【解決手段】ある当否判定結果を報知するに際し、記憶手段の記憶状態がどのような状態であっても特定表示態様を表示する第一特定演出選択情報と、記憶手段の記憶状態に応じて特定表示態様を表示するか否かが選択される第二特定演出選択情報と、が設けられ、先読み判定手段による先読み演出は、第一特定演出選択情報が割り当てられた当否判定結果に対しては実行される可能性があり、第二特定演出選択情報が割り当てられた当否判定結果に対しては実行されることがないように構成されている遊技機1とする。
【発明を実施するための形態】
【0011】
(遊技機の全体構成)
以下、本発明にかかる実施形態について図面を参照して詳細に説明する。まず、遊技機1の全体構成について簡単に説明する。
図1に示されるように、遊技機1は、所定の奥行きを有する額縁形状の機枠10を備える。この機枠10には前面枠12が取り付けられている。前面枠12は、その左側縁が機枠10に回動自在に支持され、前側に開閉可能である。また、前面枠12には、ガラス枠14が取り付けられている。ガラス枠14は、その左側縁が前面枠12に回動自在に支持され、前側に開閉可能である。
【0012】
ガラス枠14の中央の開口部にはガラス板またはプラスチック板等の透明な板が設けられており、遊技者はこの透明な板を通して前側から遊技盤26を視認できる。また、ガラス枠14の下部には、払い出された遊技球を発射装置に送るまで貯めておく上皿ユニット16が設けられている。上皿ユニット16には、貯留されている遊技球を下皿ユニット20に流下させる上皿スイッチや、貸し出し可能な貸し球を払い出す球貸しスイッチ等が設けられている。また、ガラス枠14の上部左右両側には、スピーカ18が設けられている。
【0013】
前面枠12の下部には、払い出された遊技球が上皿ユニット16に入りきらない場合等に遊技球を貯めることができる下皿ユニット20や、遊技球を発射操作するためのタッチスイッチを備える発射ハンドル22等が設けられている。下皿ユニット20の左側には、遊技者が押し下げ操作を行うことができる操作ボタン24が設けられている。
【0014】
遊技盤26は、ほぼ正方形の合板により成形されており、前面枠12に着脱可能に取り付けられている。この遊技盤26には、発射装置から発射された遊技球をガイドする金属製の薄板からなる帯状のガイドレール28が略円弧形状となるように設けられており、このガイドレール28によって遊技領域の外郭の一部が形成されている。
【0015】
遊技盤26の遊技領域には、表示装置30、始動入賞口32、普通図柄変動開始用ゲート33、大入賞口34、アウト口36などが設けられている。始動入賞口32の両側には開閉部材32a,32bが設けられており、かかる開閉部材32a,32bが開放状態となると遊技球が始動入賞口32に入賞しやすくなる。表示装置30は、例えば液晶表示装置が用いられ、表示装置30の表示画面(表示部)において特別図柄や普通図柄等が表示される。かかる表示装置30の表示画面は、遊技盤26に形成された開口を通じて視認可能である。
【0016】
また、遊技盤26の遊技領域には、流下する遊技球が衝突することにより遊技球の流下態様に変化を与える障害物としての図示しない遊技釘が複数設けられている。遊技領域を流下する遊技球は、遊技釘に衝突したときの条件に応じて様々な態様に変化する。
【0017】
図2に示すように、遊技機1の背面側には、センターベースユニット38に主制御基板40、サブ制御基板42、演出制御基板44、サブドライブ基板46等の各種制御基板や、発射装置、球タンク、レール等が設けられている。サブ制御基板42は、どのような主制御基板40が行った大当たり抽選結果等に基づき、どのような演出を行うか決定する基板である。演出制御基板44は、サブ制御基板42が決定した演出を表示装置30やスピーカ18を用いて実行する基板である(
図3参照)。
【0018】
このような遊技機1では、発射ハンドル22の操作により、発射装置から遊技領域に遊技球を発射し、遊技領域を流下する遊技球が、始動入賞口32や大入賞口34等の入賞口に入賞すると、所定の数の賞球が払出装置により払い出される。
【0019】
(遊技機の制御処理)
次に、遊技機1の制御処理について説明する。なお、以下の説明における各種乱数は、大当たり確率(後述する各種大当たり確率)やリーチ成立確率といった各種確率に基づいて、総数や当選となる数値((当選となる数値の総数/乱数の総数)=当選確率となる)等が予め設定されているものである。
【0020】
1)主制御基板が行う制御処理
主制御基板40が行う制御処理について説明する。主制御基板40は、ROMに記憶されている制御用プログラムに従いマイクロコンピュータのCPUにより制御処理を行う。
図4は主制御基板40が行うメイン処理のフローチャートである。
【0021】
メイン処理では、まずデバイスの初期設定(S10)が行われる。デバイスの初期設定(S10)では、スタックの設定、割り込み時間の設定、CPUの設定、SIO、PIO、CTCの設定等が行われる。
【0022】
次に、割り込み禁止処理(S20)、主要乱数更新処理(S30)、割り込み許可処理(S40)が行われ、その後に再び割り込み禁止処理(S20)に戻るループ処理が行われ、このループ処理の間に割り込み処理(S100)が行われる。
【0023】
割り込み禁止処理(S20)では、4msecごとに割り込み処理(S100)が入ってきても、割り込み許可となるまで、割り込みを禁止する。次の主要乱数更新処理(S30)では、種々の乱数が主要乱数更新処理(S30)ごとに1加算され、各乱数の設定上限値に至ると次に最小値に戻って再び加算が行われる。更新された乱数は主制御基板40のRAMに記憶される。割り込み許可処理(S40)では、4msecごとに入ってくる割り込み処理(S100)に対して許可をする。
【0024】
割り込み処理(S100)では、
図5に示すように、出力処理(S110)、入力処理(S120)、普通図柄・特別図柄主要乱数更新処理(S130)、入賞検出処理(S140)、普通動作処理(S150)、特別動作処理(S160)、保留球数処理(S170)、その他の処理(S180)が行われる。
【0025】
出力処理(S110)では、各処理で設定された出力用のコマンド(制御信号)や取得された数値データ等が各制御基板に送信される。入力処理(S120)では、遊技機1に取り付けられている各種センサ(スイッチ)が検知した場合の信号入力が行われる。普通図柄・特別図柄主要乱数更新処理(S130)では、メイン処理におけるループ処理内で行われている普通図柄・特別図柄主要乱数更新処理(S30)と同様の処理が行われる。
【0026】
入賞検出処理(S140)では、
図6に示すように、始動入賞口32への遊技球の入賞が検出されたか判断され(S140−1)、入賞が検出されていない場合には普通図柄変動開始用ゲート33への遊技球通過が検出されたか判断される(S140−2)。ゲート33への遊技球通過が検出されていない場合には、この入賞検出処理(S140)が終了する。一方、ゲート33への遊技球通過が検出された場合には、普通図柄変動保留球数が4以上か判断され(S140−3)、4以上の場合にはこの入賞検出処理(S140)が終了する。一方、普通図柄変動保留球数が4未満であれば普通図柄変動保留球数に1加算されると共に(S140−4)、普通図柄乱数値が取得され、取得した普通図柄乱数値(小当たり乱数値)が主制御基板40のRAMにおける対応する領域(アドレス)に記憶され(S140−5)、この入賞検出処理(S140)が終了する。上記S140−1で始動入賞口32への入賞が検出されたと判断されると、特別図柄変動保留球数が4以上か判断され(S140−6)、4以上の場合にはこの入賞検出処理(S140)が終了する。一方、特別図柄変動保留球数が4未満であれば、特別図柄変動保留球数に1加算される(S140−7)。その後、大当たり乱数値やリーチ乱数値といった始動入賞口32への遊技球の入賞時に取得された各種乱数値(判定情報)が、S140−7において1加算された後の保留数が主制御基板40のRAMの対応する領域(アドレス)に記憶され(S140−8)、この入賞検出処理(S140)が終了する。なお、始動入賞口32への遊技球の入賞が検出されたときには、入賞コマンド(詳細は後述)がサブ制御基板42に送信される。
【0027】
普通動作処理(S150)では、
図7に示すように、まず始動入賞口32の両側に設けられた開閉部材32a,32b(
図1参照)が開放中か確認される(S150−1)。開閉部材32a,32bが閉鎖中(狭小開放状態)であれば、普通図柄変動保留球数が0かどうか確認され(S150−2)、0であればこの普通動作処理(S150)が終了する。一方、普通図柄変動保留球数が0でない場合には、入賞検出処理(S140)の普通図柄乱数取得処理(S140−5)で取得されて主制御基板40のRAMに記憶されている普通図柄乱数値(小当たり乱数値)が読み出され(S150−3)、現在高確率状態(確率変動状態)における特定の遊技状態(いわゆる潜伏確変でない高確率状態)または時間短縮遊技状態かどうか確認される(S150−4)。これらの状態以外の状態の場合、取得普通図柄乱数値が予め設定されている普通図柄当選低確率状態時の小当たり成立数値と対比されて両者が一致するか確認され、一致する場合には普通図柄当選低確率状態での小当たりとなり、一致しない場合にははずれと判断される(S150−5)。はずれの場合には、この普通動作処理(S150)が終了し、一方、小当たりの場合には、開閉部材32a,32bを開放時間1秒、開放回数1回で開放する開閉部材開放処理が行われ(S150−6)、その後にこの普通動作処理(S150)が終了する。それに対して、S150−4で高確率状態における特定の遊技状態または時間短縮遊技状態と判断されると、取得普通図柄乱数値が予め設定されている普通図柄当選高確率状態時の小当たり成立数値(普通図柄当選低確率状態よりも数が多い。すなわち普通図柄の当選確率が高く設定されている)と対比されて両者が一致するか確認され、一致する場合には普通図柄当選高確率状態での小当たりとなり、一致しない場合にははずれと判断される(S150−7)。はずれの場合には、この普通動作処理(S150)が終了し、一方、小当たりの場合には、開閉部材32a,32bを開放時間2秒、開放回数3回で開放する開閉部材開放処理2が行われ(S150−8)、その後にこの普通動作処理(S150)が終了する。
【0028】
また、S150−1で開閉部材32a,32bが開放中と判断されると、開閉部材32a,32bの開放時間が経過(終了)したか確認され(S150−9)、開閉部材32a,32bの開放時間が経過していない場合には、この普通動作処理(S150)が終了し、一方、開閉部材32a,32bの開放時間が経過した場合には、開閉部材32a,32bを閉鎖する(狭小開放状態とする)処理が行われ(S150−10)、その後にこの普通動作処理(S150)が終了する。
【0029】
特別動作処理(S160)では、
図8に示すように、特別動作ステータスが1〜4の何れであるか判断される(S160−1〜S160−3)。特別動作ステータスが1の場合には特別図柄待機処理(S160−4)が行われ、特別動作ステータスが2の場合には変動中処理(S160−5)が行われ、特別動作ステータスが3の場合には特別図柄確定処理(S160−6)が行われ、特別動作ステータスが4の場合には特別電動役物処理(S160−7)が行われる。
【0030】
特別動作ステータスが1の場合に行われる特別図柄待機処理(S160−4)では、
図9に示すように、特別図柄変動保留球数が0か否か判断され(S160−4−1)、特別図柄変動保留球数が0の場合には表示部11が特別図柄の変動中ではない待機画面(待ち受け画面)中か否か判断され(S160−4−2)、待機画面(待ち受け画面)中であれば、この特別図柄待機処理(S160−4)が終了する。一方、待機画面(待ち受け画面)中ではない場合には、表示部11を待機画面(待ち受け画面)にするための待機画面設定処理(S160−4−3)が行われて表示部11が待機画面にセットされ(S160−4−4)、その後にこの特別図柄待機処理(S160−4)が終了する。
【0031】
それに対してS160−4−1で特別図柄変動保留球数が0ではないと判断された場合には、主制御基板40が具備する判定手段による当否判定処理(特典である大当たりを付与するかどうかを決定する処理)、具体的には
図10に示す特別図柄大当たり判定処理(S160−4−5)が行われる。特別図柄大当たり判定処理(S160−4−5)では、まず入賞検出処理(S140)の特別図柄関係乱数値取得処理(S140−8)で取得された大当たり乱数値が読み出され(S160−4−5−1)、現在高確率状態(確率変動状態)か確認される(S160−4−5−2)。高確率状態ではない低確率状態の場合、取得された大当たり乱数値が予め設定されている低確率状態時の大当たり成立数値と対比されて両者が一致するか確認され、一致する場合には低確率状態での大当たりとなり、一致しない場合にははずれと判断される(S160−4−5−3)。はずれの場合には、この特別図柄大当たり判定処理(S160−4−5)が終了し、一方、大当たりの場合には、大当たりフラグがONにセットされ(S160−4−5−4)、この特別図柄大当たり判定処理(S160−4−5)が終了する。それに対して、S160−4−5−2で高確率状態と判断されると、取得された大当たり乱数値が予め設定されている高確率状態時の大当たり成立数値(低確率状態よりも数が多い。すなわち当選確率が高く設定されている)と対比されて両者が一致するか確認され、一致する場合には高確率状態での大当たりとなり、一致しない場合にははずれと判断される(S160−4−5−5)。はずれの場合には、この特別図柄大当たり判定処理(S160−4−5)が終了し、一方、大当たりの場合には、大当たりフラグがONにセットされ(S160−4−5−4)、この特別図柄大当たり判定処理(S160−4−5)が終了する。
【0032】
上述したように、本実施形態では、遊技球が始動入賞口32に入賞した時点で上記特別図柄大当たり判定処理(この特別図柄大当たり判定処理を行う手段が本発明における当否判定手段に相当する)が実行され、その当否判定結果が記憶されている。つまり、所定個数分(最大保留数(本実施形態では四つ))の当否判定結果が事前に記憶されている(この保留数を記憶する手段が、本発明における記憶手段に相当する)詳細を後述する先読み演出は、この所定個数分の当否判定結果の記憶を利用した予告演出である。
【0033】
特別図柄大当たり判定処理(S160−4−5)の次に特別図柄選択処理(S160−4−6)が行われる。特別図柄選択処理(S160−4−6)では、表示部11で停止表示する特別図柄が決定される。
図11に示すように、特別図柄選択処理(S160−4−6)では、大当たりフラグがONか判断され(S160−4−6−1)、大当たりフラグがON、すなわち大当たりの場合には当該大当たりの種類に応じた特別図柄の組み合わせが停止する図柄としてセットされる(S160−4−6−2)。一方、大当たりフラグがONではない、すなわちはずれの場合には、左・中・右図柄乱数用カウンタによって左・中・右図柄乱数値(以下、左図柄乱数値を特別図柄データ1、中図柄乱数値を特別図柄データ2・右図柄乱数値を特別図柄データ3と称する)を取得し(S160−4−6−3)、特別図柄データ1と特別図柄データ2と特別図柄データ3の乱数値が全て一致しているか判断され(S160−4−6−4)、一致している場合にはリーチ乱数値がリーチ成立数値と一致しているか判断される(S160−4−6−5)。リーチ乱数値が予め設定されているリーチ成立数値と一致している場合にはリーチ有りとなり、特別図柄データ1の乱数値に割り当てられている特別図柄が停止左特別図柄、特別図柄データ2の乱数値に1加算した乱数値に割り当てられている特別図柄が停止中特別図柄、特別図柄データ3の乱数値に割り当てられている特別図柄が停止右特別図柄にセットされる(S160−4−6−6)。一方、リーチ乱数値がリーチ成立数値と一致していない場合にはリーチ無しとなり、特別図柄データ1の乱数値に割り当てられている特別図柄が停止左特別F図柄、特別図柄データ2の乱数値に割り当てられている特別図柄が停止中特別図柄、特別図柄データ3の乱数値に1加算した乱数値に割り当てられている特別図柄が停止右特別図柄にセットされる(S160−4−6−7)。
【0034】
上記S160−4−6−4で特別図柄データ1と2と3の乱数値が一致していないと判断された場合には、特別図柄データ1と3の乱数値が一致しているか判断される(S160−4−6−8)。特別図柄データ1と3の乱数値が一致している場合には、リーチ乱数値がリーチ成立数値と一致しているか判断される(S160−4−6−9)。リーチ乱数値がリーチ成立数値と一致している場合にはリーチ有りとなり、特別図柄データ1の乱数値に割り当てられている特別図柄が停止左特別図柄、特別図柄データ2の乱数値に割り当てられている特別図柄が停止中特別図柄、特別図柄データ3の乱数値に割り当てられている特別図柄が停止右特別図柄にセットされる(S160−4−6−10)。一方、リーチ乱数値がリーチ成立数値と一致していない場合にはリーチ無しとなり、特別図柄データ1の乱数値に割り当てられている特別図柄が停止左特別図柄、特別図柄データ2の乱数値に割り当てられている特別図柄が停止中特別図柄、特別図柄データ3の乱数値に1加算した乱数値に割り当てられている特別図柄が停止右特別図柄にセットされる(S160−4−6−7)。つまり、リーチを成立させないよう、停止左特別図柄と停止右特別図柄が異なる図柄となるように加算操作がなされる。
【0035】
上記S160−4−6−8で特別図柄データ1と3の乱数値が一致していない、すなわち特別図柄データ1,2,3が全て異なると判断された場合には、リーチ乱数値がリーチ成立数値と一致しているか判断される(S160−4−6−11)。リーチ乱数値がリーチ成立数値と一致している場合にはリーチ有りとなり、特別図柄データ1と特別図柄データ3の値が特別図柄データ1あるいは特別図柄データ3の乱数値に割り当てられている特別図柄と同一になるように停止左特別図柄と停止右特別図柄がセットされると共に、その同一にした特別図柄データ1或いは特別図柄データ3の乱数値に1加算した乱数値に割り当てられている特別図柄が停止中特別図柄にセットされる(S160−4−6−12)。一方、リーチ乱数値がリーチ成立数値と一致していない場合にはリーチ無しとなり、特別図柄データ1の乱数値に割り当てられている特別図柄が停止左特別図柄、特別図柄データ2の乱数値に割り当てられている特別図柄が停止中特別図柄、特別図柄データ3の乱数値に割り当てられている特別図柄が停止右特別図柄にセットされる(S160−4−6−10)。なお、この特別図柄選択処理は、サブ制御基板42によって行うようにしてもよい。
【0036】
続いて、特別図柄変動パターン作成処理(S160−4−7)が行われる。
図12および
図13に示すように、特別図柄変動パターン作成処理(S160−4−7)では、遊技状態が低確率状態中か高確率状態中か確認される(S160−4−7−1)。低確率状態中の場合には大当たりフラグがON(当否判定結果が大当たりか)か確認され(S160−4−7−2)、大当たりフラグがONの場合には、主制御基板40のRAMにおいて保留記憶領域内の読み出し順序が一番目に記憶されている変動パターン乱数値がロードされ、予め設定されている低確率状態中の当たりテーブル(第一テーブル)における変動パターン乱数値と一致する変動パターンが選択される(S160−4−7−3)。なお、当該変動パターンは、最終的に大当たりとなるものであるため、リーチ演出を経た上で大当たりが報知される。一方、上記S160−4−7−2において大当たりフラグがONではない(当否判定結果がはずれである)と判断された場合には、主制御基板40のRAMにおける保留記憶領域内の一番目の記憶のリーチ乱数値がロードされて予め設定されているリーチ成立数値(複数の数値が設定されている。本実施形態では少なくとも「1」およびそれ以外の一または複数の数値を含む)と対比され、両者が一致する場合には基本的にはリーチ有りとされ、一致しない場合にはリーチ無しとされる(S160−4−7−4)。リーチ乱数値とリーチ成立数値が一致した場合であって当該リーチ乱数が1でない場合(S160−4−7−5「No」)には、主制御基板40のRAMに記憶されている保留記憶領域内の一番目の記憶の変動パターン乱数値がロードされ、予め設定されている低確率状態中のリーチはずれテーブル(第二テーブル)における変動パターン乱数値と一致する変動パターンが選択される(S160−4−7−6)。この第二テーブルに割り当てられている全ての変動パターンは、保留記憶数に拘わらず必ずリーチ演出を経た上ではずれであることが報知されるものである。一方、リーチ乱数値とリーチ成立数値が一致した場合であって取得されたリーチ乱数が1である場合(S160−4−7−5「Yes」)には、当該時点(変動開始時点)での保留数が三つ以下であるかどうかが判断される(S160−4−7−7)。保留数が三つ以下である場合には、主制御基板40のRAMに記憶されている保留記憶領域内の一番目の記憶の変動パターン乱数値がロードされ、予め設定されている低確率状態中のリーチはずれテーブル(第三テーブル(第二テーブルと同じであってもよい))における変動パターン乱数値と一致する変動パターンが選択される(S160−4−7−8)。この第三テーブルに割り当てられている全ての変動パターンは、必ずリーチ演出を経た上ではずれであることが報知されるものである。一方、S160−4−7−7において保留数が三つを超える、すなわち四つであると判断された場合には、主制御基板40のRAMに記憶されている保留記憶領域内の一番目の記憶の変動パターン乱数値がロードされ、予め設定されている低確率状態中のリーチ無しはずれ(いわゆる「どはずれ」)テーブル(第四テーブル)における変動パターン乱数値と一致する変動パターンが選択される(S160−4−7−9)。上記S160−4−7−4において、リーチ乱数値とリーチ成立数値が一致しなかった場合にも、この第四テーブルにから変動パターンが選択される。そのため、変動パターンには保留記憶数に拘わらず必ずリーチを行う変動パターンと、通常リーチを行うはずの変動パターンであっても、保留記憶数に応じてリーチを行う演出と行わない演出に分けられる変動パターンを有する構成とされている。
【0037】
一方、S160−4−7−1で高確率状態中と判断された場合、大当たりフラグがON(当否判定結果が大当たりか)か確認され(S160−4−7−10)、大当たりフラグがONの場合には、主制御基板40のRAMにおける保留記憶領域内の一番目の記憶の変動パターン乱数値がロードされ、予め設定されている高確率状態中の当たりテーブル(第五テーブル)における変動パターン乱数値と一致する変動パターンが選択される(S160−4−7−11)。一方、上記S160−4−7−10において大当たりフラグがONではない(当否判定結果がはずれである)と判断された場合には、主制御基板40のRAMにおける保留記憶領域内の一番目の記憶のリーチ乱数値がロードされて予め設定されているリーチ成立数値(複数の数値が設定されている。本実施形態では少なくとも「1」を含む)と対比され、両者が一致する場合には基本的にはリーチ有りとされ、一致しない場合にはリーチ無しとされる(S160−4−7−12)。リーチ乱数値とリーチ成立数値が一致した場合であって当該リーチ乱数が1でない場合(S160−4−7−13「No」)には、主制御基板40のRAMの保留記憶領域内に記憶されている一番目の変動パターン乱数値がロードされ、予め設定されている高確率状態中のリーチはずれテーブル(第六テーブル)における変動パターン乱数値と一致する変動パターンが選択される(S160−4−7−14)。この第六テーブルに割り当てられている全ての変動パターンは、保留記憶数に拘わらずリーチ演出を経た上ではずれであることが報知されるものである。一方、リーチ乱数値とリーチ成立数値が一致した場合であって取得されたリーチ乱数が1である場合(S160−4−7−13「Yes」)には、当該時点(変動開始時点)での保留数が三つ以下であるかどうかが判断される(S160−4−7−15)。保留数が三つ以下である場合には、主制御基板40のRAMの保留記憶領域内に記憶されている一番目の変動パターン乱数値がロードされ、予め設定されている高確率状態中のリーチはずれテーブル(第七テーブル(第六テーブルと同じであってもよい))における変動パターン乱数値と一致する変動パターンが選択される(S160−4−7−16)。この第七テーブルに割り当てられている全ての変動パターンは、必ずリーチ演出を経た上ではずれであることが報知されるものである。一方、S160−4−7−15において保留数が三つを超える、すなわち四つであると判断された場合には、主制御基板40のRAMにおける保留記憶領域内の一番目の記憶の変動パターン乱数値がロードされ、予め設定されている高確率状態中のリーチ無しはずれテーブル(第八テーブル)における変動パターン乱数値と一致する変動パターンが選択される(S160−4−7−17)。上記S160−4−7−12において、リーチ乱数値とリーチ成立数値が一致しなかった場合にも、この第八テーブルにから変動パターンが選択される。そのため、高確率状態中においても低確率状態中と同様に変動パターンには保留記憶数に拘わらず必ずリーチを行う変動パターンと、通常リーチを行うはずの変動パターンであっても、保留記憶数に応じてリーチを行う演出と行わない演出に分けられる変動パターンを有する構成とされている。
【0038】
このように、本実施形態では、高確率状態中か否かに拘わらず、リーチ乱数値とリーチ成立数値が一致する場合であってその取得されたリーチ乱数値が1である場合には、保留数が三つ以下のときはリーチ演出を経た上ではずれであることが報知されることとなるが、保留数が四つのときはリーチ演出を経ずにはずれであることが報知されることとなる。つまり、最終的にははずれであることが報知されるときであって、リーチ乱数値とリーチ成立数値が一致し、基本的にはリーチ演出を実行することが決定された場合の少なくとも一部で、保留が四つであるときにはリーチ演出を経ずに報知演出が終了するように(いわゆる「どはずれ」となるように)することで、遊技の進行速度(保留の消化速度)を高めている。
【0039】
変動パターンの選択後、選択した変動コマンドを送信バッファに格納し、その他必要な処理(S160−4−7−18)が行われた後、この特別図柄変動パターン作成処理(S160−4−7)が終了する。ここで選択された変動コマンドはサブ制御基板42へ送信される。送信される変動コマンドは、いわゆるどはずれとなるもの、リーチ演出を経てはずれとなるもの、(リーチ演出を経て)大当たりとなるもの、の三つに大別される。
【0040】
このように本実施形態では、リーチ乱数値とリーチ成立数値が一致した場合であっても、リーチ演出に発展しない場合(リーチ乱数値が1の場合)があることになる。なお、本実施形態におけるリーチ演出(本発明における特定表示態様に相当する)とは、左特別図柄と右特別図柄が同じ図柄で停止した後、中特別図柄を一定時間以上変動させることで、一定時間遊技者に大当たりとなる期待感を抱かせる演出のことをいう。上記特別図柄選択演出で説明したように、リーチ乱数値とリーチ成立数値が一致した場合には、停止する左特別図柄と右特別図柄が同じ図柄となるが、ある遊技球の入賞に基づき取得されたリーチ乱数値が1の場合で、その当否判定結果が報知されるときのその保留が四つであるには、左特別図柄と右特別図柄が同じ図柄で中特別図柄がそれとは異なる図柄となるように変動開始直後に即座に三つの図柄を停止させることになる。つまり、左特別図柄と右特別図柄が同じ図柄で停止した後、中特別図柄を一定時間以上変動させるものではないため、遊技者が大当たりとなる期待感を抱くことがない。本実施形態におけるいわゆるどはずれ演出(本発明における通常表示態様に相当する)は、このような左特別図柄と右特別図柄が同じ図柄である停止態様を一部に含むものである。つまり、リーチ演出が実行されない態様の全てを含むものである。なお、リーチ乱数値が1の場合には、停止する左特別図柄と右特別図柄が異なる図柄となるように、上記特別図柄選択演出を設定してもよい。
【0041】
特別図柄変動パターン作成処理(S160−4−7)に次いで特別図柄乱数シフト処理(S160−4−8)が行われる。特別図柄乱数シフト処理(S160−4−8)では、主制御基板40のRAMにおける特別図柄変動保留球数のデータ記憶領域において、ロード(読み出し)順位一位のアドレスの記憶領域に記憶されていた特別図柄主要乱数値(大当たり乱数値、リーチ乱数値、変動パターン乱数値)等のデータが、先の処理でロードされて空席となることに起因して、ロード順位が二位以降のアドレスに記憶されている特別図柄主要乱数値(大当たり乱数値、リーチ乱数値、変動パターン乱数値)等のデータについて、ロード順位を一つずつ繰り上げるアドレスのシフトが行われる。具体的には、
図14に示すように、まず判定手段の判定結果に基づく特別図柄(識別情報)の変動表示が行われることにより、主制御基板40のRAMに記憶されていた特別図柄変動保留球数から1減算(例えば保留球数2のものは1にされ、3のものは2にされる等)され(S160−4−8−1)、次に各保留に対応するデータが各保留から1減算した保留のRAMアドレスにシフトされ(S160−4−8−2)、続いて最下位(ロード順位が最後、本実施例では4個目)の保留に対応するRAMアドレスに0がセットされる(S160−4−8−3)。
【0042】
特別図柄乱数シフト処理(S160−4−8)に次いで、特別図柄変動開始設定処理(S160−4−9)が行われる。特別図柄変動開始設定処理(S160−4−9)では、特別図柄の変動開始に必要なコマンドの準備などの設定が行われる。特別図柄変動開始設定処理(S160−4−9)の次に、特別動作ステータスが2に設定され(S160−4−10)、待機中が解除され(S160−4−11)、特別図柄待機処理(S160−4)が終了する。
【0043】
特別動作ステータスが2の場合に行われる変動中処理(S160−5)では
図15に示すように、特別動作タイマ判定処理が行われる(S160−5−1)。詳しくは、特別図柄の変動時間(変動パターンの変動時間)が終了したか否か(動作タイマ=0か否か)が判断され(S160−5−2)、変動時間が終了していなければこの変動中処理(S160−5)が終了する。一方、変動時間が終了していれば変動停止コマンドがセットされる(S160−5−3)。続いて特別動作ステータスが3にセットされ(S160−5−4)、その他必要な処理(S160−5−5)が行われた後に、この変動中処理(S160−5)が終了する。
【0044】
特別動作ステータスが3の場合に行われる特別図柄確定処理(S160−6)では
図16に示すように、まず大当たりフラグがON(「1」)か否か、すなわち大当たりか否か判断される(S160−6−1)。大当たりフラグがON、すなわち大当たりの場合には、ラウンドカウンタがセットされ(S160−6−2)、特別動作ステータスが4にセットされた(S160−6−3)後、この特別図柄確定処理(S160−6)が終了する。ラウンドカウンタは、成立した大当たり(16ラウンド、8ラウンド、2ラウンド等、機種によって搭載されている大当たりが異なる)に対応した値がセットされる。一方、S160−6−1で大当たりフラグがOFF、すなわちはずれと判断された場合には、特別動作ステータスが1にセットされ(S160−6−4)、この特別図柄確定処理(S160−6)が終了する。
【0045】
特別動作ステータスが4の場合に行われる特別電動役物処理(S160−7)では、
図17に示すように、確変(高確率状態)フラグがOFFされ(S160−7−1)、大当たりのオープニングが実施されたか否か(これから大当たりが始まる旨の映像が表示部11に表示されたか否か等)が確認される(S160−7−2)。大当たりのオープニングが実施されたことが確認された後、大当たり終了フラグがON(「1」)か否か判断され(S160−7−3)、大当たり終了フラグがONではない、すなわち大当たり遊技終了ではない場合には現在大入賞口34が開放中か否か判断され(S160−7−4)、開放中ではなく閉鎖中の場合には大入賞口34の開放時間か否か判断される(S160−7−5)。大入賞口34の開放時間の場合には大入賞口34の開放処理が行われ(S160−7−6)、その後にこの特別電動役物処理(S160−7)が終了する。それに対して大入賞口34の開放時間となっていないときには、この特別電動役物処理(S160−7)が終了する。
【0046】
一方、S160−7−4で大入賞口34が開放中と判断されると、大入賞口34に10個遊技球が入賞(S160−7−7)、若しくはラウンド終了時間経過(S160−7−8)の何れかであるか否か判断され、何れでもない場合にはそのままこの特別電動役物処理(S160−7)が終了する。それに対して大入賞口34に10個遊技球が入賞、若しくはラウンド終了時間経過の何れかである場合には、大入賞口閉鎖処理(S160−7−9)とラウンドカウンタの値から1減算する処理(S160−7−10)が行われる。なお、大入賞口閉鎖処理(S160−7−9)では、大入賞口34閉鎖のコマンドが出力バッファにセットされる。続いて、ラウンドカウンタが0か否か判断され(S160−7−11)、ラウンドカウンタが0ではない場合には、そのままこの特別電動役物処理(S160−7)が終了し、それに対してラウンドカウンタが0の場合には、大当たり終了処理(S160−7−12)が行われる。その後、大当たり終了フラグがONにされ(S160−7−13)、この特別電動役物処理(S160−7)が終了する。
【0047】
それに対し、上記S160−7−1で大当たり終了フラグがON(「1」)、すなわち大当たり終了と判断されると、大当たり終了フラグをOFFにセットする処理(S160−7−14)と、大当たりフラグをOFFにする処理(S160−7−15)が行われ、大当たりが確率変動大当たりか否かが確認される(S160−7−16)。確率変動大当たりの場合には、再び確率変動フラグがONにされる(S160−7−17)。その後、特別動作ステータスが1にセットされ(S160−7−18)、この特別電動役物処理(S160−7)が終了する。一方、上記S160−7−16において、確率変動大当たりでない場合には、確率変動フラグをONにすることなく(OFFにした状態のまま)、この特別電動役物処理(S160−7)が終了する。
【0048】
特別動作処理(S160)の次に保留球数処理(S170)が行われる。保留球数処理(S170)では、
図18に示すように現在の特別図柄、普通図柄の保留球数がロードされ(S170−1)、保留球数が特図保留コマンド、普図保留コマンドとして出力バッファにセットされる(S170−2)。この保留球数処理(S170)により、主制御基板40のRAMの保留球数に関する記憶がサブ制御基板42へ出力されるようにセットされる。
【0049】
その他の処理(S180)では、遊技に必要なその他の様々な処理が必要に応じて行われる。
【0050】
2)サブ制御基板が行う制御処理
次に、上記サブ制御基板42が行う制御処理について説明する。上記サブ制御基板42が行うサブ制御メイン処理(S200)では、
図19に示すように、まずCPU初期化処理が行われる(S201)。詳しくは、スタックの設定、CPUの設定、SIO、CTCの設定等が行われる。そして、電源断信号がONで、かつ、サブ制御基板42のRAMの内容が正常であるか否かの処理が行われる(S202)。電源断信号がONでない、または、RAMの内容が正常でない場合には、RAMの初期化を行う(S203)。その後、ウォッチドッグタイマカウンタ1(2ms用)ウォッチドッグタイマカウンタ2(10ms用)の初期化を行う(S204)。ウォッチドッグタイマカウンタの初期化後、割り込みを禁止した上で(S205)、各種演出や各種図柄乱数等の更新処理を行う(乱数シード更新;S206)。更新処理後、割り込みを許可して(S207)ループ処理が行われる。このループ処理では、受信割り込み処理(S300)、2msタイマ割り込み処理(S400)、および10msタイマ割り込み処理(S500)が行われる。
【0051】
図20に示す受信割り込み処理(S300)は、主制御基板40からのコマンド(制御信号)を受信するための処理である。受信割り込み処理(S300)では、まず上記主制御基板40からのストローブ(STB)信号がONか確認され(S301)、ストローブ信号がON、すなわち外部INT入力部にストローブ信号が入力されると、上記主制御基板40から出力されたコマンド(制御信号)の受信およびRAMへの格納が行われる(S302)。ここで主制御基板40から受信するコマンドには、各種大当たりに対応した演出を実行するための上記変動コマンド等が含まれる。一方、ストローブ信号がONになっていなければ、その時点でこの受信割り込み処理(S300)が終了する。
【0052】
図21に示す2msタイマ割り込み処理(S400)は、10msタイマ割り込み処理より優先して行われる。入出力制御処理(S401)では、外部データ(ランプデータ、操作スイッチデータ等)の入出力制御を行う。入力データ処理(S402)では、操作スイッチや駆動物(役物)を駆動する駆動機構の原点センサの入力データ作成(2ms用)を行う。駆動処理(S403)では、駆動物を駆動するための制御データを作成して出力する。ウォッチドッグタイマカウンタ1初期化処理(S404)では、ウォッチドッグタイマ1を初期化する。
【0053】
図22に示す10msタイマ割り込み処理(S500)では、まず、入力データ処理(S501)として操作スイッチや駆動物(役物)を駆動する駆動機構の原点センサの入力データ作成(10ms用)を行う。その後、メインコマンド解析処理(S502)を行う(詳細は後述)。メインコマンド解析処理(S501)の後、ランプや駆動物(役物)等、演出関連の各種制御処理(S503)や、その他の処理(S504)を行って、10msタイマ割り込み処理(S500)を終了する。
【0054】
図23に示すメインコマンド解析処理(S501)は、受信割り込み処理で主制御基板40から受信したコマンド(制御信号)を解析し、コマンドに対応した処理を行うものである。受信するコマンドには、始動入賞口32への遊技球の入賞が検出されたことを示す信号である入賞コマンドや特別図柄変動パターン作成処理(S160−4−7)において作成された変動コマンドが含まれる。
【0055】
メインコマンド解析処理(S501)では、主制御基板40からコマンドを受信した場合(S501−1)には、まず、第一コマンド処理(S501−2)を行う。第一コマンド処理は、先読み演出を行うかどうか、行う場合にはその演出の態様を決定する処理である。先読み演出とは、ある演出表示態様が表示(当否判定結果が報知)されているときに、それより後の当否判定結果が当たりとなる可能性を示唆する演出である。
【0056】
図24に示す第一コマンド処理では、まず、今回受信したコマンドの保留数データと、前回受信したコマンドの保留数データを比較し、今回受信したコマンドにかかる保留数の方が多いかどうかを判断する(S501−2−1)。すなわち、保留数が増加しているかどうかを判断する。なお、保留数が増加しているということは、今回受信したコマンドには、始動入賞口32への遊技球の入賞が検出されたことを示す信号である入賞コマンドが含まれているということである。したがって、以下のステップ(S501−2−2〜S501−2−6)において、当該遊技球の入賞に伴う当否判定結果について、先読み演出を行うか否かを決定する。
【0057】
保留数が増加している場合には、その保留数が二つ以上であるかどうかを判断する(S501−2−2)。保留数が二つ以上でない、すなわち一つである(上記S501−2−1で保留数が増加していることを確認しているため、少なくとも入賞による保留が発生することから保留数が0の状態で入賞が発生して1となった場合)場合には、待受画面中または変動表示中の場合でその変動表示の次に、今回増加した保留に対応する変動表示が表示(当否判定結果が報知)されるということであるから(先読み演出を実行する時間がない、先読み演出の意義が薄れてしまう、といった理由から)先読み演出は実行しない。
【0058】
保留数が二つ以上であると判断された場合には、今回増加した保留に対応する演出表示態様が表示(当否判定結果が報知)されるまでの間に、ステータス(状態)が変化する可能性がないかどうかが判断される(S501−2−3)。ステータスの変化としては、通常の演出が展開される通常ステージから、それとは異なる別の演出が展開される特殊ステージに移行してしまうこと(当否の確率状態が変化することも含む)が例示できる。つまり、このようなステージチェンジ等、先読み演出の連続性が損なわれてしまうようなステータスの変化がある場合には、先読み演出は実行しない。
【0059】
上記ステータス(状態)が変化する可能性がないと判断された場合には、今回増加した保留に対応する演出表示態様(当否判定結果)よりも先になされた演出表示態様(当否判定結果)に対して先読み演出が実行されているかどうかが判断される(S501−2−4)。既に先読み演出が実行されている場合には、今回増加した保留に対応する演出表示態様(当否判定結果)について先読み演出は実行しない。
【0060】
当該時点で先読み演出が実行されていないと判断された場合には、今回増加した保留に対応する演出表示態様(当否判定結果)よりも先になされた保留中の演出表示態様(当否判定結果)の全部が、リーチ演出に発展するものではないかどうかが判断される(S501−2−5)。つまり、当該保留中の演出表示態様(当否判定結果)の全部が、いわゆるどはずれであるかどうかが判断される。今回増加した保留に対応する演出表示態様(当否判定結果)よりも先になされた保留中の演出表示態様(当否判定結果)のいずれかがリーチ演出に発展することになると、そこで先読み演出の連続性が途切れてしまうことになるから、そのような場合には今回増加した保留に対応する演出表示態様(当否判定結果)について先読み演出は実行しない。
【0061】
今回増加した保留に対応する演出表示態様(当否判定結果)よりも先になされた保留中の演出表示態様(当否判定結果)の全部がリーチ演出に発展するものではないと判断された場合には、今回受信した入賞コマンドの種別を判断する。入賞コマンドとしては、第一入賞コマンド、第二入賞コマンド、第三入賞コマンド、第四入賞コマンドがある。始動入賞口32への遊技球入賞時にこれらの入賞コマンドから入賞時に取得した乱数に基づいて一の入賞コマンドが主制御基板40からサブ制御基板42に送信される。第一〜第三入賞コマンドは、当否判定結果がはずれとなる場合のコマンドである。第一入賞コマンドは、いわゆるどはずれとなる演出(通常表示態様)が実行される場合のコマンドである。第二入賞コマンドは、当該コマンドに対応する演出表示態様(当否判定結果)を報知する際の保留数がどのような状態であっても、リーチ演出(特定表示態様)が実行される場合のコマンドである(この第二入賞コマンドが、本発明の第一特定演出選択情報に相当する)。第三入賞コマンドは、当該コマンドに対応する演出表示態様(当否判定結果)を報知する際(特別図柄の変動開始時)の保留数が三つ以下であればリーチ演出(特定表示態様)が実行され、四つであればリーチ演出が実行されずいわゆるどはずれとなる演出(通常表示態様)の場合のコマンドである(この第三入賞コマンドが、本発明の第二特定演出選択情報に相当する)。第四入賞コマンドは、演出表示態様(当否判定結果)が大当たりである場合のコマンドである。
【0062】
このうち、今回受信したコマンドが第二入賞コマンドおよび第四入賞コマンドのいずれかであるかどうかが判断される(S501−2−6)。第二入賞コマンドおよび第四入賞コマンドは、保留の状態に拘わらず、必ずリーチ演出(特定表示態様)が実行されるコマンドである。この第二入賞コマンドおよび第四入賞コマンドを受信している場合には、先読み演出が実行される可能性がある。
【0063】
一方、第三入賞コマンドは保留の状態によってはリーチ演出(特定表示態様)が実行されないものである。そのため、第三入賞コマンドを受信している場合には、先読み演出が実行されたにも拘わらずリーチ演出(特定表示態様)に発展しないという、遊技者が興醒めしてしまうような状態の発生を防止するため、先読み演出が実行されないように設定される。なお、第一入賞コマンドを受信している場合は、どはずれ演出(通常表示態様)が実行されることととなりリーチ演出(特定表示態様)に発展することがないのであるから、先読み演出は実行されない(
図25の表参照)。
【0064】
受信した入賞コマンドが第二入賞コマンドおよび第四入賞コマンドである場合には、先読み乱数を取得し(S501−2−7)、当該乱数に基づき先読み演出実行の有無、およびその内容(本実施形態ではLv1〜Lv4まである。Lvが高いほど大当たりの期待が高い)を抽選する(S501−2−8)。本実施形態におけるその抽選確率は、
図25の表に示す通りである。当否判定結果がはずれである第二入賞コマンドを受信したときよりも当否判定結果が大当たりである第四入賞コマンドを受信したときのほうが、高レベル(大当たりとなる期待が高い)の先読み演出が実行されるような振り分けとなっている。また、本実施形態では、先読み演出を実行しない場合もある(両入賞コマンドとも10%)。このように、受信した入賞コマンドに基づき、先読み演出実行の可否、およびその内容を決定する手段が、本発明における先読み判定手段に相当する。
【0065】
抽選によって先読み演出を実行すること、およびその内容が決定した場合(S501−2−9)には、抽選によって決定された内容(レベル)が先読み演出として設定、実行される(S501−2−10)。決定された先読み演出の内容は対応する保留に対応づけられて記憶される(S501−2−11)。
【0066】
この先読み演出の一例について説明する。
図26(a)に示すように、ある演出表示態様(当否判定結果)が報知されている際、それより後に当否判定がなされたもの(いわゆる保留)が存在することを示す絵柄(以下、保留マークと称する)が表示装置30に表示されるとする。
図26(a)に示す状態では、現在報知されている演出表示態様(当否判定結果)よりも後に入賞に基づいてなされた演出表示態様(当否判定結果)を報知するための三つの記憶がされている状態(保留数が三つの状態)であることを示している。このときに、新たな遊技球の入賞が検出され、それについて先読み演出が実行されることが上記手順によって決定された場合、当該当否判定結果に対応する保留マークの態様が
図26(b)に示すように変化する。遊技者は、この保留マークの変化によって、当該保留マークに対応する当否判定結果が大当たりとなる可能性が高まったことを認識することになる。先読みが実行された保留マーク(以下先読み保留マークと称することもある)の種類は上記Lv1〜Lv4のそれぞれに対応したものがある(
図26(b)ではLv1の保留マークMLv1に変化した態様を示す)。なお、先読み演出はこのような保留マークの変化に限定されない。
【0067】
上記S501−2−1において、今回受信したコマンドの保留数データと、前回受信したコマンドの保留数データを比較し、今回受信したコマンドにかかる保留数の方が少ないと判断された場合には、ある演出表示態様(当否判定結果)の報知(変動)が開始されたということ(変動コマンドを受信したということ)であるから、保留に関するデータを一つずつスライドさせる(S501−2−12)。つまり、四番目の保留データとして格納されていた保留があったのであればそのデータを三番目の保留データとして格納し、三番目の保留データとして格納されていた保留があったのであればそのデータを二番目の保留データとして格納し、二番目の保留データとして格納されていた保留があったのであればそのデータを一番目の保留データとして格納する、というように、保留データを一つ前にスライドして格納する操作を行う。このとき、ある保留に先読み演出が対応づけられていた場合には、その先読み演出も一つ前にスライドすることになる。表示装置30においては、
図26(b)に示す先読み演出が実行された保留マーク(
図26(b)では左から四番目)が、
図26(c)に示すように一つ左(
図26(c)では左から三番目)にスライドして表示される。
【0068】
上記S501−2−11、S501−2−12の後、増加または減少した後の現時点での保留数を記憶する(S501−2−13)。当該保留数は、次回コマンドを受信した場合に、上記S501−2−1での比較対象の数(前回受信したコマンドの保留数データ)となる。
【0069】
第一コマンド処理の後、第二コマンド処理(S501−3)を行う。第二コマンド処理は、主制御基板40から受信したコマンドに変動コマンドが含まれる場合に、当該変動コマンドに対応する演出表示態様(当否判定結果)の報知(いわゆる当該変動保留に対する演出)を受信した変動コマンドに基づいて決定される処理である。まず、今回受信した変動コマンドに対応する演出表示態様(当否判定結果)の報知をする際の保留の情報を確認し、保留が有りかつ先読み演出が実行されている場合は、該当する保留の先読み演出を設定する。また、保留が有るが先読み演出が実行されない場合でも該当する保留の記憶領域に先読み演出無を設定する。(S501−3−1)。続いて、受信した変動コマンドに応じて当該変動において実行する演出および演出に対応する予告を抽選・設定する(S501−3−2)。その後、選択された報知演出が送信処理(表示装置30を制御する基板等に送信)され(S501−3−3)、第二コマンド処理が終了する。上記第二入賞コマンドや第四入賞コマンドに対応する当否判定結果の報知演出は、必ずリーチ演出を経たものとなる一方、第三コマンドに対応する当否判定結果の報知演出は、特別図柄の変動開始時における保留数が三つ以下であればリーチ演出を経たものとなる。なお、変動コマンドでない場合は、この処理は実行されない。また、主制御基板40での特別図柄変動パターン作成処理やS501−3−2の変動コマンドに応じた当該変動パターンおよび予告演出の抽選処理が本発明における演出選択手段に相当する。
【0070】
このようにしてメインコマンド解析処理は終了する。なお、このメインコマンド解析処理においては、その他の処理(その他のコマンドに対する処理)を行ってもよい。
【0071】
以上説明した本実施形態にかかる遊技機1では、必ずリーチ演出(特定表示態様)が実行されることになる第二入賞コマンドや第四入賞コマンドの場合は先読み演出が実行される可能性がある。一方、第三入賞コマンドの場合は、特別図柄の変動開始時における保留数が三つ以下であればリーチ演出(特定表示態様)が実行されるものの、保留数が四つであればリーチ演出が実行されないことになる(どはずれ演出(通常表示態様)となる)ため、先読み演出が実行されない。つまり、第三入賞コマンドに対応する演出表示態様(当否判定結果)の報知に際してはリーチ演出(特定表示態様)が実行されない可能性がある以上、先読み演出を実行してしまうと、その報知演出の際にリーチ演出(特定表示態様)にすら発展しないというケースが発生してしまうため、それを防止するために先読み演出が実行されないように設定されている。これにより、先読み演出が実行されたにもかかわらず、リーチ演出が実行されない事態が発生してしまうことによる、遊技者の先読み演出に対する興趣の低下を抑制することが可能となる。
【0072】
上記本発明の一実施形態にかかる遊技機1の変形例(変形例にかかる遊技機)について説明する。なお、以下では、上記遊技機1と異なる点についてのみ説明する。
【0073】
本変形例にかかる遊技機には、上記先読み演出に加え、格上げ演出が搭載されている。格上げ演出は、先読み演出が実行されている保留が大当たりとなる可能性が最初に報知された先読み演出よりも例えば変動毎にさらに高まっていく感じを示唆する演出である。例えば、
図30(a)に示すように、ある演出表示態様(当否判定結果)が記憶されていることを示唆する保留マークがLv1の先読み保留マークMLv1に変化することによる先読み演出が実行され、その演出表示態様(当否判定結果)よりも前の演出表示態様(当否判定結果)が報知されている(特別図柄が変動表示されている)ときに、
図30(b)に示すようにLv1の先読み保留マークがさらに高レベルの先読み保留マーク(例えば保留マークMLv3)に変化する。これにより、当該先読み演出が実行されている演出表示態様(当否判定結果)が当たりである可能性がさらに高まったことを示唆する。
【0074】
本変形例における第一コマンド処理(S501−2a)は、
図28に示す通りである。S501−2−1aからS501−2−5aまでの処理は、上記遊技機1における第一コマンド処理のS501−2−1からS501−2−5までの処理と同じである。S501−2−6aでは、先読み・格上げ乱数を取得し(S501−2−6a)、当該乱数および受信した入賞コマンドの種類に基づき、先読み・格上げの有無、およびその内容を抽選する(S501−2−7a)。具体的には、その抽選確率は
図29の表に示す通りである。
【0075】
図29に示すように、本実施形態では、Lv1の先読み保留マークがLv3の先読み保留マークに、Lv2の先読み保留マークがLv3の先読み保留マークに、Lv1の先読み保留マークがLv4の先読み保留マークに変化する格上げ演出が実行される可能性がある。ただし、この格上げ演出が実行される可能性があるのは、第二入賞コマンドおよび第四入賞コマンドを受信している場合のみである。つまり、第一入賞コマンドおよび第三入賞コマンドを受信している場合には、格上げ演出が実行される可能性はない。つまり、演出表示態様(当否判定結果)が報知される報知演出において、リーチ演出が実行されない場合(第一入賞コマンド)や、リーチ演出が実行されない可能性がある場合(第三入賞コマンド)には、先読み演出が実行される可能性はあっても、格上げ演出が実行される可能性はないように設定されている。なお、第一入賞コマンドおよび第三入賞コマンドを受信している場合には先読み演出が実行されないように構成してもよい。
【0076】
抽選によって先読み演出を実行すること、およびその内容が決定した場合(S501−2−8a)には、抽選によって決定された内容(レベル)が先読み演出として設定、実行される(S501−2−9a)。決定された先読み演出の内容は対応する保留に対応づけられて記憶される(S501−2−10a)。
【0077】
上記S501−2−1aにおいて、今回受信したコマンドの保留数データと、前回受信したコマンドの保留数データを比較し、今回受信したコマンドにかかる保留数の方が少ないと判断された場合には、ある演出表示態様(当否判定結果)の報知(変動)が開始されたということ(変動コマンドを受信したということ)であるから、保留に関するデータを一つずつスライドさせることとなる。このとき、保留の中に格上げ演出を実行することが決定されているものがある場合(S501−2−11a「Yes」)には、保留マークをスライドさせるとともに、先読み保留マークのレベルを上げる(S501−2−12a)。つまり、格上げ演出を実行する。具体的には、
図30(a)に示す状態から
図30(b)に示す状態へ変化する態様が例示できる。保留の中に格上げ演出を実行することが決定されているものがない場合(S501−2−11a「No」)には、そのまま保留マークをスライドさせる(S501−2−13a)。
【0078】
上記S501−2−10a、S501−2−12aまたは13aの後、増加または減少した後の現時点での保留数を記憶する(S501−2−14a)。当該保留数は、次回コマンドを受信した場合に、上記S501−2−1aでの比較対象の数(前回受信したコマンドの保留数データ)となる。
【0079】
このように、本変形例にかかる遊技機では、第二入賞コマンドまたは第四入賞コマンドを受信した場合には、先読み演出が実行される可能性があり、かつその先読み演出で表示された先読み保留マークが格上げされる格上げ演出が実行される可能性がある。一方、第一入賞コマンドまたは第三入賞コマンドを受信した場合には、先読み演出が実行される可能性はあるものの、格上げ演出が実行される可能性はない。つまり、基本的にはリーチ演出が実行される第三入賞コマンドを受信した場合であっても、保留の状態によってはリーチ演出が実行されないこととなるから、保留マークが変化する先読みが実行され、かつその保留マークがさらに大当たりの可能性が高くなるマークに変化する格上げ演出が実行されたにも拘わらず、リーチ演出すら実行されずに報知演出が終了してしまうことがないように構成されている。なお、格上げ演出が実行されるタイミングは変動開始毎でもよいし、先読み演出が実行された変動内でもいいなど、先読み演出の起因となった保留の変動が開始する前までであれば特にどこで行ってもよいとする。
【0080】
以上、本発明の実施の形態について詳細に説明したが、本発明は上記実施の形態に何ら限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の改変が可能である。
【0081】
上記実施形態では、通常表示態様としてどはずれ演出が、特定表示態様としてリーチ演出が設定されたものであることを説明したが、リーチ演出でも通常のリーチ演出とSPリーチ演出など期待度が複数段階に分かれ、相対的に期待度の低いリーチ演出(例えばノーマルリーチ)を通常表示態様とし、それよりも期待度の高いリーチ演出(例えばSPリーチ)を特定表示態様となるように設定してもよい。また入賞コマンドの種類も上記実施形態で説明した数や種類に限られない。