特開2017-217426(P2017-217426A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特開2017-217426パン焼型およびそれを使用したパン製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2017-217426(P2017-217426A)
(43)【公開日】2017年12月14日
(54)【発明の名称】パン焼型およびそれを使用したパン製造方法
(51)【国際特許分類】
   A47J 37/01 20060101AFI20171117BHJP
   A21D 8/06 20060101ALI20171117BHJP
【FI】
   A47J37/01
   A21D8/06
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】書面
【全頁数】6
(21)【出願番号】特願2016-122114(P2016-122114)
(22)【出願日】2016年6月3日
(71)【出願人】
【識別番号】502175402
【氏名又は名称】株式会社サラ秋田白神
(72)【発明者】
【氏名】大塚 せつ子
【テーマコード(参考)】
4B032
4B040
【Fターム(参考)】
4B032DB01
4B032DP25
4B040AA02
4B040AC01
4B040AC17
4B040AE04
4B040ED01
4B040NB04
4B040NB11
(57)【要約】      (修正有)
【課題】グルテンネットワークの形成が困難なグルテンフリーのパンであっても、ふっくらとボリュームのある焼成ができ、パン生地の目がつぶれて、もちのようになってしまうことがなく、焼き立てをスライスしたような状態に焼成させるパン焼型の提供およびそのパン焼型を使用したパン製造方法を提供とする。
【解決手段】上面が開口した焼成容器1の内側に間仕切2を設けたパン焼型を使用してパンを製造する。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
上面が開口した焼成容器の内側に間仕切を設けたパン焼型。
【請求項2】
前記間仕切が脱着可能な請求項1のパン焼型。
【請求項3】
前記間仕切を挿入するために、前記焼成容器の開口端部にガイド部材を設けた請求項2のパン焼型。
【請求項4】
前記間仕切を挿入するために、前記焼成容器の内側側面にガイド部分を設けた請求項2のパン焼型。
【請求項5】
パン生地を焼成容器に投入後、その焼成容器の内側に、間仕切を挿入してパン生地をスライスし、その後焼成するパン製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、パン焼型およびそれを使用したパン製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
パンは、材料を混ぜ合わせてパン生地を作り、パン生地を所定の形状のパン焼型(たとえば図1)に入れ、パン焼型にフタを被せて、焼成して製造されている。
このパン焼型は、従来、特許文献1のように、たとえば、プレス成型により、上面開口のある深掘り容器が使用されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平1−8930号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、日本の食糧自給率向上を目指す取り組みや、小麦アレルギーの患者の増大により、より多くの人々にグルテンフリーのパンが望まれるようになってきた。
しかし、グルテンフリーのパンの構造は、小麦粉のようにしっかりとしたグルテンネットワークを形成することができないため、ふっくらとボリュームのある焼成ができにくく、また、焼き立てをすぐにスライスしようとすると、パン生地の目がつぶれてしまい、もちのようになってしまうことがあった。これを回避するために、焼き上がったパンを一度冷凍庫などに入れて、冷まして固めておいてからスライスをしていた。グルテンフリーのパン作りにおいては、焼き上げたものをすぐにスライスすることが不可能とされてきたのが一般的である。
【0005】
本発明は、上記の課題を解決する為のもので、グルテンネットワークの形成が困難なグルテンフリーのパンであっても、ふっくらとボリュームのある焼成ができ、パン生地の目がつぶれて、もちのようになってしまうことがなく、焼き立てをスライスしたような状態に焼成させるパン焼型の提供およびそのパン焼型を使用したパン製造方法を目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、上記の課題を解決するために、下記のパン焼型およびそれを使用したパン製造方法を提供するものである。
(1)上面が開口した焼成容器の内側に間仕切を設けたパン焼型。
(2)前記間仕切が脱着可能な(1)のパン焼型。
(3)前記間仕切を挿入するために、前記焼成容器の開口端部にガイド部材を設けた(2)のパン焼型。
(4)前記間仕切を挿入するために、前記焼成容器の内側側面にガイド部分を設けた(2)のパン焼型。
(5)パン生地を焼成容器に投入後、その焼成容器の内側に、間仕切を挿入してパン生地をスライスし、その後焼成するパン製造方法。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、グルテンネットワークの形成が困難なグルテンフリーのパンであっても、ふっくらとボリュームのある焼成ができ、パン生地の目がつぶれて、もちのようになってしまうことがなく、焼き立てをスライスしたような状態に焼成させるパン焼型の提供およびそのパン焼型を使用したパン製造方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】従来のパン焼型の概略斜視図を示している。
図2】本発明の間仕切が焼成容器と一体のパン焼型の概略斜視図を示している。
図3】本発明のパン焼型を使用したパン製造方法を示している。
図4】本発明の間仕切が焼成容器と別部材のパン焼型の分解概略斜視図を示している。
図5】本発明の別のパン焼型を示している。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明の焼成容器は、上面が開口した耐熱性のパン焼型用容器で、金属またはシリコン樹脂等の耐熱性樹脂などの材料でできている。内側面がエンボス加工などの細かい凹凸加工されていると剥離性が向上する場合がある。また、金属の場合には特に、内側面がフッ素樹脂またはシリコン樹脂等の耐熱性樹脂被覆されると剥離性が向上する。
その形状は、焼成後のパン形状になるようにしたもので、角形または円錐型など特に限定なく使用できる。市販されているほとんど全ての焼成容器やホームベーカリーに対応することも優れた点である。
【0010】
本発明の間仕切は、焼成容器内の空間を横方向に区分けさせる耐熱性のもので、焼成容器と一体の部分でも、脱着可能な別部材でもよい。焼成物の剥離性の点で別部材が好ましい。その材質は、金属またはシリコン樹脂等の耐熱性樹脂などの材料でできている。内側面がエンボス加工などの細かい凹凸加工されていると剥離性が向上する場合がある。また、金属の場合には特に、表面がフッ素樹脂またはシリコン樹脂等の耐熱性樹脂で被覆されると剥離性が向上する。
その形状は、複数の板を目的の間隔で並列に並べたもの、十字形に交差した板、または格子状に交差した板などが使用できる。
また、間仕切を焼成容器の蓋と一体としたり、蓋下側面から差し込んだりしてもよい。
間仕切の板厚は、0.5mmから5mm程度で、間仕切を焼成容器に挿入してパン生地をスライスする場合には特に強度があれば薄い方が好ましいが、端面で、皮膚が切断されないように、上端部が厚めまたは上端部の断面が半円になっているのが好ましい。
パン生地を間仕切(仕切り板)で分断することで、パン生地の表面積が小さくなり、でんぷんネットワークが振動による衝撃や、自重により壊れにくくなるので、ボリュームのあるパン生地を焼き上げることができる。
【0011】
本発明のガイド部材は、焼成容器の開口端部に設ける脱着可能な部材で、脱着可能な間仕切の挿入をガイドするために使用される。その材質は、プラスチック樹脂及び金属、セラミック、木材、厚紙や硬めのゴム材などが使用される。耐熱性があれば、焼成中も取り外さずそのまま取り付けておいてもよい。
また、その形状は、長四角の棒状のものに、くし形に溝ガイドが入っていて、焼成容器の開口端部に引っかけた時に、ガイドが焼成容器の内側にくるようにして使用する。
【0012】
本発明のガイド部分は、焼成容器の内側の側面に一体で設けるもので、脱着可能な間仕切の挿入をガイドするために使用される。その形状は、溝、ボス、突設になっている。側面のみまたは側面から底面につながったもので、内側に出ている場合には、間欠的に設置してもよい。
【0013】
本発明のパン生地は、原料がグルテンフリーの米ではあるが、グルテンを有する小麦等でも使用できる。
【0014】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
【0015】
図2は、本発明の間仕切が焼成容器に一体となったパン焼型の概略斜視図を示している。焼成容器1は、上面が開口した構造で、間仕切2は、焼成容器1と一体で、板状のものを垂直に複数設けられている。この構造のものは焼成物が取り出しやすいように変形しやすいシリコン樹脂等の耐熱性樹脂などの材質が好ましい。また、それぞれの間仕切2の側面下側に、大きさ1mm〜5mmの1個または複数個の貫通孔2aを設けると、流しこんだパン生地が平均化しやすい。
【0016】
図3は、本発明のパン焼型を使用したパン製造方法を示していて、特に、間仕切が焼成容器と別部材のパン焼型の例を断面図で示している。
図3(a)は、焼成容器にパン生地を流し込んだ後を、図3(b)は、間仕切の挿入後を、図3(c)は、蓋をし、焼成後、図3(d)は、焼成容器から取り出した後、図3(e)は、間仕切を取り除いた後を示している。
以下詳しく説明する。
まず、図3(a)に示すように、角形の焼成容器1に、米粉を使用したパン生地4を流し込む。米粉を使用したパン生地4は、小麦粉を使用したパン生地4より粘性が低く、焼成容器1の底に均一になりやすい。
次に、図3(b)に示すように、目的の厚さになるような間隔で、間仕切として板状の仕切り板2bを縦に挿入する。この時、図示は省略しているがガイド部材やガイド部分の助けをかりると挿入しやすくなる。ガイド部材が、耐熱性のないプラスチック製の場合には、焼成前にはずしておく。
仕切り板2bを差し込む位置により、パン生地4が分断される大きさを調整することができる。よって、スライスされるパン生地4の厚さや大きさを決めることができるのも優れた点である。
次に、図3(c)に示すように、発酵後、上面の開口部に蓋5をして、焼成する。
次に、図3(d)に示すように、焼成物6を焼成容器1から取り出し、次に、図3(e)に示すように、焼成物6間の仕切り板2bを取り除く。
【0017】
図4は、本発明の間仕切が焼成容器と別部材のパン焼型の分解概略斜視図を示している。
以下詳しく説明する。間仕切に使用される装着用のガイド部材7は、焼成容器1の開口端部の長辺方向に設ける脱着可能な部材で、長四角の棒状のものに、くし形の溝ガイド7aが入っている場合を示している。焼成容器の開口端部に引っかける引っかけ溝7bがあり、くし形の溝ガイド7aが、焼成容器の内側にくる。実際に使用するときは、焼成容器1にパン生地を流し込み、ガイド部材7を装着し、仕切り板2bをくし形の溝ガイド7aに差し込んでパン生地を分断する。
【0018】
図5は、本発明の別のパン焼型を示している。
図5(a)は、間仕切を、図5(b)は、焼成容器を、図5(c)は、間仕切を焼成容器に挿入後のパン焼型を示している。
以下詳しく説明する。図5(a)の間仕切2は、板片2cを十文字にした形状で、交わったところが補強部分2dとなっている。図5(b)の焼成容器は、ホームベーカリーなどでよく使用されるもので、底面が正方形および長方形で、表面にフッ素樹脂加工された金属性もので、取っ手が取り付けられている。図5(c)は、間仕切を焼成容器に挿入後のパン焼型を示しているが、実際に使用するときは、パン生地を流し込んだ後に間仕切を挿入する。
【実施例1】
【0019】
まず、米粉300gに水270gを混ぜ、次に35℃で、30分発酵させる。
次に、焼成容器は、縦11.3cm、横22cm、高さ12cmの上面が開口したステンレス製の角形容器を用意し、そこにパン生地を流し入れる。焼成容器の開口端部にガイド部材を設置し、8等分になるように間仕切りを挿入する。35℃で40分発酵させたら、ガイド部材を焼成容器から外し、上面にフタを被せる。焼成は、190℃で、合計45分し、焼成後は焼成容器からパン生地を取り出す。パン生地の間に間仕切りが挟まっているので、それを一枚ずつ剥がしていくと、きれいにスライスされた状態になる。
【符号の説明】
【0020】
1…焼成容器、2…間仕切、2a…貫通孔、2b…仕切り板、2c…板片、2d…補強部分、3…ガイド部材、4…パン生地、5…蓋、6…焼成物、7…ガイド部材、7a…くし形の溝ガイド、7b…引っかけ溝
図1
図2
図3
図4
図5