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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2017-218341(P2017-218341A)
(43)【公開日】2017年12月14日
(54)【発明の名称】ハニカム構造体
(51)【国際特許分類】
   C04B 35/565 20060101AFI20171117BHJP
   F28F 21/04 20060101ALN20171117BHJP
【FI】
   C04B35/56 101S
   F28F21/04
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2016-112740(P2016-112740)
(22)【出願日】2016年6月6日
(71)【出願人】
【識別番号】000000158
【氏名又は名称】イビデン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】古賀 祥啓
【テーマコード(参考)】
4G001
【Fターム(参考)】
4G001BA22
4G001BA62
4G001BB22
4G001BB62
4G001BC13
4G001BC17
4G001BC26
4G001BC33
4G001BC34
4G001BC52
4G001BC54
4G001BD01
4G001BD03
4G001BE31
(57)【要約】
【課題】ハニカム構造体のひずみに対する耐性が向上する。
【解決手段】ハニカム構造体は、筒状の周壁11と、周壁11の内部を周壁11の軸方向に延びる複数のセルSに区画する断面ハニカム形状の区画壁12とを備える。区画壁12は、複数のセラミック粒子が区画壁12の形状に相当する形状に配置されてなる骨格部分と、骨格部分におけるセラミック粒子間の隙間に充填された金属ケイ素からなる充填部分とから構成されており、骨格部分は、充填部分によって区画壁12に相当する形状に保持されている。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
筒状の周壁と、前記周壁の内部を前記周壁の軸方向に延びる複数のセルに区画する断面ハニカム形状の区画壁とを備えるハニカム構造体であって、
前記区画壁は、複数のセラミック粒子が前記区画壁に相当する形状に配置されてなる骨格部分と、前記骨格部分におけるセラミック粒子間の隙間に充填された金属ケイ素からなる充填部分とから構成されており、
前記骨格部分は、前記充填部分によって前記区画壁に相当する形状に保持されていることを特徴とするハニカム構造体。
【請求項2】
前記セラミック粒子は未焼結であることを特徴とする請求項1に記載のハニカム構造体。
【請求項3】
前記セラミック粒子と前記金属ケイ素の体積比は、60:40〜40:60であることを特徴とする請求項1又は2に記載のハニカム構造体。
【請求項4】
前記セラミック粒子が炭化ケイ素粒子であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のハニカム構造体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、周壁の内部に断面ハニカム形状の区画壁を備えるハニカム構造体に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、内側を貫流する流体と外側に存在する流体との間で熱量の交換を行わせる多孔質炭化ケイ素焼結体製のエレメントを備えた高温用熱交換器が開示されている。この熱交換器のエレメントは、長手方向に延びた複数のセルを有するハニカム構造体である。また、このハニカム構造体は、多孔質炭化ケイ素焼結体の表面にシリコンを含浸させたものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平06−345555号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ハニカム構造体では、セルを通過する流体の温度によって断面ハニカム形状の区画壁にひずみが生じる。とくに、使用形態によっては、そのハニカム構造体内の温度差が大きくなることで、それに伴ってひずみも大きくなる。そのため、ハニカム構造体としては、ひずみに対する耐性が求められる。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するためのハニカム構造体は、筒状の周壁と、前記周壁の内部を前記周壁の軸方向に延びる複数のセルに区画する断面ハニカム形状の区画壁とを備えるハニカム構造体であって、前記区画壁は、複数のセラミック粒子が前記区画壁に相当する形状に配置されてなる骨格部分と、前記骨格部分におけるセラミック粒子間の隙間に充填された金属ケイ素からなる充填部分とから構成されており、前記骨格部分は、前記充填部分によって前記区画壁に相当する形状に保持されていることを要旨とする。
【0006】
上記ハニカム構造体について、前記セラミック粒子は未焼結であることが好ましい。
たとえば、上記特許文献1に開示されたハニカム構造体の場合、セラミック粒子同士は、焼結によって結合された構成となっている。これに対し、上記構成では、骨格部分におけるセラミック粒子は、充填された充填部材によって形状が保持され、セラミック粒子同士の結合は抑制されている。こうした構造を骨格部分において採用しているため、ひずみに対する耐性を向上させることができる。すなわちヤング率を高くすることができる。
【0007】
上記ハニカム構造体について、前記セラミック粒子と前記金属ケイ素の体積比は、60:40〜40:60であることが好ましい。セラミック粒子の割合が60体積%を超えると、金属ケイ素がセラミック粒子間の隙間に入りにくい箇所が生じ、ひずみに対する耐性が低くなることがあり、40体積%未満では、未焼結では骨材として形成できず、製造過程で破損することがある。
【0008】
上記ハニカム構造体について、前記セラミック粒子が炭化ケイ素粒子であることが好ましい。熱伝導率が高いため、ハニカム構造体中に温度差がつくことを抑制することができる。また、熱交換器として有用である。
【発明の効果】
【0009】
本発明のハニカム構造体によれば、ひずみに対する耐性が向上する。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】ハニカム構造体の斜視図。
図2図1の2−2線端面図。
図3図1の3−3線端面図。
図4】非焼結のハニカム構造体の顕微鏡写真。
図5】非焼結のハニカム構造体の顕微鏡写真。
図6】焼結ハニカム構造体の顕微鏡写真。
図7】(a)、(b)は骨格部分を拡大した模式図。
図8】成形工程の説明図。
図9】加工工程(第1加工)の説明図。
図10】加工工程(第2加工)の説明図。
図11】加工工程(第3加工)の説明図。
図12】脱脂工程の説明図。
図13】含浸工程の説明図。
【発明を実施するための形態】
【0011】
ハニカム構造体の一実施形態を説明する。
図1に示すように、ハニカム構造体10は、筒状の周壁11と、周壁11の内部を周壁11の軸方向に延びる複数のセルに区画する断面ハニカム形状の区画壁12と備えている。周壁11の両端部には、径方向外方に突出する環状のリブ13がそれぞれ設けられている。
【0012】
図1〜3に示すように、区画壁12により区画されたセルSは、その両端部が共に開放された第1セルS1と、その両端部が共に封止された第2セルS2との二種類のセルから構成されている。図1に示すように、第1方向(図1の上下方向)に並ぶ各セルSは全て同種のセルとなっている。また、第1方向に直交する第2方向(図1の紙面手前奥方向)において隣り合う各セルSは、互いに異なる種類のセルとなっている。
【0013】
図1及び図3に示すように、ハニカム構造体10において、第1方向に並ぶ第2セルS2により構成される部分(第2セルS2からなるセル列)のそれぞれには、第1方向に延びるように形成されて、第1方向に隣接する第2セルS2同士を連通する第1連通部14a及び第2連通部14bが設けられている。
【0014】
第1連通部14aは、ハニカム構造体10の第1端部側に設けられている。第1連通部14aにおける第1方向の一方側(図3の上側)の端部は、周壁11に開口するとともに、同他方側(図3の下側)の端部は、第1方向において最も他方側に位置する第2セルS2にまで達している。
【0015】
第2連通部14bは、ハニカム構造体10の第2端部側に設けられている。第2連通部14bにおける第1方向の他方側(図3の下側)の端部は、周壁11に開口するとともに、同一方側(図3の上側)の端部は、第1方向において最も一方側に位置する第2セルS2にまで達している。
【0016】
したがって、ハニカム構造体10の内部には、第1セルS1により構成され、ハニカム構造体10の軸方向両端部を流入口又は流出口とする第1流路と、第2セルS2により構成され、ハニカム構造体10の周壁11に形成された、第1連通部14a及び第2連通部14bの各開口を流入口又は流出口とする第2流路とが形成されている。
【0017】
図4には、ハニカム構造体10の横断面における顕微鏡写真を示す。ハニカム構造体10は、複数のセラミック粒子が区画壁の形状に配置された骨格部分と、セラミック粒子間の隙間に充填された金属ケイ素からなる充填部分とから構成されている。
【0018】
ハニカム構造体10の骨格部分を構成する材料は特に限定されるものではなく、公知のハニカム構造体10に用いられる材料を用いることができ、たとえば、炭化ケイ素、炭化タンタル、炭化タングステン等の炭化物、窒化アルミニウム、窒化ケイ素、窒化ホウ素等の窒化物が挙げられる。これらの中でも、炭化ケイ素を用いることが好ましい。
【0019】
セラミック粒子の平均粒子径は特に限定されるものではないが、10〜50μmの範囲であることが好ましい。セラミック粒子の平均粒子径は、ハニカム構造体10の横断面を電子顕微鏡で観察することによって測定することができる。
【0020】
なお、図6に示す顕微鏡写真は、比較として、脱脂工程後に焼成を行い、得られた焼成体に対して含浸工程を行うことにより得られたハニカム構造体(以下「焼結ハニカム構造体」ともいう。)の横断面における顕微鏡写真を示す。焼結ハニカム構造体においては、焼結によりセラミック粒子同士が結合した結合部(ネック)が形成されている。セラミック粒子同士がネックを介して結合した状態で骨格部分を構成しており、この骨格部分の隙間に充填部材が充填された構成となっている。
【0021】
図7は、セラミック粒子同士が焼結によって結合されているか否かについて、区画壁12に相当する形状に配置されてなる骨格部分の一部を拡大した模式図である。図7(a)は、セラミック粒子同士が接触して配置されて骨格部分を構成しているものの、それらセラミック粒子同士は、焼成によるネックを有していない。一方、図7(b)は、セラミック粒子同士がネックを介して結合されて骨格部分を構成している。このネックは、ハニカム構造体が焼成され、セラミック粒子が焼結されることによって形成された部位である。
【0022】
図7(a)の骨格部分は、充填部分によって区画壁12の形状に保持される。言い換えれば、骨格部分を構成するセラミック粒子の大部分が焼結により結合されたネックを有してなく、個々の粒子が接触した状態で配置され、その接触配置の状態が充填部分によって保持されるということである。したがって、セラミック粒子間の隙間に金属ケイ素が充填されていることによって区画壁12の形状が保持されているのである。
【0023】
骨格部分を構成する複数のセラミック粒子同士がネックを有するか否かは、たとえば、ハニカム構造体をフッ酸処理して金属ケイ素を溶解させた際、骨格部分の形状が保持されるか否かで確認することができる。図7(a)に示すように、骨格部分を構成するセラミック粒子同士が焼結により結合されたネックを有していない場合、個々のセラミック粒子が接触した状態で配置されているため、フッ酸処理後、骨格部分の形状は保持されない。これに対し、図7(b)に示すように、骨格部分を構成するセラミック粒子同士が焼結により結合されたネックを有している場合、フッ酸処理後、骨格部分の形状は保持される。
【0024】
骨格部分を構成するセラミック粒子において、フッ酸処理前のセラミック粒子同士の接点の個数に対する、フッ酸処理後のセラミック粒子同士の結合部(ネック)の個数の割合(以下「結合部率」ともいう。)が20%以下であることが好ましい。結合部率が20%以下であることにより、ひずみに対する耐性が好適に向上する。セラミック粒子同士の接点と結合部の個数は、骨格部分を電子顕微鏡で観察することによって測定することができる。
【0025】
次に、本実施形態の作用効果について記載する。
たとえば、ハニカム構造体内に大きな温度差がつくと、断面ハニカム形状の区画壁にひずみが生じる。このとき、セラミック粒子のいずれかに亀裂が生じ、この亀裂が伸展することが考えられる。焼結ハニカム構造体の場合、ネックを介してセラミック粒子同士が結合されて相応の大きさに形成されていることがあり、それが故に、亀裂が伸展しやすく、ひずみが大きくなるのではないかと考えられる。これに対し、本実施形態のハニカム構造体の場合、セラミック粒子は、互いに結合されることが抑制されている。そのため、仮に、いずれかのセラミック粒子に亀裂が生じたとしても、セラミック粒子がより小さく構成されていることから、その亀裂が伸展されにくく、ひずみが大きくなるのを抑制していると考えられる。こうしたことから、本実施形態のハニカム構造体は、焼結ハニカム構造体と比較して、ヤング率が高く、変形しにくい性質を有し、ひずみに対する耐性を向上させることができる。また、セラミック粒子間の隙間に金属ケイ素が充填されていることにより、焼結ハニカム構造体と同程度の強度を確保できている。
【0026】
次に、図8〜13に基づいて、本実施形態のハニカム構造体10の一製造方法について説明する。ハニカム構造体10は、以下に記載する成形工程、加工工程、脱脂工程、含浸工程を順に経ることにより製造される。
【0027】
(成形工程)
ハニカム構造体10の成形に用いる原料として、公知のハニカム構造体10に用いられるセラミック粒子と、有機バインダーと、分散媒とを含有する粘土状の混合物を調製する。図8に示すように、成形工程では、公知のハニカム構造体10に用いられる混合物と同様の混合物を用いて、筒状の周壁11と、周壁11の内部を周壁11の軸方向に延びる複数のセルSに区画する断面ハニカム形状の区画壁12とを備える成形体10Aを成形する。この成形体10Aは、環状のリブ13が省略された形状であるとともに、全てのセルSについて、その両端が開放された状態となっている。成形体10Aは、例えば、押し出し成形により成形することができる。得られた成形体10Aに対して、成形体10Aを乾燥させる乾燥処理を行う。
【0028】
(加工工程)
加工工程は、成形体10Aの外形状をハニカム構造体10の外形状と略同一形状に加工した加工成形体10Bを得る工程である。加工工程においては、成形体10Aにリブ13を形成する第1加工、成形体10Aに第1連通部14a及び第2連通部14bを形成する第2加工、及び成形体10Aにおける一部のセルSの両端部を封止する第3加工を行う。
【0029】
図9に示すように、第1加工では、成形体10Aの周壁11の外面に対して、成形工程において用いた粘土状の混合物を所定形状に付着させることによって、環状のリブ13を形成する。その後、成形体10Aに対して、形成されたリブ13を乾燥させる乾燥処理を行う。
【0030】
図10に示すように、第2加工では、たとえば、加熱された加工具を成形体10Aに接触させる方法を用いて、成形体10Aにおける周壁11及び区画壁12の一部を除去して、第1連通部14a及び第2連通部14bを形成する。
【0031】
図11に示すように、第3加工では、成形体10Aに形成される複数のセルSのうち、第2セルS2を構成するセルSの両端部に対して、成形工程において用いた粘土状の混合物を充填して、当該セルSの両端部を封止する封止部15を形成する。その後、成形体10Aに対して、封止部15を乾燥させる乾燥処理を行う。
【0032】
上記の第1加工、第2加工、第3加工からなる加工工程を経ることにより、加工成形体10Bが得られる。
(脱脂工程)
脱脂工程は、加工成形体10Bを加熱することによって、加工成形体10Bに含まれる有機バインダーを燃焼させ、焼失させることにより、加工成形体10Bから有機バインダーが除去された脱脂体10Cを得る工程である。図12に示すように、脱脂工程を経ることにより、加工成形体10Bから有機バインダーが除去されて、セラミック粒子間に隙間を有する脱脂体10Cが得られる。
【0033】
(含浸工程)
含浸工程は、脱脂体10Cの各壁の内部に金属ケイ素を含浸させる工程である。含浸工程においては、脱脂体10Cに対して金属ケイ素の塊を接触させた状態として、金属ケイ素の融点以上(例えば、1450℃以上)に加熱する。これにより、図13に示すように、溶融した金属ケイ素が毛細管現象によって、脱脂体10Cの各壁を構成するセラミック粒子間の隙間へ入り込み、同隙間に金属ケイ素が含浸される。
【0034】
上記の含浸工程を経ることにより、ハニカム構造体10が得られる。
ここで、本実施形態においては、脱脂工程以降の工程において特別な温度管理を行っている。すなわち、脱脂工程以降の工程においては、成形工程に用いた混合物に含まれるセラミック粒子の焼結温度未満の温度下にて実施し、加工成形体10B、脱脂体10Cを上記焼結温度以上の温度下に曝さないようにしている。したがって、脱脂工程においては、有機バインダーが焼失可能な温度以上、かつ上記焼結温度未満の温度で加熱を行う。同様に、含浸工程においては、金属ケイ素の融点以上、かつ上記焼結温度未満の温度で加熱を行う。
【0035】
本実施形態は、次のように変更して実施することも可能である。また、上記実施形態の構成や以下の変更例に示す構成を適宜組み合わせて実施することも可能である。
・ハニカム構造体の外形状は円柱に限定されず、楕円筒状や角筒状の外形状としてもよい。また、本実施形態では、周壁と区画壁とを同一の材料によって構成するものとしたが、周壁と区画壁とを異なる材料から構成するものとしてもよい。たとえば、区画壁の外周に被覆層を形成することにより、被覆層を周壁としてもよい。
【0036】
・第1セルS1と第2セルS2は、第2の方向において隣り合ってなくてよく、第2セルS2、第1セルS1、第1セルS1(以下繰り返し)の順番で配置することができる。
・ハニカム構造体は、区画壁によって区画された複数のセルが長手方向に並設されている柱状のハニカム部材が、接合層を介して複数個結束されたものであってもよい。
【0037】
次に、上記各実施形態及び別例から把握できる技術的思想について以下に追記する。
(イ)セラミック粒子の結合部率が5%以下であるハニカム構造体。
【実施例】
【0038】
以下、上記実施形態をさらに具体化した実施例について説明する。
(実施例)
まず、下記組成の混合物を調製した。
【0039】
平均粒子径15μmの炭化ケイ素の粒子(大粒子):52.5質量部
平均粒子径0.5μmの炭化ケイ素の粒子(小粒子):23.6質量部
メチルセルロース(有機バインダー):5.4質量部
グリセリン(潤滑剤):1.1質量部
ポリオキシアルキレン系化合物(可塑剤):3.2質量部
水(分散媒):11.5質量部
この混合物を用いて、直径35mm、長さ100mm、周壁の厚さ0.3mm、区画壁の厚さ0.1mm、セル幅0.94mmのハニカム構造を有する円柱状の成形体を成形した。次に、成形体を450℃で5時間加熱することにより、有機バインダーが除去された脱脂体を得た。その後、脱脂体の上に金属ケイ素の板材20gを載置した状態として、真空下、1550℃で7時間、加熱することにより、金属ケイ素を含浸させて、実施例1のハニカム構造体を得た。また、上記含浸を、アルゴン雰囲気下、1700℃で7時間、加熱することにより金属ケイ素を含浸させて、実施例2のハニカム構造体を得た。なお、図4、5に示す顕微鏡写真は、実施例1、2のハニカム構造体を撮影したものである。
【0040】
(比較例1)
実施例と同様にして成形体及び脱脂体を得た。脱脂体をアルゴン雰囲気下、2200℃で3時間、加熱することにより焼成体を得た。そして、焼成体の上に金属ケイ素の板材20gを載置した状態として、真空下、1550℃で7時間、加熱することにより、金属ケイ素を含浸させて、比較例1のハニカム構造体を得た。なお、図6に示す顕微鏡写真は、比較例のハニカム構造体を撮影したものである。
【0041】
(評価試験)
実施例1〜3及び比較例1のハニカム構造体の曲げ強度及びヤング率を測定した。それらの結果を表1に示す。
【0042】
ハニカム構造体の曲げ強度は、以下の方法で測定した。
3点曲げ強度測定用サンプルとして、実施例および比較例のハニカム構造体から、周壁及び封止部を除く2セル×4セル×40mmの大きさの基材を10本切り出した。そして、3点曲げ強度測定用サンプルの主面(広い方の面)に対して垂直な方向に荷重を印加し、破壊荷重(サンプルが破壊した荷重)を測定した。10本の3点曲げ強度測定用サンプルについて破壊荷重を測定し、その平均値を曲げ強度とした。3点曲げ強度試験は、JIS R 1601を参考に、インストロン5582を用い、スパン間距離:30mm、スピード1mm/minで行った。
【0043】
ハニカム構造体のヤング率は、以下の方法で測定した。ヤング率測定用サンプルとして、実施例および比較例のハニカム構造体から、周壁及び封止部を除く、横10mm×長さ50mm×厚さ0.4mmの寸法の測定サンプルを切り出した。そして、ヤング率測定装置に設置し、共振法により、測定サンプルのヤング率を測定した。測定装置には、JE−RT型弾性率測定装置(日本テクノプラス(株)社製)を使用した。測定雰囲気は、大気とし、測定温度は、室温とした。
【0044】
ハニカム構造体から所定の形状を有する試験片を切り出し、フッ酸処理することにより、骨格部分の形状が保持されるか否かを試験した。フッ酸処理後の外観を観察し、ハニカム構造体の形状が維持されていた場合、「維持する」とし、ハニカム構造体が崩れ、形状が維持されていなかった場合、「維持しない」とした。また、フッ酸処理前における単位面積当たりの炭化ケイ素粒子同士の接点の個数と、フッ酸処理後における単位面積当たりの炭化ケイ素粒子同士の接点(結合部)の個数を電子顕微鏡で測定し、フッ酸処理前の炭化ケイ素粒子同士の接点の個数に対する、フッ酸処理後の炭化ケイ素粒子同士の結合部の個数の割合である結合部率(%)を算出した。実施例1、2、比較例1では、それぞれ、結合部率(%)は、5、20、95であった。
【0045】
結合部率は、SEMで1000倍で炭化ケイ素粒子を100カ所撮影し、その粒子と隣り合う粒子間に結合部があるか目視で判断した。
【0046】
【表1】
表1に示す結果から、実施例1、2のハニカム構造体は、比較例1のハニカム構造体と同程度の曲げ強度を有していることが分かる。また、実施例1、2のハニカム構造体は、比較例1のハニカム構造体と比較して、ヤング率が高く、変形し難い性質を有している。したがって、ひずみに対する耐性が向上していることが分かる。
【符号の説明】
【0047】
10…ハニカム構造体、10A…成形体、10B…加工成形体、10C…脱脂体、11…周壁、12…区画壁、13…リブ、14a…第1連通部、14b…第2連通部、15…封止部。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13