(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2017-217536(P2017-217536A)
(43)【公開日】2017年12月14日
(54)【発明の名称】光−音響イメージングデバイスおよび方法
(51)【国際特許分類】
A61B 8/13 20060101AFI20171117BHJP
A61B 8/12 20060101ALI20171117BHJP
A61B 1/00 20060101ALI20171117BHJP
A61B 1/313 20060101ALI20171117BHJP
A61B 1/045 20060101ALI20171117BHJP
【FI】
A61B8/13
A61B8/12
A61B1/00 526
A61B1/313 510
A61B1/045 610
【審査請求】有
【請求項の数】18
【出願形態】OL
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2017-181989(P2017-181989)
(22)【出願日】2017年9月22日
(62)【分割の表示】特願2015-126833(P2015-126833)の分割
【原出願日】2007年11月8日
(31)【優先権主張番号】60/857,573
(32)【優先日】2006年11月8日
(33)【優先権主張国】US
(71)【出願人】
【識別番号】509128672
【氏名又は名称】ライトラボ・イメージング・インコーポレーテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(74)【代理人】
【識別番号】100091214
【弁理士】
【氏名又は名称】大貫 進介
(72)【発明者】
【氏名】シュミット, ジョセフ エム.
(72)【発明者】
【氏名】ピーターセン, クリストファー
(72)【発明者】
【氏名】大橋 透
(72)【発明者】
【氏名】中松 哲也
【テーマコード(参考)】
4C161
4C601
【Fターム(参考)】
4C161AA22
4C161BB08
4C161HH51
4C161WW04
4C601BB13
4C601BB14
4C601BB26
4C601DD14
4C601DE16
4C601FE04
4C601GA14
4C601GB01
4C601GD13
4C601JC21
(57)【要約】
【課題】 本発明は、一局面において、本発明はプローブに関する。
【解決手段】 該プローブは、シースと、該シース内に位置決めされた柔軟で、かつ双方向に回転可能な光学サブシステムとを含み、該光学サブシステムは、伝送性ファイバを備え、該光学サブシステムは、所定のビームサイズを有する第一のビームに沿って所定の範囲の波長の光を伝送し、かつ収集することが可能である。該プローブはまた、超音波サブシステムを含み、該超音波サブシステムは、該シース内に位置決めされ、第二の所定のビームサイズを有する第二のビームに沿って所定の範囲の周波数のエネルギーを伝播するように適合され、該第一のビームおよび該第二のビームの一部分が走査の間に領域をオーバーラップする。
【選択図】
図1A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
光−音響メージングデバイスが実行する血管のイメージング方法であって:
超音波センサと光学コヒーレンス断層撮像センサを有する回転可能なプローブを供する手順;
前記回転可能なプローブを回転させる手順;
前記血管に関する第1組の画像データが収集されるように超音波イメージングを実行する手順;
前記血管に関する第2組の画像データが収集されるように光学コヒーレンスイメージングを実行する手順;
前記血管を介して前記回転可能なプローブを引き戻す手順;及び、
OCT画像とIVUS画像を融合して複合画像を生成することにより、前記第1組の画像データの断面像と前記第2組の画像データの断面像とを一緒に登録する手順であって、前記第1組の画像データの断面像及び前記第2組の画像データの断面像の外側の境界がOCTの浸透限界の近傍に実質的に設定され、前記OCT画像部分は前記複合画像の中央部分に現れ、前記IVUS画像部分は前記複合画像の周辺部分に現れる、手順、
を有する方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(発明の分野)
本発明は、光学イメージングの分野に関し、より具体的には、光学コヒーレンス断層撮影(OCT;optical coherence tomography)と、超音波などの他の光学イメージングとのための光ファイバプローブの設計に関する。
【背景技術】
【0002】
(背景)
近年、突然の心臓発作(急性心筋梗塞またはAMI)の潜在的な原因は、多くの注目の対象であった。冠動脈のゆるやかな閉塞のより古くからの支配的な説は、AMIが冠動脈壁の破裂、特に「易損性プラーク(vulnerable plaque)」の破裂の結果であるという広範囲にわたる組織病理学的な証拠に基づいた新しい理論によって取って代られている。易損性プラークはまた、薄いキャップを被せられた繊維性組織アルセローマ(TCFA;Thin−Capped Fibro−Artheroma)として知られており、動脈壁の下に位置する脂質プールを覆っている薄い繊維状のキャップによって特徴付けられる。従来のエックス線検査ベースの血管造影撮影法の技術は、動脈が狭くなることを検出するために用いられ得る。しかしながら、TCFAを検出するために、動脈壁の表面を直接的に観察することは必須である。従って、表面下の生物学的組織および脂質プールを検出し、そして視覚化することを可能にするプローブ設計に対するニーズが存在している。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0003】
(発明の概要)
本発明は、光および音響技術を用いて、生物学的組織および他の材料を画像化するための方法および装置に関する。光学コヒーレンス断層撮影(OCT)と、干渉測定イメージング技術と、血管内超音波法(IVUS;Intravascular Ultrasound)との組み合わせは、理想的に、小口径のプローブを介する動脈壁などの生物学的組織の表面下の視覚化に適している。開示される方法は、各個々の技術の弱点を有利に克服するIVUS(血管内超音波法)技術とOCT(光学コヒーレンス断層撮影)技術との組み合わせに基づく。特に、IVUSとOCTとの両方の組み合わせは、多くの利点を有するロバストなプローブを可能にする。
【0004】
IVUSは、中間的な解像度(〜100um)、中間的な浸透力(〜2cm)のイメージング技術である。対照的に、OCTは、高解像度(5〜20um)、浅い浸透力(〜1mm)の技術である。どちらの技術も個々には、動脈壁の状態を検出することができない。例えば、潜在的に危険なTCFAにおけるキャップの厚さは、約25umから約100umに及び得る。この範囲は、OCTの測定解像度の範囲内であるけれども、IVUSの測定解像度の範囲を超えている。逆に、薄いキャップの下の深い脂質プールは、AMIのリスクを大いに増大させる。OCTは、そのような深い脂質プールに容易に浸透するために用いられ得ないが、IVUSは、そのようなプールを視覚化するために容易に用いられ得る。
【0005】
本発明の目的は、IVUSとOCTとが同時に実行され得るデバイスおよび方法を記載することである。本発明のさらなる目的は、同じカテーテル送達システムにおいて組み合わされ得る、OCT光センサとIVUS超音波センサとを記載することである。
【0006】
本発明の1つの利点は、2つのセンサによって得られる横断的な画像の共通のレジストレーションが、高精度で取得され得るような、OCTおよび超音波センサの整列特性である。そのような組み合わされたカテーテルの以前の説明は、必要とされる共通のレジストレーションのレベルを提供しなかった。冠動脈の形態が、縦方向の1ミリメートル未満の距離においてしばしば急速に変化するので、共通のレジストレーションは重要である。
【0007】
本発明の別の目的は、2つのプローブビームが、カテーテルの縦軸に関して実質的に同じ角度で配向されるセンサ構造を記載することである。ここでまた、このことは、画像の適切な共通のレジストレーションを容易にする。プローブビームの発射角度が異なることは、2つの画像が深さに伴って互いに発散することを暗示する。この発散の補正計算は複雑であり、画像表現において誤差をもたらし得る。
【0008】
本発明の別の目的は、カテーテルのチップにおける回転センサアセンブリに、光エネルギーと電気エネルギーとの両方を提供する効率的な方法を記載することである。同軸の信号線として機能する様々なトルクワイヤおよび被覆されたファイバを用いることは、カテーテル本体内の貴重なスペースを節約する。
【0009】
本発明のさらなる目的は、整列され、そしてその他のプローブアセンブリの機能性をなおも提供する一方で、望ましくない寄生的な音響および光の後戻り反射(back−reflection)を同時に低減する、プローブの機構および構成を記載することである。
【0010】
本発明のさらに別の目的は、電気エネルギーと光エネルギーとの両方を同時にカテーテルへと連結するための効率的な回転機構を記載することである。
【0011】
本発明の別の目的は、超音波ビームと光ビームとの両方が実質的に同じ組織斑点に同時に焦点を合わせるようにデュアル要素プローブを作り出すために、容量性のマイクロマシン型超音波トランスデューサ(CMUT)を利用する組み合わされたプローブを記載することである。
【0012】
一局面において、本発明はプローブに関する。プローブは、シースと、該シース内に位置決めされた柔軟で、かつ双方向に回転可能な光学サブシステムとを含み、該光学サブシステムは、伝送性ファイバを備え、該光学サブシステムは、所定のビームサイズを有する第一のビームに沿って所定の範囲の波長の光を伝送し、かつ収集することが可能である。該プローブはまた、超音波サブシステムを含み、該超音波サブシステムは、該シース内に位置決めされ、第二の所定のビームサイズを有する第二のビームに沿って所定の範囲の周波数のエネルギーを伝播するように適合される。一実施形態において、該第一のビームおよび該第二のビームの一部分は、異なる時点において同じ領域を走査する。あるいは、該第一のビームは、該第二のビームが第二のバンドを走査する領域の該第二のバンドに実質的に隣接する該領域の第一のバンドを走査するように指向され得る。
【0013】
別の局面において、本発明は医療検査のためのシステムに関する。該システムは第一の画像処理デバイスと第二の画像処理デバイスとを含む。該システムはまた、該第一の画像処理デバイスと該第二の画像処理デバイスとの電気的通信を行うプローブを含む。次いで、該プローブは、検査エリアへと導入されるカテーテルチップに隣接するエリアへと光を指向および放射し、該照明された検査エリアからの反射光を該第一の画像処理デバイスに指向するための光ファイバを有する光学コヒーレンス断層撮影のためのイメージングシステムの第一のセンサと、音響信号を電気信号として該第二の画像処理デバイスに伝送および受信するための血管内超音波イメージングシステムの第二のセンサとを含む。さらに、該システムはまた、該第一の画像処理デバイスと該第二の画像処理デバイスとによって処理された画像を出力するための表示デバイスを含む。
【0014】
また別の局面において、本発明は、管腔への挿入に適合されたイメージングプローブに関する。該プローブは、コアと端面とを有するシースと、光学的焦点を有する光学サブシステムであって、該コア内に位置決めされる、光学サブシステムと、音響的焦点を有する超音波トランスデューサの配列であって、該端面の一部分に配置される、配列とを含む。
【0015】
なお別の局面で、本発明はプローブに関する。プローブは、シースと、第一の超音波サブシステムであって、該第一の超音波サブシステムは、該シース内に位置決めされ、そして第一のベクトルに沿ってエネルギーを伝播するように適合される、第一の超音波サブシステムと、第二の超音波サブシステムであって、該第二の超音波サブシステムは、該シース内に位置決めされ、そして第二のベクトルに沿ってエネルギーを伝播するように適合され、該第一のベクトルと該第二のベクトルとは、実質的に平行で反対の方向である、第二の超音波サブシステムとを含む。
【0016】
また別の局面で、本発明は、組織領域を画像化する方法に関する。該方法は、超音波とOCTとを組み合わせるイメージングプローブを管腔に挿入するステップと、超音波イメージングを実行するステップと、光学コヒーレンス断層撮影イメージングを実行するステップとを含む。該方法の一実施形態において、フラッシュ溶液が、光学コヒーレンス断層撮影イメージングの間に適用される。この局面の別の関連する方法において、超音波イメージングは、光学コヒーレンス断層撮影イメージングと同時に実行される。
【0017】
なお別の局面で、本発明は、組織領域を画像化する方法に関する。該方法は、超音波とOCTとを組み合わせるイメージングプローブを管腔に挿入するステップと、超音波イメージングを光学コヒーレンス断層撮影イメージングと同時に実行するステップとを包含し、そこで、フラッシュ溶液がイメージングの間に適用される。
【0018】
本発明の追加の局面は、各センサが超音波トランスデューサとドライバとを含む、センサ配列を含むプローブを製作する方法を含んでいる。
【0019】
別に明確に指定されない限り、用語「ある(a)」、「ある(an)」、および「それ(the)」は、「1つ以上(one or more)」)を意味することを理解されたい。
【0020】
本発明の前記および他の特徴および利点、ならびに本発明自体は、以下の説明と、添付の図面および特許請求の範囲とからさらに完全に理解される。
【図面の簡単な説明】
【0021】
本発明の目的および特徴は、添付の図面および特許請求の範囲を参照することによって、さらによく理解され得る。図面は、必ずしも縮尺通りではなく、その代わりに概して、本発明の原理を例示することに重点が置かれている。開示と関連づけられる図面は、それらが紹介されるときに、開示において個別に取り扱われる。
【
図1A】
図1Aは、本発明の例示的な実施形態に従った、縦に整列されたIVUS/OCTプローブの断面図を描く。
【
図1B】
図1Bは、本発明の例示的な実施形態に従った、シールドチューブを有する金属被覆されたファイバを利用するプローブを描く。
【
図1C】
図1Cは、本発明の例示的な実施形態に従った、導体としてトルクケーブルアセンブリのコイルを利用するプローブを描く。
【
図1E】
図1Eは、本発明の例示的な実施形態に従った、異なる周波数における動作に対して適合された2つのトランスデューサを含むプローブを描く。
【
図2】
図2は、本発明の例示的な実施形態に従った、回転プローブアセンブリにRFエネルギーと光エネルギーとの両方を送達するための回転連結機構を描く。
【
図3】
図3は、本発明の例示的な実施形態に従った、固定コイルがプローブインターフェイスユニットの一部分である回転連結機構を描く。
【
図4】
図4は、本発明の例示的な実施形態に従った、CMUT技術がデュアル焦点型ビームを達成するために使用されるプローブチップを描く。
【
図5A】
図5Aは、本発明の例示的な実施形態に従った、融合されたOCT−IVUSの図表を描く。
【
図5B】
図5Bは、本発明の例示的な実施形態に従った、融合されたOCT−IVUSの画像を描く。
【0022】
特許請求の範囲に記載される本発明は、以下の詳細な説明を通してさらに完全に理解され、そして詳細な説明は、添付の図面とともに読まれるべきである。この説明において、同様な数字は、本発明の様々な実施形態における同様な要素を示す。
【発明を実施するための形態】
【0023】
(発明の詳細な説明)
以下の説明は、本発明の特定の実施形態を例示する添付の図面を参照する。他の実施形態が可能であり、本発明の精神および範囲から逸脱することなく実施形態に修正がなされ得る。従って、以下の詳細な説明は、本発明を制限することを意図されない。むしろ、本発明の範囲は、添付の特許請求の範囲によって定義される。
【0024】
本発明が実施可能である限り、本発明の方法のステップの順序は重要でないことが理解されるべきである。さらに、2つ以上のステップが、同時にまたは異なる形で指定されない限り本明細書中に記載されることと異なる順序で遂行され得る。
【0025】
図1Aは、従来のIVUS超音波トランスデューサ12と、シングルモード光ファイバ18に取り付けられた傾斜型のチップ光学レンズアセンブリ16を含む光トランスデューサ14と、パワーをIVUS超音波トランスデューサに送達する標準的な小型RFケーブル20と、アセンブリに安定した旋回レートを提供するトルクケーブル22とを用いるイメージングプローブ10aの一部分を例示する。
【0026】
トルクケーブルは概して、光ファイバが非常に低いねじり(回旋)スチフネスを有することが公知であるので、このデュアルプローブカテーテルにおいて好適である。例えば、適用されたトルクのN−mのおよそ百万分の1によって、直径が125μmの標準的な電気通信用ファイバの1cmの長さのねじれは1度である。従って、ファイバが、全部のアセンブリを駆動するために、十分にねじれ的に剛体であることを期待することは非現実的である。
【0027】
図1Aにおいて、光トランスデューサ12とIVUS超音波トランスデューサ14との両方は、望ましくない寄生的な反射が、それぞれのトランスデューサに達することを最小化することと、組織を通る整列された横断的な「切断(cut)」を作り出すこととのために、ある角度に折り曲げられる。示されるように、トランスデューサから発散する音響ビーム(ab)は、ファイバから発散する光ビーム(ob)と平行である。これら2つの平行ビームの方向は、プローブの縦軸に対して角度αだけ回転させられる。図に示されるように、小さな量の縦方向の変位が許容可能である。
【0028】
第一次の近似として、この許容できる変位は、組み合わされたプローブ10aの近似の最大ビーム幅である。ほとんどの場合において、これは超音波ビームの幅になり、一般に約100umから300umまでの幅を有する(OCTビーム幅は、一般に25umである)。縦方向の変位をこの縦方向の変位限界よりも下に保持することは、ビームがオーバーラップされ続けることを保証する。さらに、2つのビームを互いに180度反対の方向にさせることは、オーバーレイ表示に対する2つの画像のリアルタイムまたは後処理のより容易なアラインメントを保証する。
【0029】
図1Bは、全体の直径が低減される、イメージングのためのプローブ10bを描く。ここで、金属被覆されたファイバ24は、絶縁チューブ26の内側に示される。これら2つの円筒表面(チューブおよび被覆)と、絶縁体の誘電率と、絶縁体の厚さとは、RF信号に対する単純な同軸の伝送線を形成するように構成され得る。そのようなRF信号は、IVUS超音波トランスデューサの設計に依存して、10MHzから60MHzまで変化し得る。
【0030】
図1Cは、異なる伝導機構を有する別のプローブの実施形態10cを例示する。特に、示されたプローブ10cにおいて、トルクケーブル22の内側コイル28および外側コイル30は、同軸の伝送線32を形成する。絶縁スペーサ34は、短絡状態を防止するために、内側コイルと外側コイルとの間に挿入される。
図1Cに示された実施形態は、RFパワーが、統合されたトルクワイヤを用いて伝送されることを可能にする。一実施形態において、トランスデューサは、エポキシ樹脂でコーティングされる。一実施形態において、超音波トランスデューサと光ファイバとの両方は、同じトルクワイヤによって駆動されて互いに回転する。末端のエポキシ樹脂チップは、光ファイバと、超音波トランスデューサと、その関連する供給ワイヤとを包む。従って、エポキシ樹脂は、光学特性および音響特性、そして要求される電気的絶縁に対して適切に選択される。これらの要件を満たす様々なエポキシおよびシリコンの合成物が購入され、かつ/または特別に調製され得る。
【0031】
図1Dは、
図1Cの実施形態の断面を例示する。
図1Cおよび
図1Dに示されたトランスデューサに接続された2本のワイヤは固定され、そしてトランスデューサとともに回転する。
【0032】
図1Eは、異なる周波数で動作する2つのIVUS超音波トランスデューサT1、T2がデバイス内に統合された別の光プローブの実施形態を例示する。低い周波数のトランスデューサT1は、超音波がより深い範囲を走査することを可能にするが、解像度を下げる。反対に、高い周波数のトランスデューサT2は、超音波の増大した解像度を可能にするが、浸透深さを縮める。一実施形態において、一方のトランスデューサは、約5MHzで動作し、もう一方のトランスデューサは、約60MHzで動作する。異なる周波数範囲でトランスデューサを用いることによって、光プローブは、両方のトランスデューサの利点を獲得し、各々のトランスデューサの欠点をそれぞれ緩和する。このデュアルトランスデューサプローブは、低い周波数の超音波トランスデューサによって提供されたかなり高い浸透(約3〜5cm)のために、あまり高い解像度(約10um、OCT)が必要でない場合において、組み合わされたOCT/IVUSカテーテルと同じ全体的な目標を達成する。
【0033】
図2は、RFエネルギーと光エネルギーとの両方を回転アセンブリに伝送するための機構を組み込むプローブの実施形態40を描く。特に、第一のコイル42が回転アセンブリ44に取り付けられ、第二のコイル46が光プローブのコネクタ48と統合された、変圧器スキームが用いられる。この構成は、両方のコイルが(縦方向の)「引き戻し(pull−back)」走査の動作の間、アセンブリとともに移動する利点を有する。そのような引き戻しは、OCTとIVUS走査との両方において用いられる。回転と連結されるときに、らせん状の走査パターンが動脈の管腔の内側に作り出される。しかしながら、このアプローチは、使い捨てのカテーテルに対して増大したコストをもたらす。
【0034】
図3は、固定コイル42が駆動ユニット50(回転方向および縦方向の動きを提供する電動化されたアセンブリ)の一部分である、代替の連結スキームを例示する。この実施形態において、固定コイルは永久的で、引き戻し長の全体にわたって回転カテーテルコイルへと効率的にRFエネルギーを連結するために十分な長さでなければならない。駆動ユニットに固定コイルを組み込むことは、駆動エレクトロニクスに追加の要件を課すけれども、カテーテル使用の減少は全体のコスト節減を提供する。
【0035】
現在、従来のスリップリング技術は、光学イメージングの分野で広く用いられる。
図2および
図3の代替として、スリップリング技術が、本明細書中に記載されたIVUSプローブに用いられ得る。しかしながら、中心にある光学的構成を有するプローブに対して、スリップリングは、IVUSだけの場合よりも製造が困難である。
【0036】
図4は、冠動脈イメージングプローブ54内に統合された容量性のマイクロマシン型超音波トランスデューサ(CMUT)52を含む実施形態を例示する。CMUTの利点は、従来の電子工学のCMOSプロセスを介して製作されるトランスデューサのサイズが小さいことである。小さなサイズとフォトリソグラフィーによる製作とは、トランスデューサのカスタマイズされた配列が、同じ基板上の駆動エレクトロニクスとともに組み立てられることを可能にする。この例において、配列は、光トランスデューサのまわりの環状の領域に形成される。結果として、共通の焦点で、位置合わせ整列され、組み合わされたビームが形成され得、それにより、ソフトウェアレジストレーションの必要性を取り除き、誤差の潜在的な原因を除去する。しかしながら、このプローブチップは、
図1に示された実施形態よりも大きいことがあり得る。
【0037】
図5Aは、境界線58がOCTの浸透限界の近傍に選ばれる、融合されたOCT−IVUS画像56を例示する。示されるように、超音波60およびOCT走査62の関連した画像をレジストレーションすることによって、臨床医は、追加の生理学的データを示す複合画像を閲覧することが可能である。このアプローチは、表面下の脂質プールを画像化するために用いられ得る。
【0038】
図5Bは、OCT部分が画像の中央に現れ、そしてIVUS部分が周囲に現れる、融合されたOCT/IVUS画像を例示する。外側の境界は、2つの領域が交差する境界をおおよそ示している。
【0039】
ガイド(guide)カテーテルは、図に描かれた実施形態において示されない。一般に、ガイドカテーテルは、より小さなイメージングカテーテルを主要な動脈幹に導入するために用いられる、より大きなボア(bore)カテーテルである。ガイドカテーテルから、フラッシュ(flush)溶液は、OCTイメージングが実行されるときに、きれいな、血液のないイメージング領域を作り出すために吐出され得る。代替の実施形態は、イメージングカテーテル内にフラッシュ管腔(flush lumen)を含み得ることによって、フラッシュ溶液がガイドカテーテルからではなくイメージングチップにおいて排出される。
【0040】
本発明の局面および実施形態は、当業者に公知なように、多様な寸法および材料の様々な構成要素を組み込み得る。様々な特定の寸法および材料が本明細書中に記載されるけれども、これらの例示的な材料は、制限することではなく、追加のより具体的な実施形態を明示することだけを意図される。以下で論じられる測定値のすべてに対して、与えられる寸法はまた、与えられた寸法の約10%〜20%より大きい範囲、および与えられた寸法の約10%〜20%より小さい範囲を含んでいる。さらに、以下で論じられる測定値のすべてに対して、与えられる寸法はまた、与えられた寸法の約20%〜50%より大きい範囲、および与えられた寸法の約20%〜50%より小さい範囲を含んでいる。またさらに、以下で論じられる測定値のすべてに対して、与えられる寸法はまた、与えられた寸法の約50%〜100%より大きい範囲、および与えられた寸法の約50%〜100%より小さい範囲を含んでいる。
【0041】
プローブの一実施形態において、用いられた視野ウィンドウは、透明なエポキシ樹脂ベースのウィンドウである。さらに、別の実施形態において、用いられたトランスデューサは、約0.1mmの第一の寸法と、約0.5mmの第二の寸法とを有する。プローブの一実施形態において、前方の視野角は約10度である。プローブの一実施形態において、用いられたエンドキャップは金属を含む。一部の実施形態において、プローブは、エポキシ樹脂材料で実質的に満たされた中空のコアを含み得る。一実施形態において、シールドRFケーブルの幅は、約0.18mmである。
【0042】
特許請求の範囲に記載される本発明の様々な局面が、本明細書中に開示された技術のサブセットおよびサブステップに関するものであることは認識されるべきである。さらに、本明細書中に使用された用語および表現は、説明の用語として用いられ、制限するために用いられてはいない。そのような用語および表現を用いることにおいて、示され、記載された特徴またはそれらの部分のいかなる均等物をも除外する意図は全くないけれども、様々な修正が、本発明の特許請求の範囲の内で可能であることは認識される。従って、添付の特許請求の範囲およびそのすべての均等物において、規定および区別される発明が、特許証による所望の保護対象である。
【符号の説明】
【0043】
10a、10b、10c イメージングプローブ
12 IVUS超音波トランスデューサ
14 光トランスデューサ
16 チップ光学レンズアセンブリ
18 シングルモード光ファイバ
20 小型RFケーブル
22 トルクケーブル
24 金属被覆されたファイバ
26 絶縁チューブ
28 内側コイル
30 外側コイル
32 同軸の伝送線
34 絶縁スペーサ
42 第一のコイル
44 回転アセンブリ
46 第二のコイル
48 コネクタ
50 駆動ユニット
【手続補正書】
【提出日】2017年10月20日
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
血管内イメージングシステムであって、
プローブを有し、前記プローブは:
シースと;
第1のビームに沿って所定の範囲の波長の光を伝送するように構成される回転可能な光学サブシステムであって、前記光学サブシステムは回転可能な光ファイバを備える、光学サブシステムと;
第2のビームに沿って所定の範囲の周波数のエネルギーを伝播するように構成される回転可能な超音波サブシステムであって、前記光学サブシステム及び前記超音波サブシステムは前記シース内に配置される、超音波サブシステムと;
トルクワイヤであって、前記回転可能な光ファイバは前記トルクワイヤの中に配置される、トルクワイヤと;
を有する、
システム。
【請求項2】
変圧器をさらに有し、前記変圧器は:
第1の複数の巻線を有する第1のコイル;及び
第2の複数の巻線を有する第2のコイル;
を有し、
前記回転可能な光ファイバは、前記第1のコイルを通過し、
前記変圧器は、前記超音波サブシステムと電気通信する、
請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記回転可能な光学サブシステムは端面を定め、前記回転可能な光ファイバと光通信する光学経路が前記端面で終端し、前記光学経路は干渉計と光通信する、
請求項1に記載のシステム。
【請求項4】
前記回転可能な超音波サブシステムは、音響的焦点を有する超音波トランスデューサの配列を有し、前記配列は、前記端面の一部分に配置される、
請求項3に記載のシステム。
【請求項5】
前記超音波トランスデューサの前記配列は、前記光学サブシステムの周りに同心円状に配置され、前記端面の前記一部分は環状領域である、
請求項4に記載のシステム。
【請求項6】
前記配列の少なくとも1つのトランスデューサは、容量性のマイクロマシン型超音波トランスデューサである、
請求項4に記載のシステム。
【請求項7】
前記光学サブシステムは光学的焦点を有し、前記超音波サブシステムは音響的焦点を有し、前記光学的焦点及び前記音響的焦点は一致する、
請求項1に記載のシステム。
【請求項8】
前記光学サブシステムはレンズをさらに有する、
請求項7に記載のシステム。
【請求項9】
前記レンズは、前記シースの外側に前記第1のビームの焦点を合わせる、
請求項8に記載のシステム。
【請求項10】
1又は複数の画像処理デバイスと、第1及び第2の画像処理デバイスによって処理される画像を出力する表示デバイスとをさらに有し、前記プローブは前記1又は複数の画像処理デバイスと電気通信し、前記1又は複数の画像処理デバイスは前記表示デバイスと電気通信する、
請求項1に記載のシステム。
【請求項11】
前記光学サブシステムからの前記第1のビームは、前記超音波サブシステムからの前記第2のビームと平行である、
請求項1に記載のシステム。
【請求項12】
前記トルクワイヤは、内側コイル、外側コイル、及び前記内側コイルと前記外側コイルとの間に挿入される絶縁スペーサを有する、
請求項1に記載のシステム。
【請求項13】
前記超音波サブシステムは、異なる周波数で動作する複数の血管内超音波トランスデューサを有する、
請求項1に記載のシステム。
【請求項14】
前記第1のビーム及び前記第2のビームは、前記シースの部分を通って指向される、
請求項1に記載のシステム。
【請求項15】
前記第2のコイルは、前記第1のコイル内にスライド可能に配置される、
請求項2に記載のシステム。
【請求項16】
前記第1のビーム及び前記第2のビームは、実質的に平行且つ反対の方向である、
請求項1に記載のシステム。
【請求項17】
連結要素をさらに有し、前記連結要素は、前記伝送ファイバを回転するように適合されるとともに前記超音波サブシステムから受信される信号を伝送する、
請求項1に記載のシステム。
【請求項18】
前記光学サブシステム及び前記超音波サブシステムの中心間の縦方向の変位が、
前記超音波サブシステムのビーム幅未満である、
請求項1に記載のシステム。