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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2017-218271(P2017-218271A)
(43)【公開日】2017年12月14日
(54)【発明の名称】紙葉類繰出装置
(51)【国際特許分類】
   B65H 3/56 20060101AFI20171117BHJP
   G07D 9/00 20060101ALI20171117BHJP
【FI】
   B65H3/56 330A
   G07D9/00 403B
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2016-112878(P2016-112878)
(22)【出願日】2016年6月6日
(71)【出願人】
【識別番号】000001432
【氏名又は名称】グローリー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100114306
【弁理士】
【氏名又は名称】中辻 史郎
(74)【代理人】
【識別番号】100148655
【弁理士】
【氏名又は名称】諏訪 淳一
(72)【発明者】
【氏名】ナダ ジェイソン アマ
(72)【発明者】
【氏名】岡村 征男
(72)【発明者】
【氏名】松浦 弘樹
【テーマコード(参考)】
3E040
3F343
【Fターム(参考)】
3E040AA01
3E040BA03
3E040FA03
3E040FG03
3E040FG14
3F343FA04
3F343FB07
3F343FC03
3F343GA01
3F343GB02
3F343GC01
3F343GD01
3F343KA05
3F343KA12
3F343KB05
3F343LA04
3F343LA14
3F343LC05
3F343LC22
3F343MA03
3F343MA09
3F343MA54
3F343MB04
3F343MB14
3F343MC05
(57)【要約】
【課題】紙葉類面の材質によらず集積された紙葉類を1枚ずつ繰り出す。
【解決手段】集積された複数枚の紙葉類を1枚ずつ繰り出す紙葉類繰出装置を、紙葉類を繰出方向へ送出するフィード部と、フィード部に対向して配置され、紙葉類1枚を通過させるゲート部を形成するゲート部材と、フィード部による紙葉類の送出状態が所定条件を満たした場合に、ゲート部材の作動状態を、ゲート部で紙葉類の2枚送りを防止する第1状態から、ゲート部で紙葉類の2枚送りを許容する第2状態に切り替える制御部とによって構成する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
集積された複数枚の紙葉類を1枚ずつ繰り出す紙葉類繰出装置であって、
紙葉類を繰出方向へ送出するフィード部と、
前記フィード部に対向して配置され、紙葉類1枚を通過させるゲート部を形成するゲート部材と、
前記フィード部による紙葉類の送出状態が所定条件を満たした場合に、前記ゲート部材の作動状態を、前記ゲート部で紙葉類の2枚送りを防止する第1状態から、前記ゲート部で紙葉類の2枚送りを許容する第2状態に切り替える制御部と
を備えることを特徴とする紙葉類繰出装置。
【請求項2】
前記ゲート部材は、ゲートローラであって、
前記第1状態は、前記ゲートローラが前記繰出方向と逆方向へ紙葉類を押し戻す逆転状態である
ことを特徴とする請求項1に記載の紙葉類繰出装置。
【請求項3】
前記ゲート部材は、ゲートローラであって、
前記第1状態は、前記ゲートローラが逆転を停止する停止状態である
ことを特徴とする請求項1に記載の紙葉類繰出装置。
【請求項4】
前記第2状態は、前記ゲートローラが前記繰出方向へ紙葉類を送出する正転状態であることを特徴とする請求項2又は3に記載の紙葉類繰出装置。
【請求項5】
前記第2状態は、前記ゲートローラが前記繰出方向へ紙葉類を送出する正転方向へ自由に回転可能な状態であることを特徴とする請求項2又は3に記載の紙葉類繰出装置。
【請求項6】
前記第2状態は、前記ゲート部が2枚以上の紙葉類を通過させる間隔となるよう、前記ゲート部材を前記フィード部から離間させた状態である
ことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の紙葉類繰出装置。
【請求項7】
前記フィード部による紙葉類の送出状態を検知する紙葉類検知センサ
をさらに備え、
前記制御部は、前記紙葉類検知センサが紙葉類の繰出不良を検知した場合に前記所定条件を満たすと判定して、前記ゲート部材の作動状態を切り替える
ことを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の紙葉類繰出装置。
【請求項8】
前記制御部は、前記第2状態を所定時間継続した後、前記ゲート部材の作動状態を前記第1状態に戻すことを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載の紙葉類繰出装置。
【請求項9】
前記制御部は、前記第2状態を、前記紙葉類の前記繰出方向への移動距離が所定距離となるまで継続した後、前記ゲート部材の作動状態を前記第1状態に戻すことを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載の紙葉類繰出装置。
【請求項10】
集積された複数枚の紙葉類を1枚ずつ繰り出す紙葉類繰出装置であって、
1枚ずつ繰出対象の紙葉類を繰出方向へ送出するフィード部と、
前記フィード部との間で前記繰出対象の紙葉類1枚を通過させるゲート部を形成するように配置され、逆転しながら繰出対象外の紙葉類を前記繰出方向と逆方向へ押し戻すゲートローラと、
前記ゲート部を通過して前記繰出方向へ移動する紙葉類を検知する紙葉類検知センサと、
前記ゲートローラとの間の摩擦力が紙よりも大きい高摩擦領域を有する紙葉類を繰り出す際に、前記高摩擦領域が前記ゲート部を通過できないことを前記紙葉類検知センサで検知すると、前記ゲートローラの逆転を停止して自由に回転可能な状態とする回転駆動停止と前記ゲートローラを正転させる回転方向変更との少なくともいずれか一方を実行し、前記高摩擦領域が前記ゲート部を通過して前記紙葉類が繰出方向へ移動し始めたことを前記紙葉類検知センサで検知すると、前記ゲートローラを再び逆転させる制御部と
を備えることを特徴とする紙葉類繰出装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、集積された紙葉類を1枚ずつ繰り出す紙葉類繰出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、紙葉類処理装置の入金口に集積された複数枚の紙葉類を1枚ずつ装置内へ繰り出すために紙葉類繰出装置が利用されている。例えば、紙幣処理装置では、紙幣繰出装置によって紙幣を1枚ずつ装置内へ繰り出すことにより、各紙幣の金種や真偽を識別して枚数及び金額を計数することができる。
【0003】
例えば、特許文献1には、送出ベルトを利用して装置内へ紙幣を繰り出す方法が開示されている。集積された紙幣のうち一番下にある紙幣を送出ベルトによって装置内へ繰り出す。このとき、他の紙幣が一緒に繰り出されないように、送出ベルトの上方に設けられた逆転ローラが回転して紙幣の繰出方向と逆方向へ他の紙幣を押し戻す。これにより、集積された紙幣を1枚ずつに分離して一番下にある紙幣のみを装置内へ繰り出すことができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】実用新案登録第2577459号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記従来技術では、近年登場した新しい種類の紙幣を正常に繰り出せない場合がある。例えば、紙幣の偽造防止を目的として、セキュリティスレッドやホログラム等、金属や樹脂から成る帯状領域が紙幣面上に設けられた紙幣が登場している。紙幣を繰り出す際、紙幣の下面には送出ベルトによる繰出方向への力が作用する一方で、上面には逆転ローラによる逆方向への力が作用する。送出ベルト及び逆転ローラは、全面が紙製の紙幣を繰り出す際に、送出ベルトが紙幣を繰り出す力が、逆転ローラが紙幣を押し戻す力より大きくなるように構成されている。このため、全面が紙製の紙幣であれば繰出方向へ移動させて装置内へ繰り出すことができる。ところが、紙幣面上に設けられた金属や樹脂から成る帯状領域が逆転ローラと接触した際に、逆転ローラが帯状領域を押し戻す力が、送出ベルトが紙幣を繰り出す力より大きくなると、この紙幣を装置内へ繰り出せない。
【0006】
本発明は、上述した従来技術による問題点を解消するためになされたもので、紙葉類の面上に紙とは異なる材質の領域が設けられている場合でも、各紙葉類を繰り出すことができる紙葉類繰出装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述した課題を解決し、目的を達成するため、本発明は、集積された複数枚の紙葉類を1枚ずつ繰り出す紙葉類繰出装置であって、紙葉類を繰出方向へ送出するフィード部と、前記フィード部に対向して配置され、紙葉類1枚を通過させるゲート部を形成するゲート部材と、前記フィード部による紙葉類の送出状態が所定条件を満たした場合に、前記ゲート部材の作動状態を、前記ゲート部で紙葉類の2枚送りを防止する第1状態から、前記ゲート部で紙葉類の2枚送りを許容する第2状態に切り替える制御部とを備えることを特徴とする。
【0008】
また、本発明は、上記発明において、前記ゲート部材は、ゲートローラであって、前記第1状態は、前記ゲートローラが前記繰出方向と逆方向へ紙葉類を押し戻す逆転状態であることを特徴とする。
【0009】
また、本発明は、上記発明において、前記ゲート部材は、ゲートローラであって、前記第1状態は、前記ゲートローラが逆転を停止する停止状態であることを特徴とする。
【0010】
また、本発明は、上記発明において、前記第2状態は、前記ゲートローラが前記繰出方向へ紙葉類を送出する正転状態であることを特徴とする。
【0011】
また、本発明は、上記発明において、前記第2状態は、前記ゲートローラが前記繰出方向へ紙葉類を送出する正転方向へ自由に回転可能な状態であることを特徴とする。
【0012】
また、本発明は、上記発明において、前記第2状態は、前記ゲート部が2枚以上の紙葉類を通過させる間隔となるよう、前記ゲート部材を前記フィード部から離間させた状態であることを特徴とする。
【0013】
また、本発明は、上記発明において、前記フィード部による紙葉類の送出状態を検知する紙葉類検知センサをさらに備え、前記制御部は、前記紙葉類検知センサが紙葉類の繰出不良を検知した場合に前記所定条件を満たすと判定して、前記ゲート部材の作動状態を切り替えることを特徴とする。
【0014】
また、本発明は、上記発明において、前記制御部は、前記第2状態を所定時間継続した後、前記ゲート部材の作動状態を前記第1状態に戻すことを特徴とする。
【0015】
また、本発明は、上記発明において、前記制御部は、前記第2状態を、前記紙葉類の前記繰出方向への移動距離が所定距離となるまで継続した後、前記ゲート部材の作動状態を前記第1状態に戻すことを特徴とする。
【0016】
また、本発明は、集積された複数枚の紙葉類を1枚ずつ繰り出す紙葉類繰出装置であって、1枚ずつ繰出対象の紙葉類を繰出方向へ送出するフィード部と、前記フィード部との間で前記繰出対象の紙葉類1枚を通過させるゲート部を形成するように配置され、逆転しながら繰出対象外の紙葉類を前記繰出方向と逆方向へ押し戻すゲートローラと、前記ゲート部を通過して前記繰出方向へ移動する紙葉類を検知する紙葉類検知センサと、前記ゲートローラとの間の摩擦力が紙よりも大きい高摩擦領域を有する紙葉類を繰り出す際に、前記高摩擦領域が前記ゲート部を通過できないことを前記紙葉類検知センサで検知すると、前記ゲートローラの逆転を停止して自由に回転可能な状態とする回転駆動停止と前記ゲートローラを正転させる回転方向変更との少なくともいずれか一方を実行し、前記高摩擦領域が前記ゲート部を通過して前記紙葉類が繰出方向へ移動し始めたことを前記紙葉類検知センサで検知すると、前記ゲートローラを再び逆転させる制御部とを備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、集積された複数枚の紙葉類を1枚ずつ繰り出す際に、紙葉類を正常に繰り出せない繰出不良を検知すると、通常はゲート部で2枚の紙葉類が一緒に繰り出される2枚送りを防止するゲート部材の作動状態を、2枚送りを許容する作動状態に切り替えることができる。通常の作動状態では、紙葉類の面上に設けられた金属、樹脂等から成る帯状領域がゲート部を通過できない場合でも、ゲート部材の作動状態を切り替えることにより、ゲート部材を通過させて紙葉類を繰り出すことができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1図1は、紙幣繰出装置の繰出機構概略を示す図である。
図2図2は、紙幣繰出装置が繰出対象とする紙幣の例を示す図である。
図3図3は、紙幣繰出装置における紙幣の繰出動作を説明する図である。
図4図4は、滞留する紙幣の繰出動作を説明する図である。
図5図5は、ゲートローラの逆転を停止して自由回転可能な状態にする回転駆動停止の制御について説明するタイミングチャートである。
図6図6は、ゲートローラの回転駆動停止及び回転方向変更を行う制御について説明するタイミングチャートである。
図7図7は、ゲートローラの回転制御の設定例を示す図である。
図8図8は、フィードローラとゲートローラによってゲート部を形成する例を示す模式図である。
図9図9は、フィードローラとゲート部材によってゲート部を形成する例を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下に、添付図面を参照して、本発明に係る紙葉類繰出装置について詳細に説明する。紙葉類繰出装置は、集積された複数枚の紙葉類を1枚ずつ紙葉類処理装置の装置内に繰り出す機能を有する。紙葉類繰出装置が繰出対象とする紙葉類の種類は特に限定されないが、本実施形態では、紙幣を繰出対象とする場合を例に説明する。
【0020】
図1は、紙幣繰出装置の繰出機構概略を示す図である。紙幣繰出装置(紙葉類繰出装置)は、紙幣処理装置(紙葉類処理装置)の一部を構成し、紙幣処理装置の入金口に集積された複数枚の紙幣を1枚ずつ装置内へ繰り出す機能を有する。図1では、ゲートローラ(ゲート部材)10より右側が紙幣処理装置の入金口で、ゲートローラ10より左側が紙幣処理装置の装置内となっている。
【0021】
図1(a)は上面図を示し、図1(b)は側面図を示している。図1では、紙幣の繰り出し動作を説明するために必要なローラ、ベルト等の構成のみを示している。以下に説明する紙幣繰出装置の各機能及び動作は、制御部が、図1に示すローラを駆動する駆動部を制御することによって実現される。
【0022】
図1(a)に破線で示す紙幣100は、矢印401で示すように、短辺を前方にして、長辺と平行な方向(長辺方向)に移動して装置内へ1枚ずつ繰り出される。集積された複数枚の紙幣100のうち一番下にある紙幣100aの下面がフィードベルト(フィード部)20と接触する。紙幣100が集積される紙幣処理装置の入金口では、繰出時に紙幣が斜行しないように、集積された紙幣100の長辺が、短辺と平行な方向(短辺方向)の両外側から規制されている。
【0023】
入金口には、図1(b)に示すように、紙幣100の有無を検知する紙幣検知センサ52が設けられている。紙幣検知センサ52は検知光を投受光する投光部及び受光部を含み、投光部及び受光部は、入金口に集積紙幣があれば検知光が遮られて遮光状態となり、紙幣がなくなると検知光が透光状態となるように配置されている。紙幣検知センサ52によって、入金口に集積された紙幣100がなくなったことが検知されるまで紙幣の繰り出しが行われる。
【0024】
ゴム製の環状ベルトであるフィードベルト20は、図1(b)に示すように、ローラ32と同軸上にあるローラ21と、ローラ24とに掛け渡されている。フィードベルト20の内周面側には、2つのローラ21、24の間の位置に、フィードベルト20を下方から支持する2つのローラ22、23が設けられている。紙幣繰出時には、駆動部によってローラ21が駆動され、図1(b)に示すようにローラ21、24が反時計回りに回転(正転)する。そして、ローラ21、24の回転に伴ってフィードベルト20が回転すると、下面がフィードベルト20の外周面と接触する紙幣100aは矢印401で示す方向へ移動する。フィードベルト20が回転すると、内周面と接触するローラ22、23も回転する。
【0025】
フィードベルト20の上方には、ゲートローラ10が設けられている。ゲートローラ10の外周面は、ゴム等の高摩擦材料で形成されている。ゲートローラ10の下方には、フィードベルト20を挟んでゲートローラ10と対向する位置に、フィードベルト20を内周面側から支持するローラ22が配置されている。ゲートローラ10の外周面と、ローラ22によって支持されたフィードベルト20の外周面との間に、繰出対象とする1枚の紙幣100aのみを通過させるゲート部が形成されている。紙幣繰出時には、駆動部によってゲートローラ10が駆動される。ゲート部では、反時計回りに回転(正転)するフィードベルト20が、繰出対象とする1枚の紙幣100aを繰出方向へ移動させる一方で、反時計回りに回転(逆転)するゲートローラ10が、繰出対象外の他の紙幣を、繰出方向とは逆方向、すなわち入金口の集積位置へ向けて押し戻す。
【0026】
ゲートローラ10の回転は、制御部によって制御される。フィードベルト20の回転制御は、制御部がローラ21の回転を制御することによって行われる。フィードベルト20を回転させるローラ21とゲートローラ10とは独立して駆動されており、制御部は、フィードベルト20の回転とは無関係に、ゲートローラ10の回転を制御することができる。制御部は、紙幣の繰出状態に応じて、ゲートローラ10の回転を制御するが詳細は後述する。
【0027】
なお、本実施形態では、紙幣を装置内へ繰り出すために、紙幣を繰出方向へ移動させる回転を正転、繰出方向へ移動しようとする紙幣を元の集積位置へ押し戻すために、紙幣を繰出方向と逆方向へ移動させる回転を逆転とする。具体的には、フィードベルト20を駆動するローラ21、24の反時計回りの回転を正転、時計回りの回転を逆転とする。また、ローラ21、24が正転するときのフィードベルト20の回転を正転、ローラ21、24が逆転するときのフィードベルト20の回転を逆転とする。一方、ゲートローラ10については、紙幣100を集積位置へ押し戻す反時計回りの回転を逆転、時計回りの回転を正転とする。
【0028】
ゲートローラ10とフィードベルト20の間に形成されるゲート部より繰出方向下流側の位置に、図1(b)に示すように、紙幣検知センサ51が設けられている。紙幣検知センサ51は、ゲート部を通過して装置内へ繰り出される紙幣を検知する機能を有する。紙幣検知センサ51は検知光を投受光する投光部及び受光部を含み、投光部及び受光部は、紙幣がなければ投光部と受光部の間で検知光を投受光する透光状態となり、紙幣が通過する際に検知光が遮られて遮光状態となるように配置されている。フィードベルト20によって、紙幣が所定の時間間隔で1枚ずつ正常に繰り出されている間、検知光の透光状態と遮光状態が繰り返され、紙幣検知センサ51から、透光状態と遮光状態とを示す方形波の信号が出力される。
【0029】
図1(a)に示すように、長辺方向に繰り出される紙幣100の短辺方向略中央の位置に、1本のフィードベルト20が配置されている。上側搬送ベルト40及び下側搬送ベルト30は、これら2本を一対として、二対が、短辺方向に離れた位置に配置されている。
【0030】
図1(b)に示すように矢印401の方向へ繰り出された紙幣は、紙幣検知センサ51による検知領域を通過した後、ローラ41によって駆動される上側搬送ベルト40と、ローラ21と同軸上に設けられたローラ32によって駆動される下側搬送ベルト30の間に挟まれた状態で搬送される。紙幣は、ローラ41を通過して一旦斜め上方へ搬送された後、ローラ31の外周に沿って搬送方向を逆向きに変えて斜め下方に搬送され、矢印402で示すように送出される。送出された紙幣は、紙幣処理装置内の搬送路を搬送されて、識別部によって金種、真偽等を識別されることになる。
【0031】
次に、紙幣繰出装置が繰り出す紙幣について説明する。図2は、紙幣繰出装置が繰出対象とする紙幣101、102の例を示す図である。図2(a)に示す紙幣101は全体が紙でできているが、表面に、セキュリティスレッド(安全線)と呼ばれる帯状の金属領域101aを有している。金属領域101aは、紙幣101の長辺方向の途中の位置に短辺方向全域にわたって紙幣に編みこまれた金属線であり、金属領域101aの長辺方向両外側は紙から成る紙領域101bとなっている。紙幣101の裏面には金属領域は形成されておらず全面が紙領域となっている。
【0032】
図2(b)に示す紙幣102は、全体が紙でできているが、表面の長辺方向一方側端部に、短辺方向全域にわたってポリマー製の樹脂箔が貼り付けられた樹脂領域102aを有している。長辺方向一方側は樹脂領域102aで、他方側は紙製の紙領域102bとなっている。紙幣102の裏面には樹脂箔は貼り付けられておらず全面が紙領域となっている。
【0033】
金属領域101aや樹脂領域102a、すなわち紙以外の材質から成る領域と、紙領域101b、102bでは摩擦係数が異なる。逆転するゲートローラ10の外周面と接触した際に、ゲートローラ10によって紙幣101、102が繰出方向と逆方向に押し戻される力は、紙領域101b、102bと接触した場合に比べて、金属領域101aと接触した場合や樹脂領域102aと接触した場合の方が大きくなる。紙幣繰出装置では、このように紙幣の片面上に低摩擦領域と高摩擦領域とが含まれる場合でも、各紙幣を円滑に繰り出せるように、図1に示すゲートローラ10の回転を制御する。紙幣面上の一部に金属領域を有する紙幣と、紙幣面上の一部に樹脂領域を有する紙幣は、同様の方法で繰り出すことができる。以下では、片面の長辺方向の途中の位置に短辺方向全域にわたって樹脂領域が設けられた紙幣、すなわち図2(a)に示す領域101aが樹脂領域であるような紙幣を例に、紙幣繰出装置の動作を説明する。
【0034】
図3は、紙幣繰出装置における紙幣の繰出動作を説明する図である。図3(a)は、ゲートローラ10及びフィードベルト20を利用して1枚ずつ紙幣を繰り出す際に生ずる摩擦力の関係を示す模式図である。図3(b)及び(c)は、紙幣の繰出動作を説明するための構成を模式的に示した側面図である。図3(b)は、ゲートローラ10が連続して逆転している状態で紙幣を繰り出せる場合を示している。図3(c)は、ゲートローラ10が連続して逆転している状態では紙幣を繰り出せない場合を示している。
【0035】
図3(a)に示す摩擦力Faは、図3(c)に示すように、逆転するゲートローラ10の外周面が紙幣113の樹脂領域113aと接触して、この紙幣113を繰出方向と逆方向(図3右方向)へ押し戻す力を示している。摩擦力Fbは、図3(b)及び(c)に示すように、フィードベルト20が、フィードベルト20と紙幣面(下面)を接する紙幣103、113を繰出方向へ移動させる力を示している。摩擦力Fcは、図3(b)に示すように、逆転するゲートローラ10の外周面が紙幣103の紙の部分と接触して、この紙幣103を繰出方向と逆方向へ押し戻す力を示している。摩擦力Fdは、図3(b)及び(c)に示すように2枚の紙幣を重ねて紙幣面を接触させた状態で、一方の紙幣に対して他方の紙幣をずらすように移動させる際に必要な力を示している。
【0036】
図3(b)に示す2枚の紙幣103、104の間の摩擦力Fdは、図3(a)に示すように、紙幣103とフィードベルト20の間の摩擦力Fbより小さい。このため、図3(b)に示すようにゲートローラ10によって押し戻されるために、上側の紙幣104が繰出方向に移動できない場合でも、フィードベルト20によって、下側にある紙幣103のみを繰出方向へ移動させることができる。
【0037】
図3(b)に示すように、フィードベルト20によって繰り出される紙幣103は、樹脂領域103aを有する面を下面、全域が紙製の面を上面として、ゲートローラ10下方のゲート部を通過する。ゲートローラ10と紙幣103の上面(紙領域)との間の摩擦力Fcは、図3(a)に示すように、紙幣103とフィードベルト20の間の摩擦力Fbより小さい。このため、紙幣103がゲートローラ10によって押し戻されることはなく、フィードベルト20によって紙幣103を繰出方向へ移動させることができる。
【0038】
集積された紙幣のうち一番下にある紙幣103が装置内へ繰り出されると、2枚目の紙幣104が一番下となる。この紙幣104も上面全面が紙製であるため、先の紙幣103と同様に装置内へ繰り出される。こうして、集積された複数枚の紙幣を1枚ずつ順に装置内へ繰り出すと、各紙幣が紙幣検知センサ51による検知領域を通過する。この結果、紙幣検知センサ51から、通過する紙幣によって検知光が透遮光されたことを示す方形波が出力される。
【0039】
図3(c)に示すように、樹脂領域113aを有する面を上面とする紙幣113についても、2枚の紙幣113、114の間の摩擦力Fdは、紙幣113とフィードベルト20の間の摩擦力Fbより小さい。このため、ゲートローラ10によって押し戻されるために上側の紙幣114が繰出方向に移動できない場合でも、フィードベルト20によって、下側にある紙幣113のみをゲート位置まで移動させることができる。
【0040】
ところが、紙幣113が繰出方向へ移動して、樹脂領域113aが、逆転するゲートローラ10の外周面と接触すると、紙幣113はそれ以上繰出方向へ移動できない。具体的には、樹脂領域113aがゲートローラ10の外周面と接触すると、紙幣上面には、ゲートローラ10が繰出方向と逆方向へ樹脂領域113aを押し戻そうとする力Faが作用し、紙幣下面にはフィードベルト20が紙幣113を繰出方向へ移動させようとする力Fbが作用する。図3(a)に示すように、樹脂領域113aとゲートローラ10との間の摩擦力Faは、紙幣113とフィードベルト20の間の摩擦力Fbよりも大きい。このため、紙幣113は、ゲートローラ10によって繰出方向と逆方向へ押し戻されてしまい、フィードベルト20によって紙幣113を繰出方向へ移動させることができない。
【0041】
図3(c)に示すように、樹脂領域113aがゲート部を通過することができず、紙幣113を繰り出せない状態になると、紙幣検知センサ51による検知領域を通過する紙幣がなくなって検知光の透光状態が続く。透光状態が所定時間以上続くと、制御部は、ゲート部に紙幣が滞留して繰り出せない繰出不良が発生したと判定し、この紙幣を繰り出すためのゲートローラ10の回転制御を開始する。
【0042】
図4は、滞留する紙幣113の繰出動作を説明する図である。図4(a)〜(d)は、紙幣113の繰出を説明するための構成を模式的に示した側面図である。図4(a)に示すように、逆転するゲートローラ10に樹脂領域113aが接触し、紙幣113が押し戻されて繰り出せない状態になると、制御部は、図4(b)に示すゲートローラ10の回転駆動停止、又は図4(c)に示す回転方向の変更を実行する。
【0043】
なお、回転駆動停止とは、ゲートローラ10を逆転させる駆動部の駆動を停止して、逆転を停止したゲートローラ10が自由に正転できる状態、すなわち自由回転できる状態にする制御である。自由回転については、ゲートローラ10が少なくとも正転方向に自由に回転できれば、正転方向にのみ自由回転できる状態であってもよいし、正転方向に加えて逆転方向にも自由回転できる状態であってもよい。図4(a)及び(d)は、ゲートローラ10が逆転し、ゲート部で繰出対象の紙幣のみを通過させて繰出対象外の紙幣を通過させない状態、すなわち紙幣の2枚送りを防止するゲートローラ10の作動状態を示している。一方、図4(b)及び(c)は、ゲートローラ10が自由回転又は正転して、ゲート部で繰出対象外の紙幣の通過を許容する状態、すなわち紙幣の2枚送りを許容するゲートローラ10の作動状態を示している。
【0044】
ゲートローラ10の回転駆動を停止すると、ゲートローラ10は少なくとも正転方向に自由に回転可能な状態となり、ゲートローラ10を時計回りに正転させながら、図4(b)に示すように樹脂領域113aがゲート部を通過することができる。この結果、フィードベルト20によって紙幣113を装置内へ繰出可能な状態になる。ゲートローラ10の逆転を停止するだけでゲートローラ10が正転できない状態では、繰出対象の紙幣1枚のみを通過させるゲート部の状態が維持され、樹脂領域113aの移動が制限されるが、ゲートローラ10を自由回転可能な状態とすることで、樹脂領域113aの動きに合わせてゲートローラ10が正転方向に連れ回りするので、繰出方向に移動する樹脂領域113aがゲート部を通過することができる。
【0045】
また、逆転するゲートローラ10の回転方向を変更してゲートローラ10を正転させると、図4(c)に示すように、正転するゲートローラ10が樹脂領域113aを繰出方向へ移動させる。この結果、樹脂領域113aがゲート部を通過して、フィードベルト20によって紙幣113を装置内へ繰出可能な状態になる。
【0046】
図4(b)及び(c)に示すように、滞留していた紙幣113が繰出方向へ移動し始めると、紙幣検知センサ51による検知光が紙幣113によって遮光される。透光状態を示す信号が続いていた紙幣検知センサ51の出力信号が、遮光状態を示す信号に変化することによって、滞留していた紙幣113が移動し始めたことを検知することができる。
【0047】
ゲートローラ10の回転駆動停止又は回転方向の変更を行った後、樹脂領域113aがゲート部を通過して紙幣113が繰出方向へ移動し始めたことを紙幣検知センサ51で検知すると、制御部は、図4(d)に示すように、再びゲートローラ10を逆転させる。
【0048】
具体的には、回転駆動停止又は回転方向変更を開始してから、樹脂領域113aがゲート部を通過するのに必要な所定時間が経過したタイミングで、ゲートローラ10が再び逆転を開始するように設定することができる。また、回転駆動停止又は回転方向変更を開始してから、樹脂領域113aがゲート部を通過するのに必要な所定距離を、紙幣113が繰出方向へ移動したタイミングで、ゲートローラ10が再び逆転を開始するように設定することもできる。
【0049】
ゲートローラ10の逆転を停止して自由回転可能な状態に変更したり、ゲートローラ10の回転方向を変更したりすることで、紙幣の2枚送りが生じ、紙幣113と共に、紙幣113と紙幣面を接する2枚目の紙幣が、ゲート部内へ移動した場合でも、樹脂領域113aがゲート部を通過してすぐにゲートローラ10の逆転を再開することにより、繰出対象外の2枚目の紙幣を、ゲート部から繰出方向上流側に押し戻すことができる。
【0050】
具体的には、図3(c)に示したように、紙幣面がフィードベルト20と接するのは繰出対象の紙幣113のみで、他の紙幣114がフィードベルト20と接することはない。また、図3(a)に示したように、ゲートローラ10と紙幣114の樹脂領域114aとの間の摩擦力Fa、及びゲートローラ10と紙幣114の紙領域114bとの間の摩擦力Fcは、いずれも紙幣113と紙幣114の間の摩擦力Fdよりも大きい。このため、フィードベルト20によって繰出対象の紙幣113を繰出方向へ移動させながら、ゲートローラ10によって、繰出対象外の紙幣114を繰出方向と逆方向へ押し戻すことができる。
【0051】
次に、ゲートローラ10の制御方法について説明する。紙幣繰出装置では、紙幣検知センサ51が紙幣を繰り出せなくなったことを検知すると、紙幣検知センサ51が、この紙幣を繰り出せたことを検知するまで、ゲートローラ10の回転駆動停止と、ゲートローラ10の回転方向変更との少なくともいずれか一方を、1回又は複数回実行するようになっている。
【0052】
図5は、ゲートローラの逆転を停止して自由回転可能な状態にする回転駆動停止の制御について説明するタイミングチャートである。図6は、ゲートローラ10の回転駆動停止及び回転方向変更を行う制御について説明するタイミングチャートである。図5(a)及び図6(a)は、紙幣検知センサ51の出力信号を示し、図5(b)及び図6(b)は、フィードベルト20の動きを示している。また、図5(c)及び図6(c)は、ゲートローラ10の動きを示している。図5(b)及び図6(b)に示すように、フィードベルト20は、常に正転している。
【0053】
紙幣が1枚ずつ正常に繰り出される間、紙幣検知センサ51の検知光が繰り返し透遮光され、図5(a)に正常繰出として示したように、紙幣検知センサ51から方形波が出力される。
【0054】
図4(a)に示すように紙幣113を繰り出せない状態になると、紙幣検知センサ51で紙幣を検知できず、検知光の透光状態が継続する。図5(a)に示すように、紙幣を検知できない透光状態が予め設定された所定時間(ta)続くと、制御部は、紙幣の繰出不良が発生したと判定して、図5(c)に示すように、逆転を続けていたゲートローラ10の回転駆動を停止する。この結果、ゲートローラ10は、自由に正転可能な状態になる。制御部は、予め設定された所定時間(ts)ゲートローラ10の回転駆動を停止した後、再びゲートローラ10の駆動を開始してゲートローラ10を逆転させる。
【0055】
ゲートローラ10が逆転を再開してから予め設定された所定時間(tb)が経過する間、すなわちゲートローラ10の回転駆動を停止してから所定時間(ts+tb)が経過する間に、滞留していた紙幣113が繰出方向へ移動し始めて、紙幣検知センサ51から方形波が出力され始めると、制御部は、紙幣が1枚ずつ順に繰り出される正常繰出状態になったと判定する。正常繰出状態になると、図5(c)に示すように、ゲートローラ10はそのまま逆転し続ける。
【0056】
一方、図6に示すように、繰出不良を検知してゲートローラ10の回転駆動を停止して自由回転可能な状態にしてから所定時間(tb)が経過しても紙幣113が移動せず、紙幣検知センサ51の透光状態が続いた場合、続いて制御部は、逆転を再開したゲートローラ10の回転方向を変更して、ゲートローラ10を正転させる。制御部は、予め設定された所定時間(tn)ゲートローラ10を正転させた後、再びゲートローラ10を逆転させる。
【0057】
ゲートローラ10が正転後に再び逆転を開始してから予め設定された所定時間(tc)が経過する間、すなわちゲートローラ10が回転方向を変更して正転を開始してから所定時間(tn+tc)が経過する間に、滞留していた紙幣113が繰出方向へ移動し始めて、紙幣検知センサ51から方形波が出力され始めると、制御部は、紙幣が1枚ずつ順に繰り出される正常繰出状態になったと判定する。正常繰出状態になると、図6(c)に示すように、ゲートローラ10はそのまま逆転し続ける。
【0058】
このように、紙幣繰出装置では、紙幣を繰り出せなくなると、この紙幣を繰り出せるまで、ゲートローラ10の回転駆動停止とゲートローラ10の回転方向変更との少なくともいずれか一方を、1回又は複数回実行することができる。回転駆動停止と回転方向変更との組み合わせ及び実行回数は予め設定できるようになっている。
【0059】
図7は、ゲートローラ10の回転制御の設定例を示す図である。紙幣検知センサ51が紙幣の繰出不良を検知した際、制御部は、図7に示すように、所定時間(t1)、ゲートローラ10の回転駆動を停止した後、再びゲートローラ10を逆転させる。ゲートローラ10の回転駆動を停止して自由回転可能な状態にしたことにより、繰出不良が解消されて正常繰出状態になれば、制御部は、繰出不良を解消するためのゲートローラ10の回転制御を終了する。この結果、ゲートローラ10はそのまま逆転を継続する。
【0060】
一方、所定時間(t1)ゲートローラ10の回転駆動を停止して自由回転可能な状態にしても紙幣の繰出不良が解消されなかった場合、続いて制御部は、ゲートローラ10の回転方向を変更して、所定時間(t2)、ゲートローラ10を正転させた後、再び回転方向を変更してゲートローラ10を逆転させる。この回転方向変更により正常繰出状態になれば、制御部は、繰出不良を解消するためのゲートローラ10の回転制御を終了する。この結果、ゲートローラ10はそのまま逆転を継続する。
【0061】
一方、所定時間(t2)ゲートローラ10を正転させても紙幣の繰出不良が解消されなかった場合、続いて制御部は、ゲートローラ10の回転方向を変更して、所定時間(t3)、ゲートローラ10を正転させた後、再び回転方向を変更してゲートローラ10を逆転させる。この回転方向変更により正常繰出状態になれば、制御部は、繰出不良を解消するためのゲートローラ10の回転制御を終了する。この結果、ゲートローラ10はそのまま逆転を継続する。
【0062】
一方、所定時間(t3)ゲートローラ10を正転させても紙幣の繰出不良が解消されなかった場合、続いて制御部は、ゲートローラ10の回転方向を変更して、所定時間(t4)、ゲートローラ10を正転させた後、再び回転方向を変更してゲートローラ10を逆転させる。この回転方向変更により正常繰出状態になれば、制御部は、繰出不良を解消するためのゲートローラ10の回転制御を終了する。この結果、ゲートローラ10はそのまま逆転を継続する。
【0063】
一方、所定時間(t4)ゲートローラ10を正転させても紙幣の繰出不良が解消されなかった場合、続いて制御部は、ゲートローラ10の回転方向を変更して、所定時間(t5)、ゲートローラ10を正転させた後、再び回転方向を変更してゲートローラ10を逆転させる。この回転方向変更により正常繰出状態になれば、制御部は、繰出不良を解消するためのゲートローラ10の回転制御を終了する。この結果、ゲートローラ10はそのまま逆転を継続する。
【0064】
一方、ゲートローラ10の回転駆動停止を1回、ゲートローラ10の回転方向変更を4回、合計5回の制御を行っても紙幣の繰出不良が解消されなかった場合、制御部は、エラーと判定して、ゲートローラ10及びフィードベルト20の回転を停止して、紙幣繰出装置の動作を停止する。また、制御部は、このエラーに係る情報を紙幣処理装置に送信する。これを受けて、紙幣処理装置では、繰作表示部等を利用して利用者にエラーを知らせる報知処理が実行される。そして、報知を受けた利用者が、繰出不良の原因となった紙幣を取り除くなどして、紙幣繰出装置の動作を再開する操作を行うことになる。
【0065】
図7に示す時間t1〜t5は、設定により変更可能となっている。例えば、回転駆動停止時間t1を20mSec、正転時間t2〜t4をそれぞれ20mSec、正転時間t5を60mSecに設定する。
【0066】
ゲートローラ10を逆転させている駆動を停止して自由回転可能な状態とする回転駆動停止時間、及びゲートローラ10を正転させる正転時間は、樹脂領域がゲート部を通過する時間に応じて設定される。具体的には、樹脂領域の繰出方向先端がゲート部入口にある状態から、繰出方向への移動を開始して、樹脂領域の繰出方向後端がゲート部出口を通過するまでの間、ゲートローラ10の自由回転又はゲートローラ10の正転が継続するように時間を設定する。すなわち、ゲートローラ10の自由回転又は正転によって移動し始めた紙幣の移動距離が、繰出方向と平行な方向の樹脂領域の長さと、繰出方向と平行な方向のゲート部の距離とを合わせた距離と同じか、この距離より長くなるまで、ゲートローラ10の回転駆動停止又はゲートローラ10の正転を継続する。
【0067】
ただし、回転駆動停止時間又は正転時間を設定する態様の他、ゲートローラ10の自由回転又はゲートローラ10の正転を開始してから検知した紙幣の移動距離に応じて、ゲートローラ10の逆転を再開する設定とすることもできる。具体的には、ゲートローラ10の回転駆動停止後又は正転開始後に移動し始めた紙幣の移動距離が、繰出方向と平行な方向の樹脂領域の長さと、繰出方向と平行な方向のゲート部の距離とを合わせた距離と同じか、この距離より長くなったことを制御部が検知して、ゲートローラ10の逆転を再開するように設定する。なお、紙幣の移動距離の検知は、例えば、紙幣検知センサ51によって紙幣の繰出方向先端を検知してからの時間と紙幣の搬送速度から算出することによって行う。
【0068】
図7は一例であって、ゲートローラ10の回転駆動を停止して自由回転可能な状態にする回数、ゲートローラ10の回転方向を変更する回数は、設定により変更することができる。例えば、ゲートローラ10の回転駆動停止のみを行う設定とすることもできるし、ゲートローラ10の回転方向変更のみを行う設定とすることもできる。また、回転駆動停止と回転方向変更の実行順序を変更することもできる。例えば、最初に回転方向を変更する設定とすることもできるし、回転駆動停止と回転方向変更とを交互に繰り返す設定とすることもできる。
【0069】
図1図7では、ローラ21、24に掛け渡したフィードベルト20とゲートローラ10によってゲート部を形成する例をしたが、ゲート部を形成する構成がこれに限定されるものではない。図8は、フィードローラ201とゲートローラ202によってゲート部を形成する例を示す模式図である。図9は、フィードローラ301とゲート部材302によってゲート部を形成する例を示す模式図である。図8及び図9は、紙幣の繰出動作を説明するための構成を模式的に示した側面図である。図8及び図9では省略しているが、これらの構成では、ゲート部よりも繰出方向上流側に、集積された紙幣のうち一番下にある紙幣を所定の時間間隔で蹴り出すためのキッカローラが設けられている。
【0070】
図8(a)に示すように、正転するフィードローラ(フィード部)201で紙幣105を送出しながら、逆転するゲートローラ202で他の紙幣を押し戻す構成であっても、ゲートローラ(ゲート部材)202の回転を制御することにより各紙幣を円滑に繰り出すことができる。
【0071】
具体的には、図8(a)に示すように、樹脂領域105aがゲートローラ202によって押し戻されて紙幣105を繰り出せない繰出不良が生じた場合も、上述したようにゲートローラ202の回転駆動停止と、ゲートローラ202を正転させる回転方向変更との少なくともいずれか一方を、1回又は複数回行うことにより、図8(b)に示すように、樹脂領域105aがゲート部を通過して、紙幣105を繰り出すことが可能となる。また、樹脂領域105aがゲート部を通過した後、図8(c)に示すように、再びゲートローラ202の逆転を開始すれば、繰出対象の紙幣105と紙幣面を接する2枚目の紙幣等、繰出対象外である他の紙幣を繰出方向と逆方向に押し戻して、1枚の紙幣105のみを繰り出すことができる。
【0072】
図9に示す構成では、繰出対象外の紙幣がゲート部を通過することを防止するため、フィードローラ(フィード部)301の外周面との間に、繰出対象の紙幣1枚のみが通過する隙間をあけて、ゴム製のゲート部材302が配置されている。このような構成でも、ゲート部材302の動作を制御して各紙幣を円滑に繰り出すことができる。
【0073】
具体的には、図9(a)に示すように、樹脂領域106aがゲート部材302と接触してゲート部を通過できない繰出不良が生じた場合に、ゲート部材302の上下方向の移動を制御して、図9(b)に示すようにゲート部材302を上方へ退避させる。ゲート部材302を退避させて、ゲート部を形成する隙間、すなわちフィードローラ301の外周面とゲート部材302の下方先端との間の隙間を拡大すれば、図9(b)に示すように樹脂領域106aがゲート部を通過して、紙幣106を繰り出すことが可能となる。
【0074】
樹脂領域106aがゲート部を通過した後、ゲート部材302の移動を制御して、図9(c)に示すようにゲート部材302を下方へ移動する。このとき、ゲート部材302の位置は、ゲート部材302で押さえた繰出対象外の紙幣が繰出方向へ移動せず、繰出対象の紙幣106のみが繰出方向へ移動するように制御される。これにより、繰出対象の紙幣106と紙幣面を接する2枚目の紙幣等、繰出対象外である他の紙幣の連れ出しを防止することができる。
【0075】
なお、本実施形態では、図4に示すゲートローラ10、図8に示すゲートローラ202の回転を制御して、ゲート部で樹脂領域113a、105aを通過させて紙幣113、105を繰り出す例を示したが、図9に示すゲート部材302と同様に、逆転状態を継続したままゲートローラ10、202を、ゲート部の隙間を拡大する方向へ退避移動させる態様であってもよい。この場合も、樹脂領域113a、105aがゲート部を通過してすぐにゲートローラ10、202を元の位置へ戻せば、他の紙幣の連れ出しを防止することができる。逆転するゲートローラ10、202の外周面に接触すると紙に比べて大きい摩擦力を生ずる、紙以外の材質から成る高摩擦領域が、ゲート部を通過できないことを検知した場合に、この高摩擦領域がゲート部を通過できるように、ゲートローラ10、202の位置を制御すれば、ゲートローラ10の回転を制御する場合と同様に、集積された紙幣を1枚ずつ順に繰り出すことが可能となる。
【0076】
上述してきたように、本実施形態に係る紙葉類繰出装置によれば、集積された複数枚の紙葉類を紙葉類処理装置内へ繰り出す際に、紙葉類面上に設けられた紙以外の材質から成る領域がゲート部を通過できないことを検知して、この領域がゲート部を通過できるように、ゲート部材を構成するゲートローラの回転駆動停止又は回転方向の変更、ゲート部からのゲート部材の退避移動等を行うことができる。これにより、紙葉類面を形成する材質によらず各紙葉類を紙葉類処理装置内へ繰り出すことができる。
【0077】
また、紙葉類繰出装置では、ゲート部を通過できなかった紙葉類面上の領域がゲート部を通過して紙葉類を繰出可能な状態になったことを検知して、ゲート部材を元の状態に戻すことができる。これにより、移動を開始した繰出対象の紙葉類と共に、繰出対象外の他の紙葉類が連れ出されることを防ぎ、紙葉類を1枚ずつ紙葉類処理装置内へ繰り出すことができる。
【産業上の利用可能性】
【0078】
以上のように、本発明に係る紙葉類繰出装置は、繰出対象とする複数枚の紙葉類の中に、金属箔や樹脂箔等、紙以外の材質から成る領域を有する紙葉類が含まれている場合でも、集積された紙葉類を1枚ずつ順に繰り出すために有用である。
【符号の説明】
【0079】
10、202 ゲートローラ(ゲート部材)
20 フィードベルト(フィード部)
21〜24、31、41 ローラ
30 下側搬送ベルト
40 上側搬送ベルト
51、52 紙幣検知センサ
201、301 フィードローラ(フィード部)
302 ゲート部材
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9