうる心拍数の範囲という意味ではなく、異常をきたしていない正常な(健康的な)運転者を想定した場合の心拍数の範囲という意味である。
【0027】
外部要因検出部23は、カメラ12によって撮像された画像やECU50から出力されるデータを用いて、運転者の生体情報の変動をもたらす外部要因を検出する。例えば、外部要因検出部23は、カメラ12によって撮像された画像に含まれる歩行者や自転車や他の車両を画像処理によって抽出し、外部要因として検出する。また、外部要因検出部23は、ECUから出力されるデータに基づいて、ブレーキ操作、アクセル操作およびハンドル操作の少なくとも一つを外部要因として検出する。なお、これらの操作状況は、ECUデータに基づかなくても、例えばそれぞれにセンサを取り付けるなどして検出するようにしてもよい。
【0028】
生体情報有効・無効判定部24は、生体情報異常判定部22によって生体情報が正常範囲から外れた旨の判定が行われたときに、外部要因検出部23による外部要因検出の有無に基づいて、生体情報検出部21によって検出された生体情報の有効・無効を判定する。具体的には、前記生体情報有効・無効判定部24は、生体情報異常判定部22によって生体情報が正常範囲から外れた旨の判定が行われたときであって、外部要因検出部23によって外部要因が検出された場合に、生体情報検部21によって検出された生体情報が無効である旨の判定を行う。
【0029】
生体情報送信部25は、生体情報有効・無効判定部24によって有効である旨の判定が行われた生体情報を、通信モジュール40を介して外部装置としてのクラウドサーバ200に向けて送信する処理を行う。
【0030】
運転支援制御部30は、クラウドサーバ200から送られてくる提案情報に基づいて運転者に対して運転支援を行う。このために、運転支援制御部30は、提案情報受信部31、運転支援処理部32、運転支援出力部33を備えている。
【0031】
提案情報受信部31は、クラウドサーバ200から送られてくる提案情報を通信モジュール40を介して受信する処理を行う。運転支援処理部32は、受信した提案情報に基づく運転支援を行う。例えば、生体情報(心拍数)の異常に対応して送られてくる提案情報に基づいて休憩を促す等の運転支援が行われる。この運転支援は、運転支援出力部33による画像表示、インジケータの点灯・点滅、スピーカからの音声出力などによって行われる。
【0032】
次に、クラウドサーバ200の詳細について説明する。図3は、クラウドサーバ200の詳細構成を示す図である。図3に示すように、クラウドサーバ200は、生体情報受信部210、生体情報記録部212、健康状態判定部214、提案情報作成部216、提案情報送信部218、通信モジュール220を備えている。
【0033】
生体情報受信部210は、通信モジュール220を介して、各車両の生体情報測定・運転支援装置100から送られてくる生体情報を受信する。生体情報記録部212は、生体情報受信部210によって受信した生体情報を車両毎(あるいは、運転者毎)に記録する。健康状態判定部214は、生体情報記録部212に記録された車両毎の生体情報に基づいて、この車両の運転者の健康状態を判定する。最も簡単には、運転者の健康情報として良好あるいは不良のいずれかが判定される。提案情報作成部216は、健康状態判定部214によって判定された運転者の健康状態に基づいて、この運転者に対する運転支援を行うための提案情報を作成する。例えば、運転状態が不良の場合には、休憩を促す旨の提案情報が作成される。提案情報送信部218は、提案情報作成部216によって作成された提案情報を通信モジュールを介して、該当する車両の生体情報測定・運転支援装置100に向けて送信する処理を行う。
【0034】
上述した生体情報検出部21が生体情報検出手段に、外部要因検出部23が外部要因検出手段に、生体情報異常判定部22が生体情報異常判定手段に、生体情報有効・無効判定部24が生体情報有効・無効判定手段に、生体情報送信部25が生体情報送信手段にそれぞれ対応する。
【0035】
本実施形態の生体情報測定・運転支援装置100等はこのような構成を有しており、次にその動作を説明する。
【0036】
図4は、生体情報測定・運転支援装置100において生体情報を検出して送信する動作手順を示す流れ図である。例えば、この動作手順は所定の間隔で繰り返し実施される。
【0037】
まず、生体情報検出部21は、生体センサ10の出力に基づいて生体情報の検出を行う(ステップ100)。また、生体情報異常判定部22は、生体情報検出部21によって検出した生体情報が正常範囲を外れているか否かを判定する(ステップ102)。検出した生体情報が正常範囲に含まれている場合には肯定判断が行われる。この場合には、生体情報は送信されずに一連の処理が終了する。
【0038】
また、検出した生体情報が正常範囲を外れている場合にはステップ102の判定において否定判断が行われる。次に、外部要因検出部23は、運転者の生体情報の変動をもたらす外部要因の検出を行う(ステップ104)。なお、この外部要因の検出動作は、上述したステップ100の生体情報検出動作の前後に、あるいは並行して行うようにしてもよい。
【0039】
次に、生体情報有効・無効判定部24は、運転者の生体情報の変動をもたらす外部要因が検出されたか否かを判定する(ステップ106)。検出されない場合には否定判断が行われる。この場合には、生体情報有効・無効判定部24は、生体情報が有効である旨の判定を行い(ステップ108)、生体情報送信部25は、車両(あるいは生体情報測定・運転支援装置100)や運転者を識別する固有情報とともに、ステップ100で検出した生体情報を送信する(ステップ110)。
【0040】
また、運転者の生体情報の変動をもたらす外部要因が検出されるとステップ106の判定において肯定判断が行われる。この場合には、生体情報有効・無効判定部24は、生体情報が無効である旨の判定を行い(ステップ112)、生体情報は送信されずに一連の処理が終了する。
【0041】
図5は、生体情報の異常と外部要因の発生とが重なった場合の説明図である。図5(A)は生体情報の検出結果を示しており、横軸は経過時間を、縦軸は生体情報の値を示している。閾値aは生体情報の正常範囲の上限値であり、生体情報が閾値aを超えると生体情報が異常となる。図5(B)はブレーキ操作に基づく外部要因の検出結果を示しており、横軸は経過時間を、縦軸はブレーキの踏み込み角あるいは踏み込む圧力を示している。閾値bは正常なブレーキ操作の上限値であり、この値bを超えて強くブレーキが踏まれた場合には何らかの外部要因が検出されたと判定される。図5(C)はカメラ12の撮像画像に基づく外部要因(例えば、障害物)の検出結果を示しており、横軸は経過時間を、縦軸は撮像画像内で含まれる障害物の程度(面積や距離)を示している。閾値cは生体情報の変動をもたらすと考えられる障害物の程度の下限値であり、この値cを超えると生体情報に変動をもたらす外部要因(障害物)が検出されたと判定される。
【0042】
図5(A)に示す生体情報の異常発生は、図5(B)、(C)に示す外部要因の発生に伴うものであるため、この場合には図4に示すステップ106の判定において肯定判断が行われ、生体情報の送信は行われない。
【0043】
図6は、生体情報の異常が単独で発生した場合の説明である。図6(A)、(B)、(C)のそれぞれは、上述した図5(A)、(B)、(C)のそれぞれと同じ内容を有しており、詳細な説明は省略する。
【0044】
図6(A)に示す生体情報の異常発生は、図6(B)、(C)に示すように外部要因の発生に伴うものではないため、この場合には図4のステップ106の判定において否定判断が行われ、図4のステップ110において生体情報が送信される。
【0045】
車両走行時に運転者の健康状態に変化がない場合であっても、突発的な外部要因が原因で生体情報が急激に変化することがあるが、本実施形態の生体情報測定・運転支援装置100では、このような外部要因を検出してその際に生じる生体情報の変動を無効とすることにより、車両走行時に正確な生体情報を取得することが可能となる。
【0046】
また、生体情報の有効・無効を判定した結果有効とされた生体情報を外部装置へ送信しており、無効な生体情報の送信を行わないようにすることで、送信するデータ量や通信コストを削減することができる。
【0047】
また、ネットワーク300を介して外部装置としてのクラウドサーバ200に生体情報を送信しており、ネットワーク300を介して送信するデータ量を削減することにより、通信時間の短縮や通信処理に要する負荷の低減が可能となる。
【0048】
また、車両周辺の障害物を外部要因として検出しており、障害物が突然現れた際の生体情報の変動を除外することにより、平常時の生体情報のみを取得することが可能となる。また、運転者によるブレーキ操作、アクセル操作およびハンドル操作の少なくとも一つを外部要因として検出しており、ブレーキやアクセルあるいはハンドルを操作する際の緊張時に生じる生体情報の変動を除外することにより、平常時の生体情報のみを取得することが可能となる。
【0049】
また、車両に搭載されたカメラ12によって撮像された画像に基づいて外部要因を検出することにより、容易に外部要因の発生の有無を検出することが可能となる。また、車両に搭載されて車両の走行を制御するECUから出力されるデータに基づいて外部要因を検出することにより、特別なハードウエアを追加することなく、外部要因の発生の有無を検出することが可能となる。
【0050】
なお、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨の範囲内において種々の変形実施が可能である。例えば、図4に示した流れ図では、検出した生体情報に異常がない場合(ステップ102の判定において肯定判断された場合)には生体情報を送信しないようにしたが、生体情報に異常がない旨の最小限の情報をクラウドサーバ200に向けて送信するようにしてもよい。
【0051】
また、上述した実施形態では、生体情報の送信先をクラウドサーバ200としたが、クラウドサーバ以外のサーバやその他の外部装置に生体情報を送信するようにしてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0052】
上述したように、車両走行時に運転者の健康状態に変化がない場合であっても、突発的な外部要因が原因で生体情報が急激に変化することがあるが、本発明によれば、このような外部要因を検出してその際に生じる生体情報の変動を無効とすることにより、車両走行時に正確な生体情報を取得することが可能となる。
【符号の説明】
【0053】
10 生体センサ
12 カメラ
20 生体情報測定制御部
30 運転支援制御部
40 通信モジュール
21 生体情報検出部
22 生体情報異常判定部
23 外部要因検出部
24 生体情報有効・無効判定部
25 生体情報送信部
100 生体情報測定・運転支援装置
200 クラウドサーバ
300 ネットワーク
図1
図2
図3
図4
図5
図6