【実施例1】
【0011】
まず、実施例1のブレードラバー20を備えるワイパーブレード10を用いたワイパーの全体構成について説明する。ワイパーブレード10は、
図1に示すように、車両Cのフロントガラスを払拭面Sとすべく、車両Cに設けたワイパーアーム11に取り付けられる。そのワイパーアーム11は、車両Cに設けたワイパーモータにワイパーリンクを介して接続され、そのワイパーモータの駆動により払拭面Sに沿って往復移動可能(矢印G、B参照)とされる。また、ワイパーアーム11は、後述するように取付機構13およびホルダ12を介して取り付けられたワイパーブレード10(そのブレードラバー20)を払拭面Sに押し付ける機能を有する。
【0012】
ワイパーブレード10は、ワイパーアーム11が往復移動されると、ワイパーアーム11およびワイパーブレード10の長尺方向と交差する幅方向を進行方向とするように、払拭面Sに沿って往復移動することで払拭面Sを払拭する。実施例1では、往復移動において、ワイパーブレード10の静止姿勢である払拭面Sの下方から払拭面Sに沿って車両Cの上後方へと移動する方向を往路Gとし、その往路Gの端から払拭面Sに沿って車両Cの下前方へと移動する方向を復路Bとする。ここで、払拭面S上には、車両Cの走行に伴う相対的な空気の流れにより、車両C側から見ると車両Cの外形輪郭に沿う走行風Wが生じる。実施例1では、払拭面Sを車両Cのフロントガラスとしているので、走行風Wは、払拭面S上で車両Cの前方から後方へ向かう。このため、ワイパーブレード10は、往路Gにおいて走行風Wを背に受けつつ払拭面S上を移動し、復路Bにおいて走行風Wに抗して払拭面S上を移動する。
【0013】
このワイパーブレード10は、
図2および
図3に示すように、払拭面Sを払拭するブレードラバー20と、それを支持するホルダ12と、ホルダ12をワイパーアーム11に取り付ける取付機構13と、を備える。
【0014】
ブレードラバー20は、払拭面Sを傷つけることなく払拭面Sを払拭できる弾性部材で形成され、長尺形状を呈する。このブレードラバー20は、
図4および
図5に示すように、払拭面Sに宛がわれる払拭部21と、払拭部21の上方に位置する頭部22と、その頭部22よりも狭い幅で当該頭部22および払拭部21を繋ぐ首部23と、首部23から幅方向に突出する一対のフランジ部24と、を有する。払拭部21の断面形状は、略逆三角形状を呈し、頭部22の断面形状は、矩形状を呈する。首部23は、払拭部21と頭部22との間に凹部を形成し、フランジ部24は、頭部22の下面と平行に首部23から突出する。払拭部21は、その下部(先端部)が撓み変形が可能な可撓箇所25となり、その下端の払拭箇所26で払拭面Sに触れ、その払拭箇所26が払拭面Sを払拭する。このブレードラバー20は、上記のような形状を呈する所謂ネック反転構造である。
【0015】
ブレードラバー20では、ワイパーアーム11により払拭面Sに押し付けられた状態で反転される際、すなわち払拭面S上での移動方向が反対側へと変化(往路Gと復路Bとの折り返し)する際、首部23が湾曲されつつ可撓箇所25が払拭面Sに倣うように湾曲される。このとき、払拭部21の上端に位置する接触箇所27が対応するフランジ部24(その下面)に接して首部23の湾曲が規制されることで、可撓箇所25の払拭面Sに対する傾倒角度θiが適切とされ、払拭面Sに対する払拭箇所26の接触状態が適切とされる(
図8参照)。このブレードラバー20の頭部22にバーティブラ14が取り付けられる。
【0016】
バーティブラ14は、弾性を有する合成樹脂材料又は金属材料から一定の断面形状で伸びる長尺な板形状に形成されたばね板部材であり、長尺方向に対して弓なりに湾曲した形状を呈する(
図3参照)。このバーティブラ14は、長尺方向における中央部14aを押し下げて平らにした場合に、この力を分散させて長尺方向に均等化させる機能を有する。バーティブラ14は、頭部22に設けた一対の溝部22aのそれぞれに挿入して設けられることで、ブレードラバー20に取り付けられる。その頭部22は、ホルダ12に収容されて支持される。
【0017】
そのホルダ12は、ゴムや合成樹脂材料等の弾性体材料から形成され、
図2および
図3に示すように、一定の断面形状で伸長する長尺な筒体であり、ブレードラバー20よりも全長が少し長い長尺形状を呈する。ホルダ12は、ブレードラバー挿入空間12aと、スリット12bと、を有する。ブレードラバー挿入空間12aは、ホルダ12の内壁面で構成され、一定の矩形断面形状長手方向に延在する直方体形状を呈し、一対のバーティブラ14が設けられたブレードラバー20の頭部22を全長に渡り受け入れ可能である(
図4参照。)。ブレードラバー挿入空間12aは、ホルダ12の両端面12cを開放し、下方にスリット12bが位置される。そのスリット12bは、一定の間隔を保ちつつホルダ12の伸長方向に沿ってホルダ12の下壁部を切り欠いて形成され、ブレードラバー挿入空間12aを下方で開放(開口)する。このスリット12bにより開放された下壁部、すなわちスリット12bの周縁部は、一対のバーティブラ14の下方でブレードラバー20の頭部22を挟みこむことが可能な一対の支持部分12dとなる。
【0018】
ホルダ12は、ブレードラバー挿入空間12aにブレードラバー20の頭部22が挿入されると、一対の支持部分12dが頭部22およびそこに設けた一対のバーティブラ14を支持する(
図5等参照)。これにより、ブレードラバー20は、ホルダ12のブレードラバー挿入空間12aから下方へ抜け落ちることが防止される。このホルダ12の上面には、傾斜面部12eおよびリブ部12fが設けられる。傾斜面部12eは、ホルダ12の上面の一側端(復路Bにおける進行方向前側)から他側端へ向けて一定勾配で上がりつつリブ部12fの根元に連続し、リブ部12fは、上面の他側端を最も高くするように上方に突出する。この傾斜面部12eおよびリブ部12fは、復路Bにおいて、走行風Wに抗して進行する際に、走行風Wを受けつつスムースに流すことで払拭面S側に押し付ける力を発生させ、走行風Wによる払拭面Sから剥離させる力(払拭面Sからの揚力)の影響を打ち消す。
【0019】
このホルダ12の中央部12gに取付機構13が取り付けられる。取付機構13は、ホルダ12に取り付けられるクリップベース13aと、そのクリップベース13aに回転可能に設けられるクリップ13bと、を有する。クリップベース13aは、ホルダ12の上壁部に略等しい幅寸法とされ、傾斜面部12eおよびリブ部12fの形状に倣いつつホルダ12の両側壁部を外方から覆う形状を呈する。クリップ13bは、クリップベース13aに掛け渡された軸部により回転可能に支持され、ワイパーアーム11の先端部11aの固定およびその解除が可能とされている。
【0020】
ホルダ12では、両端部(端面12c)にストッパ15が装着される(
図2および
図3参照)。各ストッパ15は、
図2に示すように、ホルダ12がブレードラバー20(その頭部22)を支持した状態において、ホルダ12の両端部(端面12c)を覆い、ブレードラバー挿入空間12aやその中の頭部22等が露見することを防止する。これにより、各ストッパ15は、ブレードラバー20がホルダ12の各端面12cから外部へと抜け落ちることを防止し、かつ各端部(端面12c)の外観の意匠性を高める。
【0021】
このワイパーブレード10は、一対のバーティブラ14を取り付けたブレードラバー20の頭部22をホルダ12(そのブレードラバー挿入空間12a)に収容し、各ストッパ15と取付機構13とを取り付けて組み立てられる。このワイパーブレード10は、ワイパーアーム11(その先端部11a)が、取付機構13(そのクリップ13b)に連結されることで車両Cに装着される(
図1参照)。このとき、ワイパーブレード10は、取付機構13およびホルダ12を介してワイパーアーム11により払拭面Sに押し付けられる。すると、ワイパーブレード10では、ホルダ12の中央部12gに取付機構13が設けられるので、ワイパーアーム11により払拭面Sに押し付けられると、ブレードラバー20の長尺方向における中央部20aが押し下げられる。このため、ブレードラバー20では、頭部22に設けた一対のバーティブラ14により、中央部20aが押し下げられて平らとされる際、力が分散されつつ払拭部21(払拭箇所26)が全長に渡り払拭面Sに押し当てられる。これにより、ワイパーブレード10は、ワイパーアーム11の往復移動されることで、ブレードラバー20の払拭部21(払拭箇所26)が払拭面Sに沿って往復移動されて、その払拭面Sを払拭する。
【0022】
ここで、従来のワイパーブレードの課題について説明する。この課題は、実施例1のワイパーブレード10であっても後述する拡幅部30を設けていなければ同様の課題を有するので、ワイパーブレード10を用いて説明する。ワイパーブレード10では、使用していくと、ジャダー(ビビり音(ブレードラバー20による払拭面Sの払拭に伴う連続的な異音))が生じたりブレードラバー20の中央部20aの近傍の拭き残しが生じたりする。このことは、ブレードラバー20の払拭部21(その払拭箇所26)において、中間位置近傍の摩耗の態様が他の位置の摩耗の態様と異なることが原因と考えられる。このような摩耗の偏りの原因は、次のことが考えられる。ブレードラバー20では、頭部22に設けた一対のバーティブラ14により、中央部20aが押し下げられて平らとされる際、力が分散されつつ払拭部21(払拭箇所26)が全長に渡り払拭面Sに押し当てられる。ここで、両バーティブラ14は、上記した機能を持つ(力を分散する)が、払拭部21(払拭箇所26)の長尺方向での各位置における払拭面Sへの押当力P(分圧分布(
図7参照))を完全に均一とすることは困難である。この押当力Pは、
図7に示すように、ワイパーアーム11により押し下げられる中央部20aの近傍が、長尺方向での他の位置よりも部分的に大きくなる。その押当力Pにおける部分的に大きな箇所の分布の態様は、ブレードラバー20(払拭部21(払拭箇所26))の長尺方向での中心位置を中心として略左右対称であり、中心位置から両端へ向けた所定の長さLaの範囲とされ、中心位置の押当力Pが最も高くかつ両端に向かうに連れて押当力Pが漸次的に減少している。
【0023】
ここで、ブレードラバー20では、ワイパーアーム11から払拭面Sへと押し付けられると、払拭部21の接触箇所27が対応するフランジ部24(その下面)に接して首部23の湾曲が規制された状態で可撓箇所25が湾曲することで、払拭部21(その可撓箇所25)の払拭面Sに対して傾倒角度θiが適切とされる。ところが、ブレードラバー20では、長尺方向での各位置における押当力Pが変化すると、払拭部21の接触箇所27が対応するフランジ部24(その下面)を押す力が変化するとともに、可撓箇所25の湾曲度合も変化してしまう。すると、ブレードラバー20では、払拭部21(その可撓箇所25)の払拭面Sに対する傾倒角度θiが中央部20aの近傍で適切なものから外れてしまい、この状態で払拭面Sを払拭することで中間位置と他の位置とで摩耗の態様が異なってしまう。このような摩耗の偏りは、ワイパーアーム11からの払拭面Sへと押し付ける力が大きく設定されているほど生じ易い。
【0024】
これに対し、本願発明のブレードラバー20では、上記したことを鑑みて、次のような構成とする。ブレードラバー20では、
図4から
図6に示すように、払拭部21の中央部20aに拡幅部30を設けている。この拡幅部30は、部分的に増加する押当力Pの増減に応じて払拭部21の幅方向での厚さを部分的に増加させるもので、実施例1では、往路Gにおける払拭面S上の進行方向後側と、復路Bにおける払拭面S上の進行方向後側と、に設けている。これは、上記した摩耗の偏りが、往路Gと復路Bとの双方において払拭面Sと接する払拭箇所26で見られたことによる。なお、拡幅部30は、摩耗の偏りが生じ方に応じて、往路Gおよび復路Bにおける払拭面S上の進行方向後側のいずれか一方のみに設けてもよく、実施例1の構成に限定されない。拡幅部30では、ブレードラバー20の材質(特性)やバーティブラ14の設定(形状や材質等)やワイパーアーム11からの押し付け力等に応じて、押当力Pの増減に対する厚さの増加分を設定する。なお、拡幅部30は、上記したように払拭部21の幅方向で見た両側に設けているが、設けた位置(突出する方向)が異なることを除くと互いに等しい構成である。このため、拡幅部30の全体構成を示す
図4、払拭する様子を示す
図8およびそれらを用いた説明では一方(復路B)のみを用いているが、他方(往路G)でも構成および作用は同様である。
【0025】
各拡幅部30は、
図4に示すように、長尺方向における払拭部21の中央から両側へと長さLsの範囲(全体で長さ2Lsの範囲)に設け、幅方向での厚さの増加の態様を払拭部21の中央を中心として長尺方向の両側で対称な形状とする。この各拡幅部30の全体の長さ2Lsは、ブレードラバー20の払拭部21(払拭箇所26)において押当力Pが部分的に大きくなる範囲を示す所定の長さLaと等しくしている。各拡幅部30は、当該拡幅部30を除く払拭部21の均一な厚さとされた箇所の表面を基準面21aとして、押当力Pの増減に応じて基準面21aからサインカーブ状に厚さを変化させつつ払拭部21の中央で最も大きな厚さとなるように、連続する滑らかな曲面で払拭部21の厚さを滑らかに変化させる。このため、各拡幅部30は、払拭部21(払拭箇所26)において押当力Pが増加している領域で、その押当力Pの変化(その割り合い)に応じて払拭部21の厚さを変化させている。
【0026】
その各拡幅部30は、
図6に示すように、払拭部21の全体の厚さを増減させており、接触箇所27に連続する面積増加部分31と、可撓箇所25に連続する撓み抑制部分32と、を有する。各面積増加部分31は、接触箇所27がフランジ部24(その下面)に接する際、当該接触箇所27の横で(隣接して)同時にフランジ部24(下面)に接する位置関係とされ、払拭部21におけるフランジ部24(下面)との接触面積を増加させる(
図8参照)。各撓み抑制部分32は、可撓箇所25の厚さを増加させるもので、当該可撓箇所25の撓み変形を抑制する。このため、実施例1の各拡幅部30では、接触面積を増加させる観点から面積増加部分31の厚さを設定し、かつ撓み変形の抑制の観点から撓み抑制部分32の厚さを設定することが望ましく、上下方向の位置により厚さが異なってもよく一定でもよい。
【0027】
なお、実施例1では、幅方向で見た払拭部21の両側に拡幅部30を設けているので、撓み抑制部分32が可撓箇所25の両側に存在して当該可撓箇所25の撓み変形をより強く抑制する。このため、撓み抑制部分32は、ブレードラバー20の材質(特性)やバーティブラ14の設定(形状や材質等)やワイパーアーム11からの押し付け力等にもよるが、片側のみに設ける場合と比較して厚さの増加分を減らすことができる。
【0028】
次に、実施例1のブレードラバー20(ワイパーブレード10)の作用について説明する。ブレードラバー20は、復路Bにおいて、ワイパーアーム11から払拭面Sへと押し付けられると、払拭部21の接触箇所27が対応するフランジ部24(その下面)に接して首部23の湾曲を規制し、その状態で可撓箇所25が湾曲することで、払拭部21の可撓箇所25の払拭面Sに対する傾倒角度θiを適切とする。ここで、払拭部21では、上述したように払拭面Sへの押当力Pが中央部20aの近傍で高くなっているが、この押当力Pが部分的に増加する領域に合わせて各拡幅部30を設けている。このため、払拭部21の中央部20aでは、
図8に示すように、接触箇所27がフランジ部24(下面)に接する際、面積増加部分31も併せて当該フランジ部24(下面)に接するので、押当力Pの増加に比例してフランジ部24(下面)への接触面積を増加させる。また、払拭部21の中央部20aでは、撓み抑制部分32が設けられることで付与された力に対する可撓箇所25の撓み変形(その程度)が抑制されているので、押当力Pの増加に比例して可撓箇所25の湾曲のし易さが抑制される。よって、払拭部21では、長尺方向での各位置における押当力Pの変化に拘わらず、全長に渡り、払拭部21(その可撓箇所25)の払拭面Sに対する傾倒角度θiが適切となる。このため、ブレードラバー20(ワイパーブレード10)では、ワイパーアーム11からの長尺方向での各位置における押当力Pが
図7のような分布であっても、全長に渡り、払拭部21(その可撓箇所25)の払拭面Sに対する傾倒角度θiを一定にできる。
【0029】
この本発明に係る実施例1のブレードラバー20では、以下の各効果を得ることができる。
【0030】
ブレードラバー20では、幅方向での厚さが全長に渡り均一な払拭部21に、その払拭部21(払拭箇所26)の長尺方向での各位置における払拭面Sへの押当力Pの増減に応じて、幅方向での厚さを滑らかに増加させる拡幅部30を設けている。このため、ブレードラバー20では、拡幅部30が増加させた厚さに応じて払拭部21を払拭面Sに対して倒れ難くできるので、長尺方向での各位置における押当力Pの変化に拘わらず、全長に渡り払拭部21(その可撓箇所25)の払拭面Sに対する傾倒角度θiを一定にできる。これにより、ブレードラバー20では、長尺方向での各位置における押当力Pの変化に拘わらず、全長に渡り、払拭面Sに対する払拭箇所26の接触状態を一定にでき、払拭面Sを払拭することによる摩耗の態様を均一なものにできる。よって、ブレードラバー20では、使用していっても、ジャダー(ビビり音)が生じることや、中央部20aの近傍の拭き残しが生じたりすることを防止でき、耐久性を向上させて払拭面Sを適切に払拭できる。このことは、ワイパーアーム11からの払拭面Sへと押し付ける力が大きく設定されている場合に摩耗の偏りが生じ易いことから、特に効果的である。
【0031】
ブレードラバー20では、拡幅部30が、基準面21aからサインカーブ状に厚さを変化させつつ払拭部21の中央で最も大きな厚さとなるように、連続する滑らかな曲面で払拭部21の厚さを滑らかに変化させる。このため、ブレードラバー20では、払拭部21において、拡幅部30(その表面)とその他の部分(基準面21a)との間で局所応力が発生することを防止できる。これにより、ブレードラバー20では、拡幅部30を設けることに起因して強度(剛性)が低下することを防止でき、使用していっても払拭面Sを適切に払拭できる。また、ブレードラバー20では、拡幅部30を、厚さの増加分を押当力Pの変化(分圧分布)に近付けつつ滑らかな形状とすることができ、簡易な構成で適切に払拭部21(払拭箇所26)の摩耗に偏りが生じることを防止できる。
【0032】
ブレードラバー20では、取付機構13およびホルダ12を介してワイパーアーム11が取り付けられる中央部20aに拡幅部30を設け、その拡幅部30における幅方向での厚さの増加の態様を長尺方向における払拭部21の中央を中心として両側で対称としている。このため、ブレードラバー20では、ワイパーアーム11から払拭面Sへと押し付けられることで部分的に高くなる払拭部21(払拭箇所26)の押当力Pの増減(態様)に合わせて拡幅部30を設けることができる。これにより、ブレードラバー20では、より簡易な構成でより適切に払拭部21(払拭箇所26)の摩耗に偏りが生じることを防止できる。
【0033】
ブレードラバー20では、拡幅部30において、面積増加部分31が接触箇所27の厚さを増加させて払拭部21のフランジ部24(下面)への接触面積を増加させ、撓み抑制部分32が可撓箇所25の厚さを増加させて当該可撓箇所25の撓み変形を抑制する。このため、ブレードラバー20では、中央部20aにおいて接触箇所27と面積増加部分31とがフランジ部24(下面)に接することで、押当力Pの増加に比例して払拭部21のフランジ部24(下面)への接触面積を増加させることができ、全長に渡り押当力Pの変化に拘わらず首部23の湾曲を一定にできる。また、ブレードラバー20では、中央部20aにおいて、押当力Pの増加に比例して撓み抑制部分32が付与された力に対する可撓箇所25の撓み変形(湾曲)のし易さを抑制でき、全長に渡り押当力Pの変化に拘わらず可撓箇所25の湾曲を一定にできる。これらにより、ブレードラバー20では、長尺方向での各位置における押当力Pの変化に拘わらず、全長に渡り、払拭部21(その可撓箇所25)の払拭面Sに対する傾倒角度θiをより一定にできる。
【0034】
ブレードラバー20では、拡幅部30において、払拭部21の厚さを増加させることで、面積増加部分31を形成している。このため、ブレードラバー20では、首部23から見て接触箇所27よりも離れた位置で面積増加部分31がフランジ部24(下面)に接するので、首部23が過度に湾曲することをより適切に防止できる。
【0035】
ブレードラバー20では、復路Bにおける払拭面S上の進行方向後側に突出して拡幅部30を設けるとともに、往路Gにおける払拭面S上の進行方向後側に突出して拡幅部30を設けている。すなわち、ブレードラバー20では、復路Bにおける払拭面S上の進行方向後側と前側との双方(幅方向で見た両側)に突出して拡幅部30を設けている。このため、ブレードラバー20では、復路Bおよび往路Gにおいて払拭面Sを払拭する払拭箇所26に摩耗の偏りが生じることを適切に防止できる。
【0036】
ブレードラバー20では、幅方向で見た払拭部21の両側に拡幅部30を設けているので、いずれか一方のみに設ける場合と比較して、撓み抑制部分32の厚さを小さくできる。このため、ブレードラバー20では、いずれか一方のみに設ける場合と比較して、より簡易な構成にでき、材料を抑制しつつ可撓箇所25の撓み変形を適切に抑制できる。
【0037】
ブレードラバー20では、復路Bにおける払拭面S上の進行方向後側のみで突出して拡幅部30を設けることができる。このため、ブレードラバー20では、走行風Wに抗して進行する復路Bにおいて払拭面Sを払拭する払拭箇所26で摩耗の偏りが生じることを適切に防止できる。ここで、ブレードラバー20では、ワイパーブレード10が使用されていない状態において払拭面Sの下端近傍に位置されており、復路Bを進行する状態で払拭面Sに押し付けられているので、この状態が癖となり易い。このため、ブレードラバー20では、復路Bの進行方向後側に拡幅部30を設けて、全長に渡り払拭部21(その可撓箇所25)の払拭面Sに対する傾倒角度θiを一定にできることは、この観点からも効果的である。このことは、実施例1のように幅方向で見た払拭部21の両側に拡幅部30を設けた場合でも同様である。
【0038】
ブレードラバー20では、往路Gにおける払拭面S上の進行方向後側のみで突出して拡幅部30を設けることができる。このため、ブレードラバー20では、往路Gにおいて払拭面Sを払拭する払拭箇所26に摩耗の偏りが生じることを適切に防止できる。
【0039】
ブレードラバー20では、ワイパーアーム11により払拭面Sに押し付けられることに起因する払拭部21(払拭箇所26)の長尺方向での各位置における払拭面Sへの押当力Pの変化(その態様)に応じて、払拭部21の厚さを増加させるように拡幅部30を設ける。このため、ブレードラバー20では、部分的に押当力Pが大きくなる領域やその変化の態様を取得することで、メーカーや車種が異なる車両(C)であっても拡幅部30を適切に設けることができ、使用していっても払拭面Sを適切に払拭できる。
【0040】
本発明に係るワイパーブレードの実施例1のワイパーブレード10では、本発明に係るブレードラバーの一例としてのブレードラバー20を備えるので、上記した各効果を得られる。また、ワイパーブレード10では、ホルダ12における取付機構13の位置や態様が予め解るので、より適切にかつより簡易に拡幅部30を設けることができ、使用していっても払拭面Sをより適切に払拭できる。
【0041】
したがって、ブレードラバー20では、使用していっても払拭面Sを適切に払拭できる。
【0042】
以上、本発明のブレードラバーを実施例1に基づき説明してきたが、具体的な構成については実施例1に限られるものではなく、特許請求の範囲や各請求項に係る発明の要旨を逸脱しない限り、設計の変更や追加等は許容される。
【0043】
実施例1では、本発明に係るブレードラバーの一例としてのブレードラバー20について説明した。しかしながら、ホルダに支持される頭部と、車両の払拭面を払拭する払拭部と、を備える長尺状のブレードラバーであって、前記払拭部は、長尺方向に直交する幅方向での厚さが全長に渡り均一であり、前記ホルダを介してワイパーアームにより前記払拭面に押し付けられた際の長尺方向における前記払拭面への押当力の増減に応じて幅方向での厚さを滑らかに増加させる拡幅部を有するブレードラバーであればよく、実施例1の構成に限定されない。
【0044】
また、実施例1では、ブレードラバー20がネック反転構造とされていたが、可撓箇所25の湾曲を主に利用する所謂リップ反転構造でもよく、実施例1の構成に限定されない。このようなリップ反転構造のブレードラバーであっても、実施例1と同様に拡幅部30を設けることで同様の効果を得ることができる。
【0045】
さらに、実施例1では、本発明に係るブレードラバーを上記した構成のワイパーブレード10に用いた例を示した。しかしながら、ホルダを介してワイパーアームによりブレードラバーが払拭面Sに押し付けられる構成のワイパーブレードであればよく、実施例1の構成に限定されない。
【0046】
実施例1では、払拭面Sを車両Cのフロントガラスとしていたが、例えばリアガラスでもよく、他の箇所(他のガラスやヘッドランプ等)でもよく、実施例1の構成に限定されない。
【0047】
実施例1では、ホルダ12を長尺な筒体としていた。しかしながら、ブレードラバー20をワイパーアーム11に取り付けるべく当該ブレードラバー20の頭部22を支持するものであればよく、実施例1の構成に限定されない。また、実施例1では、ホルダ12が一対のバーティブラ14を利用して頭部22を支持していたが、頭部22全体を包み込んで当該頭部22を支持してもよく、他の構成であってもよく、実施例1の構成に限定されない。
【0048】
実施例1では、一対のバーティブラ14をブレードラバー20の頭部22に取り付けていた。しかしながら、頭部22とホルダ(12)との間に同等の機能を有する弓なりに湾曲した長尺なばね板部材(バーティブラ)を設けてもよく、ホルダ(12)に同等の機能を持たせてもよく、頭部22に同等の機能を持たせてもよく、実施例1の構成に限定されない。なお、頭部22に同等の機能を持たせることは、例えば、同等の機能を有する長尺なばね板部材(バーティブラ)を埋め込んで設けることや、材質および形状を適宜設定すること等が考えられる。
【0049】
実施例1では、取付機構13をホルダ12に取り付けたクリップベース13aに回転可能にクリップ13bを設けて構成していた。しかしながら、ホルダに支持されたブレードラバー20とワイパーアーム11との連結を可能とすればよく、実施例1の構成に限定されない。